› 徒然海月日記~つれづれくらげにっき~ › 2015年05月
2015年05月31日
101。
2015年 5月30日(土) 晴れ
南西の風 やや波あり 水温24度くらい(表層26度くらい)
異常気象異常気象と言われ続けている昨今だけど、ついに地震まで「異常」になるとは……。
次はどんな「異常」が待っているのか。
というか、すでにクロワッサンでは一足早くその異常が。
先日、大雨直前の雨のなか潜りに行った時のことだった。
船の運転席にはエンジンの状態を示すいろいろな計器があって、傍らには各種エマージェンシー警報用コンソールパネルもある。
それらは通常、航行中は点灯しないものなんだけど、この日に限り、バッテリーの充電異常を伝えるランプがうっすらと点灯していることに気がついた。
この感じからして、おそらくは電気系統の何かがどうにかなっているに違いない。
……って、結局何もわからないに等しいながら、どこかに異常がありそうだということはわかった。
警報ランプが役に立ったわけである。
後刻、症状をそのままヤンマーさんに伝えてみると、やはり原因は電気を作り出しているダイナモにあるのではないかということだった。
というわけで、翌日からミスクロワッサンは短期入院のため渡久地港へ。
4、5日で終わるというヤンマーさんの言葉を信じれば、来週中には復活する予定ではある。
ゲストの予約が入っていない時期でよかった……。
ちなみに、ヤンマーさんが言う4、5日っていうのが、一般社会の何日に相当するかは定かではない(怖)。
ともかく異常が見つかったわけだけど、翌日いいお天気だったから潜りに行ったときも、そのあと渡久地港まで行ったときも、件の警報ランプを見てみると、そうと知らなかったらまったく気づかないほどの弱弱しい点灯でしかなかった。
いいお天気の下では明るすぎて光っていることがわからないのだ。
この先繁忙期になってのっぴきならない異常事態になってしまう前に早期発見できたのは、ひとえに雨の下でダイビングに行っていたおかげなのである。
その時のゲストFさんは、こんな天気の時に無理言ってすみません、などとこちらが申し訳なくなるほどに恐縮されていた。
けれどそのおかげでトラブルの早期発見ができたのだから、むしろお礼を言うのはこちらのほうなのである。
あんな天気にもかかわらず、潜っていただいてありがとうございます!
話は変わる。
ノンダイバーのみなさんにも有名なクマノミたちもまた、スズメダイの仲間であることはみなさんご存知のとおり。
スズメダイの仲間なので、彼らもまた岩肌に産卵した卵を、基本的にオスがケアをする。
ただし他のスズメダイたちと異なり、有毒のイソギンチャクの傍に産みつけるため、外敵がいちいち近寄ってくることがない。
卵を守るという意味では、昨日のクラカオスズメダイよりも何倍も楽をしているのは間違いない。
そんなクマノミ類の卵保育シーンも、このところ随分目立つようになってきた。
先日のダイビングでも、ハナビラクマノミが卵を守っていた。
ハナビラクマノミは普通、シライトイソギンチャクかセンジュイソギンチャクにしか住まないんだけど、ここのハナビラクマノミは、珍しくハタゴイソギンチャクに住んでいる。
たまたまこの世代の子たちが居着いたわけではなく、時期によってはチビハナビラがついていたりするので、ハタゴイソギンチャクにも彼らを誘因する物質があるってことなのだろうか。
ともかく、ここのハタゴイソギンチャクがまた、光を当てるときれいなピンク色なので、カメラをお持ちのゲストにはよくおススメしている。
ただし、居てほしいところにずっといるわけではないハナビラクマノミだから、根気の無い方は早々に諦めてしまうことになる。
でもこうして卵をケアしているときは、必ずオスが卵の傍に来るから、撮りやすいといえば撮りやすい。
あ、ちなみにハナビラクマノミの吻の下にあるグレーの部分が卵たちね。
面白いことに、種類ごとにそれぞれ卵の形と色が異なる。
産卵直後の場合、クマノミは細長く明るい赤、ハマクマノミは細長くどぎつい赤、カクレとセジロは丸っぽくて体の色と似た色、そしてハナビラクマノミの場合は白っぽい。
発生が進むとともに変化する色合いもそれぞれ微妙に異なっていて、ハナビラの卵の場合は全体がグレーになっていく。
色をちゃんと再現していれば、卵の写真を見ただけで、ハナビラクマノミの卵とわかるくらいだ。
だから?という話ではあるけれど、これまで見逃していた方は、新鮮な気持ちでクマノミたちの卵をご覧ください。
同じ日、本家クマノミも卵をケアしていた。
産卵後4日目くらいの卵たちを献身的にケアする父ちゃんの姿は、なんだか子供たちの心音を確かめているかのような………。
ダイバーに向かってくるとき(のメス)は歯を剥きだして怒っているけれど、卵に接するときは愛情たっぷり。
こうして見てみると、イソギンチャクの触手が多少触れようとも卵に害はないらしいことがよくわかる。
そして、大きな胸鰭を使って卵たちに新鮮な海水を送る。
ファンニングと呼ばれる動作だ。
このような、もっぱら父ちゃんによる献身的なケアが1週間から10日ほど続いた後、小さな小さなクマノミたちが孵化することになる。
チビチビたちは束の間の洋上生活を経て、イソギンチャクが発しているという誘引物質に誘われつつ、運よくイソギンチャクにたどり着いた子たちが、明るい将来を得ることができる。
………なかには先日紹介したように、お先真っ暗住処も真っ暗なイソギンチャクにたどり着いてしまう子もいるけれど。
さて、そうやってイソギンチャクにたどり着いたばかりの子たちが、やたらとたくさんいるジュズタマイソギンチャクがあった。
こんな感じ。
101匹わんちゃん大行進???
この時期はイソギンチャクにたどり着くチビターレが多いとはいえ、ひとつのイソギンチャクにこんなにいるってのは滅多にない。
ある意味「異常」ではある。
ひょっとして、何かの警報ランプだったりして???
2015年05月30日
元祖イクメン。
2015年 5月29日(金) 晴れのち15時ごろ雨
西の風 少々うねりあり 水温23~24度
昼間、本島のそば屋で軟骨ソーキそばを食べていると、店内のテレビで口永良部島の噴火のニュースが流れていた。
このところ国内の火山といえば、
蔵王、箱根箱根箱根箱根、桜島、箱根箱根箱根箱根箱根、蔵王、箱根箱根箱根、西之島、箱根箱根箱根箱根箱根箱根箱根……………
だったくせに、いきなり口永良部ですか>火山予知連&マスコミ。
今もなお現役の火山ですら、結局のところ予知不能なのだから、何十万年前のかつての火口がいつなんどき噴火するかしないか、なんてこともまた、実は誰にもわからないのである。
それひとつとってもこういう国土に原発を維持しているというのは狂気の沙汰。
とはいえ阿蘇山や桜島が「外輪山」にあたるという、数十万年前のとてつもない巨大火山が息を吹き返したら、まぁ原発云々以前に日本は終わるだろうけれど……。
話は変わる。
スズメダイの仲間は、産卵床に卵を産み付け、その卵をオスが守る、というパターンが多い。
この季節になると随所で卵をケアする「がんばる父ちゃん」の姿が観られる。
そのどれもが元来気が強いものの、さすがにダイバーをもその場から排除させようという猛者は少ない。
たいていの場合、ある一定以上近づくと、卵から一時的に離れてしまうのだ。
ところがクラカオスズメダイは物怖じしないタイプなのか、写真を撮ろうと近寄ってもその場を離れることはない。
彼の鼻先の岩肌に、卵がビッシリ産み付けられている。
別の場所ながら、彼らの卵はこんな感じ。
直径1ミリにも満たない小さな卵が、ビッシリ岩肌に産み付けられている。
卵はもちろん滋養豊富なタンパク質たっぷりだから、他の魚にとっては格好のエサになる。
なのでがんばる父ちゃんは、卵のケアをしつつ、卵に近寄るベラその他の魚を四六時中追い払う。
そんながんばる父ちゃんの様子を……
序盤で猛然とダッシュしているのは、近づいてきたヤマブキベラを追い払っているところ。
近寄る魚には憤怒の形相で突進しつつ、卵には優しく接するがんばる父ちゃんなのである。
ちなみにその間母ちゃんは何をしているのかというと、次の産卵に備えてエネルギーを蓄えなきゃならないから、日がな一日セッセとお食事をしている。
がんばる父ちゃんも、卵をケアしていないときは母ちゃん同様気ままに食事ばかりしていられるのか……というとさにあらず。
次なる産卵に備え、産卵床のケアに怠りがあってはならないから、メスが気持ちよく卵を産めるよう、岩肌を入念にお掃除しなければならないのだ。
季節になると何かと忙しい、元祖イクメン・がんばる父ちゃんなのであった。
2015年05月29日
怒れるスマイル。
2015年 5月28日(木) 大雨&雷
南東のち南西の風 波あり 水温23~24度
毎年一度ご来島くださるFさんが、2年続きで台風にご予定を蹴飛ばされた果てに、昨年久しぶりにご来島を果たされ、めでたくカメ吉くんに出会えた、という話はかつて書いた。
そして今年は5月にお越し予定となり、日程的に28日か29日のどちらかで日帰り、ということに。
最終的にご本人の都合で28日に決定していたのだが……
……(水納島では)この梅雨初めての激しい雷雨。
1便でご到着後の午前中は雨もそれほどでもなかったのでフツーに潜り、午後もこのまま推移してくれるかと期待していたのだけれど、暗くなる一方の空からは雷鳴が響き始めた。
よほどの大雨じゃない限り雨だけならなんとかなるものの、雷となると話は別だ。
遠雷のまま終わるような気もしなくもなかったけれど、念のために午後は中止に。
13時の便でお帰りになったFさんであった。
うーん、このまま見る見るうちに空が晴れあがってしまったら申し訳ないなぁ……
……という心配はまったくの杞憂であった。
本来の予定どおりであれば2本目を潜っている真っ最中くらいの時刻から、空はにわかにかき曇り、まるで大瀬崎の湾内で10人くらいのダイバーが1匹のミジンベニハゼを撮りまくっているかのような、雷光の超絶連射。
梅雨の間に必ず1度や2度はある、激しい雷雨のひとときとなった。
こんなに雷雲が島の至近距離を通過したのは久しぶりだ。
直上攻撃型だったので、パソコン関係の電源コードを抜いておいたほど。
いやあ、中止にしてよかった…………。
ちなみに。
翌日、つまりこれを書いている29日朝の空にはしっかりお日様が!!
2つに1つの選択で、見事ビンゴを引き当てたFさんなのであった。
話は変わる。
イシガキカエルウオというギンポの仲間は、口元の模様のおかげでいつもニコちゃんマークのように見える魚だ。
彼らはチョコンと何かの上に乗っていることが多いのだけど、もちろん穴に入っていることもある。
その際、目立ってはいけないからだろう、穴の周りの色が黒っぽい場合は、たいてい顔の周りを黒くする(恋の季節には、外に出ている時も顔が黒くなることがある)。
海藻その他で穴の周囲が白っぽい場合は、白い顔のまま穴に入っていることが多いけれど、警戒するとやはり黒い顔になる。
ところがずっと見つめていると、警戒を解いてくれるのか白い顔になる。
何度も穴に顔を引っ込めては出てくるのを繰り返しつつ、ここに至るまで実に20分ちょいが経過。
友好関係を築くには、時間という投資が必要なのだ。
そしてここまで白くなってくれると、相当気を許しているのだろう、やがてこういう瞬間がやってくる。
のどチンコまで丸見えだ(無いけど)。
どこにでもいるイシガキカエルウオながら、この子はわかりやすい場所にいつもいるので、けっこう付き合いは長く、訪れるたびに毎回挨拶している。
そんな彼は、こうしてせっかく築いた友好関係を、一瞬にして解消してしまう遊びにも付き合ってくれるおりこうさんでもある。
題して、怒れるスマイル。
その動きが面白すぎて、しつこくなってしまった……。
2015年05月28日
バター買いたい。
2015年 5月27日(水) 曇り
南東の風 おだやかのち波あり 水温23~24度
パンにはやっぱりネオソフト、のビンボー家庭な我が家でも、白身魚をニンニクたっぷりバターソテーにしたいときもあるので、やはりバターの備蓄は欠かせない。
ところが、日本全国津々浦々同様、本部町のスーパーでも、バターはかなり貴重品になってきている。
サンエーで買おうと思ったら、一つも置いていなかったりすることもあるのだ。
酪農家の減少と乳牛の病気などが重なり、国内で生産される生乳の不足がその原因である。
乳牛の病気はともかく、酪農家の減少はけっして一過性ではない。
早い話、酪農では食っていけないから、自ら廃業するか、跡継ぎがいないから廃業せざるを得ない、という事情らしい。
なんで酪農の将来が悲観されるかといえば、アベノミクス円安によるエサ代の高騰、そして迫るTPP成立後の業界の姿が目に見えるからだろう。
いかに大規模に再編しようとも、もともとわずかな土地でコツコツ生み出す生乳が、諸外国から怒涛のごとく押し寄せる商品に太刀打ちできるはずがない。
まぁそんなこんなで、今年のクリスマスシーズンもバター不足が予想されるということで、農水省はバターの輸入を決めたという。
そこでふと不思議に思うことが。
バターの輸入って、いちいち農水省が決めるものなの?
実はこのウラには、国内の酪農家を保護するためという名目で、民間業者がバターを自由に輸入できないような仕組みがあるからなのだそうな。
安いバターが大量に出回れば、国内の酪農家は困るだろうという事情は分かる。
輸入バターにかけられる高い関税は、国内酪農家の補助にも使われているともいう。
でも実際は、酪農家は保護されるどころか減少の一途。いったいバター輸入の不自由は、何の役に立っているのだろう?
バターの関税に群がる農水省系独立法人「バター村」の方々のフトコロと、安いバターが無いからこそ日本で大量に流通しているマーガリンの原料、すなわちアメリカのトウモロコシ農家を潤わせるのに役立っているのであった。
なんじゃそりゃ……。
いずれにせよ足りないからバターの輸入。
おりしも円安は急速に進む世の中のこと、さぞかし高価なバターになることだろう。クリスマスケーキの価格に反映されるのは間違いない。
そしてもちろん、その翌年から国内の生乳が増産される見込みもない。
集団的自衛権がどうのこうのとか、普天間代替基地の抑止力だとか、「国防」といえば軍事であるとしか思っていないような気配があるアベ政権。
しかし本当の「国防」は、そんなドンパチ関連以前のところで、激しく鎬を削らなければならないということをわかっているのだろうか。
TPPの対米交渉にしても、そのひとことで国内の農業が、漁業が、その他多くの人々の生活がかかっていると本気で考えているならば、交渉の席に臨むにしても、
皇国の荒廃、この一戦にあり!
くらいの強い決意が必要なはず。
対外交渉の席ではいつでも乾坤一擲の「国防」をしていただかなければならない日本政府の方々に、はたしてそんな決意があるんだろうか………。
ひょっとして、俄な安保法制の整備や普天間基地の辺野古移設が、TPPでのいわゆる「聖域」を守るためのとっておきの対米取引材料とか??
……ないな。
百万が一そうであっても、アメリカを相手にそんな思惑どおりに事が運ぶはずもなし。
だいたい、「聖域は守る!」という政府の言葉をまったく信用していないからこその、酪農家の将来の悲観なんだものなぁ。
ともかく、バターがスーパーから消え、もはや国内ではとうていその需要を満たすこともできないような国が、戦車や軍艦でワーワーギャーギャー言っているってのは、なんだかものすごく「子供の国」のような気がするのであった。
遥か遠い諸外国の海で機雷を排除する国よりも、フツーにバターを買える国がいい。
「欲しがりません、勝つまでは。」
そんな標語の登場が、すぐそこまで迫っているのか……?
2015年05月27日
拗ねモノ。
2015年 5月26日(火) 晴れ
北東の風 波あり
実はここ2ヶ月、ガメ公の調子が悪い。
思い起こせば、帰省を兼ねた旅行の前後で、その様子が変わったようにも見える。
1月末から2月初めにかけて我々は島を不在にしていたんだけど、それ以前はさほど冷え込む日もなく、暖かな日はその頃日課になっていた散歩もちょくちょくしていたものだった。
ところが島に戻ってきてから、なんだかガメ公の様子がおかしい。
冷え込んでいるからジッとしているのはわかるとして、日が出て暖かな日になっても、あまり活動的ではなくなったのだ。
それでもゲートを開けると外に出はするものの、いつものように1~2時間島中を散歩するというわけではなく、家からそれほど離れないまま、チョロッと歩いて自ら柵の中に戻っていく始末。
それなりに餌は食べるもののウンコはしないから、やはりどこか体調が悪いのだろうか。
ま、暖かくなれば元気になるだろう。
……と思っていたのだけれど、その後春になってもずっと調子が戻らない。
それまでは毎日食べていた餌も、たまに思い出したかのように小屋から外に出てきては食べる程度(ただし一度に食べる量はいつもと変わらない)。
ウンコも忘れた頃にいつの間にか小屋の中でしている程度の頻度だから、見かけはかなり不調に見える。
ガメ公の心の友(?)ゴッドハンドO野さんがゴールデンウィークにご滞在中、結局一度としてその姿を小屋の中から出さなかったほどだ。
O野さんの心配は募る一方である。
それから3週間ほど経った今日に至るまでに、ガメ公は1度モリモリと食事をした。
そして今日、朝から太陽も出て絶好の活動日和。ガメ公も久しぶりに顔を小屋の外に向けて待機態勢になっている。
やがてのそのそと小屋の外に出てきたので、それを見て柵のゲートも開けてみた。
逡巡し続けること30分。
業を煮やした僕が、彼の食事を柵の外に置いてみると、それにつられて半身を外に出し、ムシャムシャと食べ始めた。
久しぶりの食事だからけっこうな量を用意したところ、当たり前のようにペロリと平らげるガメ公。
食べ終えると、そのまま外に出ていくのかと思いきや、その場でクルリと反転し、スゴスゴと小屋に帰っていった。
うーむ………。
一度に食べる量もその動作も様子も、見たところまったく不調ではなさそうなんだけどなぁ。
そういう状態になっているカメは他にいないものかと、一度ネット上で調べてみたことがある。
ケヅメリクガメを飼っている方は数多く、一昔前に比べれば情報はそこらじゅうに転がっているものの、その時まさに必要な情報を得るのはなかなかムツカシイ。
ところが、まさに今のガメ公と似たような状態になったケヅメリクガメの飼い主さんのサイトがあった。
日記調で綴られているその件を読んでみると、その方は状態と様子をカメに詳しい獣医さんに電話で相談したそうな。
するとその獣医さんの答えは……
「それは拗ねてますね」
え”?
……と誰もが思うに違いない。
その飼い主さんもビックリなさったようである。
しかし僕は、カメが拗ねることもあると聞いたことがあったので、そう見当をつけて「ケヅメリクガメ 拗ねる」を検索ワードにしてみたのである。
そう、カメさんたちって、拗ねるのだ。
さて、それを前提にもう一度ふり返ってみよう。
我々はガメ公に何も言わず(言ってもわかんないんだけど)島を10日間ほど留守にした。
その時点で拗ね度30パーセントだったかもしれない。
そこへもってきて、冷え込んだりした。
お天気には我々はなんの責任もないところながら、そんなことはガメ公の知ったことじゃない。
拗ねていると、その冷え込みまで僕のせいにしているようなフシがある。
拗ね度40パーセントにアップ。
で、その後天気が良くなった時にいつものように散歩をした。
その時!!
ついでだからミニ公も散歩してみようと、オタマサが彼とともに先を歩いていたのだ。
どうやらガメ公、それを目にした途端、彼の瞳に燃える炎は……
ジェラシー!!
拗ね度はググンと80パーセントにアップ。
以後、冷え込むたびに、雨が降るたびに機嫌を損ね、拗ね度は常時95パーセントくらいになっているのかもしれない。
それが今日のようにお天気が良くて暖かいと、拗ね度は若干下がるのか、
ちょっとは餌でも食べてやるか……
という雰囲気で、こちらの期待に応えてくれるのだ(バナナを手から食べてくれるので、その時の拗ね度はかなり低下しているものと思われる)。
ちなみに、お医者さんから「拗ねてますね」と診断された件の飼い主さんは、その後の治療として、毎日一緒にいる時間を増やしてなでなでなでなでし続けてゴキゲンを回復させたらしい。
あのぉ……さすがにそこまで無理なんですけど。
いや、それができるのはゴッドハンドO野さんしかいない。
神の手は、ついにカメのゴキゲンをも回復させる力を発揮するのか??
O野さんの次回ご来島時にご期待あれ。
2015年05月26日
初カメ体験ダイビング。
2015年 5月25日(月) 曇り時々小降りの雨
北東の風 波あり 水温23度
当店ダイビングサイトのシーズン情報コーナーでは、この日は赤字の「いっぱい」の日。
それをご覧になって、「ゲストが10人くらいいるのか……」といった勘違いをされる方が相変わらずいらっしゃるみたいだけど、むろん実際はそんなことはない。
この日は日帰りでお越しになるご夫婦が、午前中に体験ダイビングを、午後にスノーケリングを、というご希望だったので、いっそのこと「いっぱい」にしちゃおうということになった次第。
その「いっそのこと」にはいろいろな事情があるものの、詳しく書くのは面倒なので割愛。
ともかく、いっぱいと言いつつゲストはお2人だけなのである。
早い話が、ご夫婦で貸切。
ところが予報はあまり芳しくないお天気になりそうだった。
なので前日にその旨お伝えしたところ、とにかく島に行くので可能なら是非、ということに。
そしてこの日は予報どおり、体験ダイビングやスノーケリングをするにはあいにくの波だった。
でもまぁ、可能ではあるので予定どおり開催すると……
撮影:オタマサ
……カメ吉くんと遭遇。
3匹いるカメ吉くんの中の、左足の一部が欠けていることで個体識別できる「足欠けカメ吉くん」は、ダイバーの接近にもまったく動じることなく、「背中かい~の」動きを続けてくれていた。
今回の初体験ダイビングにて、僕が使っているのと同じ機種のコンデジ(ズゴック)の進水式をされたご主人は、見事にカメ吉くんを激写できたのであった。
ちなみに、先日の卓球王ご友人ご夫妻がご覧になったのも、そしてこの子も足欠けカメ吉くん。
今年の年賀状がことのほか好評だったので、売り物にしちゃいました……。
2015年05月25日
はかない命の夜。
2015年 5月24日(日) 雨
ほぼ無風 おだやか 水温23度
朝からしとどに雨が降る1日だったけれど、海中は冷たい水の塊が寄ってこなかったからか前日よりも温かくなっていた。
冷たい水の塊はいつも濁っているので、それがなくなると水の色はきれいになる。
水面を見上げると雨粒が盛大に踊っている。
そうやって真水が表層に溜まると何かがどうにかなるのだろうか、いつになくグルクンが表層付近で楽しげにフィーバーしていた。
リーフ際では、キホシスズメダイのチビたちが、湧き出ているかのごとくワシャッと群れるようになった。
これがオレンジ色のキンギョハナダイだったら、さぞかしハデハデなんだろうけどなぁ…。
夜になっても降りやまない雨。まったく正しい梅雨の姿。
この季節のそんな湿っぽい夜といえば、シロアリの大飛翔。
夜の帳が降り、ふと外灯を見やると、灯りを頼りにどこかから飛んできたシロアリたちが群がっていた。
どうにかしてこの群れ飛ぶ姿を撮れないものか。
試しにストロボを使わずに撮ってみると、不思議な写真になってしまった。
夜間にノーストロボで撮るとシャッタースピードは遅くなるといっても、人間の感覚からすればそれなりに速い。
そんなわずかな時間に、シロアリはこんなに羽ばたいているらしい。
なんだか「ナウシカ」に出てくるヘビケラのようですらある。
しかし飛翔している実際の姿はこんな感じ。
昨年も紹介した大飛翔時専用オプションウィングを、目一杯羽ばたかせて飛んでいるのだ。
どんなに一生懸命飛んでいても、約束の地へたどり着けるのはごくごく一部。他のほとんどは、ほぼその場で息絶えてしまう。
……という話だけなら、はかない命の物語ってところながら、彼らが群がっていた外灯の下は、翌朝とんでもないことになっている。
はかない命の夜が明けると、掃かないわけにはいかない朝になるのであった。
2015年05月24日
梅雨の酒。
2015年 5月23日(土) 時々薄日のち夜大雨
南の風 波あり 水温22~23度
亜熱帯の梅雨らしいバケツをひっくり返したような雨音が響くなか、人生の先輩たちとしっぽりと飲む。
しっぽり……というよりは、この日お誕生日を迎えられたIKAMAMAさんは「飲みっぷり」かも?
ところでここで並べているボトル、右の2本は伊江島産のラム酒「サンタマリア」。
こういう色味で撮っちゃったから違いがわからないけど、透明なものと茶色系のと2種類ある。
ゲストのH田さんは、ご滞在中のどこか1日は伊江島に渡ってタッチューを登ってくるご予定だったのだけど、天気予報はずっと芳しくなかった。
なので、この日ダメモトで伊江島に行ってみると、予報に反して日中は薄日が差すほどのお天気に。
普段の善行がなせるワザかもしれない?
そんなH田さんが、伊江島で購入してきてくださったラム酒である。
伊江ラム誕生から随分経ち、いつの間にやらすっかり洗練された味わいになっていた。
一方、左のスパークリングワインは、なんとIKAMAMAさんが海中で発見!
撮影:オタマサ
足繁く海に潜っていると、ときにはこうして海神様からプレゼントがもたらされることもあるのだった(一部脚色あり)。
というわけで……
H田さん、ご馳走様です!
IKAMAMAさん、おめでとうございます!
2015年05月23日
ドクターボート。
2015年 5月22日(金) 雨
北の風 おだやか 水温22~23度
ちょっと雨が降ってやや時化ただけで、水温が1度も下がってしまった。
ゴールデンウィークよりも寒いんですけど……。
そんな肌寒い鉛色の日に、見慣れぬ船が島の桟橋に接岸していた。
色気も何もない武骨なフォルム、保安庁か何かお役所の船かと思ったら、役所は役所でも伊江村が管轄するドクターボートだった。
診療所はあるとはいってもほぼ無医村に等しい伊江村が、夜間は飛べず輸送能力にも限界があるMESHに加え、村の救急医療に役立てるべく、この春就航させたもの。
その予算を得るためには伊江村だけの需要では説得力に欠けるということだろう、周辺離島、すなわち本部町水納島をもその活動範囲に入れるべく本部町役場とタッグを組み、「沖縄北部連携促進特別振興事業」の名の下に総額1億4千万のドクターボート「みらい」が誕生したのである(名前は伊江中の生徒によるものらしい)。
新聞記事によると、船内には、人工呼吸器や電動式吸引器、酸素吸引装置、ストレッチャーなどを完備。全長17・9メートル、幅4・2メートルで最大20人が乗船可能だそうだ。水難事故に備え、小型ボートやはしごも備え付けられる。
さて、気になるその船内は……
……こんな感じ。(以上4点、撮影:オタマサ)
ストレッチャーが何台収容可能なのかは知らないけれど、たしかにちょっとした診療所のような雰囲気だ。
救急搬送用だから速度も速く、伊江島と本島間は12分、水納島と本島間なら10分もかからないという。
揺れを軽減する仕組みになっているそうで、その名のとおり相当近代的なドクターボートなのである。
が。
ひとつだけモンダイが。
もっぱら夜間航行になることが必至のこの「みらい」、立派な伊江港や渡久地港ならなんのモンダイもないけれど、夜間照明はもちろんのこと水路表示すら片側だけ、しかも港内は砂が堆積してところどころやたらと水深が浅いため、潮が引いているときはそれを避けて航行しなければならないのである。
ドクターボートの船長、港をひと目見るなり自信を失ったらしい……(当サイト推測)。
この日わざわざ干潮時を選んで水納島に寄港したのは、そのあたりの下見の意味もあったようだ。
船は近代的な「みらい」でも、水納島の桟橋は「みかい」なのだった。
まったくもう、船はおんぶにだっこで話に乗っかることができたんだから、せめて港くらいちゃんと整備しろよ>本部町。
ともかく、この先ナニゴトも無ければお世話になることもないドクターボート。
そういう意味では、その姿を拝めるのはこの日が最初で最後かもしれない。
ある意味レア。
この日たまたま桟橋に居合わせたゲストお2人は、水納島でマンタを観たに等しいラッキー体験だったのである。
2015年05月22日
知られざるロケ地。
2015年 5月21日(木) ぐずついた天気
北のち北東の風 けっこう波ありのちおだやか
ほんの少し前までの、夏のようなあの暑さはどこへ……。
さて、名護市東海岸ドライブの続き。
四半世紀前と比べると、すっかり街や風景の様相が変わってしまった沖縄本島西海岸に比べ、東海岸を走る国道329号沿道の風景は、基本的に昔と変わらない。
なので時間に余裕があるときは、わざと東側を通って那覇まで行き来することもある。
名護市の東海岸も同様だ。
そしてこのあたりは、本島中南部のような奇観を作り出す琉球石灰岩の土地ではなく、砂岩や泥岩を中心とした地層が陸地を作っている。
嘉陽層と呼ばれるその地層は、激しい褶曲を見せることでも知られ、学生時代に地質系だった僕は、授業の一環でセンセイの引率のもと、大勢でこのあたりの露頭を巡ったこともあった。
その嘉陽層はこんな感じ。
恐竜が滅んだあとの深い海底で堆積した砂岩、泥岩、礫岩などが、きれいに層状になっている地層が、ものの見事にグニャリと褶曲している。
それにしても、剥きだしの法面なんて、なんでもかんでもコンクリートで固めてしまう現在の沖縄県では奇跡に近い。
実はこれ、わざわざ露頭を見せるためにキープされている道路なのだ。
嘉陽層の褶曲は地質学的にも珍しいほどにとんでもなく曲がりくねっていることもあって、なんと2012年に国の天然記念物に指定されたという。
つまりこの写真は、地層のヤンバルクイナのようなものなのである。
地層は絶滅しないだろうって??
いやいや、コンクリートで固められちゃえば観られなくなるじゃないですか。
天然記念物指定あってこその、露頭キープなのである。
この嘉陽層は、名護市東海岸沿いでも美しい露頭を見せている。
これだけ見ても、沖縄っぽくないでしょ?
ちなみにここは、天仁屋海岸と呼ばれているところ。
集落から続くクネクネ道を降りたところに広がる海岸だ。
この地層の対面はこんな感じ。
せっかく滅多に来ないところに来ているというのに、撮影器材がガラケーだけってのもなぁ……。
ともかく海岸の礫といい崖のたたずまいといい、とても沖縄には見えない。
そんな「沖縄っぽくなさ」に目を付けた方々がいた。
映画「カムイ外伝」のロケハンスタッフだ。
松山ケンイチ主演で5、6年前に公開されたこの映画、もちろんストーリーの舞台は本土ながら、沖縄でロケされているのである。
しかも、舞台となる島の漁村は、なんとこの天仁屋海岸に用意されたセットなのだ。
ちなみに映画に出てくる漁村はこんな感じ。
本来何にもないところに造られたセット。
ここは県民がキャンプをしに来る場所でもあるんだけど、撮影中に松山ケンイチが怪我したために撮影期間が長引き、そのため1年半近くキャンプできない状態になったという……。
というか、ここをこの角度から眺められる場所があったのか……。
この天仁屋海岸から集落に戻り、サトウキビ畑方面に抜けると、そこにはこんな農道がある。
ここもまた、映画「涙そうそう」やその他韓国映画などのロケ地だそうだ。
ちなみに、目的のないドライブだったのに、なぜにまったく知らなかったロケ地を巡ることができたのかというと、昨日紹介したわんさか大浦パークに掲げられていた地域マップに、ちゃんと書かれてあったから。
あいにくカムイ外伝も涙そうそうも韓国映画もまったく観ていないので、ゴッドファーザーのロケ地を巡ったときのような感慨はまったく無いんだけど、意外や意外、名護市の端っこは、なにげに映画ロケのメッカだったことを知った次第。
再開発だ、振興だといって次々に変容していく名護市西海岸側よりも、昔ながらの風景がそのまま残っている東側にそういった需要がある、ということを、「USJが沖縄に!」なんて話になったらすぐさま飛びついてしまうオナガ知事もイナミネ市長も、もう少し深く考えた方がいいんではなかろうか……。
2015年05月21日
苦い抑止力。
2015年 5月20日(水) しっぽりと雨
北西のち北東の風 やや波あり
せめて2日くらいガマンするのかと思っていたら、雨が降った途端に梅雨入り宣言。
どう考えても梅雨だろう…というお天気や気圧配置になっていても、それがあまりにも平年と比べて早すぎると、なかなか梅雨入りとは言わないくせに……。
気象台というお役所が、平年との差異をどれほど嫌っているかがよくわかる。
「記録的」とか「観測史上初」が今後も目白押しだろうから、気象庁も各気象台もこの先苦労が絶えないことだろう。
とにかく、この雨が各ダムの水位を少しでも上昇させることを祈ろう。
さて。
本日は本島へお出かけ。
この季節、雨模様の天気だと心が落ち着く。
所用は午前中のうちに終了するから、お天気が良ければ午後イチの便で島に戻り、午後だけでも雑貨屋さんを開けねば、ということになってしまうところ、雨が降っていればどうせ誰も来ないよね…と安心して「臨時休業」にしておけるのだ(雨にもかかわらずこの日ご来店いただいた方、お詫びいたします)。
というわけで、所用を済ませた後、まずは行ったことがないそば屋を目指した。
国道329号の名護市と宜野座村の境界あたりにある屋嘉そば。
見るからに地元の方々に愛されていそうな店構えのこのお店、入ってみるとお客さんのほとんどが地元の方だった。
そういう店は、たいていはずさない。
ここはまた是非再訪したいと思ったので、詳しい話はまた後日。
329号を通過中にこのあたりでお昼時間になった方は、立ち寄られることをおススメいたします。
その後、329号を北上してみた。
先ほど南下している時にチラと案内表示が見えた施設に行ってみたい、とオタマサがいう。
その名も「わんさか大浦パーク」。
名前だけでは想像もつかないのに、オタマサは例によって勝手な思い込み情報で、いち早くこの施設の見当をつけていた。
大浦湾といえば、辺野古に移設されようとしている基地建設によって、環境的に決定的にダメージを受けてしまう地域で、それもあって地域の自然の大切さを強く訴える活動が盛んな場所でもある。
特に湾内の海中生物に関する情報量は豊富で、新聞紙上をちょくちょくにぎわすほどなのだ。
だから。
わんさか大浦パークとは、きっと地域の生物情報センターのようなところに違いない。
そう思い込んでいたオタマサ。しかし到着してみるとそこは……
……いわゆる「道の駅」なのだった。
今や全国各地にある道の駅、いったい誰がどのように利益を得ているのか、そういう意味ではほとんど「未知の益」ともいえそうな無駄な建物も多い。
というか、辺野古基地反対だなんだかんだいいながら、こういうところは基地マネーで造っちゃうのか……
……と思ったらさにあらず。
たしかに当初はそういう基地マネーの恩恵で計画されたそうなのだけど、基地絶対反対の現名護市長が当選したあと、学級会よりもわかりやすい政府の懲罰方針によって、その予算はあっさりと凍結されたそうな。
しかしそれは、基地に頼る財政からの脱却を強く訴える市長にとっては、逆にチャンスなのだった。
様々な人々の協力を仰ぎつつ、基地マネーとはなんの関係もないところで、見事に完成に至ったのである。
まぁ、こういうところまで地域の野菜を買いに来る方がどれほどいらっしゃるのかはわからないものの、地元の方々を中心に、ここ大浦湾の文化・自然発信基地として、立派に存在しているのであった。
そんなわんさか大浦パークに入っている店舗の一つが、マンゴースイーツ専門店の「おきぽたショップ」のカフェ。
県産マンゴーをはじめとする各種フルーツやスイーツの通販ショップとしてけっこう有名なようで、このお店はその実店舗という位置づけらしい。
建物の内外で大々的な宣伝をしているわけじゃなし、オイシイものをコツコツ地道にマジメに売っているお店に見える。
そんな「おきぽた」を物色すべく入店してみたオタマサに、女性スタッフが突如声をかけてきた。
「水納島の方ですよね??」
へ???
なんと、以前オーシャンスタイル(水納島で日帰り営業をしている本島のマリンスポーツ業者)でスタッフをしていた方だったのだ。
まさかこんなところで顔見知りのヒトに会うとは。
20年も同じ場所で仕事をしていると、いつどこで誰に会うかわかったものじゃないから悪いことはできない……。
冷やかし半分のはずだったものの、知り合いに会ってしまえば何も買わないわけにもいかず、ちょっと気になっていたスイーツを購入したオタマサ。
さっそく表にあるテーブルに座って食べてみた。
そのスイーツとは………。
フローズンマンゴーにバニラアイスが載ったヤツ。
……すまぬ、正しい名前を忘れた。
マンゴーが採れる時期以外の季節はどうしているんだろうと思ったら、こうして凍らせてキープしてあるのだった。
これがまたシャーベットのような食感で、食べているうちにほどよく解凍が進めば、生マンゴーのようにもなるスグレモノだ。
冷凍ウニで作るウニ丼とはわけが違うのである。
これでたったの500円というのだから、かなりお値打ち。
ただしオーバー40には一皿を一人でいただくには量が多いので、これを仲良く半分こ、がちょうどいいくらい。
我々の前に買っていった年配のご夫婦も、同じように二人で一皿を召し上がっていた。
海を眺めながらこういったスイーツをいただくっては、島に居る時にはできそうでなかなかできないゼータクな時間。
これでビールも飲めればなおシアワセなのだが……。
ところで。
上の写真のバニラアイスの先に、巷間話題に上っている普天間代替基地移設現場の辺野古がある。
ニュースなどで流れる基地建設予定地の航空写真は、沖合い上空から撮影されたものばかりだから知らないヒトの方が多いだろうけれど、この基地建設予定地は、大浦湾側から見れば湾にフタする場所になる。
ニュースで目にする航空写真ひとつとっても、この海を埋め立てて新たな基地を造るなんてのは正気の沙汰ではないってところ、ひとたび大浦湾側から眺めてみれば、もはやそれは狂気といって差し支えはない。
冬の時化とは無縁で、リーフは遠いから大きな波が入ってくることも無さげな穏やかな大浦湾の景観は、規模もそのたたずまいも、かつて訪れた伊根の舟屋がある伊根湾に似ている。
伊根の舟屋がズラリと並ぶ伊根湾の出口に、舞鶴基地ではなにかと不都合があるために海上自衛隊のヘリ基地を新たに造ります、なんてことになったら。
それが「抑止力のため」と言われて、ハァそうですか……とあなたは納得するだろうか。
大浦湾にとっての辺野古基地とは、まさにそういう立地なのである。
どれほど貴重な生物が生息しているとかいないとかに関係なく、このたたずまい、この景観、そこでの暮らし、これすべて日本国民の財産といっていい。
国民の生命と財産を守るための「抑止力」が、まず真っ先に国民の財産を奪うってのは、出来の悪いブラックジョーク以外のナニモノでもない。
スイーツのはずのマンゴーが、なぜだかちょっぴり苦い気がした。
2015年05月20日
住居煌々前途暗澹。
2015年 5月19日(火) 曇りのち夜雨
南西の風 波あり 水温23度
週間天気予報を見ると、ようやく傘マークが並ぶようになってきた。
そろそろ梅雨、ってところである。
でも、その傘マークの下にある「確度」を見ると、そのほとんどが「C」レベル。
言い方を変えると、雨かもしれないし、ひょっとすると晴れるかもしれない、という程度の予報でしかない。
それなのに傘マークを並べる。なぜか?
お役所だからさ(と呟き、グラスの酒を飲む)。
すでに雨がちなお天気になっている奄美や九州南部は、気持ち的には梅雨入りといってもいいような雰囲気なんだけど、沖縄よりも早く梅雨入りするわけにはいかないんだよなぁ……という、気象台の都合に違いない。
その後晴れ間が続こうがどうしようが、沖縄で2日ほど雨が続けば、たちまち「梅雨入り」を発表することだろう。
でも今年は基本的に、干ばつ傾向のような気がする。
今のうちからペットボトルの水を溜めこんでおくがよろし。
さて。
前日体験ダイビングで卓球王友人を案内していたとき、反射的に「撮りたいッ!」と思ってしまったモノを見つけたので、この日それを撮りにいった。
このヒト。
クマノミチビターレ。
クマノミのチビなんていったら、いつでもそこかしこで観られるのに何を今さら?
いやいやこのチビターレ、その住まいが一味違っているのだ。
お家にしているジュズタマイソギンチャクが、見事に白化しているのである。
水温が高すぎるわけではなく、イソギンチャクが低水温のために白化するわけでもないのになぜ???
実はこのジュズタマちゃん、何をとち狂ったのか、わざわざ日の当たらない暗い場所に佇んでいるのだ。
そんな暗い場所にいると、サンゴと同様イソギンチャクの体内で共生している褐虫藻は光合成できなくなるから、とっとと宿主を見限って体内から抜け出してしまっているのである。
サンゴと同じくイソギンチャクも、必要な栄養のかなりの部分を体内の褐虫藻から得ているはずなのに、わざわざこんな暗いところにいるってのは、つまり拒食症ってこと??
ともかくイソギンチャクが白いせいで、本来はわりと隠蔽色になっているはずのクマノミが、やたらと目立っている始末。
いくらイソギンチャクに守られているとはいえ、直径はせいぜい10センチ程度でしかない。
そんな小さな家の中でこんなに目立ってしまえば、「どうぞ食べてください」って言っているようなものじゃないか。
クマノミチビターレの前途はキビシイ。
ところが当の本人は、そんなことなどおかまいなしに、呑気にアクビをしているのであった。
人間同様、知らないままでいた方がシアワセでいられるらしい……。
2015年05月19日
卓球王の今。
2015年 5月18日(月) 晴れ
南西の風 風上側はけっこう波あり 水温24度(表層26度)
かつて水納小中学校の体育館を舞台に卓球を一生懸命やっていた頃、助っ人として随分働いてもらったのが、琉大ダイビングクラブの後輩で、当時現役学生だった卓球王シュウセイ。
すでに社会人になって時が経ち、結婚もして、一度奥さんが友人とともに島にお泊りになったこともある(卓球王本人は来られず)。
そんな彼の高校以来の友人夫妻が、この日体験ダイビングをしに日帰りでご来島。
昨年に続き2度目のご来沖ということだった。
ん?
ってことは、卓球王が在学中は一度も沖縄には??
「来られなかったです…」
本土から沖縄への旅行は、学生にとってはキビシイのである。
……というのが正しい世の中の有りようであって、昨今のように学生が春休みだ夏休みだで、レンタカー付きの2泊3日の沖縄旅行を平気で行える社会ってのは、きっと何かがおかしいに違いない。
そういうゼータク品(?)は安いままで、数々の生活必需品やライフラインの値上げをもってデフレ脱却だどうのこうのとほくそ笑んでいる日銀総裁ってのは、きっとバカなのだろう。
さて、その卓球王友人(もまた卓球王だった)。
初来沖の昨年にはスノーケリングをしたそうで、今回は夫婦揃って人生初の体験ダイビング。
はたして海中では何が待っているのか??
カメ吉くんが待っていてくれた♪(撮影:オタマサ)
卓球王はそのダイビング歴を通じ、ひょっとするとまだ一度も観たことがないかもしれないアオウミガメを、人生初の海中滞在にてゲットした友人ご夫妻なのだった。
そんなご友人からニュースが。
なんと卓球王シュウセイは、すでに一児の父になっているというではないか。
へぇ………彼がパパですか!!
というか、そーゆー大事なことは一言でも知らせろよ、卓球王。
……ミルク代ははずめないけど。
<だからあえて知らせないんじゃね?
あ、なるほど。
2015年05月18日
注目の男。
2015年 5月17日(日) 晴れ
西のち北西の風 おだやか 水温23度(10m以浅24度、5m以浅25度)
プロ野球が面白い。
相変わらずメジャーリーグも面白いけど、日本のプロ野球だって毎試合かなり盛り上がっている。
それなのに、「ここ!」というところで放送を終了する民放の中継や、野球のルールすら知らないできそこないのアイドルが始球式をしたりと、プロ野球を取り巻く周囲の、野球へのリスペクトの無さがまだまだ根強く残っているのがクヤシイ。
マクドナルドはダメだ、とネット上で流れれば、それまで美味しい美味しいと食べていたくせにまったく寄り付かなくなる。
それまでけっこう楽しく観ていたドラマなのに、視聴率が悪いと知るやたちまち観なくなる。
ネット上に溢れる他人の評価で自らの価値判断を決めるヒトが多い世の中のこと、「プロ野球はつまらない」と言われて久しいことも手伝って、けっこう面白いのに「面白い!」という評価をほとんど目にしない。
でも、逆説的にJリーグを否定して選手を叱咤激励しているハリルホジッチ監督が、浦和レッズの試合を観て、
「こういう試合を観たかったんだ!」
と言ったように、たとえダメと言われていても、評価にふさわしい試合もある。
プロ野球の試合だって、かなり面白いのだ。
というわけで、個人的にけっこう盛り上がっているプロ野球。
とりわけ、誰もが予想しなかったこの時期のベイスターズの首位ってのも、その盛り上がりに拍車をかけてくれている。
まったく勝てない頃からメディアに出ずっぱりだった中畑監督が、急速に名監督に見えてくるから不思議だ。
しかし僕が今最も注目しているのは、ライオンズの田辺監督。
チームは開幕から好調で、ソフトバンクに首位を奪われたものの、この先も首位争いを続けていきそうに見える。
でまたチーム状態がいいからだろう、ベンチ内での田辺監督が、往年の西武黄金時代の森監督のように、余裕綽々に見えるのだ。
その昔、広島対西武の日本シリーズで、ピンチを迎えた広島が、リリーフとして左腕の川口だったか誰だかを送った。
それを見た森監督は、ベンチでニヤリ。
ここでその左腕を出してくれたら、そのピッチャーにめっぽう強い鈴木康友を代打に送る、という段取りだったのである。
結果、鈴木康友タイムリー。
森監督の思惑通りになったのだった。
そんな雰囲気が、試合中継中に写る田辺監督に見え隠れしているように感じているのは僕だけなのだろうか。
スクイズを決めてしてやったりの田辺監督(先月の試合)。
一方、まさかのスクイズを決められ、泣きそうな栗山監督。
なにかと出てくるキヨシもいいけど、今シーズンはベンチの田辺監督から目が離せない。
2015年05月17日
鵲。
2015年 5月16日(土) 晴れ
南の風 おだやか 水温23度(10m以浅24度)
ついに彼らがやって来た。
アジサシたち。
夏の到来を告げる鳥さんだ。
今年もエリグロアジサシが最初にご到着。
彼らは偵察部隊だろうから、おそらく一週間から10日後に本隊がやってくるはず。
洋上は一気に夏っぽくなることだろう。
おお、そうだ、鳥さんといえば。
先日軽トラを運転していたとき、島の中心部にある原っぱに、わりと大型の見慣れぬ鳥がいて、すぐさま飛び立っていった。
シャチのような、黒い体に白い模様、スラッと長く伸びる尾羽(飛ぶと広がる)。
こ……これは!!
カササギだ!!
沖縄でカササギなんておよそあり得ないんだけど、春先の新聞に「本部町の海洋博公園でカササギが観察された」という記事が載っていたため、いつになくオタマサがすぐさまカササギだと気がついた。
意外に大きなその体。
カラスに似ているなぁ…と思ったら、カササギはカラス科の鳥なのだった。
すぐさま家に戻ってカメラを抱え、カササギが飛び立った方面を捜索してみたものの時すでに遅し。
というわけで、画像はない。
かなり間近で観ることができた最初で最後の出会いが、人生最大のチャンスだったらしい……。
2015年05月16日
プイイィィィィィン……。
2015年 5月15日(金) 晴れ
南の風 おだやか 水温23度(5m以浅24度)
やっぱり今日もいい天気。
ヒトスジギンポ君が、公園の水飲み場で空を見上げるバカボンパパのようになっていた。
さて。
ゴールデンウィーク中に、ゲストがイロカエルアンコウを発見してくださった。
5センチほどの手ごろなサイズで、基調は黒ながらも模様が入っている子だったから、是非とも写真に納めたかったのだけど、後日再訪してみたところ案の定発見できず。
でも大きなオオモンカエルアンコウと違い、住処にしている根を離れ、砂底を大横断して別の根へ移動するとも思えないから、きっと同じ根のどこかにいるに違いない。
というわけでこの日、ヒトスジギンポのアクビをゲットしたあと、再び捜索してみることにした。
すると……………
いた♪
キンギョハナダイなどの小魚が周りをウロチョロしていることもあって、ときおりエスカをフリフリしている。
そのエスカ、静止画像で見るとこんな感じ。
撮影:オタマサ
良くて小エビのように、悪く言えばボロ切れのように見える。
ところがフリフリして動かしているときは、このゴミのようなものが小魚のように見えるから不思議。
カエルアンコウたちは、なにげにワザ師なのである。
このイロカエルアンコウも、いいお天気が続いて水温が上がったヨロコビを全身で表してくれた。
観ている間、何度もアクビを披露してくれたイロカエル君。
しかしいつまでも観られているのがイヤになったのか、やがてモゾモゾ動き始めたと思ったら……
静かに浮かび上がり、腋の下(?)のジェット噴射装置でプイイィィィン……と1メートルほど移動していった。
各ヒレはせいぜい姿勢制御用程度で、鰓穴から噴き出す水流の推進力のみで進む姿は、まるで風に運ばれる風船のよう。
ジェット噴射でどこか遠くへ行ってしまうことなく、しばらくここに居ついてくれることを祈ろう。
2015年05月15日
潜るんです。
2015年 5月14日(木) 晴れ
南の風 少々うねりあり 水温23度
今日もいい天気。
きっと明日もいい天気。
おそらく明後日もいい天気。
ほぼピンポイントだった12日の台風に当たってしまった方々は、我が身の不運をお嘆きください………。
さて。
昨日はサザエの備蓄確保のための素潜りだったから確かな水温はわからなかったけど、今日のダイコンはキリリと力強く23度を表示していた。
期待どおり、台風が南洋の温かい水を運んできてくれたのだろう。
この先しばらくはずっといい天気のようだから、水温は順調に上がっていくに違いない。
遊びで潜っている場合、水温が低いと時を追うごとに集中力が失われていくから、船の近くに戻ってきてから少しばかり石の下のクリーチャーを探してみようかなぁ……なんて気は毛ほどもなくなる。
それが23度くらいになると、4~50分経ってからもまだ何か探してみようという気力がしっかり残っている。
で、この日。
23度になってまったく寒くなかったおかげで、久しぶりに石をめくってみた。
すると………
こんなん出ましたけどぉ~~~!!
見慣れないこのカニ、よく見ると輪郭がけっこう毛だらけ猫灰だらけ。<死語?
でも、正面から見るとわりとカワイイ。
どうやらこのカニはゴイシガニという名前らしい。
なるほどたしかに、その丸っこくて白い体を上から見ると、囲碁の白石に似ている。
でもこのカニの最も注目すべきところは、毛ボーボーでもカワイイ顔でも丸い体でもなかった。
このゴイシガニ、実は……
潜るんです♪
小さな画面じゃ観づらいけど、画面真ん中で蠢いているのがこのカニさん。
どうやら明るい場所がイヤなようで、明るいところにいるとすぐに潜り始める。
といっても完全に埋没して地中深くまで潜ってしまうわけではなく、川面にいるカバやワニのように、目のあたりだけ出してジッとしていた。
その動きはなかなかのワザ師ぶり。
観ていたときはまだ名前を知らなかったから、カイカムリならぬスナカムリって名前を付けようかと思ってしまった。
砂に潜っていく様子が面白かったので、カニさんには申し訳ないけど何度も繰り返し潜ってもらっていると、さすがにカニさんは疲れてしまったらしい。
すまぬすまぬ。
そうやってゴイシガニに負担を強いつつ撮っていると、思いもよらぬ奇跡のツーショットが生まれていた。
カニさんの腰のあたりにご注目。
そう、このヒト!!
ご存知、エビジャコ。
シャコというからにはシャコの仲間なのかと思いきや、最強かつ最小のエビ図鑑に載っているくらいだからきっとエビの仲間なのだろう。
だったらなぜシャコエビにしない??
………と思ったら、エビジャコは漢字で書くと蝦雑魚だそうで、ジャコは蝦蛄ではなくてチリメンジャコのジャコなのだった。
名前はさておきこのエビちゃん、老眼限界を超えて小さいうえに砂と同化しているため、フツーに砂底にいるからといって気づくことは滅多にないエビだ。
もちろんながら撮影中の僕はまったく気づいてはおらず、後刻パソコンのモニターを見て初めて知った。
そのわりには、エビちゃんにけっこうピントが合っているところが我ながらスゴイ。
やっぱオレって、こーゆーささやかなところで運を使ってしまっているのか?
2015年05月14日
アセロラスムージー。
2015年 5月13日(水) 晴れ!
南の風 少々うねりあり 水温23度くらい
台風一過。
本土の台風って、きっといつもこんな感じなんだろう。
いくら足が速い台風とはいえ、翌日いきなり朝から連絡船が運航することはないだろうと思っていたら、連絡船は朝イチの便から復帰。
おかげで、朝から船を下ろしに渡久地港まで行くことができた。
ゲストがいらっしゃるわけじゃなし、慌てて下ろしに行く必要はないものの、指をくわえて見ているだけにするにはあまりにも惜しいいいお天気だったのだ。
ホントに、昨日台風だったとは思えないくらい。
今回の台風通過をきっかけにそろそろ梅雨入りかな?とオボロゲに考えていたのに、週間天気予報を見るかぎり梅雨の気配など微塵もない。
飛行機は安いお天気はいいとなれば、実はこの時期、今年のベストシーズンになっているんじゃなかろうか。
梅雨入りが遅れて梅雨明けも遅れると、本来梅雨が明けているであろう時期は悲惨な結果になってしまうかも。
遅れようがどうしようが、梅雨がないまま夏になるとたちまち水不足でパニックになること必至の沖縄だから、この異常な干ばつ傾向はやや不気味でもある。
「例年どおり」とか「平年並み」というのは、とても有難いことなのだ。
さて、この日朝イチで渡久地港まで行ったものの、船を下ろしてすぐに戻ってきたので、本島滞在はタッチアンドゴー。
しかし船を揚げに行った10日は、そのまま本島に滞在して「良風」でGWのプチ打ち上げをし、台風迫る翌日はモロモロの関係役所に税金等を配りに。
GWの売り上げは、そういった支払いにほとんどが消えてしまうという、ある意味とてもやるせない繁忙期でもあるのだ。
所用を済ませた後、連絡船の時刻までまだ時間があったので、随分前から気になっていたモノを味わってみることにした。
本部町役場からほど近い沿道にあるパーラーだ。
幹線道路に面しているのに気軽に停められる駐車スペースが無いので、気にはなっていてもこれまでなかなか立ち寄ることができなかった、パーラーロッソ。
その名のとおり、赤い壁が目印だ。
なんで赤いのかというと、本部町が誇るフルーツ、アセロラをメインにしているから。
そこのイチオシがこれ!!
アセロラスムージー♪
一昔前の僕なら、「スムージー」と言われてもいったいいかなるものなのか見当もつかなかっただろうけど、人生約半世紀ともなれば、多少のことはわかるようになっているのだ。フフフ……。
一杯800円と少々お値が張るものの、その分ボリュームも、赤いだけあって通常の3倍は多い。
味調整のため多少砂糖を入れてあると伺ったこのスムージー、はたしてお味は……
あ……アセロラだ!!
いや、アセロラスムージーなのだからアセロラ味は当たり前ながら、香料その他で作り上げた人工的アセロラじゃなく、熟れたアセロラの実を食べたような、ホントのアセロラの味がする。
これを食べようと僕が提案したとき、その値段のために眉をひそめていたオタマサだったくせに、口にするやいなや(それも僕よりも先に)、たちまち目を見開き絶賛の嵐。
たしかにこれは美味しい。
これで量がこの半分くらいだったら、それを2人で半分ずつ食べてちょうどいいんだけどなぁ。
アセロラスムージー小……500円
というメニューはいかがでしょう??
ところで、意を決してこのパーラーロッソに立ち寄ったこの時、パーラーおよび果樹販売のスタッフ御一同はなにやら慌ただしげだった。
OPENとしながらも、パーラーそのものには誰もいないくらいに。
聞けば、台風接近に伴い、アセロラの実をみんなで収穫しに行っているのだとか。
アセロラはひとたび地面に落ちてしまうとたちまち傷んでしまうから、台風の風で落とされてしまったら元も子も無くなるのだ。
多少早くとも、落ちるにまかせるよりは収穫しておいたほうがいいのである。
台風対策は、海に従事する人たちだけのことではなく、農家は農家でやはり大変なのだった。
台風も大変なら大雨も大変、干ばつも日照不足も大変な農家。
この梅雨の気配が無い傾向が、県内農家のダメージにならないことを祈ろう。
2015年05月13日
原典の原点。
2015年 5月12日(火) 雨のち曇り
西の風 時化模様のち波あり程度
マスコミが騒ぐほどの台風ではまったくなかった、ということを昨日書いたけど、それはけっして僕だけの感想ではない。
この日台風後の復旧作業……というと大げさながら、とにかく通常モードに戻す作業をしていたときのこと。
隣りのウメおばさんが、いたずらっ子のような笑顔を浮かべておっしゃる言葉がふるっていた。
「台風あったの?」
おばさん一流のジョークである。
それくらい、拍子抜けする台風だったのだ。
おかげで前夜も夜中も最接近中も停電することはなく、平和に過ごせた一晩だった。
ただ。
今週の平日中、唯一ご予約が入っていたのがこの12日。
日帰りのゲストお2組という、夜のお勤めの必要が無い、体に優しいご予約だったというのに、そこにピンポイントで台風だなんてなぁ……。
台風の進路が大きくずれたから、オレの引きの強さもまぁこんなもんか、と安心していたのというのに、実は思いっきりカンちゃんズッポシ的な引きの強さだったらしい。
話は変わる。
といっても一部限定向けの話なので、興味のない方はどうぞあちらへ。
ハリウッド映画では、近年「ビギンズもの」が流行っている。
聞くところによると、どうやらアメリカ人はこのビギンズものが好きなのだとか。
アメコミヒーローもののビギンズはもちろんのこと、思い起こせばあのゴッドファーザー2だって、現在進行形の物語にフェードインで出てくるローバート・デ・ニーロは、ドン・コルレオーネのビギンズ物語だった。
日本人もやはりビギンズものが好きなのだろうか。
その答えは知らないけれど、思わず舌を巻かずにはいられないビギンズものが、ついにこのシリーズに登場した。
その名も……
機動戦士ガンダム The ORIGIN。
ね?だから興味のない方はどうぞまっとうな世界へ。
いや、いくら面白いと思ってはいても、もういい歳こいて今さらガンダムだなんだってものをこーゆー場で書くのはいささかこっ恥ずかしいとは思っているのだ。
しかしながら先月末に発売されたDVDを、ありがたいことにこのたびゲストのウータン中村さんからご寄贈いただいたので(ウータン中村さん、ありがとうございます!)、この心落ち着きフトコロ寒い台風休み中にじっくり鑑賞した次第。
ちなみにこのジ・オリジンは、安彦良和氏が雑誌連載のマンガとして世に著わしたもので、すでに完結しているそのマンガ作品の映像化だという。
原作マンガはまったく読んでいないけれど、安彦良和といえば、最初のガンダムの映像面での生みの親といっていい人だから、きっと絵を観るだけでも楽しいのだろうなぁ…と思ってはいた。
それにしても、ガンダムシリーズの2作目にあたるZガンダムでは、キャラクターデザインでチョロッと参加しただけであとはまったくノータッチの彼だった。
だからてっきりガンダムにはさほど思い入れはないのかとばかり思っていたのに、ここへきて原典の原点を描こうというその情熱。
単に富野由悠季と一緒に仕事をするのがイヤだっただけっすか(爆)。
さて、そんな映像面の生みの親が総監督、そして絵コンテまで買って出ての本作。画面狭しと描かれる映像が美しくないわけがない。
冒頭はいきなりルウム戦役の会戦シーンだ。
連邦軍の圧倒的優勢かと思われたその時、キラリと輝くジオンの赤いモビルスーツ!!
赤いザクの動きは通常の3倍どころか……
3000倍速いんですけど!!
これだったら後継機種を開発する必要ないじゃん……。
いやはや、三十数年前に比べればいろいろ変わった世の中、アニメーションの技術の発達も凄まじいですな。
宇宙戦艦ヤマト2199でも、旧作に比べて絵や動画が美しくなったというヨロコビの声を上げる往年のファンも多かった。
とはいえあんだけきれいな絵になってしまうと、冒頭から
イスカンダルまであっという間に行けんじゃね??
と思ってしまうほどに高性能に見えてしまう。
こんな艦で遥か14万8千光年あらため16万8千光年の先にある星にまでたどり着けるんだろうか……と不安になるくらいの低性能演出のほうが、その後のアドベンチャー要素が満載になっていいと思っているのは私だけでしょうか……。
何の話だっけ?
あ、オリジンね。
この作品、冒頭で赤いザクが暴れまわるシーンでツカミはOK状態にしつつ、原典の原点だけに、のちの赤い彗星がまだ少年の頃から物語は始まる。
で、予告編をyoutubeで観ていたとき、その少年キャスバルの声をアテているのが、ワンピースのルフィの声こと田中真弓と知った。
いくら興行的要請とはいえ、なにもワンピースに頼ることはないだろう……>サンライズ。
おまけに、サブタイトルが「青い瞳のキャスバル」。
いやあもう、アニメアニメした田中真弓といい、このタイトルといい、なんだか織田裕二の「椿三十郎」と同じくらいの「観ない方がいいんではあるまいか……」感が満載だった。
ところが!!
さすがベテラン声優、その落ち着いた演技は、作品世界……というかのちにシャア・アズナブルになる、ということを熟知したうえでの見事な仕事ぶり。
例えて言うなら、その後マーロン・ブランドになることを熟知したロバート・デ・ニーロの、アカデミー助演男優賞級演技…………と言うと大げさか。
ああそうだ、声優さんといえば。
のちのセイラさんこと幼いアルテイシアを演っている潘めぐみという方は、なんとララァの声を演っていた潘恵子の娘さんなのだとか。
いやはや………我々もオッサンオバハンになるわけだ。
驚いたのはそれだけではなかった。
てっきりそのキャスバル少年が物語のうえでも主人公なのかと思いきや、なんと驚くなかれ、この「青い瞳のキャスバル」における事実上の主役は、若き日のランバ・ラルとクラウレ・ハモンなのだ。
ランバ・ラルといえばあなた、ガンダムシリーズに出てくるあらゆるキャラクターの中で、私が最も敬愛する登場人物。
おまけに彼が立ち寄るバーのカウンターでは、クランプがマスターをしているじゃあ~りませんか!!
………いかん、興奮のあまりチャーリー浜になってしまった。
新たな少年少女ファン層開拓も意図しているがゆえの、アニメーション上のオーバーアクトや過剰な演出は、オッサンが観るとさすがに閉口する。
しかし後のランバ・ラル隊の面々がいろんなところに出てくるあたり、オールドファンへのサービスはなかなか心憎い。
最初のガンダムであのランバ・ラルがハモンに伝えた名台詞、
「ランバ・ラル、戦いの中で戦いを忘れたッ!!」
に繋がるシーンもちゃんと用意されていた。
たしかに、過去にこんなエピソードがあればアルテイシアと知って銃は向けられませんわなぁ……>ラル大尉。
とまぁこんな具合に、その10年後どうなるかということを誰もが知っていることを前提とした、「ビギンズ」ものならではの醍醐味満載の「The ORIGIN」。
その名にし負う原典の原点である。
次回作は秋公開、その2か月後くらいにDVD販売となるのだろう。
そのタイトルは「哀しみのアルテイシア」。
うーむ……タイトルだけだとスルーしてしまいそう。
でもきっとまた、シブい方々が物語上の主人公になってくれるに違いない。
首を長くして来オフを待とう。
2015年05月12日
報道格差社会。
2015年 5月10日(月) 晴れ
南の風 荒れ模様
例によって災害大好きテレビニュースは、沖縄地方を八重山から順に北上する台風6号にピッタリマンマーク状態だった。
沖縄に接近する台風がこんなに全国ネットで報道されるなんて、四半世紀前と比べれば文字どおり隔世の感ありってところだ。
でも、とにかく「台風台風」と騒ぎたいマスコミがテレビで伝える台風は、実際に沖縄近海を通過していく台風6号の3倍くらいの強烈さであるかのようにうかがえる。
沖縄本島地方の場合、北上とともに勢力を衰えた台風はその勢力範囲を大きく縮小し、その進路が北へ大きくずれてくれたおかげで、一部離島地域を除き暴風域にすら入らずに済みそうな塩梅になっている。
それなのにNHKのニュースでは、まるで920ヘクトパスカルの超強烈台風が本島のど真ん中を通過していくかのような雰囲気なのだ。
「久米島で風速45メートルが観測されました」
などと各地で記録される暴風を伝えるのだけれど、沖縄の台風で40~50メートルで済むのだったら御の字じゃないか。
「沖縄本島地方はおおむね暴風域に入らずに済みそうです」
といったような、固唾をのんでニュースを見守っている人々を安心させる一言をなぜ言えないんだろう。
この進路で済むのであれば、
「本島はもう大丈夫です!」
と言ったって罪はない。
しかしあくまでもレポーターが木々が傾ぐ現場で語る、台風のストロングさを演出する陳腐な映像ばかり流れている。
危機感を煽ることが、報道の使命と思っているに違いない。
そういう意味では真逆になっているのが、近頃の箱根山の火山のニュースだ。
一時は明日にでも水蒸気爆発か、という雰囲気だった報道は沈静化し、むしろ「なんだかんだいって大丈夫なんじゃね?」的なニュアンスが増している気がする。
土地柄、多くの観光業者、多くの観光客、そして首都圏に近いからこその人心を慮った配慮なのだろう。
そんな箱根山のニュースを見ていると、ふと思う。
蔵王はどうなってるの???
蔵王地域のゴールデンウィークを蹴飛ばした噴火間近的報道は、箱根山の火山活動が始まってから、全国ネットのニュースからすっかり姿を消してしまっているような気がするんだけど。
火山活動的には箱根山よりもヤバそうだったのに、伝わる報道は箱根山ばかり。
蔵王は大丈夫なのか、大丈夫じゃなかったらどうなのか、そして近隣の観光業者さんたちはいったいどうなっているのか、能動的に探らない限り現地の報道を目にする機会がない。
あれほど危機感を煽っておいて、その後のフォローは一切なしってどうなのよ。
長野に1メートルの雪が積もってもフーン…で済むのに、東京に3センチほど雪が積もると全国にそれを報道するマスコミ。
蔵王が東京から100キロほどの近距離にあれば、報道の様相はまったく違ったものになっていたことだろう。