2021年11月30日

銀河鉄道の夜。

2021年 11月29日(月) 曇り

東の風 波あり

 そろそろ台風になろうかという熱帯低気圧が、ジワジワ北上してきているようだ。
 
 たとえ台風になろうとも、季節風をもたらす気圧配置が東方へ蹴飛ばしてくれるから、沖縄方面に直接の害はないとはいえ、その季節風との合わせ技が長引くことになりそうな気配が…。
 
 それにしても、朝晩はめっきり冷え込むようになって、シャカパンまで出動させているというのに「熱帯」低気圧だなんて。
 
 まるで昭和のニッポンで真冬のさなかに日焼けした体にアロハを着て近所を歩いている、ハワイ旅行帰りの成金オッサンなみの場違い感ではないか。
 
 とりあえず先日買い出しした分であと10日は大丈夫だし(ビールも含めて)、ボートは上架させたままだから、この先一週間欠航が続いても当面モンダイはない。
 
 そうそう、ビールといえば!
 
 先月末から今月頭にかけて、望外のビールバブルになっていた。
 
 昨年、今年となにひとつお役に立てていないにもかかわらず、クラシックさん、大量のクラシックをありがとうございました!
 
 サッポロクラシックは今やビール好きなら知らぬヒトとてない銘柄になっているけど、おそらく知らないヒトのほうが多いであろうビールを別方面から頂戴してしまった。
 
 パッと見はとてもビールとは思えなかったハコはこんな感じ。
 

 我々世代でこの絵柄を目にして何だかわからないヒトといったら、おそらく帰国子女くらいであろう銀河鉄道999。
 
 一瞬「銀河鉄道999」のDVD全話セットかと思いきや、メーテルが手にしているのはビールではないか。
 
 よく見ればハコには…
 

 メーテルのヴァイツェン!?
 
 ハコを開けてみよう。
 

 おお、ヘリオス酒造が誇るクラフトビールがズラリ勢揃い!
 
 メーテルのヴァイツェンはそのラインナップの一環だったのだ(でも999シリーズの醸造は岩手の醸造所らしい…)。
 
 おまけにメーテルだけではなく、車掌さんの姿まである。
 
 さっそく味わってみよう。
 
 まずはメーテル。
 

 苦みがあってこそビールだろう!というヒトの嗜好とは真逆のドイツの小麦ビール・ヴァイツェンながら、爽やかな飲み心地はメーテルにピッタリ。
 
 …って、メーテルが口の周りに泡をつけてる姿なんて想像したくないんですけど。
 
 一方車掌さんは…
 

 寒い季節にこそ飲みたい黒ビール。
 
 これからの季節にピッタリだ。
 
 …もうとっくに飲み切っちゃったけど。
 
 ~♪
 メーテル またひとつ 缶が空いてくよ~~
 
 それにしても、銀河鉄道999と銘打ちつつ、主人公の鉄郎がいないとはどういうわけだ?
 
 あ。
 
 鉄郎、未成年だった……。
 
 花井ケンコツに勧められた勢いで酒飲んで酔っ払って裸踊りしていたチエちゃんの時代とは違い、今のルール先行型人間味皆無の世知辛い世の中では、鉄郎がビール片手にポーズを決めるわけにはいかないか。
 
 鉄郎ももういい齢なんだし、そろそろトレーダー分岐点の酒場でミルクをオーダーしている場合じゃないぞ。
  


Posted by クロワッサン at 08:52Comments(2)世間の美味いもの

2021年11月29日

軽石で美白?

2021年 11月28日(日) 曇り時々日差し夜少し雨

東の風 荒れ模様

 前日に比べれば風は随分おさまっていたから、これなら連絡船も運航できそうだ。
 
 …2016年7月以前までの船なら。
 
 諸々の事情により港よりも先に船が大きくなってしまってからは、この程度の風での欠航はすっかり当たり前になってしまった。
 
 当初は「えッ!?」と驚いていた島のみなさんも、5年も経てばさすがに達観諦観の域に達しているからいちいち騒がない。
 
 でも今年はそれに加えて軽石による欠航も重なり、これがまた風が大丈夫な時に軽石でアウト、という悪循環になっている。
 
 これを書いているANAにキュン!の29日朝はおだやかな東~南東の風になり、満潮時の潮位が上がる潮ではないから水納港の軽石も悪さをしておらず、3日ぶりに運航できそう。
 
 しかし明日はどうなるかわからず、明後日は時化確定、その後も時化&軽石で運航予定はまったく不透明ということで、今朝7時すぎにはわざわざナカムラ船長自ら電話をかけてくれて、
 
 「買い物に行くんでしたら今日のうちに是非」
 
 と伝えてくれるほど。
 
 カネモトさんの時代からたびたびお伝えしていたように、わざわざ各家庭にそのようなアドバイスをしてくれる海運会社なんて、そうあるとは思えない。
 
 一方で、現在のように渡久地港を母港にしていると、風の状況にしろ軽石の塩梅にしろ、水納港の実際の様子がまったくわからないから、運航決定前に班長ヤスシさんやタツヤさんが港で風速を計ったり軽石の様子を観て、その場で船長とやりとりをしている。
 
 班長もタツヤさんも島外に出ているときはワタシにもそのお役目が来ることある。
 
 いってみれば、試練、不便をみんなのチカラで乗り切っているのだ。
 
 なんだかヤクルト・スワローズみたい…。
 
 これで風にも波にも強い新しい港が完成し、かつて欠航だらけだったのがウソのように便利な島になれば、島民は日本シリーズ優勝が決まったスワローズナインのように号泣するかもしれない。
 
 さてさて、その気になる軽石、この日運動を兼ねてカモメ岩の浜から桟橋までグルリと歩いた際に、例の砂山に登って見渡してみた。
 
 西。
 

 東。
 

 正面。
 

 砂山はなにげにわりと高いから、そこから見下ろすとたいした量には見えないかもしれないけれど、グランドレベル(?)で見ると…
 

 白い砂が見えている部分のほうが少ない。
 
 大潮時の強風による増減はあれど、絶えず供給が続いているため、根本的に無くなる見込みは当面まったくない。
 
 今のように過疎化が進む以前でさえ人力の限度を超えた量だというのに、人海戦術といっても総勢10名にも満たない現況では、もはやいかんともしがたい。
 
 …ということも踏まえ、先日は本部町長直々に、島の海岸の様子を視察に来ていた。
 
 たった15分のご滞在だけど。
 
 ところで、砂浜がこれほど黒灰色に染まると、白いボディだからこそ白い砂浜で目立たないミナミスナガニはどうなっちゃうんだろう?
 
 黒く染まった海岸だと、海辺でエサを漁るサギにどうぞ食べてくださいと言っているようなものだろうなぁ。
 
 産業革命後のイギリスで白い蛾が黒く変わったように、水納島のミナミスナガニも黒っぽくなったりして…。
 
 海岸をチョコマカ歩くシロチドリも、いずれクロチドリになるとか?
 

 あ、もともと背中は軽石色だからモンダイないか…。

 個人的にはむしろコロナ禍よりもやっかいすぎる軽石禍、再び↓この風景が観られる日は来るか?
 

 ビーチが黒いままだと、これまで白い砂の反射でいつも真っ黒に日焼けしていたリョウセイさんやタツヤさんが白くなったりして…。
  


Posted by クロワッサン at 09:36Comments(0)日々の徒然

2021年11月28日

波の谷間に命の花がたくさん並んで咲いている。

2021年 11月27日(土) おおむね晴れ 夜少し雨

北東の風 時化模様

 天気予報どおり、朝から時化模様。
 
 さすがにこの状況では、連絡船が動くかどうかと気を揉む必要すらない…というか、運航を期待する余地すらない。
 
 ところで、こんなに時化ている海を眺めているといつも思うのだけど、怒涛の波濤にさらされていているリーフ際の魚たちはどのように過ごしているのだろう。
 
 けっこう波があるけど潜りに行けないわけではない、という程度の波があるときですら、リーフエッジ付近はこんな感じになっている(撮ったのは先月です)。
 

 大きな波がたえず押し寄せるから、ここにいる魚たちは絶えず大きく上下に揺さぶられ続けている。
 
 なので、ホントならサンゴの周りでのんびりポリプをついばんでいたいテングカワハギたちも…
 

 …波が来るたびにサンゴの表面から集団でフワ~~~ッと引き剥がされ、宙を舞っていた。
 
 テングカワハギたちが束の間にせよサンゴからこんなに離れたところで集団でいるなんて、なにげに普段は観られないシーンだったりする。
 
 こんな状況下でもなおここにいて普段どおりの暮らしを続けようとする彼らは、今日のような大時化の日でも、波に翻弄されながら同じ場所で同じように暮らしているんだろうか?
 
 満潮時のシオマネキと同じくらい、どう過ごしているのか気になる…。 
  


Posted by クロワッサン at 08:10Comments(0)水納島の海

2021年11月27日

沈船ポイント。

2021年 11月26日(金) 晴れ

北東の風 波あり

 2日続けて通常運航!
 
 ああしかし。
 
 翌日土曜日は欠航確実の時化予報。
 
 その前の水曜日は軽石のために欠航していたから、燃やすゴミの日が2回機能停止してしまった。
 
 現在の予報だと来週水曜も欠航確実だから、さらにゴミが溜まっていく…。
 
 たったひとつだけ離島を抱える市町村として、そのあたりの事情に鑑み、連絡船欠航の場合は1日スライドとかなんとかならんもんですかね、本部町役場保健予防課。
 
 ゴミといえば。
 
 先日ビーチで潜っていた時、大きな廃棄物を発見した。
 

 分厚いFRP製の残骸といえば…
 
 …そう、例の座礁漁船だ。
 
 乗り上げていた船体はあらかた分解回収され、ほぼ跡形なく消え去ったと思いきや、回収業者の目を逃れた一部はリーフ内を転がり、ビーチにまでたどり着いていたようだ。
 
 ↑これなどはまだ奥行き80センチちょいほどだったけど……
 

 3日後に見つけた↑これなんて1メートル以上はある。
 
 先年久しぶりにビーチで潜られたかねやまんさんいわく「生命の気配が感じられない」茫漠たる海底で、立派に漁礁になれそうな…。
 
 まさか海水浴場に沈船ポイントが生まれるだなんて、夢にも思わなかったなぁ。
 
 というか、冬の北風の時化が続けば、気がつけばうちのボートを停めるあたりに転がってきそうな気が…。 
  


Posted by クロワッサン at 08:38Comments(0)水納島の海

2021年11月26日

激辛メリークリスマス。

2021年 11月25日(木) 晴れ

東のち北東の風 やや波あり

 時化&軽石で連絡船がなかなか運航してくれなかった今週、この日4日ぶりに通常運航となったおかげで、郵便物がようやく届いた。
 
 運航していた先週末には郵便配達が無いため、6日ぶりの配達となると、1日に届く喪中はがきの量もスゴイ……。
 
 さて、前回買い出ししてから2週間経ち、オクラやシブイ以外の食料も底をつきかけていたので、本島へ。
 
 オタマサが本部町内の農協で肥料を買うというので立ち寄ったところ、肥料コーナーにはちょくちょく訪れているというのに、初めて目にする光景があった。
 

 山盛りシークヮーサー。
 
 近寄ると、爽やかな香りがたちこめている。
 

 もう11月も下旬だからすっかり色づいているシークヮーサー、夏の青切りとは違って甘味も随分増しているから、加工用のものなのだろう。
 
 シークヮーサーといえば、水納島の各家の庭木も同じように色づいている。
 

 こんなにたくさんあるなら採り放題じゃないか!
 
 …と思わず目の色を変える方もいらっしゃるかもしれない。
 
 もちろん採り放題状態なんだけど、手の届く高さのところはすっかり取り尽くされていたりする。
 

 みなさんちゃんと利用しているのだ。
 
 でもすべての実を収穫して売り物にするわけじゃなし、必要な分チョコチョコ採っていたところで、1本の庭木に鈴生りのシークヮーサーを残らず消費できるはずもない。
 
 そのため他所から来た方が見ると、
 
 「もったいない…」
 
 ということになってしまうのだった。
 
 そうそう、鈴生りといえば。
 
 マサエ農園畑2号にも鈴生り状態のものが。
 
 こちら。
 

 辛い物が苦手な方なら、これをご覧になっただけで額に汗が浮かぶに違いない島とうがらし。
 
 現在マサエ農園畑2号には、鈴生り島とうがらしが3株あるから、遠目に見てもなかなかカラフルだ。
 
 強烈な辛さではあるけれど、ビジュアル的には「一足お先にメリークリスマス!」ってな感じ。
 
 ま、一足お先にもなにも、ホームセンターに行けばそこらじゅうでクリスマスだけど…。
  


Posted by クロワッサン at 08:06Comments(4)島の美味いもの

2021年11月25日

振り返れば奴がいる。

2021年 11月24日(水) 晴れ

北の風 荒れ模様のち波あり 水温24度くらい

 早朝こそ前日の余波を残していたものの、その後風はおさまる見込みで、桟橋脇の連絡船用バース側の軽石はまったく無いし、これだったら連絡船の運航にはなんのモンダイもない……
 
 …と思いきや。
 
 渡久地港のほうが大変なことになっていたらしい。
 
 軽石が入り込んでくるといつも溜まる警察の立派な船が停まっているあたりの角にどんどん溜まっていて、連絡船が停泊している浮桟橋のところにまで及んでいたようだ。
 
 というわけで、日中はダイビング日和といってもいい海況のなか、連絡船は本日も全便欠航。
 
 というか、先日軽石除去でがんばっていたユンボはどうしちゃったんだろう?
 
 とりあえず本部町役場のやり方は、困ったことが起きてから業者に発注、除去が完了したら撤収、という程度の、想像力の欠片も無い思考に基づいているようだ。
 
 ま、場当たり的といえば日本政府のお家芸なのだから、地方の役場に、それも行政能力全国ワースト1を争うであろうとワタシが信じる本部町役場にそれ以上のことを望むほうがムリというものか…。
 
 役場はヘナチョコでもお天気は上々だったので、潮が引いているときを狙い、この日はビーチで潜ることにした。
 
 ビーチといえばコバンアジ…だけど、実は先日波打ち際でトドになっていたとき、水面をプカプカしながらちょっとばかり海中を覗いていたところ、意外なところに意外な魚がいることに気がついたのだ。
 
 意外な魚とは、その名もシロオビハゼ。
 
 ご存知のとおり、共生ハゼの1種である。
 
 ビーチ内の環境ならけっして居てもおかしくないハゼとはいえ、居る場所といえば突堤の際の波が当たらない砂底など、桟橋付近から遠い場所の際あたり…と思い込んでいた。
 
 場所が場所なので、かつて何度か目にしたことはあるけどこれまで記録に残せたことがないハゼが、桟橋付け根付近から少し離れた波打ち際からすぐのところにいたのである。
 
 マリンスポーツ業者や海水浴客に文字どおり足蹴にされるであろうこんなところになんて、シーズン中ならありえない…かもしれない。
 
 ともかくも目標をシロオビハゼに定めたので、数回楽しんだフィッシュアイレンズをマクロレンズに換装。
 
 堆積している軽石をザクザク踏みしだきながら、ヒトッコヒトリーヌのビーチにエントリーだ。
 
 で、モンダイは。
 
 前回目にしたシロオビハゼの場所はどこだったっけ…。
 
 水面にテキトーに浮かんでいるときに見える視野と、海底をサーチしながら眺める視野は全然違う。
 
 たぶんこのあたりと思う場所はあるものの、そもそも今日も元気にそこで顔を出しているんだろうか。
 
 ま、やみくもに探してもしょうがないから、実は5万匹くらいいることがわかってしまったサザナミハゼや、昔から10万匹くらいいるヒメシノビハゼでも撮りながら、と開き直ったら……
 
 …いた。
 

 4~5センチくらいのボディは記憶にある姿よりも立派だったけど、マックス8センチくらいになるというからまだ若い個体なのだろう。
 
 これまで確認したことが無かった、一緒に暮らしているエビちゃんはというと…
 

 …クマドリテッポウエビだった。
 
 周りに10万匹いるヒメシノビハゼが一緒に暮らしているエビちゃんは、ほぼほぼ……
 

 …↑このホリモンツキテッポウエビだし、チラホラいるヒメダテハゼのお相手もクマドリテッポウエビではない。
 
 シロオビハゼとクマドリテッポウエビは、このビーチにあっては唯一の組み合わせのようだ。
 
 つまりクマドリテッポウエビもまた、ここではレアということになる。
 
 せっせと巣作りしてくれていたおかげで、その姿も堪能させてもらうことができたのだった。
 
 早々に目的を完遂したので、同じような場所をフラフラ彷徨っていたところ、サザナミハゼ、ヒメシノビハゼ、サラサハゼといった5万匹10万匹トリオの傍らに、2センチちょいほどの小さな共生ハゼっぽい姿が見えた。
 

 地味地味に見えるけどよく見ると赤や青の点々が散りばめられているこのハゼ……いったい誰?
 
 おそらくは何かのチビの頃なんだろうけど、若い頃にこんな姿をしているハゼといえば、内湾系の種類に違いない。
 
 あ。
 
 ひょっとしてタカノハハゼのチビターレ?
 
 後刻調べてみたところ、どうやら間違いないようだ。
 
 オトナになるとけっこうハデハデになるタカノハハゼも、チビの頃はけっこう地味だったのか…。
 
 ま、波打ち際すぐ近くでそんなに目立ってもいられないか。
 
 ちなみにこのチビが一緒に暮らしているエビちゃんは…
 

 あれ?
 
 誰だこれ?
 
 ま、そんなこんなで、干潮時の浅い浅い海底に這いつくばりながらハゼたちと遊んだ後、波打ち際ちょい先のゾーンから離れ、久しぶりに広い範囲を徘徊しつつ、ユビエダハマサンゴ群落が美しかったかつての風景がどれほど貴重なものだったかを噛み締めながら再び岸側に戻ってくると、コバンアジ&ギンガメアジの群れが集まってきた。
 
 集まってきたからといってマクロレンズじゃどうしようもないから、とりあえず動画でも。
 
 コンデジの標準レンズで薄濁りとなるとろくに撮れないのはわかってはいても、コバンアジってなんか撮りたくなるじゃないですか。
 
 で、動画を撮っていたところ、妙な気配というか視線というか、不気味な何かを感じた。
 
 動画を撮りながら瞬間的に顔だけそっちに向けたら…
 
 その時のビックリした気持ちを素直に吐露している動画です。
 
 

 思わず声に出た「びっくりしたぁ……!」が聴きとれるはず。
 
 シーズン終盤にビーチを泳いだゲストの方々からうかがっていた、餌付いているっぽいゴマモンガラだ。
 
 ウワサに聞いていたとおり、マックス級のデカさである。
 
 あらかじめ聞いていたからすぐに事情を思い出せたけれど、何も知らずに振り返ってこんなのがいたら、発する声は絶叫に近いものがあったことだろう…。
 
 この季節だから、繁殖期の夏場のようにヒトに襲い掛かることはないとはいえ、向こうに悪気は無くても被害をもたらすかもしれないこんな魚に、いったい誰が餌付けした?? 
  


Posted by クロワッサン at 07:53Comments(0)水納島の海

2021年11月24日

珊瑚盛衰記。

2021年 11月23日(火) 晴れ

北の風 荒れ模様

 前日に比べれば風の強さは随分おさまったとはいえ、連絡船の運航に支障をきたすレベルではあったため、本日も全便欠航。
 
 今月の運航状況の惨憺たる結果からすれば、先週は奇跡に近い平和な日々だったことがよくわかる。
 
 一方今朝の軽石はというと…
 

 なんだ、前日と変わらないじゃん…と見えるかもしれないけれど、桟橋付け根あたりの軽石の溜まり具合いがまったく違っている。
 
 朝早くに北風をまともに受ける桟橋にいたら、まぁ寒いこと寒いこと。
 
 ひとたび晴れれば、風が当たらなくても放射冷却で朝の冷え込みは半端ではない。
 
 沖縄でこんなに寒いんだもの、本土は機能停止級に違いない。
 
 そんなさなかに日本シリーズやってんだものなぁ…。
 
 例年のように10月だとシーズン中になるから試合など観られないところ、オリンピック期間中の中断のおかげでゆっくり熱戦を味わえている。
 
 そう、戦いは熱い。
 
 でも寒いんでしょ?やっぱり。
 
 おそらく多くのヒトが言っていると思うけど、この日程でまかり間違って楽天イーグルスが日本シリーズに進出していたら……。
 
 仙台の試合では球場で死者が出ていたんじゃなかろうか。
 
 大学野球のあおりで神宮で試合ができず、東京ドームの一塁側に陣取るヤクルトファンの心境はフクザツだろうけど、東京ドームでラッキーだったと思いますぜ。
 
 しかし残る東京ドームの2戦でヤクルトが連勝しないかぎり、第6戦第7戦は今シリーズ初めて屋外となるほっともっと神戸。
 
 小春日和になるか、寒波襲来となるのか。
 
 次の土日の本土方面は北風っぽいなぁ…。
 
 …って、こんな興味でGPV気象予報を見たのは初めてかも。
 
 さてさて、11月も半ばを過ぎるとさすがに海の中の「夏」にも陰りが見えているのかもしれないけど、何度かお伝えしているように、今年はそもそも「夏」の到来が遅かったこともあって、昔だったらすっかり海中景観が寂しくなるはずの10月でさえ、まだまだ…どころかシーズン最高潮に「夏」になっていた。
 
 11月になっても引き続き「夏」が続いていて、先日久しぶりにリーフの外を訪ねた際も、砂地の根はにぎやかなまま。
 
 そしてシーズン最終盤から出現したヒメタカサゴが、昨年のように大集団になってくれていた。
 

 ヒメタカサゴの集団なんてなにげにレアだというのに、なにしろシーズン終了間際といっていいタイミングでの登場だったから、ご案内できたゲストは数えるほどしかいない。
 
 ところで上の写真で手前にある死サンゴ、昨夏までは……
 

 生きていた。
 
 ところが、それまで元気いっぱいに見えていたのに、昨秋突如真っ白になってしまい、ほどなく力尽きてしまった。
 

 オニヒトデの食害でも高温による白化でもなく、このところこの水深のサンゴ(どれも同じ種類と思われる)に観られている「不審死」だ。
 
 不思議なことにその根のサンゴがずべて死んでしまうわけではなくて、生き残っているものもいるとはいえ、直径1メートルを超えるまでに育ったサンゴがあっけなく死んでしまうショックは大きいし、その理由がわからず不気味なことこのうえない。
 
 ともかくそういうわけですっかり死サンゴになっているこの根の元サンゴなんだけど、今では新たな生命の礎になっている。
 

 死サンゴの枝間に、トゲトサカの仲間がニョキニョキ何本も生えているのだ。
 
 おかげで、サンゴが死んでしまって絵にならなくなったところに、赤い色どりが。
 

 このサンゴは昨秋死んだばかりだから、トゲトサカが育ち始めてからマックスでも1年しか経っていない。
 
 おそらく半年そこそこでこれくらいになっているんじゃなかろうか。
 
 あいにく水納島で観られるトサカ類は、何かの拍子にあっけなくとろけてしまったり萎んだまま消えてしまったりするから、ここのトゲトサカたちもこのまま安穏と暮らしていけるわけではないのだろう。
 
 でも今年はどういうわけか随所でトゲトサカがニョキニョキ育っていて、そのぶん生き残っているものも多くなっている気がする。
 
 ひょっとして、砂の流出によって透明度が落ちる日が多くなってしまった分、陰日性のトゲトサカにとって都合が良くなっているとか?
 
 いずれにせよ、ジワジワと何かが変わってきているのは間違いない。
  


Posted by クロワッサン at 07:52Comments(0)日々の徒然水納島の海

2021年11月23日

ラ・ヴェルドゥーラ・チビターレ。

2021年 11月22日(月) 晴れのち曇り時々雨

西のち北の風 時化模様

 西から風が吹いていた午前中こそ暖かく、カメさんたちのエサ採りで歩いていたら汗をかくほどだったけど、やがて予報どおり北風が強く吹き始めると、気温は一気に下がっていった。
 
 午後遅くから風はちょっとした台風級になって、洋上は完全に時化模様(連絡船はもちろん欠航)。
 
 桟橋脇には…
 

 再び軽石が溜まっていた。
 
 この波打ち際で腹ばいになってヤドカリさんと戯れていた前日が夢幻のよう…。
 
 この日押し寄せている軽石は、もともとビーチに溜まっていたものが流されて集まっているわけではなくて(それも含まれているにせよ)、次々に北方から新たに漂着しているもの。
 
 近頃は各地でボランティア活動などによって軽石除去作業が行われているようだけど、風向きひとつであっという間に元の木阿弥になっていることだろう…。
 
 さてさて、シーズンが終了してから半月以上経ち、マサエ農園は着々と冬野菜の時代に入ろうとしている。
 
 そして今年もまた、苗から作る必要があるものたちが庭のテーブルを占拠している。
 

 手前のタマネギ部隊はここ2~3日で徐々に畑へ旅立ち始めている一方、奥側にあるポット入りの苗たちはまだスタンバイ状態だ。
 
 タマネギも含め、これらの苗はタネから育てているものだけど、↓これだけはいささか手法が異なる。
 

 ご存知クレソン。
 
 水納島のような環境には合わなそうなのに、マサエ農園畑1号は気象条件によっては霧がドッと発生するくらいに水気が多いところで、同じ日でも露の下りる量がとんでもなく多く、どうやらクレソンの生育に向いているらしい。
 
 そんなクレソンも以前はタネから育てていたのだけど、ある時オタマサはハタと気がついた。
 
 そうだ、食品として売られているクレソンを苗にしちゃおう。
 
 JAのファーマーズマーケットで売られているクレソンには、根っ子もチョロチョロと生えているものが多く、それを節々で細かく分けてポットに植えれば、ご覧のとおりちゃんと苗として育ってくるのだ。
 
 タネから育てる苗たちも順調だ。
 

 ↑これから4日ほど経つと…
 

 けっこう育っているのがわかる。
 
 これも毎日オタマサが水やりを欠かさないからこそで、この時期は晴れ間が続いているときに2泊以上島から離れられない理由がここにある。
 
 ところで、各種野菜は八百屋さんやスーパーなどでいつでも目にすることができるけれど、農家だったり家庭菜園ラブな方でもないかぎり、それらのチビターレ時代の姿をご存知の方は多くはないはず。
 
 というわけで、ここで問題です。
 
 ↓これはブロッコリー。
 

 そして↓これはカリフラワー。
 

 では↓これはいったい誰でしょう?
 

 ごっちゃになるとわからなくなるため、オタマサでさえポットの色や配置で区分けしているくらいなので難易度は高いけど、2つのヒントが手掛かりになるはず。
 
 正解は……
 
 …収穫できたときに(2月くらい)。 
 
 すぐに正解がわかったからといって、大人げなくコメント欄にいきなり書き込んだりしないように(笑)。
  


Posted by クロワッサン at 08:47Comments(0)日々の徒然庭の歳時記

2021年11月22日

少し扉をひらくだけです。

2021年 11月21日(日) 晴れ

南東の風 波あり 水温25度くらい

 朝から南東の風がやや強めに吹いていた。
 
 おかげで、早朝海の様子を観に桟橋に行っても、生暖かさすら感じるほど。
 
 なんだか春のようですらあった。
 
 これもまた「小春日和」ということになるのだろうか。
 
 南東の風となると軽石が連絡船用バース側に溜まりやすくなってしまうのだけど、強めに吹いているおかげで全部桟橋のキワに溜まっており、連絡船の停泊に支障をきたすほどではなかった。
 
 南東の風なので桟橋の東側はザワザワしていても、西側、すなわちビーチ側は穏やかなもの。
 
 潮が引き切った頃なら、波ひとつ入って来ない。
 
 今月初めにアミモンチビチビ軍団を撮るために桟橋の付け根付近で潜った際には、コバンアジ集団に囲まれた。
 
 久しぶりにフィッシュアイレンズに換装したことだし、今日はひとつタンクを背負わずにコバンアジと戯れることにしよう。
 
 というわけで、お昼過ぎにエントリー。
 
 さてさて、すぐさまコバンアジに囲まれるかな?
 
 …と期待していたところ、コバンアジのオトナ&ギンガメアジ若魚軍団はいることはいるし、ときおり様子を観に通りかかってはくれるものの、タンクを背負っているときのように取り巻いてくれない。
 
 シーズン中にお客さんたちが餌付けをするもんだから、ヒトと見れば寄ってくるはずのコバンアジなのに?
 
 ひょっとして、昨年今年とコロナ禍で海水浴客は激減していて、ビーチ内で餌付けをしているのは体験ダイビングを案内している業者さんたちだけってことになっていて、コバンアジたちはスキューバ潜水時の排気音にしか反応してくれないってこと??
 
 いずれにせよ大潮の干潮時ということもあってか、水の白濁ぶりは想定以上だったから、たとえ取り巻いてくれたとしても撮れなかったけど…。
 
 白内障になったかのような視界ではどうしようもないので、波打ち際で遊ぶことにした。
 
 波打ち際でフィッシュアイレンズといえば…
 

 砂上でゆらめく光のダンス。
 
 そして…
 

 半水面。
 
 どうせだったら…
 

 島も入れちゃえ。
 
 以前も同じような写真を撮ったときに紹介したように、太陽高度が高い夏だと、同じように撮っても昼間の太陽がこの位置に来ないので、オフシーズンならではだったりする。
 
 …などとやっていると、無限に遊べてしまうのだけど、なにしろここは水深30センチ。傍から観ていたら流れ着いて力尽きたトドに見えていたかもしれない。
 
 光のダンスはボーッと見ているだけで心地いいとはいえ、せっかくなら生き物がいてほしいなぁ…
 
 …と思っていたら、先日紹介したコバンアジ&マルコバンの10センチほどの若魚グループがまだ波打ち際に健在だった。
 

 残念ながら、このような小さな写真で楽しめるほど近寄らせてはくれない。
 
 そういえば、先日はたしか1匹だけだったマルコバンチビが、2匹になっていた。
 

 半月後に来たら、5匹くらいになってるかな?
 
 魚たちとちがって、逃げない生き物が波打ち際にいないかなぁ…
 
 …と思っていたところ、ゆらめく日差しの下でのんびり食事をしているコモンヤドカリを発見。
 

 コモンヤドカリの赤いボディ、グッジョブ。
 
 いくらのんびり食事中とはいえ、レンズポートとくっつく直前くらいまで近寄ればさすがに引っ込んじゃうかな…と思いきや、眼前の巨大な物体&生き物(カメラとワタシのことね)などまったく意に介すことなく、ずーっとマイペースで食事をしていた。
 
 コモンヤドカリ、ひょっとして……おバカさん?
 
 いやいや、普段から大勢の海水浴客から洗礼を受け続けているために、すっかり慣れ切っているのだろう。
 
 彼がトコトコ歩いていくのにずっとついていくと、こういうクリーチャーも現れた。
 

 甲幅3センチほどのワタリガニの仲間だ。
 
 砂の下に隠れていたものが、ズリズリ匍匐前進しているワタシのせいでびっくらこいて飛び出してきたらしい。
 
 彼はまったく慣れていないらしく、すぐさままた砂の中に潜り、目だけを出してあたりをうかがっていた。
 
 コモンヤドカリが食事をし、ワタリガニの仲間が砂に潜んでいるのは、こういう場所だったりする。
 

 昨日も書いたように、海中世界はけっして縁遠いわけではないのだ。
 
 ~♪ 
 少し扉を ひらくだけです 海中世界 のぞけます。(@バイストンウェルのぞけます)
 
 昼間のワタシのそんな気分がほんの少し伝わったのだろうか。
 
 午後遅めの散歩の際、ガメ公はどういうわけか、裏浜に足を伸ばした(裏浜にも軽石溜まってます)。
 

 以前は裏浜もテケテケ歩くこともあったのだけど、カモメ岩の浜で一度波をピチョッ…と足に受けて以来、海にはけっして近づかなくなったガメ公なのに。
 
 というかここで裏浜に出ずいつものように我が家方面に曲がってくれれば、散歩は1時間コースで済んでいたというのに、裏浜をテックテックどこまでも行くものだからすっかり時を費やしてしまった。
 
 おまけに奥まで行ったあと、海辺に来てしまっていることにようやく気がついたのか、頑なに陸側の藪を目指そうとして、元来た道を戻ろうとしない。
 
 テックテック歩いているときはわりとお利口さんなのに(けっこう言うこともききます)、いったん我を張りだすと、力勝負に出るしかなくなる。
 
 大横綱千代の富士が引退会見で語った引退理由のような事態が我が身にも訪れれば、ガメ公の散歩は二度とできなくなるだろう。
 
 我を張ると言うことを聞かなくなるガメ公ながら、テックテックゴキゲンに歩いているときは別キャラで、わき目もふらず我が道を行く。
 
 
 
 通り過ぎかけて途中でいったん止まっているのは、カメラに気づいて
 
 「ん?果物?」
 
 と匂いをチェックしているから。
 
 わき目はふらないけど、道草は食うガメ公です(笑)。 
  


Posted by クロワッサン at 09:08Comments(0)カメハウス水納島の海

2021年11月21日

境界の向こう側。

2021年 11月20日(土) 快晴のち雲多し

東のち北東の風 やや波あり

 朝から快晴!
 
 軽石もおとなしめ!
 
 連絡船は運航!
 
 軽石騒ぎ以後のグダグダ運航状態のせいで、すっかり「希少生物」になっていた日帰り観光客の姿が、ここ数日チラホラ見られるようになっている。
 
 海に浸かってパシャパシャ遊んでいるカップルもいたくらい、朝からポカポカ陽気だ。
 
 ワタシも陽気に誘われることにした。
 
 たまにビーチエントリーで探訪するカモメ岩の浜の入口から見渡す海はこんな感じ。
 

 過去に1、2度ガメ公もこの坂を下りて海岸まで出たことがあるくらいだから、散策ついでにここまで来ている方も多いことだろう。
 
 満潮時には水面下になる波打ち際の岩盤ゾーンを過ぎると、すぐにパッチ状に広がるサンゴ群落になる。
 
 上の写真で海中の黒っぽく見える部分だ。
 

 怒涛の波濤はリーフで一段階威力を落とされるために、リーフ内のこういった浅い海はリーフエッジ付近にくらべれば遥かにおだやかなので、そういった環境が大好きなサンゴの種類がもっぱらになるのだけれど、そういう種類は触れればすぐにポキッ…と折れるほど脆いから、台風時の巨大なうねりで海中をゴロゴロ吹っ飛ばされる死サンゴ石や岩によって、時に壊滅的な損傷を被ることがある。
 
 でも先日もお伝えしたように、今年は爆裂ストロング台風の襲来を受けていないおかげで、この浅い海中に広がるサンゴ群落は、手ひどい物理的損壊を受けずに済んでいる。
 
 せっかくだから、その様子をワイドレンズで撮っておこう。
 
 リーフ内だからどうしても水は濁りがちではあるけれど、浅いだけにサンゴが必要とする太陽光はお釣りがくるほどだ。
 

 サンゴの種類的に色どりは地味とはいえ、波打ち際から入ってすぐ、水深にして1メートルそこそこにこんな世界が広がっている。
 
 海中世界と聞くと陸上とは異なる特殊な世界、と思われがちだけど、両者を隔てる境界は、たったこれだけのことでしかない。
 

 水面というこの境界を超えるために必要なものは、水中マスクだけ。
 
 たったそれだけで覗くことができる世界なのだ。
 
 それなのに、この境界の先を見ようとしない、知ろうとしないヒトのほうが圧倒的に多く、この世界を次々に失わしめているヒトたちは、実のところそういうヒトたちばかりだったりする。
 
 そしてまことに恐ろしいことに、自分たちがいったい日々何を失い続けているのか、ということをまったく知らない、気にしない、気づかないまま、我々は暮らし続けているのだ。
 
 この水深1メートルそこそこの別世界も、失われてしまう日が来るやもしれない。
 
 地味な枝ぶりのサンゴはもともとこういう浅いところを好むタイプだから高温への耐性は優れているのに対し、明るい海中は好きだけど高温はイヤ!というタイプは、先日紹介したような白化で大打撃を被ることになる。
 
 98年の白化で灰燼に帰したこのあたりのサンゴたちも、やがて十数年を経て、白化前以上にサンゴが復活していた。
 
 ところが2016年の白化で、高温耐性の無いミドリイシ類を中心に、このリーフ内のサンゴたちは再び壊滅的被害を受けてしまったため、それまでものの見事に育っていたテーブルサンゴたちのほとんどは、直径1メートル以上の平たい石に変わり果ててしまった。
 
 でもなかにはその白化で死を免れたものたちもいて、あれから5年経った今、随所で立派に成長している。
 

 その隣には、2016年の白化で死んだと思われるテーブルサンゴのなれの果てが。
 

 現在も成長中のサンゴは、サイズ的に5年前もそれなりに大きかったはず。
 
 同じ場所、同じ環境で、白化時におそらく同種と思われるサンゴの生死を分けたものはなんだったのだろう?
 
 やはり高温耐性遺伝子ってことか…。
 
 ミドリイシ類が随所でこんなに大きく育っていてくれれば、ミドリイシが無ければ生きていけないテングカワハギたちも安心だ。
 
 この立派なテーブルサンゴでも、テングカワハギたちがエサをついばんでいた…
 

 …って、数多すぎ!
 
 今シーズンどころか、人生最多記録じゃないか。
 
 5年前の白化時には、明日をも知れぬ身となった薄幸のペアの姿が涙を誘っていたというのに…。
 

 そんなこんなで、元気なうちにサンゴ群落の写真を…と浅い海中を泳ぎ回っていたのだけれど、デバスズメダイなどがたくさんいるにはいるけど目を瞠る魚群がサンゴを取り巻いているというわけじゃなし、カメラのすぐ前にチョウチョウウオ類のペアがのんびり通りかかってくれるわけでもないから(なにげにリーフエッジで観られる子たちより警戒心が強い…)、「サンゴ群落」をただパシャパシャ撮っているとだんだん飽きてしまった。
 
 サンゴの枝間や海底の物陰やハマサンゴの影あたりには、魅惑的な小魚たちがチョロチョロしている。
 
 やっぱこういうところでじっくり楽しむならマクロレンズだよなぁ…
 
 …と思い始めていたときのこと。
 
 周辺はモズク養殖用の鉄筋だけというゾーンを通り過ぎようとすると、薄濁りの水の向こうに怪しい影が見えた。
 
 ワイドレンズで撮った写真は、肉眼で観ているよりもクリアに見えるからわかりづらいとは思うけど、この日は潮が満ちてきた後半こそだんだんクリアになっていったものの、最初の小1時間ほどはけっこう濁っていて、カモメ岩よりもリーフ側くらいになると増えてくるブダイたちの群れですら、なまじハッキリ見えないものだから「おッ…」と一瞬ドキッとする。
 
 そんなところへ、ブダイなどを遥かに上回る大きな影が。
 
 いくら水深2メートル弱でもドキッ…とするじゃないですか。
 
 いったい誰??
 
 彼だった。
 

 マダラトビエイ!
 
 それもけっこう大きめの。
 
 闖入者のワタシが気になったのか、グルリと2度も巡ってきてくれて、2度目のほうが近かった。
 
 「フィッシュアイレンズでよかったぁ!」というほど近くから撮れたわけではないものの、少なくともマクロレンズじゃなくてよかったぁ…。
 
 見上げればすぐ水面、水深2メートルもない浅い浅いところで出会うマダラトビエイ。
 
 出会った直後はヨロコビに満ち溢れていたというのに、こうして写真を見てみると、なんだか墓標上を漂う妖魔のような雰囲気も…。
 
 どうせなら、すぐそばのサンゴ群落の上を通ってくれていたらなぁ!
 
 人間の欲求は、留まるところを知らない。
  


Posted by クロワッサン at 09:39Comments(0)水納島の海

2021年11月20日

カニ祭り。

2021年 11月19日(金) 雨のち曇り時々晴れたまに雨

東のち北東の風 やや波あり

 朝方は風雨ともに強く、おまけに洋上には大量の軽石が。
 
 2時間後には桟橋周辺が大変なことになっていそう…という雰囲気だったこともあり、午前中の連絡船は欠航。
 
 やがて雨が上がってお日様が出てくると風はおさまり、暖かくなってきた。
 
 気温がそれなりに高く、それでいて雨のあとで湿度たっぷりという環境は、この方々にとってパラダイスになる。
 

 ご存知オカガニたち。
 
 ご存知ではない方はサワガニほどのサイズをイメージされるかもしれないけど、オカガニはけっこうジャイアントだから、そんなものが道のあちこちでワラワラしている様子は、映画「スターシップ・トゥルーパーズ」の昆虫エイリアン大襲来といった風情もある。
 
 夏場だと日中の気温が高くなりすぎるので、路上でワラワラしているのは朝夕だけなのに対し、今の季節なら日中でもほどよい気温だから、昼間に散歩していてもそこかしこでオカガニがワラワラしている。
 
 もちろんそれは未舗装路で、沿道にも道路の真ん中にも彼らの巣穴がある。
 
 島内を散策される観光客のみなさんが不思議に思う、あるいは(ハブの穴かと思って)怖く感じるこの穴は、大きいものだとガメ公の足がスッポリ入るサイズだ。
 
 そのためテックテック歩いているガメ公はときどき穴に足を取られ、ガクン…とずっこけることもよくある。
 
 この日は前述とおりカニパラダイス日和だったから、路上にはオカガニがたくさんいるため、カニたちはカメによるロードキルの危機にさらされていた。
 

 最初こそ「ん?食べ物?」と興味津々でカニの匂いを嗅いでいたガメ公だったけど、たちまちアウトオブ眼中にしてしまったから、カニが路上に居ようとどこにいようとお構いなし。
 
 踏み出した先にたとえカニが居ても、気にせずそのまま踏んづけていくかもしれない。

 踏みつけられれば死亡確実のオカガニたちは大変だ。
 
 パラダイスに突如危機が出来し、「カメ迫る」の報を受けたオカガニたちは…
 





 …と、妙なお祭り騒ぎになるのだった(※脚色あり)。
 
 そんなお祭り騒ぎなどまったく意に介さずテックテック歩き続けるガメ公。

 彼が散歩中に出会うクリーチャーはオカガニだけではなく、ときどき↓こういう生き物も通りかかったりする。
 

 それでもやっぱり、ガメ公意に介さず。
 
 どうやら彼にとっては、お祭り騒ぎのオカガニもジョギング中のオタマサも大した違いは無いようだ…。
  


Posted by クロワッサン at 08:27Comments(2)カメハウス

2021年11月19日

明日を削る日々。

2021年 11月18日(木) ぐずついた天気

東の風 やや波あり

 畑にとっては待望の雨が降ってくれたおかげで、乾ききった大地も空気もすっかりモイスチャー。
 
 そんな天気でも日中の風はさほどでもなかったから、連絡船は通常運航だった。
 
 やればできる子なんです。
 
 さてさて、マサエ農園は着々と冬野菜の時代に入ろうとしている一方、夏野菜がまだしぶとく頑張っている。
 
 昨日紹介したシブイは畑での使命を全うし、100個も実らせた株は終了したのだけれど、オクラはまだ粘っているのだ。
 
 たしか2ヵ月くらい前にオタマサが「オクラはそろそろ終了かも…」といっていた気がするのに、収穫量はピークの半分も無いながらもその後もどういうわけか踏ん張り続け、いまだに多少採れている。
 
 シブイと違ってオクラは持ち重りがしないから、島のみなさんに配るのはもちろん、島を発たれるゲストのみなさんに無理矢理押し付けたりしてなんとか消費できてはいる。
 
 ただ、変形しすぎていたり収穫のタイミングが遅れて固くなり過ぎているもの、いわゆる「不合品」は、他人様にお渡しするわけにはいかないし、他にいくらでもジョートーなものがあるのにわざわざ自らそれらを食してもいられない。
 
 だからといって捨てるには忍びない。
 
 ではどうするか。
 
 こうする。
 
 
 リクガメたちは、実はオクラが大好きなのだ。
 
 うちのホッシーの里親でもあるゲストの方から教わったもので、オクラは1本1本が小さいから、これまではずっとホッシー専用のスペシャルメニューにしていた。
 
 それをジッ…と5メートル離れた先から見ていたからだろうか、試しにガメ公にも与えてみたところ、
 
 「おっ!?」
 
 という顔をしながらムシャムシャ食べ始めた。
 
 1本1本をバラバラに置いたら食べるのに手間がかかるところ、ボールに集めておいたものを引っくり返して山にしておくと「おっ!?」となるようだ。
 
 オクラとか納豆とかめかぶなどヌルヌルした食材が大嫌いな方には地獄の映像だろうけど、ヒト以外の食事も消費としてカウントしてよいのであれば、我が家には食品ロスはないのである。
 
 話は変わる。
 
 氷雨降る寒々しいお天気だったから今日も海はおあずけ状態なので、先日の続き。
 
 ビーチエントリーしてせっかくリーフの外まで来たのだから、リーフエッジ付近に滞在するだけで終わってしまったらもったいない。
 
 というわけで、もうひとつの目的でもあったこちらを探訪。
 

 ご存知新一本サンゴ。
 
 今年はフィッシュアイレンズを使用していなかったから、さらなる成長を続ける新一本サンゴをちゃんと撮るのは今年初めてだ。
 
 どれほどのサイズになっているかご存知ない方は、参考までに以前紹介した対人比を。
 

 おっさんのサイズなどまったく興味がないから正確な身長は知らないけれど、モデルの方は180センチ弱くらいはあるんじゃなかろうか。
 
 注目し始めた頃は直径30センチにも満たなかったものがこれほど大きく育つと、やはり感慨もひとしおだ。
 
 ただ、いかんせん枝が短いタイプのテーブルサンゴなので小魚の拠り所としてはあまり機能しておらず、せいぜいスズメダイ類の幼魚が多少集まっている程度でしかない。
 
 となると、ハナミノカサゴが乗っかってくれたりしないかぎり絵にならないので、このサンゴの傍らでボーッと見とれる…なんてことをするヒトはいない。
 
 でもサンゴのたたずまいがどうであれ、こちらで紹介しているように小さい頃から見つめてこられた方には、その成長度合いはとっても気になるところのはず。
 
 かつては「隣」だった岩も、今ではすっかりその範疇になっている。
 

 最先端はいわば下の塊状サンゴとの争いの最前線で、夜中に訪れれば、おそらく塊状サンゴは連日連夜スイーパー触手を延ばし、存亡を懸けたバトルを繰り広げていることだろう。
 
 以前も紹介したように、新一本サンゴのほうはこの「隣」の岩にも橋頭保を築いているので、今では岩と岩とをサンゴが橋渡ししている形になっている。
 

 でっかくなりすぎると、スーパーストロング台風の巨大かつハイパーうねりのために大きなテーブルが割れちゃんじゃなかろうか…と心配していたのだけれど、こうして新たに橋脚(?)を確保すれば、たとえそのような台風が襲来しても致命的な損壊は免れるかもしれない。
 
 ここまで大きくなる間には、アンカーが直撃したのか釣り糸にひっかけられたのか、サンゴの両脇がかなり砕かれていたこともあった。
 
 そんな物理的損壊によって形が長細くなっている…とこれまで考えていたのだけれど、元々の土台になっている中央部は実際の中央ではなく、バランス的に「隣」の岩方向が最も長くなっている。
 

 たどり着いた果ての安定力強化という結果を考えあわせてみると、ひょっとすると新一本サンゴは、最初からこの「隣」の岩を目指して成長方向をこちら側に特化させていたのでは……。
 
 「サンゴがそこまでモノを考えるわけが…」
 
 とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれない。
 
 しかし、この地球上で5億年も生き続けている生き物の力を見くびってはいけない。
 
 サンゴといえば、先日夕方の再放送時間枠で、「サンゴを救え!」的な海外ドキュメンタリーを放送していた。
 
 急速な地球温暖化の影響で、世界中のサンゴたちが次々に死んでいく…という危機感に基づいた内容で、番組ではキリバスだったかどこだったか、2016年の白化によるサンゴの壊滅も紹介されていた。
 
 で、白化以前からフィールドで研究活動をしていた方が、涙ながらに白化による壊滅の様子を語っていたんだけど…
 
 あれ?
 
 この方は2016年を遥かに上回る規模で世界のサンゴを壊滅させた1998年の白化の際には、フィールドにはいらっしゃらなかったのだろうか?
 
 2016年の白化もわりと世界的規模で、水納島でも礁原上やリーフ内など浅いところのサンゴがかなりやられてしまったとはいえ、1998年の白化に比べれば被害は可愛いものだった。
 
 いずれにせよ、そうやって何度も危機的状況になったり実際に壊滅してしまったりしつつも、そのたびに時間をかけて復活を遂げていくサンゴたち。
 
 我々は常々その「チカラ」に畏怖にも似た思いを抱き続けているのだけれど、どうやら欧米人の自然観はかなり異なるものであるらしい。
 
 というのも、件の番組では、この急速な温暖化が進行中の地球上でサンゴを救うために、高温状態への耐性をより高めるべく、白化を生き延びたサンゴの遺伝子を優先して人工的に有性生殖をさせ、高温特化型への進化を促進させようというのである。
 
 実際に研究は進められていて、サンゴの一斉放卵時に選りすぐりの高温耐性タイプのサンゴの上にプランクトンネットのようなものを用意してバンドル(卵と精子が入ったカプセル)を大量にゲットし、人工的に有性生殖をさせてサンゴを育て、しかるのちにフィールドに戻しているのだ。
 
 あのぉ…仮にその活動が功を奏し、高温耐性特化型のサンゴだらけになったとしてですよ、もし急速な温暖化が映画「デイアフタートゥモロー」のような地球の急激な寒冷化を招いてしまったらどうなるんでしょう??
 
 < それはそれで、寒冷に強いタイプががんばってくれるのでは…?
 
 それだったら高温耐性だって、人工的に進化促進などせずとも、放っておいたって高温に強いタイプが生き延びてなんとかしてくれるじゃん、長い目で見れば。
 
 誕生以来5億年の歴史を誇る生き物の「進化促進」だなんて、おこがましいにもほどがある(※個人の感想です)。
 
 ことほどさように、欧米文化由来の「自然保護」という言葉には、どうもキリスト教的自然観があるように見えて仕方がない。
 
 まるで自然でさえヒトがコントロールできるかのようじゃないですか。

 という意味では、移植用サンゴを人工的に育て、それらを移植してサンゴ礁を大事に!なんてやっている沖縄県も、すっかり欧米化しているってことか…。

 そういえば、辺野古埋め立ての影響を受ける恐れがある場所のサンゴを別の場所に移植したところ、サンゴたちがすっかりダメになっている…というニュースがあったっけ。

 サンゴを大事にしようという気持ちはわかるけれど、移植先ではなぜもともとサンゴが育っていないのか、という問題のほうにも目を向けないと。

 沖縄本島地域のサンゴに危機をもたらしているのは、辺野古埋め立てだけが問題というわけではない。

 今流行りのSDGsとは真逆の、「持続不可能な開発目標」を掲げ続けているかぎり、沖縄の海に明日はない。

 沖縄県の「開発」はけっして明日を生み出すものではなく、ただただ明日を削っているだけだということに気づかなければならない時期は、もうとっくに過ぎているのだ。
  


Posted by クロワッサン at 09:46Comments(0)吉田兼好水納島の海

2021年11月18日

シブイ大量消費法。

2021年 11月17日(水) 曇り時々晴れたり雨降ったり

北東の風 やや波あり

 今月半ばまでのことを考えたら、奇跡のような「連絡船3日連続通常運航」!
 
 当たり前のことがミラクルに思える暮らしというのは、なかなかメリハリがあって素晴らしい。
 
 おかげでちょっとした所用のためだけに本島まで出向くことができた。
 
 渡久地港に着くと、岸壁の傍らにユンボが停まっていた。
 
 新聞記事で見たことがある、軽石除去作業用のユンボだ。
 
 除去作業の甲斐あって現在はまったくモンダイが無い港内にも風に乗って軽石が水の淀むところに集積するために、溜まっては掬い取り、溜まっては掬い取り…という作業をずっと続けているようだ。
 

 帰りの船まで時間があったので、たった1人で作業をしているユンボオペレーターの方にお話を伺いつつ(休憩時間のほうが長そうだったけど…)、気になる軽石除去特化型ユンボのバケットを拝見させてもらった。
 

 なんと軽石除去特化型最新装備は、川底などを浚う用のスケルトンバケットに金属ネットと防風ネットのような細かい網目のものを重ね、ロックタイで取り付けてあるものだった。
 
 なんとアナログな……。
 
 いやいや、むしろ21世紀型の最新自然災害にも対応できる、昭和の技術の素晴らしさ!と言うべきか。
 
 というか、現場では試行錯誤の末にこのような工夫を凝らしている一方、沖縄県は前日になってようやく「軽石対策会議」を初めて開いたそうな。
 
 遅すぎ。
 
 本土の漁港では、軽石が1粒2粒漂着し始めた段階で、港の出入り口にネットを張る協議をしているというのに……。
 
 喉元を過ぎてからしか熱さを感じられない県民性は、それゆえの愉快痛快なケースも多々あるとはいえ、場合によっては致命的になる。
 
 おそらく沖縄にゴジラが出現したら、街が灰燼に帰してから初めて対策会議を開くに違いない。
 
 話は変わる。
 
 近年になってから夏場に収穫できる野菜も育てるようになっていたオタマサは、今年もまたシブイ(冬瓜)を植えていた。
 
 一株からやたらとたくさん採れるシブイ、ソーキ汁などでいただけばたいそう美味ではあるものの、そんなにたくさん使うものでもない。
 
 なので畑に植えるのは1株限定にしたのだけれど。
 
 今年の夏は、ストロング台風が襲来しないかわりに妙に雨が多く、本来なら夏野菜たちが急速にチカラを弱らせる時期になっても、野菜にとっては絶好の環境だったらしく、そのまま真夏を乗り切ってさらに勢いを増し、第2弾収穫時期まで訪れてしまった。
 
 そしてその結果…
 

 この反対側にも同じくらいの量が(地べたにそのまま生らしているので、表面はヤナカーギーになるけど味は変わりません)。
 
 たった1株からえらいことになってしまった。
 
 昔ながらの冬瓜に比べれば随分小ぶりな品種とはいえ、島のみなさんに配ったりするとはいえ、こんな重いものを持って帰るという奇特なゲストもいらっしゃるとはいえ、合計100個も収穫してしまっては、消費が追いつかない…。
 
 そんなとき、シブイ消費協力者の1人ジュンコさんから、マサエ農園産シブイを利用した素敵な料理のおすそ分けをいただいた。
 
 おお、これは美味い!
 
 もともとそれ自体に明確な「味」があるわけではないから、浸み込む味に左右されるシブイ。
 
 ソーキ汁などをはじめ、もっぱら和テイストがお馴染みすぎて、今までありそうでなかった(我々的に)新しい味覚だ。
 
 さっそくマネしてみよう!
 
 というわけで、ジュンコさんレシピによるオタマサ版シブイ新メニュー完成。
 

 シブイ入りカレースープ♪
 
 朱に交われば赤くなるシブイだから、もちろんカレーの海を泳げばカレー味。
 
 これがジャガイモだったら腹にグンと来る量になるけれど、なにしろシブイなんてほとんど水分だからまったくライトな感覚、でありながらしっかりカレー味。
 
 こりゃあ絶品だ。
 
 毎日ソーキ汁だとさすがに食傷気味になるかもしれないけど、毎日カレーならワタシはまったくモンダイない。
 
 大量消費方法の発見が、大量備蓄シブイの需要を急速に増大してくれたのだった。
  


Posted by クロワッサン at 08:45Comments(0)日々の徒然島の美味いもの

2021年11月17日

ライトブルー・フェスティバル。

2021年 11月16日(火) 晴れ

北東の風 やや波あり 水温24度

 今日もいい天気!
 
 そして今月初めて、連絡船が2日連続で通常運航!
 
 放射冷却の早朝は寒いくらいだけど、いいお天気だから日が高くなると今日もやっぱり気温は上昇。
 
 今日もまた海へ行こう!
 
 ボートを上架してあるからビーチエントリーダイビングなのは昨日同様ながら、今日はリーフの外まで行ってみることにした。
 
 キャリング状態で水面遊泳をしてリーフの外まで行くのなんて、考えてみれば前世紀以来のことのような気がする…。
 
 今世紀になって早20年も経っているというのに、体力はついていけるのだろうか。
 
 北東の風で波もそれなりに立っている状況だから、完全にアゲインスト、しかも主目的の場所がリーフエッジのあたりと浅いためにややウェイトを重めにしていたから、水面遊泳中はBCにエアを入れているために抵抗がでかいときたもんだ。
 
 幸か不幸か干潮時ちょいあとくらいだったためにリーフ上が浅すぎるということもあり、途中から航路を潜ってリーフの外に出ることにした。
 
 やっぱ水中は楽だわ…。
 
 学生の頃はこんなことを米須(いわゆるジョン万ビーチ)あたりでフツーにやってたんだから、若いってすごいなぁ…。
 
 今年は久しぶりに夏の間ずっとマクロレンズ装備のまま過ごしてしまったために、ついぞ使用することが無かったフィッシュアイレンズ。
 
 でも、水温が下がってきたとはいえまだ海が「夏」の間に、遅まきながら今年の記録として残しておきたいものがある。
 
 それは、リーフエッジのデバ、もしくはアオバスズメダイたち。
 
 毎年夏になるとその数を増やしてくれるのだけど、場所限定ながら今年は過去に例がないくらい数多く群れていて、今もなおミニマムチビターレがサンゴで集合しているほど。
 
 リーフエッジには他にもキホシスズメダイなど小魚たちがたくさん群れているとはいえ、色味的にデバスズメダイ、アオバスズメダイの「夏」感は群を抜いている。
 
 リーフエッジあたりに戻ってきてからゲストがフリータイムを過ごしておられる間など、今シーズンはこれでもかというくらいにライトブルーフェティバルを堪能させてもらった。
 
 そのジジツを忘れてしまいそうだから、とりあえず記録に残しておかなくては。
 
 というわけで本日はデバ・アオバスズメダイ祭り。
 











 自然光で撮れるほど浅くはないからどうしてもストロボを使うことになるために、見た目の涼やかな「夏」感に比べると随分野暮ったくなってしまう。
 
 なんでストロボと自然光で見る肉眼とで色味が変わるのか、ということについてはこちらをご参照ください。
 
 ま、なにはともあれ今年のライトブルーフェスティバル、その記憶を呼び覚ますための一助にはなるだろう。

 デバスズメダイとアオバスズメダイ、どこがどう違うの?という方は、こちらをご覧ください。

  


Posted by クロワッサン at 08:08Comments(0)水納島の海

2021年11月16日

ブッシュドノエル。

2021年 11月15日(月) 晴れ

北東の風 波あり 水温24度~25度

 なんとこの日は今月4日以来の通常運航!
 
 「通常」がこれほど「特別」になるとはなぁ…。
 
 朝だけ運航した一昨日は土曜だったから郵便配達は無いので、郵便物は5日ぶり、午後の便じゃないと配達が間に合わない宅配便に至っては、11日ぶりの配達だ。
 
 機関長いわく、この先2~3日は軽石はダイジョーブ!ということだったから、水曜くらいまでは「通常」を味わえるかもしれない。
 
 さてさて、せっかくの日帰り外出可能な1日2往復となりはしたものの、特段出掛ける用事はないため引き続き島でのんびり(オタマサは畑仕事で相変わらず忙しげだけど)。
 
 のんびりしていてもボーッとしているわけではないから、カメさんたちのエサ採りをしている最中のワタシの眼光は、いつも鋭く研ぎ澄まされている。
 
 おかげでここ数年来のナゾがこの日一気に解決した。
 
 というのは、数年前から毎年オフになると顔を見せるようになったスズメ大の野鳥がいたのだけど、その正体が判明したのだ。
 
 それ以前はまったく目にしなかったのに数年前の冬場から目につくようになったその鳥さんは、飛び立つ際の尾羽が黒く、その両サイドに白い筋が入っているという特徴がある。
 
 サイズこそ全然違うけど、地面にいたものが飛び去って逃げていく様や尾羽の模様がシロハラに似ている。
 
 もっとも、気がつくのはいつも逃げ去っていくときばかりだから、これまではもっぱら尾羽しか目にすることがなかった。
 
 はてさて、この鳥さんは誰だろう?
 
 今年もまた、飛び去る尾羽を目にするようになった。
 
 そしてこの日、その正体がついに判明したのである。
 
 カメさんのエサ採りを終え、家まであと10メートルという十字路上にいたのは、またしてもこのヒトだった(ピンボケですが…)。
 

 このところ注目しているカシラダカ。
 
 すでにこのときにはもううすうすながら「ひょっとして…」と思っていたので、このまま近づけば彼はたちまち飛び去るであろうことを期待してさらに接近すると…
 

 飛び去るその姿は、まさに両サイド白ラインの黒い尾羽!
 
 ここ数年来ずっとナゾだった鳥さんの正体は、カシラダカだったのだ。
 
 ってことはつまりカシラダカは、少なくとも数年前から毎冬来島しているってことになる。
 
 < なにが「いつも鋭く研ぎ澄まされている眼光」だ。
 
 なにはともあれ、10日近い便秘が解消されたようなスッキリ感(経験したことないけど)。
 
 さてさて、放射冷却の朝こそ戦意喪失級に寒くなるけど、晴れていたらさすがに11月の太陽はまだまだパワフルだから、日が高くなるとあっという間に暑くなってくる。
 
 晴れていて暑いとなれば、海へ行こう!という気にもなる。
 
 ボートは軽石を避けるために渡久地港に上架したままだから、ビーチエントリー限定ながら、残圧100のタンクがあるのでちょうどいい。
 
 というわけで、正午過ぎにカモメ岩の浜からエントリー。
 
 そういえば先日ここに潜った時に、やたらと↓これを見かけた。
 

 ご存知ブッシュドノエルウミウシの卵塊。
 
 卵だけ見てわかるのかと言われそうだけど、その昔のビーチエリアのユビエダハマサンゴではごくごくフツーに観ることができたウミウシで、一輪の花にも似たこの卵もたびたび目にしていたのだ。
 
 パッチ状にサンゴ群落が広がるといっても色味は地味だから、そういうところではまさに野辺に咲く一輪の花状態。
 
 波に揺られてヒダヒダがフリフリしている様子には、高山植物の風情もある。
 
 そんな卵塊を先日は4個くらい見ていて、この日もまた…
 

 後片付けという言葉を知らないかつてのモズク養殖業者たちが島のリーフ内のいたるところに放置している、養殖ネット設置用鉄筋に産み付けられてあった。
 
 その色といい場所といい、ブッシュドノエルウミウシ、卵を目立たせたいのだろうか…。
 
 ちなみにこれは卵塊なので、間近で観るとひと粒ひと粒の卵がビッシリ集まって造形されていることがわかる。
 

 

 この時期やたらと見かけるってことは、今頃がブッシュドノエルウミウシの産卵シーズンなんだろうか。
 
 それにしては、前回も今回も本人を見かけないなぁ…
 
 …と思ったら、いきなりいた。
 

 しかも、すぐそばにもう1匹。
 

 ちなみに、ウミウシといえばせいぜい数センチくらいのもの…と思っている方にとっては、このブッシュドノエルウミウシはおそらく意表を突くであろうデカさを誇る。
 

 ごく限られた狭い範囲でさえ卵塊をポコポコ見かけるってことは、このあたりにはこのでっかいウミウシがモゾモゾゾワゾワ大集合している……
 
 …のかもしれない。
 
 リーフ内を潜る機会は多くはないワタシなので、この10年間で出会ったブッシュドノエルウミウシはおそらく2個体だけのはず。
 
 つまり今日1日だけで、10年分のブッシュドノエルウミウシを観てしまったことになる。
 
 今が産卵祭りだとすると、それ目的で1時間くらい潜れば、一生分のブッシュドノエルウミウシに会えるに違いない。
 
 ウミウシなんてなんであれ所詮ナメクジみたいなものだ、という方にお口直し。
 

 フウライチョウチョウウオ人生最小級。
 
 2センチもないチビターレだ。
 
 波打ち際には、これまた人生最小級のチョウハンチビターレがいた。
 

 1センチくらいの激チビだ。
 
 シーズン中にも桟橋脇のコンクリートの岸壁に居つくことがあるチョウハンチビターレ、ここでも波打ち際の潮が引くと現れる岩盤が作っている陰にいた。
 
 チョウハンチビターレは、サンゴの枝間は好みではないのだろうか。
 
 このチョウハンチビターレがいたのは、波打ち際の水深50センチほどのところで、岩盤から一段下がったところ。
 
 その岩盤上は水深30センチくらいなんだけど、そこに魅惑的クリーチャーの姿が見えた。
 
 が。
 
 タンクを背負ったままそんなところに進入できないので、いったんエキジットしてタンクを下ろし、スノーケル装備で岩盤上に腹這ってみた。
 
 おそらく傍から観ていたら土左衛門にしか見えなかったことだろう…。
 
 そうまでして撮ったクリーチャーとは、このヒト。
 

 ご存知ムラサメモンガラのチビターレ@2センチほど。
 
 ムラサメモンガラはオトナもチビもリーフ内にしかいないから、水納島でのボートダイビングでは絶対に会えない。
 
 なのでチビターレも我々にとってはレアものなんだけど、なんてことだ、このカモメ岩の浜のエントリー口の岩盤上のそこかしこでチビチビしているではないか。
 
 そういえば先日秘密のビーチを散歩した際には、波打ち際も波打ち際というところでタスキモンガラが泳いでいたなぁ…。
 
 人などいなければ、波打ち際までもが本来彼らの生活圏なのだ。
 
 そんな生活圏死守という使命もあるのだろう、本来ビビリな彼らではあるけれど、将来繁殖期を迎えたときの戦闘態勢予行演習でもあるのだろうか、こちらを見つめる目つきには真剣なものがあった。
 

 今後大きく育ち夏を迎えて戦闘力が増した暁には、海が本来どちらの生活圏なのかということをわきまえない海水浴客たちに襲い掛かることだろう。
 
 平穏な暮らしのお邪魔をしてしまったワタシのことは許してね…。 
  


Posted by クロワッサン at 08:38Comments(3)水納島の海鳥さんたち

2021年11月15日

ノジコ。

2021年 11月14日(日) 朝雨のち午後は晴れ

北東の風 荒れ模様

 このところは水納島の北東方向側に軽石が漂流していなかったのか、昨日から北東の風、すなわちビーチや桟橋真正面方向からの風が吹き続けているというのに、海岸や桟橋周辺にはほとんど漂着していない。
 
 土建屋さんによる懸命な軽石除去作業の甲斐もあって、渡久地港もクリア状態だという。
 
 となれば、連絡船の運航に支障なし!
 
 …かと思いきや、本日は風が強すぎた。
 
 軽石被害のおかげで、各地の離島におけるライフラインの「欠航」が島民にとっていかに深刻な問題であるかということがようやくうっすらと世間の皆様にも理解してもらえるようになっているとはいえ、この程度の風のために欠航せざるを得ない水納島の実情には、行政もマスコミも固く口を閉ざすのであった。
 
 さてさて、朝から雨模様だったお天気はやがて晴れ間が見えはじめ、午後にはすっかりいいお天気に。
 
 氷雨降る寒々しいお天気のままだったら小屋から出てこないガメ公も、お日様に誘われてノソッ…と外に出てきた。
 
 となれば、エサを採りに行かねばならぬ。
 
 散歩を兼ねてテケテケ歩いていると、先日紹介して以来、数か所で見かけているカシラダカの姿がこの日も見えた。
 

 ワタシが近づく前は地面でエサを物色しているのだけど、人の気配を察知するとこのように電線や木々の枝にいったん逃げていく。
 
 それにしても、数か所で見かけるからといって複数個体いるとはかぎらないとはいえ、今年人生初確認だったわりにはやたらと見かけるその頻度。
 
 ひょっとして、これまでセッカと紹介していた鳥さんもカシラダカだったりして?
 
 慌てて過去に紹介したことがあるセッカの写真をチェックしたところ…
 

 おお、セッカ……ですよね?
 
 6月に撮影しているから少なくとも冬鳥ではないし、そうなると該当者はセッカ以外考えられないんだけど、違っていたらそっと教えてください。
 
 しかし今日の主役はカシラダカでも、引き続き姿を見かけているルリビタキでもなかった。
 
 沿道が林になっている灯台へと続く道で、メジロっぽく見える小鳥が地面付近から木の枝に避難した。
 
 枝間から姿が見えたのでとりあえずパシャッと撮ってみたら、あっという間に飛び去ってしまった。
 
 目の周りの白いアイリングが見えたし、どうやらメジロっぽい…
 
 …と思いきや。
 
 後刻PCモニターで確認してみたところ、メジロに似ているのは頭部だけで、体の方は全然異なっているじゃないか。
 

 頭がメジロで体がスズメの鳥なんて見たことないぞ。
 
 これはいったい誰だ??
 
 調べてみたところ、どうやらこの子はノジコっぽい。
 
 本土の鳥さん変態社会ではお馴染みのようながら沖縄での観察例は少ないらしく、いつも頼りにしている図鑑「沖縄の野鳥」では、写真掲載無しで紹介されている。
 
 あ、だからまったく見たことが無かったんだ…。
 
 カシラダカはひょっとするとこれまで見ていたのに気づけなかっただけかもしれないけれど、このノジコは間違いなく人生初遭遇だ。
 
 メジロかな?と思ってテキトーに撮ったたった1枚の記録ながら、まがりなりにも正体がわかるように撮れていてよかったよかった。
 
 ノジコ、1羽だけでの来島なんだろうか、それとも他にもまだいるんだろうか。
 
 その答えは、このテキトーなたった1枚の写真で判明した。
 
 トリミングしてある写真をもう少し広げると……
 

 もう1羽いた!!(どこにいるかわかりますね?)
 
 2羽で行動を共にしていたのか…。
 
 近頃は持ち主同様クラシカルアイになっているのか、ひところに比べるとオートフォーカスの機能低下が著しいジョニー。
 
 購入から5年近くも経てば無理もない。
 
 しかしそんな老朽カメラをエサ採りついでにポッケに入れていなかったら、2羽いることに気がつかないどころか、これがノジコであることにすら気づくはずもなく、傍らをサッと飛び去って行く姿を目にしても「ああ、メジロね…」で終わっていたことだろう。
 
 クラシカルジョニー、グッジョブ。
  


Posted by クロワッサン at 08:08Comments(0)鳥さんたち

2021年11月14日

カニの恩返し?

2021年 11月13日(土) 曇りのち午後遅く雨

北東の風 やや波あり

 この日午前中、連絡船がまさかの運航! 
 
 手をこまねき続けているのかと思いきや、土建屋さんはその後なんとかがんばっていたそうで、重機ですくいまくって少しずつ軽石を排除した結果、風向きも多少変わったことも手伝って、渡久地港の状況は随分改善したらしい。
 
 ただし渡久地港を含めた周辺の港や海岸に溜まっていた軽石が再び瀬底~本島間の洋上に集積しているそうで、風向き次第ではいつなんどき元の木阿弥になるやら…といったところのようだ。
 
 午前中は運航したとはいっても午後を約束されているわけではないから、ホイホイと島を出てしまうと出たきり老人になってしまうかもしれない。
 
 そんな危険をわざわざおかす人はいなかった。
 
 ただし、
 
 これが1日早ければ…
 
 と、前日ボートをチャーターしたみなさんは思っているに違いない。
 
 さて、この日はどうせ連絡船は欠航だろうと見越して、朝から共同作業の予定が入っていた。
 
 「共同」作業といっても、昔と違って男女「総勢」で5名という、人海戦術不可能な人員不足状況だ。
 
 連絡船が運航するというので、島から出るヒトがいたらさらに人数が減るところだったけれど、みんな出たきり老人にはなりたくないから全員確保。
 
 加えて、朝の便で帰ってきたリョウセイさんも加わったので、総勢6名となった。
 
 本日の作業は、石畳の坂道の沿道の雑草除去だ。
 
 これまでずっとハマユウ(ハマオモト)が彩っていたのだけれど、あまりにも害虫がつきすぎて、花を楽しむどころか見た目ボロボロの有様になってしまって、島の玄関口にしておけない…
 
 …という事情もあって、昨オフに島民総出で(といっても11名だったけど)マニラヤシを植栽した。
 
 そのあたりの詳しい(?)事情はこちらに譲るとして、植えたヤシは丈夫に育つのはいいのだけれど、当然ながら雑草もスクスク育つ。
 
 シーズン中には早くも雑草のなかにヤシが埋もれている状況になってしまっていて、このままでは雑草のために風除けネットをしているようなもの。
 
 ようやくみんながヒマになったので、そろそろその雑草を除去しましょうというわけだ。
 
 雑草はほぼサシグサ(タチアワユキセンダングサ)で、これが土に生えているのだったらかなり大変な労力を必要とするところながら、幸い砂に生えているものだから、1メートルほどの丈に育っていようとも簡単に引っこ抜くことができる。
 
 加えて外側からのしかかるように育っているアダンやその他の木々もユンボで奥に引っ込め、ヤシたちは再びその姿を露わにしたのだった。
 



 オフシーズンの間は欠航ばかりで、それをご覧になるお客さんはいないけど…。
 
 作業は午前中のうちに終わり、雨が降る前にカメさんたちのエサを採ってきてからしばらく経った頃のこと。
 
 玄関先に現れたリョウセイさんが、
 
 「歩いてたらいたから捕って茹でた」
 
 と言いつつ、とあるものを持ってきてくれた。
 
 そのとあるものとは…
 

 ガザミ!!
 
 立派なサイズのノコギリガザミだ。
 
 (※河口域が無い水納島になぜガザミが?と疑問に思われた方はこちらをご参照ください)
 
 茹でた後にハサミ脚を1本食べてみたというリョウセイさんによると、さほど身は詰まっていないとのことだったけど、トレトレピチピチカニ料理であることに違いはない。
 
 それにしても、午前中で終了したとはいえ、けっこう体を使う作業だったというのに、そのあと裏浜に繰り出してガザミサーチをしていたとは…。
 
 島から出たきり老人になることはあっても、けっして寝たきり老人にはならないリョウセイさんである。
 
 おかげで久しぶりのガザミ♪
 
 それもこれも、この日朝だけとはいえ連絡船が運航してくれたおかげだ。
 
 一昨日紹介したオカガニから、まさかこのような形で「恩返し」があるとはなぁ…。
 
 < 命を投げうったガザミの立場は??
  


Posted by クロワッサン at 08:52Comments(0)日々の作業島の美味いもの

2021年11月13日

ペースメーカー。

2021年 11月12日(金) 晴れ

北の風 やや波あり

 本日も海況的にはバッチリ!
 
 でも渡久地港の軽石はドッサリ!
 
 なので欠航決定もアッサリ!
 
 あまりの不便さに島民はグッタリ!
 
 どうしても本島に出掛けなきゃならなかった民宿大城のヤスシさん&ナリコさんは、しょうがないので人づてにボートをチャーター、それに便乗するヒトもいたので、チャーター料15,000円を等分して、なんとか本島に出ることができたのだった。
 
 連絡船はムリでもなんとかボートを動かしてくれるヒトがいるのなら、毎日とは言わないから月、水、金で毎朝1往復ボートをチャーター…
 
 …するくらいの非常措置はとれないんだろうか、本部町。 
 
 そういえばその昔、車えびの養殖場でエビちゃんたちの残餌を除去する作業の際は、直径10センチくらいの太いホースを使い、サイフォンの原理を利用しながら動力無しで底に沈んでいるエサを除去していた。
 
 その方法を応用して太いホースを何本も揃え、なおかつ強力なポンプを4~5台用意すれば、渡久地港内の中層を漂う軽石なんて、たちまち除去できるんじゃなかろうか。
 
 辺士名漁港ほか各地でやっているような、土建屋さん&重機という方法に囚われているから手をこまねいているだけになってしまうんじゃ…?
 
 いずれにしろ島にいる我々にはどうしようもないし、何が何でも本島に出なきゃ、ということも当面ないので、午後はのんきにガメ公のお散歩。
 

 このようなシーンは過去に何度も紹介してきたし、散歩中の様子の動画もいくつか披露したこともあるけれど、実はまだナイショにしていたカメネタがある。
 
 散歩しているところをご覧になった方はご存知のとおり、意外にカメの歩みは速いのだけれど、その際の息づかいが、まるでジョギング中のランナーのようなのだ。 
 
 ↓動画は風の音や足音(カメの)が煩わしいですが、是非音付きでご覧ください。
 
 
 
 ハァ、ハァ、スー…、ハァ、ハァ、スー…
 
 という安定した呼吸音が聴こえるでしょ?
 
 傍らで歩いているとよく聴こえるので、ワタシもその呼吸ペースにリズムを合わせて歩いていたりする。
 
 ガメ公、なにげにペースメーカーなのだ。
 
 面白いから是非ご紹介したいと思いはしても、はてさてどうやってこの音を…というモンダイがあったのだけど、なんのことはない、カメラを顔に近づけて録画するだけで解決したのだった。
  


Posted by クロワッサン at 07:45Comments(0)カメハウス

2021年11月12日

愚行の代償。

2021年 11月11日(木) 晴れ

北西の風 やや波あり

 ジャンバルターコーの御馳走を食べたながら観ていたのは、パ・リーグのCSクライマックスだった。
 
 オリックス対ロッテの試合なんて、それが5月頃だったらいくらヒマでもマジメに観たりはしない対戦なんだけど(※個人の感想です)、さすが日本シリーズ出場をかけた真剣勝負の場。
 
 いわゆるスミイチのスコア的には地味な展開ながら、随所に輝く素晴らしいプレー、そしてピッチング。
 
 これぞ「クライマックス」とでもいうべき、緊張感に満ちたなかでのまことに素晴らしいゲームだった。
 
 こりゃ木戸銭払う価値はあるわ(払ってないけど)。
 
 …と呑気にプロ野球中継を観ていた前夜は、まだ楽観視していた。
 
 翌朝、すなわちこの日朝の連絡船の運航である。
 
 渡久地港の軽石の状況は予断を許さないとはいえ、島から出なければならないヒトが数人いるという事情もあって、朝の1往復だけでも…という雰囲気が、水納海運社長も含め前日には濃厚に漂っていたのだ。
 
 ところが。
 
 渡久地港への軽石の流入はいっそうひどいことになっていて、連絡船周辺の状況は、我々が後刻観た瞬間「アウト!」ということがわかるほど。
 
 このぶんでは午後の運航もまず無理だろう。
 
 秘密基地には洗濯機もあるし、このままずっと渡久地に足止めされてもすぐさま路頭に迷うことはないものの、島にはすぐに腹を空かす鳥さんたちを残してきている。
 
 カメは半月くらいエサ無しでも生きられるかもしれないけれど、代謝が高い鳥さんはあっという間に餓死してしまう。
 
 大事な時期を迎えている野菜たちの苗の水やりも、ここで怠ると全滅確定だ。
 
 いわばほとんどオタマサが抱える問題ながら、このまま指をくわえて運航の再開を待っている場合ではなかった。
 
 かくなるうえは…
 
 ひょっとしたら、水納島に潜りに行くダイビングボートがあるかもしれない。
 
 欠航決定を受け、急ぎ渡久地港北岸を目指した。
 
 はたしてそこには、学生の合宿らしき団体チームが数軒のショップさんのボートに便乗する形で集合していた。
 
 さすがにこの団体さんを請け負っている業者さんに頼むのはムリか…。
 
 そんなとき、お1人のゲストを乗せてそろそろ出港…という準備状況になっていたショップさんの姿が。
 
 先日アカククリTシャツをご購入いただいた、サトーさんの「うみてんぐ」さんだ。
 
 ダイビング終了後にでも、水納島までチャーターできませんか?
 
 するとサトーさんは、
 
 「どうせこれから水納島まで行くから、終了後といわず今からどうぞどうぞ」
 
 というわけでお言葉に甘え、これからダイビングに行こうというボートに食料品から冬物衣類から様々な生活物資を載せさせてもらい、水納島まで送ってもらったのだった。
 
 先年父が急逝したおり、ワタシが帰省を余儀なくされる間、ご滞在中だったゲストに潜ってもらうために慌ててボートをチャーターさせてもらったのも「うみてんぐ」さんだったし、なにかにつけて当方の緊急時にお世話になっている。
 
 クロワッサン無き後も水納島で潜りたいという方は、是非ご利用ください。
 
 うみてんぐさんのおかげでなにはともあれ島に戻ることができ、日常生活に戻ると、会うヒト会うヒトがそれぞれ
 
 「ん?どうやって戻ってきたの?」
 
 と不思議そうな顔をしていたのが面白かった。
 
 小さな島のこと、今誰が島から出ているか、ということなど、現役世代なら島中の人がみな知っているのだ。
 
 前日の朝、連絡船で出掛けるときに、タツヤさんに「欠航で帰ってこられなくなったら、鳥のエサよろしくね」と冗談で言うと、
 
 「エサはどこに置いてある?」
 
 と本気で引き受けようとしてくださるほど。
 
 小さな島の小さなコミュニティ、過干渉嫌いの都会生活者にはあり得ない世界だろうけど、住み慣れるとなんとも味わい深いものになる。
 
 さて、午前中は欠航した連絡船、はたして午後は?
 
 軽石の状況はますますひどくなる一方で、ほぼ一週間分の古新聞をもってきてくださった班長ヤスシさんのスマホに届いた渡久地港の最新画像を拝見したところ……
 
 うわッ、やがて辺士名漁港化!
 
 吹きやまぬ北西の風が、引きも切らず軽石を渡久地港に注ぎ込み続けているようだ。
 
 渡久地港の入口は狭いとはいえ、左右の海岸に溜まっているものが潮流その他で漏斗の断面図のようになって港内に流れ込んでいるらしい。
 
 河口港のフクザツな地形のために、県内各地の港での処理のように重機を使ってどうこうするという手段を使えず、県から依頼されている土建業者も手をこまねいている様子。
 
 というか、港の入り口はとっても狭い作りにしてあるんだから、軽石が入り込んでくる前にその部分だけ砂防ネットで閉めておいて、2時間に1度くらいのペースで許された時間だけ通航OK…という形にしておけば、このような悲惨な状況にはならなかったろうに。
 
 それはそれで関係各方面から苦情が殺到したろうけど、結局港が使えなくなることに比べれば、多少の不便など…。
 
 もっとも、喉元を過ぎてからそれが熱かったことを知る国民性、県民性に鑑みれば、軽石流入前に予防をするなんてことはあり得ないか…。
 
 県内各港は大変なことになって、どの連絡船にも影響が出ているようながら、それが長引くという意味では、渡久地港は相当深刻な事態に陥っているようだ。
 
 もちろんのこと、当面連絡船の運航はかなわない見込み。
 
 ボートをチャーターしようにも、これじゃあ誰も出したがらないんじゃなかろうか…。
 
 ああ、この日のうちに帰ってくることができてよかった!
 
 サトーさん、ありがとう。
 
 ところで。
 
 先月から始まった沖縄の軽石騒ぎで明らかになったことがひとつ。
 
 このように規格外に大量な漂着物になってしまうと、もはや「地域」での対応は不可能だ、ということだ。
 
 これはなにも軽石だけの問題ではない。
 
 ここ10年20年でとんでもなく増えてしまった、海岸の漂着ゴミもまったく同じ。
 
 これまではずっと、海岸に流れ着いたゴミはボランティアをメインとする地域の清掃活動で対処、ということでなんとか美観景観維持の努力がなされていた日本各地の沿岸。
 
 しかし大量のゴミが流れ着く海岸がある地域なんていったらたいていの場合過疎地域で、しかも高齢者ばかりときては「人海戦術」が成り立つはずはなし。
 
 お隣の大陸や半島から圧倒的な量のゴミが流れ着く日本海側などは特にその傾向が強く、あらゆる場所でほとんどギブアップ状態になっているという。
 
 もはや地域の人力ではどうしようもなくなっているのである。
 
 しかし行政はというと、あくまでも旧態依然で「地域の問題」として対処しているから、抜本的な対策はなんらなされてはいない。
 
 海岸の漂着ゴミ問題は国策として対処しなければ、指をくわえて見続けていた軽石と同様、この先さらにどうしようもない事態になってしまうこと必至。
 
 もちろん漂着ゴミがすべて外国産(?)というわけではなく、漁港内の海底に溢れているゴミのほとんどは、その地域が発生源と見られるものばかりだという。
 
 レジ袋有料とかなんとかして環境に優しいフリをしながらも、結局日本人もお隣の国々と同じなのだ。
 
 軽石が漂着し始めた頃の水納島の海岸でも、軽石が大量に打ち上がっている浜に…
 

 ローソンのマチカフェカップが。
 
 その新しさからして、流れ着いたものではなく桟橋あたりに捨てられていたモノが風で飛ばされてきたものと思われる。
 
 材質がプラスチックから紙になったとかストローを使用しなくても済むようにしたとか、そんなこと以前に、こういうものを平気でポイ捨てしてしまう人間がいるというのが最大のモンダイだ。
 
 本島から来るボートが接岸する桟橋周辺など、その業者の客やスタッフがやらかしている以外に理由が考えられないくらい、いつもこのようなポイ捨てゴミが散らかっている。
 
 そういう業者のスタッフは平気で海にタバコをポイ捨てするらしく、ボートが去ったあとにはいつも吸い殻が浮いている。
 
 状況証拠だけだから犯人特定には至らないものの、こーゆーヤツバラが客を海に連れて行くんだもの、そりゃ平気で添加物だらけの餌付けもさせるだろうなぁ。
 
 このような人間の愚行による漂着ゴミにくらべれば、100パーセント天然自然由来の軽石に罪などあろうはずはない(被害は甚大だけど…)。
 
 そんなゴミ問題も身近な島を散歩していた先日、桟橋へと続く石畳道の石垣に、なぜだか逃げも隠れもしないオカガニがポーズをとっていた。
 

 落ちていた葉野菜でも食べているんだろうか?
 
 …と思いきや、それはビニール袋の残骸がハサミ脚に引っ掛かってしまっていたのだった。
 

 関節の部分には尖がっている箇所が多く、そこに挟まったビニール袋はもう片方のハサミ脚一本ではどうすることもできなかったのだろう。
 
 おそらく引っ掛かってしまった当初はもっとちゃんとしたビニール袋状態だったはずで、そのまま強風に吹かれればメリー・ポピンズになっていたかもしれない(それはそれで観てみたかったけど…)。
 
 そんな状態では食事も満足にできなかったのだろう、近づくと威嚇ポーズをしはするものの、機敏に動く元気は残っていないようだった。
 
 いまさら手遅れかもしれないけれど、ビニール袋をポイ捨てした者と同じ人類として、罪滅ぼしにビニールを除去してあげた。
 

 これで元どおりの生活に戻れるだろうか?
 
 このハサミ脚の持ち主が、路上で轢死体になっていたりしないことを祈ろう。
 
 というか、ひそかにカニの恩返しがあったりして♪
 
 …でも、映画「第9地区」に出てくるエイリアンのようなのが鶴の恩返しのノリで来ちゃったらどうしよう??
 
 < 来ません。
  


Posted by クロワッサン at 08:59Comments(0)吉田兼好

2021年11月11日

ジャンバルターコー。

2021年 11月10日(火) 曇りのち晴れ

北西の風 やや波あり

 6日ぶりに連絡船が運航!
 
 けれど軽石がついに渡久地港まで入り込んできた影響で、軽石次第では朝だけの運航になるやもしれぬという話。
 
 まだ食料には多少の余裕があるとはいえ、渡久地港で浮かべたままにしてあるうちのボートの修理後の試運転をしてから上架しておきたいし、来週は来週でどうなるかわからないから、今のうちに買い出しもかねて出ておこう。
 
 ずっと本島で足止めを食っていた島のみなさんが大勢帰ってくるのと入れ違いで、我々は出発。
 
 午後もし欠航した場合にそなえ、鳥さんたちには多めにエサを与えておいたから、なにがなんでもこの日のうちに島に帰らなきゃならない事情はない。
 
 なので翌朝さえ運航してくれれば…
 
 …というところだったのだけど、渡久地港の状況はけっこう深刻なのだった。
 
 といっても、ニュース映像で見た辺士名漁港のように、軽石が表面を覆い尽くしているというわけではなく、港内に流れ込んできた軽石が滞留してしまい、表層だけじゃなくて中層に常駐してしまっているのだ。
 
 河口港だから比重の関係で軽石が中性浮力になっちゃんだろうか。
 
 これまで無事だった渡久地港ながら、ここのところずっと北西方向から風が吹いているために「軽石カモン!」状態が続いていて、干満の加減も手伝って両脇からも港内に入る軽石は引きも切らない模様。
 
 せっかく水納港はクリア状態なのに、今度は渡久地港が問題になってしまっているのだ。
 
 そのため、修理を一応終えた状態のミスクロワッサンの試運転をしようと思っていたのだけど、長時間エンジンをかけていたら元の木阿弥になるやもしれない。
 
 ちなみに機関トラブルの原因はインペラの欠損ではなく、むしろがんばって海水を汲み取った結果小粒の軽石をポンプ部分よりもさらに先のルートまで運んでいて、そこで大量に詰まっていたのだった。
 
 「取り出した軽石を一応置いておきます」
 
 という話のとおり、エンジンルームの入口近くにまるで部屋の片隅の盛り塩のような塩梅で軽石の小さな山ができていた。
 
 なんだか胆石手術のあと、取り出した胆石を見せてもらっているような……。
 
 今ここでエンジンをかけたら、また胆石がぶり返すかもしれない。
 
 しかしともかくも北岸までボートをもっていかないことには上架できないから、エンジンを掛けないことには始まらない。
 
 すると…
 
 おお、冷却水の出はすっかり元どおり♪
 
 もっと長時間航行して様子を見たいところながら、そういうわけにもいかず、すぐさま北岸に上架。
 
 もうこれで当分軽石に煩わされることはない。
 
 …ボートで海にも行けないけど。
 
 その後本部町内で所用を済ませ、当面の買い物も完了、あとは午後運航するかどうかの結論を待つばかり。
 
 そして結局、この日の午後便は欠航と決定。
 
 島に帰るつもりでいたものの宿泊準備もしてあったので、とりあえず路頭に迷うことはない。
 
 欠航通知のあとは、午後3時までだと間に合わないから行けなかった名護まで足を伸ばした。
 
 そして所用を済ませつつ、せっかく名護まで来たんだもの、名護でしか買えないものを…。
 
 ということで、今宵のメインディッシュはジャンバルターコー祭り♪
 

 チキンタコスに若鶏使用のローストチキン半身。
 
 とくにローストチキンの匂いだけでシアワセ度120パーセント状態だ。
 
 ただしこれを載せている間のプチプチトマト号には、他人様を乗せるわけにはいかない状態になっていたけど…。
 
 ちなみにジャンバルターコーさんは、現在もイートインは休業状態で、テイクアウトのみの営業となっていた。
 
 昔からテイクアウト需要のほうが大きかったかもしれず、コロナ禍で店内飲食を休止してみたら、むしろ営業収支的にはコロナ禍以前よりもよくなったから……とか?
 
 それはともかく、こちらのお店は午後2時からの営業だから、午後3時渡久地港発の便に乗る前に買い物も済ませなきゃならないとなると、日帰りでは永遠に味わえないところだ。
 
 という意味でもこの日のプチシアワセは、欠航のおかげともいえる。
 
 ただし、糾える縄のごとき禍福でありながらも、「禍」のほうが圧倒的に太くなる当方の場合、翌日に何が待ち受けているか知れたものではないのだった。
  


Posted by クロワッサン at 10:15Comments(0)世間の美味いもの