2014年06月30日

おフランス。

2014年 6月29日(日) 晴れのち夜雨

南西の風 おだやか 水温26~27度
   
 
 この日の新聞によると、渡嘉敷島のトカちゃんことゴマフアザラシ君は、残念ながらあえなく短い生涯を閉じてしまったらしい。

 ちなみに、先日おっとり刀で座間味に帰り、船で現地に駆け付けたうみまーるは、無事トカちゃんと遭遇、妙にフレンドリーなその姿を、余すところなく写真に収めることができたそうだ。

 ウミンチュに発見されたおかげで、ゴマちゃんの晩年はにぎやかなものになってしまったけれど、人知れずひっそりと死んでいくよりは、最後の最後で著名な写真家によってその姿を残すことができたわけだから、脚光という意味では華々しい生涯だったともいえる。

 話は変わる。

 当ブログにときおり書き込んでくださるマツドウさんは、酒豪である。
 特に、茶色い系のお酒に目が無いという。

 出先でちょっと時間が空いたときなどは、レアな洋酒を置いている店を物色するというほどだから、その好事家ぶりをご想像いただけよう。

 で、ありがたいことに、ご来島のたびにその数々の洋酒レパートリーのなかから魅惑の一本を携えてきてくださるのだ。

 今回はこれ。



 なんとこれ、フランスのシングルモルトウィスキー。

 フランスといえばいついかなる時でもワインを飲んでいるのかと思いきや、中には極めつきにウィスキーにはまる人もいるらしく、挙句の果てには自分で作ることになってしまった…

 ……という方が作ったウィスキーだそうな。

 その、最初に世に出た限定○○○本のうちの一本なのだという。

 まだ日が浅いからウィスキー自体の色合いは淡いものの、その味はかなり高級感が漂う。

 モノの価値を知らぬ我々がこんな貴重なものをいただいてしまっていいのだろうか…と3秒ほど考えたけれど、美味しすぎてあっという間に無くなってしまった。
 おかげで、写真を撮るときには中身が空になっていた……。

 マツドウさん、いつもいつもありがとうございます!

 ところで。

 酒豪マツドウさんは普段着としてがんばるオジサンTシャツを着てくださっているそうなのだけど、ある日コンビニに立ち寄ったときのこと。
 見知らぬ方から、

 「それって水納島のTシャツですよね?」

 と突然声を掛けられたという。
 それが本部町界隈ならいざ知らず、遠い内地の尼崎の話ですぜ。
 当店のTシャツをご存知の方限定人口密度でいえば、本部町の居酒屋のハイボールよりも遥かに薄く希釈されているであろう地域のはずなのに、ちょっと立ち寄ったコンビニでご存知の方と出会えるだなんて。

 その時は短い会話で終わってしまったそうで、声を掛けてこられた方の身元は今もってわからないまま。

 うーん、誰だろう???

 えー、尼崎のコンビニでがんばるオジサンTシャツをご覧になった方、是非ご一報くださいませ。

 

   


Posted by クロワッサン at 07:54Comments(2)世間の美味いもの

2014年06月29日

掘り出し物。

2014年 6月28日(土) 晴れ夜雨

南西の風 少し波あり 水温26~27度
   
 
 夏至直後の日差しは、正午頃になると真上から降り注ぐ。



 波に揺れてキラキラヒラヒラ踊る光は、まるで極北で見上げたオーロラのようだ。
 
 梅雨が明ける前からこのような日差しを待ちわび、太陽が顔を出すたびに夏を呼び寄せていたモノたちがいる。

 リュウキュウクマゼミだ。

 そして梅雨が明けると、一生の最後を締めくくる「成虫」ライフを満喫しようと、朝からそこかしこでセミたちの大合唱が始まる。

 そういう季節に庭のそこかしこで目にするのがこれ。



 セミの抜け殻。

 同じ木で羽化する場合でも、わざわざ高いところまで登るものと、木の下のほうでとっとと済ますものがいるのが面白い。

 幼虫時代の彼らは、羽化する最後の時を除き、普段は地中で暮らしている。食を木に頼っているため、たいていは木の根元周辺にいる。

 上の写真は我が家の庭に生えているオリーブの木で、その根っこはガメ公ハウスの中にある。

 現在ガメ公は極度の便秘で連日身もだえしているため(今日久しぶりにウンコが出てました)、ハウスの中でも緩慢ながら、身悶えのパワーは激しい。

 そんなおり、今日こそウンコが出てはいまいか…とハウスを除いてみると、こんなものがいた。



 なんとなんと、中身が入っているセミの幼虫。

 羽化しようと地上に出てきたのか、身悶えするガメ公に掘り起こされてしまったのかわからないけど、ワラワラ動いている姿を見ると、無理矢理掘り起こされてしまった感が強い。
 写真じゃ動きがわからなくとも、背中が割れてないから殻じゃないってことがわかる。 

 羽化しているシーンを除き、動いているセミの幼虫だなんて、目にするのは40年ぶりかもしれない……。

 あまりにも久しぶりだったので思わずパシャパシャ撮影したあと、とりあえず別の木の根元にそっと返しておいた。

 今頃は彼もまた、朝の大合唱に参加していることだろう。

 
  


Posted by クロワッサン at 07:37Comments(0)庭の歳時記

2014年06月28日

青空の下で。

2014年 6月27日(金) 晴れ

南西の風 波あり 水温26~27度
   
 
 毎年6月のこのあたりになると、さるお方が来沖される。

 しかし彼女は強烈な雨女で、どんなに前日までいいお天気でも、水納島にいらっしゃるとなぜか豪雨に。

 雨だけで済めばまだいいほうで、台風を呼び寄せる力もただものではなく、もはやその魔力はレジェンドの域に達しつつあった。
 沖縄県の観光業、ことに屋外レジャー産業からは、密かにゴルゴ13へ抹殺依頼が出そうなほどになっていたらしい。

 ところが!!

 今回はこのとおり!!



 たった2日前の空と比べれば、奇跡といってもいいほどの晴天ぶり。
 まだ青空に慣れておられないからポーズがぎこちないけど、彼女……すなわちさく菜やさんも、ついに青空が似合う女へと変貌を遂げられたのだった。

 今週末はきっと、エグザイルではじけておられることだろう。

 そんな絵に描いたような青空の下、ミスクロワッサンの船べりでは………



 ……Tバック撮影タイム。

 今回初めてお越しのゲストが、これまた初めて目にしてしまった衝撃の公然猥褻物を是非写真に収めようとしておられるところ。
 なにもわざわざ男のTバックなど撮らなくとも…とおっしゃることなかれ。
 
 初めてご覧になった彼にとっては、海中で見つける珍種の生物とほぼ同じようなものなのだから。

 そして、喜々として尻を向けるウロコムシ氏。

 梅雨が明けたばかりだというのに、いきなり「世も末」の光景が繰り広げられていたのである。

 
  


Posted by クロワッサン at 07:48Comments(4)日々の徒然

2014年06月27日

さらば梅雨。

2014年 6月26日(木) 晴れ!

南西の風 波あり 水温26~27度
   
 
 祝・梅雨明け!!



 これからいよいよ台風の季節だ!!

 
   


Posted by クロワッサン at 07:15Comments(0)日々の徒然

2014年06月26日

海豹と酒と蛸と。

2014年 6月25日(水) 雨

南西の風 おだやか 水温26度(30メートル以深は22度)
   
 
 ここ数年は梅雨明けが早くなっていた沖縄だけど、例年なら遅くとも夏至くらいには梅雨が明けている。

 本来は旧暦の5月5日に行われるのが伝統のハーリー、その銅鑼の音が鳴ると梅雨が明けると言われているのもそのためだ。

 ところが今年の旧5月5日は、6月上旬にあたっていた。そういえばそのあたりの天気は梅雨の中休みだった気がするけど、残念ながら梅雨明けを告げるものではなかった。

 で、結局25日の今日になってもまだ雨模様の1日に。
 梅雨明け直後のキラキラ輝く太陽を狙って予定を立てていたこのヒトたちも………



 鉛色の雲の下に。

 もともと有名海洋写真家は、タコ主任を誘って二人で来ようという計画を立てていたのだけれど、肩書がついて以来がんじがらめになっているタコ主任(実際の肩書はもう少し上らしい)は休暇を取ることができず、有名海洋写真家は一人でご来島……

 ……になるところ、本来は八重干瀬での取材予定が入っていたあーす~が、一人では何もできない有名海洋写真家を見るに見かねて(?)相方にお付き合いという形になっていた。

 まぁお天気はすぐれないけれど、海況はまぁまぁだし海中は初夏の装いになってきているし、ダイビングは楽しめそうだ。
 
 と思っていたら。

 昨夕島に到着して、来島後初のダイビングに行こうとした今朝のこと。彼らの元に1通の情報が届いた。

 海洋写真家ユニットうみまーるとしては、座視しているわけにはいかない情報でもあった。

 というわけで、来島後初ダイビングはラストダイビングになってしまった。
 激しい雨が降る中、午後イチの便で島を発つうみまーる。

 わざわざやってきた彼らをおっとり刀で引き返させたものとはなにか。
 その情報とは、これだ。

 いやはや…………沖縄にアザラシですか。
 座間味島のお隣の渡嘉敷島で確認されているため、この日のうちに座間味島に戻ってすぐさまボートをおろし、現地へ駆けつけようというわけである。

 もっとも、この日の朝刊に載っているくらいだから発見は昨日のことで、すでに関係各方面が動きだしているともいう。
 野生個体でつつがなさそうならそのまま見守るということになるかもしれないけれど、仮にどこかの水族館から逃げ出してきたなんて話になると、すぐさま保護されることになるのだろう。

 「保護」の方向で話が進み、すでに確保されていれば、予定を切り上げて座間味に戻った意味が無くなる。
 だから彼らとしても、どうすべきか最後の最後まで悩んではいたものの、やはり「沖縄でアザラシ」というこの千載一遇のチャンスに、ただ指をくわえて酒を飲んでいるだけというわけにもいかない。

 はたして彼らに成果はあったのだろうか。
 予定どおり水納島にいれば、この日夕刻にご到着された仙台チームZのお2人がお持ちくださった、この垂涎のお酒が飲めるはずだったというその事実を軽く凌駕する成果が。



 いやしかし、この雪漫々五年氷点下熟成酒の美味いこと美味いこと!!

 彼らの取材がうまくいきますように……と願いはしても、アザラシがいようといまいと、とりあえず新聞記事でいいや……という程度の我々は、迷わずこちらの極上のシアワセを求めるのであった。

 ところで、よくよく考えてみると、タコ主任が本人の希望どおり休みが取れていたらあーす~は八重干瀬に行っていたわけだし、有名海洋写真家も、誘った手前タコ主任を一人残して島を離れるというわけにもいかず、彼らにとってのアザラシはニュースだけで終わってしまうところだったのだ。

 もし今回取材がうまくいったとしたら、それはタコ主任に休暇を取らせなかった彼の上司のおかげなのである。

 
 
  


Posted by クロワッサン at 07:45Comments(0)日々の徒然

2014年06月25日

おれいの日。

2014年 6月24日(火) 雨

北東のち南の風 波あり
   
 
 ほんとに今年の梅雨はよく降るなぁ…

 …と嘆いていたら、東京では雹って。

 まぁ、本土では雹が降ることはままあるわなぁ…と思っていたら、その映像は衝撃だった。
 
 なんだ、あれは。

 あんなものが農作地帯に降り注いだりしようものなら、なんであれほぼ全滅じゃなかろうか。

 異常気象による食糧危機は、すぐ目の前まで迫っているに違いない。

 さて。

 チームウロコムシの一員であるMihoさんは、ワインのマグナムボトルを抱えると日本一似合う酒豪だけれど、ダイビングにも情熱を燃やし続けているダイバーでもある。

 で、慰霊の日の早朝、他に誰もいない貸切状態のビーチでダイビングをしてエキジットしてきた頃。

 船長カネモトさんは頭を悩ませていた。

 水納丸が停泊するスペースに、ビーチチェアーが転がっていたのだ。
 満ちていればなんてことはないものの、この先大潮になって潮が引くと、ペラに接触するかもしれない。
 プラスチックのイスと船の大きなスクリューとなれば、もちろんスクリューが日本に対するコロンビアなみに圧勝するのは間違いないものの、なまじ高速に回転しているものだから、それなりにスクリューも破損してしまう。

 ハイシーズンを目前にしてスクリューの損傷はいただけないので、海底に鎮座するビーチチェアを早々に撤去しておくにこしたことはない。

 しょうがない、昼間に自分で泳いで撤去するか……

 と覚悟を決めつつあった船長カネモトさんの眼に、波打ち際からトコトコトコとエキジットしてくるMihoさんの姿が……。

 というわけで、ビーチチェアーはMihoさんの手によって無事に撤去されたのだった。

 そして。

 その朝10時15分に到着するゲストを迎えに桟橋へ行くと、船員さんが呼んでいる。
 なんと、朝イスを撤去してくれたMihoさんへのお礼ということで、船長カネモトさんからオリオンビールの夏いちばんが大量にもたらされた。

 あいにく船長はこの日朝に勤務の交代だったので、ご本人はおられず、ビールを船員さんに託してくれたのである。

 なんて粋な!!

 こうして慰霊の日は、お礼の日になった。

 おかげで酒豪Mihoさんが島でビールにかける費用が浮いた分を当店の商品に回していただけたし、チームウロコムシのみなさんもビールのおこぼれに与ることに。

 「これだったら、毎回イスを放りこんでおこうか!!」

 なんてオソロシイ話も出始めていた……。

 そして翌日、お帰りになるMihoさんから、我々にも船長ビールのおこぼれが。



 まだ梅雨は明けてないけど、一足早く夏いちばん!!

 
   


Posted by クロワッサン at 07:57Comments(4)日々の徒然

2014年06月24日

何もかも…

2014年 6月23日(月) 晴れのち夜雨

南西の風 波あり 水温26~27度
  
 
 みな懐かしい………。



 掃いて捨てるほどの豊作の年があったのも今は昔。
 あの頃は毎日ゴミ袋一杯分くらい収穫できていたなぁ……。

 現在は本来の「高級」フルーツになってしまっているパッションフルーツなのだった。
 

  


Posted by クロワッサン at 07:33Comments(0)世間の美味いもの

2014年06月23日

ハマちゃん。

2014年 6月22日(日) 晴れ

南西の風 波あり 水温26~27度
  
 
 滅多に観られないシーン。



 クマノミ類が卵をケアしている姿なんてよく観られるじゃん……と思われたあなたはまだ甘い。

 ハマクマノミは、住処のタマイタダキイソギンチャクの根っこのほうに卵を産みつけるので、彼らの卵を目にする機会はほとんどないのだ。

 ごくたまに、イソギンチャクが何かの拍子で縮んでいる時、こうしてヒミツの卵を拝むことができるのである。

 ガイド中に観たことはこれまで何度かあったけれど、カメラを携えている時に出くわしたのは初めてのこと。

 よく見るシーンのように見えて、実はレアケースなのだった。

 
  


Posted by クロワッサン at 08:23Comments(0)水納島の海

2014年06月22日

謎のクリーチャー。

2014年 6月21日(土) 晴れ

南西の風 波あり 水温26度
  
 
 これは誰?



 ちなみに、右側が進行方向です。
 サイズ、形状のわりにはやたらと高速移動してました。


  


Posted by クロワッサン at 07:40Comments(6)水納島の海

2014年06月21日

「神」との再会。

2014年 6月20日(金) 曇りのち晴れ

南西の風 波あり
  
 
 さすが夏至直前、ひとたび晴れたら強烈な日差し。

 1日に1、2度潜っていたらそうでもないんだけど、一度も水に浸かることなく過ごすこの時期の晴れた日は相当に暑い。

 ……ということを久しぶりに思い出した。

 19日は本島での屋外作業だったので、こんなに晴れていたら死亡したかもしれなかったところ、幸いにも今にも降り出しそうな雲行きの曇り空だったおかげで、実に快適に作業を進めることができた。

 で、夜はハイシーズン前最後になるであろう本島で生ビール。
 
 久しぶりに居酒屋「海(かい)」さんでダハダハと飲む。
 ひとしきり飲んで食べていいコンコロ持ちになったとき(スタートが早いので出来上がる時刻も早い)、新たに入店してきたお客さんたちが、我々の隣のテーブルに向かってきたのでなにげに顔を見ると………

 おぉッ!?

 クワムラ先生ではないですか!!

 「おっ!!」

 センセイも即座に認識してくださった。

 先だっての本川達雄先生ほど一般的なメディア露出はないけれど、桑村哲生先生といえば魚類学、ことに魚類行動学を志している学生や若い研究者にとって、まさに神のごとき光輪を後頭部から四方八方に放ちまくっている方である。

 机の上で仕事ができる分野と違い、実際に海で何時間も何時間もお魚たちを観察するフィールドワークの第一人者で、その著書も数多い。



アネックスに寝泊まりしていたドレヤンが、借りたままアネックスに置きっぱなしにしてくれていたおかげで、
奇跡的に被災を逃れた著書の数々。


 そんな著名なセンセイをなんで我々が存じ上げているのかというと、研究フィールドを瀬底島にしておられたときのセンセイが、骨休め・息抜きのために、瀬底の研究所のお仲間たちと連れ立って、水納島まで潜りに来てくださっていたからだ。

 中京大学に籍を置きつつも瀬底島にはけっこう長期滞在なさっていたので、お越しいただいたことも1度や2度ではなく、瀬底滞在というのにわざわざ島にお泊りになって、もちろん夜はたらふく飲んだものだった。

 当時のゆんたくタイムの最長不倒記録2時までを達成するほどに……。

 ダイビング中は、大学の研究費予算で購入したというニコノスRSを使って激写されていたセンセイだった。
 しかし最も劇的に記憶に残っているシーンは、そんなダイビング中のシーンよりも何よりも、エキジット後そのRSから大量の水がドボドボと零れ落ちてきたことだった………。

 もうかれこれ15年以上前のことになる。

 そんなクワムラ先生と久しぶりに再会。
 アカデミズムとはまったく無縁な我々ながら、懐かしい方とお会いしたら、やることは一つ。



 研究者仲間さんに撮っていただいた……。

 相変わらずお酒はお好きのようで、しかもセンセイ方のテーブルには次から次へと肴の皿が並んでいく……。

 若い方も加わっていたとはいえ、そちら方面も相変わらずお元気そうだったのでなによりなにより。

 翌日何かが水没しませんように……。

 それにしても昨年末から、四半世紀ぶりとか20年ぶりとか15、6年ぶりという人々に会う機会がやたらと多い。

 今年は走馬灯のような1年なのか?

 人生最終盤にあたっての締めくくりだったりして…

 ……などとオタマサは言うけれど、なんのことはない、単に小さな離島で長く生きてきたから、再会する人それぞれがどんどん久しぶりになっていくだけの話ではないか。

 さあて、次の「久しぶり」は誰だろう??

 
  


Posted by クロワッサン at 07:43Comments(0)日々の徒然

2014年06月19日

出会いは顔だけ。

2014年 6月18日(水) 曇り時々日差し

南西の風 波あり 水温25~26度
  
 
 砂地のポイントで潜っていたとき、目の端でスーッと何かが砂の中に引っ込んでいくのが見えた。

 砂底から伸びていたのは3センチほどの、細長く白いものだった。
 
 チンアナゴの幼魚くらいの、もっとわかりやすく言うならきしもと食堂のそばほどの太さだ。

 水納島の砂底といえばチンアナゴ、いわゆるガーデンイールが普通にいるけれど、その周辺10メートル四方にはガーデンイールの姿はない。

 はて、今のはなんだったんだろう……。

 気になったので、引っ込んだはずの砂底を観てみると、驚いたことにまだ完全に引っ込みきってはおらず、顔だけ見えているではないか。



 えーと……誰ですか、このヒト?

 人相の悪い極小ジョーフィッシュ……に見えなくもないけれど、体を出していたときはほぼ直立で、まだ体の続きが穴の中にありそうに見えた。
 それに↓この鼻(?)の雰囲気は……



 アナゴ系なのか??

 うーん、気になるその正体。
 待っていれば、再び体をピヨヨ~ンと穴から出してくれるかもしれない。

 そこで少し距離をおき、待つことしばし。
 すると……



 引っ込んでしまった(涙)。

 翌日同じ場所に行ってみたところ、穴すら確認できず。
 ずっといるわけじゃなくて、たまたまその日そこにいただけだったのだとしたら、この先再会できる見込みは限りなく低そうだ。

 ますます気になるその正体。

 こういう場合、すぐさま世界のM下さんにご教示願うところなのだけれど、シアワセの絶頂におられる今の彼に、このようなことでお手を煩わせてしまうわけにはいかない。

 どなたかご存知の方、情報プリーズ!!

 明日のこの稿は更新しません。



   


Posted by クロワッサン at 07:34Comments(0)水納島の海

2014年06月18日

生き物は円柱形!

2014年 6月17日(火) 晴れ

南の風 波あり 水温25~26度
  
 
 先日来の長雨のせいで再び不通状態になっていた電話が、この日ようやく復活した。

 昨日のボイラーに続き、電話も復活。
 そしてまさかまさか、台風7号まで復活してしまった。
 
 なんだあれは。

 速度が速いおかげであっという間に東に抜けていくとはいえ、台風といっても小規模とはいえ、コース上の人たちにとっては寝耳に水もいいところ。
 我々はギリギリのところでその「コース上」を逃れていたことを、ちょうど真北あたりを通過中くらいのときに知った。

 今年もまた、こういうヘンテコリンな台風が増えるのだろうなぁ……。

 それにしても、6月中旬ですでに7号って。

 今年はいったいいくつできるんだろう、台風。
 
 さて。

 先日お伝えしたとおり、水納小中学校内にて、歌う生物学者本川達雄氏の出前授業がこの日行われた。

 歌う生物学者といっても、何もご自身だけが歌うわけではなく、授業を聞いている側も参加しなければならない。

 そして「円柱形!」というバックコーラスのパートがある「生き物は円柱形」という歌では、全員が手をあげながら円柱形!とコーラス。



 その掲げている右腕自体が円柱形、そして都合16回も円柱形!と言い続ければ、生き物の基本構造は円柱形であるという授業のおさらいも完璧だ。

 授業は、2時限分の枠が用意されたことから2部構成で、前半はサンゴの話、後半は生き物は円柱形という話になっていた。
 円柱形の話は、先生が出演されていた教育テレビの番組で聴いたことがあったけど、前半のサンゴの話はまさに、我々が学生時代に先生から教わった講義そのもの(小学生向けの言葉づかいではあったけれど)。
 我々にとっては四半世紀以上の時を越えた「復習」になったのだった。

 風船その他子供向けの小道具を駆使した面白い授業は、給食のおばさんをしているヤスコおばさんにも大ウケで、

 「あなたがたのセンセイって面白い方だねぇ!」

 とおっしゃりながら、何度もウケては僕の右肩をパシパ叩いていた。肩イタイイタイ。

 しかしなんといっても驚いたのは、本川先生がうちの奥さんのことを、旧姓まで覚えておられたことだ。
 さらには先年台風のせいで被災したことまでご存知だった。

 卒論の指導教官だったというわけでもなく、そこまで親しいお付き合いをしているわけではないのになぜ???

 実は、クロワッサンのIT伝道師・O形さんは、近年本川先生に師事しておられた時期があり、その縁で当方の近況を先生にお伝えいただいていたらしい。
 
 おかげで先生の著書にサインを求めるオタマサもリラックスモードで会話することができ、お帰りの間際には…



 ツーショットも。

 お礼がわりに、ウニヒトデナマコといった棘皮動物がご専門の先生に、当店特製ヒトデナマコピエロTシャツをプレゼントしたのだった。



 
今はもう販売終了しております。


 今回の来沖では、水納小中学校だけではなく、八重山まで含めた県内各地で授業をされるそうで、これすべてボランティアなのだとか。

 定年なさって年金生活とおっしゃりながらも、サンゴをはじめとする生き物たちへの興味、ひいては地球を大切にしようという啓蒙活動に、今もなお熱心に取り組んでおられるのであった。

 著書もたくさんあるし、youtubeでは歌の動画もたくさん観られるので、興味のある方は是非いろいろとご覧くださいませ。
 

   


Posted by クロワッサン at 07:04Comments(6)日々の徒然

2014年06月17日

復活の代価。

2014年 6月16日(月) 雨

南の風 波あり 水温25~26度
  
 
 突如沈黙してしまったボイラーの修理を頼むべく、昨夕に本部ガスさんに連絡してあった。
 
 ただし昨日は日曜日だったので、お留守番スタッフの携帯が稼働しているのみで修理スタッフはお休みだったため、今日になって修理担当者から連絡があった。

 症状を訴えると、おそらく基盤であろうという診断。
 ヤモリか何かのせいでショートしてしまい、基盤が壊れてしまうということはよくあるのだ。

 僕もきっとそうだろうなぁと思っていたので、意見が一致したところでさっそくボイラーの扉を開け、基盤を取り外して裏側を見てみると……

 5齢くらいの幼ゴキブリの死骸が、5粒の糞とともに転がっていた。

 たった……たった1匹のゴキブリのせいで…………。

 原因が基盤であろうことはほぼ間違いなさそうだということが判明したので、その後連絡船に乗って修理スタッフが……

 ……簡単に来るほど離島生活は便利ではない。
 連絡船でやって来たのはこれだ。



 基盤。

 はい、パーツだけ送ってもらって自分で交換することに。
 NTTの修理のように、実際に来るのが下請け業者ならいざ知らず、受注と施工が同一の場合、業者はなかなか離島には来たがらないのである。

 ボイラーの基盤程度のことなら、自分でやってってなもんだ。
 
 さっそくチョコチョコチョコといじくって新旧を入れ替え、スイッチを入れてみると……

 ボォオオオオオオオッ!!

 おお、高らかに復活を告げるボイラー燃焼の頼もしい轟音。

 やはり基盤が壊れていたのだ。
 そしてその原因は、ゴキブリ1匹。

 ゴキブリがボイラーの隙間に忍び入ることは、これまでにもたびたびあったのだろう。
 でも、そのときに使用しておらず、使用する前にゴキブリが出て行ってしまえば、基盤がどうなるわけでもない。

 ところがゴキブリがいる時にスイッチをオンにしてしまうと、基盤はたちまちショートしてしまうのである。

 昨夕温かい湯を浴びていたまさにそのとき、件のゴキブリ君は基盤の裏にいたのだろう。

 ま、こういう自然溢れる場所に住んでいるのだから、ゴキブリの1匹や2匹……いやいや、100匹や200匹いてもおかしくはないし、悪さをしたゴキブリを恨むこともない。

 ただただ、1万7千円もする基盤の値段だけが恨めしい………。

 というか、たかだか20センチ四方のこの基盤4つ分ほどで、ボイラーの新品を購入できるってどういうことよ。

 これがパーツの老朽化による故障であれば、この先また老朽化するまで安泰でいられるけれど、原因がゴキブリとなれば、故障するかどうかは地雷のようなものじゃないか。

 ボイラー室には絶えずバルサンを焚いておくしかないのか???

 <30回ほどで基盤1個分ですけど??

 うーむ……。

 <相手がヤモリだったら??

 むーん……………。

 
  


Posted by クロワッサン at 07:07Comments(0)日々の作業

2014年06月16日

女性誌デビュー。

2014年 6月15日(日) 雨

南の風 波あり
  
 
 梅雨の季節に雨が降らないなら降らないで、やれ水不足だ干ばつだと困ったことになる。

 だからといって、降りすぎたら降りすぎたで、これまた大変なことになる。

 日本は昔から、イエスでもノーでもない、黒でも白でもない中間部分を文化的に育んできたわけだけど、お天気もまたしかり。「ほどほど」だからこそ、四季折々の季節の味わいがある気候風土の国だったのだ。

 ところが昨今の気象ときたら、メリハリありすぎ。

 これが10年20年と続いていったら、おそらく日本の暮らしは相当変わったものになることだろう。

 でまた、津波に備えた堤防があべのはるかすのようにそびえ立つ、といった天災に備えた大規模な工事も大変に荒々しい。
 これまた10年20年続いたら、おそらく日本の風景は相当変わったものになることだろう。

 昔は国敗れても山河は残ったから、そこで暮らす人々はとりあえず生きていくことはできた。
 しかし今のままでは、国敗れて山河もなしってことになってしまいそうだ。

 今年の沖縄の梅雨も、たしかに梅雨っぽいといえば梅雨っぽいんだけど、その降り方には「恵み」の慈愛っぷりが微塵も感じられない。
 
 おかげで、修理後それなりにちゃんと繋がっていた電話がまた普通になるわ、ボイラーが突然機能停止になるわ……。

 雨が降ったら壊れる電話線やボイラーって何???

 とにかくそんなわけで、今電話は不通状態でございます……。

 話は変わる。

 ダイビング雑誌すら見なくなって10年は経とうかという僕がたまに目にする雑誌といえば、沖縄銀行の窓口で待っている間に読んでいる、銀行備え付けの週刊文春くらいなもの。

 そんな僕にとって女性誌なんぞというものは、アフガニスタン人にとっての囲碁ジャーナルなみに無縁な存在だ。

 もちろん、「女性」という言葉とそもそも無縁なオタマサにとっても、女性誌なんてものは普段の生活にまったく縁がない存在といっていい。

 ところが。

 このたび、オズマガジンなる女性誌が沖縄特集を組むにあたり、当雑貨屋さんが小さく小さく、それこそ爪の先のレアウミウシなみのサイズで紹介されている。



 そして、35人が紹介するおすすめ沖縄スポットという、なんで35人なのかよくわからないコーナーでは、水納島の海がおすすめスポットということで、オタマサ名義で紹介している。

 マスメディアとは無縁な当店がなぜにこのような女性誌に登場しているのかというと、水納島に一度取材に訪れたらしい編集者から依頼を受けたからにほかならない。

 「島に来たはいいけどお店が開いていなかったので……」

 ということで、誌面で紹介するから是非お店の外観写真をお借りしたい、ということだったのだ。

 今さらダイビングサービスの宣伝をする気はさらさらないけれど、雑貨屋さんの宣伝をすること自体はやぶさかではないので、快諾してすぐさま写真を撮って送った。

 それが52ページの写真ね。

 このあたり、今日のデジタル社会は便利でございますなぁ……。

 すると、件の編集者は、当サイトを見たとかいろいろとその気にさせる言葉を並べつつ、さらなる要望を。
 いわく、おすすめスポットとして水納島の海を紹介したいから、紹介者のポートレートかそれに代わる写真(花でもOK)と、海中の風景写真とともに、その紹介文を60文字以内で、それと紹介者のプロフィールを30文字で、ということだった。

 水納島の海をどれだけ紹介しても、潤うのは本島から水納島に潜りに来るダイビングサービス……という図式が成り立って10年経つ今、いまさら当方が島の海を「おすすめスポット」などと紹介する意味は営業的にはほとんどないんだけど、これはまぁ行きがかり上しょうがない。

 とはいえあなた、30文字でプロフィールって、何を書けっつうのよ。

 しょうがないのでとりあえず、

  「島暮らしを始めて今年で20年目、今日も作って潜って飲んでます。」

 2ケタの半角数字を1文字と見なせば、句読点を含めてちょうど30文字。我ながら完璧!!
 
 ……と思っていたら、使用されていたのは最初の「島暮らしを始めて今年で20年目」の部分だけなのだった。
 
 やはりオサレ~な女性誌には、「飲んでます」なんてノリは不向きなのでございますね……。
 
 いずれにせよ、2日後を目途に…という要望をその日のうちに、というか、依頼後1時間以内でこなし、送信用にリサイズした写真とともに送った。
 
 その後…

 ……音沙汰なし。

 送ったもので事足りたのかどうか、それ以前に、そもそもちゃんと届いているのかどうか、送った側としてはいろいろ気になるところである。

 ちゃんと届いているなら届いているで、これでOKとかありがとうとか、一言あってもいいんじゃないの??無償でやってるんだから。

 依頼するときはさんざん美辞麗句を並べつつ、用済みになると見向きもしなくなる。
 これがマスコミのフツーの姿勢であることは言うまでもない。

 だいたい、よくよく考えたら、わざわざ訪島してくださったのに店が閉まっていたのは申し訳ないにしても、外観写真くらいその場で撮れるんじゃね???

 そうこうするうちに、約束どおり見本誌が届いた。
 あ、写真と原稿はちゃんと届いていたのね………。
 
 それにしても、このオズマガジンというのは世の中でどういう存在なのだろうか。
 買わないまでも、手に取ってみたことがあるという人が、身の周りにどれくらいいらっしゃるのだろう??

 ……と思っていたら、先日予約メールを送ってきてくださったゲストから、オズマガジンに載っていた!!とお知らせいただいた。

 公称10万部といえば実質1万部くらいだろうに、けっこう世に出回っている雑誌なの?

 なにはともあれ雑貨屋さん、ついに女性誌デビュー♪

 って、店の外観写真だけじゃ、その効果はほとんどないだろうけど……。

 ちなみにオズマガジンのその号では、座間味島の紹介ページでうみまーるの水中写真がドドンと大きく使用されている。
 水納島の新1本サンゴの写真がサムネイルサイズであるのとは大違いだ。

 これって、写真使用料は払われているのだろうか。
 それとも、これまた無償提供なのだろうか。

 今度会ったら訊いてみようっと。

 
   


Posted by クロワッサン at 08:07Comments(6)吉田兼好宣伝

2014年06月15日

サンゴのタンゴ。

2014年 6月14日(土) 曇りのち雨

南東の風 波あり 水温24~26度
 
 
 この週末はワールドカップ開幕のせいか、うちの予約はヒトッコヒトリーヌ。
 クロワッサンのゲストは、みんなブラジルに行っているに違いない。

 なので朝は遊びで潜りに行ける。
 でも昼前から強い雨になる雨雲の動き予報だったから、オランダ×スペインを観終わった後、いつもより早めに行くことにした。

 すると………



 ………ハナヤサイサンゴが噴火していた。

 実はこれは、ハナヤサイサンゴの放卵……もとい、放幼生だ。

 ミドリイシ類が卵と精子をバンドルと呼ばれるカプセル状の一塊にして放出するのに対し、ハナヤサイサンゴ類は幼生になるまで体内で保育し、その幼生を放出するのだとか。

 また、ミドリイシ類が夜中に放卵するのとは違い、ハナヤサイサンゴ類は早朝に行う。

 そう、この日たまたま雨を避けて早めに潜ったからこそ観ることができたのだ。

 それにしても、煙にしか見えないこのモクモクがサンゴの幼生だなんて……。

 あまりに小さいから他の魚たちに食べられる心配がないってことで、明るくなってからでもOKなんだろうか。

 そうだ、サンゴといえば、「サンゴのタンゴ」なる歌がこの世にある。

 ~♪
 
 海のオアシス サンゴ礁
 貧栄養の 大海の
 中に広がる 楽園は
 多様な命の 育つ場所

 というのが1番の歌詞。
 おそらく「およげ!たいやき君」の100万分の1くらいしか売れていないだろうから、知らない人はまったくご存知ないに違いない。

 しかし一部では超有名で、時にはテレビにさえ登場することもある。

 歌っているのは、知る人ぞ知るシンガーソングライター、本川達雄氏。

 シンガーソングライターというのはご本人が肩書として併記されているのでけっして脚色ではないのだけれど、ご本業は生物学者だ。

 何を隠そううちの奥さんは、高校時代にこの先生の著作を読んだことがきっかけで琉球大学進学を決めたのである。

 もちろん我々が入学した頃は本川先生も琉大に籍を置いていたから、教養課程の頃には他学科の僕も講義を受ける機会があった。

 そしてその講義では、ご自身作詞作曲による生き物の歌を、いつも一曲披露されていた。

 当時はつくづく「変なおっさんやなぁ……」と思ったものだった。

 ところが徐々に世の中が追いついてきたのか、琉大から東京の大学に籍を移されたあと、「歌う生物学者」として脚光を浴びるようになってやたらとマスメディアに登場されるようになり、歌のCD化はもちろんのこと、テレビでそれらの歌が披露されるようにもなった。

 今や押しも押されもしない、歌う生物学者なのである。

 そんな本川達雄先生が、なんとこのたび水納小中学校で「出前授業」をしてくださるという!!

 講演タイトルは「生き物は円柱形」。

 ワタシ、この歌を歌えます………。

 定年を迎えられた後も東工大に籍を置いておられるらしい先生は、空いた時間を使って各地でこの「出前授業」をしているそうだ。

 まさかその出前の行先が水納島になる日が来るだなんて……。

 会場が音楽室なのは、他に場所がないからなのか、歌う生物学者だからなのかはわからないけど。

 授業は17日に予定されている。
 予定どおり事が運べば、実に28年ぶりに講義を拝聴することになる。
 オタマサが今から浮き足立っているのは言うまでもない。

 
  


Posted by クロワッサン at 07:40Comments(0)水納島の海宣伝

2014年06月14日

サンゼンサンゴ2014。

2014年 6月13日(金) 晴れのち曇りのち雨

北東の風 うねりあり 水温25~26度
 
 
 この日は2本潜ってからお帰り予定のゲストが早朝からワールドカップの開幕戦をご覧になるというお話だったので、どうせ早起きするのだったら、1本目は朝飯前に行きましょうということになった。

 7時頃に桟橋に赴くと、やわらかな日差しの下、夏至直前とは思えない涼やかな風が吹いていた。

 その風に乗って………

 ……なんだか生臭いにおいが。

 この、海全体から漂ってくる生臭いにおいといえば!

 そして2本目の準備のため再び桟橋にやって来たとき、そのにおいの正体が予想どおりだったことがわかった。

 これ。



撮影:オタマサ


 そう、サンゴの卵。
 どうやら昨夜、近隣の海でサンゴたちが放卵したらしい。

 せっかく大海に放たれたのに、こんな桟橋脇にたどり着いて悲運なヤツ…ってところだけど、このあと引き潮に乗って、卵は再び海原に旅立っていった。

 桟橋脇が赤くなっていたのはちょうど連絡船の1便が到着する時刻だったので、連絡船から降りてきたお客さんたちも、お客さんの対応をしている日帰り業者のスタッフも、みんな目にしているはずなんだけど、それがサンゴの卵であるということに誰も気づいてはいなかった。

 下手をすると、桟橋脇だから淀んだ水がゴミとともに溜まっている……と思っていたヒトもいたかもしれない。

 ただ一人、ビーチのリョウセイさんだけが、お客さんに見せながら説明していた。

 さすが。

 タコやサザエやシャコガイなどの獲物だけが、彼にとっての「生き物」というわけではないのである。

 ところで、こうして桟橋脇に集まったサンゴの卵の写真というのはよく新聞などで目にする機会がある。
 でも、それを水中から撮った写真なんてそうそうない。

 はたしてどういう風に見えるのだろうか。
 コンデジを携え、波打ち際から足を踏み入れてみると……

 なんだか………明太子パスタになった気分。

 そしてカメラだけ水に浸けて、パシャ。



 うーん、なんだかよくわからん………。

 ともかくこれが、桟橋脇の片隅で暮らしているルリスズメダイのチビチビたちが、ふと水面を見上げたときの景色だ。

 桟橋脇の海面を一部赤く染めるサンゴの卵たちは全体のごく一部で、これらの何倍もの数の卵の集団が海面を漂っている。
 そのためサンゴの放卵があった翌朝は、海が妙に生臭いのである。

 そんな卵たち(すでに受精卵)は、ほどなくプラヌラ幼生となって泳ぎ始める。
 そして運よく成長に適した場所にたどり着いた幼生たちが、やがてリーフを彩るサンゴに育っていくことになる。

 ひょっとしたらこの明太子ふりかけのような卵たちの中に、未来の一本サンゴがいるかもしれないのであった。
 

  


Posted by クロワッサン at 06:47Comments(2)水納島の海

2014年06月13日

開幕。

2014年 6月12日(木) 晴れ

北の風 波あり 水温25~26度
 
 
 ただいま、ブラジル×クロアチア観戦中……。


  


Posted by クロワッサン at 06:06Comments(0)日々の徒然

2014年06月12日

Not キホシスズメダイ。

2014年 6月11日(水) 曇りのち雨のち曇り

南の風 少し波あり 水温24~25度 

 
 まだまだ梅雨なんですねぇ……。

 そうですねぇ……。

 な~んて呑気なことを言っていたら、台風が発生した。
 台風に発達する可能性は低い見込みです、と気象庁はいつになく力強い見通しを伝えていた熱帯低気圧だったんですけど????

 ま、あっさり離れ去ってくれるようなので、一夜の嵐で済みそう。

 さて、2日前のこと。

 先日紹介したクマドリカエルアンコウを僕も確認すべく、2日後に再訪してみた。すると……

 ……いなくなってた。

 やはりあの人差し指がイヤだったのだろう。

 しょうがないので近くの根に場所を移して根の周りを物色していると、見慣れているような見慣れていないような、微妙なスズメダイの幼魚がいた。

 2センチほどだ。

 見た目キホシスズメダイの幼魚のように見えるんだけど、なにしろそこは水深25メートルほど。
 幼魚も大人もリーフ際や浅いところの根で群れ集うキホシスズメダイが、本来いるような場所ではない。

 しかもたった1匹。

 こういうやや深い場所でロンリーなスズメダイやハナダイとくれば、それはたいていレアなものと相場は決まっている。

 でもキホシそっくりなんだよなぁ……。

 とりあえず写真撮っとこ。
 


 こ………これはッ!!

 ……なんなんでしょう??

 浅いところに戻ってきて、群れているキホシのチビチビと見比べてみても、いまひとつ別物であるという確信が持てなかった。

 持てないけど……なんか違うよなぁ。

 おっ!!
 そういえば、うちにはゲストからいただいた「スズメダイ」という図鑑があるじゃないか。

 家に戻ってからさっそくチェック。

 こ……これは………

 スズメダイ属の1種の1!!

 ……って、なんじゃそりゃ。
 
 ようするにまだちゃんと分類学的に記載されていないスズメダイさんってことね。

 その解説によると、

 「キホシスズメダイと混同されている未記載種」

 とあった。
 なるほど、たしかにそっくりだ。

 こんなそっくりさんにちゃんと注目するあたり、やはりワタシはタダモノではないに違いない。

 ……って、ホントにキホシじゃないんだろうか???

 いまだに確信が持てないのだった。

 <タダモノじゃん……。


  


Posted by クロワッサン at 07:13Comments(0)水納島の海

2014年06月11日

新世界の味。

2014年 6月10日(火) 曇りのち晴れ夜から雨

南東のち南の風 少し波あり 水温24~25度
 
 
 大阪に帰省すると、このところ必ず行きたくなるのが新世界。
 午前中から串カツと生ビールでシアワセになれる、まさにニューワールドだ。

 最近はガイドブックなどにも大々的に紹介されるなど、すっかり「観光地」に変貌した新世界のそれら飲食店は、総じて串カツ屋と呼ばれる。

 観光客として訪れる人々もまた、2度浸け禁止のソースで串カツを食べることを目的としている。

 しかし串カツ屋のメニューには、串カツとともに双璧をなしてメインを張っているものがある。

 どて焼きだ。

 知らずに聞くと「どて」を焼いたもの?
 どてって何?

 と思うこと必至のこのどて焼きは、牛スジを味噌で煮込んだものだ。

 焼きといいながら実は煮込む料理なのである。
 ウィキペディア的知識では、その味噌を鍋に土手状に盛り、熱とともに徐々に溶け出す味噌で煮込んでいたからどて焼きという名称なのだとか。

 でもなぜ煮込むことを焼きというのかはわからないけど…。

 店によって味も素材も大きく変わるというこのどて焼き、たしかに我々が過去に訪れた新世界はジャンジャン横丁のお店でも、「こっちのほうが美味しい」と思えるだけの違いがたしかにあった。

 これがまたクセになる味。
 関東にモツ煮込みあれば、大阪にはどて焼きありってところである。

 残念ながら沖縄では、串カツ屋はチラホラ散見できるようになってきたものの、どて焼きをウリにしている店には出会ったことがない。
 では家で作るか…となっても、牛の中身は精肉屋で手に入れることはできても、牛スジとなるとそんじょそこらではめにすることができない。

 そもそも、美味しいと思った店の味をそうそう再現できるものではない。

 ところが!!

 ここに、新世界どて焼き生活50有余年の方がいた。

 パッション&ドラゴンさんである。
 我々がかつてジャンジャン横丁の「てんぐ」でどて焼きを食べた際、以前食べた店のものより美味しい気がする…とオボロゲな感想を抱いたところ、

 「てんぐのどて焼きは美味いねん!」

 そう力強く太鼓判を押してくださった方でもある。

 そして彼は今回のご来島に際し、ついに「てんぐ」のどて焼き再現計画に着手された。
 ご自宅でのプレ本番で味チェックを済ませつつご持参くださったのが、ボイル済みの大量の牛スジ!!&白味噌。

 研究の成果であるヒミツのレシピでタレを作り、そこへ牛スジを投入。
 じっくりことこと煮込むことしばし。



 もうこの時点でヨダレが那智の滝状態になってきているワタシ。

 そして実食!!



 これは……

 これは……

 めっちゃ美味いッ!!

 まさにどて焼き!!

 しかも、目的はてんぐの味再現ではあったものの、牛スジも味噌も、安価に抑えるためにコスト削減を強いられているであろう本家よりも良い素材だからだろうか、むしろ本家のどて焼きよりさらに美味しいほどだ。

 これをそっくりそのまま那覇の栄町で店を開けば、たちまち行列のできるどて焼き屋になることだろう。

 このような辺鄙な離島に居ながらにして、まさか本場のどて焼きを味わえようとは。

 いやあ、やめられない止まらない。

 鍋代わりにしたフライパンにテンコ盛りだったどて焼きは、あっという間に完食(ほとんどワタシが食べました……)。



 パッション&ドラゴンさんご夫妻、ありがとうございます!!
 「秘密のレシピ」は生涯座右のレシピにしつつ、なんとしても牛スジを手に入れて、冬場のシアワセに役立てさせていただきます!


  


Posted by クロワッサン at 07:58Comments(2)世間の美味いもの

2014年06月10日

It's a small world!!

2014年 6月9日(月) ぐずついた天気のち大雨

東南東の風 少し波あり 水温24度
 
 
 梅雨はもう明けた…と固く信じていた僕を嘲笑うかのごとく、午後から本格的にドシャッと降ってきた。
 梅雨の最後の悪あがきが数日続くのだろう……。

 世界に冠たるオーボエ奏者のトーマス・ローデ氏と、これまた世界的なオーボエメーカーであるムジーク・ヨーゼフの社長ナカムラ氏が、ともに水納島を懇意にしてくださっていることはかつて紹介した(こちらこちら)。

 で、今回はそのナカムラさんの娘さんのローラさんが、お友だちとともにご来島。
 そして、是非体験ダイビングを、ということになった。
 大雨が朝からじゃなくて良かった……。

 そのローラさんのお友だちというのは、フランスの女性ソフィーさん。
 英語でも我々はどーしよーもないというのに、フランス語なんてジュトジュデニジューくらいしか知らない。<それってフランス語じゃないですけど……。

 そんなことで、場合によっては命にかかわるダイビングのそれやこれやを、うまく説明できるの???

 心配ご無用。
 ローラさんはフランス語がペラペラなのである。
 おかげでうちの奥さんが事前に行うレクチャーの際は、まるで同時通訳のニュースを観ているような雰囲気だった。

 そして。

 人生で初めてナマ「ウィ」を聞いた。
 妙にウレシイ。

 フランス語って、トルシエあたりが喋るとなんだかフゴフゴ言っているようにしか聴こえないのに、若い女性が話すとなんだかトレビア~ン♪

 あ、他にもフランス語知ってた……。

 お、そういえばメルシーも知ってるぞ。
 ボンジュールもフランス語じゃん。
 イカアシジュポーンも……
 
 …それは違うか。

 お2人とも生まれて初めての体験ダイビングだったそうだけど、海中ではともに超リラックスモードでお楽しみいただけた。
 で、そのご様子が実に好対照だったのが面白かった。

 日本人のローラさんは、引率する我々が理想とするほどの落ち着いた身の委ね方だったので、中層を泳いでみるときも含めてほとんど重量・抵抗を感じさせないリラックス状態。

 一方ソフィーさんは、スノーケリングすらしたことがないというのに、海中では最初から自立モードで、すべての動作を能動的にこなそうとして、またちゃんとこなしてしまうほどに余裕綽々。

 両者とも落ち着いておられるところは同じながら、身を委ねるリラックスタイプと、自立モードでいる姿に、自然とともに生きてきた日本人と、自然と戦って生きてきた欧米人のメンタリティの違いが如実に現れているような気がしたのだった。

 そんなこんなで無事に体験ダイビングを終えた後は、すっかり海中世界に魅了されたご様子(ソフィーさんのエキジット後の第一声は、「スゴイ!」だった。日本語で。)。
 圧倒的に若い2人だから、この先には長い長いダイビングライフが待っているに違いない。

 というわけで、なにげにインターナショナルなクロワッサンなのである。

 話は変わる。

 このところ着々と進む老眼に鞭打つように、なぜか小さなものに夢中になっているのオタマサ。

 その小ささを表す対人比として便利なのが、ご存知人差し指。
 何センチと実長を書いてもピンと来なくとも、指と比較すれば小ささは歴然だ。

 というわけで、最近のオタマサワールド・スモールライフシリーズ。

 その1



 パイナップルウミウシかなんかそのへんのチビチビ。
 言うまでもなく、左下の肌色がオタマサの人差し指ね。

 その2



 ツノザヤだかミズタマだかの、人生最小級チビチビ。
 ここまで小さいと、写真にしてもなんだかわからない……。

 そしてその3



 実長こそ先のウミウシより大きいとはいえ、これまた人生最小級のクマドリカエルアンコウ。

 トピック的には、ウミウシ2種どころではないクリーチャーでもある。

 ところがオタマサは対人比にこだわるあまり、指が写っていない普通にちゃんと撮った写真が一枚もない。

 自尊心の高いカエルアンコウにここまで指を近づければ、今頃きっと彼はこの場を離れてしまっていることだろう。
 いわば一期一会的千載一遇のチャンスに、己の指とともに写すことに懸命になるとは………。

 近いうちに再訪してみようっと。

 
 
   


Posted by クロワッサン at 07:38Comments(0)日々の徒然水納島の海