半グレスマスマ。

クロワッサン

2024年10月23日 07:06

2024年 10月22日(火) 夕刻に雨がパラつくもおおむね晴れ

北東の風 少し波あり

 秋晴れのもとそよぐ風が心地よかったこの日は、ひょっとしたら今年の海水浴シーズン最後の「海日和」かもしれない。
 
 それを知ってか知らずか、10月後半の平日の最終便にしては、島から帰るお客さんの数はやけに多かった。
 
 この日までに来島予定を入れていた方々は、みなさん正解。
 
 明日以降予定を入れていた方々は、己の身の不運をお嘆きください。
 
 翌日の欠航がこの日の時点ですでに決定している連絡船は、明後日24日は当日朝判断で、運航する目はありそうなことを言っていたけれど、天気予報は1日中大雨。
 
 各業者さんも今の時点で営業しないと決めているところからして、無理に運航することはなさそうだ。
 
 そのあとも次のアヤシイ低気圧が脇から近寄ってくるっぽく、なんだかんだでこのままグダグダ状態のまま10月は終わりそうな気配…。
 
 それもあって、みなさん揃って「今シーズンもお疲れさまでした!」モードになっている気がする。
 
 はたして今月、最後の「海日和」はあるか?
 
 さてさて。
 
 10月になってリーフ際からすっかり姿を消したキビナゴたち(チビチビは桟橋脇にたくさん集まっている)。
 
 いつもだったらその頃には観られなくなっているはずのスマが、今年はどういうわけか、エサのキビナゴが居なくなっているにもかかわらず、相変わらずリーフ際をウロウロしている。
 
 ただしキビナゴがいるときのような弾丸超特急ダッシュではなく、カスミアジの若魚程度の動きでフラフラフラ~と泳いでいる印象だ。
 
 そしてどのスマも、この季節に観られるスマにしてはサイズが小さい。
 
 本隊からはぐれてしまった半グレ若魚たちなのだろうか。
 
 リーフ際にもちょい沖にもキビナゴ集団がいないものだから、アテもなくふらついているように見える半グレ集団は、ときとして砂底近くまで来てはユルリと泳いでいることもある。
 

 これだけではユルリ感がわからないかもしれないけれど、よく見ると背ビレ腹ビレを立てているモノもいるでしょう?
 
 弾丸超特急ダッシュの際には背ビレと腹ビレを立てないから、これだけでもゆっくりしていることがわかるのだ。
 

 ま、ゆっくりしているからといって、ちゃんと撮れるわけではないんだけど…。
 
 キビナゴたちがリーフ際で川になっている頃と違い、今は思うようにエサが獲れていないんじゃないかと思うんだけど、どういうわけかこのところずっとウロウロしている半グレスマスマたちである。
 
 リーフ際では、アカヒメジやモンツキアカヒメジたちに、ホンソメワケベラがクリーニングケアをしていた。
 

 アカヒメジもオジサン同様、こういう場合は赤くなる。
 
 ところで、下半身(?)だけ写っているのはモンツキアカヒメジだということは、もうひと目でわかりましたね?似非エンジニアさん。
 
 かいがいしく働くこのホンソメワケベラを観ていたところ、おかしげな模様があることに気がついた。
 
 今年はスミツキソメワケベラという、沖縄では一生に1匹級のレアものに出会ったから、またぞろなにか別のソメワケベラ系とか?と期待に胸を膨らませていたら、それは模様ではなかった。
 

 ケガを負っていたのだ。
 
 それも後ろから袈裟斬りに斬られたかのような、けっこうな深手だ。
 

 撮影したのは存在に気がついてから数日経ってからのことなんだけど、当初はもっと傷口は大きく、生々しかったものが、数日でずいぶん回復していた。
 
 このホンソメに限らず、ケガを負っている魚たちを見るたびに毎回感服していることながら、彼らの治癒力はすごい。
 
 なのでこの傷負いホンソメも、ナニゴトもないかのようにセッセと本業に精を出していた。
 

 それにしても。
 
 このテのケガは、他の誰かに襲われたと診ていいと思うのだけど、リーフ際であれ砂底の根であれ、ケガを負っているスズメダイ類やハナダイたちを見かけることはあっても、ケガをしているホンソメを目にする機会なんてまずない。
 
 というのも、彼らはクリーナーとしてその存在を広くあまねく他の魚に知られているからで、普段から世話になっている、そしてこれからもずっと世話になる相手に襲い掛かる不届き者などいないからだ。
 
 もちろんウツボもハタも、口の中に彼らを受け入れているときに、いっそのこと食べてしまおうなどとはけっして考えない(はず)。
 

 となると、このケガを負っているホンソメ、いったいなんでケガを負わされる羽目になっちゃったんだろう?
 
 ひょっとして、あまりにも施術が下手すぎて、クライアントさんの逆鱗に触れてしまったからとか?
 
 それとも……
 
 あ!
 
 半グレスマスマたちの仕業か!?
 
 よく考えてみたら、スマたちがソメワケベラ系のクリーニングを受ける様子など、想像すらできないものなぁ…。
 
 彼ら弾丸超特急ダッシュタイプの光物にとって、ホンソメは他の魚たちとなんら変わることがない存在なのかも。
 
 キビナゴが居なくなったものだから、ふらりふらりとリーフ際を泳ぐ半グレスマスマ、そこにホンソメがウェルカムモードでいそいそと近づいていって…
 
 …ということだったりして。
 
 その社会に欠かせない存在に対し、平気で無慈悲なる仕打ちをしてしまうあたり、さすが反社会的集団。
 
 以上は完全に行き当たりばったりの推測であって、スマにとってはまったくの濡れ衣かもしれませんので、そのまま鵜吞みにしないでくださいね。

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