› 徒然海月日記~つれづれくらげにっき~ › 2019年04月
2019年04月30日
「600」の輪。
2019年 4月29日(月) 雨のち晴れたり雨降ったり
南の風 波あり 水温23度~24度
午前中は雨がちだったお天気は、午後になると晴れたり雨が降ったり、まるで熱帯地方の雨季のような目まぐるしい変わりようだった。
午前中の雨も、何度か短時間の土砂降りがあったものの、遅めの1本目の出発を迎える頃にちょうど止んでくれた。
さて、その1本目。
海中には怪しいヒトが。
腰のあたりのイエローループ、それは最新のダイビングギア??
違った。
これはなんと、このためのモノ。
H田ママさん600ダイブ記念!!
他のゲストのご協力を得て、見事(?)「600」完成。
ご本人の右脚も左脚同様膝を曲げてくれていれば、より申し分無かったというところか。
でも前回500本目の際には↓これでしたからね……(撮影:オタマサ)。
この5人による「500」に比べれば、よっぽど600に見える。
この時のご本人の「5」のあまりものイケてなさぶりを受け、「6」のために自ら考案された今回のフラフープ作戦なのだった。
土砂降りの雨の中桟橋をフラフープ片手に歩いていたら、あまりの天気の悪さに気がふれてしまったか…と思った方もいたかもしれないところ、幸い彼女がボートにやってくるときは青空&明るい日差し。
陸でも海でも、妙にフラフープが似合っていたH田ママさんである。
それにしても、3人でご来島になったわけじゃなし、自らが「6」をやれば、「0」をしてくれるヒトが他にお2人必ずいる、という大前提があるあたり、さすがB型……。
ともかくそんなわけで、この日のための本数調整までされて臨んだ彼女の600本目のダイビングは無事に終了。
エキジット間際には、海神様からの恒例のプレゼントも。
うーむ………フラフープの似合い方、タダモノではない。
2019年04月29日
神の見させる手。
2019年 4月28日(日) 曇りのち夜雨
東の風 波あり 水温23度~24度
天気予報は朝から雨が降り続けると告げていたけれど、分厚い雲はなんとか持ちこたえてくれて、結局午後遅くには日差しも出るほどの回復傾向になっていった。
やっぱりGW中の天気予報は、いつにもまして当たらない。
と思っていたら、夜になったらキッチリ雨。
天気予報、そこははずさなかった……。
夜はともかく、日中は東寄りの風は暖かく、曇ってはいてもエキジット後にまったく寒さを感じないほど。
寒さに震えるのが恒例のGWも今は昔、温暖化はGWのありようをすっかり変えてくれたらしい。
それはまた、ハイシーズンの台風のありようも劇的に変えてしまうことだろう……。
さて。
お天気は今ひとつながら、潜る分にはまずまずのコンディションのもと、砂地のポイントで潜っていた1本目のこと。
そろそろみなさんフリータイムという頃合いに、とあるゲストが奇怪なモノを見つけて佇まれていた。
これ。
何やらアヤシゲなこのクリーチャー、左側にチョンチョンと突き出た触角からもわかるとおり、ウミウシの仲間で、おそらくゼニガタフシエラガイであろうと思われる。
真っ黒すぎてなんの変哲も無さげに見えるかもしれないけれど、このウミウシの特徴は、とにかくそのデカさ。
INONの水中ライトと比べてもこのサイズ。
こんなにでかいのだから、いればいくらでも見つけられそうなもの。
ところが、あいにくこのウミウシは夜行性で、夜になれば深夜徘徊している姿を見かけることができても、日中は石の下などの暗いところに隠れ潜んでいる。
では彼はなぜこのとき、白日の下にさらされることとなったのか。
それはもちろん………
ゴッドハ~ンドッ!!
神の手が、見えざるものを見させてくれたのだった。
2019年04月28日
登頂開始。
2019年 4月27日(土) 曇りのち晴れ
北東の風 波あり 水温23度
この日がスノーケリングの予定じゃなくてよかった……と思わず胸を撫で下ろすくらいに、朝から波が立っていた。
ずっと吹き続けている北寄りの風のせいで気温も低くなり、おまけに朝から雲が多いお天気となれば、前日のような夏っぽさはあっさり消し飛んでしまった。
それでも海中は前日同様快適で、春のお祭り状態になっている魚たちがにぎやかに海の中を彩っていた。
午後には空はすっかり晴れ渡り、波も幾分おさまって、ますます快適度アップ。
GWのお馴染みのみなさんが続々ご来島される初日、今シーズンのガイド事始めの日としては、まずまずの1日と相成ったのだった。
そして夜は、今シーズン初のゆんたくタイム。
幸先よく初日に襲われてしまった8本足クリーチャーに加え、例によってみなさんご提供の数々の酒肴。
ついタガが外れそうになるところ、キチンと理性を働かせて大丈夫な側の崖っぷちにはまだ随分余裕を残してのお開きとなった。
ついに始まった前人未到の北壁ルート登頂、残された時間はあと8晩、
君は生き延びることができるか?
生き延びるといえば、このところハナダイ類のチビチビが各根に随分増えてきていて、やや水深があるところでは、チラリホラリとこの方の姿も見られるようになっている。
フタイロハナゴイ。
とある砂地の根で、まだ3センチほどのチビターレが、各種ハナダイのチビたちに2匹ほど混じっていた。
もう1匹のほうは……
尾ビレに損傷が。
何かに齧られちゃったのだろう。
早くもサバイバル生活の洗礼を受け、世の中のキビシサを思い知らされたであろうフタイロハナゴイ・チビターレに、10連休はない。
君は生き延びることができるか?
2019年04月27日
シゴトはじめ。
2019年 4月26日(金) 晴れ
北の風 おだやか 水温23度
24日にシーズン開幕!!
……はしても、ゲストの予約が入っていたわけではなかった当店にとっては、この日が事実上の開幕。
かつてダイビングのゲストとしてご来島いただいた方が、職場の生徒さんたちを連れてのスノーケリングのご予約だった。
この季節はお天気が不安定で、海況もなかなか夏のようにはいかない日が多いため、本来この時期の当店はスノーケリングを積極的には受け入れてはいないのだけど、かつて知ったる方でもあるし、いろいろと事情はおわかりだろうから承っていた次第。
しかし案の定、数日前からのこの日の予報は芳しくなく、北寄りの風が強めに吹いたらスノーケリングはつらそうだし、日帰りでのご来島だから、雨が降ったら陸上での休憩場所の確保も大変だ。
その他いろいろお天気や海況が気がかりではあった。
とはいえお天気が不安定な分、天気予報も相当不安定なのもこの季節の特徴。
とにかく当たらない。
なので、前日までの、当日が冴えないお天気になりそうなことを告げる予報を見ても一喜一憂することなく、妙に楽観的に迎えたこの日、はたしてお天気は……
グッドコンディション♪
少々風が吹いているからベストとは言わないまでも、心配された雨の気配は微塵もなく、朝から天気晴朗太陽燦燦。
小潮の満潮時ともなれば水もまた抜群で、ボートからドボンと飛び込んだリーフエッジの世界は、真夏もかくやと思うほどのトロビカルワールドだった。
ああこの海、この天気。
翌日から続々ご登場のダイビングのゲストのみなさんに見せてあげたい……。
ほぼ県内ご出身の方で、スノーケリングは初めてという方がほとんどだったから、1時間も海にいるのはつらいと感じる人が多いかな…と心配していたところ、みなさん途中一度もボートに上がることなく、ずっと楽しんでおられた。
初めてのスノーケリングで上々の海をご覧いただけることができてよかったよかった。
さあて、この先10日間のお天気はどうなりますことやら??
2019年04月26日
シアワセの「かつお有ります」。
2019年 4月25日(木) 晴れ夜遅くから雷雨
南西の風 おだやかのち波あり
狂気の10連休接近にともない、世間ではやれ銀行のATMがどうの、受診可能な病院がどうのと騒いでいる。
しかし暦上の連休がどうであれ、我々のような仕事に従事している者にとっては、そもそも毎年GWといえば、銀行にも病院にも行っている時間などないまま10日間ほどを過ごすことになる。
そのため食料の買い出しも10日分ほどまとめてGW前にやっておくのも毎年恒例のことで、この日は買い出しデーと決めていた。
というわけで、名護まで足を延ばし、お買い物。
そしてこの先10日間は断たれること確定のそばも食べ納めておいた。
我々の名護の定番、宮里そば。
どこのお店と書かずとも、このギンガムチェックのテーブルクロスですぐそれとわかるから、この模様を見ただけで鰹出汁の香りが脳内に充満する方もいらっしゃることだろう。
実際、店内に入った途端に室内にあふれている鰹出汁の香りのステキなことと言ったら…。
あ……ヨダレが。
鰹出汁もさることながら、宮里そばの有難いところは、朝10時から開店してくれるところ。
この日のように13時の便で島に戻る予定の場合、最後は本部のサンエーで買い物をするわけだから、のんびり12時頃に名護で食事をしているわけにはいかない。
かといってそば屋も食堂も11時もしくは11時30分開店というところが多いから、せっかく10時30分頃に時間が空いていても入店できない。
そういう時、朝昼兼用的にそばを食べさせてくれる10時オープンは大変ありがたい(水曜定休だから、くれぐれもご注意を)。
さて、そばが10日間ご無沙汰確定なら、鰹の刺身断ち10日間でもある。
なので今宵は鰹の刺身をいただくことにし、我が家御用達の上間鮮魚店に行くと……
渡久地港には鰹のぼりが風にはためいていた。
これを見ると、ゴールデンウィークなのだなぁ…と覚悟を決めることになる。
ところで、鰹の街本部といっても、鰹漁船1隻とてなくなってしまった今では、鰹はけっして安定供給されているわけではない。
そのため鮮魚店でも鰹の有無はマチマチで、主だった店では鰹がある場合は、店の前に看板を出して知らせてくれる。
ここ上間鮮魚店も同様で(看板が出てなくても有ることもあったけど)、鰹を食べたいと思っている我々にとってその看板の有無は、時化の具合が微妙な時に連絡船が運航するかどうかハラハラしているゲストのみなさんと同じ。
この日、鰹ははたして……?
あった♪
ちなみに、なぜ近頃「エビフライ」も鰹同様に看板が出るようになったのかは不明。
ヤデウデシヤとばかりに1000円分のお刺身を買った後、車を出そうとすると、店内から店の方が出てきて、「かつお有ります」の看板を片付けていた。
おお、この日最後のサクだったのか!!
ギリギリセーフ。
おかげでGW前の食べ納め、念願かなって鰹尽くしのディナーとなったのだった。
これにてGWの準備は整った。
2019年04月25日
千酒万来。
2019年 4月24日(水) 雷のち雨のち日差し
南の風 おだやか
朝から雷がゴロゴロ。
それでもなんとか持ちこたえていた雲だったけど、昼頃にはついに堪えきれず雨に。
幸い本降りだったのは束の間ですぐに小止みにはなったものの、結局日の高い時間帯はずっと冴えないお天気で、午後遅くにようやく薄日が差してきた……
…というお天気で迎えた、クロワッサンの今シーズン開幕の日。
もっとも、開幕とはいっても幸か不幸かご予約をいただいていたわけじゃなし、天気にうしろめたさを感じずに済んだのだった。
開幕してもゲストはいない当店ながら、迫るGWにロックオンされておられるみなさんから、続々とご滞在中の嗜好品が届いている。
ワインがドドンと2箱も、そして日本酒の一升瓶も箱詰めで、その他酒肴が、いったいこの方々は何を目的にご来島されるんだろう?と首をかしげたくなること必定なほど届いている。
おかげで突如本番を迎えた酒用冷蔵庫は早くも満杯となり、シーズン開幕の声を高々とあげている。
ホントは冷蔵庫じゃなくて船上が満杯にならなきゃいけないんですけど……。
そんなGW用の酒シリーズ、真っ先に到着したのは3月上旬のこと。
それもなんと、幻の泡盛と言われる「泡波」の升升半升ボトル!
ご存知のとおり益々繁盛とかけた升升半升は、すなわち2升半。
フツーは開店祝いやお店の何周年かを祝うためのデコレーション用に近い商品だ。
しかもそれが泡波ときたら、ボトルだけでもレアものなんじゃなかろうか。
それがドンと届いてしまった日には度肝を抜かれたけれど、蒸留酒だから保管場所に困ることもなく、今や遅しと出番を待っている。
問題は。
当の送り主が類稀な嵐を呼ぶご夫妻であること。
昨年など、時期を変え季節をずらし、都合3度ご予約をいただいたにもかかわらず、3度とも天候のせいで実現しなかった屈強パワーの持ち主である。
はたして今回はご来島がかなうだろうか……。
この升升半升が、ご本人たちの禊に力を発揮してくれていますように……。
さて、そのようにゲストはおらずとも酒のスタンバイは整い始めている当店に、この日もその方面の物品が届いた。
でもこの日にそういったナマモノ系が届く予定という連絡は、GWにお越しになるゲストからは頂戴していない。
はてさて、いったい誰から??
贈り主は、なんとかねやまんさんだった。
GWにお越しになる予定どころか、「今シーズンはとりあえずパスってことで……「」と年賀状に認めておられた彼が、いったいぜんたいなにゆえこんなにたくさんのお酒を???
日本酒、米焼酎、そしてライスグラッパ、すべてこれ土佐の酒。
これはつまり、GW中にみんなで飲めってことですよね?
添えられていた(群馬の)達磨さん型のハガキには、今シーズン開幕を迎える当店へのエールが。
24日配達指定で届いたのは、そういう意味だったのだ。
さすがデュークかねやまんさん、当方は当分の間お役に立てそうもありませんのに、どうもありがとうございます!
おかげさまで千酒万来の当店。
ただしこの達磨さんの右目が黒く塗られる日が来ることはないでしょう……。
2019年04月24日
隠蔽体質。
2019年 4月23日(火) 曇り
南東の風 波あり 水温23度
午前中に所用あって本島に出なきゃならなかったため、本日も午後遅めのダイビング。
前日オタマサが見つけたハナツノハギの幼魚、はたして同じ場所にまだ居るだろうか。
訪れてみると……
いた。
前日同様、ヤギの枝間に紛れ込むように隠れ潜んでいた。
前日オタマサが撮った写真と色味が違って見えるのは、ヤギのポリプが完全に閉じた状態のためオレンジの反射がないためか、そもそもストロボが違うからかは不明。
ともかくポリプが開いていないから枝の隙間はその分広くなりはするものの、ハナツノハギ幼魚は枝にかぶるようにうまい具合に場所をとる。
そのため、このように全身を覗ける位置に来てくれるのを待つだけで時間がかかる。
流れが出始めてきたのでハナツノハギが同じ向きを向いているのは都合が良かったものの、ヤギの枝が揺れるほどの流れとなれば、特徴的な第1背ビレをピヨヨ~ンと伸ばすような雰囲気ではなくなってしまった。
せめて何にも隠れていないその全身だけでも……
こうして見比べてみると、ハナツノハギがヤギの枝間に隠れて「まだバレてないよね?」と思っているであろう時の模様と、バレたと悟ってその場を移動する際の模様には、若干の違いがあることがわかる。
「バレてないよね?」と思っている時は、ラインが滲んだようになっているのだ。
その効果がどれほどあるのか不明ではあるけれど、パッと見は少なくともこの方よりは目立っていなかった。
(おそらく)ニセアカホシカクレエビ。
「隠れ」エビよりも目立っていなかったのだから、ハナツノハギの体色変化もそれなりに意味があるに違いない。
カモフラージュといえば。
このところまた、ゴッグが出現し始めている。
景気よく2匹も居てくれるゴッグを、久しぶりにヤラセで撮ってみた。
カイカムリ(カニ)の仲間で、カイメンを背負って移動式住居にしている。
日中はたいていカイメンのフリをして岩肌にピトッ……と張り付いているから、こうでもしなければカニさんの本体を観ることはできない。
なにしろ普段はこういう具合だから。
どこかにカニがいるだなんて、とてもじゃないけどわからないでしょ(ゴッドハンドO野さんは一発ツモされますが……)。
しかしこの日運悪くワタシに見つかってしまったこのゴッグ君はというと、こんなところにいた。
バレバレじゃん……。
なので、いつもだったらヤラセ撮影後は元の場所に戻すところ、この場所に戻すとなんだかヤラセがイヤガラセになるような気がしたので、目立たないよう同じカイメン群のところに戻しておいた。
すると、そのすぐそばにもう1匹のゴッグが。
仲間同士の争いを避けて別の場所にいたのだとすると、ひょっとしてワタシ、余計なことをしてしまったかも??
< そもそもヤラセが「余計なこと」だと思いますが。
2019年04月23日
初 物。
2019年 4月22日(月) 晴れのち曇り
東の風 波あり 水温23度
本日はいつものように朝早めのダイビング。
曇天予報だったのに、朝から晴れ渡る空、青い海。
心浮かせてドボンとエントリー。
まずは海底付近でカメラを整え、燦燦と輝く太陽を眺めよう……
と思ったら。
ユラユラと漂うビニール袋がいきなり目に入ってしまった…。
ビニール袋は中層だし距離はあるし、わざわざ回収に行くのも難儀とは思いもしたけれど、行きがかり上見て見ぬフリもできないのでゴミとして回収することに。
漂うビニール袋にも、ちゃんと書いてある。
「できることから ひとつずつ」
まぁしかし、ビニール袋を海に捨ててしまうようなヤツには、申しつけてこなくても渡しちゃいかんですよね、レジ袋。
ところで。
ビニール袋は丸めればBCのポッケに軽く入るサイズだから、とっとと回収してしまおうとしたところ……
あれ?
ビニール袋の中に魚が??
よく見るとビニール袋はボロボロでそこかしこに穴が開いており、小魚が4匹ほど出たり入ったりしている。
袋の口からそっと覗いてみると……
アジ類の幼魚だろうか。
幼少期は漂う物体に身を寄せながら過ごす彼らのこと、程よい避難場所を提供してくれるビニール袋は、おあつらえ向きの隠れ家なのだろう。
そのビニール袋が抜群のディフューザーになってくれて、ストロボ光がなんとも柔らかな塩梅に…。
なかなか外に出ているところを撮るチャンスが無かったところ、一瞬のチャンスを逃さないのがオートフォーカスのいいところ。
光的には袋の中のほうが良かったものの、ヒレほぼ全開状態で撮れた。
だからといってワタシにはこの幼魚が何アジの子なのかはさっぱりわからないけど(アジですよね?)、わかるヒトにはわかるはず。
さてここでモンダイが。
子アジたちが完全に拠り所としているこのビニール袋、このまま拠り所として漂うままに任せるべきか、それともやはりゴミはゴミとして処分すべきか。
水深8メートルほどの中層でビニール袋とともに漂いながら、しばし哲学タイムに入った結果、ゴミとして処理することに決定。
でももちろん子アジごとゴミにするわけにはいかないから、魚たちには袋から出てもらわなければならない。
大小合わせて4匹、マックスでも3センチくらいの小魚が、いきなり拠り所を失ってしまえば……
その運命は火を見るよりも明らかなので、なるべくリーフから離れて他の魚たちが集まっていないところでリリース。
すると4匹の子アジたちは、そこからほど近い洋上に浮かぶうちのボートに、まっしぐらにダッシュしていった。
1時間後に船に戻った際には、ラダーにもスクリューのあたりにも、その姿はまったく見えず。
はたしてどうなってしまったのだろう、子アジたち。
もし何か起こってしまったとしても、その恨みはそもそもレジ袋を海に捨てたヤツに向けてね…。
ワタシが深い哲学的問題で苦悶していた間、オタマサはいつも立ち寄る砂地のヤギさんで、初遭遇となる魚に出会っていた。
この方(以下3点の写真、撮影オタマサ)。
ハナツノハギ!!
オトナになってもせいぜい15センチほどのカワハギの仲間で、オトナはもっぱら、一般的な健全ダイバーが普通は立ち入らない深い水深を暮らしの場にしている。
一方幼魚は何かに身を任せつつ漂う習性があるからか、流れ藻などについていたり、このようにオトナほど深くはない海底で何かに寄り添っていることがあるようだ。
分布域的にはこれまで観たことがあってもおかしくはなかったハナツノハギ、記憶にあるかぎりでは水納島初登場である。
ただしこの4センチほどのハナツノハギチビターレ、カワハギの幼魚がたいていそうであるように、彼もまた自分自身の体の特性をよく理解している。
このようにヤギに寄り添っているのも伊達ではなく、いざとなると……
ワタシはヤギ……
ワタシは枝……
…とばかり、自分が細く見える方向へ方向へと体の向きを変え続ける。
背ビレの最初の1本を、ソウシハギと同じように細く長いアンテナ状に立たせる様子を是非観たいところながら、これだとなかなかキビシイかも。
うーん、その姿を観てみたい。
再訪したら、まだ居てくれるだろうか??
ところで、こうして人生初のハナツノハギに会えた一方で、同じカワハギの仲間のノコギリハギのオトナは、依然としてまったく見当たらない。
擬態モデルと言われているシマキンチャクフグは必要以上にやたらと目につくというのに、ノコギリハギ、ホントにどうしちゃったんだろう……。
今やノコギリハギのオトナは、ハナツノハギの幼魚よりもレアなのかもしれない。
2019年04月22日
コブコブ。
2019年 4月21日(日) 曇り
東の風 波あり 水温23度
1日中分厚い雲がたれこめるどんよりしたお天気に。
そんな日和にもかかわらず雑貨屋さんにご来店くださったお客さんの中には、前日古宇利大橋を走るマジックアワー・ラン(最長ハーフ)に出走され、この日は塩屋湾一周トリムマラソン(最長16.7キロ)を走り終えてからご来島、という方々も。
2日続けて走って、なおかつ走り終えてから離島散策……。
そういえば、先だってのあやはし海中ロードレースでお会いしたアポガマ会のMさんも、マラソン終了後に1ダイブしてきたとか。
やはりいろんな方面に「変態社会」は存在するらしい。
どんよりしたお天気ではあったけれど、一応朝の予報では午後から雲が薄くなるようなことを告げていたので、この日は午後遅めに海に行くことにした。
予報ほど雲は減ってはおらず、海中は暗いことが予想されたので、白い砂でなんとか明るく見える砂地のポイントに。
すると先日のセジロクマノミが、また卵のケアをしていた。
ローテーション的に、前回に続く今年2度目の産卵だろう。
ここからほど近いハマクマノミ夫婦も、真っ赤な卵を守っていた。
クマノミたち、いよいよ卵ラッシュのシーズンを迎えている。
さて。
ハゼといえば、クマノミほど一般の方々に人気があるわけではないけれど、ダイバーにはわりと人気がある魚たちだ。
しかし、エビと一緒に暮らしているとか、色合いがとても美しいとか、その存在が限りなくレアであるといった人々の興味を引く要素をほとんど持たないハゼたちも多い。
特に砂底を這い回る系の地味なハゼたちは、個体数が多いこともあって、カメラを携えたダイバーに相手にされる率は非常に低い。
その不人気ハゼの代表のひとつが、カタボシオオモンハゼだ。
地味でしょ。
白い砂底にいるものは体色をよりいっそう白くするから、こうして光を当てて注目でもしないかぎり、まったく目立たない存在になる。
もっとも、白い砂地にいるものでも、婚姻色を発しているオスは、いささかなりとも色味はつく。
普段の目立たないぶりを知っていると、思わず「おッ!?」となる色合いだ。
もっとも、彼らがやる気を見せるのはもっと水温が高くなってからだから、今の季節はひたすら地味に地味になっている……
…はずなのだけど。
この日観たこの子は、やや様子が違っていた。
頬のあたりがちょっと変。
実はこれ、コブになっているのだ。
片側にだけヘンテコなコブがついている子は以前観たことがあったけれど、この子ときたら……
両サイド!!
ちなみに、フツーは↓こういうホッペです。
ヒマワリの種をたっぷり頬袋に貯めこんだシマリスのようになってしまっているカタボシオオモンハゼ、いったいこのコブは何??
背後から観ると↓こんな感じ。
張り切って鳴いているトノサマガエルのように見えなくもないけれど、魚の場合それはあり得ない。
うーむ……どう見ても寄生虫。
寄生虫だとしたら、他の魚にも着くのだろうか。
今のところカタボシオオモンハゼでしか観たことがないこのコブ、その正体ははたして??
というわけで、これまで地味地味でスルーされるだけの存在だったカタボシオオモンハゼが、にわかに脚光を浴びるのであった。
……一部変態社会限定だけど。
2019年04月21日
マタニティ・シュリンプ。
2019年 4月20日(土) 曇りのち雨
東の風 波あり 水温23度
ぐずついた天気になる予報が出ていたこの日、朝早いうちはなんとか持ちこたえていて、雲の向こうに太陽がボンヤリと見えるほどの状態をキープしてくれていた。
その時間帯に潜りに行き、戻ってきてからしばらくすると降り始めた雨は、本降りになるギリギリのところで踏みとどまりつつも、結局ダラダラと1日中降り続いたのだった。
さてさて海の中。
この冬は個人的にキイロハギで盛り上がっていたところ、とある砂地のポイントの根にキイロハギらしきハギが以前からいる、とオタマサがいう。
前日も観てきたらしく、写真を見せてもらったところ、おお、紛れもないキイロハギ、まだ若い個体だ。
というわけで前日と同じ場所に行き、ワタシもキイロハギの姿を拝見させてもらうことにした。
訪れてみると……
いた。
オタマサによれば、この冬の間ずっとこの場にいるそうで、当初はまだ幼かったこともあり、近づくと物陰に隠れてばかりいたという。
今ではそれなりに成長し、いったんは逃げるものの、根における行動範囲はだいたい決まっているようで、待っていると同じ場所にすぐに戻ってきてくれる。
それにしても、ゴマハギやキイロハギといったこの系のハギは、こんな砂地の水深20メートル超の根ではフツーは観られない。
きっと何かがどうにかしてここで暮らすことになったのだろう。
丸っきりのオトナになるまで居てくれるか?
それとも行動範囲が広がって、本来の生息場所に移っていくのか?
いずれにしてもキイロハギ、なんだかんだいってけっこうコンスタントに観られる魚だったのか……。
ところで、このキイロハギを観ている最中、傍らから何やらアヤシゲな魚が顔を覗かせていた。
ほぼオトナのヒメウツボだ(奥の赤い脚はショウグンエビです)。
ヒメウツボといえば警戒心がけっこう強く、カメラを向けるとたちまち引っ込もうとすることが多い。
ところがこの子は妙に視線が一点集中しており、傍らにヒト無きがごとき無警戒さで………
…ニョロニョロと身を乗り出してきた。
はて、いったい何に夢中になっているんだろう?
その視線の先を観てみると……
岩陰に無数のクロスジスカシテンジクダイたちが蠢いていた。
いや、でもヒメウツボ、ご馳走を目にして盛り上がるのはわかるけど……無理なんじゃね??
しかしますます身を乗り出すヒメウツボ。
が。
本来であればひっそりと過ごしていなければならないウツボがこのように身を乗り出して目立ってしまうと、根の住人たちにたちまち闖入者と見なされ、小魚たちの執拗なイヤガラセに遭うことになる。
この時も、すぐさま騒ぎを聞きつけた長屋の江戸っ子住人のようにハナダイたちが駆けつけ、ヒメウツボの動きを封じようとする。
このキンギョハナダイのメスも、たまたまここでヒメウツボと一緒に写っているわけではなく、腰から下を摺り寄せるようにしてウツボに圧力をかけているところ。
立て続けにこのようなイヤガラセを受けたヒメウツボは、スゴスゴと元の巣穴に引っ込んでいった。
こうしてヒメウツボの「クロスジスカシテンジクダイの夢」は、儚くもあっけなく潰え去ったのだった。
キンギョハナダイといえば、このすぐ脇の岩陰に、入れ代わり立ち代わり立ち寄っていた。
そこには……
アカシマシラヒゲエビのデンタル&ボディケアクリニックが。
白い触角と掃除しまっせダンスが目印になるので、ハナダイたちにはそれぞれ、行きつけのエビクリニックがある。
ひっきりなしに訪れるクライアントさんに次々に施術していくエビちゃんは、通常はこのように地に脚を着けつつ、鋏脚や顎脚を伸ばしてクリーニングを行う。
でも手が届かない、なのに思うようにクライアントさんが近づいてくれないとなると埒が明かなくなるのか、ヒョイと魚に飛び乗って処置を行う。
かなり身軽で、動きも軽快だ。
ただこの働き者のエビちゃん、身軽ではあるけれど……
…身重だった。
そのお腹には、卵がビッシリ。
今の時期、そこかしこで身重ママが卵を抱えているはず。
梅雨が明ける頃には、アカシマシラヒゲエビのチビターレたちがまたたくさん観られるようになることだろう。
キイロハギ観たさに根の一カ所にジッとしていたところ、キョロキョロするだけでいろいろ観られたおかげで、すっかり体は冷え込んでしまった……。
でもまぁこの時期で23度もあるなんて、10年前だったら考えられない僥倖ではある。
来週のぐずついた天気続きが気になるところながら、このまま順調に水温が上がって、GW中は24度キープ…なんてことになってくれないかなぁ。
2019年04月20日
盛り上がる夜。
2019年 4月19日(金) 晴れのち曇り
南東の風 おだやかのち波あり 水温22度~23度
前夜は秘密基地で一泊したので、この日は島に朝帰り。
前日に引き続き抜群の海日和ではあったのだけど、朝イチの便で島に戻ってからだと時間的に午前中のうちに潜りに行くわけにもいかないので、午後3時にお店を閉めたあとから行くことにした。
その頃にはすっかり曇天になっていて、午後遅めの海中はやや暗い雰囲気ではあったけれど、なにしろ深い所でも23度に近い22度という水温だと、たとえ薄暗くとも冬の間のようなうら寂しさがない。
これくらいの水温の時期によく観られるウミウシの中でも、際立ってこの季節に多く観られるのが、ヒメダテハゼのヒレについているスミゾメキヌハダウミウシ。
過去に何度か紹介しているから、ご存知の方も多いことだろう。
でも、ハゼに寄生しているという生態は興味深いとはいえ、その名のとおり墨で染めたかのごとき真っ黒ボディなので、このウミウシがこよなく好き!という方はあまりいない。
ところがワタシのほかに、このウミウシ&ヒメダテハゼをジッと観ている者がいた。
こちら。
タツノイトコ版「家政婦は見た」。
今月初めからチョロチョロと目についているタツノイトコ。
あまりに小さいとイトコなんだかハトコなんだかわからないけど、この子はもう随分大きくなっており、すっかりオトナになっているから、イトコとハトコをシロウトが唯一見分ける手段である背ビレを見れば、とりあえずタツノイトコ認定ができるサイズになっていた。
これって、育児嚢(?)に卵を抱えたオスじゃなくて、産卵前の卵を抱えているメスですよね?
でもこの状態になっていると、パートナーが近くにいても良さそうなものなのに、見渡す限り一望砂底の海底にその姿は見当たらなかった。
タツノイトコが眺めていたのは地味なウミウシだったけれど、リーフ際には昇り竜のように勢いのあるポーズをとっているウミウシがいた。
メレンゲウミウシ。
やはり春だからウキウキするのか、いつになくアクティブなそのポーズ、ちょっとはじけてみたいメレンゲの気持ち。
さて、話は前夜に遡る。
今回の外泊は、先だってあやはし海中ロードレースの際にアッシーとしての任務を果たしたワタシへのオタマサからのお礼ということで、ディナーをご馳走してもらうことになっていた。
というわけでやってきたのはこちら。
渡久地港にあるポートタウンカフェ。
ホントに連絡船乗り場の目の前で、店内の窓際の席からブラインド越しに外を眺めれば……
1日の仕事を終えてのんびり停泊中の水納丸が見える。
ホントのビールの生が無い(発泡酒のナマならある)という我々にとっての大きな弱点はあるものの、美味しいワイン、洒落た料理の数々は、本部近辺の他店では味わえないグレードの高さを誇る。
今宵はまず、マグロとカンパチのカルパッチョをいただいた。
我が家でカルパッチョといえば、塩とオリーブオイルに胡椒にバジルドレッシングの組み合わせなので、具がなんであれ味はほぼ定番状態になっているのだけど、こちらのカルパッチョは、バルサミコ酢かなんかをベースにしたドレッシングで、それだけでも非日常の味覚だというのに、そのうえ刻んだピクルスやオリーブが乗っかっている。
魚ももちろん美味しい。
まずはカルパッチョに乾杯。
その他、トルティーヤの上にパルマ産生ハムを載せた小品や…
低温調理された豚ロースのソテー(プレーンなままのインゲンやカリフラワーがやたらと美味しかったのだけど、今の時期、いったいどこが旬を迎えているんだろう?)……
そしてシメに自家製ベーコンをトッピングしたハーフサイズのピザ。
どれもこれも昇天級の美味しさだった今宵の料理群のうち、人生最高級に美味しかったのがこちら。
広島産牡蠣ときのこのアヒージョ!!
アヒージョにはいくつか種類があるなか、牡蠣を選んだのは我々としてはいささか冒険ではあった。
ご存知のとおり、オタマサは牡蠣が大好きだというのに、アレルギー反応を起こしてしまうからである。
でももう最後に発症してから随分経っているし、オイスターソースなら問題ないから、牡蠣本体さえ食べなければいけるかも…。
というわけで、地獄の釜もかくやというほどにグツグツと煮えたぎった状態で出てきた牡蠣ときのこのアヒージョ、これがあなた……
絶品。
我が家でも手を替え品を変え具を替えてオタマサが作ってくれる各種アヒージョのうち、やはりサザエがナンバーワンだという見解の一致をみていた。
それはやはり、煮汁に染み出すサザエの出汁の旨さも影響しているのだろうと思ってはいた。
しかしその貝の出汁、牡蠣は半端ではなかった。
具という意味では牡蠣こそが主役であるところながら、これはもうたとえ牡蠣本体が入っていなくとも、バゲットに煮汁をヒタヒタにつけていただけば、それこそメレンゲウミウシのポーズ級に、ヨロコビが天高く駆け抜けていく(バゲットは200円でてんこ盛りのおかわりができます)。
アヒージョ、牡蠣美味し。
食後に頼んだマディラワインで、しばし余韻に浸る。
ま、沖縄に観光に来ている方に是非どうぞ、というお店ではないかもしれないけれど、台風で3日も4日も渡久地港付近で足止めを食ってしまい、居酒屋3連チャンってのもなぁ……という方は是非。
入店した頃は夕焼け空だった空には、ほぼ満月が。
オフシーズン最後の外食ディナーは、外食した甲斐たっぷりのシアワセの夜になったのだった。
2019年04月19日
盛り上がる春。
2019年 4月18日(木) 晴れ
ほぼ無風のち南東の風 うねりあり 水温22度~23度
一夜明け、前日の風はピタッ……と止み、少々うねりが残るものの、海上はビロードのように滑らかな朝になっていた。
そしてお天気は引き続き快晴。
絶好の海日和である。
ああ、GWにとっておきたいこのお天気……。
同じ水温でも晴れているのと曇っているのとではまったく体感温度が違ってくるから、ドボンと飛び込む海中が、よりいっそう華やかに見えてくる。
魚たちも同様なのか、こういう時期にやる気モードになる種類も多い。
エントリーしたその場にいたのがこの方。
ミノカエルウオのアマゾンライダー状態。
普段とまったく異なる体の色になり、周辺にいるメスへのアピールだ。
もう少し深いところで、この子と久しぶりの再会を果たした。
クロオビスズメダイ。
かつてフィリピンのセブ島近くで潜った時にはやたらと目についたクロオビスズメダイは、沖縄あたりでは少ないようで、水納島ではまず滅多に観られないレアものだ。
まだ若い個体のようだから、このままスクスク育ってくれれば、今シーズンはいつでも会うことができるかも。
もう少し深いところに行ってみると、普段あまり出会う機会がない魚がいた。
ベニヒレイトヒキベラのメス。
メスがいるってことは、ひょっとすると……
いた。
オス。
普段はその名のとおりヒレの縁が紅色に彩られているのだけれど、イトヒキベラ類もこの時期くらいからやる気を見せ始めるものが多い。
このオスも興奮冷めやらぬ様子で、なかなか「通常色」に戻ってくれなかった。
一本潜ってお店番。
いいお天気すぎて、島内を散策する人などヒトッコヒトリーヌなんだろうなぁ…と半ば諦観していたところ、これが予想外のフィーバーに。
やはりこの春の陽気は、ヒトをも興奮色に変えるようだ。
そして今宵は、我々もまた興奮色に染まるのであった。
それについてはまた明日……。
2019年04月18日
イエローテールの謎。
2019年 4月17日(水) 早朝雨のち晴れ
西のち北西の風 おだやかのち時化模様
春には低気圧を伴う前線の通過がつきもの。
ではあるけれど、地球温暖化に伴う昨今のメリハリ気象は、その低気圧や前線のパワーを強大にしてしまう。
なので、以前までなら「春の雨だねぇ…」で済んでいたかもしれないこの日も、低気圧が通過する際の風の予報はけっして安穏としていられるものではなかった。
とはいえ気象台が発表するところの概況は、従来程度を思わせる予測。
一方各種データから時系列の詳細推移を予想する気象サイトでは、北寄りの侮れない風が吹く見込みとなっていた。
このところ、両者相容れない予報になっていることが増えている。
ようするに、ホントのところは誰にもわからないのだろう。
わからないときにユルイ方に賭けるわけにはいかないので、前日まではビミョー視されていたこの日の連絡船の運航は、朝からキッパリ全便欠航。
4月も半ばというのに、一昨日に続きまたしても欠航とは……。
今年のゴールデンウィークは10連休ということになっているけれど、この季節の沖縄で10日も続けて好天が続くなんてことはまずありえない……と、今のうちに皆さんに釘を刺しておこう。
連絡船は朝から欠航していたものの、前線が通過すると空はあっという間に快晴に。
絶好の欠航日和である。
もっとも、この日はさすがにボートを出して潜りに行くわけにもいかなかったので、前日の海の中の話。
カクレクマノミが早くも産卵するくらいだから、他のスズメダイ類たちも夏の様相を見せ始めている。
浅場の、リーフが切れ込んだ入り江状になっている部分の奥深くに行ってみると……
もうオヤビッチャが夏を思わせる卵保育状態に突入していた(手前の岩肌も奥の岩肌も、全部オヤビッチャの卵です)。
リーフ際の転石帯に目を転ずると、今年になって誕生したらしきハギの仲間のチビターレの姿もチラホラ出現し始めている。
コクテンサザナミハギのチビターレ。
せいぜい15ミリほどで、人生最小級だ。
目の周りの鮮やかなブルーがほとんど目立たないのは、あまりにもチビだからだろうか。
でもこの子がやがて↓こうなる…
……のだろうか。
これで2センチくらいなのだけど、尾ビレがより鮮やかに見える。
眼の周りのブルーリングの目立たなさといい、尾ビレの黄色のかすれ具合といい、むしろこの子が大きくなると、先日紹介した子のように↓なるような気も……
この子も2センチくらい。
同じ種類の魚で、しかも同じような環境でほぼ同時期だというのに、こんな小さい頃からすでに差異が観られるというのも不思議だ。
たまたま流れ着いた場所が同じなだけで、両者の生まれはまったく異なる場所だからとか?
それとも、ただの「たまたま」?
もっと南方の海では、コクテンサザナミハギの幼魚の尾ビレの色に、海域ごとに明確な差異がある……
…んだったら面白いのだけど、どこに行ってもやっぱり黄色かったり黄色くなかったりが混在しているのだろうか。
その点モンツキハギのチビターレは、おそらくどこに行っても真実一路のキレンジャー。
フツーに海中で目にすることができるなかでは、ほぼミニマムサイズの2センチほど。
今の季節にチラホラし始め、初夏ともなるとわりと開けた転石帯のそこかしこで観られるようになる。
早くも尾ビレを損傷しているところを見ても、安穏と過ごしていられるわけではないらしい。
モンツキハギもコクテンサザナミハギも、オトナになれば日中はけっして石の下に逃げ込んだりはせず、ただ逃げ去っていくだけだけれど、これくらいのチビターレの頃は、危険を察知するとすぐさま転石の下の隙間に逃げ込む。
ただし、近寄ると逃げられ、再び出てきたところに近づいたら逃げられ…を繰り返しているうちに、どうやらさほどの危険はないと判断してくれるのか、最初ほど敏感に逃げたりしなくなる。
だからといって、水深10メートルにも満たないリーフ際の転石帯で、ハギ相手にそんなに時間を費やすヒトなど、少なくとも当店ゲストには見当たらないのであった。
2019年04月17日
初 産。
2019年 4月16日(火) 曇りのち雨雨雨
南東の風 おだやかのち波あり 水温22度
午前中の早いうちこそなんとか曇り空で持ちこたえてくれていたお天気も、そのあとはひたすら雨雨雨。
久しぶりの八代亜紀「雨の慕情」熱唱スタイルである。
幸い、海に行っている間は「持ちこたえてくれていた」時間帯だった。
本島からひっきりなしに来るダイビングボートが停まっていることが多いため、シーズン中はなかなか訪れることができないとある砂地のポイントには、近年注目しているカクレクマノミが暮らしている。
なんで注目しているかというと、模様がヘンテコなのだ。
2017年10月オタマサ撮影
この子が暮らしているセンジュイソギンチャクはまだ若く、5年ほど前にリーフ際で見つけた頃は、まだ手のひらサイズでしかなかった。
なのでそこに住み始めたカクレクマノミはけっして安定した暮らしではなかったようで、チビターレが住み始めたと思っても、成長する前に選手交代の憂き目に遭うらしく、なかなかオトナになるまで育ってくれなかった。
なのでこのヘンテコ模様も先行きは不透明、サバイバルチャンスは少ないと思っていた。
ところが今ではこのセンジュイソギンチャクも成長し、オトナのカクレクマノミでも暮らしていけるサイズになっているおかげなのか、ヘンテコ模様君もけっこう立派に育ち、あとからやってきた子をパートナーにして、すっかり「ママ」の素振りを見せるようになっていた。
……と思ったら。
よく見ると、イソギンチャクの触手の陰に、オレンジ色のタマタマが(ヘンテコ模様君の顔の下あたり)。
おお、ヘンテコ模様君あらためヘンテコ模様ママ、ひょっとすると初産かも。
飼育下で繁殖したカクレクマノミのチビターレ大集団の写真を見ると、なかにはわりとヘンテコ模様が混じっている。
でも自然下では、「浮いた存在」は捕食者に狙われる率が高くなるためか、なかなかオトナになるまで生き残ることがないようだ。
それを思えば、よくぞママになるまで成長したものだ、ヘンテコ模様。
2019年04月16日
欠航けっこう。
2019年 4月15日(月) 晴れ
北東の風 時化模様
4月も半ば、GWも間近というのに、本日も潔く連絡船は全便欠航。
もっとも、朝から通常運航などしていようものなら、前日に無念の島離脱をされたタケノコサンタさんの恨み節が半年以上続いたことだろう。
海は朝から時化ている代わりに、お天気は上々。
しかも午後にはもう、うちのボートでも潜りに行こうと思えば行けるくらいの風&海況になってはいた(なぜ欠航?)。
おかげで、お天気に恵まれた春の行楽日和をのんびり過ごすことができたのだった。
なにしろ前日夕方から12時間爆睡したので、快適な目覚め&脳内スッキリクッキリ。
そんな行楽日和のお昼に、カメさんたちのエサ採りを兼ねて散歩をしていると、春の草原に見慣れないような気がする鳥さんを発見。
さすがのジョニーでもやや遠い距離だったけれど無理矢理撮ってみると……
はたして、ホントに観たことがない鳥さんだった。
後刻、手元の「沖縄の野鳥図鑑」で調べてみるものの、ビンゴの写真が見当たらない。
嘴からしてアトリ系かと思い、アトリ科方面で画像検索してみても、いっこうにピタリ賞が出てこない。
アトリ系じゃないにしても、特徴的な色合いだからすぐに判明するだろうと思いきや、該当者がまったく出てこない。
はて、この子はいったい誰じゃいな。
途方に暮れつつ、再度沖縄の野鳥図鑑をパラパラめくっていると、「ズグロチャキンチョウ」という名前にビビッときた。
頭が黒いという特徴を表した名前である。
掲載されている同種の写真があまりにも様相の異なる色合いだったから、ダメ元で画像検索してみたところ……
ビンゴ!!
正体判明、ズグロチャキンチョウ。
しかもこの鳥さん、沖縄県内では相当なレアものらしい。
2008年に琉球新報に掲載された記事では、当時で「県内で数例」の観察記録しかない迷鳥と紹介されているではないか。
これはひょっとすると、人生最初で最後級の一期一会バード。
ああそれなのに………
ショボい写真しか撮れなかった。
たとえ写真はショボくとも、水納島に長期滞在するとは思えず、いたとしても昨日今日明日くらいのものだろう。
そんな短期滞在にもかかわらず奇跡的に出会えたのは、この日連絡船が欠航したから店番をする必要が無く、散歩に繰り出せたおかげである。
災い転じて福となす。
タケノコサンタさんが1日早く島を出なきゃならなくなった欠航とはいえ、超レアバードとの出会いを天秤にかければ、そりゃもちろん鳥さんの勝ち。
欠航ありがとう!
その夕刻。
畑仕事を終えて家に帰ってきたオタマサが、是非とも見せたいものがあると、嬉々としながらバケツを手にしてやってきた。
バケツを覗いてみると……
ん??
蟻??
いや、ひょっとしてこれは……
アッ!!
オケラの赤ちゃんッ!!
引き続き拡張計画継続中の畑を耕していたところ、先だって紹介したオケラの卵入り土団子から、ワラワラとチビオケラが出てきたそうだ。
ワラワラ出てきたチビオケラ、ちなみにサイズは……
たったの5ミリ!!
ミミズだってオケラだってアメンボだって生きているけれど、オケラのチビチビだって、みんなみんな生きているんだトモダチなんだ~~。
2019年04月15日
ロスト・サンデーナイト。
2019年 4月14日(日) 曇りのち晴れ
南の風 やや波あり
13日土曜日のメインイベントとは…
こちら!!
シンメーナービの中は……
毎年恒例タケノコ祭り。
かつてはアヒルをつぶす際や大量のサザエを茹でるときなどにちょくちょく使用していたこのシンメーナービ、今では年に一度こうしてタケノコを茹でるときだけの登場になっている。
この大量のタケノコはもちろん、この日早朝に小田原の山で掘られた産地直送のタケノコたち。
その配送の速さ、Amazonプライムどころではない。
このタケノコたちを掘って運んで持ってきてくださったのは、いうまでもなくタケノコサンタさんのお2人だ。
照明の加減でカラバッジョの絵みたいな陰影になってしまった……。
この流れで、当然のようにタケノコ料理の写真のオンパレードになるはずのところながら、近頃のタケノコサンタさんたちは主役であるはずのタケノコを完全に脇に追いやるほどに大量の食材とともにご来島されるため、ついついそちらに目を奪われてしまう。
この焼き鳥群もそのひとつ。
掘り出された状態のタケノコの処理やこの鶏肉を竹串に刺す作業にしろ、もう手慣れたものでみるみるうちに作業が進んでいく。
炭火で焼く焼き鳥の旨さもさることながら、こちらもまた格別だ。
各種ソーセージ。
チョリソーや粗挽きなどの定番のほか、エゾシカやエミューのソーセージまで。
エミューのソーセージなんて食べたことがないから、真っ先にいただいてみたところ、これがまたなんとも猛々しくも勇ましい野性味あふれる獣肉で、知らずに食べたらとてもじゃないけど鳥肉とは思えないパワフルテイスト。
そのくせ、ハーブをまぶしてあるからか妙なクセはまったくなく、かなりインパクトのある存在。
が。
このシリーズの中で最大級にインパクトのあるものを最初に食べてしまったせいで、本来であればしみじみ美味しいはずの他のソーセージたちがすべておとなしくなってしまった……。
エミューを食べるなら最後にしましょう。
炭火といえば、こちらも……
巨大ホッケ。
北海道の方々にとってホッケといえば、この巨大サイズがあたりまえらしい。
そんなみなさんに、学生の頃チェーン店の居酒屋で食べていたホッケを見せてあげたい……(ペナペナのチビチビ)。
いろんな食材をいくらでも得られるタケノコサンタさんたちながら、庭で炭火焼きなどもってのほかな世知辛い世の中のため、都内のご自宅ではけっして味わえないのだとか。
そのため炭火で焼くことにこだわった食材の大量登場ということになるのだ。
だから年によってはこんな目に遭うこともあった……。
その点今年はかろうじてお天気に恵まれ、なんとか庭でフツーに飲食できている。
そんな炭火焼きメニューオンパレードのなかにあって、最初からもう焼かれた状態の逸品が前菜扱いでの登場だったのだけど、これが実はスペシャルメインイベント級だったのがこちら。
南国土佐の藁焼きカツオのたたき!!
カツオの半身を背側と腹側でさらに2つに分けた巨大なサク状態で真空パックされている商品で、上の写真が背側。
ハラゴーは……
土佐っぽく分厚く切ったら、一切れだけでメイン級のボリュームに。
炭火焼きじゃない一品としては、こちらの鈴廣のカマボコも絶品だ。
分厚く切っていただくのがお店の方のオススメだそうで、たしかにこの力強い噛み応えから滲み出る美味さは、ペラペラに薄く切ってしまったら楽しめないかも。
近頃こういった練り製品がマイブームになっているワタシにとって、このカマボコはまさに絶品。
そしてもちろん、シメは……
タケノコごはん♪
ああ、春の味……。
ところで。
以上の一連の飽食メニューの数々は、タケノコサンタさんたちが島に2泊される前提で揃えられていたもの。
が。
お帰り予定の15日の連絡船が、午前中の欠航を決めてしまった。
午後も今のところ保証の限りではないという。
となると、この日曜日のうちに島を出ざるを得ないタケノコサンタさんたち。
しかし食材もTバック氏セレクトのワインの数々も、まだもう一晩分残っている。
となれば……
昼間から宴会。
サンタ夫人にハンドルキーパーを任せることにし、昼間から思う存分酒を飲むTバック氏である。
ちなみに前日は、飛行機がやや遅れたために連絡船最終便に間に合わないかも…というギリギリのところをどうにかクリアされてのご来島。
そしてこの日は、本来もう一泊するはずが、時化予報のために追い出されてのご帰還。
いつもなら日中はケツ出しタイムになるはずのところ、あいにくの空模様のため断念されたTバック氏。
ところがこうして飲み始めた途端、にわかに強い日差しが燦燦と……。
聞くところによると、今年は1月の宮古島から始まって、都合3度目の沖縄だそうなのだけど、一度として太陽を拝んでおられなかったという。
ここにきてようやく輝きを見せてくれた南国の太陽、本来であれば勇躍ケツ焼き時間になるはずだったのに、時化予報のためそのチャンスを見送る羽目になったTバック氏である。
極楽浄土のメニューをさんざん目にする羽目になった皆様方におかれましては、これくらいのプチ不幸があったほうが、心のバランスが取れるってところでしょうか。
一方ワタクシも。
最終便で島を発たれるサンタさんたちを見送った後、時化に備えてボートを桟橋の東側に回して事なきを得たまではよかったのだけど。
その後家に戻りシャワーを浴びて、さあ日曜の夜をのんびり過ごそう……
…と思っていたのに。
ちょっと休憩とばかりベッドに横たわったが最後、夜が明けるまでずっと寝ていたのであった。
12時間も寝てしまった……。
少し前までは、腰が痛くなるからそんなに長時間寝ていられなかったものなのに、ついに寝ていられる体になってしまった。
寝る体力が無くなる時期を過ぎると、起きている体力が無くなる時期になるらしい……。
おかげでせっかくの日曜の夜は完全にワープ。
オフもそろそろ終わろうというこの時期に、なんともムナシイ消失感を味わう羽目になったのだった。
2019年04月14日
雀の子。
2019年 4月13日(土) 小雨混じりの曇り
東のち南東の風 やや波あり
小雨混じりの肌寒いお天気ではあったものの、海況はおだやかだったので朝から海に行ってきた。
陸上は季節の巡りが遅いんだか早いんだか、なんだかわけがわからなくなっているのに対し、海中は概ね昨年同様、季節の巡りは早い気がする。
この日など、早くもモンスズメダイが海底に産卵床をこしらえていた。
初夏になると爆発的に増える各種スズメダイの幼魚の姿も、早くも3月半ばからチラホラ目につくようになっている。
リーフ際のリーフの切れ込みの砂底には、台風などで粉砕されて落ちた枝サンゴが集まっている場所がある。
サンゴはたとえ物理的に元の群体から切り離されても、環境さえ良ければ切り離されて落ちた側もそのまま生育するくらい逞しいものも多いので、砂底の粉砕サンゴは小魚たちのかっこうの隠れ家になる。
握り拳よりも小さな粉砕サンゴの枝間に、オキナワスズメダイのチビターレが隠れ潜んでいたのは3月末のことだった。
超ビビリで、カメラを向けたが最後、枝の外には絶対に出てきてくれない。
このあと随分待ったのだけど、結局これ以上の姿を拝むことができなかった。
本来なら数で勝負するタイプのスズメダイ、こうして単独でオロオロしているようじゃ、サバイバルはムツカシイだろうなぁ……。
…と思いきや。
それから半月たったこの日、同じ場所の同じ粉砕サンゴを観てみると……
オキナワスズメダイ・チビターレ、健在。
チビターレの頃から群れるタイプのスズメダイながら、なにしろフライング気味なこともあって周辺に彼以外のオキナワスズメダイチビの姿がないので、ほぼ間違いなく同一個体と思われる。
半月前よりもひと周り以上成長している姿は逞しくもえらそうで、カメラを向けてもすぐに慣れて、枝の外でその雄姿を拝ませてくれた。
もう少し大きくなればこの場を離れ、リーフエッジに集う仲間たちと一緒に泳ぐようになるのだろう。
同じスズメダイの仲間でも、基本的に単独で暮らすタイプのチビターレは、サンゴの下や岩陰などをたくみに利用して、うまいこと逃げ隠れしながらのサバイバルをするものもいる。
1センチにも満たないルリホシスズメダイのチビターレ。
陰からチョコチョコ出入りしてくれるのはいいものの、姿を晒してくれる1回ごとの時間が短いから、その姿を見かけても、クラシカルアイではもう、マニュアルフォーカスというか置きピンでは捉えきれない。
ところがその点D7200のオートフォーカスは、一瞬のチャンスも逃さない。
毎年目にする機会はあっても、撮るのは絶対無理…とずっと諦めていたこのチビチビサイズ、個人的ミニマムサイズ更新はおそらくもうあり得ないだろう。
なにしろこれ以上小さいと、クラシカルアイではそもそもその存在に気がつけないかもいれないから(涙)。
さてさて、実はこの日は、夕刻以降にメインイベントが控えていた。
そのメインイベントとは……
明日に続く。
2019年04月13日
七滝の七星。
2019年 4月12日(金) 曇りのち晴れ
北の風 時化模様
この天気図でなんでこんなに風が吹くの?と不思議に思うくらいに強めの北風が朝から吹き始めた。
これでオフシーズンだったら、迷わず欠航になっていたであろうところ、修学旅行の予約を抱える業者に「通常運航」を伝えてしまっていたため、なんとか頑張った連絡船である。
ちなみに、先日欠航した10日のほうがずっとマシな海況だったけど。
さてさて、オリエンタル食堂でランチを終えたあとの話。
時間があったので、山原路をドライブしてみた。
このところ、訪れる機会はあっても時期を外していたため、花が咲いている時に来たのは何年ぶりだろうかというくらいに久しぶりだったのがこちら。
喜如嘉のオクラレルカ。
ピークは4~5日前だったかなって感じだったものの、一望菖蒲色に染まった景色は壮観だ。
平日にしては観光客の姿も多く、家族連れのアジアンツーリストの姿もチラホラ。
なにげに喜如嘉、メジャー化。
その影響なのだろうか、駐車場脇の販売コーナーで売られているオクラレルカが、5株で1000円と、けっこうお高くなっていた。
たしか以前庭用に購入した際は、え?と驚くくらいに安かったと記憶している。
外国人客や団体年配客でにぎわうオクラレルカの園には、水納島では観られない昆虫もけっこう観られる。
これまでに花の時期もそうでない時期にも何度か来ているので、お馴染みになっている昆虫たちのほかに、初めて出会った虫もいた。
こちら。
シオカラトンボよりも2周りほど小さなトンボで、この水辺でおそらくは雌雄で戯れていた。
もう一方は、黄色基調のカラーリング。
その独特の腹の形状からして、おそらくコシブトトンボと思われる。
その他、以前見たことがあるトンボも。
おそらくタイリクウチワヤンマ。
このあたりではどちらもフツーに観られるのだろうけれど、なにしろ水納島には陸水環境がないために定住しているトンボがほとんどいないので(風に乗っていわゆる赤とんぼ系が大量に飛来することはある)、どんな種類でももの珍しい。
花を愛でているんだか虫を探しているんだかよくわからない探訪を終えたあと、もう少し足を延ばしてみることにした。
以前一度来たことがある、七滝だ。
ここはこのあたりの人々にとってとても大切な霊場でもあるので、浮ついた心で訪れてはいけない。
また、名水としても知られており、数少ないオーシッタイのにがあま蜜取扱店のひとつである那覇・安里の「沖縄健康社」では、この七滝の水を大々的に売り出しているほどだ。
そんな霊験あらたかかつマイナスイオンたっぷりの動画を、日々忙しく働いている皆様にそっとおすそ分け。
そんな水辺で、オタマサが見つけた可憐な花がこちら。
アカボシタツナミソウというらしい。
花ひとつひとつが可愛いので何枚か撮ったのだけど、帰宅後写真をパソコンモニターで見て初めて、奇跡が起こっていたことを知った。
トックリバチ系っぽいハチが写ってる!!(もちろんトリミングしてます)
ま、ワタシに突如降って湧くキセキなんて、この程度ですわ、ええ。
その他、イトトンボやら蝶やら、水納島ではまず観られない虫たちを、けっして浮ついた心になることなく撮っていたところ、オタマサがなにやら見つけたらしい。
指さすほうを見てみると……
おお、ナナホシキンカメムシ!!
カメムシのイメージを一新するこの光沢&カラフルボディ。
これならタマムシじゃなくとも厨子を作れるじゃないか。
ホントに作ったら、亀虫厨子??
それはそれでなんだかなぁ……。
それはともかくこのナナホシキンカメムシ、背中側の七つ以上は間違いなくある黒点が名の由来なのだろう。
この背中の美しさに目を奪われがちながら、このカメムシ、脚を含めた腹側もたいそうビジュアル系だ。
その昔、水納島に越してきたばかりの頃、島内を散策していると、この光沢のカメムシが葉の裏で集団越冬隊になっているのを目にしたことがある、ということはかつてどこかで触れた。
それがこのナナホシキンカメムシだったような気がするのだけど、なにしろ画像が無いので、豆腐脳内の記憶では確かめようがない。
それがこの24年チョイで唯一の機会になると知っていたなら、なにをさておいてもカメラを取りに戻り、当時はフィルムだったから36枚プラスEくらい撮っていたことだろう。
なにぶん当時は越してきたばかりで、このあともいつでも観られるものと思い込んでしまったから、そんな光沢ビジュアル系の越冬隊を目にしても、「さすが南国……」と感心しただけで終わってしまたのだった。
そういうこともあって、ここで会ったが百年目とばかり、この子にこだわって撮っていると、彼は逃げるどころかむしろレンズに挑みかかるような仕草を見せ、腰をプルプル振ったりもしていた。
すると。
奥から別の子がヒョコヒョコと接近。
いったい何が始まるのだろうと見ていると……
両者つかず離れず、ついたり離れたり。
一方がストロー状の口を伸ばして相手を調査するような仕草をしたかと思えば、腰を振ってダンスを見せつけるような素振りも。
でもどのように書いても伝えきれないから、その様子の一部を動画でどうぞ。
なんだか「七滝の水辺で七星が躍る!」なんてタイトルとともに、ワイルドライフのテーマ曲が流れそう……。
霊験あらたかな滝を眺めて心洗われるつもりでいたのに、すっかりカメムシに興奮してしまった我々にとって、このカメムシダンスが本日のメインイベントになったのはいうまでもない。
2019年04月12日
オリエンタル食堂。
2019年 4月11日(木) 曇りときどき日差し
北西のち南の風 うねりあり
モロモロの所用のため本島へ。
午前中のうちに本部、名護での用事はほぼ済み、お昼は初めて訪れるお店に入ってみることにした。
こちら。
壁に直接書かれた(台風で看板が飛ばずに済むための沖縄の昔ながらの風習)店名が、すっかりかすれて薄くなっている。
そこには「琉球料理オリエンタル」となっているけれど、広くオリエンタル食堂と呼ばれているようだ。
名護の東江にある税務署の通りにあり、何度もその前を通過しているというのに、今までその存在に気がついたことはなかった。
暖簾が出ているからかろうじて営業中らしきことはわかったものの、積極的なアピールなど一切ない、昔ながらの食堂の風情である。
そば屋さんではなく食堂なので、壁にはいかにも沖縄の食堂といったメニューがズラリと並ぶ。
どれもこれもみな安い。
メニューの紙が真新しいところを見ると、最近価格改定がおこなわれたのだろうか。
少し前はおそらくこの価格よりもそれぞれ50円ずつくらい安かったはず。
こういうお店が地元のみなさんに愛されるのは当然で、お昼時はいつも満席という話だ。
なので、11時30分のオープンに合わせ、早めにお邪魔した。
初めて入った食堂では必ずかつ丼を注文するワタシではあるのだけれど、今日のお腹はそばを求めていたので、お願いしたのはこちら。
牛もやしそば@600円。
そばに白いご飯が問答無用でついてくる、この食堂感が素晴らしい。
そばにごはん?と思うところながら、なんといってもこの牛もやしそばは塩胡椒たっぷりの味付けだから、出汁を猫まんまのようにして食べたらめっぽう美味しい(ゆしどうふそばにもご飯がついてくるのかどうかは不明)。
流行りに乗ったにわかメニューだと、具にだけ塩胡椒味で、肝心のそばの出汁が物足りないなんて店もあるのだけれど、こちらはしっかり出汁までやる気系。
ちなみに、そういったやる気漲る系がヤダという方のために、壁のメニューの傍らには、このような貼り紙もあった。
こう書かれてあるだけあって、ニンニク、ネギ、ニラが惜しげもなく投入されている。
一方オタマサは、珍しくこの一品を。
豚もやしそば@600円。
もちろんこちらも……
ごはん付き。
炒めたモヤシを具にするそばは北部に多いとはいえ、たいてい牛肉がパートナーで、意外に豚肉と一緒に炒めたものは見かけない(アグーそばなどはのぞく)。
牛もやしそばと似たような味かと思いきや、胡椒の加減なのか豚肉本来の何かなのか、牛もやしに比べて随分優し気な味(食べ終えた後丼に残る胡椒の量もかなり違った)。
初めて訪れたオリエンタル食堂の株を一気に押し上げることになったほどに、この味がオタマサのツボだったらしい。
この時点では我々のほかに1人いるだけだった店内は、12時になった途端に次々に客が訪れ、たちまち満席モードになっていった。
先日訪れたうるま市の帆掛きそばさんも地元のお客さんでにぎわっていたけれど、まったく真逆スタイルといっていい老舗食堂もまた、地元の方々の人気店なのである。
ところで、こういうった食堂にはつきものの新聞が置いてあったので物色していると、タイムスと新報のほかに、もう1紙あった。
こういう場合にもう1紙といえば、たいていスポーツ紙。
ところがこちらのお店のもう1紙は、なんと日本農業新聞なのだった。
日本農業新聞といえば、昨夏の甲子園における金足農業高校の大活躍を紙面で大々的に取り上げたことで話題となり、一気に全国区になった(もともと全国紙ですけど…)新聞だ。
とはいえなぜにこちらのお店に??
お店は厨房と配膳してくれる方のお2人で切り盛りしておられるようで、どちらも年配の女性だ。
どちらかの縁者の家業が農業なのだろうか?
お会計をお願いした際、2人分ご一緒ですか?という意味のことを尋ねるご婦人のイントネーションが、ふと関西系のような気がしたと思ったら、その後
「おおきに。ありがとうございます」
え?
どういうこと??
謎が謎を呼んでいる。
美味しいし昔ながらで懐かしいし…これは再訪せねば!
次回はかつ丼か??
2019年04月11日
エコガメラ。
2019年 4月10日(水) 雷雨のち薄曇り
南西のち北の風 けっこう波あり
前線の通過で雨、通過後は北よりの風が強めに吹く1日に。
ところにより雷という予報だったのだけど、水納島はその「ところ」になってしまった。
たびたび雨は降っていたこの春ながら、春雷は今年初めてかも。
雷といえば思いだすのは昨年の爆撃級の落雷だ。
島中が停電&家電製品の故障でおおわらわとなったのも記憶に新しい……のはワタシだけで、オタマサは「え?まだ1年しか経ってないの??」とビックリしていた。
今回の雷は大したことはなく、雨も午前中のうちには止んで、午後からはフツーに屋外で活動できるお天気に。
が。
前線通過後の予報が前日よりも悪化したのを受け、連絡船は朝の1往復のみで運航終了。
4月も半ばとなったというのに欠航か……
ま、4月も半ばというのに関東甲信越地方では積雪も見られたというのだから、欠航があっても不思議でも何でもないってところか。
雪が降るほどではないにしろ、沖縄地方も暑くなったり寒くなったりの繰り返しで、冷え込んだ日用の衣類をなかなか過去のモノにできないでいる。
そんなある意味天候不順のせいなのか、今年はシーベーに煩わされることがほとんどといっていいほどない(今のところ)。
昨年はただジッとしているだけで気が狂いそうになるほどに体中にまとわりつかれたものだったのに、今年は忘れた頃に1匹の侵入を許す程度で済んでいるのだ。
適度な湿度と温度が重なると大発生するシーベー(一般的にはショウジョウバエをさす沖縄の地方名ながら、水納島ではクロヌカカのことをいう)も、暖かくなったかと思えば寒くなるこの春の気候に戸惑いを隠せないのだろう。
本島に出ると、例年なら春先に目を楽しませてくれるイペーの花も、今春はまったく目にしていない。
3月中にはそこかしこで満開になっているはずの黄色い花は、先日目を皿のようにして探していたときにほんの2、3輪が咲いているのを見ただけ。
イペーの木、この春どこかで満開になってましたか??
花といえば、昨年までその存在にまったく気がついていなかったセンダン、今年も独特のかぐわしい香りを楽しみにしていたのだけれど、3月中はまったく花が咲いていなかった。
本部町内の山々を見渡しても、昨年のような、遠目には霞のように色づくセンダンの花々が見当たらない。
島内のセンダンは、ここにきてようやく花をつける木が。
でも全体的に昨年のような同時多発満開状態ではないので、通りかかってもフレグランスな香しさを味わえない。
実はこれが「通常」であって、昨年が異例の大満開だったってことなんだろうか。
それなら、昨年までまったく気づいていなかったことにも頷けるのだけど…。
どっちが異常なんだろう?
異常といえば、今年の冬は暖かかったために異常大発生していたモンシロチョウのせいでえらい目にあった畑の野菜たちながら、この時期に収穫の嵐を迎えるズッキーニは、例年どおり絶好調。
おかげでこういうものも食べ放題だ。
輪切りのズッキーニを一度炒め、その上にチーズとトマトを載せてオーブンで焼き、水納島産ミジュン製アンチョビを載せたもの。
適度な塩味とコクと酸味、それにズッキーニの瑞々しさが合わさって、お手軽なわりに絶品。
単独だとどうしても淡泊になりがちなズッキーニも、周りに支えられて見事にジョートーな食材になってくれる。
とはいえ配っても配っても消費できないほどに実を付けていて、みるみるうちに成長してしまうから、1日留守にしていただけで巨大化しすぎ、食べ頃を逃すことになってしまうものが続出する。
そんな、ヒトの食材になれないズッキーニも、カメさんたちにとっては大御馳走だ。
違いのわかるガメ公も、ズッキーニには目がない。
本来生ゴミでしかなかったものがウンコとなり、やがて肥料となって再び土に還り、自らのエサとなるカンダバーを育てるのだから、ガメ公はまさに歩くコンポスターなのである。
ガメ公、なにげにエコガメ。