2024年03月29日
カゴカキ幼稚園。
2024年 3月28日(木) 晴れのち曇りまた晴れ
南の風 波あり
昼頃から南風が強まる予報になっていた。
グズグズしているとまたビショビショになってしまうこと必至だから、風が吹き始めたくらいのタイミングで島に戻ってきた。
桟橋に到着し、タンクその他の荷物を下ろしている時のこと。
瀬底方面水納島寄りの洋上に、ブシューッと潮が吹きあがった。
ザトウクジラだ。
もっと南のほうからの帰路の途中なのだろうか。
親子連れっぽい大小2頭、ただ通り過ぎていくだけかと思いきや、小さいほうが…
ジャンプ!
その後も小さいほうは続けざまに飛んだり跳ねたりを繰り返していたため、付近を航行していたボートが近寄って行った。
それでも飛び跳ね続けるチビターレ。
そんなに繰り返してくれれば、シャッターチャンスもあろうというもの。
しかしあいにくお出掛けの際は望遠ズーム性能がよろしくない旧コンデジなので、肉眼ではハッキリ見えているというのに…
…ボヤ~ン。
念のために言っておくと、右側の洋上に飛び出した鰹節のようなものがザトウクジラです。
最初は全身が見えるくらいにまでジャンプしていたチビターレだったけれど、遊びすぎて疲れてきたのか、だんだん往年の坂口征二のジャンピングニーほどの高さに留まっていたような…。
画像はショボショボでも、陸に居ながらにしてクジラのジャンプが眺められるなんてラッキーチャチャチャウッ。
その幸運を享受できたのは我々だけではなく、朝から桟橋で釣りをしていた民宿大城のヤスシさんも。
でもせっかくクジラが何度もジャンプしているというのに、なにか手元を覗きこんでいる。
なんで?
と思ったら、ナリコさんに電話していたのだった。
ダーリンヤスシさんから知らせが届き、ただちに(車で)駆けつけたナリコさん。
もし桟橋にワタシ1人でオタマサが家にいようとも、電話を掛けたところで携帯していない電話に出るはずがないから、そんな無駄なことをするはずもなし。
せいぜいその時撮った写真を後刻見せて、うらやましがらせるのが関の山ってところだろう。
その点すぐさま電話を掛けて知らせてあげるあたり、相変わらずアツアツのお二人なのである。
帰宅後はカメのエサ採りだなんやかやとやっているうちに慌ただしく昼になったものの、この日の午後は時間がたっぷりあった。
オタマサもいつの間にやらいなくなっていたので、静かな環境でデスクワークに勤しめるというもの。
この日は先日受け取ってきたばかりのこちらをアップ。
新作Tシャツ、今年はハナヒゲウツボベビー♪
新作をアップするに際し、従来のすべてのページに手直しを施したこともあり、午後のほとんどを費やすことになってしまった。
ああ、せっかく晴れていたのに…。
晴れているから、屋外で物撮りをするのにバッチリ…かと思いきや、強風のためTシャツがはためくことはためくこと。
ハナヒゲベビーが鯉のぼりになるところだった。
そうやってワタシが奮闘している間ビーチに潜っていたオタマサは、久しぶりの登場となる↓この魚たちに出会っていたという(以下の写真、すべて撮影:オタマサ)。
ご存知カゴカキダイ。
ごくごく稀に、桟橋脇に流れ着いてくるチビターレだ。
しかし今回は…
団体様でご登場。
先ほどソロで写っていたのが最大サイズで1センチちょいほど。
他はもっと小さく、模様の出方も薄い。
しかも5匹だけではなく、全部で…
↑この写真には別の魚も2匹ほど混じっているけれど、カゴカキダイだけで8~9匹いたもようだ。
このあたりにカゴカキダイが現れると、たいていオヤビッチャなどのチビターレに混じって…というパターンなのに、今回は立場が逆転していた。
肩身の狭そうなオヤビッチャなんて、初めて見たかも…。
そんなキンダガーデンカゴカキダイたち、ずっと同じ場所に居てくれれば…と言いたいところながら、なにしろ彼らがいるところといったら、
砂底から水面まで20センチそこそこの激浅波打ち際。
タンクを水面上に露出させながら撮っていたというオタマサは、浜に打ち上げられたジュゴンのチビ状態になっていたに違いない。
こんなところにカゴカキダイが長居するとも思えず、潮の満ち干に乗ってあっという間に旅立つことだろう。
クジラもカゴカキダイも風とともに去りゆく春、一期一会のかくも儚き…。
2024年03月28日
ウゾ800。
2024年 3月27日(水) 晴れ
北の風 波あり
本日は検査に出してあったタンクの受け取り第2弾のため、再び北谷まで南下。
今回は耐圧検査ではなく、アルミタンクに年イチで義務付けられている目視検査である、ということは先日紹介したとおり……紹介しましたよね?
で、フツーにちゃんとまっとうに使用していれば、これで引っ掛かることはまずないところなんだけど、今回は1本だけ不合格が出てしまった。
タンク内部に水が入っていたために、内部が一部腐食して、ボコ…ボコ…と小さなクレーター状になっていたためである。
タンク内部に残圧10でも5でも残っていれば、水が入ってしまうことはまずない。
ところがほぼほぼゼロになってしまうと、場合によっては内部のほうが陰圧になってしまうから、何かの拍子に水が入ってしまうのだ。
フツーに使用していれば、タンク内の圧力がゼロになることはない。
ところがごくごく一部の方が、何も考えずにゼロまで吸い尽くしてしまうため、こういう事が起こってしまう。
通常営業していないのになぜそんなことに?
それはヒミツです。
ともかく当方にとってはテロリストといっていい方々のせいで、10リットルタンク1本という貴重な資産がフイになってしまったのだ。
決定。
今後残圧10以下でエキジットした方からは、追徴課税として5000円いただきます。
通常営業していないのに誰から?
それはヒミツです。
さてさて、本日は早めに島を出たので、北谷に到着したのも早く、名護店に比べれば遥かに品揃えが豊富な(でもシンメーナービーなど田舎独特の品は少ないけど)メイクマン美浜店に寄ってからでも昼前に到着することができた。
そしてタンクを積み込み、一路北上。
時間もあることだし、今日はどこぞのお店でランチでも♪
さて、どこで?
観光客でごった返している美浜あたりは勘弁願いたいし、どうせだったら北上がてら寄れるところで…
そうだ、シマウマカレー食堂がいいんじゃね?
ゼロコンマ3秒で急速にカレーモードになりかけたものの、定休日や臨時休業、店内改装期間に当たる率が高い我々のこと、ウカツに読谷の奥に入り込んで路頭に迷ってしまったら大変なことになる(客観的にはたいして大変じゃないけど)。
そこで取り出しましたるスマホ。
テザリング機能を除き、こういう時に役に立たずに、いつ役に立つというのだ。
で、シマウマカレーを調べてみたところ…
「閉店しました」
あ…。(ちびまる子ちゃんでいうなら顔の右側に縦線がたくさん入るシーン)
そういえば、ずいぶん前に誰かから聞いていたっけなぁ…。
いいお店ほど、惜しまれて消えていく世の中なんて。
しかしこの日は珍しく、次善の策まで用意してあった。
かつて一度だけお邪魔し、その味に感動したサイルーンである。
定休日が木曜であることは事前に知ってはいたものの、我々のことだから、定休日じゃないからといって営業しているとはかぎらない。
これまた珍しく事前に電話して、営業していることを確認してから北谷を出発した我々は、ようやく一歩現代人に近づいたかもしれない。
一度訪れたことがあるからといっても、幹線道路沿いというわけじゃなし、だいたいこのあたりだろう…と見当はついても、そこからディテールはまったく思い出せない。
もう少し先かな…と車を進めていたら、なんてことだ、残波岬と真栄田岬の岐路まで降りてきてしまったではないか。
Uターンして坂道を登り直し、このあたりだろう…と適当に入り込んでみたところ、このままテキトーに進んでいると泥沼になりそうなことが判明した。
そこで取り出しましたるスマホ。
さっそくグーグルマップで見てみると…
おお、この道の先ではないか!
豆腐脳内のあやふやな記憶とは違い、グーグルマップはなんでも知っている。
昼時で家族連れや1人客など常連さんっぽいお客さんたちでにぎわってはいたものの、駐車スペースもテーブル席も空いていたので、落ち着いてメニューをチョイス。
あれ?
コロナ禍前に一度訪れたときにくらべ、メニューがメチャクチャ増えている!
そのなかでも前回いただいた「カオソーイ」は、看板メニューとして燦然と輝くポジションをキープしているようだった。
ランチタイムにはそんなたくさんあるメニューから選ぶことももちろんできる一方、ランチメニューも日替わりで用意されていて、あらかじめたくさん用意しておける分出てくるまでが早く、お値段はお安く設定されている。
カオソーイがランチメニューに入ることがあるのかどうかは不明ながら、この日は「タイカレーのハーフ&ハーフ」、「ガパオライス」、そして「クイッティアオクアガイ」という聞き慣れぬ一品もラインナップしていた。
カオソーイ待機態勢で来店したワタシながら、聞き慣れないメニューも大変気になるところ。
米の麺だというし…
「醤油で下味を付けたやんばる若鶏と幅広米麺センヤイ、地養卵を炒めたモチモチ食感の優しい味わい。 付け合わせのチリソースをかけてスパイシーな味も楽しめます。」
…とメニューで紹介されている幅広米麺センヤイを味してみたい。
というわけでランチメニューからチョイスすることにし、オタマサはガパオライス…
そしてワタシは、件のクイッティアオクアガイ。
どちらにも、ナッツがまぶされたサラダがついてくる。
入店した時から空気はアジアンテイストだったけれど、これにてテーブル上も気分はサウスイーストエイジァン。
ガパオライスは今やすっかり日本でもおなじみになっているから、ワタシですら口にしたことはあるし、家でもちょくちょくオタマサがガパオライスもどきを作ってくれる。
でもこういうお店でいただくと、その味付けはやっぱりしっかりアジアンなんだなぁ、これが。
一方、初体験のクイッティアオクアガイ略してクアガイ、後刻調べてみたところ、この幅広の米麺は場合によっては幅2センチというものもあるそうながら、ここではおおむね1センチほどだった。
見た目はなんとなくきし麺の焼きそばって感じ。
でもそのお味は…
ああ…やっぱりアジアン♪
このエスニック感がたまらない。
米だけにもっちもちで、それでいて米粒ではないから満腹中枢モードが変わるのか、スルスルスル…といくらでも食べられそう。
でありながら、プレ高齢者の胃袋にはなんとも適量で、ほどよい満腹感と得難い満足感に浸ることができた。
これでアナタ、税込980円ですぜ。
そういえば先日、税抜き価格が同じ値段のカレー弁当を買ったような気が…。
お客さんたちはみな馴染みのようで、なんだかその様子は行きつけのそば屋を訪れているかのよう。
近所にこういうお店があって、普段使いできる暮らしって……ああ、うらやましい。
ところでランチメニューにはデザートセットというものもあって、本来480円のデザートを380円でいただけるようになっている。
ただしそれは3種あるデザートのうち、塩ココナッツバニラアイスにだけ適用されるようだった。
塩とココナッツとバニラアイスだなんて、耳にするだけで美味しそうに思えるけれど、だいたい味の想像はつく。
「バンコクの雪山」と名付けられたマンゴーソースのミルクプリンも、当たらずとも遠からず的な見当はつく。
でも「バイン・フラン」という、「エバミルクを使った濃厚なベトナム風カスタードプリン」の場合、わかるのはプリンだけで、そのビジュアルからも味の見当がまったくつかなかった。
セットにはならないものの、せっかくだからなんだかわからないものを頼んでみることに。
そのバイン・フランとは…
プリンの上にミントが載っていて、黒い蜜っぽいところには何かの花弁のようなものが浮かんでいる。
この黒い蜜っぽいものが、卓上のメニューでは日焼けしていたためか赤くなっていたものだから、黒いのが出てきてビックリした。
赤いからこそ味の見当がつかなかったのだけど、黒いとなると、ひょっとして……黒蜜?
実食。
おお…ホントに黒糖だった。
カスタードプリンに黒糖は合うし、濃厚な甘味にミントが混じるとミント嫌いのワタシでさえ思わずミントファンになってしまいそうな見事なバイプレーヤーぶりを発揮している。
とはいえ。
3種あるデザートのうちで、最もオキナワっぽいじゃんこれ…。
後刻調べてみたところ、本家本元のバイン・フランは、コーヒー味の濃い目のキャラメルに、ベトナムコーヒーのようにコンデンスミルクで甘味を加えた蜜をかけていただくんだって。
そういえば、本格的なタイ料理、アジアン料理を作ってくれるサイルーンさんは、たとえばカオソーイもその麺は特注の沖縄そばを使用しているように、随所に沖縄料理とのコラボが見受けられる。
ベトナムのプリンを黒蜜味でいただくのも、そういうことなのだろうなぁ。
…って、実はコーヒーに練乳味だったのに黒蜜と思い込んでいただけだったりして?
そんなこんなで、満足の読谷行なのだった。
しかしメインイベントはここからだったりする。
載せてきたタンクをボートに積む作業を終えて秘密基地に戻ってきた頃には午後も遅くなっていたので、これから何ができるわけでもないから、とりあえず物置の片づけをすることにした。
物置の半分を工房にしようとたくらむ一方、そのために「とりあえず」で置いてあるものはすべてもう半分側にドドンとテキトーに置いてある。
でもこのもう一方の側もちゃんと物置になるよう手を付けるとなると、テキトーに置いてあるものをとにかく整理整頓&断捨離しなくては始まらない。
とにかくなんでもかんでも「とりあえず」なので、処理しようにも時すでに遅く行き場を失ってしまったブラウン管仕様のパソコンモニターまであったりするくらいだから、空間を占めているもののうち半分以上はロクでもないものばかりだ。
なかには、梅干し用のガラス容器に漬けられた、アヤシゲなお酒がいくつもあった。
ここに安置されるようになってからでも15年くらい、作ってからとなると四半世紀くらいは経っているかもしれないそんなお酒など、この先も絶対に飲むことはないだろうから、この際中身は全部捨ててしまおう…
と、フタを開けて流してしまおうとしたところ、なかから漂ってくる香りがどういうわけか…
…美味そう。
さすがにクワの実酒は異臭がしたので廃棄したけれど、こちらはかなりそそられる香りだった。
ハマゴボウを泡盛に漬けたもの、人呼んでボウフウ酒。
今は亡き民宿大城のおじいことヤスオさんが「体にいい」と好んで飲んでいたもので、我々もおじいに教わって作ったものだ。
まだおじいが元気にお酒を美味しく召し上がっていた頃のことだから、「体にいい」と言いながらいつも飲みすぎているから、それは中身が何であれ体に良くないのでは…と笑い話にもしていたっけ。
そんな時代に作ったものだから、いわば相当な古酒ではある。
でもハマゴボウがたくさん漬かっている様子は…
なんだかエイリアンの最終標本のような…。
ところが香りは美味しそう…となれば、これは味してみるしかござるまい。
柄杓はないのでお玉で1~2杯掬い取り、ロックグラスに入れてみる。
はたしてそのお味は?
チビっとヒト舐め。
あれ?
ゴクッとひと口。
あれれ?
アルコールをほとんど感じないんですけど?
もうひと口。
さらにひと口。
あれれれれれれれ?
食後のことなのですでに酔っているとはいえ、これほどアルコールを感じないってことは、ひょっとしてアルコールが飛んでしまっているのだろうか?
すかさずオタマサに味してもらったところ…
「しっかりアルコール度数がある!」
なんと!
まったくアルコールを感じさせないまろやかな口当たり、さすが四半世紀ものの古酒。
ただし。
そこにはジンのような、もっと具体的に言うなら養命酒が作ったジンのような薬草味が。
その雰囲気は、ギリシャのお酒ウーゾ(ウゾ)に相通じるものがあるかもしれない。
なので好き嫌いが別れるところなのだろうけれど、養命酒のジンもウーゾも美味しく飲めたワタシには、おじいの懐かしさもあってとても美味しくいただけた。
オキナワン・ウーゾとして売り出せば、名産品になること間違いなし!
小林〇薬も裸足で逃げ出すほどの効果・効能を列記して、長寿の薬酒として売り出すのだ。
商品名はもちろん……
ウゾ800。
2024年03月27日
名護岳登山・後編。
2024年 3月26日(火) 雨
南西のち北の風 荒れ模様
午前中に前線が通過し、その後北風が強めに吹く予報が出ていたこともあり、連絡船は前日のうちにこの日の運航を朝イチ便のみと決めていた。
朝イチ便が島から出て行ってしばらくすると、予報どおり前線通過。
通過時のひと雨だけで済むかと思いきや、その後しつこく雨が降り続くまま、風は冬の風に変わった。
という予報が先日から出ていたからこそ、昨日のチャンスを逃さなかったクロワッサン登山隊。
無事登頂を果たした我々だというのに、いまだ目的が達せられていないという、その目的とは?
実は昨年、とある方から名護岳にかなり興味深い植物が観られるというお話を伺っていたのだ。
それも、奥深い山中の人跡未踏級の場所ではなく、登山道沿いにフツーに観られるという。
そのような植物など沖縄県内で観られるとは思っていなかったこともあり、オタマサは随分食いついてお話を伺い、いつの日か名護岳までその植物探査に乗り出そう!と心に決めていたのである。
それもあっての、ホワイトデー記念登山の目的地となった名護岳。
しかし本部富士に比べれば遥かに時間がかかる頂上に達するも、道中その植物の姿はなかった。
そもそも登山ルート自体、地図を見ながら歩いているはずのオタマサが頭の中で描いていたコースと全然違っていたりする。
「このあと沢伝いに歩くルートになるから、きっとそのあたりで観られるはず」
と言いながら登っていたところ、頂上まで大まかに2ルートある登山ルートのうち地図上左側のルートに沢があるのに、我々が昇っているのは右側のルートなのだから、途中に沢などあるはずはなかったのだ。
それに気がついたのは頂上まであとひと息という地点の、その後頂上まではもう一度降りてまた登らなければならないという意味で、ほとんど詐欺のようなプチ頂上的ピークのところ。
とはいえ、そもそも沢付近で観られるものなのだろうか。
名前から想起されるイメージからすると、ジメジメしたところに生えていそう、と勝手に思い込んでいるだけなのでは…。
ワタシもその植物の名前は知ってはいても、どういうところでどのような塩梅で観られるものなのかということについてはまったく知らなかったし、そもそも姿かたちもうろ覚えだから、事前に名護岳で件の植物をご覧になっている方々のサイトをチェックしてはいた。
その際拝見した画像を見るかぎりでは、もっと日当たりがあって乾燥しているっぽい場所のようで、うっそうと木々が茂る沢近辺というイメージとは全然かけ離れている。
また、周辺を木々に囲まれ、落ち葉が降り積もるような場所でもなさそうだった。
となると、フツーに登山道を歩いていたのでは見つからないんじゃ?
しかしそこはオタマサのこと、思い込んだらリセット無しで、行くが女のド根性。
そもそもオタマサなど「観たい!」と言っていたわりにはほぼほぼノーリサーチで、いくらなんでもそれではナンだからせめて現地での様子くらいは見ておけば…
と、ワタシが勧めて初めて多少チェックをした程度でしかない。
というわけで、地図は読めないわ、目的の植物の居場所の見当もつかないわ、という状況のまま、クロワッサン登山隊は頂上から下山を開始したのであった。
本来行きにたどるはずだったルートで下山し始めると、ようやく件の沢伝いルートにたどり着いた。
細い沢を渡るところには、沈下橋的なコンクリート製の構造物がある。
たしかに周辺はジメジメしているし、コケ類シダ類ならワーイワーイ!ともろ手を挙げてヨロコビそうな環境ではある。
でもネット上の画像を見たかぎりでは、こういう場所ではなかったんだけどなぁ…。
というワタシの声には聞く耳持たず、下映えの下などをチェックするオタマサ。
目当ての植物は、ポツンポツンと一人寂しく野辺に佇んでいるわけではなく、まるで分裂増殖していくソフトコーラルのように、ひとッところにたくさん生息している雰囲気だった。
なので、ひっそり何かの陰に…というイメージでもなかったけどなぁ…。
なんとなく見つからなそうな気配が濃厚だったけれど、そこは非日常の環境のこと、やはりこういうところで眺めるヒカゲヘゴはかなり雰囲気がある。
そうこうするうちにやがて沢伝いルートが終わり、いったん車道に出ることとなった。
この車道をそのまま歩いて行ってもスタート地点まで帰れるようながら、どうせだったら山の中を歩いてみたいので、車道から再び山中にヒョイと入れるルートをたどることにした。
その時!
そうそう、画像で観たのはこういう乾燥して開けた感じのイメージだったんだよ、その植物が写っていたのは。
探すんだったらきっとこういう場所のはずよ、沢ではなくて…
…と言いながら、山道の法面にふと目をやると、
発見!
ゴールまであとわずか、ほぼほぼ散策も終盤となり、今回は目的達成ならずだったか…と諦めかけていたところへ、9回裏に飛び出たサヨナラ満塁ホームラン級の大逆転が待っていた。
こんなところに群生してました、その植物たち。
なんだか人けの無い神社の賽銭箱に投げ入れられている10円玉のような雰囲気ながら、この植物こそ、知る人ぞ知るコモウセンゴケである。
食虫植物というジャンルでもお馴染みのモウセンゴケの親戚、コモウセンゴケ。
※追記
恥ずかしながら我々は…というかオタマサは、その名前からずっとコケ植物であると思い込んでいたのだった。
コケ植物=ジメジメしたところ…ということで沢伝いを要チェック、ということだったのである。
なので序盤から目的の正体をボカすために「植物」と書いてあるところは、ホントは「コケ植物」と書いていたのだけれど、重大なる誤解のご指摘を受け、ここに訂正した次第です。
※追記終わり
その姿をグッとクローズアップしてみよう。
なにやらオニヒトデの赤ちゃんのようにも見えるけれど、このトゲトゲのように見えるものの先には…
…露が玉になっている。
食虫植物と称されるものには、フタをして閉じ込めるもの、葉と葉を合わせて檻のようにしてしまうものなどいろいろあるなか、このモウセンゴケの仲間たちは、このようにトゲ状の先からネバネバした液体を分泌し、そうとは知らずに立ち寄ってきた小さな虫たちをくっつけて身動きできないようにしてしまうという。
この玉の露がどれくらいネバネバしているかというと…
こんなに糸を引くくらいネバネバ。
小さな虫だと抵抗できなくなるのも無理はない。
撮っているときにはまったく気づいていなかったのだけど、後刻PC画面で画像を見ていたところ、実際に捕獲されている小さな虫も写っていた。
アリかなにかかな?
ところで、見事に赤い色をしているコモウセンゴケながら、これは気温が低い季節の色味だそうで、夏場は緑色をしているそうな。
また、それぞれのミニミニオニヒトデからは、それぞれ1本ずつ花芽がピンと出ていた。
どうせだったら咲いているところも観たかったなぁ…
…と思っていたら、
咲いているものもあった。
なんとも可憐な花だこと…。
それにしてもコモウセンゴケ、オタマサによるとその昔尾瀬で観たモウセンゴケは、遊歩道から眺めるようになっていることもあり、天然自然の生息状態であったらしい。
ところがここのコモウセンゴケときたら、なんとも無造作にテキトーに生育している。
というか、法面だからこのように無事でいられるだけで、路上のものなんて大勢の登山者に繰り返し踏みしだかれているからだろう、無残な姿を晒していたほど。
県内じゃけっこう珍し系の植物のような気がするのに、ほぼほぼ路上の雑草と同じ扱いらしい…。
ともかくそんなわけで、慧眼なるワタシの起死回生の発見により、登山の目的はここで見事に達せられたのであった。
バレンタインデーの返礼がなんちゃって登山だなんて、ショボい、ケチ臭い、安上り、と、いらざるところでブツブツ文句を言っている方がいらっしゃるかもしれないけれど、このヨロコビの顔を見ればグゥの音も出まい。
チャレンジ1度目にして、鮮やかに期待に応えてくれたコモウセンゴケに乾杯。
※私も見たい!という方へ。
なにもわざわざ頂上まで行く必要はありません。
ホント、拍子抜けするくらいの場所で観られますから。
2024年03月26日
名護岳登山・前編。
2024年 3月25日(月) 曇りのち晴れ
南の風 波あり
ひと月に渡って進めていた事務シゴトがようやく終了する予定のこの日は、そのために本島へ出なきゃならなかったのだけど、メインイベントは他にあった。
遅ればせながらの、ホワイトデー記念登山である。
前回はバースデー記念登山で本部富士登頂を果たしたクロワッサン登山隊、今回はホワイトデー記念登山でどこを目指すのか。
それは……名護岳。
これまたオタマサはかつて一度登ったことがある山ながら、なにしろ15年くらい前のことなので、記憶容量とメモリーの性能的に、ほぼほぼ初めてと大して変わらない。
そして今回の登山には、登頂よりも重大な目的があるのだ。
オリオンビール工場の近くからまずは車道を登り始めるコースもあるのだけれど、それだとフツーにただ歩くだけでも3時間近くかかるそうなので、日帰り予定では少々きつい。
そこで名護青年の家からスタートという、前回オタマサが歩いた短縮コースをたどることにした。
青年の家(青少年の家)では駐車場を快く利用させてくれるほか、入山する人数と下山予定を記入すると、チラシ程度の簡略なモノながら登山ルート地図まで渡してくれる親切ぶり。
ペーパーレス社会のこと、そのうちQRコードをスマホでダウンロードしてくださいなんて日が来るかもしれないけれど、そんな日に生きていたくはないなぁ。
さてさて、名護青年の家の場所は覚えていたオタマサながら、さあそこからスタートという段になって、早くも足取りがおぼつかない。
簡略地図を手にしながら歩いていくと、キャンプ場を通り抜けた先に登山道入り口があった。
ただ、どういうわけか出入口がネットで封鎖されている。
早くもオタマサ化するオタマサ。
しかしこの封鎖は、↓こういうことだった。
ハブ除けネットだったのだ。
なので登山道利用者は、出入りする際にいちいちこのネットを開閉すべしということになっていて、その開閉の仕方が写真付きで説明されていた。
一般的沖縄県民に比べれば遥かにハブ経験値が高いと思われる我々からすると、このネット扉などハブはものともしないような…。
ネットの扉の先は、いきなり亜熱帯の登山道。
序盤はけっこうな隘路で、鉄砲水でも来たらあっという間に吹っ飛ばされそうな、ほとんど溝状態の道だ。
場所によっては靴の幅くらいしかない逆平均台状態になっているところもあった。
そうかと思えば、しっかり拵えれた階段も。
この階段用の資材をいったいどうやって運んでいるんだろう…と思うと気が遠くなりそうな数の階段が、坂道になるたびに出現する。
なかにはかなり急な階段もあって、そういう場合にはご丁寧にも手すりまで設けられているんだけど、先を見るとあまりにも長くて、ただ登ることを考えただけで気が遠くなってしまった。
頂上までは、この階段や登山道が上り下りしながら繰り返し続く。
うっそうと茂る木々からは、えもいわれぬ花の香りがたちこめている。
柑橘系の花々とはやや異なるその香り、いったいどの木の花が放っているのだろう…と気にしていたところ、路面に花が大量に落ちている場所があった。
ひとつ手に取って香りを試してみたところ…
…あ、この香りだ!
帰宅後調べてみたところ、この花はエゴノキの花らしい。
花が咲いている画像では、まるでプチトマトが生っているかのごとくズラリと花が密集勢揃いしている。
こんなに花がたくさん咲けば、そりゃ周辺はこの花の香りに満ちることだろう。
勝山ではシークァーサーがそれだったように、エゴノキはこの山の春の香りなのかも。
香りのほか、沿道には興味深い動植物がポコポコ現れる。
キノボリトカゲも、大小各サイズ各カラーがそこかしこで姿を見せてくれた。
↑これは尻尾の先まで5センチくらいのチビターレ。
もちろんオトナもいる。
ただしキノボリトカゲたちは「キノボリトカゲでござ~い!」とアピールしているわけではなく、どちらかというと人知れず静かに潜んでいるので、明後日の方向を見ていると、その存在に気がつかないかもしれない。
ちなみに↑このときはたまたまそんな感じに写っているだけで、オタマサは記憶性能は劣悪でも発見機能は優れているから、キノボリトカゲがいたらたちどころに見つけることができる。
地味なところで今回特徴的だったのがこちら。
カタツムリと同じく陸生の、キセルガイの仲間。
あいにく乾燥しているから貝から身を出しているものは1匹もいなかったけれど、やたらと数が多く、木の幹に何匹もついていることもあった。
恥ずかしながらワタシは初認識だったのだけど、こんなにたくさんいるのにこれまで知らなかったということは、環境を選ぶということなのだろう。
木々がうっそうと茂っているからか、チョウの姿はそれほど目立たなかったものの、初遭遇となるチョウもいた。
(おそらく)クロセセリ。
水納島で観られるセセリチョウの仲間といえば地味地味ジミーな黄土色っぽいものばかりだから、シブく黒でキメている姿がやたらとかっこよく見えた。
そんなクロセセリもさることながら、ここでさらに注目すべきは、クロセセリが吸蜜している花。
かつて喜如嘉の七滝で見た、アカボシタツナミソウだ。
いったいこの花のどこの何が赤星なのかいまだに不明ながら、名護岳を代表する草花のひとつなのである、とオタマサは言う(ホントかウソかは知らない)。
ただし前回登った時に比べると、まったく目立たなくなっているとも言っていた。
知っているヒトにはツトに有名でも、知らないヒトにとっては名もなき草花たちは、人知れずひっそりと姿を消していく。
実が目立っているものもいた。
重さで花芽が垂れ下がっていたほどのこの実は、(おそらく)ノシランの実。
園芸植物にもなっているようだから、きっとご存知の方も多いのだろう。
頂上付近の開けたところでは、こういう花も咲いていた。
この花が咲き終わり、実が膨らんで熟すと…
イチゴちゃんになる。
これはおそらくリュウキュウバライチゴ。
子供の頃、こういうのを草原で見かけると「それは毒である」と近所のニィニィたちに教わったものだったけど、リュウキュウバライチゴは食用OKだそうで、野山に生きる方々はこれでジャムを作ったりするそうだ。
それを知っていれば試食したろうに、子供の頃の教えが…。
三つ子の魂百までとはよく言ったものである。
< そういう意味でしたっけ?
そんなこんなしながらなのでやたらと時間をかけつつ、ついに頂上到達!
~♪ 僕は空になるぅ~~~(ダーバダーバダーバダーバダーダーダー…) by さだまさし
頂上を示す標識の根元には…
「よく頑張りました」
と、まるで通知表のような誉め言葉が。
この齢になるとヒトから褒められることなどそうそうないので、ちょっぴり心をくすぐられた。
でも345メートルで空になるも何もないか…。
この名護岳から西を見ると、ちょうど本部半島の付け根から半島の先側を見渡すアングルになる。
なので視界の右端は羽地内海とその先に古宇利島が…
そして中央には名護市街と本部半島の山々が…
左側には名護湾…
…を一望できる。
そんなベルベデーレを一望しながら頂上でやることといえば…
お弁当♪
今回も仲宗根ストアで買ってきたふみちゃん弁当のカキフライだ。
山を登るたびにカキフライ弁当を食べていると、なんだかワタシにとっての牡蠣は「山の幸」になってしまいそう…。
さてさて、いろんな動植物にも会えたし、登頂には成功したし、美味しいお弁当も食べたとなれば、これにて目標達成、一件落着…
…というところながら、実は今回の名護岳登山の目的は、頂上に至ってもまだ達成されてはいなかった。
その目的とは?
そしてその結果は?
後半へ続く。 by キートン山田
2024年03月25日
飛べ飛べはばたけ紅孔雀。
2024年 3月24日(日) おおむね晴れ
南の風 波あり 水温20度
午前中は予報よりも風は吹いておらず、今の時期にこれ以上を望むとバチが当たるってくらいの海日和。
ただし日曜日ということもあって、洋上には早くも9時頃にはダイビングボートが何隻も浮かんでいた。
仕方なく、前日と同じ場所に。
前日と同じ場所となれば、再びオナベケラマをチェックしに行ってみよう。
いきなりヘラヤガラに食われちゃった…なんてことはなく、この日も健在だったオナベケラマ、なんとなんと、背ビレ尻ビレをすぼめるこのポーズになって…
…やる気モードのオスに特有の、急降下泳ぎを繰り返していた!
ロンリーだから相手はキンギョハナダイだったとはいえ、その行動は完全にオスのそれだ。
オナベケラマ、相手が見つかるといいね…。
もう少し深いところには、カシワハナダイ率が高い小さな根がある…
…はずだったのに、ああなんてことだ、砂にほとんど埋もれてしまっていた。
それでも残存部隊ががんばっていて、オスもしっかり興奮モード。
やっぱきれいだわ、カシワハナダイ。
その同じ根ではキンギョハナダイもいるんだけど、なにぶん根がほとんど砂に埋もれているものだから、当然ながらその数は少なく、オスは1匹しかいなかった。
ただしそのオスの傘下にいるはずのメスのうち、1匹だけ…
…背ビレがオス状になりかけていた。
ちなみにキンギョハナダイのメスは、背ビレを広げても…
…どこもピンと伸びたりはしない。
背ビレが1本ピンと伸びているのは、ようするにオナベちゃんキンギョハナダイ、略してナベキンなのだ。
だからといってこのナベキンがそのままアッサリオスになるのを、現在がんばっているオスが指をくわえて見ているはずはなく、他のメスに対するのと同じように、眼前に急降下してきてはブイブイとアピール泳ぎをして去っていく。
ナベキンとしても、伸び始めている背ビレをオスの目が光っているところで気安くピンと立ててアピールするわけにはいかないらしい。
でもここというときにはやはりヒレを広げるようで、接近したカシワハナダイ相手にはパッとヒレを広げて示威モードになっていた。
少ないといってもメスは20匹ほどいる。
そこにオス1匹だといくらなんでも身が持ちそうにないので、おそらくこのナベキンは順調にオスになることだろう。
その後浅いほうへ戻りつつ、転石が多いところを徘徊していたときのこと。
クロヘリイトヒキベラに混じり、ゴシキイトヒキベラの姿も見えるとはいえ、全体的にみなさんサイズが小さく、特にやる気モードになっているわけでもないからいまひとつパッとしない。
なのでフツーだったらそのままスルーするところ、小ぶりなイトヒキベラたちに混じって、一番星のようにキラリと光るこの方の姿が。
クジャクベラ!
クジャクベラは水納島でそうそう出会える魚ではない。
いたとしても深く、しかも立派なオスとなるとたいてい1匹だけ。
かつて1シーズンだけ水深20メートルそこそこにオスが何匹も…ということがあったけれど、いずれにせよ出会えるのは岩場のポイントでのことだった。
砂地のポイントとなると、後刻調べてようやくクジャクベラとわかる幼魚がせいぜいだ。
ところがこの日まさかの砂底転石ゾーンにいたクジャクベラは、サイズこそ4センチほどとかなり小ぶりながら、背ビレにはオスの特徴でもあるヒレの伸長がピンピンピンと3本も。
いかに小ぶりとはいえ、砂地のポイントでオスフォルムのクジャクベラに会えるとは。
体感水温が、20度から一気に20.5度くらいに跳ねあがった。
< ほとんど変わんないじゃん…。
いや、ずいぶん違うんですってば。
もっとも、ワタシのココロはホットになっても、周りにメスの姿があるわけじゃなし、オナベケラマと同じくロンリーライフを送っているスモールクジャクベラ、この先どうなっていくんだろう?
立派なオスに成長して…
@14年前
…↓このような婚姻色の輝きを見せてくれたらステキだなぁ…。
@14年前
がんばれ小さなクジャクベラ。
2024年03月24日
ケラマナベ。
2024年 3月23日(土) おおむね晴れ
南の風 けっこう波あり 水温20度!
春四番五番がなかなか強めに吹き続けているものの、島の桟橋側は波を避けられる風向きだから、わりといいお天気とも相まってなかなかの海日和。
というわけで8日ぶりに海へGO!
時々時化るとはいっても時すでに3月も後半、このところ晴れ間が多いことだし、水温もちょっぴり上昇傾向かな…
…と期待してドボンとエントリーしてみたらば、ダイコンの水温表示は今オフ最小値を記録。
20度はさすがにチベタイ…。
我々が「がんばるオジサン」と呼んでいるポイントは、干潮に向かうタイミングになるとリーフ内から冷たい水が流れ出てくることもあり、毎年水温最小値を示すのはこの場所だ。
だったら干潮に向かい始めているこの時にはそこを避ければよかったところながら、諸々の事情で選択肢がなかったのだった。
年間最低水温を記録しつつも、海中では春らしい光景もそこかしこで観られるようになっている。
ふと目をやった砂底で、コナユキツバメガイがくんずほぐれつ状態で交接団子になっていた。
春の南風に誘われて、ウミウシたちの気分も浮き立ってくるのだろう。
このように、南風に誘われて交接するウミウシたちのことを、医学用語では
南こうせつ
という。 < よっ、ケーシー高峰!
春っぽいといえば、魚たちのチビターレたちも、このところジワジワと増えてきている。
オレンジ色の小さなキンギョハナダイのチビたちが各根のそこかしこで目立ってきているほか、アマミスズメダイのチビターレの姿もこのところ目につくようになってきた。
チビターレといえば初夏というイメージがあった当時は、3月初旬には早くもチビチビが目立ち始めるセナキルリスズメダイを観て不思議に思ったこともあったけれど、2月のうちに繁殖行動&産卵していることを知った今では、この時期にチビチビだらけになっているのもお馴染みの光景だ。
赤い海面をバックにしているチビチビがお利口さんだったので、しばらくカメラを向けていたところ…
波動砲発射。
可憐な乙女も、アクビをするとなかなか強烈な顔になる…。
砂底では、ミスジスズメダイのチビチビの姿も増えてきている。
ミスジスズメダイはチビに限らずオトナもすぐに岩の下に逃げてしまうほど警戒心が高いのだけど、このチビチビはかなりのお利口さんだった。
これでおそらく1センチほど。
ちなみにオトナのミスジスズメダイは…
…体の黒帯模様が腹ビレまで伸びていないから、腹ビレに黒が入っていればチビターレということがわかるようになっている。
その昔初めて知った時はけっこう意外に思ったことに、このミスジスズメダイはルリスズメダイ属なので、セナキルリスズメダイとは親戚くらいに近い仲間だったりする。
そのルリスズメダイはリーフ内でしか観られず、リーフの外の青いスズメダイといえばソラスズメダイになる。
ただしソラスズメダイは死サンゴ石がたくさん転がる浅場の転石帯に集まっていることが多く、ルリルリのようにサンゴの枝間に群れ集うことがほとんどない。
ところがどういうわけか、たまにサンゴの上で集団になっていることもある。
この日もその「たまに」の日だった。
このサンゴはいつも目にしているけれど、普段はこのようにソラスズメダイが集まっていない…
…と思うのだけど、どうだったっけ。
シンジツはともかく、これがリーフ内ならミスジとルリルリってところ、ミスジリュウキュウスズメダイとソラスズメダイのコラボ風景が個人的に新鮮だったので、動画でも撮ってみた。
フタスジリュウキュウスズメダイが群れているあたりも、リーフ外の印。
こういうところにソラスズメダイが集まるのは、春だから…ってこともあるのだろうか。
一方砂底の根では、本来なら集まって暮らしているはずの魚が、他の魚たちに混じりながらも種類的にはたった1人で寂しそうに暮らしていた。
本来群れていたものが激減して1匹になってしまったわけではなく、水深20メートルに満たないこの根にはキンギョハナダイは群れていてもケラマハナダイはいなかったから、何かの拍子に流れ着いてそのまま育ったロンリーケラマなのかもしれない。
一見すると立派に育ったメスに見えるこのケラマハナダイ、その「立派」がかなりの「立派」だったのでずっと観ていたところ、(個人的)衝撃的ジジツに気がついた。
このケラマハナダイ…
…オナベちゃんだったのだ。
…って、ジェンダー問題が声高に叫ばれている今の世の中で、こんな単語を安易に使っていいのだろうか。
まぁ、魚たちは文句は言うまい。
背ビレのポッチリマークに気づいてみれば、そういえば顔のあたりもオスっぽい色味になりかけている。
ちなみに背ビレのポッチリマークは、ザ・オスがコロコロ濃淡を変えるのと同じく、このオナベケラマも出たり出なかったりするため、いつでもポッチリが目立っているわけではない。
ただ、ケラマハナダイのザ・メスは、アクビでもしないかぎりこのように各ヒレを(文字どおり)雄々しく全開にすることなど滅多にないのに対し、このオナベケラマは頻繁にこのようにヒレ全開ポーズになっていた。
おそらくメンタル的には、ひと足早くすっかりオスになっているのだろう。
これまでスミレナガハナダイやキンギョハナダイではときどき見かけたことがあったオナベちゃんながら、ケラマハナダイでは記憶にあるかぎり人生初と思われる。
この調子でザ・オスに変身しきるのか、それとも他にメスの姿が無くアピールする相手がいないところでザ・オスになっても仕方ないからこのままでいるのか。
オナベケラマの今後に要注目だ。
…あっさりヘラヤガラに食べられちゃったりして。
2024年03月23日
花2題。
2024年 3月22日(金) 晴れ
南東の風 波あり
午前中は秘密基地で諸々の作業をし、昼過ぎに島に戻る予定にしていたこの日、気づかぬうちに携帯電話に着信があったらしく、青いLEDがピコピコ点滅していた。
たしかめてみると、水納海運からだった。
気象予報的に午後から危うくなる恐れはないし、そもそも我々は自分たちのボートで来ているから連絡が入ると同時に戦慄が走ることもなかったものの、電話で伺った話はなかなかオオゴトだった。
我々が現在島に居ると思っていた事務の方が、島から出る予定はあるかと問うので、今現在本島にいる旨伝えると、では帰る予定は?と尋ねてくる。
どういうこと?
なんとなんとこの日の朝、連絡船のエンジントラブルにより運航できず、この日はお客さんを運んでいないという。
どうしても島に戻らねばならないヒト、本島に出なきゃならないヒのためにボートをチャーターしたそうで、そのための連絡だったのだ。
自分たちのボートで出てきているから心配御無用と伝えつつ、復旧の見込みを訊ねてみると、このあと専門のスタッフが来て原因を調査&修理することになっているという。
3週間に渡るドックから先日ようやく戻ってきたばかりだというのに、なにやってんだか作業スタッフ…。
まぁ自動車でも、車検に出したら不調になったという話はよくあることだから、ようするにいじくったらリスクを覚悟しなければならないということなのだろう。
美容のためにあっちゃこっちゃいじくるヒトだらけになっているけど、きっとリスクもあるのだろうなぁ。
それはともかく、そろそろ4月になろうという頃にエンジントラブルで欠航だなんて、大丈夫か連絡船…
…と思ったら、1時前に船長から連絡があり、復旧したので午後から通常運航とのこと。
よかったよかった。
話は変わる。
年がら年中花が咲いているイメージがある亜熱帯にも、季節ごとに咲く花がちゃんとある。
メジャーどころは園芸でも観光地でもその名を轟かせている一方、人知れずそっと咲いては散っていく野辺の花もある。
ハマウドの花もそのひとつ。
ウドの大木のウドがその名に付くだけあって、けっこう大きく育つ海岸植物、ハマウド。
下生えの小ぶりな状態からスクスクニョキニョキ育ち、この季節に雪を頂いたように花を咲かせる。
ひとつひとつの花はとっても小さいけれど、それがモコモコと密集し、そのモコモコもまた大集合するため、全体が白く見える。
この時はこれから咲く花と終わりを迎える花の端境期だったこともあり、全体的に黄色っぽく見えていたけれど、ほんの数日前にジョギングで通りかかったオタマサによると、ホントに真っ白に見えていたそうだ。
ハマウドも食用に利用することが可能のようながら、昔の島の皆さんが食べたという話は聞いたことがないし、我々も試したことはない。
なのでその味は不明ながら、少なくともその小さな花々は、ハナムグリにとって御馳走のようだ。
花といえば。
先日カメさんたちのエサ採りをかねて昼の散歩をしていた際、クワの葉の奥の藪からかぐわしい香りが漂ってきた。
いわゆるひとつのシトラスの香り、その香りの元に目を向けると、こんな花が咲いていた。
咲いてから時間が経つと花弁がクルッ…と巻くのが特徴らしい、小さな白い花。
でも同じ木でありながら、花は白だけとは限らないようだ。
さらに時間が経つと、色が変わっていくのだろうか?
木自体はけっこう立派に育っているのにこれまでまったくその存在に気がつかなかったのは、藪の奥の奥に生えているから。
現在切り開かれまくりの牛小屋方面といえど、依然として藪の中のままにもかかわらず今回気がつくことができたのは、かぐわしくも爽やかなその香りのおかげだ。
はてさて、この木なんの木気になる木。
さっそくグーグル先生に伺ったところ、たちまち正解を教えてくれた。
その名もトベラ。
けっこう日本の広範囲に渡って分布しているトベラは園芸方面でもけっこうメジャーな植物だそうで、庭木や街路樹、公園などでも広く利用されているという。
昆虫のような語感もあるその名は、扉に由来しているのだそうだ。
節分の日に戸に飾るイワシと同じく、このトベラも節分の際に魔除け鬼除けのために戸、すなわち扉にはさむ飾る習慣があったことから、トビラ→トベラと転訛したそうな。
鬼相手にイワシというのもいまひとつピンとこなかったけど、こんなかぐわしい香りの植物を利用したら、かえって鬼がやってくるんじゃ?
…と思ったら、それは大きな誤解だった。
扉にはさむのは花ではなく、枝葉なのだ。
花はシトラスの香りだというのに、枝を折ったり葉を割いたりすると、鬼も退散するほどの悪臭を放つというのである。
最も凄まじいのは根だそうで、そういったものを扉にはさみこんでおけば、いかな鬼でも入り込めない…ということらしい。
このエリアがまだ藪のままでいるのは、トベラのおかげで重機も入り込めなかったからとか?
ちなみにこのトベラ、学名は Pittosporum tobira だそうで、「トビラ」がそのままラテン語名になっている。
なんで学名がトビラで、和名は訛ったトベラなんだろう?
さらにちなみに、沖縄で「トービーラー」というとまったく違う生き物になるので、発音にはくれぐれもご注意ください。
2024年03月22日
ノスタル爺と地雷ドライバー。
2024年 3月21日(木) 晴れ
北の風 うねりあり
前回検査に出していたタンクの受け取りと、さらに検査に出すタンクの搬送のため、この日再び北谷へ。
ふた昔ほど前にアルミタンクの合金成分に起因する劣化事故が相次いだため、その後タンクに使用されるアルミ合金の規格が変更されたのと同時に、日本では5年に一度の耐圧検査の他に、1年に1度の目視検査、すなわちバルブの取り付け口のねじ切りのところにヒビが入っていないかどうかをはじめとするチェックが義務づけられた。
目視検査など、タンク内の空気を全部抜いてバルブを外し、蛍光灯やLEDのライトを中に入れて見れば誰でもできることなんだけど、残念ながらワタシには、その確認を済ませたことを証明する刻印を入れる資格がない。
そしてその刻印がないと、チャージを依頼しても充填してもらえない。
となると、毎年検査に出さねばならない。
心無いダイバーのなかにはギリギリのギリまで吸って、エキジット後にレギュレーターのダストキャップの水気を吹き飛ばすほどの圧力すらなく、ちょっと疲れた午後3時のOLのため息くらいしか出てこない方もいらっしゃるけれど、それがタンクにどれほど害を与えていることか。
実際に、中にかなり水が入ってしまって内部が腐食し、タンクとして使えなくなっている…というケースだってあるのだ。
バルブだけでも新調すれば1セット3万円ほどかかるタンクのこと、まるごと1本となるといくらになるか、一度冷静に考えてみていただきたいところだ。
検査自体も、1本2本ならともかく、手持ちのタンクをすべて検査するとなると、その費用はなかなかバカにならない。
もっとも、耐圧検査に比べればそれほどでもないし、昨年からお願いしているところでは、事前に自分でバルブを外してネジ部分のお掃除をしてOリングも取り外しておけば、1本あたり300円も割引してもらえるという。
30本以上となれば、これは居酒屋で生ビールをいくらでも飲めるほど浮くことになるではないか。
そこで今回は、事前にすべてのタンクのバルブをはずしてゴシゴシお掃除。
一気に30本もやったら人生的疲労を覚えてしまうから、毎日5~6本ずつチョコチョコ続け、なんとか生ビールたらふく権を手に入れたのだった。
今回は中南部にそれ以外の用事は無かったので、タンクの積み下ろしを終えた後はすぐさま北上。
でも時間はたっぷりあるから、下の道&バイパス不使用のルートにすることにした。
お天気のいい日の海沿いの道は、「ああ、オキナワ!」という雰囲気に満ちている。
長年暮らしている身にはあそこにもここにも文句を言いたくなる現在の沖縄県ながら、卒業旅行で来沖しているっぽい若者たちにとっては超大当たり。
きっと彼らにとって、いつまでもココロに残る旅行になることだろう。
そんなグッドコンディションのドライブ、先日紹介した受験の際のバス話の記憶をたどるため、多幸山のグニャグニャ道を走らせてみた。
近年の沖縄本島では、ちょっとでもヘタってきたらたちまち再舗装されるし、すこしでもRがきつければすぐさま脇にまっすぐな道を拵えるので、車など全然通らないところでさえ、無駄と言っていいほどに道路はいつも整備されているのが当たり前の景色になっている。
ところが多幸山のグニャグニャ道は、なんだか昔のまんまのイメージ…。
道は相変わらずグニャグニャだし、道幅は狭いし、路面は20世紀の昔もかくやというほどにヘタっている。
なんだかノスタル爺。
昔の沖縄県の道路なんて、あちこちデコボコだらけで路面は太陽熱でアスファルトがツルツルになっていたために、ライダーさんたちにはかなりデンジャラスな道路…というのがフツーだったものなぁ。
国頭の田舎でさえいつも新鮮アスファルトの道路が当たり前になっている現在では、むしろレアなんじゃなかろうか、多幸山コース。
ただ、受験生時代にバスに救われたのがホントにここだったのか、という自信はかなり低くなってしまった…。
ここから琉球村を過ぎ、国道58号に出てから目の前に見える西海岸の景色に、今さらながら驚いてしまった。
ワイキキビーチですか、ここ?
…ってほどに、ずっと奥まで海辺はリゾートホテルだらけ。
とはいえ近年の旅行者にとってはこの風景こそが当たり前だから、これが「ザ・オキナワ」なのだろう。
あ、でもカーナビで一路北上するヒトたちの多くは、沖縄自動車道でまっしぐらだから、案外この眺めをご覧になっている方の割合は少ないのか?
眺めといえば、時間に余裕があるドライブなら、もちろんのこと高速道路ではなく下の道。
そして、前回も触れたように、バイパスははずしたほうがいい。
おそらくカーナビで美ら海水族館を目指すとなると、まちがいなくそのまままっすぐバイパスを行けってことになるんだろうけど、旅行中に「沖縄感」を味わいたいのであれば、それぞれ名前が付けられている旧道のほうが断然オススメだ。
昔は本道だった海沿いの58号線は、今では脇道になっているから、ボヤボヤしているとスルーしてしまうのでお気をつけください(これもある意味「自動の脅威」かも?)。
そうそう、カーナビといえば。
外国人旅行者はやたらと増えているし、春休みということもあって、3月は本部町内でさえやたらとレンタカーが多い。
レンタカーが消え去っていたコロナ禍中が、いかに夢のような世界だったかがよくわかる。
で、そのレンタカー、不慣れな土地で車を運転する苦労があることはわかるんだけど、カーナビに縛られているヒトがあまりにも多い気がする。
例えば本部大橋の北詰めから瀬底島方面に向けて行く場合、直進するなら右車線を走っていなければならない。
ところが不慣れなレンタカーは、それ以前の2車線道路で左車線のまま三叉路にたどり着く。
すんなり右斜線に入れればいいものの、信号のところでようやく気づくヒトも多く、するとそこで右ウィンカー点灯。
右車線を行く車はなかなか途切れず、右車線に入りたいレンタカーは身動きできず、左にすんなり曲がりたい後続は無駄に渋滞…。
そういう場合に直後にいたりしたら、すぐさまスタスタ前の車の運転席の窓まで出向きヒトコト言いたくなる…のをグッとこらえなきゃならなくなるから困ったもんだ。
そもそも、そこでなにがなんでも右車線に入らなかったら、アンタは死ぬのか?
カーナビに頼っているなら頼っているで、そこは仕方なく自分がいる車線どおりに左折して、その後再びリカバリーしてくれるカーナビの指示に従えばいいだけじゃないの?
何が何でもカーナビの指示に従おうとするものだから、交通量が多い道路にもかかわらず、通り過ぎた道をバックしてくるレンタカーもよく見るものなぁ…。
そういえばこの日も、58号線から右折して美浜のあたりに入ろうとしていたとき、右折の矢印が出ている際にまだ矢印が出ているにもかかわらずストップしてしまい、そのまま微動だにせず赤に。
その後青になっても動く気配がなく、再び右折矢印が出てもビクともしないレンタカーがすぐ前に停まっていた。
コイツは……
ヤバいかも。
あおり運転など見るからに危険なことをするドライバーは問題視されることが多いけれど、世の中には陰湿なキチガイドライバーも多く、片側1車線の道で後続に5~6台続いているというのに、時速20キロくらいでノロノロと走らせている車がいたこともあった。
それはレンタカーじゃなかったから、最初はきっとおじいがヨタヨタと走らせているんだろう、それならそれで、ちゃんと高齢者マークを付けなきゃ…
…と思いながらガマンしていたところ、その車がようやくコンビニに入ろうと右折した際、通りすがりに運転席を見てみれば、なんとなんとまだ20代くらいの若い男性ではないか。
この場合のノロノロ、ワザとですよね?
美浜入り口でのレンタカーも、そうやって後続が困ることを楽しんでいるキチガイかも。
そんなヒトにかかずらわっている場合ではないので、直進車線が途切れたチャンスに車線を変えて、次の信号で右折することにしたのだった。
ワタシの後ろに続いていた方々も、おそらくそうするほかなかったことだろう。
なんだったんだ、あの車…。
ただ車を走らせているだけで思い掛けない地雷がそこかしこに潜んでいる、なんともサバイバルな世の中。
他に誰もいない見通しのいい直線道路で80キロを越したからといって検挙するだけではなく、こういう地雷ドライバーも積極的に取り締まっていただくよう、沖縄県警には強くお願いしたいところだ。
2024年03月21日
自動の脅威。
2024年 3月20日(水) 晴れ
北の風 時化模様
春分だというのに、まるっきり冬のような時化模様に。
それは早くから予想されていたことなので、水納海運のウェブサイトでは、夜明け前から早くも「全便欠航」のお知らせが出ていた。
3月になってからのほうが、2月よりも時化の回数が多いように感じるのは気のせいだろうか…。
ただ、時化を招く強い北風ではあっても、春分に到達しただけあって太陽は力強い。
おかげで、放射冷却による早朝の冷え込みさえ耐え凌げば、日中はけっこう暖かだった。
やっぱり春と秋が一番過ごしやすい…
…と感じるのは、齢をとった証拠なのだろう。
そんな時化の日に、久しぶりに登場。
ご存知、海抱カメ玉のネックレス。
ご存知ない方はどうぞこちらから。
ホントにリンク先をチェックしてくださった奇特な方はお気づきのように、実は当店ではこの春新たに…というか、今さらながらというか遅ればせながらというか、とにかくようやく決済にクレジットカードをご利用いただけるようになった。
ただし、一点物の商品がもっぱらの当店の場合、在庫管理をよほどシステマチックにしないかぎり、在庫の確認をする前に決済を終了されてしまうと困ったことになる。
そのため南米大河やファニーヘブンのように、注文画面で即座に決済という現在当たり前の決済方法というわけにはいかず、ご注文をいただいてからあらためてクレジットカード用の決済画面をメールにてご案内するという、かなりアナログな方法をとらざるをえない…
…という弱点つきでようやくクレジット決済導入となったのはいいものの、今じゃPayPayだAmazon Payだといったさらにお手軽便利な決済方法が主流になりつつあるから、アナログクレジット決済となると便利感はイマイチなのだろうなぁ。
それでも、ページ内に↓こういうのがあると…
…なんだかそれっぽいでしょ?< 共感強要。
クレジットカードをご利用いただけるようになったらなったで、それをお知らせしなけりゃならないから、そのための作業がまた必要になってくるのだった。
その作業も、昔ならHTMLだけで済んでいたものが、今ではCSSという、不思議な書式に則ったプログラミング言語でHTMLを装飾する、という仕組みが当たり前になっている。
その具体例となると、このブログサイトのフォーマットではそれを具体的に示せないから、図形表示で無理矢理キャプチャー画像にしてみると…
…例えば↑この表示、昔なら青い長方形の上に文字を入れた「図形」をあらかじめ作っておき、それをページ内で表示されるようHTMLで書いていた(ここではリンクははってません)。
それが今では、HTML上では文字(とリンク先)だけ書いて、あとはCSSのシゴトになるのだ。
CSSはいわば書類における「別紙参照」のようなもので、ここについてはCSS上のこの指示にしたがうこと、的に書く。
つまり、上の表示の場合、角をちょっぴり面取りしてある長方形も青い色も文字の大きさも位置も、そして長方形の斜め右下に出るシャドーも、すべてCSSの宇宙言語で指示している。
数年前に当サイトをともかくもレスポンシブル対応にすべくリニューアルした際にはこのCSSが不可欠だったので、連日頭が桜島化したものだった。
今でももちろん習得済であるわけではないものの、宇宙語からヒエログリフくらいまでには身近になっているから、不思議な書式の言語がいったいどの部分の何を指示しているのかということくらいはわかるようになってはいる。
さきほどのクレジットカードの図などを表示させる場合でも、サイト上に↓このように表示したい場合にも…
表示される画像のマックスサイズとか、左寄りなのか中央なのかというポジション、それに文字のサイズや行間、位置などをCSSで飾り付けることになる。
たとえヒエログリフでもそれくらいのことならモヤヤ~ンくらいには理解しているので、従来のページに上のような表示が加わるよう作業をするわけだけど、ここでまた壁にぶつかる。
作業的には間違っていないはずなのに、実際のウェブページ上でそれが反映されないことがままあるのだ。
実は更新したCSSファイルをアップロードしていなかったとか、全然異なるところにアップロードしてしまったとか、うっかり八兵衛的な原因だったりすることもしばしばながら、どう考えてもどうチェックしてもちゃんとやっているにもかかわらず、サイト上に反映されない。
作業のどこかにミスが?という原因追及のために費やす時間は、実際に原因がわかってしまうと実にバカバカしくなってしまった。
はたして、作業は間違っていないのにページに反映されないのはなぜなのか。
それは、「キャッシュ」という、本来はユーザーが便利を味わえるためのブラウザの機能のシワザなのだ。
昨今のデータ量の多いウェブページのこと、同じサイトを閲覧するたびに毎度イチからアクセスしていたら時間がかかってしょうがない。
そこで、一度閲覧したページのデータを保存しておき、再度閲覧する際にはサッと表示できるようにする機能、それがキャッシュ。
画像だらけのカタログページでも、2度目に閲覧する際には光のごとく早く表示されるのは、このおかげらしい。
なるほどたしかに、ユーザーにとってはとっても便利な機能といえる。
ところが、ページの一部を少し変更するとか、そういった作業をするヒトにとっては、コイツはかなりタチが悪い存在になってしまうのだ。
なまじ記憶に残しているものだから、変更している箇所をまったく無視して、「ほら!」とばかりに得意げにページを表示することになる。
HTMLにて表示を指示した画像や文字はたしかに表示されていても、CSSの指示どおりになっていないから、まるでCSSの記述が間違っていたかのようになってしまうのである。
そのジジツにたどり着かなかったころは桜島がアイスランドの火山になってしまったものだったけど、同じような目に遭っているヒトが世の中には星の数ほどいて、その解決法をウェブ上にて教えてくれているおかげで、溶岩流から避難する必要は無くなった。
こういう場合何をすればいいのかというと、ブラウザの履歴のメニューから「キャッシュを削除する」を選び、1時間分でも24時間分でも、とにかく過去の記憶を抹消してやるのだ。
すると…
今まであーでもないこーでもないと原因を探っていたのはなんだったの?ってくらいのあっけなさで、指示どおりの表示になるのだった。
きっとヒトをもっともっと便利にしてくれるのであろう機能なんだろうけど、かえって仇になることもある「便利」なのである。
PCなどの自動更新も、便利なヒトには便利なんだろうけど、データ使用制限があってしかもノットブロードバンドな当方では、これがまたしばしばやっかいな存在になる。
なので自動更新にならないようストップし、必要に応じて更新って方法をとっているんだけど、ストップしているにもかかわらず更新されることもある。
昨秋なんて、いったいなにが起こったのかいまだに原因はさっぱり不明ながら、突然タスクバーからoutlookの表示が消えてしまったことがある。
はてなんで?と思いつつ、スタートボタンからプログラムの羅列を表示させ、outlookを…と思ったら、なんてことだ、outlookだけでなく、他のofficeソフトがすべて消えているではないか。
ようするに、まったく突然にアンインストールされていたのだ。
なんで??
あまりのことに茫然としつつ、とりあえずそういう事が世の中で起こっているのだろうかと調べてみたところ、少数ながら同じ目に遭っているヒトがいた。
その方によると、原因は不明ながら、もう一度インストールするより他に手はないという。
でも何もかもがまっさらになってしまうわけではないらしく、アカウントの設定や従来のメールなど、ちゃんと元どおりに使えたとのこと。
仕方がないのでオフィスページからダウンロード&インストール。
これがまた…ノットブロードバンド環境では鬼のように時間がかかり、なおかつ半日がかりで(途中潜りに行って帰ってきてもまだ続いていた…)ようやくインストールし終えたら、あらためてアカウントの設定をしなければならない状態だった。
話が違うじゃん…。
それにしても、なんで突然消えちゃったのだろう?
頼みもしないのに「〇〇が新しくなりました!」という表示が出てくることがよくあるけど、その自動更新の失敗とか?
まったくもって不便な「便利」じゃないか。
そうそう、最近も。
PC起動時に、小さなウィンドウが一瞬開きかけてすぐ消えるという、これまでなかった現象が毎度出てきたので、いったいこれはなんじゃらほい?と探っていたところ、どうやら出ようとして消える小さなウィンドウは、Skypeの画面であることがわかった。
画面右下にある、「隠れているインジケーターを表示します」のボタンで表示させると、なぜだかそこにSkマークが存在していたのである。
Skypeなど、これまでの人生で一度として使ったことがないというのに、いったいぜんたいなぜに突然?
これまた調べてみると、このソフトにはPC起動時に勝手に起動する仕組みが備わっているという。
Windowsとしてもそれは困ったもんだということで、起動しないようにしているらしいのだけど、敵もさるもの、そのワナをかいくぐって勝手に起動するのだそうな。
起動したからといって課金されるわけではないにしろ、なんだかその強引さは、望みもしない番組を勝手に大金かけて作り、観てもいない視聴者に受信料を払わせるどこぞの公共放送のような……。
ウェブ上にはそんな強引ソフトへの対処法を伝授してくれているサイトがいくつもあって、それによるととにかくまずはSkypeを開き、その設定において自動的に起動しないようにする、というのが確実な解決法だそうだ。
さっそく実践してみると、サブリミナル効果のような起動時の小ウィンドウは、まったく出なくなったのだった。
PC起動時に自動的に起動する必要があるほど、今の世の中ではSkype利用が当たり前になっているってことなのかもしれないけれど、Skypeに限らずPCでもスマホでも、とにかく「自動」がデフォルトになっていることが多過ぎる。
自動的に更新するとか起動するとか、そーゆーことはまずユーザーに訊ねてからにしろ、と強く訴えたいところである。
2024年03月20日
金のかかる女。
2024年 3月19日(火) 雨時々曇り
西のち北の風 徐々に時化模様
前線通過後に春の高気圧が出張ってきて、午後遅めには時化になる見込みになっていたこの日。
ギリギリ午後イチまではいけそうな感じではあったけれど、君子危うきに近寄らず、海運ベタ凪ぎでも運航せずの教えどおり、連絡船は朝イチのみの運航で終了。
北部土木事務所、これが昨日じゃなくてよかったですねぇ…。
というわけで、連絡船が桟橋から出航した後、ときどき小止みになりつつも降り続く雨の中、うちのボートを連絡船用バースに移動。
今回は最初から風を避けられる風向きなので、前回のようにただ祈るしかないなんてことにはならずに済んだ。
ボートといえば。
自動車と違ってボートには自賠責に相当する保険制度は無いんだけど、航行中にいきなりあらぬところから急浮上してきたダイバーを轢いちゃうとか、思いがけないナニゴトかが起こるかもしれないのは車もボートも同じ。
なので、30年前からずっと保険には入っている。
これがアナタ、高いのなんの。
30年前はたしか5万円前後だったものが、ついに昨年は8万円ほどになってしまっているのだ。
車の保険であれば、無事故なら年々割引率が増していきそうなところ、そういった契約ではなく、かててくわえて昨今のプレジャーボートの自己増加に伴い、保険料は順調に上がり続けている。
4月に更新を迎えるにあたり、先日契約内容と料金のお知らせが届いた。
すると、この30年まったく同じ契約内容にもかかわらず、なんとなんと前年から1万5千円もアップして、ついに9万5千円という数字になってしまった。
ちなみにこれ、自分のボートの船体はまったくの保険対象外で、ですぜ。
さらにちなみに念のために言っておくと、前回の辰年の10月頭に台風で転覆した際には、わりとよさげな中古ボートを軽く1隻購入できるくらいの修理費用がかかったのだけれど、保険からは一銭たりとも出ていませんから(まったくの適用対象外なので)。
これで年間1千万くらい稼ぐボートであるなら、10万円弱の保険もまぁそんなもんだろうってところながら、すでに稼がないボートになっているというのに、年間10万円はあまりにもキビシイ。
そこで!
ワタシは考えた。他に何かボート保険は無いのだろうか?
あった!
でも結局かかる費用は同じくらいなのだろうか?
違った!
日本漁船組合保険が提供しているプレジャーボート責任保険というのがあって、旅客船向けのいろいろなオプションを足していくとそれなりのお値段にはなるのだけれど、そもそものベースとなるお値段がまず安い。
しかも、保険適用が無いまま無事故が続けば、最大で20パーセントまで割引されていくシステムではないか。
無事故であり続けて年々上がっていくこれまでの保険料とは大違いだ。
お客さんを載せる目的がない個人所有のボートであれば、このベースとなる料金だけで済むことになる。
無事故であり続ければ、それはおそらく年間2万円そこそこで済むだろうから、この先稼がなくなるボートを所有し続けるうえでなんともうれしい価格帯。
うちのボートでも加入できることを電話で確認し、ついては直接会って、うちの事情に即した内容での見積もりを出してもらうことにした。
ところで、日本漁船保険組合沖縄県支所というのは、いったいどこにあるのだろう?
おお、水産会館!
これが、先日水産会館を訪れた理由でござる。
メールや文書のやり取りでも見積りは出してもらえるのだけれど、こういうのはやはり直接あって話した方が話は5倍くらい早くなるし、タンクを北谷まで運ぶというミッションと抱き合わせで先日行ってきた次第。
電話でも対応してくれた担当職員が立て板に水のごとく弁舌滑らかにいろいろ説明してくれつつ、見積もってくれたお値段はというと…
5万円台!
即刻その場で申し込むことにし、現在の保険が満期を迎える日から開始ってことで話は決まった。
とはいえ、大元の保険業者の加入審査でOKが出ないことには決まった話が始まらない。
末期がん患者が入れるがん保険など無いのと同様、一度転覆している船は却下なんてことになったらどうしよう…
…と一抹の不安をちょっぴり抱えていたところ、一昨日担当者から無事審査を通過した旨電話連絡があった。
あとはすでに渡されている振込用紙で代金を振り込めば完了だ。
次回更新のためには10万円近い料金となることを知った日にはシビれたけれど、それがきっかけで期待以上に安く済ませることができた(保険内容は従来とほとんど変わらないかむしろ良くなっている)。
この差額約4万円で、どこかで豪勢な食事でも…
…あ。
先日主治医にお願いした修理代は、8万円もかかっていたんだった…。
ボートを所有しているというジジツは、イコール「お金持ち」である、といった勘違いが世間の一部にはあるんだけど、我々の場合は↓コイツ…あ、いや、彼女のせいで貧乏になっているという紛れもないジジツがある。
…んなこと言ったら、拗ねていきなり故障してしまうかもしれないから、ゴキゲンとっておこうっと。
まったく、金はかかるわ気を遣うわ…。
なるほど、船が女性名詞なのはそれゆえだったのか。
< 違います。
2024年03月19日
終わりの始まり。
2024年 3月18日(月) 晴れ
北の風 波あり
この日ようやく、北部土木事務所による水納港大改修工事の今年度事業に関する「説明会」が催された。
今年の工期と現場はこんな感じ。
これを図面で表してあるのが↓こちら。
その工程表は、なにしろ工期が今月22日から1年間と長いため、この小さな欄に正しい向きで掲載すると文字が小さくなりすぎてしまう。
そこで90度倒して掲載するので、皆様におかれましては首を右に90度傾けてご覧ください。
これはあくまでも今年度分の工事日程で、これですべてが完了するわけではない。
昨夏の様子を見るかぎりでは、夏季シーズンに台風が襲来することを想定しない方々の集まりでもあるから、かなり机上の空論かもしれず、1年でホントにここまで進むのかどうかは不明だ。
でもとにかく台風でも来ないかぎり、今夏はずっと工事が行われていることになる。
シーズン中はずっと大規模工事になるなんて話を、3月後半になってようやく「説明」するこの役所の神経、どうにかならんもんだろうか…。
ちなみに上の工程表にある「A護岸」というのは、2番目の図面で待合所の前に示されているピンク色の「―」の部分のこと。
そして次段の「防波堤(東)」というのは、その「―」の右端から伸びることになっている防波堤の付け根部分。
3番目の「防波堤撤去」というのは、現在の防波堤の西側、全体的に一段低くなっている部分で、これを撤去してその廃材というか資材を再利用して「A護岸」に用いるのだそうな。
最後の泊地というのは、昨年真夏のど真ん中に行われた浚渫区域よりもっと桟橋側のエリアで、ここに構造物を造るための大規模な浚渫が行われる模様だ。
で、いささかわかりづらいこの工程表を見るとかろうじてわかるとおり、1年を通してずーっと行われることになるのは「A護岸」部分ということになる。
昨年を大幅に上回る巨大重機が、待合所前に勢揃いというわけだ。
一方、ワタシどもにとって物理的に最も厄介なのが、「防波堤の撤去」。
これは、まず作業台船を停め置くスペースを浚渫し、防波堤の端っこに台船をキープできるようにし、その部分の防波堤に重機が乗り移れるような構造物を仮設、そしてユンボのような重機が防波堤上を西側に進み、西端から防波堤を崩していくのだそうな。
この工事は2~3日のサイクルで行われるというのだけれど、冬場ならいざ知らず、それが最も大々的に行われるのが、7月から8月にかけてときたもんだ。
この工事の際、防波堤に据え置かれる作業代船と桟橋の間は40メートルほどあるということだから、ワタシどもが利用している天然航路は利用可能ではある。
でも夏場の現状を何も知らないらしい請負業者さんは、この台船をいちいち桟橋上につけ、資材を桟橋にドドド…と下ろし、そこから陸路で「A護岸」工事現場に運ぶつもりでいるという。
大勢の人でにぎわう真夏の桟橋でそれを行うつもりだなんて、夢でも見ておられるのだろうか…。
その資材運搬方法がどうなるのかは不明ながら、ボートを桟橋の西側につけていると、場合によっては桟橋から外に出られないかもしれず、逆に外から桟橋につけられなくなる…というケースも充分考えられる。
一応そういう事情に配慮し、2~3日のサイクルについてはその都度相談しながら…と言ってはいた。
けれど例によって例のごとく、それは「説明会」を丸く収めるためだけの方便かもしれず、夏休みのど真ん中にもかかわらず、水納島で営業する各業者さんたちは、ボートの出入りを大幅に制限されることになるかもしれない。
これが、秋から冬にかけてもひたすら工事が続いていて、それでも間に合わないから…ということなら仕方がないという気にもなるけれど、いろいろ事情があったかもしれないにせよ、10月からこっち、半年間ずっと惰眠を貪り続けていた挙句のこの工程表だもの、相変わらずのドバカ事務所ぶりといえる。
いずれにせよ、4月から「A護岸」エリアで工事が始まると、その後は台風でも来ないかぎり「静かな島」は味わえなくなることは間違いない。
場合によっては夜間工事、早朝作業などもあるだろうから、島に宿泊される方の朝の桟橋のひと時も、夕方の浜辺の散歩も、今年は春から二度と味わえなくなることだろう。
これがあと数年続いて出来あがる立派な港など、そもそもワタシはまったく望んでいなかったのはみなさんご存知のとおり(どのように望んでいたかということについては、こちらの最後部分をご参照ください)。
その望んでもいない立派な港のために、この先数年同じような目に遭うことは必定。
そのうえ遅くとも来春からは、「リゾート開発」の工事が島内で本格化する予定になっている。
どちらも島民が無理矢理押し付けられているのであればなにかしら抗いもしようけれど、あいにくみなさんどちらもノリノリだから、ワタシどもとしてはジッとしているほかない。
だからといって、この先ずっとガマンする気もない。
というわけで、今年で30年目を迎えるこの島ベースの暮らしは、少なくともワタシにとっては終わりの始まりの年となる。
そういう意味では今年は「終活」なんだけど、そうすると今度は「就活」しなきゃならなくなるかも?
もはやプレ高齢者だというのに、困ったもんだ…。
2024年03月18日
黒蜜&きな粉のチカラ。
2024年 3月17日(日) 曇り時々日差しと雨パラパラ
南の風 おだやか
人や車がドッと増える土日にはなるべく本島に出たくないんだけど、19日と20日は再び時化模様になりそうで、なおかつ18日はドバカ事務所の「説明会」が昼に開催される予定のため不在にはできず。
となると、昨日今日は連絡船の運航的にお出掛けチャンス。
秘密基地にいるだけなら、週末の混雑も関係ないし、このところ出掛けるたびに事務シゴトに追われていたために滞っていた大工仕事の続きを日帰りで行うにはバッチリの状況だ。
というわけで、この日は昼に帰ってくる予定で、連絡船に乗って本島へ。
朝イチの便といっても9時30分島発で、帰りは13時渡久地港発となると、午前中といっても実際はそれほど時間があるわけではない。
秘密基地までの往復や後片付けも含め、正味2時間半ほどしかないことになる。
タイムリミットがあるとのんびりもしていられないから、いつになくテキパキ動いて作業を進めたところ、余裕をもって時間内に終了した。
テキパキ何をしてきたのかというと…
…物置の壁の一角に棚を設置。
すでにチープなL字金具は水平を測ったうえで壁側に取り付けてあったから、あとは板を切って載せるだけなので、2時間くらいあれば充分だろうという見込みは正しかった。
ちなみに棚板は、ずっと前にすべての畳部屋をフローリングに替えたときに残ったフローリング材だったりする。
中途半端に余ったフローリング材なんてなかなか出番が回ってこないところ、今回ようやく役に立つときが訪れたのだった。
ただ、フローリング材だけにツルツルスベスベで、棚に物を置くに際しては何かと不便そう。
なので素肌を晒している裏面を上側にしようとも考えたのだけど、なんとなく見栄え優先にしてしまった。
見栄え優先といいつつ、上2段と下2段では板の色が異なっていたりするのだけれど…。
なにはともあれ、壁の有孔板にフックを施せば、この棚と壁の有孔板とで、室内に置いておくと何かと場所をとる工具類をほぼほぼすべて安置することができるはず。
晴れてその日を迎えた際に、マスオの棚にならないことを祈ろう。
予定どおり完了したので、自分へのご褒美を。
臨時休業が多い冬場ながら、さすがに日曜は開いていたこちら。
「ちゅらアイス」の人気ナンバー3商品、黒糖きな粉。
色味的に地味地味ジミーなために、あまり美味そうに写っていないのは、ワタシの力不足もさることながら、ソフトクリームやカップにふりかけられているきな粉が風に舞うので、じっくり撮っていられないためでもある。
ビジュアル的にはイマイチでも、ひとくち食べると…
絶品♪
たとえていうなら…
「信玄餅がソフトクリームになりました♪」
…的な。
美しいおべべを着ている方々には風に舞うきな粉が弱点になるだろうけど(店主の元ボクサーがアイスを渡すときにちゃんと教えてくれる)、何をこぼそうともどーでもいい服しか着ていない身には、むしろもっときな粉を!ってくらいに美味しい。
黒蜜ときな粉のコラボって、なんでこんなに美味しいんだろう……。
上品なポジションでお高くとまっている和三盆とは一味違う。
それはそうと、これが670円…ということをフツーに感じられないようでは、もはやこれからの世の中を生きてはいけない。
しかしワタシには文明の味、非日常スペシャル。
せっかくのスペシャルデザートだというのに、このお店は12時30分オープンだから、13時の連絡船に乗るためにはゆっくり味わっていられない。
ソフトクリームを食べていたら乗り遅れた…
…なんてことになったら目も当てられない。
そのためせっかくのスペシャルを、かけつけ一杯でかっこむお茶漬けのように食べてしまったのが心残りといえば心残り。
次回は時間がたっぷりあるときに訪れることとしよう。
2024年03月17日
ダイサギは飛んでいく。
2024年 3月16日(土) 朝晴れのち雨パラパラのち薄曇り
南の風 うねりあり
風が吹いていても、南風だと実際の気温もココロも暖かい。
ローテーションで繰り返し時化が続いてはいても、ここという時にはキチンと春らしい姿を見せてくれる。
いつの間にかオタマサの表あたいも、すっかり春~夏野菜に姿を変え始めている。
ウグイスの声も日増しに響き渡るようになり、美声を誇るオスたちの声も自信たっぷりになってきた。
そんなウグイスの声に誘われて、昼のお散歩。
すると道端でこれまで観たことがない(意識したことがない)色模様のチョウと遭遇した。
こちら。
このあたりでよく見かけるこのテの黄色っぽいシロチョウ系にしてはサイズがでっかく、翅の斑紋にも見覚えがまったくない。
これがスタンダードスタイルであれば図鑑にもその姿で載っているところながら、季節や個体差、地域差なんかだと、ビンゴ!が載っていなかったりする。
なので従来だったら正体不明で苦労するところ、グーグル先生は一発で教えてくれた。
このチョウはその名もウスキシロチョウといい、これはその赤斑型(メス)なのだそうだ。
大きな斑紋が無いノーマルタイプとあまりにも異なっているために、昔は別種とされていたらしい。
ノーマルタイプなら観たことがある…かどうかは定かではないものの、とりあえず初遭遇は間違いない。
旧牛小屋方面から帰ってくると、タツヤさんのおうちの屋根の上で、ダイサギが仁王立ちしていた。
屋根に白鷺だなんて、まるで道後温泉。
次のエサ場をどこにしようか、考えているところだろうか。
それとも、普段の休憩場所にしているとなると、タツヤさんちの屋根の上は多量の糞で真っ白けになっていることだろう。
そんなものをひと目見てしまえば、生き物好きのタツヤさんといえども、怒り心頭に発するかもしれない。
これを医学用語では「フンガイ」という。
< よっ!ケーシー高峰!!
ダイサギはおそらく1羽だけ島に滞在していると思われるのだけど、冬の初めに飛来してきた頃はかなり強かった警戒心も、だんだん遭遇機会が増してくるにつれ、我々の姿を見てもすぐには飛び立たなくなっている。
おそらく彼のほうでは、「またアイツたちか…」とでも思っているに違いない。
我々のほうでは、すっかり馴染みの鳥になったこともあって、勝手に「ダイちゃん」と名付けて親しんでいる。
そんなダイちゃんの雄姿。
道後温泉の屋根の白鷺は、羽を大きく広げている。
ダイちゃんも羽を広げてくれないだろうか。
と思っていたら、ジッと見つめ続けられているのがイヤになったのだろう、ダイちゃんは飛んでいった。
シンキングタイムを邪魔してごめんなさい…。
どうやらヤツガシラは去っていったらしく、ダイちゃんもやがては姿を消すことだろう。
昔から春は、別れのシーズンでもあるのだった。
2024年03月16日
Mare Primaverile。
2024年 3月15日(金) 晴れのち曇り
北東の風 うねりあり 水温21度
ひとくちに「曇り」予報といっても、大きく分けて2タイプある。
時々晴れ間も出そうな曇りと、逆に雨がパラつきそうな曇りの2タイプだ。
ヤフーの天気予報のマークでは、この両者を雲一つの白い雲マーク、濃いグレーの雲が2つ重なるマークで表している。
で、この日の日中は白い雲1つだけ。
ということは、日差しが出るかも…
…と期待していたところ、日差しどころか午前中はほぼほぼ「晴れ」になってくれた。
さっそく海へ。
ローテーションで荒れ模様となっている今月、なおかつ先日の激時化のあとだけに水温はあくまでも低く、同じ21度でも肌に刺さる冷たさ。
そんな水温でも、早くもキンギョハナダイのチビチビたちが、根に姿を現し始めていた。
このところ盛んに求愛泳ぎをしているハナダイたち、オスたちの頑張りはけっして空振りではなく、ちゃんと成果を出しているらしい。
ハナゴイに始まって、このところケラマハナダイ、キンギョハナダイと紹介してきたからには、水納島の海における砂底のハナダイビッグ3のもう1つを…
…というわけで、この日はカシワハナダイに注目してみた。
他のハナダイ類同様、カシワハナダイも昔に比べるとずいぶん数を減らしているんだけど、ちょくちょくワタシが言っているこのテの話なんて、その「昔」をご存知ない方々には比較のしようも無い=現状を観ても嘆く要素など何も無い、ということになる。
精神的には、なんともうらやましいかぎり。
そんな若い皆さんに、90年代の水納島の砂地の根の様子を見せてあげたい。
水はどこまでも透き通り、まるでPLフィルターを使って撮った空の写真のように深く濃い紺碧の水に包まれた白い砂底に点在する根には、各種ハナダイ類の花吹雪…。
それが当たり前となった体で今のゲンジツに戻ってきたら、心あるガイドさんたちはきっとショック死することだろう。
もっとも、今バリバリ活躍している皆さんが前期高齢者くらいになる頃には、ひょっとすると同じようなことを口にしているかもしれない。
減ってしまってはいるけれど、それでも20メートル以深まで行けばそれなりにいるカシワハナダイ。
ノーマルカラーを肉眼で観ると、オスもメスも地味地味ジミーに見えるのだけど、婚姻色に輝いているオスは、肉眼でも、いや、肉眼で観るほうがより美しい。
光を当てた際の↑このような美しさとは違い、肉眼では背中に白く輝くラインが浮かび、全体的にもっと青白く輝いているように見えるのだ。
例えて言うなら、ジオンのモビルスーツ部隊が白いモビルスーツに遭遇してしまった際に感じるような…
< 例えになってないって。
ちなみにオスの平常時は↓こんな感じ。
ケラマハナダイのオスで言うなら、これは体色を薄くしているショボショボモードのときに相当するのだろうか。
ちなみにメスは↓こういう感じ。
ショボショボモードのオスに似ているけれど、腹ビレの前縁が赤くなく、背ビレ前端にポッチリマークが無い。
光を当てれば赤味が強く見えるものの、海中では茶色に見えるから、彼女にとっては幸いなことに、ファンダイバーにはあまり注目されない。
同じくケラマハナダイに例えると、色を濃くした状態、すなわちブイブイモードに相当するっぽいのが↓この状態(別個体です)と思われる。
他のハナダイ類と同じく、カシワハナダイのオスも、この低水温の季節からお盛んになっているので、オスが複数匹いれば、そこかしこで青白い輝きが急降下泳ぎを繰り広げている。
まるでスパークが走っているかのようなその輝きを目にすれば、どうせならその輝く色味を撮りたいところ。
ところが、遠目にはゴキゲンにメス相手に青白ボディをスパークさせているオスなのに、無遠慮に近寄ってカメラを向けると当然ながらイヤがり、たちまちノーマルカラーに戻ってやる気モードから後退してしまう。
やる気モードから後退すると岩陰に避難することが多いのだけど、そこでは婚姻色を発することはなく、せいぜいブイブイモードで気張っているだけになる。
ことほどさように、目立ちはしてもなかなか撮らせてはもらえない興奮モード。
ところがこの日訪れた根にいたオスのうちの1匹は、カシワハナダイでは珍しく、近寄っても興奮モードのままで居続けてくれる時間が長い。
おかげで…
…何度も撮らせてもらったものの、この色味の時にヒレ全開のチャンスは訪れなかった。
↑このオス、胸ビレの先に色がついているように見える。
こんなところに色がつくバージョンがあったっけ?
…と思ったら、これは
…ケガをしていたのだった。
折に触れお知らせしているように、近年はこのように傷を負っているハナダイ類を見かける頻度が激増している。
それはともかく、こうしてやや後ろ側から光が当たると、興奮モード時の体色はえもいわれぬほんのりした色合いになることを知った。
これぞまさしくケガの功名。
< 座布団1枚!
興奮モード時の色といえば、このやる気全開興奮モードの際には尾ビレだけ真っ赤に染まっているんだけど、どういう心境の時なのか、尾ビレが↓こうなっていることもある。
後縁だけ赤く、真ん中は薄くなっている状態。
↑これは過去に撮った写真で、たまたま彼だけに見られる個体差なのか、一般的に同じようになるのか、たまに写真を観るたびに「今度確認してみよう」と思うのだけど、もちろんながらそんなことを記憶し続けていられるはずもなし。
この日もまったく気にしていなかったところ、オスの中に実際に見せてくれるものがいてくれた。
カシワハナダイのオスは、興奮モード時に尾ビレの色も自在に変えているようでございます。
やる気モード全開になってくれているおかげで、美しく青白きカシワの姿を堪能することができたこの根では、ユカタハタまでなにやらアヤシイ動きを見せていた。
リーフ際に戻ってみれば、久しぶりに出会ったタコまでイチャついているではないか。
ワモンダコ交接ちう。
まだまだローテーションで時化が繰り返されてはいるけれど、そこはやっぱり春の海、どうやらいよいよ恋する季節の始まりのようだ。
2024年03月15日
グリーンオリーブブルスケッタ。
2024年 3月14日(木) 晴れ
北東の風 うねりあり
帰りが午後遅めになると、潮が大きく引いてしまいボートへ乗り込むのが大変になるから、昼過ぎまでを目途に朝のシゴトを済ませ、連絡船の出航と同時くらいに渡久地港を出発。
ややうねりは残っているものの、ビショビショになってしまうほどの波と風に翻弄された前日の様子がウソのような、静かな静かな洋上だった。
すでに何度か紹介したように、ヒミツの畑でもトマトがスクスク育っているのだけれど、それは鳥害対策のビニール袋のおかげもあった。
ところがだんだんバブルになってきたこともあり、ビニールをかけないようになった今も、鳥害の影響はまったくない。
どうやらヒヨドリさんたち、「ダメだこりゃ」と諦めてくれたらしい。
おかげでビニール袋一杯のプチ&中玉トマトを収穫できているオタマサである。
一方タマネギは、さらに膨らみを増しつつもまだ育ち切ってはいない段階ながら、とりあえず早めに1つ2つ収穫。
左は途中で割れて育ったヤツだからいささか歪な形ながら、右側はなかなか立派なお姿。
オタマサによるとこれでまだ成長中というから、畑でスクスク育っているタマネギたちの明日は明るい。
そんな新玉やトマトを分厚くスライスし、表あたいのサニーレタスも併せ…
生ハムやチーズと一緒にカイトのパンに載せる。
ああシアワセ…。
チーズや生ハムは、前日に「チアーズ」で仕入れてきたもの。
チーズもさることながら、イベリコ産生ハムなんて、名護以北で買えるところなどどこにも無い…といっても当たらずとも遠からずってところ。
カンナ職人のワザか?と見紛うほどに向こうが透けて見えるくらい薄いスーパーの生ハムとは、やはり一味も二味も三味も四味も五味も六味も七味も八味も…
…えーい、めんどくさい、ざっと百味くらい違う。
いやはや、美味しい。
そんな名護以北での入手不可能アイテムがもう一品。
こちら。
謳い文句によると、
「グリーンオリーブの豊かな味わいに、ケイパー や白ワインビネガーなどを加え、おいしさを さらに引き立てた粗い粒のペーストです。
パ ンやクラッカーにのせて簡単にブルスケッタのでき上がり!
肉や 魚料理のトッピング、パスタソースとしても お楽しみいただけます。」
というスグレモノで、実際にカイトのパンに載せて食べたらたいそう美味しかった。
セコンドピアットにはお肉が待っていた。
ローストイノシシが従来の3倍の厚さ!
こりゃワインがワインが進む君ってなもんだ。
見るからに高級そうな白と赤、もちろんながら自分たちで買えるはずはなく、とある奇特な方がひと月半遅れの誕生日プレゼントとしてオタマサに贈ってくださったものである。
いただいてからこの日まで大事にキープされていたのは、「特別な日」に登場予定となっていたから。
いったいこの先の特別な日って何だろう?
…と思っていたところ、本日のホワイトデーに登場とあいなった次第。
なんだ、チョコのお礼に、ホワイトデーにはとうまワイン店でワインでも…と覚悟を決めていたというのに、高級ワインが届いたおかげでなけなしの小遣いから散財する必要がなくなったじゃないか。
奇特な方、ありがとうございます。見かけどおり大変美味しゅうございました。
もちろんながらホワイトデーもセルフセレブレーションなオタマサのこと、美味しい料理とワインで本日もめでたしめでたし。
2024年03月14日
ランチ難民の午後。
2024年 3月13日(水) 晴れ
北の風 うねりと波あり
一夜明けても朝のうちはまだ強い風が吹いていた。
でも急速におさまっていく予報ではあったし、行きさえ我慢すればあとは平和が訪れそうだ。
というわけで、予定どおり検査に出すタンクをボートに積み込み、連絡船が到着する前に渡久地港を目指した。
あ、ちなみにドックに入っていた水納丸ことニューウィングみんなⅡは無事帰還し、本日から復帰してます。
連絡船が通常運航しているくらいだから、たしかに風はそれほどでもなかったものの、洋上は前日来の名残りが濃厚に残っていて、大きなうねりと風浪が合わさって、ほんの20分弱の間にお出掛けスタイルの服装はビショビショになってしまった。
秘密基地にて着替えをすませ、タンクを載せていざ南下。
目指すは北谷。
でも本部町内を10時30分頃に出ると、どうしても道中腹が減る。
重量物を載せているから高速ではなく下の道を通っているので、その点は便利なんだけど、あまり時間をかけて食事していられないから、どこかでテイクアウトして食べるとするか。
となると、時間的にも「おんなの駅」がちょうどいい。
いつものパン屋さんで、至宝のサンドイッチを食べよう。
そう考えた途端、急速に腹が減ってきた。
途中寄り道することにしたとはいえゆっくりもしていられないから、恩納村の海沿いの道は通らず、各バイパスを通ってきたところ、久しぶりに走らせてみたつくづく実感した。
バイパスの景色、つまんねー。
これまで16分かかっていたところが9分に!などと時短を謳っていもいたこのバイパス、目的地までかかる時間が短くなったのは便利なんだろうけど、山を無理矢理削り倒して道を作っているものだから、眺めがまったく内陸(一部海を遠望できる場所もあるけど)。
用事やシゴトで先を急ぐ地元の方々ならいざ知らず、沖縄観光にきてせっかくレンタカーを借りてドライブしていて、こっちの道を選ぶ意味がわからん…。
レンタカーの登録台数に制限をかければたちまち渋滞モンダイの多くは解決するという不都合なジジツはひた隠し、あくまでも渋滞解消を錦の御旗に立派な道路を造り続ける沖縄県では、毎日のように新しい道が生まれ続けていくのだろう。
…と、つまらない景色に文句を言っているうちに、完全にサンドイッチ待機態勢になって「おんなの駅」に到着。
数々の定休日伝説を持ち合わせている我々ながら、道の駅に定休日はあるまい。
安心しきって駐車場に入ろうとすると…
3月13日は臨時休業
え"ッ!?
3月13日って……今日じゃん。
駐車場入り口にはロープが渡され、建物を見ればなにやら外装工事だかなんだかの作業が随所で行われている模様。
春休みシーズンに臨時休業って、いったい冬の間の閑散期になにやってたんだ「おんなの駅」。
というか、己の呪われ具合に本気で戦慄してしまった。
腹は減っているけれど、かくなるうえは先にタンクの受け渡しを済ませてから、ゆっくり食事をすることにしよう。
で、無事にタンクを下ろし、身軽になって空きっ腹モンダイの解決に向かう。
せっかく北谷まで来たのだから、昨年訪れた美浜のジェッターバーガーに行ってみよう!
と美浜に乗りつけたところ…
なんという観光客の数!
路上を歩きまわる人の数、駐車場を埋め尽くす車の数からして、お昼時には人気ハンバーガー店だけでなく、あらゆる店が混雑を極めているのは間違いない。
ハンバーガーはすっかり諦めて、観光客よりは地元民でにぎわうところへ針路変更。
そういえばすぐ近くに、かつて一度寄ったことがある「みはま食堂」がある…
…とオタマサが言うので、こうなるともうなんでもよくなっているワタシはさっそくみはま食堂に乗りつけた。
すると…
クローズ。
本来定休日が無いはずの店なんだけど、今月は何日かお休みの日が定められているようで、今日はその日に当たっていたのだった。
定休日無しのそば屋にもフラれるなんて…。
仕方なく、次の目的地に向かって南下することにした。
国道ではなく、海沿いの道をハンビータウン経由で南下していくと、やがて宜野湾コンベンションセンターへと続く道に繋がる。
そういえばその道沿いに、宜野湾マルシェなるフードコート&ショップがあったっけ。
一度食事をしたことがあるから、お店の様子はだいたいわかっている。
かくなるうえはお腹をそちら方面待機態勢に急速チェンジして、いささか道を迷いながら到着。
すると、4~5軒あるフードコートの店のうち、2軒がお休みになっていた。
あまりの時化で食材が入っていないからだろうか、それとも定休日?
定休日なのは仕方ないにしても、フードコートの通路上に灯っているライトのうち、休業日側のライトは消灯されているために、なんだか食事スペースがやたらと暗いんですけど…。
ともかく開いているお店のメニューを見ながらこれと決め、オーダーしようとしたところ…
「今こちらのお食事メニューは30分お待ちいただくことになります…」
とおねーさんが申し訳なさそうに言う。
腹を空かせて凶暴化している客に伝えた時間より遅くなることはないギョーカイとはいえ、30分というからには25分くらいは待たされることになるだろう。
そこまでして食べたいと願ってきたわけじゃなし、それ以前に、フラれ続けたうえに今から30分待ちは、精神的につらい。
しょうがない、ここも諦めるとするか。
いかん、完全にランチ難民になってしまった…。
まるで空きっ腹を抱えながら焦燥感に駆られ、駅周辺をうろつき倒す井之頭五郎にでもなったような気分でフードコートを脱出。
さてさて、どうしよう?
すると目の前に、これまで入ったことがなかった(気がする)ショップコーナーがあった。
道の駅でもどこでも、こういうところではテイクアウト系の飲食物も売られているはず。
期待に胸を膨らませて入店してみたところ、案の定太郎、総菜パンからお弁当から、はてはオサレーなスムージーを売っている店まである。
その品揃えは、店としては似たようなポジションにあるはずの本部町内の「かりゆし市場」とは大幅に異なっている…。
さすが都会。
そんなお食事アイテムのお弁当コーナーには、いわゆる「お弁当」のイメージとはかけ離れたエスニック系のものもズラリと並んでいて、スパイシーそうに見える本格カレーっぽいものもあった。
迷わずチョイス。
ランチ難民に訪れた、まさかの至福である。
オタマサもなにやら美味しげなぶっといソーセージの総菜パンを買い込み、2人して建物裏手に広がる港を眺めながら、防波堤をテーブルにモグモグすることにした。
大きなうねりもものともしないこの立派な漁港は水が綺麗で、眼下ではサンゴさえ育っていた。
養殖マグロのアラやエサ用イワシの脂に塗れている渡久地港とは一味違う。
で、きれいな港を眺めながらいただくカレー弁当というのがこちら。
まるでソウスイのカレーみたい!
カレーが脇にはみ出てしまっているのに気づかず撮ってしまったけど、本来はもっとカレー部分とサフランライス&副菜部分がクッキリセパレートされている。
また、底が浅めのプレートかと思いきや、意外なほどに深さがあって、量的にはプレ高齢者には充分だ。
副菜の種類の多さや細かなところにひと手間を惜しんでいない感じもまたソウスイのようで、ひょっとして同じところで修行をなさっていたとか?
ちなみにこのカレーの作り手はこちら。
「mimitab」というのは、耳たぶのことなのだろうか。
気になったので後刻調べてみたところ、なんと美栄橋に昨年1月にオープンした、オサレーなカレー屋さんだった。
なんだ、宜野湾と関係ないじゃん…。
出所はともかく、お弁当でこうだもの、店舗で温かいものをいただいたらさぞかし…。
とはいえお弁当でさえ税込で4ケタになるカレー、店舗ではいったいどういうことになるのだろう?
さすが都会。
そういう意味でも、ゆいゆい国頭のソウスイさんのお値段は、あり得ないくらい低価格。
総菜パンなども、カイトやパンチェリーナに慣れている我々からすると、東京ですか?てなくらいの高価格帯だ。
沖縄本島の南北間に如実に見られる、価格差社会の実態である。
ランチ難民化した果てにたどり着いた先で、思いがけない本格カレーに気を良くしながら(外に出てから車内に戻った時のカレー臭まで素晴らしい…)、午後の目的地である水産会館に到着。
船員会館を利用する際には必ずそばを通っていたからその存在は知っていたけれど、中に足を入れるのは人生初体験だったりする。
何の用で?
それはヒミツです。
水産会館で用事を済ませ、北上を始める前に、おもろまちに立ち寄った。
先だって紹介した県内唯一のチーズ専門店「チアーズ」に寄ってみたいというオタマサのリクエストによる。
価格差社会であるとともに、本島南北品揃え格差社会にあえぐ北部在住者にとっては、おもろまちのりうぼうでさえ別世界なんだけど、県内唯一のチーズ専門店ともなれば、それはそれは夢の世界。
で、慣れない店で素晴らしい品に出くわすとアワアワするワタシと違い、こういうモノにはオタマサ化しないオタマサなので、じっくり吟味して翌日いただくチーズをチョイスし、おねーさんにまずはひとつ目を告げたところ…
「すみませ~ん、これ売り切れちゃってますぅ!」
おねーさんがアワアワ化してしまった。
SOLD OUT後にショーケースから箱の見本を片付けるのを忘れていたらしい。
それにしても、他のすべてはショーケースどおりに在庫があるというのに、よりにもよって売り切れ品をまっさきにチョイスするとは…。
ランチ難民化した一連の不遇は、すべてワタシの持つチカラであると勘違いしている方も多いことだろう。
しかし「おんなの駅」も「みはま食堂」も言い出しっぺはオタマサで、なおかつここにきて神業的ピンポイントでの売り切れ品チョイス。
もはや誰が「持っている」かは、明らかなのである。
ま、夢の世界のこと、代替品もまた素晴らしそうだったから、明日のお楽しみに…。
あ、どさくさ紛れにイベリコ産の生ハムをカゴに足しておいたのはいうまでもない。
2024年03月13日
プレイバックPart2。
2024年 3月12日(火) 早朝雨のち晴れ
北西の風 激時化
もう3月も半ばというのに、このオフシーズン最大規模の激時化襲来。
その後本土のほうでさらに異常発達した低気圧が暴れているらしいから、多くの方にとっても身近な話かもしれないこの激時化、天気予報でもちゃんと予報は出していた。
となれば、連絡船用バースにボートを避難させておくのが通例ながら、今回は低気圧を伴う前線で、いわば小さな台風が付近を通過していくようなもの。
その場合強風の向きがガラリと変わるんだけど、今回は激しい北風になる前にはかなりキビシイ南東の風が吹くと予想されていた。
激しい北風の前にキビシイ南東の風が吹くとなると、あらかじめ連絡船用バースにボートを安易に避難させておけない…。
その風の変わり目が日中になりそうなら、風が回る前にス…と静になる束の間のチャンスにボートを移動させることができる。
ところが往々にしてそれは夜中になることが多く、今回も午前3時頃になりそうだった。
しかも大雨後の雨予報。
おまけに大きく潮位がマイナスになる干潮時。
真っ暗&雨降りのなか、激引き状態の桟橋脇でボートを移動させるなんて……無理。
フツーだったらこういう場合、とっとと諦めていち早くボートを渡久地港に避難させておくところ。
ところが今回はなんとも間の悪いことに、13日にタンクを検査に出しに行く予定にしており、なおかつ予報は連絡船が動くかどうか微妙な塩梅なもんだから、確実にタンクを運搬するためにも島から出るためにも、自分たちのボートが必要だ。
…という縛りのせいでこういうことになっている次第。
でもまぁ前日夕刻に出ていた予報どおりだったら、夜明け頃ならまだそれほど風は強まってはいなさそうだったから、ボートを回すのはその時でも大丈夫そうだ。
仮に予報よりも早まって夜明けには強風になっていたとしても、予報されているレベルくらいだったら、ボートをそのままにしておいてもなんとか耐えてくれるだろう…
…ということにし、前日夕刻には補強用のロープを足しておくだけに留めた。
その後風が変わるまでは、ずっと南東よりの強風だから、ボートの心配はまったくない。
ただし夕刻以降、翌日の予報の時化レベルが2段階ほどアップしてしまった。
こりゃなんとしても夜明け前くらいには、連絡船用バースにボートを回しておかねば。
というわけで、雨が止んで潮もある程度満ちてきている朝4時30分頃、ボートを回す準備をして桟橋に行ってみたところ……
時すでに遅し。
すでに西風が強く吹いており、係留してあるボートを動かすなんて不可能。
かくなるうえは、ロープとボートに頑張ってもらい、この苦難を乗り切ってもらうしかない。
最大の難所は、時化がピークに達する満潮時、すなわち8時30分前後の1~2時間だ。
風の威力は同じでも、潮位が高いのと低いのとでは入ってくる波の高さがまったく違い、ロープへの負担は全然違ってくる。
夜明けから1時間おきくらいにボートの様子を観に行っていたんだけど、やはり満潮時の様子が最も「見ていられない」状況になっていた。
沈めてあるアンカーから引いている2本のロープが、文字どおりの命綱。
これが切れてしまえば、ボートは桟橋に叩きつけられて大変なことになってしまう。
だからといってこうなってしまうともうどうしようもないので、ただただ手を合わせてお祈りするほかない。
その後も風のピークが去るまで、1時間おきくらいに様子を観に行っていた午前中のこと。
庭先からタツヤさんの声が。
その瞬間、前回の辰年の10月の朝のことがプレイバック!
そう、まだ台風の返し風が抜けきらない暴風域中にもかかわらず、タツヤさんが玄関先に現れ
「ボートがひっくり返ってるって」
と、まことにまことに言いづらそうに教えてくれたのだった。
渡久地港の様子を見にきていたオーシャン・オギドーさんから連絡があったそうで、それを暴風のなか我々に伝えに来てくれたのだ。
ちなみに、当時のその後の様子はこちら。
なのでこういうシチュエーションで庭先からタツヤさんの声とくれば、記憶がプレイバックするのも当たり前なのである。
はたして、桟橋のボートに何かが?
しかし今回は違った。
「ボート大丈夫ね?」
海の様子を見にいったタツヤさん、するとうちのボートが波に揺られ風に煽られ大変な状態、すなわち先ほどの画像状態になっているのを目にし、心配して知らせに来てくれたのである。
やっぱ誰が見てもヤバい状況だよなぁ…。
伝えに来てくれたことに感謝しつつ、ボートをいつものように避難できなかった事情と、1時間おきくらいに様子を見にいっていることを伝えておいた。
低気圧通過後の時化のピークは午前中で、午後にはずいぶんおさまってきた。
ただし夜中にはまた高気圧のプチ張り出しがある見込みで、再び北風が強まる予報になっている。
なので風がある程度おさまっていた夕刻に、夜に備えてボートを連絡船用バースに移動。
これで今夜は何の心配もない。
とはいえあまりにも「遅ればせながら」だったからだろう、係留を終えたボートの表情は
「おせーよ!」
と怒っているように見えたのだった。
よく考えたら、何が何でも13日に出掛けなきゃならないわけでもなく、1日2日ずらす旨先方に伝えればよかっただけの話。
そうしておけば、あらかじめ渡久地港に避難させておけたのになぁ…。
ま、オオゴトになってからの後悔じゃなくて、よかったよかった。
2024年03月12日
今さら…と言わないで。
2024年 3月11日(月) おおむね曇り夕刻雨パラパラ
南東の風 波あり 水温21度
南東の風が強めに吹いていたけれど、桟橋側の洋上はまずまずのコンディション。
放射冷却のせいで早朝にはとてもそんな気にはならないところながら、朝のうちは晴れ間も出ていて、日差しの下にいると体も温まり、海へ行こうという気にもなる。
ただし、ドボンと飛び込む海の中は、相変わらずチベタイ。
そんなチベタイ海の中、この日のお目当ては昨日注目したキンギョハナダイだ。
今さらキンギョハナダイ?てなもんだけど、昨日キンギョハナダイのオスのノーマルな姿の写真を探したところ、キンギョハナダイというと、トサカや何かに群れ集まるチビターレばっかり撮っていて、立派なオスの写真がほとんど無いことに気がついたのだった。
というわけで、この日は襟を正してキンギョハナダイたちと対面。
アカジンが居座るいくつかの根ではキンギョハナダイのオスのサイズが小さくなっている…と昨日紹介したけれど、アカジンが居座っていない根では、従来どおり大きなオスがたくさん集まっている(それでも昔に比べたらずいぶん減ってしまったけど)。
これはみんなオスたち。
先日紹介したような、格差にあえぐケラマハナダイの負け組オス集団ではなく、根の上流側の中層最先端でブイブイいわせているオスたちだ(メスはそのやや後方で群れている)。
ワタシが無遠慮に近寄るものだから、警戒していったんは中層から根のほうに降りてくるんだけど、危険はないと知るや再びこのように中層を目指していく。
中層では、流れてくるプランクンを食べている彼ら。
泳ぐ際には閉じている各ヒレながら、流れてくるプランクトンを中層でパクついている時など、要所要所ではヒレを広げる。
背ビレ前方で1本だけピンと伸びているのがキンギョハナダイのオスの特徴でもあるから、どうせならこういう姿を撮っておきたいところ。
また、エサを食べている時は、左側の子のように、たまたまタイミングが合って、まるでアクビをしているかのように口を開けている瞬間が写ることもある。
そうかと思えば、エサを食べているのではなく、ホントにアクビをすることもある。
アクビをするほどにけっこうのどかそうに群れているオスたちなんだけど、面白いことに何かの拍子に接近したオス同士は、互いに自身をアピールすることが多い。
ここまで接近したら、間違いなく…
…すべてのヒレ、そしてアゴまで広げて己の強さをアピール。
↑これ、手前のオスが邪魔して隠れてしまっているけど、向こう側にもう1匹オスがいます。
みんなで群れてはいても、身の回りにはけっして譲れないプライバシーエリアのようなものがあるのだろうか。
それとも、2匹のうち1匹だけしかヒレを広げないケースもあることを考え合わせると、オスたちの中に順列でもあって、これは優位を示す儀式のようなものなのだろうか。
そうやってたくさんいるオスたちを観ていると、たまに「ん?」となる子に出会うこともある。
けっこう遭遇機会が多いのが、背ビレ2本立て君だ。
これは2本伸びているわけではなく、本来1本だったものが、鰭膜が破れて2本になっているものと思われる。
いわばキズモノながらけっこうカッコイイので、群れの中に1匹だけいたりすると、なんだかラッキーアイテム発見♪的なヨロコビがあったりする。
ところで、キンギョハナダイはかなり広く世界の海に分布していて、海域ごとにその色味は随分異なっている。
また、同じ水納島でも、同じポイントでも、白い砂底の根に群れているものとリーフエッジに群れているものとでは、体の色味の濃淡がかなり異なる。
周りが白っぽいと体も白っぽく、岩肌やサンゴなどが多い環境では、濃くなる傾向にあるようだ。
魚たちが体色を変化させるのは、側線と呼ばれる体側にあるラインがシゴトをしている…という話を昔どこかで聞いたか読んだかしたことがある(気がする)。
そのため、その側線部分にトラブルを抱えていると、体色コントロールが正常にできなくなってしまうのだそうな。
キンギョハナダイにもそういうケースがあるらしく、この日彼らの群れの中で真っ先に目が行ったのがこのヒト。
ブラックジャック!
体前半は白い砂底仕様、後半はリーフエッジ仕様にクッキリ分かれてしまっている。
体の左側だけではなく、向こう側も同じようにブラックジャック化していた。
この原因が側線のトラブルなのかどうかは不明ながら、少なくとも2本立て君よりもレアケースであることは間違いない。
このような特殊なケースだけではなく、オスが皆持っている特徴のひとつに、胸ビレのポッチリマークがある。
横から見ると赤い点があるだけに見えるところ、左右に広げることもある胸ビレのこと、正面から観ていてタイミングが合うと…
…けっこうかわいいんだわ、これが。
中層でエサをパクついている際、パク…パク…パッ(ヒレを広げる擬音)、パク…パク…パッってな感じでわりと一定のリズムで開いてくれる子がいるので、そういうオスを観ていると撮りやすいはず。
…と言いつつ、ショボい写真しかないのはなかなか撮れなかったためで、水深17メートルほどだというのに、ショボショボ写真のために減圧表示あと一歩まで滞在する羽目になってしまった。
ハナダイ好きのワタシにとっては、キンギョハナダイといったら昔からなじみ深い魚だから、ここで紹介していることの多くは、昔から知っていたことではある。
だからてっきり過去に撮っているものとばかり思っていたら、実は観ているだけで、全然撮っていなかったのだった。
同じようにこれまで観ているだけだったみなさんは、今さら…とおっしゃらず、是非是非あらためてキンギョハナダイにご注目あれ。
2024年03月11日
水面下の黒い影。
2024年 3月10日(日) 晴れ
北東の風 波あり 水温21度
世の中株高だなんだかんだと似非お祭り騒ぎになりながら、バブルだいやバブルじゃないとかなんとか、バカバカしい話ばかり。
ちなみにザ・バブルの頃は、銀行の利息は7パーセント前後もあったから、1000万円ほど預けていれば、2年ほどで軽自動車の新車が買えたほどだったはず。
あいにく今も昔も先立つものが無いのは同じだから、個人的には高利の恩恵はまったく味わってはいないものの、年利7パーセントくらいあれば、多少の蓄えがある高齢者は安心して散財できるというもの。
そういうのを好景気っていうんじゃないんですかね。
一方で、来日する富裕外人がどんどん増えてくるにつれ、インバウン丼など飲食店を中心にとてつもない価格の観光客向け商品が目白押し。
まったく、美しい国になったものだ。
そんな浮世とはなるべくかかわらないようにして暮らしていると、この日のように空に輝く太陽のチカラのありがたさを日々実感できる。
北東寄りに変わった風は前日と同じくらいの強さで吹いてはいたけれど、ずっとお日様が出ているおかげで暖かいこと暖かいこと。
これなら海へ行こうという気にもなる。
この日島を訪れていた日帰り客のように「海水浴をしよう」…という気にはとてもならないけど。
相変わらず冷たい水にドボンと飛び込むと、冷たいながらも爽快な世界が広がっていた。
このところハナゴイやハナダイ類に注目している流れで、この日はキンギョハナダイを観てみる。
害魚アカジンが居座ってしまっているいくつかの根では、コンスタントに食害に遭ってしまうからだろう、キンギョハナダイのオスのサイズが、まるで外洋のドロップオフのリーフエッジに群れるキンギョハナダイのように小さくなってしまっているこの頃ながら、それでもオスは健気にメスに対する求愛泳ぎを繰り返していた。
ノーマル状態のキンギョハナダイのオスは↓こんな感じなのに対し…
…求愛している際のオスは、↓このように尾ビレを含めて体を白っぽくしつつ、ヒレをすぼめたスマートフォルムになっている。
オスの特徴でもあるピンと1本伸びている背ビレを立てることもなく、背ビレ尻ビレの後端だけが目立つようにしているっぽい。
このフォルムになっているときは「そーゆー気分」になっているので、気になるメスが眼下を通りかかると…
…急降下ダッシュして、そのメスの周りで一瞬アピールし、再び元の場所に戻る。
このような動きを群れの中のオスたちがみな一様にやっているものだから、ハナダイたちの群れはまるで急降下ダッシュ大会でもしているかのような様子になるのだった。
そんなハナダイたちの急降下ダッシュ大会を眺めていたからだろう、上層を行くこんな魚に気がついた。
キングフィッシュことサワラ!(おそらくヨコシマサワラ)
それもメーター級で、しかも等間隔に5匹!!
大きめのイソマグロならわりとちょくちょく、ロウニンアジも近年は目にする機会が増えているし、サバヒーはかなり常連さんになっているけれど、サワラとなると今なお水納島ではレアものだ。
こんなシルエットの証拠写真しか撮れなかったものの、魚偏に春と書く鰆が登場するなんて、さすが弥生三月春ラララ。
リーフ際に戻ってから、一週間前に出会ったクマドリちゃんの様子を確認してみた。
あの様子じゃ、とっくの昔にどこかに行っちゃったろうなぁ…
…と思いきや、クマドリちゃんは前回とほぼ同じ場所に鎮座していた。
ワタシが観たときには死サンゴの枝間の奥に居たから撮るのは無理だったのだけれど、オタマサが観た時には外にいたらしい(引っ込めてしまっているのはオタマサか?)。
撮影:オタマサ
「たった一週間でずいぶん育ってたねぇ!」
後刻オタマサはそういうのだけれど、ワタシにはほとんど違いが無いように見えたんですけど。
前回も実測2センチくらいだろうと思ったし、今回も海中では25ミリほどに見えたから、さほどサイズに違いはないはず。
その後PC画面で画像を比較していたオタマサは、
「あ…それほど変わってないや」
と納得していたのだった。
どうやら、「小さい」というイメージが強すぎ、もっともっと小さかったという記憶を捏造していたらしい。
思い込みで記憶をいくらでも塗り替える女、オタマサ。
それにしても、小魚など集まりそうもないこんなところに居続けて、食事はちゃんと摂れているのだろうか。
あ。
小さなカエルアンコウは魚食専門というわけではなく、近寄るエビなどもエサにしているんだった。
撮影:オタマサ@2013年
この時撮影者はカエルアンコウがエビを凝視していることにも、そもそもエビの存在にすら気がついていなかったのだけど(エビが変なところで切れているのはそのため)、前後の写真を見てみると、このあとエビの姿が消えているところからして、きっとカエルアンコウが食べちゃったのだろう。
今年は早いうちからアミ類が湧いているようだし、こういうところに入り込んでくる遊泳性の甲殻類が多いのかもしれない。
何も知らずに迷い込んできたエビもどきたちを、パクパク食べ続けていられるとなれば、そこに居座ろうって気にもなるのだろう。
アミやエビにも、エスカピコピコは効果があるんだろうか?
というわけでこの日もサワラにクマドリにと、冷たい水の中にいてもホットになる出会いがあったのだけど、メインイベントはエキジット後に待っていた。
ポイントを後にして、港に向けてボートを走らせていたときのこと。
11時の方向の水面直下に、なにやら大きな黒いものが見えてきた。
通り過ぎようとするときには9時の方向直下になったその黒い物体、サイズにして我が家の外付けのシャワールームよりも広い面積。
一瞬クジラか!?と思ったものの、ボートを走らせているから急速に近づいてくるそのフォルムは、菱形。
え?
すると菱形の先には1対の糸巻きが、そして水面から出ている低い背ビレ……これは
マンタだ!!
あまりのことに大声で叫ぶワタシ。
その場で急停止できればいいものの、そういうわけにもいかないので行き過ぎてからUターンして戻ってきてみれば、もう黒い影はどこにも見えなくなっていたのだった。
上げたアンカーのロープを巻いていたオタマサは、ワタシのあまりの大声にエンジンが突如爆発したか!?と思いオタマサ化しかけていたくらいだから、もちろんながら証拠写真はどこにもない。
となると、これは追い風参考記録以外のナニモノでもないということになってしまうわけだけど、誰にも信じてもらえなくてもワタシだけは知っている。
でっかいマンタが、リーフからそれほど離れていない水面付近を泳いでいた!
しかも、遭遇機会は過去の数例のみながら、水面という境界越しではあっても個人的最接近記録である。
そういえば、昨年ほぼ同じ場所で海中でのマンタの目撃情報があったっけ…。
キンギョハナダイを観ているときに上層を通りかかっていようものなら、興奮のあまり今頃脳溢血で死んでいたかも。
いやはや、人生2度目の「水納島のマンタ」、でっかかったなぁ!!
数ヵ月ほど経つと、記憶の中のそのサイズは、うちのデッキくらいの大きさに「成長」しているかもしれない…。
2024年03月10日
ハイビスカスにもヤツがいた。
2024年 3月9日(土) 曇りのち晴れ
北の風 波あり
夜のうちに風はおさまり、相変わらず北風ながらも洋上の波はずいぶんおさまっていた。
これなら代船はまかぜ号の運航も大丈夫そうだ。
となると、風を避けて連絡船用バースに避難させてあったうちのボートを、元に戻さなければ。
というわけで桟橋に行くと、これがなんとも…
……寒いッ!
風はおさまったし天気予報上ではまずまずのお天気になりそうだったから、体が温まったらひとつ海にでも行くか…
…という思いは、冷たい北風にあっという間に吹き飛ばされたのだった。
午後からは日差しも出てきたので、きっとリーフ内の様子は↓こんな感じだったことだろう。
というわけで海ネタは今日もないかわりに、本日のヤツガシラ。
梅にウグイス、桜にメジロなどなど、花とセットになる鳥さんたちはいろいろあれど、ハイビスカスにヤツガシラだなんて、誰が想像し得たろう…。
もっとも、エサを探す際は地上に降り立っているヤツガシラのこと、元々ここにいたわけではない。
ワタシがカメさんたちのエサ採りから帰ってきたときには、表の未舗装路の脇の草むらでエサを探していたんだけど、ワタシの姿を見て飛び去った先が我が家の庭だった、という次第。
だからといってこのまま邪魔しないようにしていたら家に戻れないから、そのまま庭に入っていこうとすると、ハイビスカスに止まっていたヤツガシラは、ガメ公の近くの芝生に着地。
あのぉ…むしろ大幅にワタシに近寄ってますけど?
ヤツガシラとしても「しまった!」と思ったのだろう、すぐさま飛び立ち、隣の家の天水タンク上に。
タンク上から見下ろすその様子は、なんだかワタシに対し不満を表明しているかのような…。
彼(彼女?)にとってのワタシは、あくまでも自分の縄張りを邪魔するヤツ…と映っているに違いない。
こんだけ連日、それも我が家の周辺で遭遇し続けていると、さすがにいちいち「ヤツガシラ!」と騒ぎ立てることもなくなった我々。
庭先にヤツガシラがいる風景も、いつしかあたりまえになってしまった。
でも彼らが島に滞在するのは、この季節のわずかな期間だけ(過去に一度だけ夏に飛来したケースもあったけど)。
あたりまえの光景になってはいても、そのうちこの日の「ブラタモリ」のようなさりげない最終回となるのだろう。
もちろんのこと「最終回」という案内など事前にあるはずはないから、いなくなってから初めてそのジジツを知ることになる。
…って、実は↑これがそうだったりして。