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2020年09月30日
ウナギギンポ。
2020年 9月29日(火) 晴れ
北のち西の風 おだやかのち波あり
先日の謎の魚について、いろいろと多忙なはずの某有名海洋写真家からご教示をいただいた。
いわく、
「なぞのギンポはウナギギンポなのではないでしょうか?
と言っても、僕は見たことないですけど…。
ネットで検索してみると、沖縄でも観察されているみたいです。
座間味にもいないかなぁ。 」
とのこと。
さっそくネット上で画像検索してみると、なんとなんと、驚くべきことにその体はその名のとおりウナギのようにひょろ長く、50センチ超になるというではないか。
体つきだけ見るととても同じ種類とは思えないけれど、海中で撮影された写真の顔をよく見てみれば、おお、先日ワタシが撮った魚の顔とまったく同じ。
ウナギギンポで間違いないだろう。
顔のデカさからしてニジギンポの特大サイズくらいはあるだろうと思っていたら、まさかあの巣穴の下に50センチ以上の体が潜んでいたとは……。
もしあのとき巣穴から全身を露わにしていたら、ワタシはギボシムシが魚に変身した!とコンマ3秒くらい考えたかもしれない。
それにしても、子供の頃からウナギイヌは知っていたけど、ウナギギンポなんてものもいたんだなぁ…。
というわけで、謎の魚はウナギギンポに確定。
いずれにしても、この巣穴はどうやらたまたまだったらしい。
ケバケバチューブ状で砂中に半身以上を埋めているこの巣穴、いったい何なんだろう??
さてさて、連休の疲労を癒すために急遽設けたお休みのこの日は、12日ぶりに本島まで買い出しに。
名護のカイトまでいつものバゲットを買いに行ったところ、コロナ対策の入店制限が2組4名まで緩和されており、「県外客お断り」の表示も無くなっていた。
そろそろ外食も解禁していいかな?
…てなところではあるけれど、君子危うきに近寄らず。この日もお弁当で済ませた。
コロナ禍に関係なく、以前からテイクアウトも取り扱っている飲食店はいろいろあって、タイ料理屋さんにしろカレー屋さんにしろ、それぞれとっても魅惑的なんだけど、いかんせん我々の腹が減る頃にまだオープンしていないという弱点がある。
その点昔ながらのお弁当屋さんは、11時前でも当然のように開いている。
この日は、オタマサが北部医師会病院に通っている時に何度もその前を通ったこちらのお店に初めて寄ってみた。
うむさ弁当。
このあたりは宇茂佐という地区で、沖縄風に発音すると「ウムサ」になる。
手前の坂道を右に登っていくと、北部医師会病院へと続く入口がある。
いつもは店のこちら側にはためいている幟が無い?
またやらかしてしまったか??
…と思ったら、コロナ禍のためか営業規模を縮小しているようで、お弁当は店の向こう側の道路に面しているカウンターで販売していたのだった。
ズラリと並ぶお弁当から選び、おばあが鍋からお玉でスープを入れてくれる100円そばも併せてお願いして、総額450円。
オタマサの小さなお弁当@280円と100円そばを合計しても、2人でたった830円。
ファストフード店なら1人で軽くそれくらいになるところだ。
コロナ禍で外食産業がピンチとなり、にわか弁当屋があちこちにできている昨今、昔ながらのこういったお弁当屋さんは、それがためにピンチになっていたりしないのだろうか。
ピンチといえば、インバウンドで濡れ手に粟状態だった「旅行業者」とやらがコロナ禍で危機だということで、政府がやたらと後押ししている。
その姿はなんだかやけに不自然で、まるで不況に陥ったなかで土建業界を守るためにとことん公共工事をしまくる様子にそっくり。
業界からよほどオイシイモノが一握りの人たちに渡っているんだろうなぁ、きっと。
そもそも観光なんてものは、昔は「なきゃならないもの」でもなんでもなかったはずなのに、いつから暮らしにマストな産業になったんだろう?
いずれにしても、観光産業や外食産業に手を差し伸べる政府ではあるけれど、その視野の中に街の小さなお弁当屋さんまで入っているはずはないのだった。
2020年09月29日
目指せ、未来永劫道路工事。
2020年 9月28日(月) 曇りのち晴れ
北東の風 おだやか 水温27度
水納島のような田舎でのんびり十年一日の暮らしをしている我々にとって、現在の沖縄が驀進中の「目指す未来」の在り方は、時として実にグッタリさせられる話であることが多い。
この日の沖縄タイムス1面の記事もそうだった。
名護東道路とは、名護の山々にトンネルを貫き、世冨慶あたりからメイクマン近くまで一直線に伸びている巨大な高規格道路のことで、現在は沖縄自動車道の許田インターから世冨慶に接続すべく、海沿いを走る58号線の傍らで、さらなる大規模工事が継続中だ。
その道路を、本部町内まで伸ばそうという話らしい。
知る人ぞ知る、嵐山ゴルフ倶楽部跡地に巨大なテーマパークを作るというキチガイじみた計画がマジメに進行中で、そのテーマパークの立地になる今帰仁村と本部町への交通の利便性を高めるためらしい。
もはや沖縄はこの先道路工事とホテル建設を未来永劫続けていくのだろうと諦めきっているワタシなので、今さらこういう話が出て来ても何も驚きはしない。
しかしこういう計画に携わっているヒトたちの口車に乗って、ホイホイホイと巨大道路を地元までと全会一致で決める市町村議会の方々って、自分たちの地元をはじめとする沖縄本島北部の将来像をどのように見定めているんだろうか。
やがてそこらじゅう道路とホテルになってしまう沖縄本島に、いったい誰が住むというのだろう。誰が観光に来るのだろう。
NHKのテレビ小説「ちゅらさん」をきっかけに始まった沖縄ブームではあるけれど、その後沖縄がこういう形に発展(?)していくよう願ったヒトが当時どれほどいただろうか。
巨大資本による田舎への新興ならぬ侵攻は水納島にとっても実はけっして対岸の火事ではないだけに、こういうニュースを目にするたびに、個人的「脱オキナワ」気運が日増しに高まっていくのだった。
もっとも、今現在来沖している観光客の需要からすると、ひょっとしたらテーマパークも大賑わいになるかもしれない。
自然だらけで何も無いところでは「つまんない」となる、ヒトがお膳立てしたモノがなければ楽しめない観光客がどんどん増えるにつれて、「ちゅらさん」当時の沖縄を愛した人々の割合は、この先もどんどん減っていくに違いない。
牧志公設市場もイオンモールのようになったほうが「きれい!」「買い物しやすい!」などというヒトたちがどんどん増えていきそうだ。
2020年09月28日
ストレンジャーハウス&フィッシュ。
2020年 9月27日(日) 曇り束の間日差し
北の風 おだやかのち波あり 水温27度
連休前から続いた長い長い無休の10日間がこの日ようやく終了した。
今シーズンはコロナ禍のためにGWは無かったし、お盆も例年に比べれば平和そのものだったこともあって、この10日間、とりわけ連休を挟んだ日々は今年一番の疲労困憊。
それもこれも、世間でコロナウィルスに対する緊張感が失せていくのと時を合わせるかのように、夕刻のルール違反者だらけになってしまったことが大きい。
おかげで1日のなかで最大のシアワセタイムである(プライベートな)夕食を楽しむ時間さえ奪われ、ただ飲んで寝るだけの日々が続いてしまった。
この日は10日ぶりに夕刻以降完全フリーデーだったおかげで、久しぶりに「正しい夕食」を楽しむことができたのだった。
我々が普段目にすることすらできない高級な酒や肴をみなさんが持ち寄ってくださるのは大変ありがたいのはもちろんながら、接客=シゴトしている時にそれらをいただくのに比べれば、プライベートな時間に食べるボンカレーのほうがよっぽどシアワセ度が大きい、ということをわかってくれない方が多いのがモンダイなのだろう(今日の夕食がボンカレーだったわけではありません。念のため)。
そもそも夕方5時から3時間も4時間も接客しなきゃならないような料金は頂戴していないんだから。
…というようなグチを日々書き連ねていれば、自らこの世を去ろうなんていう気も少しは鎮まるんじゃないのかなぁ。
役者としてはもちろんのこと、たまに聴く機会がある彼女の上手なナレーションも好きだったのに……。
惜しいヒトをなくしてしまった(合唱)。
上記グチで少々不快な思いをされた方々がいらっしゃるかもしれないけれど、そのグチのおかげでワタシの精神が平衡を保っているということで、どうかご寛恕くださいませ。
さて。
この日は前日からご滞在のゲストお一組だけだったので、いつものように1本目と2本目でオタマサと交代でご案内。
2本目ではワタシはフリーだったから、カメラを携えて砂底を徘徊してみた。
とあるポイントでは、水深が増すにつれ、水納島では多くはない刺胞動物が目立つようになる。
トサカの仲間や…
ウミエラの仲間や…
ウミサボテンの仲間が……
けっして密ではないけれどポコポコ生えているのだ。
昔はそれらをつぶさにサーチし、エビカニ系クリーチャーが住んでいないかチェックしたものだったけど、今やたとえいたとしてもクラシカルアイでは見えないので、無駄な努力はしない。
それでもヘンテコなイソギンチャクの仲間には…
マルガザミ(カニ)が住んでいることには気がついた(どこにいるかわかりますか?)。
そうやって砂底から生える刺胞動物探訪をしていると、見慣れぬ不思議的物体に遭遇した。
砂から出ている高さは5センチほどの、なんだかケバケバしているモノ。
ん?
よく見るとその先っちょから顔が??
誰だこれ??
上から覗いてみよう。
口元といい目といい、ギンポっぽい。
でもサイズにして特大成熟ニジギンポくらいのこのようなギンポなんて、見たことないんですけど。
もう少し、せめて半身くらい穴から出してくれたら…と思っているうちに、彼は穴の中に引っ込んでしまった。
上から覗かれたのがイヤだったのだろう。
引っ込んだ穴を覗いてみると……
わぉ、ブラックホール。
いったいぜんたいこのギンポらしき魚は誰?
というか、それ以前に、彼が住処にしているらしきこの円筒形のケバケバはいったい何?
砂中に埋もれているようだったので、隠れた謎の魚には申し訳ないけれど、周辺の砂を除けてみた。
露わになっている部分は10センチちょいほど、そしてまだ先は砂中に続いているようだ。
砂中に潜むクリーチャーの棲管のあと?
ただのゴミ?
それとも……謎の魚自体がこしらえた専用巣穴??
住処も魚もすべてナゾ。
ひょっとしたら一生に一度級の大発見かもしれないというのに、滞在可能リミットが。
しかもその後も引き続きテキトーに砂底を徘徊したものだから、再訪しろと言われてもどこだかさっぱり……。
二度と会えないかもしれない魚&住処のヒミツ、ご存知の方はテルアスプリーズ。
2020年09月27日
比較完成。
2020年 9月26日(土) 薄曇り
北の風 波あり 水温28度
なんともありがたいことに、先日紹介したタキベラ属の1種ことタキちゃんが傷だらけ状態だったときの写真を、巨匠コスゲさんからご提供いただいた!!
巨匠、ありがとうございます!!
さっそく見比べてみよう。
19日の時点で巨匠が撮影された、傷だらけの人生状態のタキちゃん、まずは左側から。
写真提供:巨匠コスゲさんこと古菅正道さん
見るからに痛々しい傷が生々しく体側中央付近に。
そして右側は……
写真提供:巨匠コスゲさんこと古菅正道さん
体側中央部の傷もさることながら、エラ付近では皮が剥がれかかっている…。
これはさすがに生き抜くのはキビシイか…と諦めていたところ、先日紹介したように、その5日後には…
体側の傷はほぼ塞がり……
エラ付近の傷は痕跡を残しつつもほぼ癒えていた。
あらためてその治癒力に脱帽だ。
いやはやそれにしても、こういう話はビジュアルで見比べてナンボだよなぁ、やっぱり。
巨匠コスゲさん、あらためましてお礼申し上げます!
さて、この日はもともとご予約をいただいていた方々に加え、前日に急遽日帰りご来島が決まったセルフディフェンスダイビングのみなさんも加わり、土曜とはいえ9月末とは思えない賑わいを見せていた当店だった。
予報よりも波高い海況ではあったけれど、海中はまずまずのコンディションで、ゲストのみなさんにはそれぞれゆっくり潜っていただくことができた。
終盤、みなさんがフリータイムを楽しんでおられる頃に、ひと足早くエキジットすべくボートに戻ろうとすると、係留ロープの水面付近にキラリと金色に輝くものが見えた。
この輝きはひょっとして??
ひょっとした。
ギンガメアジのチビターレだ。
波立つ水面付近で上下左右に揺れまくるロープに懸命に縋っていた。
なのでそれを撮るワタシも上下左右に揺れまくっているわけで、コンデジで手軽に撮ろうにも、ピントなど合うはずはなし。
とにかく数撃ちゃ当たるだろう的にパシャパシャやって、なんとか証拠写真を残すことができた。
もともとこのロープを拠り所にしていたのであれば、位置が安定している水中ブイに寄り添いそうなところ。
こんな定位置確保するだけでも慌ただしい水面付近にいるってことは、うちのボートを停めているときに、流れ藻などの頼りない拠り所からサッと移動してきたのだろうか。
でもギンガメチビターレ君、ゲストのみなさんがエキジットすれば、ボートはロープを放してこの場を去るから、現在拠り所のロープも下に沈んで行っちゃうよ?
そのジジツを知った彼は、ショックでしばらくそのまま固まっていたのだった(一部脚色アリ)。
2020年09月26日
オトナへのスイッチ。
2020年 9月25日(金) おおむね晴れ
北の風 やや波あり 水温28度
今日も北寄りの涼しい風が吹く秋晴れの1日に。
空も海も青く輝き、ミジュンの巨群は黒々と。
夏の終わり頃からミジュンやハララーが桟橋脇に集まるのは、水納島の季節の風物詩だったけれど、近年はすっかりその光景が珍しくなっていた。
桟橋脇に彼らがこれほど長居してくれるのは、いつ以来のことだろう。
連絡船から降りてすぐにこの光景を目にすれば、そりゃあ「ヤバイ!」を連発したくもなるだろう。
1本目のダイビングから戻ってくると、そのミジュンたちをリョウセイさんが釣っていた。クーラーボックスの中身を拝見すると、けっこう好調に連れているらしい。
…って、水納ビーチの社長がシーズン中の昼時に遊んでいていいんですか??
「だって仕事が無いのに」
たしかに海水浴客はまばらだけれど……。
話は変わる。
幼魚の頃とオトナの頃とで体の模様がまったく異なる魚は数多い。
ただしその模様切り替えのスイッチは、体の成長サイズで決定するわけではないようで、周囲の環境に左右されているフシがある。
たまにしか行かない岩場のポイントでこの夏出会ったスミツキベラの幼魚は、すでに7センチほどもあるのに完全無欠の幼魚模様だ。
初めて出会ってから2ヵ月経った今月も、いまだに幼魚模様のまま悠々と暮らしている。
ロングタイムモラトリアム期間なんだろうか。
一方、ところ変わると5センチにも満たないにもかかわらず、しっかりオトナ模様になっているスミツキベラもいる。
比較対象物が無いからわかりづらいけれど、墨付き模様のサイズが体に比してずいぶんでっかいのは、体が相当小さいからこそ。
周辺にはスミツキベラのオトナがわりといるから、小さい頃は幼魚模様のままでいたほうが何かとお得なような気がするのに、いったい何が一刻も早くオトナになろうとさせるのだろう?
このテの魚の幼魚といえば。
先日紹介したケサガケベラのオトナ模様になり始めているチビターレに、この日再会してきた。
約2週間経って、どう変化しているだろう?
こうなっていた。
ところどころに幼魚時の黄点模様の名残りを見せつつも、ほぼほぼオトナ模様に変わっていた。
ただしこれまた5センチにも満たないサイズだ。
ケサガケベラのオトナといえば、フツーサイズのホシゴンベよりも大きいのだけれど、このチビオトナはというと……
遥かに小さい。
サイズはともかくたった2週間でこのように変身しているのだから、前回たまたま出会った途中段階がいかに千載一遇だったかがよくわかる。
では途中段階になる気配すら微塵も無かった岩場の大きなスミツキベラ幼魚は、いったいいつまで幼魚模様のままなんだろう?
また様子を伺いに行こうっと。
2020年09月25日
自然治癒力。
2020年 9月24日(木) 早朝雨のち晴れ
北西の風 やや波あり 水温28度
早朝こそザーッと雨が降ったものの、その後はすっかり青空が広がり、爽やかな秋晴れの行楽日和となった。
連休が終わってゲストの数も減り、ようやく午前午後の交代でカメラを携えて潜れるようになっている。
で、この日午後は、例のタキベラ属の1種ことタキちゃんの生存確認をしに行ってみた。
というのも、先週末に訪れた際、そのタキちゃんの体の両サイドに、まるで辻斬りに遭って袈裟掛けに斬られたような痛々しくも生々しい傷があったのだ。
ふとそばを見ると、わりと大きなゴマウツボの姿が。
ひょっとしてタキちゃん、ウツボに咬みつかれてゲットされる寸前のところをかいくぐり、ギリギリのところで虎口ならぬ鱓口からの脱出を果たした際に傷ついたのではあるまいか。
本能のおもむくままにウツボにクリーニング行動をしようとしたのはいいけれど、存在激レアにつきクリーナー認定ができていないウツボは、これ幸いとばかりにガブリとやったのかも……。
傷はかなり深く、ダメージが大きそうだったから、これはもう長くは保たないかも。
はたしてタキちゃん、5日経ってどうなっているだろう?
すると……
健在!!
左側には中央部にザックリ刻まれていた深く痛々しい傷も、ほとんど癒えているようだ。
では反対側は……
右側中央部にもあったと記憶している傷はすっかり癒え、エラのあたりの深い傷も、すでに痕跡程度になっている。
ここまで回復しているとなると、傷が生々しかった先週末時点での姿と比較したいところ。
しかし実はその時、本来その根が目的地ではなかったはずの巨匠コスゲさんがロストヒズウェイでたまたまそこにいらっしゃったので、傷だらけながらも存在はレアなタキちゃんをご覧いただいた。
そのため巨匠の邪魔をするわけにはいかないからワタシは撮ってないけれど、巨匠は傷だらけの人生真っ只中のタキちゃんの姿をしっかり撮っておられるはず。
巨匠の半径3メートルくらいにいらっしゃる方は、是非彼からタキちゃんの痛々しい姿を見せてもらってください。
それにしても、魚たちの治癒力ときたら!
母なる海はなにげに厳しいサバイバル環境だから、煌びやかに群れ集っているように見える小魚たちも1匹1匹注視してみると、なかにはかなりの傷を負っていたり、相当の深手からなんとか立ち直っているものの、ヒレや背中の一部が欠損してしまっているものを目にする機会もよくある。
どれもこれも、ヒトだったら鏡で自分の傷を見たら生きる気力を無くしてしまうかもしれないところ、「生きる!」ことに全力を尽くす彼らは、その程度の傷など自力で癒してしまえるのだ。
一寸の虫にも五分の魂と昔からよく言うけれど、実はその魂、ヒトなんかより遥かに強く逞しいのかもしれない。
2020年09月24日
渡り蟹。
2020年 9月23日(水) 晴れのち夕刻雨
北東の風 やや波あり 水温28度
8月下旬から9月にかけて度重なった台風のせいで、今もなお洋上には本島由来っぽいゴミが大量に浮遊している。
潮や風の加減でそれらがちょくちょく水納島のリーフ際あたりに集まってしまうこともあって、ビニール袋やプラスチックごみなど、世界中で問題になっているものも数多い。
なかにはボートのスクリューに絡みついたらとんでもないことになりそうな巨大なゴミもあるので、回収可能な場合は引き上げて陸上でゴミ出しすることもある。
先日は、どこから流れてきたのか、工事現場の資材運搬用巨大袋が波間にたゆたいながら、洋上に停めてあるうちのボートに近づいてきたので、仕方なく回収した。
するとそこに……
こんなカニがついていた。
甲幅15ミリほどの、おそらくはガザミ(ワタリガニ)系と思われるカニだ。
このように漂流物を拠り所にして、アテも無く大洋をさすらうあたり、さすが渡り蟹。
~♪
赤い夕陽よ 燃えおちて
海を流れて どこへゆく
ゴミにくっつき あてもなく
夜にまぎれて 消えてゆく……
でも渡り鳥がギターを持てば映画になるけど、「ゴミについてる渡り蟹」じゃあヒーローにはなれないだろうなぁ…。
残念ながら種類がさっぱりわからないから、これがオトナサイズなのか稚ガニなのかもわからない。
世の中のカニスペシャリストのみなさん(カニを食べるために15万円かけるヒトという意味ではない)、このカニの正体テルアスプリーズ。
2020年09月23日
お手軽ワイルドライフ。
2020年 9月22日(火) 朝雨パラパラのちおおむね晴れ
北東の風 時化模様のち波あり 水温28度
前日の予報では、この日は昨日に増して時化時化状態になるようで、こうなるともうボートダイビングは諦めるしかない。
夜が明けて桟橋まで様子を見に行ってみると、夜のうち若干おさまっていたためか、まだ予報が告げていたほどではない。
朝6時スタートだったら1本潜れたかも。
残念ながらそれを見越して前日にそんな予定を立てられるはずはなし、早朝でこれなら日が高くなるにつれさらに風浪は増してくるだろうなぁ。
というわけで、宿の朝食時間に合わせ、とりあえず現況ではボートダイビングを見合わせる旨お伝えした後は、1日たっぷり時間が空いた。
…はずだったのだけど。
9時を過ぎても波の音は強まらず、念のために様子を見に行ってみると、なんだか潜りに行けそうな感じ。
そこで急遽10時からスタートでダイビング可能情報をゲストのみなさんに伝え、マサエ農園畑1号でサトイモ掘りをしていたオタマサにも伝えてから、にわかにダイビングモードに変身。
その後やや風が吹いてきた午前中こそ侮れない波だったけれど、午後はフツーに波がある秋の通常モードといったところ。
北寄りの風だからか午前午後とも水は上々で、流れはゆるやか、日差しが海底の白砂を照らすなかグルクンたちが泳いでいく、なんとも心地いい海中世界だった。
ところで、北寄りの風による時化予報のときは、連絡船側のバースにうちのボートを停めさせてもらっている。
現在そこには……
ミジュン&ハララーが蠢いている。
桟橋の西側に比べてこちら側は水深があるからか、どっしり密度の高い群れをキープし続けているミジュンたち。
例によってカメラだけ水に浸けてみると……
水面直下から魚群が。
泊地は砂濁りしているからさほどクリアには見えないものの、それでもこの密度となるとカメラだけじゃなく体も浸けて直に観てみたい。
ゲストが1人また1人と桟橋に降りてくる間、3点セットをつけてソロリと海中を覗いてみた。
この表層付近では小柄なハララーがもっぱらなのだけど、この下層では2周りほど大きなミジュンが圧倒的な存在感を誇っていた。
わりと体高がある10センチ以上の魚の群れが一斉に急速ターンする動きは見事で、水深2メートルのところを20メートルに、そして1匹1匹が50センチくらいの魚だと脳内変換すれば、思わず「Wild Life…」と英語発音でつぶやいてしまいそうになる。
この日予報どおりずっと時化時化でダイビングが不可となれば、こうしてテキトーにコンデジで撮るんじゃなく、フィッシュアイレンズ装備のカメラを手にタンク1本まるまる使ってこの群れと遊ぼうと思っていたのに、なんてことだ、海況は鎮まっちゃったじゃないか。
ま、そのおかげで、売り上げゼロにもかかわらず夕刻酒だけ飲むなどという不毛な時間を過ごさなくて済んだのだし、到着しただけで1本も潜らずに島を発つことになるところだったゲストも無事海中世界のヒトになれたのだから、海神様には感謝を捧げよう。
2020年09月22日
ヤッコエイの置き土産。
2020年 9月21日(月) おおむね晴れ
北東の風 時化模様
12日、13日の週末を中心とした10日間はすこぶるつきのノーストレス週間だったことは、拙日記上でも散々伝えてきたとおり。
そして、この分だと連休はおそらく……
…という懸念は見事に的中、この日連絡船は朝から全便欠航とあいなった。
各地ではこの連休の人出が予想を超えて多くなっているらしく、早くも喉元を過ぎて暑さを忘れた人たちが、我も我もとあちこちにお出かけしているらしい。
前日は水納島にも大勢のお客さんが来島していた。
それでも例年に比べればそれほどでもない客数ながら、久しぶりに桟橋上にヒトが溢れている様子を見るにつけ、この先コロナ収束後の通常モードになってしまったら、ワタシはもう耐えられないだろうことがよくわかった。
もういいや、ずっとコロナで。
むしろコロナ禍よりも風禍で息の根を止められそうな当店ではあるけれど、連休がこうなることは先週の段階で予想と覚悟はできていた。
で、この日の時化&欠航は前日からわかっていたことで、翌日にはおさまる予報だったから、誰も慌てないで済むはずだった。
ところが。
一夜明けた天気予報は、翌日も引き続き時化模様になると告げていた。
これは……連絡船の欠航間違いなしだ。
となると、翌日島からお帰りになる予定だったゲストの方々が大ピンチ。
夜明け後しばらくして海の様子を見に行ってみたところ、時化模様はいったん収まっていて、時系列予報でも、lこの日早朝は唯一風が収まる時間帯になっていた。
遅くとも明日の朝までに島を出なければならないのなら、チャンスはこの日朝しかなさそうだ。
というわけで、とるものもとりあえず的に帰り支度を済ませた巨匠コスゲさんとMihoさんのお2人を、ミスクロワッサンにて渡久地港まで運ぶことに。
幸いにも行きの時点ではまださほどの風ではなかったから、ビショビショになることなくなんとか渡久地港に到着。
そしてこの日連絡船が欠航していて島に渡れない状態だった海の男ハールゥを乗せ、再び島に戻ってきた頃には、洋上はウサギさんがミジュンの群れなみの大群を作っていたのだった。
ギリギリセーフ。
話はまったく変わる。
まだこんなことになるとは夢にも思っていなかった19日のこと。
カメラを抱えて泳いでいると、眼下の砂底にお馴染みの形が見えた。
砂に埋もれて隠れていたヤッコエイが去った跡だ。
まだエイの形がハッキリクッキリ残っているから、去ったばかりくらいなのだろう。
でもそれにしては、早くも跡地(?)になにやら物体がある。
はてなんだろう?
あ、ウンコ!!
去ったばかりっぽいところといい、位置といい、これってやっぱり……
ヤッコエイのウンコ?
昔から馴染みの魚ではあるけれど、その糞を観るのは初めてだ。
せっかくの機会なので、別角度から。
自分の跡形にクソを残していくなんて、なんだか昭和の空き巣みたい……。
Posted by クロワッサン at
07:53
│Comments(2)
2020年09月21日
三文の徳。
2020年 9月20日(日) 曇りのち雨のち曇り
南東のち北東の風 おだやかのち波あり夜から時化模様 水温28度
この日は本島日帰りショップが100人規模で連絡船の臨時便を必要とするほどの大盛況確約デーで、連絡船としても2ヵ月ぶりの商売繁盛笹もってこい状態になっていた。
が。
前線通過後の北寄りの風が、連絡船の運航をストップさせること確実な予報が。
問題は、その強風がいつ頃から吹き始めるか。
詳細にわたって予報してくれる民間気象予報サイトでは日ごとにそのタイミングが変わってくるため、直前までハッキリした運航予定は定まらなかったのだけど、前日にはほぼほぼ確定していた。
水納島発13時をもって最終便とす。
それなら、時化始めるのがたとえ15時くらいであっても対応可ということだ。
ただし予定は決めても予報は当日変わるかもしれず、とりあえず確実なのは朝イチの便。
そこで、翌日欠航確実のためにこの日返らなければならないゲストもいらっしゃることだし、万一に備えるためにも、この日の1本目は朝7時からとした。
それに合わせて朝の準備をするには、5時起床。いろいろやっているうちに時間は過ぎるため、前日は「NO TIME」だったのだ。
しかしその甲斐あって、ダイビングの準備のために桟橋に降りると……
モーニングレインボー♪
太陽は背後にあるにもかかわらず、なんだか西の空に夕日があるかのような趣になっていて、ほぼ半円形の立派な虹だったため、コンデジの画角じゃ入りきらなかった(しかもホントは外側にもうひとつ)。
早起きは三文の徳とはよくいったものだ……。
しかし三文の徳の本番はレインボーではなかった。
後半は小雨も降るベタ凪ぎの早朝の海では、みんながいるところにこの方が登場。
写真提供:めぐみさん
頭にチョンマゲ風にコバンザメを載せているマダラトビエイ。
水納島で出会うマダラトビエイとしては大きな個体で、みんながグルクン若魚やスカテンに見入っているときにふいにやってきた。
みなさんに気づいてもらえた頃にはその場を去ろうとしていたのだけれど、なにを思ったのかそのまま去らずにゆっくり反転、再びみなさんの眼前に戻ってきてくれて、悠然と泳ぎ去っていったのだった。
その雄姿に見とれていると、後方から猛獣シマウマさんが猛然ダッシュ。
平均年齢が上昇し、ワビサビ的枯れたダイビングになっている当店では滅多に見られない、大物発見直ちにダッシュ!!という往年の「正しいダイバー」の姿が妙に懐かしい……。
2本目は雨が降りしきる中になってしまったけれど、メインイベンターとしては申し分ないマダラトビエイの登場は、やはり三文の徳だったのだろう。
2020年09月20日
2020年09月19日
ハララーは誰?
2020年 9月18日(金) 晴れ
南の風 波あり 水温28度
キャパシティの小さな当店のこと、この9月の連休もおかげさまで随分早いうちから「満員御礼」になっていた。
ところがコロナ禍のために先月になって連休中のキャンセルがポコポコッと出たので、「満員御礼」表示を消しておくことにした。
それらは普段誰も目にしてくれない「シーズン情報」ページにて通知しているのだけれど、なかにはめざとくその変化に気づく方もいらっしゃった。
「シーズン情報を見たら満員だったところに空きが出たようなんですけど、予約できますか?」
もちろん空いているので、ご予約完了。
そしてこの日、予定どおり朝イチの便にてご到着されたその方とは……
ご存知巨匠コスゲさん。
前世紀の99年の初来島以来毎年欠かさずお越しくださっている古参のゲストでもある彼だけど、年に3度のご来島は、20年を超えるその歴史のなかで初めてのことだ。
そんな彼を、桟橋脇のハララーやミジュンたちが大歓迎してくれた。
なにしろ桟橋に横付けしている船からコンデジをちょっと水に浸けて撮っただけで……
この密集度。
水面下50センチでこの世界である。
この日の夕刻、巨匠が巨群と戯れまくっておられたのはいうまでもない。
ところで、こうして集まっているハララーたち、ハララーとはこちらの方言名で、ホントの和名はヤクシマイワシだということを、かつて誰かからご教示をいただいて以来、ずっとそのようにお伝えしてきた。
ところが先ごろ巨匠がSNS上で「ヤクシマイワシ」という名とともに写真をアップしていたところ、
「ヤクシマイワシではないですよ」
というレスポンスがあったという。
その方は西表にこのヒトありと知られるスーパーガイドさんで、少なくともワタシより遥かに圧倒的にアテになる知識の持ち主だから、きっとヤクシマイワシではないのだろう。
長らくヤクシマイワシと思っていたハララー、その正体はいったい誰??
テルアスプリーズ。
2020年09月18日
ベテラン再生。
2020年 9月17日(木) 晴れ
南の風 波あり
秘密基地にて一泊し、朝イチの連絡船で島に帰還。
日中はあまりにも暑いので最終便が島を出るまでのんびり過ごし、午後遅くは草刈り&ガメ公の散歩と、休日にしかできないことをやっておいた。
暑い暑いと思っていたら、今夏の北半球は史上最も暑い夏だったそうな。
そんな暑いさなかに、住居側のクーラーの効きがガクンと落ちてしまった。
設置から17年経つのだし、今まで生き延びているだけでもキセキのようなものながら、室外機は動いているし、一応冷風は出ているというのに、なんでだろう?
それは風力のモンダイだった。
クーラーはちゃんと機能しようと頑張っているにもかかわらず、冷たい風を送り出す能力が格段に低下してしまっているのだ。
しかし室内機内部にある送風用の筒は、一生懸命クルクル回り続けている。
なのになぜ??
あ、ひょっとして……。
台所に換気扇が無い仮設住宅暮らしの我が家のこと、毎日毎日台所で調理をしていると、その油分は上方へと流れ、天井から50センチほどまで満遍なく行き渡ることになる。
17年選手のクーラーのこと、送風口の扉のツメがとっくの昔に利かなくなっているため、扉は針金で引っ掛けて常時開けっ放しにしてあるから、油分は内部にまで隈なく行き渡っていることだろう。
そこで、換気扇の油汚れ落とし用マジックリンを送風用筒に直接吹き付け、しばらく時を置いてから、送風用筒の隙間という隙間を綿棒でこすってみた。
すると、角質ケア用ジェルの小汚いCMさながら、油汚れがゴッソリ。
さっそくクーラーをつけてみると……
あら、力強い涼風が!!
風のある日の夕刻、外より暑い部屋よ、さらば。
寝苦しい夜よ、さらばさらば。
そろそろ寿命かな…と諦めかけていたところ、まるで野村再生工場で息を吹き返したベテラン選手ばりに働くようになったクーラーなのだった。
聞くところによると、お勝手に据えてあるクーラーは特にこのような症状に見舞われるため、せめて3年に1回くらいは送風筒を掃除してあげなければならないらしい。
それを17年、ここで暮らすようになってからでも9年間放置プレイだったのだもの(フィルターや冷却フィンは毎年掃除してましたけど…)、油汚れが溜まらないはずはない。
人の体も家電製品も、長生きのためには日々のケアが大事なのである。
2020年09月17日
やっぱり持っていた。
2020年 9月9日(水) 晴れところどころ雨
南の風 おだやかのち波あり
仕事柄ウェットスーツは年に一度新調しておかなければならない。
寒くなる季節の前に作っておかないと、いざ水温が低下したときに穴だらけのスーツしかない…なんて悲惨な事態になる。
採寸データや生地のチョイスなどは先方に記録が残っているから、本来であれば電話1本で作ってもらえるところではあるのだけれど、電話だけだとどうしても「誤解」が生じるので、できることならお店に直接伺いたい。
というわけでこの日は北谷のスナベマリンまで、実に7カ月ぶりに名護よりも南方に足を運ぶことにしていた。
未来永劫果て無く道路工事を続けていそうな沖縄県のこと、7カ月ぶりだと、ひょっとしたら恩納村あたりから北谷まで続く海底トンネルができていたりして……
なんてドキドキしていたら、さすがにそんなことはなかった。
県内が緊急事態宣言中は店舗営業はクローズだったスナベマリンさんも、今月から通常営業しているようだし、定休日は日曜だから、最大の目的方面でまさかの事態はなく、無事にウェットスーツのオーダーを済ますことができた。
ただし。
7カ月ぶりに名護より南に足を延ばしはしても、まだイートイン外食は避けていたいから、ランチの時間はテイクアウトができるところで、と決めていた。
お昼時にちょうど通りかかるあたりでテイクアウトといえば……
そうだ、久しぶりに恩納村のシーサイドドライブインに行こう!
バイパスに乗ってしまって通り過ぎてしまうなどということもなく、無駄なく最短コースで海辺のお店に到着。
すると、広い駐車場入り口にはロープが張り巡らされ、店舗の前には……
「本日定休日」
の巨大な看板が……。
24時間営業の店だから年中無休なのかと思い込んでいたら、定休日があったのね……。
その後北上して、名護にて通常の買い物タイムになり、オタマサのお買い物ルーティンコースのひとつであるやんばるファーマーズマーケットに寄ると……
「本日定休日」。
毎週水曜というわけではなく、月に2回しかないお休みの日に当たってしまったのだ。
事ここに至ると、スナベマリンがこの日通常営業だったことが奇跡にさえ思えてくる……。
そんなわけで、相変わらず自らのパワーに恐怖した我々ではあったのだけど、だからといって連休の海況・お天気が芳しくなさそうなことまで責任を転嫁してはいけません。
台風11号がまったく無縁だからノーマークかもしれないのんきな方もいらっしゃるかもしれないから念のために言っておくと、今現在の予報どおりだと、20日、21日の連絡船の運航はヤバいです。
運航がヤバいくらいだと、ダイビングもヤバいです。
笑ってしまうくらいに連休ど真ん中!!
ご予定変更可能な方は、今のうちにプランB、Cのご準備を…。
2020年09月16日
カメ三昧(珍含む)。
2020年 9月15日(火) 晴れ
南西の風 おだやか 水温27度~28度
例年、9月が夏の顔を見せ続けてくれるのは前半まで。
その前半ギリギリのこの日に予約をいただいていたのは、ご存知電車でGO!。
このところお忍びで来島されることが多かったA木総裁だったけれど、今回は久しぶりに電車ごっこができるくらいの多人数でご来島。
とはいえ全員20代の青年たちだった若きチームも今は昔、すっかりオッサン化して、女性が参加するなんてことは未来永劫無いにしても、若返りすら厳しかろうなぁ……
…と思いきや。
今回新たに参加されることになったTさんは、なんと来月で22歳の新進気鋭!!
そんな彼が人生初の体験ダイビングをするにあたり、先輩電車マニアさんたちは後輩をあたたかく見守る。
…もちろん指さし確認で。
このときはダイビングをなさらないKさんも乗船されていて、彼らがこうして潜っている間、トライアスリートばりの泳力を活かして泳ぎ倒されていたのだけれど、何を思ったか潜っている方々に合図を送ったかと思うと、海パンを脱ぎ捨ててフルチンスイマーになっていたりする。
京〇電鉄、ヤバい会社かもしれません……。
ダイビング冒頭に、いきなり珍カメを見せられる羽目になった面々ではあったけれど。
この日の海神様は優しかった。だってまだ9月前半だから。
なんとアオウミガメが、再三にわたって登場してくれたのだ。
なので人生初の体験ダイビング中のTさん、先ほどは思わずピースサインだったけれど……
キチンと指さし確認。
そして見守る先輩方も……
やっぱり指差し確認。
京〇電鉄、基本はしっかり押さえているのだ。
それにしても、今年はウミガメとの遭遇機会が激減しているうえに、フレンドリーな子とは全然会えなくなっていたのに、この日を狙いすましたかのような登場に、我々自身も驚いた。
Tさんには人生初の体験ダイビングを楽しんでいただけたらしく、午後もう一度やりたい、ということで都合2度のダイビング。
アフターダイビングはもちろん、総裁マシンでマリンレジャーに勤しむみなさん。
暑いさなかに汗水たらして浜辺で野球をしていたひと昔前の電車でGO!とは違い、さすがオトナのバケーション、遊び方がゴージャスになっているのだ。
そして夕刻はもちろん……
お酒でGO!
日中たっぷり楽しんだあとの夕方の酒って、なんでこう美味しいんだろう……。
総裁の故郷南アフリカの数々のワイン、ご馳走さまです。
来たる連休を前に翌日翌々日とお休みを頂戴している我々にとっても、9月前半をシメる素敵な夕べとなったのだった。
2020年09月15日
DESIRE。
2020年 9月14日(月) 雲は多いけれどおおむね晴れ
北東の風 ほんの少し波あり 水温27度~28度
アベソーリが返り咲きを果たすことになったかつての自民党総裁選では、決選投票になる前の1次投票の時点で単独トップだったイシバ氏ゲール、いつの間にかただの党内嫌われ者になっていたのだなぁ……。
彼が生きる道はもはや自民党外にしかなさそうなんだけど、そこまでやり切る覚悟と勇気は無さそう。
それを考えると、オザワ氏は勇気のヒトだったのか……
…なんて言っているうちに、スガあらためスカ官房長官が、ついに総理大臣になってしまうこととなった。
ソーリになった途端、スガあらためスカがサスガ!というほどに変身したら、それはそれで官房長官時代に無能を装っていたということになり、いかにアベソーリのことがキライだったかということがあからさまになりそう。
そうではなく官房長官時と大して変わらないスカのままでいられてもなぁ…。
そういえば。
彼が今ほど「大物」になる前、衆院選に際して彼の選挙区内の票田への挨拶周りに自身がこまめに足を運んでいた頃のこと。
票田のひとつ、檀家を大勢かかえるとある古刹にも足を運び、お寺の代表者と面談、支援をお願いしたそうな。
しかし相手が悪かった。
マスコミ相手のように原稿棒読みコメントで済むはずはなく、お堂で正座をさせられコンコンと説教をされること1時間、言わていることがいちいちもっともであるだけに反論もできず、一方的に言いくるめられてただただ頭を下げ続けていなければならない羽目になってしまったスカ氏。
彼は以後、どんなに大事な選挙であろうとも、二度とそのお寺に挨拶には来なくなったという(秘書だか誰だか代理人を寄こすようになったそうな…)。
何も知らなかった彼が無謀にも挨拶に伺ってしまったお坊さんとは、ご存知バトルボーズさんである。
スカソーリ誕生の背景には、フィクサー気取りでありながらお隣の大陸にキン〇マを握られているとしか思えない2F氏や、財務省の操り人形アアソウ?氏などの党内実力者が蠢いているようだけど、スカ氏がソーリでいるかぎり、これからの日本を動かすのは、ひょっとするとバトルボーズさんかもしれない。
バトルボーズさん、スカソーリがヘタを打ったら、またお堂に呼び出して5時間くらい説教してやってください。
話は変わる。
この日も海神様に祝福された海で呑気に潜っていると、タキベラのチビと出会った。
まだ5センチほどの小さな幼魚サイズのタキベラ、ところがすでにその体色は、早くもタキベラの青春時代色になっていた。
タキベラのチビから若いオトナまでの体色の変遷については、こちらをご覧ください。
水揚げされて真っ赤になっている状態を除き、その生涯の中で最も派手な色彩時代といってもいいキレンジャー時代は、10センチ前後のサイズの頃だとばかり思っていたのだけれど、こんな小さな頃から黄色くなるのですね、タキベラ。
尾ビレの付け根あたりにまだ白い点が残っているあたりが幼魚の名残りで、この段階のチビに会うのは初めてだ。
タキベラは水納島ではもともと個体数が少ないから、幼魚に出会う機会すらなかなか無いことを思えば、これまた一生に一度級バージョンかもしれない。
個体数が少ないといえば。
タキベラと名前が似ているけれどまったく別のグループのベラに、シラタキベラがいる。
砂地の根の中層で、流れてくるプランクトンを食べている姿をよく見かける。
…とずっと思っていた。
なので、いろいろな図鑑に「日本ではやや稀」とか「稀種」などと書かれてあるのを見て、こんなにフツーにいるのになぜ??と首を捻っていたものだった。
たしかにそれぞれの根で観られる数は少ないけれど、稀というほどではないのになぁ…。
そのヒミツに、今年ついに気がついてしまった。
今年も春から6月初旬までは、例によっていつものごとくシラタキベラが砂地の根で元気に泳いでいた。
「幻」のシラタキベラダマシの脇役として、立派にその使命を果たしていたのだ。
ところが水温が「夏」になると、いつの間にやらシラタキベラ、少なくともオスの姿はどこにも見当たらなくなってしまった。
ひとつの根の話ではなく、あまりにも見当たらないので潜るたびにいろんな根をサーチしたのだけれど、その姿はどこにもない。
初夏まではあれほどフツーに観ていたのに……。
それが今月、相次ぐ台風襲来のあと久しぶりに潜ったら……
いた。
初夏までのようにどこの根でも…というほどではないにしろ、それまでどこを探しても見当たらなかったオスの姿が帰ってきていた。
ひょっとしてシラタキベラ、夏の高水温時には深い深いところで暮らしていて、水温が程よくなると浅いところに暮らしの場を変えるのだろうか。
夏に観られないんだもの、「稀」と言われるのももっともだ。
なんてことだ、ベラ類なんて少なくとも当サイトでは誰も見向きもしないというのに、この3日間で都合4種類も紹介してしまった。
さぞかし「やりきれないほど退屈な時があるわ」ということになってしまったことだろう。
でも
ベラッ、ベラッ、ベラッ、ベラッ、Burning Love~~~~♪
(Get up がゲラッて聴こえるので……)
2020年09月14日
一生に一度級の普通種。
2020年 9月13日(日) おおむね晴れ
南西の風 少しうねりあり 水温28度
時系列の天気予報上では雨マークがありつつも、実際はまったく雨に祟られることなく、この日も平穏な1日に。
海中は相変わらずヒトに優しく、このままノーストレスが続けば、誰もが脳内豆腐状態になってしまうことだろう。
でも心配御無用。
やがて緊張状態を必要とする日々がやって来るのは間違いない。
さて。
昨日は種類自体が珍しいベラだったけれど、本日ご紹介するベラは、種類自体はまったく珍しくない。
でも個人的にたいそう盛り上がったのがこちら。
幼魚模様からオトナ模様に変わる途中段階のケサガケベラ!
ちなみにケサガケベラのチビターレは……
黒っぽい地に鮮やかな黄色い点々模様。
それがオトナになると……
「袈裟掛け」ベラに。
似た仲間のモンツキベラやスミツキベラほど多くはないものの、けっして珍しいわけではないオトナはもちろん、チビターレも初夏から夏の間、リーフ際の暗がりなどを覗き込めば、出会う機会はある。
でもその中間段階となると、その状態でいる期間がかなり短いのか、観たいからといってそうそう会えるわけではなく、しかもカメラを携えて潜っている時となると絶望的な遭遇率の低さになる。
変態社会御用達の「ベラ&ブダイ図鑑」でも、ケサガケベラの中間段階の写真は著者以外の方の写真が使用されていることからみても、その遭遇チャンスの少なさがうかがえる。
そんな中間段階と、ついにカメラを手にしているときに遭遇!
ある意味、一生に一度級かもしれない?
2020年09月13日
ベラ、三ヵ月会わずば刮目して見よ。
2020年 9月12日(土) 雲は多いけれどおおむね晴れ
南西の風 少し波あり 水温28度
いわゆる不安定なお天気のために空には雨雲になりそうな雲もときおり広がってはいたものの、おおむね良好なお天気で、どうやら今週末は平和に暮らせそうだ。
海中もずいぶん穏やかで、こんなに流れが無くていいんだろうかってなくらいにヒトに優しい。
台風とは無縁なお天気といい、海中のコンディションといい、今週末は大当たりだったようだ。
そんな「大当たり」がいつまでも続くはずはない。
そしてローテーション的にも、来週の連休は「大ハズレ」になる可能性が高い。
ハッピーマンデー方式の人為的(?)連休などなければ、ゲストのご予約は今週と来週にほどよく分散されていたろうになぁ…。
さて、その大当たりノーストレスの海を満喫するのはオーバーザ還暦コンビのベテランダイバーお2人。
午後のガイドはオタマサ担当なので、ワタシはカメラを携えてフラフラ潜っていた。
すると……
おおッ!
まだ全国が緊急事態だったおかげで平和なひとときを満喫していた6月に出会った、タキベラ属の一種の姿が!!
6月のその後は1、2度再会できたものの、その月のうちに姿を消してしまった……
……と思っていたのだけれど。
まったく同じ根だし、一生に一度級が2匹も3匹もいるとは思えないし、パッと見のイメージはさほど変わらないけれど、前回に比べて大きい。
フツーに考えて、同じ個体に間違いない。
細部を前回と見比べてみると、尾ビレの黒い染みが薄くなっていて、腹ビレの赤い模様はより一層クッキリハッキリしている。
初遭遇から3ヵ月経って、ほぼオトナになったようだ。
本来の居場所ではないのだろうに、ひと夏じゅうずっと頑張っていたのか……。
3か月前は逃げてばかりいたのに、随分とフレンドリーというか馴れ馴れしいというか、彼のほうからカメラに近寄って来るほど。
しっかりカメラ目線なのがおわかりいただけますか?
この3ヵ月、同じ仲間と一度も出会うことなく過ごしてきた彼にとって、カメラのポート面に映る鏡像は、初めて出会う「本能を呼び覚ます仲間」だったのかもしれない。
2020年09月12日
夏の帰還。
2020年 9月11日(金) 晴れ
南東の風 少し波あり 水温27度~28度
前日はいつ雨が降ってもおかしくないくらい雲が広がる時間帯があったけれど、この日は朝から快調。
連絡船が到着した後でもがら空きのビーチは、連絡船到着前は……
「17才」が聴こえてきそうなほどに誰もいない海。
ビーチには誰もいない代わりに、桟橋脇の海の中には……
ハララーの大群が復活(写ってはいないけどミジュンも群れている模様)。
そんな抜群のシチュエーションのなか、本日貸切状態となってバカンスを満喫されているのは、ご存知H田パパさん。
ボート上から魚群を目にした彼は、ドボンと飛び込んで群れの中へ。
しかし……
「やっぱりマスクが無いと何も見えませんねぇ!アハッアハハハハ!!」
と呵々大笑。
マスクをしていなければ何も見えないことなど火を見る前の小学生でも明らかなことなんだけど、還暦オーバーのいいオトナを思わずそんな衝動に駆らせてしまう、バッチグー太郎のコンディション。
もちろんのこと海中もさすが小潮、流れも無く濁りも無く快適このうえなく、H田パパさんは海の中でも呵々大笑なのだった。
束の間かもしれないけれど、「夏」が還ってきた。
2020年09月11日
オリビアを撮りながら。
2020年 9月10日(木) 晴れ時々曇り
南西の風 少し波あり 水温27度
前日は台風が去ってから3日目にもかかわらず、水はそれなりに濁っているし、海面海中に本島由来のゴミがわんさかプカプカしていて閉口したものだった。
前回の9号の際に大量の雨で流れ出たものと合わさって漂い続けているゴミたちが、潮や風の加減で集まっていたのだろう。
この日もまだその影響が残っているか……
…と覚悟して臨んだところ、これがまた今シーズン屈指のスッキリ度。
おまけに天気予報大ハズレの快晴状態になって、まさかの砂底太陽光キラキラダンスまで味わうことができてしまった。
流れもほとんどなく、水はクリア、魚たちはまだ夏状態、そしてリーフ際にはキビナゴも大量に戻ってきた夏の水納島感満載の海に、ゲストの2人のおじさんたちは、口を揃えて
「気持ちよかったぁ!」
を連発されていたのだった。
水温は低いけど。
そんなグッドコンディションとは真逆だった前日は、雨模様の曇り空&濁っているために、海中は時にライトが必要なほど暗かった。
暗いときには、エビカニたちが活発になる。
そんな期待を込めていたオタマサが発見したのがこのエビ。
撮影:オタマサ
なんとオリビアシュリンプ!!
同じ仲間のサンゴモエビ系では、サンゴモエビやフシウデサンゴモエビが水納島ではフツーに観られるけれど、このオリビアシュリンプは八重山だったか宮古だったかで随分昔に初めて見つかって以来、一度として出会ったことがない。
それもそのはず、そもそも分布の中心はインド洋~西太平洋の熱帯海域あたりらしく、彼らの分布域からすれば沖縄、それも本島地方は辺境も辺境なのだ。
そのためフィリピンあたりでは定番だそうで、エビバイブル「サンゴ礁のエビガイドブック」では、「日本では八重山諸島で観察されている」と記されており、和名はいまだつけられていない。
変態社会では、「死ぬまでに一度は会っておきたいエビ」のひとつとしてランクインしているほどなのだ。
そんなオリビアシュリンプと、ついに初遭遇!!
……オタマサだけだけど。
ニクイロクダヤギの枝間にいたそうで、本来夜行性の彼らは、明るい日中には奥の奥に潜んでいるのだろう。
でもこの日はあいにくの濁り水&曇り空。
ダイビングのコンディション的には「あいにく」ではあったけれど、このテのエビちゃんとの遭遇にはうってつけの環境ではあったのだ。
後刻このエビちゃんの正体が本当にオリビアシュリンプだと判明してからのオタマサが、ずっと杏里の歌を口ずさんでいたのはいうまでもない。