露と落ち露と消えにし大チャンス。

クロワッサン

2017年06月01日 05:45

2017年 5月31日(水) 曇りのち昼前から雨のち夕方から晴れ

南の風 ベタ凪ぎ 水温25度
 
 雑貨屋さんが久しぶりのフィーバーに沸いた前日のこと。

 名護在住のご夫婦だったので、名護市内で美味しい山羊そばがいただける店情報などディープな話を聞かせてもらっていたとき、ご主人がガラス戸越しにガメ公のあたりをご覧になろうと入り口に近づかれた。

 その時、バンッ!!という軽い衝撃音が。

 何かがガラス戸にぶつかったらしい。

 引き戸を開けてみると、そこには………

 メジロの姿が。

 全速力でガラスにぶつかってしまい、そのまま息絶えてしまったらしい。

 随分前に一度、アカショウビンがぶつかってスゴイ音を立てたことはあったけれど、そのアカショウビンはその後ラティスに止まってバツが悪そうに羽繕いなどをしてごまかしつつ、しばらくすると飛び立っていったものだった。

 メジロのスピードと小さな体では、ぶつかった衝撃に耐えられなかったということだろうか。

 それにしても、庭にはたくさんのメジロが訪れるとはいえ、これまでメジロがガラス戸にぶつかったことなど一度もなかったのに、いったいなぜ?

 自殺でも図ったのだろうか。

 あ。

 この前の日、忙しくなる前にと、伸び放題状態だった垣根のハイビスカスの剪定をしたため、メジロが好んで止まるハイビスカスの花が一輪も無い状態になっていた。

 そして。

 名護在住のお客さんが来ておられたのは、万遍なくハイビスカスの花柄があしらわれたシャツなのだった。

 ガラス戸越しに見ればヒトの姿に気付けなかったかもしれず、彼の眼にはハイビスカスの花しか映っていなかったのだろう。

 やっと見つけたハイビスカスの花!!とばかり、入り口付近に立たれたその方の花柄を目指してダッシュしてしまい、結果死のダイビング、ということだったに違いない。

 一度脳で思考することなく反射的に動いてしまうと、いつなんどきうっかり八兵衛になってしまうか知れたものじゃない、ということか。

 週末に失言をしては週明けに釈明する各代議士のみなさんにも、深く学んでいただきたいところである。

 ちなみに件のメジロは、ひょっとすると脳震盪で動けないだけかも…と期待してしばらく日陰に安置しておいたものの、残念ながら絶命が確定。

 後刻オタマサが、庭に埋めて丁重に弔っていた。

 さて、本日は。

 お天気はぐずついていたものの、海は朝から鏡のように凪いでいた。

 朝から海へGO!

 海上がノースストレスなら、海中もほぼほぼ無問題で、気持ちのいい海。

 群れ泳ぐ魚たちものどかに見える。

 そこで、前から気になっていた様子を撮ってみた。



 ご存知アカマツカサ。

 アカマツカサ自体は珍しくもなんともない魚ではあるけれど、この写真、なにか違和感がないですか?

 そう、背後がブルーの海。

 アカマツカサといえば日中はたいてい暗がりにいるから、どんなに群れていても背景は↓こういう写真になることが多い。



 リーフ際に居たとしても、オーバーハングの陰にいるからこんな感じになる。



 だから青い海を背景にしたアカマツカサの集団って、フツーのようでいてあまりフツーではないのだ。

 ところが写真を撮ったその砂地の根では、いつ行ってもこのようにアカマツカサが根の上で群れている。
 群れているといってもけっこう疎らに分散しているから、穴倉で観るような「群れ」というイメージではない。

 それでも、20メートル未満の水深で、しかも周りは白い砂底だから明るいというのに、どうして夜の帝王のはずのアカマツカサが、特異的にこの根では日中に外に出ているのだろうか。

 明るいうちから外にいる彼らは、なにげに緊張状態を強いられているのだろうかと思うとそうではなく……



 むしろリラックスしているらしい。

 このアカマツカサの不思議、酔っ払いのゲストに話したところでなんの解決にも至らないだろうけれど、巨匠大方洋二さんならきっと目からウロコのお話をうかがえたろうになぁ……。

 実は。

 その大方さんが今年、水納島に長期ご滞在になるかもしれないチャンスがあったのだ。

 というのも、NHKの「ダーウィンが来た!」で企画された取材の対象が、水納島ならとても観察しやすい生き物だったこともあって、取材コーディネーターである大方さんから、ロケ地の候補に選んでいただいたのである。
 
 期間は6月中旬から7月中旬の一ヶ月間ど。

 その間島の民宿に滞在しつつ、NHKの撮影クルーなど一切合財でボートをチャーターというお話だった。

 予算のことはさておいて、そんな興味深い話なんていったら願ってもない大チャンス。一も二もなく四の五の言わず、二つ返事でそのオファーを受け………

 ……たいところではあったのだけど。

 ご連絡をいただいた3月の時点で、早くも6月中旬以降の各週末に入っていたゲストの予約。

 ああ無念なり!
 クロワッサンメジャーデビューの可能性も秘めたビッグチャンスは、酔いどれダイバーのゲストのみなさんのために、あっけなく雲散霧消したのであった。

 そんな大チャンスを蹴飛ばしてのご予約なのだから、それで「パス!」なんて言われた日には、破産してでもゴルゴ13を雇うことになるだろう。

 あ、ちなみにロケ地は座間味になったそうです。

関連記事