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2018年11月30日
今帰仁そば&チャンプルー食堂。
2018年 11月29日(木) 曇り時々晴れ
北東の風 けっこう波あり
シーズン中の爆裂台風と連発台風のあと、満足に後片付けできていなかった秘密基地のお掃除&お手入れのために、泊りがけで本島に出ていた。
朝早めに出て、翌日遅めに帰ってくるとなると、雑貨屋さんをオープンしていられないから、やむなく臨時休業のお知らせをしておいた。
すると…。
28日の連絡船は朝1往復のみでその後は欠航、この日は天気予報からすればまさかの1日中欠航。
28日こそ午後からやや時化模様になる予報だったから、ボートを島に残したまま出かけるのもいかがなものか…ということで、時化模様になる前に自分たちのボートで渡久地港まで渡った。
そのおかげでこの日島に戻ってこられたわけで、この日の運航は間違いないと信じて朝イチの連絡船で出ていたら、危なくこの日帰ってこられないところだった。
セーフ…。
さて、昨日今日と基本本部町内で過ごしていたので、お昼も近辺で済ませた。
どちらも初めて入ったお店なのでご紹介しておこう。
まず28日のお昼はこちら。
フクギ並木が見事な集落にある今帰仁そば。
こちらのお店も敷地はフクギ並木で囲われているから、知らないと通り過ぎてしまうところだけど、入り口に小さく慎ましく「今帰仁そば」という標識がある。
もっとも、国道から一筋入った集落だから、地域の方でもないかぎり、こちらのお店に用がなければ進入することなど一生ないかもしれない場所ではある。よもや通り過ぎるということはあるまい。
ところで、近年綺羅星のごとく多くなった沖縄そばの店は、意外に市町村名を冠した店名が老舗に少ないために、後発のお店が堂々と市町村名をつけているケースがわりとある。
こちらの今帰仁そばも、店名だけ聞くと地元の老舗感が漂うけれど、オープンしたのは数年前(昨年か?)だ。
よく通行する国道沿いに看板が出ていることもあってずっと気になっていたところ、最近になってようやく訪ねてみることができた。
ところが、定休日ではないはずなのにお休み中。
気を取り直して別の日にリベンジしてみると、またしてもお休み中。
ひょっとして、もう畳んじゃったんだろうか……
と諦めつつ今回来てみたら、見事3度目の正直。
近年流行している古民家を改装した店舗は、ザ・オキナワといった感じで、ご自宅にお邪魔しておそばをいただくような雰囲気だ。
内装も調度もいい感じで、観光的にもウケはいいはず。
そんなオキナワオキナワしたお店でオタマサがお願いしたのはこちら。
ミックスそば@630円(メニューに「小」はない)。
醤油多用傾向にある北部にあって、中南部の名店を彷彿させる透明な出汁は、見た目どおりあっさりタイプの上品系。
ミックスなので軟骨ソーキと三枚肉が載っているのだけれど、この三枚肉も塩味で煮たもの(しみじみ美味しい)だ。
一方ワタシは、軟骨ソーキそばの@630円。
軟骨ソーキは軟骨を感知できないほどのトロトロ具合いで、それにきざみ生姜がまた合うんだわ。
いやはや、まことに上品なお味でございます。
そしてそして、こちらのお店は自家製麺で、ラーメンにも似たツルツル感がのど越しよく、出汁とともにヨロコビの奔流となって咽喉を通過していく。
とにかく、麺も出汁もじっくりしっかり作ってますということがよくわかる逸品。
こちらのメニューはそば単品のほかに、ジューシィとデザートがつくセットもある一方、メニューの中で異彩を放ちつつ燦然と輝いているのが黒糖ぜんざいだ。
隣の席のお兄さんが頼んでいたものが届いたところをさりげなく見てみると、インスタ映え系のてんこ盛りだった。
それにしても、こちらのお店はFree Wi-Fiを利用可能で、しかもそばを食べた後にぜんざい@300円ということになれば、無駄に長ッ尻になるお客さんが多くなりはしないのだろうか?
たしかに居心地よさを演出しているわけだから、カフェのようにのんびりしていただこうという趣旨なのかもしれないけれど、単価がさほどでもない飲食店は回転が重要だと思うのだが……。
この雰囲気は大いに観光客ウケするだろうから、今後も末永く頑張っていただきたいところである。
そして翌日。
午前中で作業を終了したので、あとは飯でも食って買い物して島に戻るだけ。
名護での用事は前日に済ませてしまったから、わざわざランチのためだけに名護まで行くのもバカらしい。
そこで、秘密基地から歩いて行ける食堂にお邪魔することにした。
知る人ぞ知る、チャンプルー食堂。
古民家ならぬ普通の民家がそのまま食堂になっている感じ。
コンクリート製の四角い平屋造りは、それはそれで近代沖縄建築様式だから、あと100年もすれば古民家になるかもしれない。
ちなみに、ここから丘を真下に下れば、すぐそこは海洋博公園の正面ゲートという立地。
にもかかわらず、観光メニューを一切取り扱わない古き良き食堂メニューがずらりと並ぶ。
聞くところによると、このような立地、そしてこのメニューということもあって、観光バスやタクシーの運ちゃんその他海洋博公園に仕事でやってくる方々が客層になっているのだとか。
それにしても、このあたりはジョギングしたり散歩したりして何度か通っているので、ここに食堂があることも知ってはいた。
でも、佇まいからくるディープ感がやたらとハードルが高く、入ってみようという気にはならなかった記憶がある。
ところがいつの間にやらすっかりポップになっていて、しかも庭にはテラス席まで設けられているではないか。
以前からこうでしたっけ??
お店の玄関から入ると畳敷きの室内の席になるところ、テラス席には外から回っていく。
お天気はいいし眺めもよさそうだから、テラス席に座ることにした。
その眺めは……
広いお庭の向こうに、伊江島を一望♪
この景色があれば、何を食べようとスペシャルランチだ。
そんな眺め抜群のテラス席でオタマサがオーダーしたのは……
フーチャンプルー定食。
ディスイズオキナワンランチ。
しかも、メニューには別にポーク・たまご定食があるにもかかわらず、使用されている肉系はポークではなくベーコンという高級感。
そうだよなぁ、「おばぁが作る家庭料理を地元価格で味わえるお店」でしかもチャンプルー食堂っていうくらいなんだから、やはりチャンプルー料理を頼むべきだよなぁ。
せめて沖縄そばとか。
なのにワタシは……
なぜだかハンバーグ定食。
しかも肝心のハンバーグが出来合いものっぽいとなれば、「おばぁが作る家庭料理を味わうお店」に来た意味がないじゃん。
初探訪の店ではメニューを見て舞い上がってしまい、本来食べたかったものから趣旨が大きくはずれたものをオーダーしてしまう癖は、50を過ぎても相変わらずなのだった。
ま、景色はご馳走だったし、一仕事終えた後、散歩がてら軽く昼食ということでは、とても素敵な時間を過ごせたからよかったよかった。
また散歩ついでにお邪魔いたします。次回はもちろんチャンプルーorそばで。
2018年11月28日
ワンポイント。
2018年 11月27日(火) 晴れ
北東の風 おだやか 水温24度~25度
冴えない朝になると告げていた天気予報は見事にはずれ、朝からすっかり晴れ渡る1日に。
屋外にいたらジワリと汗ばむほどで、こうなるとやっぱり海が呼んでいる。
いつものように朝早めに潜ってから桟橋に戻ってくると、穏やかな水面はユラユラと煌めき、ダンシングサンシャイン状態だ。
夏ですなぁ……。
こういう場合、絵的には画面のどこかにワンポイントになる「何か」がいたりあったりしてほしいところ。
ビーチの帝王・巨匠コスゲさんなら、どこかからアオヒトデや形のいいサンゴが突如として出現するところなのだけど、どういうわけだか(おそらくそういうわけで)そのような僥倖はワタシには訪れない。
ところが!
先日紹介したミカヅキツバメウオが、波打ち際近くの水面で戯れていた。
あともう少し近く、そしてもう少し体を横向きにしてくれていたら……。
もっとも、ノシノシと歩いて近づいてくる人間と大きなカメラを前にすれば、どのような魚でもその場にジッとしているはずもなし。
タネを明かすと、器材やタンクを車に積んで、桟橋から帰ろうというときに、煌めくサンシャインダンシングの下でミカヅキツバメウオが遊んでいるのが見えたので、ちょっとばかし寄り道とばかり、カメラ片手に浜から歩いて行った次第。
1時間ほど水中にいて冷えた体が、エキジット後すぐに再び水に浸かろうという気になれたのも、夏のような陽気のおかげだ。
ただしマスクなどつけていないからファインダーすら覗いていない状態で、水面越しに場所を確認しながら歩いて近寄って行ったところ、せっかくのんびり水面で戯れていたミカヅキツバメウオは、気分を害しつつスタコラサッサと逃げてしまったのだった。
すまぬ、ミカヅキツバメウオ。
ところで、出現頻度的にまず同一個体だろうと思われる彼をよく見ると、2週間前はひどく傷んでいた尻ビレのあたりがきれいに復活している。
海水浴シーズンが終了し、爆裂台風も来なくなった海水浴場は、どうやら彼にとって住み心地がいい場所になっているようだ。
彼が居てくれている間に、もう一度波打ち際で光と戯れてくれるような「夏」の日がやってくるだろうか?
エルニーニョに期待しよう。
…野菜たちにとっては暖冬はピンチだけど。
※明日のこの稿は更新しません。
2018年11月27日
アクシ・デンタル日記。
2018年 11月26日(月) 晴れ
東の風 おだやか
冬枯れがない亜熱帯の沖縄では、野山の草木がずっと緑のままでいる。そうなると草木には季節がないと誤解されている方もいらっしゃるかもしれないけれど、ちゃんとそれぞれに季節はあって、その時期ならではの姿を見せてくれる。
ススキもそのひとつ。
中秋の名月には欠かせないススキの穂だけど、沖縄のススキもまた、秋に花序、いわゆるススキの穂をつける。
青空をバックにした真昼のススキの穂はイキイキと輝いて見える一方、朝焼けや夕焼けを背景にした様子も味わい深い。
朝焼けや夕焼けなんて、刻一刻と空の彩りが変わっていくから、「すんごくきれい!!」と思ってすぐさまカメラをとりに家まで戻っても、ついさきほどの「すんごくきれい!」はもう終わっていたりする。
このススキの背後の朝焼けの空も、撮ったときより数分前のほうが、なにかスペシャルドラマチックイベントを予告するかのごとく燃え盛っていて、遥かに美しかった…。
この日の空はスペシャルドラマチックイベントを予感させるものだったけれど、ワタシ個人にはスペシャルサスペンスイベントが待ち構えていた。
歯医者に行かねばならぬのだ。
大城のおばぁからいただいたたくさんのジーマミーを週末オタマサが炒ってくれたので、ニッカが誇るシングルモルトウィスキー宮城峡を楽しみながらポリポリと食べていた。
すると……
ピーナツに負けた奥歯の詰め物が取れてしまった。
子供の頃に自宅近所の歯医者さんで言語に絶する壮絶治療を受けて以来、歯医者=拷問部屋となっているワタシにとって、痛くもないのに歯医者さんに行くというのはそもそもあり得ないこと。
なので行かなきゃならないとは知りつつも、できることなら行かずに済むよう自分を騙し、行かなくていいことにしてしまう。
でも詰め物が取れた奥歯はゴッソリ陥没しているから、気がつくと舌の先で無意識にチェックしたりしているため、舌先がヒリヒリするし、そもそも違和感絶大。
ここはひとつ、オオゴトになってしまう前に、素直に歯医者さんに行くしかあるまい。
というわけで、週明けのこの日、心の隅々に逃げまどっていた「勇」をダイソンのサイクロン掃除機ばりの吸引力で無理無理かき集め、ついに歯医者さんに行くことになってしまったのである。
まぁ、取れた詰め物を詰め直すだけなんだから……
しかし、実は詰め物が取れた奥歯は、違う理由で大きく欠けているのだ。
欠けているけれど痛くはないので、これまでずっと長い間「行かなくていいこと」にしていたのだけど、欠けた部分をも含めた治療となると、やっぱあれがありますよねぇ、あの世にも恐ろしい……
キーン!!
が。
心の耳をつんざくあの音を聞いただけで、脂汗が2リットルくらい出てしまうワタシ。
しかし隣の治療台では、年端もいかぬ少年が、平気の平左で(死語?)静かに治療を受けている。
まぁ50も過ぎていい年こいて、今さら歯医者さんで汗をかくなどということもないかな?
と自分の進化(退化か?)に期待を寄せてみたものの、治療台に座っただけでやはり吹き出てくる汗。
こちらの歯医者さんは、治療台に座ると正面に水納島が見えるなんとも眺めがいいロケーションなのだけれど、差し迫った危機を迎えたワタシには、もはやそんな絶景などなんの力にもなってはくれない。
やがて恐怖の瞬間がやってきた。
「痛かったら麻酔しますからねぇ」
いや先生、いっそのこと痛くなる前に麻酔しちゃってくださいよ……と思いつつも、誰もがそうであるように、まな板の上の鯉と治療台の上の患者は同義語である。
痛かったら麻酔をするということは、痛くなるかもしれないってことで、その痛さがいやであるがゆえに恐怖を感じている身にとっては、ドリルのキーン!で削られている間、生きた心地が遠く3万光年彼方に消える絶望のどん底状態だ。
幸いにして、ちょっぴりピリッと来るくらいで事無きを得たのだけれど、ピリ…と来るたびに2リットルの汗を噴出させているワタシ。
握りしめていたタオルが活躍することとなった。
「うがいをしてください♪」
という歯科助手(衛生士?)のおねーさんの声が、天使のラブソングに聴こえた。
苦難の時間を乗り越えたあとは、銀歯用の型を取るのみ。
数日後に出来上がるそれをかぶせてしまえば、治療は終了だ。
ふぅ………。
やっぱ歯医者さんには、行かなきゃならないときにちゃんと行っとかないとダメですね。
人間誰しも、安全地帯にいれば正論を唱えるものである。
ともかくも今年最大の試練を乗り越えた自分を称え、お昼はデンプンを解禁して、大浜にあるガジュマルにて牛もやしそばを。
仮状態の奥歯で噛んでしまわないよう気を付けつつ、美味しくいただいた。
ああ、憂いがなくなるって素晴らしい……。
安堵に包まれた心の中では、この日の朝焼けに勝るとも劣らない輝く空が広がっていたのだった。
2018年11月26日
頑張れなかったオジサン。
2018年 11月25日(日) 晴れ
東の風 波あり
週末や連休となると図ったように時化予報となって連絡船が欠航…
というパターンが多かったのに、この3連休はまさかの平穏無事状態。
3連休に期待はしてもまったくアテにはしていなかった雑貨屋さんも、予想外の大健闘だ。
…とかくと、1日中引きも切らず来店客があるように誤解なさる向きもあるだろうから念のために言っておくと、1日に一組、二組のお客さんが何かをご購入してくだされば、それで「大健闘」なのでお間違いなきよう。
そんな雑貨屋さんの開店時間を確保したい一方で、いいお天気だから海にも行きたい。
その他諸事情に鑑み、この日の雑貨屋さんは14時30分までとし、ダイビングは午後遅い時間に行くことにした。
このところお魚コーナーのリニューアルはヒメジ類に突入しているので、海底をフラフラしつつ、ヒメジ類に注目しよう…
……と思っていたら、アオウミガメに遭遇。
アオウミガメ君、木陰で休憩の図。
まるで木のように見えるものは、そのとおり本当の木。
先だっての爆裂台風で引きちぎられた沿岸の樹木の枝枝が、たくさん海に投げ出され、今もなおあちこちの海底に鎮座し続けているのだ。
ま、この日はオジサン(の仲間)たちとお付き合いしたいから、カメさんとはまた今度。
引き続きフラフラ彷徨っていると……
今度は小柄なタイマイに遭遇。
よその海ではいざ知らず、水納島ではタイマイに出会う機会はアオウミガメに比べれば圧倒的に少なく、それもゲストをご案内している時ばかりだから、こういう状況で出会えるのは千載一遇のチャンス。
…というオーラが出すぎてしまったために、砂地の根で休憩でもしようかなぁとばかりタイマイがのんびりと泳いでいたところを邪魔してしまった。
いかんいかん、今日はヒメジ類がお目当てだった。
再びフラフラと砂底を彷徨っていると…
グルクンの群れに取り囲まれてしまった。
クマザサハナムロとタカサゴのグチャグチャ混成隊、しかもこの群れの先頭にはウメイロモドキとユメウメイロの群れも。
こういう至福のひとときは、写真など撮らずにただボーッと眺めているだけのほうがよほど気持ちいい。
いかんいかん、オジサンたちと遊ばなきゃ。
気持ちを切り替えて再び徘徊していると……
さきほど出会った子よりも二周りほど大きなアオウミガメが、ブイのロープをくくりつけてある岩の陰で休憩していた。
ひっきりなしにボートが来るシーズン中には、こんなところでオチオチ休憩していられないだろうけど、この季節のこの時間帯ならのんびりしていられるのだろう。
そうやってのんびりしているところをお邪魔してしまったものだから、しょうがないなぁ……とばかり、彼は息継ぎをしにゆったりと水面に向かい始めた。
こういう場合、息を吐いちゃうと泡が画面に入ってしまう。
でもカメさんは水面に向かっているから水深はどんどん浅くなる。
そうなると息こらえしているわけにはいかない。
そんな困った状態の逡巡が、画面内の小さな泡に表れているわけです…。
いつまでも相手をしてくれそうなほどにのんびり泳いでいたアオウミガメだったけれど、いかんいかん、オジサンたちと遊ばなければ。
リーフ際に戻ってきた頃には、すでに水面が黄金化していた。
最近病みつきになっている黄金水面。
うーむ……オジサンたちと遊んでいる場合じゃない。
ううッ…
このところスターだスターだとおだて上げていたせいか、本来主役のキラキラ太陽を遮るヤマブキベラ。
ともかくこの時間帯にリーフ上でお日様と遊んでいると、もうオジサンたちの出る幕はまったく無くなっていたのはいうまでもない。
ああ、頑張れなかったオジサン。
オジサンたちが出る幕はこちらです。
2018年11月25日
絶滅危惧臭。
2018年 11月24日(土) 晴れ
北東の風 波あり
この季節になると毎年拙日記にてご覧いただいている野菜の苗たちは、我が家の庭に設置されたテーブルの上に配置され、畑に行く日を待っている。
そこはもちろん一般の来店客の目にも触れるところで、そういったものに興味がある方にとっては、ちょうどいい塩梅でスタンバっている各種とりどりの苗は、とても魅力的に見えるもの。
この日那覇から日帰りで島を訪れていたご婦人2人連れのお客さんたちもまた、そういったものが好きな方々だった。
で。
入店前に先に目に入るものだから、いろいろと苗をご覧になっていたお2人は、
「いろんなものを売ってるんだねぇ……」
と感心しきりで、2人して苗を一つ二つ買って帰ろうと本気で考えていたそうな。
紛らわしいところに置いてすみませんが、売り物じゃありませんから、野菜の苗(汗)。
この日は朝から隣の畑でリョウセイさんが、先日刈り取った草の野焼きをしていた。
するとその2人連れのご婦人方が去り際におっしゃることには、
「懐かしい匂い……」
そう、沖縄とはいえ、もう都会では野焼きなんて不可能ですからねぇ…。
煙いといえば煙いけど、郷愁を誘う香りといえなくもない畑の野焼きも、今や絶滅間近の風物なのである。
隣の猫が自分の家の屋根に上ったというだけで苦情を申し立てる世知辛い世の中にあっては、野焼きなどは無論のこと、庭先でのバーベキューひとつままならないのだから、この先こういう匂いに郷愁を誘われる人の数もどんどん減っていくことになる。
ほんの半世紀前の日本なら、庭先に置いた七輪でサンマを焼いていたろうに、なんとも不寛容な社会になってしまったものだ。
ちなみに、日中はこういう状態だったリョウセイさんの畑。
※写真は3年前のものだけど、この日のリョウセイさんのスタイルも服も基本的にほぼ同じです。
で、それが午後遅くには……
早くも耕されていた(写真は翌朝、つまり今朝撮ってます)。
水納班の高級トラクターは班長ヤスシさんが駆ってくれるから、都合のいい時に、と事前にお願いしておくのだけど、刈った雑草はちゃんと乾くまで燃やせないし、お天気のこともあるので、あらかじめ段取りを組んで申し合わせておく必要がある。
その点やり始めると作業が早いリョウセイさんなので、燃やしたその日にトラクターということになっていたようだ。
ただ、野焼きがまだ途中なのにいったん作業を中断したらしく、昼過ぎには畑からリョウセイさんの姿も軽トラも見えなくなっていた。
不思議に思いつつ、たまたま裏浜方面に足を運ぶと、浜にリョウセイさんの軽トラが。
干潮時に合わせ、ガザミを探しに行っているのだ。
この日もミドルサイズを1匹ゲットできたらしく、恵比須顔で畑に戻ってきた彼は、再び野焼き再開。
そしてその日のうちに上の写真のようになっている。
干潮時にガザミサーチをする時間まで含めての、完全無欠のスケジュール。
いつものことながら、その溢れるバイタリティにはしゃっぽを脱ぐ次第でございます。
2018年11月24日
十六夜日記。
2018年 11月23日(金) 晴れ
北東の風 波あり
それなりに風も波もあったけれど、連絡船は通常運航。
もっとも、世間は3連休ながらシーズンオフの水納島には無縁の話だから、今日も訪れるお客さんなどヒトッコヒトリーヌ…
…かと思いきや、8時30分の便でお越しになっていた女性が10時30分の便で島を発たれる間際にご来店、大人買いをしてくださったのだった。
本日の売り上げ、これにて終了。
しかしながら大人買いのおかげで、1日目にして3連休の目標に到達してしまった。
ありがたやありがたや。
ところで、そのありがたい日帰りのお客さんは、ご友人が以前水納島に来たことがあるそうで、その縁で足を延ばされたそうな。
で、その方いわく、
「友人は、まだ無人島だったころに来たみたいなんですけど…」
え?
あのぉ……そうなると200年くらい前の話になりますが??
聞けばご友人が来島されたのは十数年前だというから、今よりはるかに島の人口は多かったのだが。
しかも、
「定期船がなかったので、船をチャーターしたと言ってました」
うーむ……たしかに西海岸の大手ホテルが「無人島ツアー」と称して水納島に客を運んでいた時代もあったけれど。
ひょっとしてそのご友人が足を運ばれた水納島は、多良間島の近くの水納島なんじゃ……。
とりあえずその方には、十数年前の島の様子をお伝えしておいたけれど、ちょっとした誤解が錯綜し、事実と真実がチャンプルー化してしまう…というのは、世の中によくあることではある。
さてさて、南洋に蠢く台風、存在をアピールしようとしているのか、米海軍台風情報だと、1日ごとに進路予報が変わっている。
いずれにしても沖縄直撃なんてことはまずないだろうけど、傍まで来られると気圧の傾斜が大きくなって、北風が強く吹くことになりそうだ。
今のところは平穏ながら、昨日も触れたとおり今は大潮で夜中に随分潮が引くため、うちのボートを定位置に停めたままにしておけない。
やむなく、水深がある桟橋脇に停めておくしかない。
ただ、ずっと海はざわついているから、潮位が高くなると桟橋脇まで波が入ってくるので、ボートは静かに浮いたままではいてくれない。
なので特に満潮時前後には様子を見ておいたほうがいいから、これを書き始める前、すなわち夜明け頃に桟橋まで様子を見に行ってみた。
すると……
西の空に浮かぶ十六夜のお月様が、海に「月の道」を作っていた。
ところで、これはジョニーで撮っている。
以前何度も触れたように、コンパクトサイズでありながらとてつもなくズーム性能が高いコンデジだ。
だから鳥さんや虫を撮る際には大活躍してくれるのだけど、そのカメラでお月様を撮ってみると……
クレーターまでクッキリ。
鳥や虫どころか、月のウサギさんまで撮れちゃいそうだ。
このまま進化を続けていくと、10年後には火星の表面すら撮れるようになっているかも??
あ、その前に「カメラ」が絶滅してたりして……。
2018年11月23日
ヤモリガード。
2018年 11月22日(木) 曇り
北西のち北の風 時化模様
天気予報どおり次第次第に風が強まり、午後にはストロングな時化となった。
桟橋へと続く坂道の天辺にいたら砂がバチバチ当たるほどだから、風速15メートル以上確定。
昨日触れたとおりうちのボートは連絡船側に係留してあるので、北寄りの風なら一安心。
で、これを書いている23日の朝は、また連絡船が到着する前に、ボートを元に戻しておかねばならない。
またしても本島からの日の出を眺めつつ。
なんだかこのところミラーマンのような勤務状況になっている気が……。
時化はいったんおさまるようながら、今度は大潮の干潮時問題が。
この時期は夜のほうが潮位の変動が大きく、潮時表上の干潮時の潮位がマイナスになる日は、うちのボートを停めているあたりが一部干上がるかもしれない。
少なくとも船首が乗り上げる形になるのは間違いない。
船尾のほうも、干上がらなくとも船底が当たる恐れもあるから、のんきにその場に停めたままにできない。
今に始まったことじゃないとはいえ、なんとも不便な港ではある。
こういうオフシーズンのボート管理上の面倒くさいことから解放されたければ、いっそのことボートを渡久地港に上架しておけばいいのだけれど、そうすると絶好のダイビング日和に指をくわえて海を眺めるだけになってしまうのもなんだかクヤシイ。
なのでどうせだったら、日数の割合的には
ダイビング日和>時化&マイナス潮位
になってほしいところ。
しかしゲンジツは、不等号の向きは逆になる。
ま、それがオフシーズンのオフシーズンたる所以なのであった。
話は変わる。
先頃届いたデスクトップパソコン、だんだんと馴染んできてはいるのだけれど、ただひとつ大きな弱点が。
これ。
冷却ファンの通気口。
一般的にはなんの問題もないものながら、こういう土地で暮らしているとこれがなかなかバカにできない。
というのも、このわずかな隙間をヤモリちゃんが利用してしまうのだ。
以前使用していたデスクトップPCの場合など、使用中に突如シャットダウンしてしまったからいったいなんじゃこりゃ?と驚きつつデスクトップの本体を触ったら、どえらく熱くなっていたのでビックリした。
慌てて背後にある冷却ファンの通風孔を見てみたら、なんとスリット状になっている通気口にヤモリが挟まったまま死亡しており、ファンの回転を完全にストップさせていたのだ。
そのPCはその後何年間も問題なく使用できたから、とりあえず大きな損害を受けはしなかったとはいえ、まさかのヤモリ被害。
その後店頭でデスクトップを購入する際には、通気口は重要チェックポイントになったのは言うまでもない。
すると、まさか同じような被害が全国で相次いだわけじゃないだろうけど、通気口がまるでヤモリガードになったかのようなデザインのものが増えてきて、これならもう心配ないだろう……
……と安心して購入したPC、数年経った頃になって、妙な異音が聞こえてきた。
はてさて、何がどうしたものやら……
首を捻りつつ異音がするところをチェックしてみると……
生きているオトナのヤモリが通気口の内側に。
まさかの光景に衝撃を受けつつ、とりあえずヤモリ救出のためにハチの巣状になっている一部をニッパーでブチ抜き、事なきを得たのだった。
それにしても、電源ユニット部だから他に出入りする隙間などはなく、かといってこの通気口の穴を自由に行き来できるサイズでもなし。
ひょっとして………小さい頃に通気口から中に入って、以後ずっとPC内で成長していたとか??
その他、掃除をするために本体のカバーを外した途端、ヤモリがピューッと出て行ったこともあった。
冬場は特に、暖房付きの居心地いい空間となるPC内部は、彼らにとって理想の住まいなのかもしれない。
以上を踏まえ、もう一度今回のPCの通気口を見てみると……
……これだとチビヤモリなら出入りできちゃうかも。
メーカー直販で購入しちゃったものだから、通気口の穴のサイズまでしっかり確認できなかった(写真は見ることができても、通気口のサイズまで書いてないですよね?)。
そこで。
カスタマイズしてヤモリガードをつけちゃおう。
そのために、何か気の利いたメッシュ状のものはないかいな…と先日メイクマンで物色してみたところ、これがなかなかありそうで見つからず。
最も用途に適したものがこれだった。
目が細かいアルミのメッシュ。
ただ、もともとの用途が縁の下の通風孔の虫除けのようなものだから、サイズがでかい。
しかもアルミだから、価格が高い。
ほんの10センチ四方程度のことだから100均で済ませられるかなと思いきや、まさかの出費になってしまった。
もっとも、我が家にとってはセキュリティソフトよりも重要なヤモリガード。ここで出し惜しみしていてはのちに禍根を残すことになる。
さあて、寒くなってヤモリが暖をとりたくなる前に工作しようっと。
2018年11月22日
やまや。
2018年 11月21日(水) 晴れ
南の風 けっこう波あり 水温25度
先日お伝えしたように連絡船が欠航している間うちのボートを連絡船停泊側に避難させている場合、翌日連絡船が運航を始める前にボートを移動させなければならない。
連絡船は朝8時42分には到着してしまうから、もちろんその前にやっておかなければならず、万万が一エンジンがかからないなんてことがあったらやっかいだから、早めに移動させておきたい。
なので7時頃に桟橋に行くと……
この季節の太陽は、朝7時でもまだこんなに低いのだった。
それが20日の朝のこと。
で、またしても低気圧を伴った前線通過後、大陸の高気圧が張り出してくる予報になっており、22日には本格ストロング派の風が吹く模様だ。
なのでこの日のうちに、ボートを連絡船側に移動しておくことにした。
といっても本日の連絡船は通常運航だから、午後5時の最終便が島を出てからじゃないと作業ができない。
そして、低気圧が接近&通過していくため、当初南寄りから、そしてグルリと回って北風になる風は、最初から強めに吹いている。
連絡船側にボートを停める場合、北寄りの風だけなら勝手にボートが岸壁から離れるからいいのだけれど、南寄りの風が吹いている間、潮が満ちている時間帯は特に、ボートが岸壁に打ち付けられてしまうことになる。
それを防ぐためには反対側からロープを取り、ボートを岸壁から離しておく必要がある。
船首側は、桟橋上のビットからロープを取ればOKながら、船尾側はかつて連絡船が水納港停泊時にしていたように、海の中からロープを取らなければならない。
そのためには、水に浸からなきゃならない。
そのためだけに海に入る準備をするのもムナシイので、午後5時に連絡船が出港するタイミングで戻ってこられる時間帯で潜りに行くことにした。
この時期の午後4時頃といえば、お日様は夕日になっている。
お日様が夕日になると……
海面が黄金化する。
見た目どおりの美しさを撮れないのがもどかしい……。
この黄金水面を背景にサンゴやお魚さんたちを撮りたいのだけど、これまたなかなかうまくいかない。
たとえ写真はイマイチでも、リーフの上で太陽が輝く水面を背景にサンゴ礁を眺めているだけで、なんだかとてつもなくゼータクな時間を過ごしているような気になる。
当店が「黄昏のダイビングサービス」になった暁には、このヨロコビを皆さんにもおすそ分けできることだろう。
船に戻る頃には、太陽はこの日の仕事を終えようとしていた。
ところで、これは先ほどまで海の中で使っていたカメラセットで撮っているため、テキトーにガラスポートを拭いてはいても、細かい水分までは取り切れていない。
そのためだろうか、太陽の部分をクローズアップしてみると……
不思議な乱反射でメルヘン太陽になっていた。
スピリチュアルな方面になると、これはオーブだなんだという話になりそう……。
水に浸かったあとの水中ハウジングで撮る陸上写真…に、新たな可能性を見出したのであった。
話はこの日の日中に戻る。
翌日は欠航確定、その後は連休だからなるべく店を開けていたいとなると、まだ畑の野菜も育ち始めたばかりだし、この日のうちに買い出しをしておかないと食糧不足になってしまう。
なのでこの日午前中は名護までお買い物。
そしてランチはこちら。
名護にこの店ありと知られる宮里そば…のすぐ近くにある沖縄そば屋さん「やまや」。
ここに暖簾が下がるようになってから随分経ってはいるのだけれど、この辺りまで来てそばといえば宮里そばな我々は、店の前を通ることはたびたびあっても、まだ一度も入店したことがなかった。
超有名店のすぐそばで開店という心意気がすごい。
様々な花々で彩られた店先同様、内装はお洒落で、様々なものが整然としており、店内には沖縄民謡が静かに流れている。いわゆる大衆食堂系のお店とは一線を画す雰囲気だ。
メニューはソーキそばと三枚肉そばという、潔い2点勝負で、そこにジューシー&ごはん、そしてなぜだかカレーライスも用意されている。
ワタシは迷わず三枚肉そばの大@600円。
そしてオタマサは、小メニューが三枚肉そばにしかなかったということもあり、三枚肉そばの小@450円。
店の佇まいや雰囲気からして、もう少しお値が張るかと思いきや、2人合わせて1050円ポッキリ。
名護といえば沖縄そば激戦区であり、専門店から取扱店まで星の数ほどあるのだけれど、自家製麺で勝負している店はそのうちの2割ほどだという(他のほとんどは名護そば、すなわち三角屋製麺所の麺)。
やまやさんはその2割のほうのお店で、こだわりの自家製麺をウリにしておられる模様。
さっそくその麺をいただいてみる。
おおっ……これは!!
これは一口いただいただけで、他店ではけっして食べられないものであることがハッキリわかる。
沖縄そばに求めるものがなんであるかによって好みが分かれるかもしれないけれど、オトナになってから初めてチクワブを食べたときに感動したワタシとしては、実に心地よい食感。
のど越しで楽しむというよりは、咀嚼して味わう系の、なんとも存在感のある麺である。
でまた出汁の上品なことといったら。
味くーたー系が多い北部のお店とは思えないその味は、店内の雰囲気同様、心配りが隅々にまで行き届いた逸品だ。
また、小鉢にデザートと手作りの漬物(大根のワサビ漬けだった)が添えられているところもうれしい。
それでいながら価格は庶民の店で居てくれるとなれば、地元客が放っておくはずはない。
実力に基づいた自信があればこその、名護の雄・宮里そばのすぐ近くでの開店だったのだろう。
いい店みぃ~つけた!とばかり、オタマサも満足の模様。
あ、お土地柄、日本ハム選手のサインが多いです。
2018年11月21日
エチゴビール。
2018年 11月20日(火) 晴れ
北東の風 波あり
この季節になるとローテーションで大陸の高気圧が張り出してくるから、たとえ台風が発生しても沖縄地方に接近してくることはまずない。
まずないから、シーズン中と違って台風をそれほど気にしなくなるだけれど、久しぶりに気にしてみると、なにやら南洋でボコボコできている気配。
いつの間にやら28号に達しているし、この後も景気よくバンバン誕生しそうだ。
隙をついて沖縄方面に接近してくる台風がありませんように……。
いつの間にやらといえば。
PC臨終を受け、新たに注文した機器の到着は、今月末頃の予定になっていた。
なんだ一か月もかかるのかよ…とブーたれつつも、今後のためにも別にノートパソコンを購入し、頭から白い煙を出しつつようやく「自分のもの」になった感を持てた頃、そろそろ注文してあるパソコンの配送状況を確認しなきゃなぁ…
…と思っていたら、突如配送業者から連絡があり、その日のうちにデスクトップが届いてしまった。
2週間も早いんですけど。
せっかく頭から出る白い煙が薄まってきたというのに、また新たに同じことをせねばならないのか。
2週間も早くなったのだから本来喜ぶべきところ、しばらくはホッとしていたかった心が文句を言う。
とはいえ一度やったばかりの作業なので、前回は4、5日かかったものがたった1日で終了!!
やればできる子なんです。
ただし。
那覇で買ってきたノートは2017年モデルで、今回のは今年発売されたもの。
たったそれだけの違いで、OSのバージョンやらなにやらよくわからないものに違いがあるらしく、たとえばメールの設定でも、昨年バージョンのものならなんとかコントロールパネルを開いて設定画面を出せたのに、今年バージョンのものはその作業ができなくなっているのだ。
なんで不便にしていくんだよ……。
そのかわりお手軽機能が充実しているらしいのだけど、基本的にモノゴトをわかっていない者(ワタシのことね)にとっては、「お手軽機能」がものすごく障害になってしまうのである。
思い起こせば、Windows 95はワタシのような者に優しかったなぁ……。
とまぁそんなわけでここ数日は、One drive機能を駆使していかに2台のPCを便利に使えるか、という探求にいそしむあまり、せっかく落ち着いた頭の煙がまたしても噴出しているのだった。
なにしろ、ひとつわからないことがあって調べてみると、わからないことが2つに増え、さらに調べると4つに、8つに……と増えていくのだから先に進まないこと甚だしい。
そうやって頭から煙を出してばかりいてはなんだか悔しいので今夕は……
炭から煙を出すことにした。
秋になると気候が落ち着くからか、毎年無性に炭火焼をしたくなる。
そのために買い物してあったわけではないけれど、炭はあるし肉もあるし串もあったので、思い立ったが吉日。
炭焼きといえばビール。
ビールといえば、今月初めのワタクシの誕生日に某氏が贈ってきてくれたクラフトビールシリーズ。
近年になってビールに目覚めたという某氏、本部町内のサンエーではけっして買えないものを、というそのセレクトには年々際立ったこだわりが見られるようになっているなか、食中酒としてのビールには香りが邪魔しないものがいいという我々の好みに合わせてくれたのか、今回届けてくれた綺羅星のごとき各地のビールは例年に増してどれもスンバラシイお味。
なかでもこのシリーズが美味しかった。
エチゴビールシリーズ。
エチゴビールといえば全国に先駆けて誕生した「地ビール」で、当時は時代を先取りしすぎたかもしれないけれど、空前のクラフトビールブームという追い風に乗ったのかその後種類がやたらと増えており、なおかつどれもこれも皆美味しい。
新潟のスーパーに行ったら、エチゴビールがズラリとラインナップされているんだろうか……。
やはり涼しくなったら、この手の味の濃いものがステキ。
冬場だったら冷やしてなくても美味しく飲めちゃうものなぁ…。
そんな選り取り見取りの綺羅星ビールシリーズも、今宵にて完飲。
某氏さん、ありがとうございます。とっても楽しませていただきました。
2018年11月20日
おもひでぽろぽろ。
2018年 11月19日(月) 未明雨のち晴れ
南のち北の風 おだやかのち時化模様
未明に低気圧を伴った前線が沖縄本島地方を通過したため、夜中にどえらい嵐になってしまった。
この季節に凶暴な南風が吹くとはなぁ…。
夜が明けるころには前線は東へ去ってしまっていたから、いったんは落ち着きを見せた海も、やがて張り出してきた大陸の高気圧が、侮れない北風を吹かせ始めた。
もっとも、張り出し自体は強いものではないので、夜半の南風に比べれば北風はかわいいもので済みそうな予報ではあった。
が。
今の港の状況と連絡船の組み合わせでは、風が吹き始める前の1往復のみの運航が精一杯。
その後の便はあえなく欠航と決まった。
船長カネモトさんがつぶやく。
「前の船だったら大丈夫なのに……」
というわけで、連絡船は9時以降はお留守になることが決まったので……
風をよけるために、うちのボートを桟橋のこちら側に回させてもらった。
普段係留しているところだと、砂が間近に迫っているせいもあってボートの船首を風上に向けられないから、船尾にまとも受ける北風が強めに吹く場合は、なるべく置いておきたくない。
だから以前まではその都度渡久地港の岸壁まで避難させていたものだったけれど、欠航=連絡船は渡久地港停泊となっている今なら、わざわざ渡久地港までもっていかずとも、ここに停めておける。
以前にも触れたとおり、連絡船が渡久地港を母港とするようになってからの、数少ない利点のひとつである。
さて、朝の1往復のみとなれば、もちろんのこと日帰り客が島に来ることはなく、雑貨屋さんを開けている意味はない。
ところが、釣り目的で毎年この季節に水納島にご滞在になる民宿の常連さん(from 北海道)が、いつものように来店して大人買いしてくださったおかげで、オフシーズン10日分の売り上げを1日にして記録してしまったのだった。
前日の絶好の行楽日和には総額250円だったのに。
当店ダイビングサービス同様、雑貨屋さんもどうやらリピーターさんのおかげで成り立つようになってきてるような気配が……。
話は変わる。
久しぶりにアカククリの若魚と出会ったことをきっかけに、水納島周辺から姿を消していく知られざる魚たちに思いを馳せつつ、深い啓蒙精神でその事実に隠された地球の危機を訴えようとするワタシとは一線を画す潜り方をしているオタマサは、同じ日のダイビングで何か皆さんに伝えるべきものがいた?というワタシの質問に対し、こう応えるのだった。
「イイジマフクロウニがウンコしてた♪」
その様子。
何を食べてるんだか知らないけれど、フンフンフン黒豆や~のような粒々をポロポロポロポロ…と放出。
そして最後は……
スッキリ。(以上の写真、撮影:オタマサ)
フツーのヒトの場合、イイジマフクロウニに出会ったら、共生しているエビやカニは居はせぬかとチェックし、居なければとりあえず意外に美しい外観を撮ったり局部クローズアップを撮ったりするところ、ウンコに注目して嬉々として撮影するあたり、さすがオタマサワールド。
この1本のダイビングの記憶が、たとえこのウニのウンコポロポロだけになろうと気にしない。
そしてもちろん、その最中に頭上をマダラトビエイが行き過ぎようとも、ビクともしない。
変態社会人はブレないのである。
2018年11月19日
一本のネジにも五分の魂。
2018年 11月18日(日) 晴れ
東の風 うねりあり 水温25度
うねりが残っているために朝の空気は潮騒のざわめきを運んできてはいたけれど、日の出からお天気は上々、久しぶりの海日和だ。
さっそく海へと繰り出してみると、水温は体感26度くらいの25度。
10月末の一時期よりも温かいのはどういうわけだ。
この日はとあるダークサイドな使命が主目的だったものの、岩陰に魅力的なお魚がいたのでお近づきになってみた。
ご存知、アカククリの若魚。
みなさんが会いたいと望んで止まないホントの「赤くくり」状態の幼魚にはそうそう会えないけれど(水納島での過去2回の遭遇はいずれも桟橋脇)、このサイズの若魚には比較的ちょくちょく会え……
…ていたのはいつ頃までだったか。
昨年9月に出会った若魚は、かなり久しぶりだった。
今回の子のほうが一回りほど小さめで、より「赤くくり」感を残している。
いつでもどこにでも居るとなると有難みが薄れてしまうから、こういう子が年に2、3匹居てくれるとシアワセなんだけどなぁ…。
もっとも、これまでずっと会えなかったアカククリの若魚と2年続けて会えたというのは、傾向としては朗報かも。
来年あたり、アカククリ若魚の連打になったりして。
あ、アカククリがオトナになるとどうなるのかご存知ない方は、こちらをご覧ください。
ところで、以前はチラホラ見られたのに近年になってすっかり会えなくなった魚はアカククリの若魚にかぎったことではなく、マイナー過ぎて誰も注目はしていないだろうと思われる魚がこちら。
大昔の図鑑では「ヨコシマクロダイの色彩変異」扱いだったものが、ちょっと前に出た図鑑で「ヨコシマクロダイの近似種」、すなわち別の種類扱いになった魚だ。
写真の子は4センチほどの幼魚で、まだフィルムで撮っていた頃のもの。
その後は2010年に、もう少し成長した段階の若魚と出会ったことがあるのみで…
近年は幼魚も若魚もまったく目にしていない。
ちなみに本家ヨコシマクロダイの幼魚はこんな感じ。
なんだ、まったく一緒じゃん……
……という方はこの際逝ってよし。
もっと成長して若魚になるとこんな感じ。
もっと大きくなると不発弾のような色になって、時にはタマンの群れに混じって多数が群れていたり、2、3匹で中層に浮いていたりしている。
地方名ではダルマと呼ばれ、けっこう刺身もいけるらしい。
それはさておき、ヨコシマクロダイ近似種、当時も数は少なかったとはいえ、けっして居ないわけじゃなかったのに、今ではまったく出会えなくなってしまった。
知らず知らずのうちに、気がついたころには居なくなっているというのは、なにげに不気味なことではある。
おりしも隣のパソコンでかつて撮った自らの写真を久しぶりに見返していたオタマサが、
「昔のほうが生き物の種類が多かったねぇ…」
とつぶやいていた。
ひとつの種類の個体数が減っているのも憂うべきことながら、種類が減っていくというのは、環境的な多様性が狭まっていることが大きな要因になっているのだろう。
本島沿岸の内湾域という理想的な揺りかごで幼少期を過ごしていられたであろう様々な魚たちが、最も影響を受けているように思われる。
その揺りかごが、埋め立てその他でことごとく消失していまっているからにほかならない。
かつての水納島では当たり前に観られたコンゴウフグのオトナがほぼ絶滅してしまったのも、まず間違いなく同じ理由と思われる。
その昔、今は亡き千石正一先生が何かで↓こういった意味のことを書いていた。
ジャンボジェット機は、ネジの1本が外れたくらいなら問題なく飛んでいられる。
2本、3本外れても飛んでいられる。
ひょっとすると、10本20本外れても大丈夫かもしれない。
でもそれが100本200本となると……
限界点は、ある日突然訪れるのだ。
ヨコシマクロダイの近似種が観られなくなったこと自体は、ネジの1本程度のことかもしれない。
でも気がついたころには……。
すでにもう、ネジは65本くらい外れてしまっているかもしれない。
為政者に「想定外でした」「遺憾に思う」の一言で片づけられてしまう前に、みんなが気付かなければならない大事なことなのである。
もちろん、ジェット機が飛び続けている間に。
フエフキダイの仲間は興味ないんだよねぇ…なんて言っている場合ではないのだ。
2018年11月18日
野鳥畑耕作。
2018年 11月17日(土) 曇り時々晴れ
北の風 波あり
マサエ農園畑1号が着々と「畑」になっていく一方、スタンバっていた苗たちもスクスクと成長している。
10月末のこの状態から比べると、たった2週間であっという間に育つ野菜の苗たち。
一方、着々と拡張政策が続いている畑2号も、トラクターで一度耕してもらい、そろそろスタンバイ完了。
このうちコウブシ除去作業が進んでいるのは半分くらいなんだけど、それでも畑1号の2倍以上はある。
オフシーズンになると、シーズン中にもましてあれもこれもそれも…となるオタマサはただでさえ猫の手も借りたいほどだというのに、これ以上いったい何を作るのやら…と思っていたら、さらなるトマト拡張計画を立てているようだ。
うまいこといけば、やがて我が家は例年以上にトマトまみれの日々になることだろう。
うまいこといけば、だけど。
小豆が不作で和菓子業界が困っている、なんて話もあるように、漁業にしろ農業にしろ、近年は獲れない採れない話ばかりで、「例年のように」いかないケースがどんどん増えている。
それぞれに理由があるからまだ冷静でいられるけれど、その理由が今年にかぎったことではなくなるかもしれないところがやや不気味でもある。
ま、期待される成果はともかく、畑がこういう状態になると真っ先に喜ぶのがこちら。
ハクセキレイ。
夏場にはおらず、秋から春まで島にいる野鳥で、学校のグランドや農耕地といった開けた土地が好きだから、耕されたばかりの畑なんていったら、彼らにとってはヘンゼルとグレーテルのお菓子の家なみの夢の世界なのである。
草刈り&野焼き後もまだ草ぼうぼうだった間はまったく見向きもしていなかったくせに、耕された途端、すぐさま駆けつけてくるハクセキレイ。
彼らもまた、オフシーズンの風物詩でもあるのだった。
2018年11月17日
マルベリードリーム。
2018年 11月16日(金) 雨のち晴れ夜一瞬雨
南の風 波あり
朝のうちは雨が静かに降り続けていたから、この日の朝のダイビングは控えた。
その後ほどなく晴れ間が見えてきて、10時以降はすっかり行楽日和になったのだけど、それ以前の雨のせいか、10時の便で来島された一般客はゼロ。
逆に、雨の中8時30分渡久地港発の便でお越しになっていたお客さんが一組いて、10時30分水納島発の便でお帰りになった。
うーむ、10時過ぎから開店する当店っていったい……。
午後1時渡久地港発の便はどうだろう?
気になるのなら桟橋まで行ってお客さんの数をチェックすればいいようなものだけど、いちいちそこまでするこたぁないかとただお店を開けていると、男性客がお一人ご来店。
本日唯一の売り上げに貢献してくださったのだった。
最終便で渡久地港から届く荷物を受け取りに桟橋まで行くと、午後5時水納島発の便に乗船されるのは、その男性客お一人のみ。
その方にとって本日午後の水納島は、全島貸し切り状態だったのだ。
ま、貸し切り状態だからといって、何がどうなるというわけではないけれど、今の季節、行楽日和の日に島で味わえるちょっとしたシアワセがひとつ。
先だっての爆裂台風で丸ハゲになってしまった草木たちは、今ではすっかり葉を茂らせ、再び元気を取り戻している。
そして爆裂台風被害でサバイバルのスイッチが入ったのか、クワの実が近来稀に見るほどに一斉たわわ状態になっているのだ。
大きなものでもせいぜい2センチ弱のこの実が、島のクワというクワ(ある程度育っているもの)に生っている。
もともとクワは春と秋に実をつける木ではあるけれど、ここまでよぉ~いドン!で一斉に実をつけているのを観るのは久しぶりかも。
ちなみにこうして黒っぽい紫になっているものが熟れている状態で、実の付き始めや熟れる途上のものはこんな感じ。
赤味が残っている状態のものを食べると酸っぱいけれど、熟れ切った黒紫の実の甘いことといったら!!
人生経験的に田舎でこういった実を口にしたことがない方は、野山に自然にできている実なんて、どんなに甘いといっても、市販のフルーツに比べればきっと酸っぱいのだろうと思われるかもしれない。
たしかに山桃や木苺にはその酸味がある。しかしこと熟れたクワの実に限っては、甘味オンリーといっていい。
特にシーズンオフになって無駄な糖分を極力控えているワタシにとっては、麻薬に等しい危険な実である。
カメさんたちの餌採りついでにひとつふたつ口にすると、脳天直撃級の甘さに身も震えるほどだ。
その昔は旧我が家の周りで生っている実を集め、桑の実ジャムを作ったり桑の実酒を作ったりしたものだったオタマサも、今ではすっかり多忙になってしまって、ジャムなど作っているヒマはない。
ああ、桑の実ジャムは美味かったなぁ……。
他の島の方々も、特にこれといってクワの実を利用しているわけではないから、今の時期島内を散策すれば、もれなくこのクワの実すなわちマルベリーを貪り食べることができる。
葉っぱだけだとどれがクワだかわかんないという人も、この実を他の何かと間違えることはまずないだろう。
いつでも実が生っているわけじゃないから、今はある意味ものすごくチャンスかも。
是非その甘さに身を震わせてください。
あ、熟れた実をもいで食べると、指が紫色に染まるのでご注意を。
2018年11月16日
燦然珊瑚2018。
2018年 11月15日(木) 曇りのち晴れ
東の風 波あり 水温25度
理想的な海日和というわけにはいかないけれど、さすがにもう、先週までのような「夏の日々」は巡っては来ないだろうから、ゼータクは言っていられない。
というか、この日はとある目的があって、それはもう曇っていようがどうしようが関係なく、おまけに迫るタイムリミットは今日までだから、四の五の言っていられない。
その甲斐あって無事に目的を果たし、その日の晩餐は……
エビちゃんのお刺身♪
いやあ、久しぶりにいただく伊勢海老のお刺身、やはり魚では味わえない独特の甘さがありますなぁ。
ただただ不味ければ誰にも相手にされずにシアワセに暮らせていたろうに、なんでこうも食べてくださいと言わんばかりに美味しいんだろう……。
そんな超絶美味クリーチャーをお歳暮代わりに、今シーズンもお世話になり倒した民宿大城さんにも…と考えていたのだけれど、ヤスシさんがオフシーズン恒例の本島暮らしに出向くのが今週金曜日からということだったので、今の時期にご賞味いただくならこの日がラストチャンスだったのである。
お歳暮の名に恥じぬそれなりのサイズを献上できたので、向こう1年くらいは「(出汁を取る用の)頭しかくれない」とゲストに対して冗談を言われることもないだろう。
話は変わる。
一昨年、98年以来の大規模白化の危機に見舞われたリーフ上のサンゴたちは、命を奪われたものも多かった一方で、無事生き延びたものたちはその後もスクスク育っている。
以下一連の写真は、今週初めにリーフの上で手当たり次第に撮ったもの。
曇天だったのでお日様の煌めきを入れられなかったのは残念だったけれど、このあたりのサンゴたちはシーズン中もずっと観てきたはずなのに、こんなに見事だったっけ?と驚いてしまった。
なんだかここにきて、成長にグンと加速度がついたように思えるのは気のせいだろうか。
ちなみに、海水浴を終えてお客さんが雑貨屋さんに来店され、展示してあるサンゴ礁の写真のポストカードをご覧になると、たいていお尋ねになるのが
「これも水納島ですか?」
海水浴場で目にした風景とはあまりにも違うからだろう。
残念ながらこういった景観は、リーフ上という環境があって初めて成り立つものなので、リーフまで足を延ばさなければご覧いただけません。
ところで、サンゴがこうしてスクスクと育っている一方、今シーズンずっと不思議に思っていたことがある。
オニヒトデがまったくと言っていいほど見当たらないのだ。
ひょっとすると昨年からその傾向があったのかもしれないけれど、少なくとも昨年までは、ターボちゃんゲットを目的にリーフを泳いでいると、場合によっては肝心のターボちゃんよりも多くのオニヒトデ(若いサイズが多い)を目にしたものだった。
ダイビングで潜るポイントでも、リーフ上やリーフ際ではチラホラとオニヒトデの食害を受けているサンゴがあって、真新しい食害の付近を探ると、でっぷり太ったオニヒトデがいる、というのが日常だったのに、今年は記憶にある限りではただの1匹もオニヒトデをターミネイテドしていない。
こんなにたくさんエサがあるのに、どこ行っちゃったの?オニヒトデ。
もっともオニヒトデの場合、これくらい見当たらないのが本来あるべき生息密度のはずで、束の間の健全状態になっているということかもしれない。
来たる大発生を前にした、嵐の前の静けさとか??
クロワッサン同様、サンゴたちだって「いつまでも あると思うな サンゴ礁」だから、今のうちに目に写真に焼き付けておかなければ。
2018年11月15日
いっちゃんそば。
2018年 11月14日(水) 晴れ時々雨パラパラ
北の風 波あり
ホントは昨日お出かけする予定だったのだけど、あいにく連絡船が欠航してしまったため、本日に延期して本島へ。
といっても、オタマサが受ける特定検診が主たる目的で、ワタシはといえばチョコチョコと銀行仕事をする程度しか用がない。
で、特定検診が早く終わったら、もしくはやたらと時間がかかりそうなら携帯に電話してもらうことにして、本部町内にある野毛病院でオタマサを降ろした。
一家に1台の携帯ながら、以前野毛病院内で公衆電話の存在を確認したことがあるし、さすがに病院から公衆電話が消えてなくなることはないだろう。
普段島にいる時は滅多に電源を入れる機会がない携帯も、島外に出ているときは出番が回ってくることもあるのだ。
銀行での用を済ませたあとも電話はないし、こりゃ思いのほか早く終わるのか。
となると、あまり遠いところには行っていられない。
仕方がないので、病院の駐車場で本でも読んでいることにした。
が、そのうちウトウトして居眠り。
復活して再び本を読み進めているうちに、気がつくと…
駐車場に停めてから約2時間経過。
気づかないうちに携帯に着信があったりして。
と慌てて見てみるも、携帯画面にはなんの動きもなし。
こんなに長くなるのなら、先に電話しておいてくれればいいものを。
…と思っていると、玄関からオタマサが出てきた。
いわく、
「公衆電話が無くなってた」
以前はたしかにあったNTTの公衆電話、受付窓口の方に尋ねたところ、
「無くなりました」
とキッパリ伝えられたという。
おじいもおばあもみんな携帯電話を使う今の世の中では、病院でさえ公衆電話が不要になってしまったのか……。
たまたま駐車場にいたから事無きを得たけれど、電話があるものと信じてワタシがどこかへ行っていたら、オタマサはいったいどこまで電話を求め歩くことになっていたのだろう?
誰もが携帯電話を持っていること前提の社会って、なんだかなぁ……。
さて、時刻はちょうどお昼時。
この日はいまだ入ったことがないお店に行こうとしていたところ、第一候補にはあっさりフラれてしまった。
定休日じゃないのに。
前回来てみた時も休んでいたから、ひょっとすると早くも経営が立ち行かなくなり、店を畳む寸前なのかも。
気を取り直して、こういうこともあろうかと用意していた次善の策にチェンジ。
たどり着いたのはこちら。
伊差川のいっちゃんそば。
伊差川地区会館という、箱モノ行政極まれり的な超巨大かつ立派な、公民館のスペシャル特大版建物(運動公園併設)のそばにあるお店だ。
田舎の場合、運動公園を併設するほどの施設となるとあまり人が訪れない場所にある=さほど有効利用されない、というのが基本だから、お店の立地的には隠れ家的存在。
でも制作体験もできるガラス工房を併設しているようで、もう少し引いて観るとこんな感じ。
お昼時にもかかわらず、そば屋店内よりもガラス工房のほうが客が多かった。
古民家を改装した店なのか、落ち着いた雰囲気の店内にて、芝生の庭に面したテーブル席に。
沖縄そばの基本メニュープラス店名を冠したいっちゃんそばというラインナップのなか、ワタシがチョイスしたのはこちら。
三枚肉そば(大)@700円。
望めば紅ショウガをセルフサービスでトッピングできるシステムなので、お店のご婦人も勧めてくれたのだけど、我々は紅ショウガを入れず出汁の味を楽しみます、と応えると
「お口に合いますかどうか…」
なんだか和風な慎み深さがステキ。
というわけで実食。
あ……美味しい!
本島北部によく見られるガッツリ肉食系ではなく、鰹の風味がそこはかとなく漂う落ち着いたお味は、酒にただれた五臓六腑で、コスモクリーナーDのような力を発揮してくれる。
それでいながら三枚肉はしっかり味付けられていて、煮込み具合もバッチリ。宮里そばと同じく2本添えられた昆布がまたうれしい。
おねーさん、完全に「お口に合いました」。
一方オタマサは…
軟骨ソーキそば(小)@600円。
トロトロに煮込まれた軟骨ソーキがドンと載っている。
ちなみに、大と小に随分サイズ差があるのだけど、他の多くの店と同じく、「並」もしくは「中」というメニューはない。
店内に流れるFMおきなわの名物番組ハッピーアイランドを聞きながら、美味しくいただきました。
伊差川方面は我々の生活圏内ながら、これまで国道58号近辺しか通ったことがなく、こちら側の道に入り込んだのは初めてのことだ。
58号沿道からちょっと入っただけで、こうまで喧噪と無縁になるのだなぁ。
伊差川方面でそばといえば、これまではモーレの中の伊差川食堂オンリーだったけれど、またひとつレパートリーを増やすことができたのだった。
2018年11月14日
絵に描いた港。
2018年 11月13日(火) 雨のち晴れのち曇り
北の風 けっこう波あり
朝のうちの短時間、侮れない風が吹くという予報が出ていた。
でもそのあとすぐに落ち着きそうな気配だ。
これだと連絡船は、朝イチの1往復を欠航してそれ以後の運航か、午前中を欠航して午後から運航ってところだろうか。
…と思っていたら。
まさかの全便欠航。
昨日の段階では予報的にもこの日は大丈夫だろうという海運の判断もあって島に宿泊していたお客さんたちは、帰ることができなくなる。
昨日と今日で船長が交代していたってこともあるのだけれど、いずれにしても以前までなら、海運の大丈夫という判断に基づいて島に滞在しているお客さんを見捨てる、なんてことはなかったんだけどなぁ…。
それもこれも、不自由な港のせいであることは今さらいうまでもない。
その港を新たに造り替える事業が動き出している、という話は以前触れた。
これまでに何度か協議の場がもたれたのだけど、なんだかほんとにやる気があるのか北部土木事務所、という話に終始しており、時化に強い新しい港がゲンジツのものになるとは到底思えなかった。
ところが。
これまでの経緯も踏まえつつ、8日に再び住民説明会が催された。
これまでは説明の対象は水納海運も含めた島民のみだったけど、今回は水納島で営業している日帰り業者大手も数社参加している。
そこまで人を呼ぶからには、話はかなり具体的になっているのだろうか。
なっていた。
今年度から担当課長だか部長に異動があったようで、その現在の担当者が妙にやる気に満ちており、考え方も従来とはまったく異なっているのだ。
北部土木事務所が今回もたらした計画において、ワタシが最大級に賛辞を贈りたいことといえば。
それは……
既存の構造物をすべて撤去!!
あの悪名高い潜堤も、釣り人以外になんの役目も果たしていない突堤も、そして桟橋の波除けという役目は果たしつつも、景観を大きく損ない続けてきた防波堤も、何から何まですべて!!
というのも、港の改修と併せ、ビーチの砂の移動の原因を究明する調査も行われており、その結論として、これらの構造物が最たる原因であることが、科学的に証明されたという。
あのぉ……それはみんな最初からわかってたんですけど。
いやいや、それを科学的に詳らかにしたということが大きいのだ。
しかも、役所が自分たちの手で拵えた構造物を、自分たちの手で撤去するなんて、ちょっと前の土木行政では考えられない話である。
償却期間という縛りが解けたからかもしれないけれど、考えようによっては税金の無駄遣いを自ら認めるその英断に、まずは拍手を送りたい。
で、それらも踏まえた完成予想図がこちら。
これは現状をドローンで撮影したものに計画図を添えてあるので、砂の堆積は現状のままになってます。
で、待合所から眺めた様子は…
防波堤で一部遮られていた伊江島が、ちゃんと全貌見えますよ、ということらしい。
景観重視、砂の異常堆積をなるべく防止、そして最も肝心な、連絡船の離岸接岸がしやすい港湾の広さ、北風にも強い防風防波構造。
それに、船着き場の浮桟橋には待合所から行けるようになるらしい。
防風防波能力を高めるため、現行の桟橋に比べて140センチほど高くなるらしく、そうなるとせっかく船を停めるスペースが長大のように見えて、現実的には浮桟橋以外ほとんどボートを停めるところがない、という弱点もあるから、その点についてはシーズン中一度に15隻くらい停まることもある現状を訴え、ボートを停泊する場所も考慮していただくようお願いしておいた。
これが実現した暁には、今日のような欠航はまずありえなくなるだろう。
ところで、実際のところ最速でいつ完成するんですか?
「工事が始まるのは再来年で、最速で3年かかります」
日本政府が行う辺野古の新米軍基地建設のようになりふり構わずやれば、きっと1年くらいでできるんだろうけど、そうもいかない港の工事。
ということは、ゲンジツ的には早くて5年、下手をすると10年ということか…。
引退してるじゃん、オレ。
というか、もっと肝心なことを伺わなくては。
あのぉ、この事業計画には、本当に予算が出るんですか?
課長もしくは部長が即答してくれた。
「がんばります!」
えー?まだその段階??
ま、課長もしくは部長がいうことには、諸状況に鑑み、見込みとして大丈夫であろうという手応えを持ってはいるらしい。
はたして、連絡船が欠航しない港ができる日は来るのか。
というか、早くて3年、フツーで5年、下手すりゃ10年の工事期間、連絡船にしろ我々のボートにしろ、船を停める場所をちゃんとキープしてくれるんだろうか……。
まぁ、本格的工事は予定通りいっても再来年からだから、そんな先のことを考えるのはやめておこう。
とにかく、これが絵に描いた餅にならないよう、頑張っていただくしかない。
ちなみに、ここだけの話、個人的にはそんな大層な工事をしなくていいから、入域客数に制限を設けつつ、連絡船を今よりも2周りほど小さくして現行の港でも小回りが利くようにし、なおかつ5年に1度くらい桟橋脇に異常堆積する砂を元に戻す、という方向でいってくれたほうがうれしいのだけど、右肩上がり信仰の世の中では、そんな後ろ向きな考えに賛同する人はなかなか見当たらないのであった。
2018年11月13日
ツバメウオ de Croissant。
2018年 11月12日(月) 雲多けれどおおむね晴れ
南の風 ベタ凪ぎ 水温25度
本日もまた、10月のことを思えば嫌がらせにさえ思えるほどのベタ凪ぎの海。
途中ターボちゃん確保の日もあったとはいえ、これで6日連続で海に繰り出すことになる。
6日連続で海に行けた日が10月にありましたっけ?
というわけで潜りに行く準備をすべく、係留してあるボートを桟橋に横付けしようとしていたとき、桟橋脇の水面下にいる、とある魚をオタマサが発見した。
ボートを横付けした後、カメラを携えて会いに行ってみると……
いた。
ミカヅキツバメウオ!<大山のぶ代版ドラえもんの声で。
ナンヨウツバメウオの幼魚なら、シーズン中に桟橋脇にチラホラ出現することはあるけれど、ミカヅキツバメウオとなると、水納島ではレアな魚だ。
かつて一度ビーチに居ついてくれたことがあったのは、フィルムで撮っていた頃のこと。
デジイチを使うようになったのは2007年からだから、かなり久しぶりの登場だ。
今回登場してくれた子は、背ビレ上端から尻ビレ下端までおよそ10センチほどの、若魚になりつつあるチビターレだ。
尻ビレの傷み加減からするとあまり居心地よい暮らしを送っているわけではなさそうながら、もっと小さい頃からビーチ内にいたのかもしれない。
そうそう出会えない魚なので、ここぞとばかりにパシャパシャ撮っていると、拠り所を求める彼は、やがてうちのボートにたどり着いた。
係留ロープなどを拠り所にしたがるミカヅキツバメウオの若魚にとって、このラダー(ケンミンとーまさん、ようやく修理が終わりました)は格好の寄る辺となりえたろうけれど、すまぬすまぬミカヅキツバメウオ、我々はこれから出発だ。
シーズン中とは違ってジェットスキーがバンバン行き交うこともないこの季節だから、幼い間は浅い所を好む彼は、このあともビーチ内にしばらく居続けてくれるだろうか?
Posted by クロワッサン at
05:36
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2018年11月12日
たまの御馳走。
2018年 11月11日(日) 晴れ
東の風 波あり 水温25度
今日11月11日は、グリコ・ポッキーの日。
…のはずだったんだけど、いつの間にか世間ではチンアナゴの日でもあるらしい。
一般的には「ガーデンイール」と呼んだほうが伝わりやすかったのも今は昔、近年は各水族館での展示例が増え、テレビでもちょくちょく登場するようになって、「チンアナゴ」という和名をご存知の方が、昔に比べればものすごく増えている。
その一方で、ガーデンイールといっても伝わらなくなってしまっているけど……。
で、昨年だったかのそのチンアナゴの日に、これまで誰も知らなかったガーデンイールを発見し、新種記載をするに及んだのが、ときおり当サイトにバイオロジカルアカデミズムの光を灯してくれるドクター・ワカである、ということはかつて触れた。
で、現在九大に所属する身で奄美大島で暮らしている彼のもとに、NHKの取材で今奄美大島にご滞在中の大御所写真家大方洋二さんが訪れたらしい。
新種のニゲミズチンアナゴを是非見せて、というわけだ。
その一連の顛末は大方さんのブログからどうぞ。
さて、チンアナゴの日の我々は。
海神様からプレゼントをいただいちゃいました♪
ガラサーミーバイことイシガキダイ。
もちろんその夜は……
カルパッチョ♪
…アカデミズムのかけらもなくてすみません。
でもまぁ、脳味噌を焦がし続けた一週間のご褒美ってことで。
そういえば、このお魚を捌いていたオタマサが予想外の発見をしていた。
なんと胃袋に大量に入っていたのは、ナガウニの棘のオンパレード。
なんでも噛み砕けそうなその口で、イシガキダイは棘もものともせずナガウニを食べ倒しているらしい。
餌にしているモノといえば。
前日訪れてみた砂地の根は、もう11月だというのにまだスカテンが頑張っている。
そしてそこには、シーズン中から尋常ではない数のハナミノカサゴが常駐している。
早朝や夕刻だとあたりを睥睨するかのように優雅に舞いながら小魚を追い求めるハナミノたちも、日中はこのように目立つように振る舞うのは稀で、たいていの場合、体の色を地味にしつつ岩肌でジッと身を伏せ、待ち伏せしている。
その数、ザっと数えただけで8匹ほど。
もっと陰にいるものは見えていなかったかもだから、ひょっとするとこのさほど大きくもない根に、10匹以上のハナミノが常駐しているかもしれない。
そりゃスカテンもたまったものではないだろうなぁ…。
…と思っていたのだけれど。
写真のハナミノちゃんは、実はとある行動を起こした後のこと。
その行動とは。
それまで地味な色のままジッと身を伏せていたこのハナミノ、やおら体を普通色に変え、スルスルスルと前方に進み始めた。
一点を見つめてハナミノが進む先にはイソギンチャクに住むクマノミが。
クマノミを食っちゃうのか??
…と思ったら。
クマノミの手前の岩肌に鋭い視線を浴びせたかと思ったのも束の間、シュンッ!!と音が鳴ったかのような錯覚を覚えるほどの一瞬の早業で、ハナミノは何かをゲットしていた。
え?なになに、何を捕らえたの??
たちまち口の中に吸い込まれながらも、まだ一部が口から覗いている。
あ、カニだ!!
この脚の模様からすると、どうやらミナミトゲアシガニのようだ。
カサゴ・オコゼ類が甲殻類を食べることは知ってはいたけれど、餌となるであろうスカテンがこんなにたくさん群れているところで、なにもわざわざカニなど追わなくても……
いや。
ケヅメリクガメのガメラ君だって、いくら栄養たっぷりだからといっても毎日クワの葉ばっかりだと、
「またクワか…」
という顔をするくらいだから、どれほどスカテンが群れていようと、スカテンオンリーの毎日は楽しくないのだろう。
それに、リーフ際で見かけることが多いこのカニが、水深20メートルを越す深いところにいるってのはなにげに珍しく(珍しいですよね?)、ひょっとするとこのハナミノにとっては、我々にとってのガラサーミーバイ同様
「おっ?」
と目を輝かす御馳走だったのかもしれない。
あっという間に飲み下したハナミノ君、食後はとっても満足そうな様子なのだった。
2018年11月11日
豆腐脳奮戦記。
2018年 11月10日(土) 晴れのち曇り
北東の風 波あり 水温25度
前日午後からやや波が出てきた名残りがまだ残ってはいたものの、それでもフツーに海日和な1日だった。
この一週間のなんと平穏なことか…。
同業他社もきっと同じ気持ちだろう。先月最後の一週間とトレードしたい……。
さてさて、オフシーズンになって早くも10日が過ぎた。
その間テキトーに潜りに行きつつ、オタマサは畑仕事ととんぼ玉増産体制に精を出す一方、ワタシはいったい何をしていたかというと……
頭から白い煙を出し続けていたのだった。
先月突如パソコンが壊れてしまったのは既報のとおり。
ハードディスクは生きていたし、オタマサ用のパソコンには緊急用にほぼ同様のソフトを入れてあるから、拙日記の更新をはじめ、通常の業務(?)に支障はほとんど出ていなかったものの、壊れてしまったパソコンの代替品を購入しなければならない。
今の世の中でパソコンを買おうと思ったら、もはや店頭で買うよりもネットで購入するほうが、品揃えも価格も格段によろしくなっている。
もともと直販のみで販売していたメーカーを真似るように、日本の大手メーカーも直販に随分力を入れている。
ただ直販の弱点は、納品までに随分時間がかかること。
メーカーや機種によっては受注生産のものもあるし、カスタムオーダーにしたらそれに合わせるための時間もかかる。
とはいえデスクトップパソコンとなると、県内家電量販店頭でのラインナップはたいてい一体型のものしかないし、数も種類も限られているから、この際「これ」というものをメーカー直販で購入することにした。
が。
売れている製品らしく、納品まで1ヵ月もかかってしまう。
その間ずっとオタマサパソコン代用では何かと不便だし、もともと巨匠コスゲさんのスライドショーに対応できるようなノートパソコンを購入しようと目論んでもいたので、先月末からノートパソコンのあれこれについていろいろとリサーチしていた。
といってもこれまたメーカー直販にすると即戦力にならないから、種類も数も限られている店頭にて、必要最低限のハードルを設けて購入することにした。
というわけで、先だっての那覇行の日中の最大の使命は、ノートパソコンの購入だったのだ。
ネット上では各メーカーとも2018年秋モデルがズラリとラインナップされており、はやくもレビュー記事が星の数ほど出ているのに対し、残念ながら県内家電量販店の店頭では、新型を導入する前に、まだ売れ残っている2017年モデルの在庫一掃セールに力を入れているので、この秋登場の型などまだどこにも見当たらない。
そんななかにあって、intel core i5以上、メモリは8GB以上、SSD搭載かつHDDは1TB、そしてOffice搭載というハードルを乗り越えたモノをひとつ見つけた。
在庫一掃セールの場合、「展示商品限り」ということもあるのだけれど、白羽の矢を立てたものはまだ在庫があるとのことだったので、即座に購入決定。
ホントはそれよりも一回り大きな型のほうが、機能はほぼ同じでも液晶パネルがIPSでとても見やすいらしく、ワタシの用途的には写真映りがいいもののほうがベストだったのだけど、店頭で購入するに際し完全無欠のベストはなかなか難しい。
ここまでは順調だったのだが……。
家に戻って段ボールを開けてから、白い煙の時代になってしまった。
これまで頑なにWindows 7できたものにとって、Windows 10なんていったら、それまでずっと畳部屋しかない古民家に住んでいた人が突如洋室オンリーのバリアフリーマンションに越してきたようなもので、落ち着かないことこのうえない。
落ち着かないだけならまだしも、なんだかよくわかんない。
それまで一度として付き合いがなかったマイクロソフトのアカウントというのも面倒くさいし、何をするにもいちいちアカウントだ暗証番号だパスワードだpin番号だ、とわけがわからぬ。
それはモノを知らぬワタシのせいであるのはもちろんながら、人がモノを知らぬことにかこつけてるところもあるんじゃないの?販売店&メーカー。
というのも、プリインストールされているOfficeを認証させるべく、紙切れ1枚に印刷されたプロダクトキーを入力するなど、ごくごくフツーに手順どおりに進めていたところ、手順上まったく落ち度はないにもかかわらず、Officeソフトが認証してくれないのだ。
これはいったいいかなることか。
いろいろ試していると、あろうことか認証設定期限は今月11日までなんてメッセージが出てくる始末。
なんで昨日買ったばかりなのに期限はあと1週間も無いんだよ。
ん?ひょっとして、2017年秋モデルだから、期限1年設定??
ちなみに量販店では、こういった初期設定を代行するサービスもしているのだけど、モロモロを合わせれば1万円を超える価格になっている。
そんなものに1万円も払えない…と思ったけど、これだったら払っていればよかったかも。
とにかくネットは繋がるようにしたので…
あ。
今年4月の衝撃的落雷で臨終してしまった室内ルーター、その後すぐさま新しいものを購入したまではよかったのだけど、ルーターにIPアドレスを設定するところで躓き、シーズンオフまでジッと我慢の子状態だったのだ(何かを間違えてメールのやり取りができなくなったら困るから)。
オフシーズンになったと同時にそのセッティングに再挑戦したところ、冴えわたる我が豆腐脳はたちどころに問題を解決、以後室内…というか敷地内でwi-fi利用OKに復活している。
なので新規導入ノートちゃんも無線LANで使用可能なので、さっそくこのOffice問題を調べてみたところ、けっこう頻繁に同じようなトラブルが起こっているらしいことがわかった。
それも、量販店などで客のための設定をしている人によると、このごろ頻繁に起こっているそうで、設定中にけっこう慌てることもあったという。
そういう方が紹介してくれている対処法で試行錯誤してみる。
その間もちろん、我が豆腐脳からは白い煙が狼煙のように吹き出ている。
結局、作業的には再インストールする形になったのかなんなのか、気が付いたらいつの間にかOfficeは認証されていたのであった。
1年間有効なOffice365なんて必要ないからスルー…したはずだったのに、なぜだか有効になっているのも不思議ながら、とにかく11日が期限という切羽詰まった状態からは脱出。
するとその後、Microsoftアカウントがあーだこーだというエラーメッセージがでてきたのだけど、いったい何がどうなったのか、トラブルシューティングで勝手に解決。
あとはFTPソフトを入れれば、サイトの更新も可能になる。
これまでずっと使っていたFTPソフトをインストールし、2つのサーバーへの接続設定終了。
ひとつのサーバーはこれまでどおりフツーに使うことができた。
ところがもう一方は、接続はしているのにその後の動作を始めてくれない。
今までフツーに使えていたのになんで??
何をどうしても改善の気配なし。
これはもう、サーバーとこのパソコンのセキュリティ対応の問題なのだろうか。
このままじゃ拉致があかないので、さっそく他のFTPソフトをインストールし、接続してみたところ……
問題解決!!
おお、これでとりあえずフツーに使用できるようになった……
いや、まだメールの設定が待っていた。
このメールの設定に比べれば、Officeの認証手続きやFTPソフトの設定など屁でもないほどに四苦八苦する羽目になる。
これまでだったら、Outlookを起動すると各種設定画面に移るのになんの苦労もなかったのに、今回同じようにやろうとすると、いきなりメールアドレスの入力を求めてくる。
そしてアドレスを入力したあとは、接続ボタンを押すだけ。
え?まさかアドレスを入力するだけで各種設定が済んじゃうの?
…そんなはずはなかった。
当たり前のことながら、「接続できません」という画面にしかならない。
いや、それは最初からわかってるから、設定する画面を出させてくれよ。
あれほど苦労して認証させたOfficeソフトのくせに、あまりにもつれないその素振り。
これまたネット上にあふれている同種のトラブル解決法をいろいろ拝見したところ、この各種設定をする画面を出すためには、コントロールパネルからたどり着かねばならないことが何日か経ってようやく判明。
ではコントロールパネルは……と。
あれ?コントロールパネルが無い?
スタートボタンを右クリックして出てくるメニューの、本来であれば「コントロールパネル」があるべき位置には、「設定」という文字があるのみ。
ふーん、わけのわからない言葉の羅列のなかにあって、そこだけわかりやすい日本語になったの?
と思ってクリックしてみたら、「設定」はコントロールパネルとは似ても似つかぬ内容のものだった。
え?じゃあコントロールパネルっていったいどこに??
コントロールパネルの場所すら、ネット上で紹介されている情報に頼らねばならない始末である。
そのおかげでなんとかコントロールパネルにたどり着き、メール設定画面に出会うことができたおかげで、ようやくフツーにプロバイダと接続することができたのだった。
これだけで、実に4日間を費やしてしまった。
その間頭から吹き出ていた煙は、噴火間近の阿蘇山級だったのはいうまでもない。
いったいなんでこんなに面倒になっちゃったんだろう?
と思ったら。
プロバイダと契約しなければアドレスを取得できなかった時代は今は昔、今の世の中はウェブメールがとっても便利になっていて、ネット回線さえ繋がっていれば、アカウントを取得するだけでいくらでもウェブメールで済ませてしまえるようになっていたのだ。
いちいちOutlookのメール設定をする人のほうが少数派になっているやもしれず、むしろGoogleだのYahoo!だのといったウェブメールのアカウントを一括管理するソフトを利用する人のほうが多くなっているってことか。
とにかくそんなわけで、購入したものを「自分のもの」にするのが大変で大変で、今週は頭をほぼそれだけに費やしたようなもの。
OSが新しくなるたびに不便&面倒が増えていると思うのはワタシだけでしょうか。
おかげで我が豆腐脳内のCPUは、すでに焼け付いて機能不全に陥っているかもしれない…。
でもその甲斐あって、引っ越してきたばかりのバリアフリーマンションは、早くも「住めば都」になっている。
ちびっこ関東方面隊さんもコメント欄で書き込んでくださっていたけれど、SSD搭載マシンは、起動&シャットダウンだけでも信じられない速さでビックリする。
メールを一件緊急に送らなきゃという際、従来ならパソコンが立ち上がるまで随分待たされたものなのに、これはもう感覚的には「玄関開けたら2分でご飯」級の画期的速さだ。
今月末に届く予定のデスクトップには、このSSDが搭載されていない。
ひょっとすると、主機はこっちになるかもしれない??
あのぉ、このノートちゃんは自分のお小遣いで買ったんですけど…。
2018年11月10日
BOUCHER2018。
2018年 11月9日(金) 晴れ午後から曇り
南西のち北東の風 おだやかのち波あり 水温25度
今日も午前中はべた凪ぎ快晴。
なにしろ水面下からボートを見上げると、船側の文字が普通に読めてしまえるほどだもの。
この日は10時30分の便で島を出て、ちょいと銀行仕事をしにいく予定にしていたので、いつもよりも少し早めに海へと繰り出した。
あ、誤解のないように言っておくけど、銀行仕事といってもなにも佃製作所@架空の存在です のように資金繰りに追われて…というわけじゃなく、水納班の仕事ですからね。
で、この時期の8時過ぎといえば、まだお日様も登り始めたばかりで、海中で眺めてみればほぼ斜陽。
となると、夕方と同じく、水面がキラキラと黄金色に輝く。
太陽がやる気を出しまくってなにやらアツいものがギラギラしている日中とは違い、斜陽が醸し出す世界は実に趣き深くなる。
やはり齢50を超えたら、黄昏モードが心に染みる。
そんな雰囲気を撮りたいなぁと思いつつ。
なかなか見た目のようには撮れないんだわ、これが。
そもそも黄金色に見えている太陽のキラキラが黄金色にならないのだからどうしようもない。
なので皆様におかれては脳内でそれっぽく変換していただくことにして……
こうしてみると、ヤマブキベラすらスターに見える…。
もう一発スター・ヤマブキベラ。
太陽が高く上る時間帯になると、このように撮ってもここに太陽が無いのですね。
静止画像じゃわからないけど、水面はキラキラ輝くし、太陽光線はきらめくし、サンゴに当たるお日様の光は淡くゆらめくから、肉眼よりも画角が圧倒的に広いフィッシュアイレンズのファインダーを覗いているだけでも、なんだかとってもシアワセな気分になる。
なのでずっと同じ姿勢でジッとしていると、サンゴの上を行き交う魚たちが入れ替わり立ち代わりする。
オヤビッチャやロクセンスズメダイたちが通りかかったり、グルクンが遠めに行き過ぎて行ったり、ヤリカタギが餌を啄んだり。
ひとつのサンゴのそばに佇んでいると、なんだかNHKの72時間ドキュメント番組みたい。
清々しい朝ダイブ、R-50にオススメです。
さて、昨日の続き。
新小屋をあとにした我々は、2年越しの念願がかなうよう、祈るような気持ちでこちらを訪れた。
そう、民謡スナック梅。
……じゃないです。
その下の小さな看板がお目当ての店……って、白飛びして見えないけど。
その名もBOUCHER(ブーシェ)。
随分前になちゅらる院長に連れて行ってもらって以来、その後何度か足を運んでモツフレンチを堪能していた我々も、ここ数年はすっかりご無沙汰状態になっていた。
一方、当店ゲストの中にはここをいたく気に入り、来沖のたびに立ち寄っている方がいらっしゃるので、シーズン中に話をお聞きするたびに、行きたい行きたいと身悶えしている我々である。
そんな我々に安里に出向くチャンスが訪れたのが、昨年の打ち上げのこと。
何軒か巡りつつ、最終的に目指すはブーシェ、と決めて栄町に乗り込んだまではよかったのだけど……
臨時休業??
定休日ではないことだけは確かめていたのに、まさかの…というか個人的にはいつもの…臨時休業(とも店先に明記されてはいなかったけど)。
なので今回は、1年越しのリベンジなのである。
午後7時オープンのお店なので、間違いなく開店しているはずと勢い込んで入店してみると……
……ラララ無人君、ラララ無人君。
店は開いているのに、客がいないどころか店主の姿すら見えない。
でもこの店内の状態は、絶対に「オープン」だよね??
と2人で勝手に納得しつつカウンターに佇んでいると、
「姿を見て、しまった!と思いました…」
と、マスターが慌てて戻ってきてくれた。
昨年末だったか今年初めだったかに、このお店が入っている建物内の斜向かいに、姉妹店「和飲食堂」をオープンされ、今この時間たまたまそちらで話が弾んでいたようだ。
なにはともあれ、まずは念願成就。
ビールタイムは済ませたことだし、最初からワインに突入だ。
するとお通しは……
蝦夷鹿のたたき。
お通しからもう、BOUCHERという名にしおう逸品の登場である。
その他、心の命ずるままに……
オリーブの盛り合わせ。
牛ハラミの炙りユッケ。
鶏白レバーのムース。
アンデュイネットという名の、豚の内臓を直腸に詰めたソーセージ。
これ、ソーセージ自体の美味さもさることながら、皿に盛られている小さな豆粒の食感がとっても楽しく、かつ美味しい。
マスター、この粒々はいったいなんですか?
「レンズ豆ですね」
レンズ豆といえば、シャーロック・ホームズやポワロが食事をする際によく出てくる豆ではなかったか。
読んでいてもどういうものかわからないから、ただ豆としてスルーしていたけれど、そうか、こういうものだったのか、レンズ豆。
フツーに手に入るものなんですか?
「こんな感じでフツーに売られてますよ」
とマスターが出してくださったのは(他に客がもう一組程度だったので、のんびり話す時間がある)……
こんな箱だった。
箱の裏を見てみると、原産国はフランスで、大阪の食品会社が輸入しているものらしい。
中を見てもいいというお言葉に甘えて…
わぁ~お、ツブツブ!!
聞けば、目が飛び出るお値段ではなさそう。
でもフツーに売っているとはいっても、おもろまちのりうぼうで…と言われてしまえば普段使いは難しいか。
あ、AMAZON!!
今度ポチッとしてみようっと。
さて続いては…
リードヴォーのソテー。
リードヴォー(リドボーともいう)ってなんね?
それは仔牛の胸腺肉。
最後にガツンと来るようなものを食べたかった胃袋にはややライトな食感だったから、もっと初めのほうでいただいておけばよかった。
この一連の流れの中で、圧倒的に感動的だったのがこちら。
タマネギのムース 雲丹イクラ添え。
そりゃウニとイクラが合わされば、ブロディ&ハンセン級の史上最強タッグになるのは当たり前。
でも特筆すべきなのは最強タッグではなく、タマネギのムース。
これがもう、超絶級に絶品で、今でも写真と記憶だけでスパークリングワイン1本くらい飲めちゃいそうなほどに美味しかった。
たとえていうなら、ブロディ&ハンセンを掌の上で遊ばせるジャイアント馬場、それがタマネギのムースなのである。<わかんないって。
そしてもちろん、シメはこちら。
その名も「ワインに合うカレーライス」。
ここまでたどり着いて初めて、個人的フルコース完遂。
いやぁ、美味かった美味かった。
そうそう、平日、それも月曜日ということもあって空いていたから、マスターといろいろお話しすることもできたんだけど、カウンターの奥の置物系に目が行くたびになにかと気になるものがいろいろあることに気が付いた。
フツーのメイカーズマークのボトルかなと思ったら、実はマスターの名前がプリントされたラベルが貼られたボトルだったり、見たことがないスコッチのボトルだなぁと思ったら、なんと琉球政府時代に県内に出回っていたものだったり(裏にTAX PAIDの札あり)。
そのなかでも特筆すべきはこちらのボトル。
ん?
なんでホワイトホースが特筆すべきものなの?
驚くなかれ、このボトルはなんと↓この時代のもの。
日本でウイスキーに「特級」など酒税法にまつわる級別制度があったのは、1989年までのこと。
すなわちこのボトルは、少なくとも30年近く前のものということになる。
かねやまんさんが寝かし続けていたかねやま15年に匹敵する、いや、年数的にはさらに上回る逸品かも。
マスターはこの店を始める前はおもろまちのバーでバーテンをなさっていたそうで、そのつながりでこちら方面の人脈も造詣も深く、なればこそのこういうボトルの存在なのだろう。
そんな貴重なホワイトホースを……
一口いただいちゃいました♪
いやあ、これは……
美味いッ!!
長い月日だけが昇華させうる、琥珀色の輝き。
マスター、ありがとうございます!!
空いててよかった……。
ところで。
先述のとおり、こちらのお店に足繁く通っておられるクロワッサンのゲストがいらっしゃる。
でも、名乗ってるわけじゃないだろうし、わかりやすいご職業とはいえそこまで話されてないかもしれない。
なのでダメ元でうかがってみた。
マスター、お客さんで電車の運転士さんの方ってわかりますか?
「電車でGO!ですよね?」
さらけ出しまくりじゃないですか、電車でGO!!
ま、おかげで「共通の知人」になってもらえましたけど(笑)。
いやあ、食った食った。
腹一杯のほろ酔い加減は、世界が実に生き生きとして見える。
ではマスター、また近いうちに必ず。
……その前に必ずや電車でGO!のみなさんが来ることでしょう。