2017年07月31日

オンリーワン・ダイブ&ナイト。

2017年 7月30日(日) 晴れ

南東の風 うねりあり 水温27度~29度
    
 どんなに楽しいことがあっても、心の片隅にわだかまりとして存在し続けるコンプレッサーの故障。
 
 トラブル発生時に見当をつけた原因部分があったのだけど、処置を施しても改善するどころかより悪化してしまっては、その先は途方に暮れるしかなくなっていた。

 修理するにも本体ごと運ばなきゃならないし、恃みの業者が廃業してしまった今、メーカーに直接送るのが最も確実ではある。
 とはいえ船便確定の荷物のこと、メーカーさんに修理をどれほど迅速に進めてもらったとしても、往復の配送時間は相当の日数になってしまう。

 かくなるうえは、いっそのこと新品(@150万円)を買うか。

 ……とまで思い詰めていた今朝のこと。

 トラブルの原因に「ひょっとして…」と思い当たることが一つだけあったので、一縷の望みをかけて再び処置を施してみた。

 すると。

 コンプレッサー(とりあえず)復活!!

 いやあ、よかったよかった。

 というか、最初に処置を施した内部パーツを、逆向きにセットしてしまっていたワタシ。

 そのまま途方に暮れてメーカーさんに修理を依頼していたら、

 「パーツの向きが逆でした」

 で終わってしまうところだった。アブナイアブナイ。

 なんであれ器械モノの微妙なパーツを分解するときは、基本的に構造を理解していないから、とにかくデジカメで原形を撮っておいてから作業に入るようにしているのだけど、限られた時間の中で焦りつつ浮き足立っていたために、記憶だけに頼ってしまったのだった。

 というわけで、結局最初に見当をつけた部分が原因だったようで、少なくともこの日はモンダイなく順調に稼働したコンプレッサー。

 急に馬車馬のごとく働かせてしまったから狂ってしまったのだろうけれど、この先は当分通常モードだからゴキゲンも直ってくれるに違いない。

 そんな次第なので、台風さん、当面まったく来なくていいです。
 でも、お願いだからにわか雨くらい降らせてください……。

 にわか雨がたまにあるらしい本島はともかく、ホントに日照り続きだから庭の芝生まで茶色になってきてしまっているのだ。

 こうなるとさすがにオクラも……ということは先日触れたけど、がんばるオジサン!さんがコメントしてくださっているオクラの花、そういえば写真を撮っていなかったことに気がついた。

 日照りでやられてしまう前に、その可憐なオクラの花を記録に残しておこう。



 これがオクラの花。

 こんな写真を撮っていられるのも、コンプレッサーが直ったことによる心の余裕がなせるもの…と思われるかもしれないけれど、さにあらず。
 これを撮っている時には、まだ「ひょっとして…」に思い至っていなかった朝の早い時間だったりする。

 というか、こんな写真を撮っている場合ではないって話でもある。

 でも、ふとこういう一輪の花に目を向けることによって、「ひょっとして…」ということに思い至ることができたかもしれないのだと思えば、やはりこんな写真を撮っている場合だったのである。きっと。

 ところで、オクラの花をご存知ない方は、おそらくオクラがどのように生っているかということもご存知ないはず。
 花の後ろで天を目指して突き出ているのがオクラです。

 話は変わる。

 7月最後のピーク、マッターホルンを踏破した我々の前に、ついにその姿を露わにしたのがこちらのご家族。


撮影:オタマサ

 
 ごっくん隊リーダーT沢さんご一家。

 ちなみに、背後にいらっしゃる方はT沢家のおじいちゃんではありません(アヤシくもいつも楽しげなH田パパ)。

 近年はご来沖がすっかり家族…いや、愛息サービスになっているリーダーは、水納島ご滞在は長くて1泊限定で、巨大なバッグにダイビング器材を詰め込んではいても、ダイビングはオンリーワン、そして過ごせる夜もひと夜だけ。

 にもかかわらず、今年も事前に届けてくださいました、ショットガンフォーメーション!!



 これ、ミニボトルじゃありませんからね。
 一升瓶です、一升瓶。

 ご来沖は今月26日からというリーダー、焼酎に先行させつつ、ようやくこの日にご到着。
 すでに真っ黒に日焼け…どころかおでこズル剥け状態ながら、5デイズfor1ダイブ&1ナイトモードでのご登場だ。

 そして午前中は、パパとして愛息ショーウン君サービスのファミリースノーケリング。

 年ごとに成長しているショーウン君、今年は深いところに浮いていてもまったくへっちゃらになっていたおかげで、こういう写真も撮ることができた。



 家族3人で手を取りあってのシルエット、なにげにリーダーの念願だったそうな。

 そして午後にはオンリーワンダイブのひとときを過ごされたあと、やってきましたオンリーワンナイト。



 次々に封を切られていくショットガンフォーメーション。

 でまたリーダーのお酒は楽しいから、翌日のことを考えてほどほどのところで…と思っておられるはずの他のみなさんなのに、気がつけばあれよあれよという間に注がれていくグラス。

 オンリーワンナイトではありながらも、H田パパ&ママとは水納島で一緒になったこともあれば、かつて新橋でも一緒に飲んだこともある旧知の間柄だから、アウェー感などまったく無いまま、最初から全開モードで過ごせたリーダーなのだった。

 育児中はお酒を控えていたブクちゃんも、久しぶりに久米仙ロックごっくんモードで、かつての爆裂飲みっぷりの片鱗をうかがわせてくれた(ロックを飲みながら、「久米仙ってもっと味が濃いと記憶してたのに、なんか薄いね」との名言を披露)。

 そしてお誕生席に楽しげに座っている愛息ショーウンがまた素晴らしい。

 この齢くらいの子供というと、ともすればオトナが話している最中に興味のおもむくままに別の話で割り込んでくる、ということが多いのだけど、そのあたり、酒席における子供のポジションが完全に身に着いているというかなんというか、話すべき時には語り、聞くべき時には耳を傾け、そしてウケるときには大いにウケまくるという、そんじょそこらのオトナもそうそうマネできない見事なオトナぶり。

 それもこれも、「楽しいお酒」に事欠かないリーダー一家の「酒育」の賜物なのかもしれない。

 そんな夜もやがて。

 楽しかったひとときが、今はもう過ぎていく@カックラキン大放送。

 オンリーワンナイトということは最初からわかっていたリーダー、次回はせめて2泊くらいしたいなぁ…と切なる願いを口にすると、

 「いいよ!」

 にっこり微笑みながら、二つ返事で応えるショーウンなのだった。

 リーダー、来年は是非2ナイツで!! 
  


Posted by クロワッサン at 07:46Comments(2)日々の徒然

2017年07月30日

切なる願い。

2017年 7月29日(土) 晴れ

南東の風 うねりあり 水温27度~29度
    
 現在天気図上に見える台風および台風の卵は、いずれも沖縄本島地方に直接の影響を与えずに済む模様。

 旅行者にとっては願ってもない状況である。

 ただ、現地で働くビーチボーイやマリンショップのスタッフたちにとっては、立て続けに8つもできた台風を恃みにしていたのに、ことごとくソッポを向かれている状況でもある。

 「台風は来ますか?」

 「連絡船は欠航しますか?」

 とすがるようにワタシに訊いてくる彼らの目には、「お願いだからそろそろ台風来てくれ…」という切なる望みがうかがえる。

 そんな彼らにキッパリとワタシは言う。

 「来ない。」

 彼らスタッフたちの苦難の道は続く。 
  


Posted by クロワッサン at 07:20Comments(6)日々の徒然

2017年07月29日

好事魔多し。

2017年 7月28日(金) 晴れ

南東の風 うねりあり 水温27度~29度
   
 意味不明台風5号や、主役に躍り出損ねた9号がまだ天気図上でチラホラしてはいるけれど、どうやら7月中に沖縄本島地方に悪さをしでかすことはなさそうだ。

 結局今月は、3日こそ遠方の台風のせいで連絡船が欠航したものの、当店にはゲストの予約が無かったので経済的被害はほぼゼロ。

 その後は「台風?それ何語?」とでも言いたくなる勢いのまま終始したため、いただいていたご予約が気象状況でご破算になることなく7月が終わろうとしている。

 おかげで。

 クロワッサン的には近来稀に見る大活況。
 
 やればできる子なんです!!

 もうこれで、8月は毎日台風でもいいや……と嘯いている今日この頃だったりする。

 が。
 
 昔から、好事魔多しとヒトの言う。

 ピークの縦走が続いていた7月の、最後の最後に聳え立っていたインナースペース@岡山のツアー(当店が受けている唯一のショップツアー)もあと1日、となったこの日夕刻。

 またしてもコンプレッサーがおかしくなってしまった。

 このまま台風が来なかったら、我々の体力はもつんだろうか…と心配していたというのに、コンプレッサーの方が先にダウンしてしまったではないか。

 コンプレッサー君も近年はこんなに働いたことがなかったから、調子が狂ってしまったのかもしれない。

 先だってのトラブルは、パーツの交換を済ませれば解決可能という目処が最初から立っていたからよかったけれど、今回は本体ごとどうにかしなければどうにもならなそう。

 なんてことだ、オフの間にオーバーホールに出したばかりだというのに、30万円もかかって半年もたずにダウンだなんて。

 しかもオーバーホールをしてもらった業者は、もうこの世に存在しないし……。

 ともかくそういうわけで、これから1年を通して最も険峻なピーク、すなわちお盆が控えているというのに、タンクチャージのための余計なひと手間と経費がかかることになってしまった。

 ああ、考えただけでも気が遠くなる。

 きっと長引くであろう修理のことを思えば、もういっそのこと8月はホントに毎日台風でいいや………

 ……って言ったら、別方面から禍が降りかかってくるかも??

 はたして、クロワッサンが不死鳥のごとく通常モードに復活する日は来るのか。
  


Posted by クロワッサン at 13:58Comments(0)日々の徒然

2017年07月28日

オクラ三昧。

2017年 7月27日(木) 晴れ

北東の風のちほぼ無風 おだやか 水温27度~29度
    
 雨が降らない。

 天気予報上では散見される「ところにより雨」がいう「ところ」に、水納島がなかなか入ってくれない。

 先日出掛けた名護では、ワイパーが追いつかないくらいの激しい雨になったというのに、島では1ミリも降っていなかったという。

 この日も本島、それも目と鼻の先の本部町では朝からけっこうな雨になっていたようなのに、水納島は1日中カンカン照りだ。

 遊びに来ているお客さんには申し分ないお天気だろうけれど、こんだけ降らないとそろそろあちこちに支障が出始める。

 カメさんたちのエサになるクワの新芽がなかなか伸びないし、伸びていた新芽はすぐさま木になってしまう。

 そして今年から導入している畑2号における夏の野菜たちもキビシイ環境にさらされていて、その傍らにこしらえた、カメさんたちの非常食用イモの葉もまた、かなりグッタリし始めてきた。

 台風その他で草という草が採れなくなったときの非常時用に育てているのに、先にピンチになっていてどうするのだ、イモ。

 そんな野菜サバイバル環境にあって、雄々しくも律儀に毎日収穫できているのがこちら。
 


 畑2号が家からほど近いということで、夏場のシーズンでも管理可能とふんだオタマサが、今さらながら初めて作ったオクラ。

 沖縄で育つ品種は角ばっておらず、輪切りにするとほぼほぼ丸いのが特徴なんだけど、味はノーマルオクラと変わらない。
 また、スーパーなどで買ってくるオクラは皮が固くなっているものが多いのだけど、採り頃に採ってその日のうちに茹でていただくと、なんともいえぬ柔らかな食感がクセになる。
 
 これにバーニャカウダソースが合うんだわ。

 その他、炒めても良し、刻んで薬味にしても良し。
 食べても食べても収穫できるおかげで、今年はこれまでの10年分以上のオクラを食べているような気がする……。

 雨が降らずとも頑張り続けるオクラたち。

 野菜が不足がちになる夏場にあって、なんと頼りになる存在であることか。

 でもここまで日照りが続くと、さすがのオクラもピンチなのかも。 

 そういう意味では、週間天気予報で月末にチラと見える傘マークは、恵みの雨ということになる。

 あれはどういう意味での雨なんですかね?
 大陸に抜ける見込みの台風9号の影響?

 では、5日にクッキリハッキリ出ている傘マークはいったい??

 10日間予報も、そろそろ台風ラッシュを覚悟し始めているらしい。
 
 8月にご予約をいただいている皆々様におかれましても、かくなるうえはお覚悟召されよ。
  


Posted by クロワッサン at 07:04Comments(5)島の美味いもの

2017年07月27日

たんなは屋。

2017年 7月26日(水) 晴れ

南の風 おだやか
    
 実に半月ぶりの休日!!

 …という日もやはり天気晴朗海上ベタ凪ぎで、いつもだったら「これで潜りに行かずにいつ行く」と言っているかもしれないけれど、すでに牛乳が尽きて4日経っている今、そんなことを行っている場合ではない。

 というわけで、本島まで半月ぶりの買い出しに。

 名護まで足を延ばしていたので、時間もたっぷりあることだから普段行かない方面へ早お昼を食べに行くことにした。

 訪れたのはこちら。



 名護市東海岸は辺野古地域にこの店ありと知られている老舗食道「たんなは屋」。

 以前初探訪した際は、見事に定休日に当たってしまったというのに、その定休日が何曜日だったかすっかり忘れていた我々は、「営業中」の看板にホッと胸をなでおろしたのだった。

 ところで、耳慣れない「たんなは」というのは、玉那覇という姓が転訛した呼び名と思われる。

 多くの内地のみなさんにとって辺野古といえば、普天間代替基地モンダイで揺れ続けている場所、としか認識されていないかもしれないけれど、そこにはもちろん人々の普段の暮らしがあり、そんな人々の胃袋を支えている食堂も頑張っているのだ。

 地域の胃袋を支え続けているくらいだから、ズラリと並ぶ定食メニューはどれもこれもメガトン級の盛りだそうで、それなのにマックス650円という、およそありえない低価格の品揃え。

 そんなガッツリ系メニューのなかにはもちろん沖縄そばシリーズも3種ほどラインナップされている。

 ワタシがお願いしたのは……
 


 そば(三枚肉)@500円。

 今どきワンコインでこんなにたっぷり食べられる沖縄そばがどれほどあるだろうか。

 しかも、てっきり本島東海岸田舎風やる気系出汁なのかと思っていたら、意外や意外、しっかりした鰹出汁のしみじみ上品系。
 二日酔いの朝にいただけば、胃袋が涙を流して喜ぶこと間違いなしである。

 ほどよく甘めに味付けされた三枚肉は、煮込み具合もこれまた上品系で、北部でいただくそばにしては珍しく、食後に喉が渇かなさそうな優しさに満ちている。

 一方オタマサは……



 ソーキそば@600円。
 三枚肉そば同様、沖縄そばには珍しく、昆布じゃなくてワカメが添えられている。
 
 それにしても、大きめの本ソーキが2切れも載りながら600円とは……。

 こういう店をご存知の方が水納島にお越しになっても、さすがに700円の沖縄そばをパーラーでオーダーしようという気にはなれないだろうなぁ……。

 ソーキもやはり上品な甘めに煮込まれていて、柔らかすぎないほどよい煮込み具合がオタマサのツボらしく、「小」という選択肢は無かったのに、ペロリと平らげていた。



 わりと広めの駐車場前に掲げられているやや古びた看板からは想像できないほど店内は新し目にこざっぱりしていて、テーブル席と座敷席を合わせるとそれなりの収容数に見えるのだけど、それでもお昼時ともなれば、たちまち地元の方々で満席になるのだとか。

 そんな地元の方々の胃袋を支えている店が、この地域にはまだほかにもあるらしく、店内の壁にこのような案内が貼られてあった。



 右隅にあるゲート前テント村と書いてあるあたりは、基地を警備している機動隊と基地建設反対運動中のみなさんが揉めているシーンがニュースでよく出てくる場所。

 そのすぐ近くに、このように人々の普段の暮らしがあるのだ。
 そこに息づく人々の暮らし。そういうことを最もわかっていない人たちが、「国民の生命と財産を守る」と言い続けているってのもなんだかなぁ。 
 
 たんなは屋さんにズラリと並ぶメニューのうち、野菜そばも気になるところながら、次回来店時はメガ盛り定食メニューにチャレンジしてみたい……と思い始めていたところへ、インド料理SHIVAというお店も唐突感満載で非常に気になってきた。

 こういう土地柄でインド料理店、いったいどういう方面に需要があるのだろう??

 たんなは屋のメガ盛り定食にナゾのインド料理店などなど、これじゃあシーズン中のたまの休日だけでは時間が足りない。

 ああ、早く来い来いオフシーズン!

 あと3ヶ月と5日の辛抱だ。
  


Posted by クロワッサン at 07:54Comments(0)沖縄そば

2017年07月26日

海は養老院。

2017年 7月25日(火) 曇り少しにわか雨のち晴れ

北の風 ややうねりあり 水温26~29度
   
 前日すでにシブい船上になっていたけれど、北には無い南の素晴らしさを(半島のことではありません)広め続けておられたSさんがこの日朝の便でお帰りになったあとは、ああなんてことだ、ゲストの平均年齢はオーバー還暦ということになってしまった。

 老舗ダイビングサービスが抱える、ゲスト高齢化問題である。

 とはいえリタイアされてからの悠々自適の暮らしをお聞きしていると、リタイアというのもそれはそれで素晴らしい。

 そういえばその昔、映画「男はつらいよ」のなかで、何を血迷った夢を見たのか、そろそろ寅(とその時のマドンナ)に店を任せ、自分たち老夫婦は養老院にでも入ってのんびり暮らすかぁ、とおいちゃんが楽しげに老後を夢想するシーンがあった。

 養老院なんて今聞くと懐かしい言葉だけど、子供の頃はちょくちょく耳にしていたような気がする。
 
 そしてその語感は、おいちゃんが語るようになんだかとてものんびりしていそうで、齢をとるって悪いことでもなさそうだな…と子供心にも思ったものだった。

 今の世の中に決定的に足りないのは、その感覚なのではあるまいか。

 平均寿命まで生きなければ何か損でもするかのように、やれ健康だ、長寿だと騒ぐ一方で、その先にはさほどのシアワセを見出しているわけではなく、むしろその先のことを心配するあまり、若いうちから汲々とした生活を余儀なくされているように見える。

 もっとも、物価の上昇を目標にし、実際にジワリジワリと生活必需品方面から医療費から値が上がるようにしておきながら、年金の受給額は平気で下げてしまうという世の中で、おいちゃんが語るような養老院的のんびりさを老後に抱き続けろ、というのも少々無理な話ではある。

 でも、旅先で船上でも海中でも酒席でも楽しんでおられる平均年齢還暦以上のみなさんを見ていると、その昔おいちゃんが夢想していた世界が、それはそれでいつでも身近にあるような気さえしてくる。

 要は生き方、暮らし方ってことなんですかね。

 ボディビルパンツ的海パン一丁で楽しげに撮影に高じておられるイトウさんを見ていると、日本もまだまだ捨てたものではないと思えてくるのであった。


撮影:オタマサ

  


Posted by クロワッサン at 07:40Comments(0)日々の徒然

2017年07月25日

めざせ、1本。

2017年 7月24日(月) 晴れ午後にわか雨

北の風 少し波あり 水温27~29度
   
 気圧配置の関係で北寄りの優しげな風が吹き続いていたので、たとえ気温は同じでも格段に過ごしやすい1日に。

 午後になってにわか雨もあったものの、おおむねお天気は良好で、ダイビングをするうえでも文句のない海況だった。

 そんなダイビング日和のミスクロワッサンの船上は予定どおり、あくまでもシブいおじさんたちの世界になってしまった。

 でも海中には幼い生命が溢れている。

 クマノミ類のチビチビも目立つようになっていて、定着して間もないイソギンチャクのチビにたどり着いたチビターレは、完全なる個室でチビチビしている。



 直径5センチほどのシライトイソギンチャクチビターレを宿にしている、クマノミのチビ。

 こういうシーンは、このようにキレンジャーで適当に撮るのではなく、ちゃんとした装備でじっくり可愛く撮りたいところではある。
 けれどいざ再訪してみれば、イソギンチャクごと影も形も無くなっている…なんていうこともざらだ。

 ある程度の大きさになればともかく、これくらい小さいイソギンチャクにとっては、海の中はキビシイサバイバル環境なのである。

 一方リーフ上には、これよりは大きく育ってはいるものの、岩陰でひっそりと暮らしているタマイタダキイソギンチャクに、ハマクマノミのチビターレが暮らし始めていた。

 完全な1人暮らしからイソギンチャク生活を始めたハマクマノミは、幼魚の頃の白線の数が複数になる、ということは何度か触れた。

 その規則性の詳しいことはわからないけれど、こういうシチュエーションで育っているハマクマノミチビは、たいていコントラストがクッキリとした3本線であることが多い。

 ここにいる子も……



 魚を覚え始めて間もない方がご覧になれば、カクレクマノミと見紛うこと間違いなしの模様になっている。

 しかもよく見ると、尾ビレの先にも白いラインが入っているから、まるで4本線のようにも見える。

 これがやがて成長するにつれて一本ずつ消えていき、最終的には目の後ろの1本だけになる。

 その経過を追っていきたいところではあるけれど、やはり彼にとっても海の中は、キビシイキビシイサバイバル環境。
 この線が2本になるまで生き残っているかどうかすら危ぶまれるほどなのだ。

 はたしてこのハマクマ4ライン、白線1本になるまで生き延びることができるか?
  


Posted by クロワッサン at 07:31Comments(0)水納島の海

2017年07月24日

移ろい変わる色。

2017年 7月23日(日) 晴れ

北の風 少し波あり 水温26~29度 
  
 今年は海水温の上昇が例年になく遅く、今でこそ表層から水深10メートルくらいまではコンスタントに29度くらいになっているけれど、20メートルより深いところでは、時として26度ゾーンができていたりする。

 その間は少しずつ温度が変化していくわけではなく、まるで断層で隔てられているかのように突如3度の落差がある。

 だから行き道は急に寒いゾーンに突入して震える羽目になるかわりに、戻り道でその断層を越えると、温泉に浸かっているかのような暖かな水に包まれることになる。

 そのとき覚える温かさは一種異様なほどなんだけど、実際のところこの季節は水深30メートルくらいまではフツーにその水温になっているはず。

 つまり深いところでは、まだ「夏」になりきれていないわけだ。

 だからなのか、近年のこの季節に比べると、砂地の各根のにぎやかさがなんとなく物足りない。
 繁殖期を迎えてチビチビが増えても、水温が低すぎて活発になれず、早々に外来の肉食魚にゲットされているのかもしれない。

 早く来い来い、ホントの夏。

 でもそうなると、台風が育ちやすい環境が整うということでもあるんだけど……。

 一方、完全無欠の夏になって久しい陸上は、この日も文句のつけようがない1日に。

 となるとやっぱり…



 今日も元気だ、ビールが美味い!

 ユウナの花も、花びらをポッと朱に染めていた。
 


 淡い黄色のユウナの花は、枝から落ちると時を経るごとに色を変えていく。

 そして。
 
 ここ数日、紅一点花を添え続けてくれていたイズミ君が島を発つ翌日以降、クロワッサンの船上や酒席は、まるで色が抜け落ちたかのようなシブいたたずまいになるのであった。
  


Posted by クロワッサン at 07:03Comments(0)日々の徒然

2017年07月23日

ゴマモン襲撃。

2017年 7月22日(土) 晴れ

北西の風 ベタ凪ぎのち少し波あり 水温28~29度
  
 まだ嵐の前の静けさが続いている。

 年中こういうお天気だったら、我が家にはさぞかし立派な御殿が建つことだろう。

 しかしもちろん、このお天気がいつまでも続くはずがないということは、誰もがすでに知っている。

 そして南海上では、矢継ぎ早に台風が発生、将来的に台風になる熱帯低気圧も続々と誕生する気配だ。

 今のところ天気図上に現れているモノについては、どうやら沖縄地方に影響を及ぼしそうにはない。

 でもこの先どうなるかは、まさに神のみぞ知る。

 知っているのは神のみなのだから、「台風はどうなりますか?」なんて質問を当方によこさないよう、くれぐれもお願いいたします。

 さて。

 今のところ台風の襲来は無いけれど、毎日のように襲撃してくるゴマモンガラのオス。

 縄張り内のどこかでメスが卵を守っているからなのか、周辺にメスの姿が見当たらなくとも、どこからかやって来て、ふり返ればヤツがいる。

 セルフで潜られていたMさんも、誰かに強くフィンを引っ張られるからナニゴトかと振り向けば、ヤツがいたという。

 そして彼のフィンは……



 齧り取られている!!

 どうやらゴマモンガラにとっては、ヒラヒラとバカにしているように動くダイバーのフィンが癇に障るらしく、最初のアタックをフィンに加えてくるモノが多い。

 特に先が2つに割れているバイオフィンタイプの動きにイラだつようで、複数名いると最初に襲われるのは、たいていバイオフィン装備のゲスト、という傾向があるように思われる。

 いずれにしても、攻撃対象がフィンであるうちはいいのだけれど。

 先日のワタシのように第一撃が足首だったり、そのほか体に直接影響を及ぼす部位だったりすると、その被害がいかなることになるか、このフィンの欠損部分をご覧になれば、容易におわかりいただけることだろう。

 「なるほど、弱点は体の方か!」

 ついにダイバーのウィークポイントを知ってしまったゴマモンが出てこないことを祈ろう…。 

 それはそうと、面白いことに、ダイバーに対しては遮二無二向かってくるゴマモンガラのオスなのに、その攻撃中に海底で卵のケアをしているメガネハギのそばを通りかかると、自分より遥かに小さなメガネハギから攻撃を受けては逃げ去る様子を幾度も目にする。

 あんな小さな(15センチくらい)のメガネハギですら、本気で怒れば巨大ゴマモンに優勢勝ちするのである。

 ゴマモンよりも遥かに大きなダイバーが負けるはずはないのだ。

 ダイバーのみなさん、いたずらに恐怖心を抱くことなく、ゴマモンに、目で勝て、そして立ち上がれ!! 
  


Posted by クロワッサン at 07:20Comments(0)水納島の海

2017年07月22日

ドレヤン来襲。

2017年 7月21日(金) 晴れ

南西の風 おだやか 水温27~29度
  
 8月の場合、ピークはお盆前後とだいたい相場は決まっている。

 それに対し7月は、とってつけたハッピーマンデー形式3連休ができてから多少の偏りはあるものの、これといったピークはないまま連綿と…というケースが多かった。

 ところが今シーズンは、なんだか北アルプスを縦走しているかのように、ピークに次ぐピークを迎えている。

 そのサードピークといっていい仙台チームwith T が島を発たれ、これからしばらくの間は、船上もゆんたくの場もシッポリと落ち着いた空間になるはずだった。

 ところが今宵、突如こういうことに。



 前夜と変わらぬ、エクステンションテーブル仕様になってしまった。

 というのも。

 日中のひと仕事を終え、あとは最終便でご到着になるチーム大の字(都合により今回はナの字)をお迎えするのみとなっていた夕刻、玄関先でノックをしている人影が。

 かつてのドレヤン、ナカオだ。

 「ふと思い立って、来ちゃいました」

 琉球大学ダイビングクラブ時代の同級生夫婦3組with 2babies(うち一人はナカオ夫妻の子)で水納島にやってきて、民宿大城に泊まるのだという。

 まだ生後1年にも満たない赤ちゃんたちを抱えているから、もちろんダイビングをしに来たわけではないのだけれど、わざわざ冷えたビールを手土産に挨拶しに来てくれたのだ。

 もらいっぱなしじゃなんなので夜の酒席に誘ったところ、シッポリナイトのはずがこうなった次第。

 でも、ともすれば加齢による肉体の変化、介護、終活、誰それが死んだ逝ったという話題になりやすいオーバーアラフィフしっぽり系だけの宴席に比べると、前途洋々たる若々しい世代のおかげで、座は雲間に明るい未来すら垣間見られるにぎやかさになっていた。

 やはり日本の人口構成はこうでなきゃなぁ。

 現在ナカオ世代は30代前半。
 彼らが我々の齢になるころ、日本はいったいどうなってるんだろう??

 彼らの足を引っ張っているのが我々世代、なんてことにならないよう、いたずらにこの世にしがみつくのはやめておこう。
  


Posted by クロワッサン at 07:37Comments(0)日々の徒然

2017年07月21日

北のマスター、南海に敗れ去る。

2017年 7月20日(木) 晴れ

南西の風 おだやか 水温27~29度
  
 ご滞在最終日を迎えた仙台チームのTさんご夫妻は、この日ついに100本記念ダイブ!!
 
 ご夫婦でともに歩まれてきた長い道のりに、ひとつの金字塔が打ち立てられるのだ。

 通りすがりに(?)本数のキリ番を迎える方は数多いけれど、当店での体験ダイビングを経てダイバーになったTさんご夫妻の場合はその96パーセントが水納島で、100本を迎えるまではとにかく他所では潜らない、と頑ななまでの鉄の意志で到達されただけに、同じキリ番記念でも当店的有難味は相当なモノがある。

 そんなTさんご夫妻の100本記念を祝うべく、まずは恒例の…



 CROISSANT'S ORIGINAL BREW 缶を進呈。
 Tさんご夫妻、100本達成おめでとうございます&ありがとうございます!

 今後は世界中の海も潜り倒してくださいね。

 そんな100本到達を記念し、仙台チームwithウロコムシで「100」のオブジェを。



 おお、わりと100に見えてる!!

 肩車をして「1」を作っているTさんご夫妻もさることながら、「ゼロ」の曲線を懸命に形作っているS嬢の健気なポーズは感動的ですらある。

 また、まだCカード講習を修了したばかりで、ご経験本数がヒトケタでしかないOさん@札幌さんはさぞかし苦労なさったろうけれど、そうです、これもダイビングなんです。

 そんなOさん@札幌さんが懸命にゼロになろうと頑張っておられるというのに、「with」のウロコ氏ときたら。

 「100」を主体にしたいのだから、画角的になるべく狭い範囲で集合していただきたいところなのに、よりによってその方向で寝そべられたら、写真中の「100」が小さくなっちゃうじゃないか。

 こういう時こそピリオドのように末尾にケツだけ出してくれていればいいものを、まったく機能していない「with」なのだった。

 そんなエポックメイキングなイベントがある日となれば、もちろんのこと夜の宴もお祝いの席になる。
 
 酒のプロフェッショナルからワインオタクからただの酒飲み(?)から様々な方々がお酒を持ち寄ってくださっているから、宴席は普段ではありえないほどの各種お酒選り取り見取り状態になっているなか、この日のためにとTさんご夫妻に贈呈すべく、がんばるオジサン!ご夫妻もまた高級国産ワインを先日置き土産にしてくださっていた。

 そんながんばるオジサン!ご夫妻に、お礼の気持ちを込めてみんなでメイクを施して記念写真。



 ア………アヤシすぎる!!

 まるで一族全員がスケキヨになった犬神家のようなアヤシゲな集団。

 この日の最終便で島にご到着し、初対面のみなさんといきなり最初の夜からこんなことをする羽目になっているIZUMI君も、なにげにけっこうノリノリだ。

 このお面、普段の我々にはまったく縁が無いけれど、みなさんはよくご存知の化粧水のパック。

 ただ白いウェットティッシュのようなものを顔に当てているだけなのに、まったく誰だかわからなくなるから面白い。

 これが北のマスターだなんて、いったい誰がわかるだろうか。



 こんなお姿を見られちゃったら、杜の都のBar KOSHIのカウンター席から、お客さんが3人くらい転げ落ちるかもしれない。

 このようにして別人キャラになって写真に写っちゃうのが近頃仙台チームで流行っているようで、ご滞在の先々でこうして変態集団化して遊んでおられるらしい。

 そんな最新モード(?)で感謝を込められても、がんばるオジサン!さんもお困りに……いや、一緒に参加できないことを悔しがっておられるか??

 がんばるオジサン!さん、仙台で洗礼を受けてくださいね。

 そんなアヤシイ集団は、海の中でも妖しかった。



 砂底で輪になって、いったい何をしているのか。

 実はこれ、那覇までの道中のレンタカーの運転を、誰が担当するのかを決めるための集会である。

 運転手になれば朝からビールが飲めない、という決定的なハンディキャップを背負うのがイヤなみなさんが、本気になって挑むドライバー決定方法とは………

 海中棒倒し!!

 そこまで運転がイヤか、というくらいにみんな本気になって勝ちに行っているなか、決定すべき運転手2名のうち、最初の敗者はO嬢に。
 エントリー早々にマダラトビエイに出会えた時には力強いガッツポーズを見せていたO嬢、まさかその後にこのような禍福の繋がりが待っていようとは夢にも思っておられなかったことだろう。

 残る1枠を巡り、引き続き熾烈なバトルが繰り広げられた中、敗れ去ったのはこの方だった。



 北のマスター、南海の海底に敗れ去る……の巻。

 ああ、翌日の朝ビールを奪われてしまった北のマスター。

 明日は1日、まるでスケキヨパックのような虚ろな表情でドライバーになっておられるに違いない。

 ……って、これを書いている朝、すでに飲んでたりして??

 そんなこんなで、Tさんご夫妻の100本記念ダイビング込みの仙台チーム夏の水納島オトナの修学旅行は、こうしてにぎやかなうちに幕を閉じるのだった。

 杜の都のエレガントな(だんだんアヤシクなってきたけど…)皆様、また来年お会いしましょう!!
  


Posted by クロワッサン at 07:51Comments(0)日々の徒然水納島の海

2017年07月20日

危機一髪!杜の都のオアシス。

2017年 7月19日(水) 晴れ

西の風 おだやか 水温27~29度
   
 のっけからで恐縮ですが……

 閲覧注意!

 さらにひきつづき、今日もいいお天気!!

 一本目のダイビングの準備をしている時間帯は、まだ連絡船の本島発第1便も、渡しで客を連れてくる本島の業者も来ていないから、桟橋から眺めるビーチがとても心地よい。



 ゲストに伝えている出港予定の30分前にはボートにいるようにしているから、ゲストが桟橋に下りてこられるまで、20分くらいの時間が持てることになる。

 だから朝の便でご到着のゲストがいない場合、朝のこの時間は、ある意味我々の憩いのひとときでもあるわけだ。

 ところが、年齢が上がってくるとせっかちになるためか、早くボートにお越しになることをいとわないゲストが年々増加中で、たとえ30分前に準備を済ませても、やすらぎのひとときを過ごせないケースの方が多くなってきた。

 しかも!!

 上の写真のような、目に優しい風景さえ遮る輩も。

 だってあなた、心安らぐ朝の渚を見渡す視界が………



 こんなモノで遮られるんですよ。

 静かな海を返してください!

 さて。

 そんな安らぎ妨害をものともせず迎えたこの日の1本目。

 根をいくつか巡り、そろそろリーフ際に戻ろうとする頃にヤッコエイに出会い、ゆっくり眺めてその場を去ろうとしたときのこと。

 リーフ際のサンゴに群れ集うデバスズメのチビチビなどをご案内しようと振り向くと、お連れしていた仙台チームのみなさんがまだ後方に立ち止まったままだった。
 
 ん?どうされたのだろう??
 
 と思ったら、中層で変な格好をしている北のマスターの姿が!

 ああ、マスターがゴマモンガラ×2匹に襲われている!! 

 この場所のゴマモンは巨大サイズで、先日はゲストが「マサエさんと同じくらいに見えました…」とおっしゃるほどにでかい。

 そんな怪獣ゴマモンがタッグで北のマスターを襲撃中。

 このままでは北のマスターは海の藻屑に、杜の都の夜のオアシスBar KOSHIは永遠にクローズになってしまう!!

 なので仙台の酒飲みのみなさんのためにも、ここは身を挺してマスターを守らなければならない。

 怪獣ゴマモンのロックオンの矛先をワタシに向けさせ、その間にマスターには逃げていただくこととし、他のゲストには迂回して船まで行ってもらうようにしつつ戦いの場へ。

 双方決め手を欠きながらも、途中途中ではリーフ際のオーバーハングの陰に身を隠すほどに追い詰めたりしながら、判定優勢で勝利を納めてから元の場所へ。

 すると、仙台チームZとともに一部始終を見ていたオタマサがスレートに、

 「北のマスターは?」

 って、おい!!オレはそれどころだったか、今??

 というか、どこに行っちゃったの北のマスター?
 恐怖のあまり、あらぬ方向へ行ってしまわれたのか???

 そうこうするうちに仙台チームTさんがエキジットするというので一緒に船に戻ると、水面を優雅に泳ぎながら北のマスターも無事帰還。

 良かった……ご無事で。

 すると北のマスター、

 「おもしろかったぁ!」

 へ?

 なんと北のマスターは、ゴマモンガラとの戦いを楽しんでおられたのだ(もちろんスリル満点で)。

 しかも。

 「みなさんもカメご覧になりました?」

 え?

 なんと北のマスターは、ゴマモンとの戦いをワタシに託されたあと、船に向かって泳いでいると、横にヒョコッとウミガメが現れて息継ぎをし、そのあとしばらくランデブーできたのだとか。

 「あれ?みんな下から観てたのかと思ったのに」

 人々の心配をよそに、1人イイ目を見ていた北のマスターなのだった。

 なにはともあれ、杜の都の酒飲みのみなさん、ステキなバーはまた数日後にオープンいたしますからご安心ください。

 それにしてもやっかいなゴマモンガラ。

 どうせなら、視界を遮るケツにこそ噛みついてくれればいいものを……。

 そしてみなさん無事な姿で迎えた夕刻は、もちろん……



 今日も元気だ、ビールが美味い!!

 女性がいる華やかさを強調しようと極彩色モードで撮ったら、華やかさ以上のナニかになってしまった……。

 にぎやかなビールタイムを過ごし、みなさんが宿の夕食の席へと赴かれたあと、ボートを係留するため桟橋まで行くと……



 海が茜色に染まっていた。

 明日もいい1日でありますように……

 ……と、まるで1日の終了を意味するかのようなエンディングながら、もちろんのことこのあとにはメインイベントの酒タイムが待っているのだった。
 
  


Posted by クロワッサン at 07:27Comments(2)日々の徒然水納島の海

2017年07月19日

ハイテク出歯亀注意報。

2017年 7月18日(火) 晴れ

南西の風 おだやか 水温26~29度
   
 ひきつづき今日も完全無欠のいいお天気!!

 あまりにも天気が良すぎるから、この日朝イチの便でご到着なった仙台チーム&仙台チームZ(ゼータ)withウロコム氏も、あっという間に真っ黒になってしまった。



 単に逆光気味なだけなんですけどね…。

 逆光であれ真っ黒であれなんであれ、このように女性陣がいらっしゃるだけで、なんと海が華やぐことだろう。

 七人のムサイにはけっして醸し出せないであろうリゾート感である。

 それにしても。

 仙台チームといえばエレガント、エレガントといえば仙台チームのはずだったのに、いつの頃からかそこに、かなわぬ下心満載のウロコム氏が加わるようになっている。

 なんだかエレガントな仙台チームの品位が………。

 ところでそのウロコム氏@Tさんは、何を思われたかこのたび我が愛機ジョニーと同型のコンデジをご購入。

 コンパクトでありながら底知れぬズーム機能を持つこのカメラで、ビーチのおねーちゃんたちを盗み撮りするために違いない。

 そのコンデジをさっそく駆使なさるのかと思いきや。

 「あのカメラってどうやって使うの?」

 へ?

 「取説読んだんだけどさぁ、なんのことやらさっぱりわからないんだよ」

 時として鉄道雑誌や航空雑誌のグラビアを飾るほどの写真歴を誇る彼ながら、なんとデジタルカメラを所持するのは初めてなのだとか。

 そのため、

 「買ったらそのまま使えるのかと思ったらさぁ、SDカードってのが要るんだよね」

 ほ?

 「あんな小さいモノなのに高いんだねぇ!」

 は?

 何も知らないことを見透かされた氏は、宮古のヤマダ電機で8万円もする超高級SDカードを売りつけられかけたそうな(グッジョブ。>ヤマダ電機)。

 国産ワインや海外ネタを含む地理関係、その他よろず博識の氏は、ご自身が熟知されていることを他人が知らないと、鬼の首を獲ったようなドヤ顔かつ木で鼻をくくるトークを展開するというのに、まさかこんな蒙昧級の弱点がおありだったとは。

 それはまるで、リモコン操作ができずにテレビすら見られないじーさんばーさんか、もしくは「買ったパソコンが立ち上がらない!」というクレームを受けて現地に駆けつければ、コンセントをさしていなかっただけという漁協のウミンチュなみで、世の中から置いてけぼりをくっていることに突如気がついた氏である。

 せっかくのチャンスなので、「そんなことも知らんの!?」的ドヤ顔付きでT氏に使い方を教えてあげることにしよう。

 ……と思ったら。

 なんと仙台チームのTさんご夫妻も、朝の散歩で野鳥など撮るべく、我が愛機ジョニーと色まで同じカメラをお持ちになっていた。

 心優しいご夫妻のこと、イケてないT氏にもきっと優しくソフトに教えてあげることだろう。

 というわけで、おそらく今回のご滞在中にジョニー同型の使用方法をマスターするであろうTバック氏。
 浜辺で小さなカメラを抱えている氏を目にしたら、妙齢のお嬢様方は御用心御用心。
  


Posted by クロワッサン at 07:31Comments(0)日々の徒然

2017年07月18日

七人のムサイ。

2017年 7月17日(月) 晴れ

南東の風 おだやか 水温26~28度
   
 今日も完全無欠のいいお天気!!

 台風が来ないというだけでも近年では珍しいことなのに、そのうえ連日のベタ凪ぎ快晴。

 当初こそ冗談交じりに「嵐の前の静けさだはず」と笑っていたけれど、ここまでくると、さすがにその後に控えているのであろうナニゴトかがかなり不気味になってきた。

 機関長いわく、

 「夏が終わってから連発になるはずよ!」

 やっぱそんな感じですよねぇ…。

 ひょっとすると今年は、クリスマス台風もあるかもしれない。

 さて。

 海の男ハールゥは、若き日々に1シーズン水納ビーチで働いていたことがある元ビーチボーイ。

 その翌年からまっとうな(?)人生を歩み始めた彼は、毎年休暇を取っては水納島に遊びに来るようになった。

 ただしダイビングをするわけではなし、島に滞在中は食う寝る泳ぐ飲む生活だったから、当店ゲストというわけではなかった。

 ところがある年ダイバーになると決意した彼は、当時すでに当店では裏メニューになっていたCカード講習を受講、講習自体は台風のせいで足掛2年がかりになりはしたものの、随分ブランクが空いていた奥様もそれをきっかけにダイビングを再開するようになり、翌年以降は毎年必ず、ご夫婦でのダイビングも旅程に含まれるようになった。

 今年は珍しくGWにやってきた彼が、この連休に今年2度目のご来島。
 そしてワタシのツボを熟知してくれている彼は、とあるものが届くよう事前に手配してくれていた。

 とあるものとは、これ。



 モッツァレラ&生ハム♪

 ちゃんとした本当のモッツァレラなんて、本部名護近辺ではまず手に入らないし、恃みの通販も業務を終了してしまっている今、喉から手を出してさえ手に入れることができない。

 いわば文明の味。

 EUとのEPAだかBCGだか知らないけど、あの話がまとまったら、こういうチーズもたちどころに安くな……

 …らないんだろうなぁ、なんだかんだいって結局。

 ともかくこうして、ハールゥのおかげで、夏のこの時期にこのような文明の香りを味わえるシアワセ。

 そして今回の彼は、奥様ではなくご友人のみなさんとともにご来島。

 このようなエレガントな肴を用意して臨んでくれるくらいだから、さぞかしご友人方も華やかに麗しいご婦人方が勢揃い……

 …かと思いきや。



 四十路に入ったムサイ男七人衆(1人は30代だけど)。

 前日までは二十代も含む若々しい女性たちで華やかだったというのに、一夜にしてこの激変。
 幸か不幸かたまたま居合わせているMさんも、少々戸惑い気味である。

 にしても、七人の侍か荒野の七人かローグワンか、とでもいうべきこの七人衆、いったいどういう集まり?

 実は彼らは、幼稚園から一緒というケースも含む、ハールゥの地元(吹田)の同級生たちなのだ。 

 若い頃にはブイブイワイワイヤイヤイ言わせていた彼ら、どうやら今も似たような生態らしいのだけれど、こうして旅先で一堂に会すると、テンションは真夏の旭日の勢いで復古モードに上昇。

 とある海岸では他に誰もいないことをいいことに素っ裸で泳ぎ回るわ、夕日をバックに男3人素っ裸のシルエットを撮るわ(これが意外にカッコイイ写真だった…)、幼馴染ならではの異常なテンションで盛り上がっている七人のムサイ。

 そんな彼らが、海の中で大集合!



 ハールゥがダイビングを始めたことをきっかけにして、今年になってCカード講習を受けた方々が3名、そして今回体験ダイビングをやってみようという方も加わっての全員集合(若干1名は留守番)だ。

 幸い海中でケツを出す男はいなかったけれど、海中でも船上でも桟橋脇でも、そのノリはにぎやかで、すっかりアラ還ゲストが増えて落ちついたエレガント路線に向かいつつある当店(?)にあっては、ついぞ忘れかけていた姿でもある。

 それよりなにより我々にとっては、初めて体験ダイビングをした方にすっかりハマっていただけたことが、シゴト的には冥利に尽きるうれしいリアクションでもあった。

 新たな「チーム」誕生の日を迎えたかもしれない。
  


Posted by クロワッサン at 07:44Comments(2)日々の徒然

2017年07月17日

連休の嵐・その2、その3。

2017年 7月16日(日) 未明雨のち晴れ

南東の風 おだやか 水温26~28度 
  
 3連休の嵐には、第2弾、第3弾が待ち構えていた。

 巨匠コスゲさんは今回、なんとコスゲエンジェルズをひきつれてのご来島なのである。

 その昔写真家大方洋二さんが「アシスタント」を連れてお越しになっていた際は、そのアシスタントさんはかいがいしくいろいろとお手伝いをなさっていたものだった。

 なにかと大変な水中・陸上撮影のこと、巨匠コスゲさんもエンジェルズにいろいろとフォローしてもらえるんだろう……

 ……と思っていたら。

 フォローに回っているのは全面的に巨匠のほうで、夕食時に至っては、頃合いになっても食事に戻ってこないエンジェルズを島内探し回っておられたほど。

 そして一言つぶやく巨匠。

 「こんなはずでは……」

 そんな巨匠もこの日午後遅くにやっと自分の時間を取り戻し、憩いの海でまったりゆったり。



 台風は台風でも、この場合、吹き荒れていたのは巨匠の周辺だけだったかもしれない。

 さて、巨匠がエンジェルズとにぎやかになっている一方、こちらの方の周辺もにぎやかになっていた。


撮影:ティーダビューティ


 近年は夫婦お2人でご来島ということが多かった頑張るオジサン!さんご夫妻が、今回は普段地元で楽しく過ごしておられるご友人を連れ立ってのご来島。

 そこにたーちゃんさんが加わってのにぎやかなビールタイムに。

 そしてなんと、この日頑張るオジサン!さんは……



 めでたく300本記念ダイブ!!

 …受付時に申込用紙に書かれた「298本」という数字は、なんだかとってつけた感満載の胡散臭さが無くもなかったけれど、ともかくもこれで節目の300達成。

 あちこちで台風級のにぎやかさになっているなか、これで座の主役は確定したも同然だった。

 ところが!

 奇しくもこの日は、巨匠コスゲさんの誕生日。

 そこでサプライズとしてエンジェルズたちがケーキを用意してくれていて、夜の酒席はもともと誕生席に座っていた巨匠が、一気に座の主役に躍り出た。



 エンジェルズからそれぞれスマホを向けられる巨匠は、動物園で公開直後の珍獣のようですらあったけれど、1枚1枚ごとに顔を変える芸の細かさはさすがだ。



 巨匠的にはまさかのサプライズ。
 「こんなはずでは…」だったエンジェルズが、この時初めて天使になったのだった。

 そんなこんなで四六時中台風状態ではあったけれど、ホントの台風とは違っておかげさまで天気は抜群海況バッチシ、船上は大賑わいの連休なのでした。


撮影:ちゅなちゃん

  


Posted by クロワッサン at 07:15Comments(8)日々の徒然

2017年07月16日

連休の嵐・その1。

2017年 7月15日(土) 晴れ

南西の風 おだやか 水温26~28度
  
 3連休の台風、第1弾。


撮影:たーちゃん


 ご存知巨匠コスゲさんと、キーノ小岩氏。

 お二人が直接会われるのは2009年のこの時以来のことらしい。

 ま、巨匠としてはなるべく会わないようにしていたのに、ついに遭ってしまったってところだろうか。

 キーノ小岩氏は毎年この時期のご来島なのに対し、本来巨匠は「お盆のヒト」のはずなのに、いったいなぜこんな連休に??

 それについてはまた明日。

 それぞれが別々にお越しなら嵐でもなんでもないところながら、他のゲストも多数いらっしゃるこの連休中に、夕方から飲んでいたいヒト、夕方も潜っていたいヒトという真逆の嗜好の方々がともにいらっしゃると、夫婦二人で細々経営の当店などは、それだけでもうテンテコマイになってしまう。

 なので、この日は海洋博公園の花火大会ではあったのだけど、花より睡眠、団子より睡眠。

 のんびり桟橋から花火を眺める風流を味わう余力は無かったのだった。 
  


Posted by クロワッサン at 06:58Comments(0)日々の徒然

2017年07月15日

ミツイロカエルウオ。

2017年 7月14日(金) 晴れ

南西の風 おだやか 水温26~28度
  
 7月は初っ端こそ遠方の台風の影響を受けたけれど、このところは文句のつけようがない抜群のお天気が続いている。



 天気、海況ともなんのストレスもない状況で、この先もまだしばらく台風の心配をする必要がなさそうだ。
 
 それはうれしいことながら、少しは気がかりなことでもないと、このままでは脳がとろけてフニャフニャになってしまう気がする…。

 昨年の7月といえば、上旬に予定されていた水納海運新造船就航予定日からいきなり台風の影響で欠航するなど、例年のごとく台風に悩まされたものだった。

 今年もまた、連休あたりを狙いすましたかのように台風が来るに違いない…と覚悟していたのに、どうやらこの3連休は台風の「た」の字もないまま平穏に過ぎていきそうな気配が濃厚だ。

 ただ。

 お越しくださるゲストの顔ぶれを見るかぎり、船上も酒席も、局地的に台風になってしまいそうな気配もまた濃厚なのだった。

 みなさま、お手柔らかにお願いいたします……。

 話は変わる。

 今のようにネット上で画像検索できたり、世界のM下さんに訊ねればたちどころに正体が判明する便利な世の中ではなかった頃は、図鑑がほぼ唯一の手がかりだった。

 クロワッサンでも和書洋書いろいろと図鑑を揃え、どんなにナゾの魚でもどれかにきっと載っている、くらいの検索装置になっていたものだ。

 ところが台風で屋根が飛んだ際に、その多くが使い物にならなくなってしまった。
 今さら揃え直すのもバカらしいから、当時ちょくちょく紐解いてはパラパラと眺めて記憶の再生を繰り返していた習慣が、いつしか遠い記憶の底に眠るだけとなった。

 だから、今突如目の前にこういう魚が現れても……


撮影:オタマサ


 オタマサならずとも、はて、どこかで観たことがあるような気がするけど、海の中で観たのだったか、それは水納島ではなかったのか、それとも図鑑でよく目にしていただけなのか、記憶がまったく再生されない。

 どこかで観たことがあるようなこの魚、いったい何かご存知ですか??

 実はこれ、フタイロカエルウオの色柄マイナーチェンジバージョンなのだ。
 婚姻色や興奮色といった一時的な体色変化ではなく、この色柄に育ち、普段もこの姿で暮らしているようだ。となるともはやフタイロというよりもミツイロカエルウオ。

 以前はその存在を知っていたかもしれないけれど、なにしろ記憶の再生運動を放棄してしまって久しいから、これがフタイロカエルウオだと知り、今さらながらたいそう驚いてしまった。

 ご存知のようにフタイロカエルウオのノーマルバージョンは、その名のとおりバイカラー。



 水納島では圧倒的にこのタイプが多いから、そこにマイナーチェンジバージョンが現れたらビックリする。
 
 もっとも、ノーマルバージョンもそうであるように、わりと穴に入っている時間が長いフタイロカエルウオのことだから、マイナーチェンジバージョンもたいていは↓このようなたたずまい。


撮影:オタマサ


 この顔だけを見て「おっ!?」となれれば、観ている間に何度もその全身を披露してくれることだろう。
  


Posted by クロワッサン at 07:22Comments(0)日々の徒然水納島の海

2017年07月14日

めざせ、一日三善。

2017年 7月13日(木) 晴れ

南西の風 おだやか 水温26~28度 
  
 梅雨明け後の6月末のビーチの賑わいぶりを見ていたら、7月になったらいったいどういうことになってしまうんだろう……と戦々恐々としていた。

 ところが7月になると飛行機代が高くなるからなのか、それともみなさん3連休にすべてをかけておられるからなのか、7月に入ってからは、それなりににぎわいつつも、今のところあくまでも「それなり」で終始している。

 しかもその半分くらいはアジアからの旅行者のみなさんなのだから、これでアジアのみなさんの沖縄旅行ブームが去ったら、いったいどういうことになるんだろう??

 なにげに楽しみではある。

 そんなビーチの賑わいとはまったく比例関係にはない当店ではあるものの、この日はご宿泊、日帰りそれぞれのゲストが合わさり、おかげさまで働いている感を味わえる1日となった。

 その2本目のダイビングに赴く際のこと。

 桟橋を出る際に決めたポイントへ向けて船を走らせていると、その途中の洋上で、息継ぎをするために水面付近に現れていたアオウミガメをゲストが発見。

 そこはまた別のダイビングポイン付近で、行こうとしていた場所ではなかったものの、ひょっとすると今のカメに海中で出会えるかも……という、甚だしく確率の低い淡い期待に胸を膨らませつつ、予定を変更してそこで潜ることにした。

 すると……

 2チームに分かれていたゲスト全員、カメに遭遇。

 先日いしだ&せーみやさんを歓待してくれた、足欠けカメ吉くんだ。

 カメに遭遇できたゲストのお1人であるTさんは、ご家族で来沖しつつ、家族サービスの合間のわずかな隙を縫って日帰りで潜りに来てくださる方なんだけど、分母が少ないわりにはやたらとカメ遭遇率が高い方でもある。

 今日もひょっとすると、そのTさんの引きの強さが炸裂したのかもしれない。
 
 その証拠に、しばらく岩肌で「かい~の!」をしていたカメ吉くんだったのに、Tさんが遅れてそばに来るやいなや、ゆ~ったりと泳ぎ始め……


撮影:オタマサ


 …Tさんの眼前で、その勇姿を悠然とさらしてくれた。
 
 そこにいただけなのに、完全なるポールポジションのTさん。

 このあとしばらくしてからカメラのバッテリーが切れてしまったことを思えば、ここでこうしてカメ吉くんに出会えていたというのも、なんとも強力な彼のパワーを感じさせるのであった。

 もっとも。

 旧我が家の屋根が吹き飛んだ6年前の台風後、アネックスへの引っ越し&営業再開に向けてどうしても3日間だけ準備期間が必要になってしまい、もともとご来島予定だった3組のゲストに涙をのんでいただいたことがあった。
 何を隠そうそのうちのお一組が、このTさんとご家族なのだった。

 被災直後の我々に、ありがたくも手土産とお志まで直接届けてくださり、なおかつ片付け作業を手伝おうとまでしてくださった彼である。
 そういった日々のお心遣いまで海神様はちゃ~んとご覧になっているからこその、思いがけないタートル・ポールポジションだったのだろう。
 
 台風が来ないかどうか心配されているみなさん、今からでも遅くはありません、一日三善くらいの勢いで善行を貯金しておきましょう。
  


Posted by クロワッサン at 07:09Comments(0)水納島の海

2017年07月13日

木八束。

2017年 7月12日(水) 晴れ

南のち西の風 おだやか 水温26~28度
   
 前日は日帰りのゲストお一組だったから夜の時間はなかったけれど、この日から2週間、台風でも来ない限り途切れぬ夜の日々が続く。

 そこでようやくお休みが1日。
 しかしさらにその後は、ほぼひと月ほど途切れない夜の日々になる。

 昨年はオタマサが定期的に通院しなければならなかったため、ほぼ等間隔で休みを入れざるを得ず、それはそれでほどよい休息になっていたから体には優しかった。

 通院の必要が無くなった今年、うっかり休日を設けるのを忘れている隙に、ご予約が途切れない事態に陥ってしまった。

 さすがにひと月ともなれば、どこかで「台風カモーン!」と叫ぶことになるのは想像に難くない。

 とはいえ台風、今のところ微塵もその気配を見せず。

 ここに至るまでまだ3つしか発生していないのに、去年もそうだったように最終的には25個以上くらいになるってことは、どこかで辻褄が合うようになっているに違いない。

 台風カモーン!って言った途端に、毎週台風来襲ということになるかもしれない…。

 さて。

 キハッソクという魚をご存知だろうか。

 そのフォルムだけではピンと来ないけれどハタの仲間で、伊豆でよく目にしたルリハタとか、こちらではヌノサラシなどと似たグループらしい。

 以前はわりとチラホラ観られたのに、近年はめっきり減ってしまったのか、出会う機会は随分と少なくなっている。

 そんなキハッソクを久しぶりに観たのでパシャ。



 こうして見ても、ハタの仲間という感じはしない。

 キハッソクという変な名前はもともとは和歌山の方言名らしく、漢字で書くと木八束なのだとか。

 八束もの薪を使って煮たり焼いたりしても、不味くて食べられないからとか、食べられるようになるまでそれくらい薪を使うからとか、いろいろ諸説あるようながら、ともかくその意味するところは「美味しくない魚である」ということのようだ。

 「ねこまたぎ」などと同じ意味合いなのだろう。

 ところが世の中にはチャレンジャーが居て、実際の味はどうなのかと試してみた方がおっしゃるには、美味しかったそうな。

 体表に粘液毒を持つグループとはいえ、ハタの仲間だもの、肉質はいい感じなのだろう。

 となると、ねこまたぎと同じ意味合いで名付けられているっぽいこのキハッソク、それは見た目の判断から由来するのか、それとも美味しさがバレないようにわざと流された誤情報なのか。

 もっとも、日本国内では海域を問わず群れなして泳いでいるわけじゃなし、狙って得られるものでもなさそうだから、水揚げされることなど滅多になさそうではある。

 水産資源としてはさほど認知されず、ダイバーにも注目されるわけではないこのキハッソク、しかしアクアリスト方面にはとても人気があるのをご存知だろうか。

 というのもこのキハッソク、3センチ未満の幼魚の頃は、オトナからは想像もできないほど奇妙奇天烈な姿をしているのだ。

 背ビレの一部の棘が、ありえないほどにビヨヨヨヨヨヨ~ンと伸びているのである。

 イトヒキアジのようにたえず一直線に泳いでいるわけではないから、その伸びた部分は時に新体操のリボンのようにもなって、不思議な生き物にしか見えなくなる。

 どんな姿か気になる方は、「キハッソク 幼魚」で画像検索してみてね。

 海水魚屋さんにはときおりまとまって入荷があるようだけど、こんな幼魚の頃のキハッソクなんて、いったいぜんたいどこで暮らしているんだろう??

 海の中で出会ったら、アドレナリン噴出間違いなし。
  


Posted by クロワッサン at 07:23Comments(2)日々の徒然水納島の海

2017年07月12日

ドルチェ・ビータ。

2017年 7月11日(火) 晴れ

南東のち南の風 波あり 水温26~28度
  
 夏本番となって、毎朝セミ(リュウキュウクマゼミ)の声がかまびすしい。

 どういうわけだかホルトノキを好むこのセミ、カメさんたちのエサ採りのために歩いている時にホルトノキの下に来ると、岩に染み入るどころか岩をも砕く大音響でセミどもが合唱している。

 紅顔の美少年だった頃の香川照之が目にしたら、さぞかし鳥肌級のセミパラダイスになることだろう。

 そんなセミの季節になると、毎朝のように庭のどこかしらでセミの抜け殻を目にする。
 だからセミの抜け殻など珍しくもなんともないのだけれど、これを書いている今朝観たコイツは一味違った。



 停めてある軽トラのタイヤに登って羽化しているのだ。

 たしかセミの幼虫といえば、地中で樹液などを啜りながら暮らしているのではなかったっけ。
 その後羽化しようと思ったら、木のそばから地上に出て、最寄りの木や草に登って…という段取りになるはず。

 そばにブロック塀や電柱があればそれを利用することもあるだろう。
 でも、軽トラを停めている周囲は下生え程度の雑草があるのみで、しかも停めているといったって毎日微妙に場所は変わっている軽トラである。

 まさかその真下でずっと暮らしていたはずはなし、地中から出た後このタイヤにたどり着くまでの彼に、いったいどのようなドラマがあったのだろうか……。



 セミといえば、せっかくオトナになってもせいぜい1週間ほどしか寿命は無く、その何年にも渡る長い一生のほとんどを地中で幼虫として過ごすという。

 なので人情的には儚い命として捉えられることが多いのだけど、実際のところはどうやら幼虫時代こそが彼らの我が世の春、人生ならぬ虫生を謳歌している時代なのだとか。

 つまりこうして羽化して成虫になるということは、それまでのドルチェ・ビータの終焉を意味し、あとは生命としての使命を完遂するべく、最後のひと仕事=繁殖をするためだけに余生を過ごすことになるわけだ。

 セミの羽化。
 それはすなわち、彼らの終活でもあるのだった。

 さて。

 脱皮や羽化によって形態変化する昆虫の場合、成幼の違いがそのままコドモとオトナというわけではなさそうだけど、多くの脊椎動物の場合はその生活史が一本の道のりになっているから、小さい頃はコドモ、大きくなるとオトナと思って間違いない。 

 魚も脊椎動物だから成魚と幼魚はもちろんそのままオトナとコドモで、 そして一部の例外を除き、コドモの頃のほうが可愛い。
 ダイバーにも人気がある幼魚は、枚挙にいとまがないほどだ。

 ただし可愛い旬は限られた時期のみで、そこからさらに成長したものはその後ことさら脚光を浴びることがなくなり、芸能人の「あの人は今」なみに忘れ去られてしまう運命にある。

 ミナミハコフグも、幼魚の頃は「シアワセの黄色いサイコロ」と呼ばれるほどに愛くるしいのに、健やかに成長を続けるとやがて見向きもされなくなる。

 そのボーダーラインにいるのがこちら。



 まだ黄色いことは黄色いけど、可愛いかと問われると答えに詰まる大きさになっているミナミハコフグ。

 イロブダイも、2センチ前後の幼魚の頃は砂糖菓子のような色合いの可愛い魚だけれど、そのまま成長を続けると……



 幼魚の面影は残しつつも、可愛さとは無縁な若魚になってしまう。

 一方、幼魚の頃は白黒模様で人気のホホスジタルミは、10センチくらいになってもそのフォルムも色合いもさほど変わらない。



 変わらないからカッコイイことはカッコイイものの、10センチほどのこういう魚が可愛いかと言われるとなんとも微妙だ。

 同じ仲間のマダラタルミも、10センチほどに成長しても白黒のままながら、やはりホホスジタルミ同様、「だから?」的な魚になってしまう。



 この両者、さらに大きくなるとそっくりになってしまって区別がつかないんだけど、いずれもオトナになると、畑から出てきた不発弾のような色味になってしまう。

 その寸前の姿がこちら(右)。



 薄れつつある模様からすると、これはホホスジタルミかな?

 ともかく最終的には、左の個体のようになる。

 パラオあたりではこのテの魚がドドドドドと群れてるそうで、一度その巨群を観てみたいとは思う。
 とはいえ水納島のような海でドドドドと居られたら、それはそれはまったくそぐわない光景だろうなぁ…。 

 それでも彼らにとっては、どんなにダイバーに注目されていようとも、試練に満ちた(むしろ注目されるから余計な試練も増えている)幼魚生活を終えて迎えるオトナの時代こそが、人生ならぬ魚生の春なのである。

 甘い生活の始まりだ。

 可愛くなくなってしまったミナミハコフグもイロブダイも、そして黒くなってしまったホホスジタルミも、試練を乗り越えてようやく迎えた心ウキウキの姿なのだなぁ…と思えば、多少は観る目も変わるかも?
  


Posted by クロワッサン at 07:53Comments(0)日々の徒然水納島の海