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2022年07月31日
激チビオコゼ。
2022年 7月30日(土) 晴れ昼と夕刻一瞬雨
東のち南東の風 穏やかのち少々波あり 水温24度~30度
中途半端な台風が通り過ぎていく傍らで、ずっとナリをひそめつつも沖縄本島の傍にいた低気圧が、これを書いている今台風になろうとしている。
ヤバいかも…。
そんなヤバさをはらみつつも、基本的に低気圧はさほど悪さはしないまま離れていくという予報だったから、ボートはそのまま島の桟橋に係留したままだ。
はたして明日は何を書く羽目になることやら。
さて、そんな事態になることなど夢にも思っていなかったこの日もまた、チョウチョウウオたちのペアを求めてフラフラ潜っていた。
なので目線はそれなりの大きさがあるものサーチだったのだけど、リーフエッジ付近でヒラヒラ…とかよわげに流れていくる千切れ藻のさらに切れ端のようなものが。
藻屑か?
それとも魚か?
なにしろ海中で見てせいぜい15ミリもないくらいだったから実質1センチにも満たず、クラシカルアイでは肉眼で確認できない。
幸い窪みに着底してくれたものの、チョウチョウウオたちを撮るためのレンズだとファインダーで覗いても何が何やら…というか、どこにいるやらわからないくらい。
しょうがないのでポッケのコンデジを取り出し、パシャッ…
どうやらオコゼ系の激チビターレらしい。
尾ビレをチョイと上げるとこんな感じ。
上からも撮ってみた。
撮っている間もフラフラ…と舞い上がっては能動的に泳いでいたくらいだから、まだ着底して間もないチビターレってことなのだろうか。
そのフォルムはツマジロオコゼにも見えるけれど、なんかしっくりこない。
ひょっとして、着底したばかりのハダカハオコゼの激チビとか?
胸ビレの付け根のオレンジ色や目の斜め下にある白い点が手掛かりになるのなら、正体をご存知の方がきっといらっしゃるはず。
というわけでご存知の方、テルミープリーズ!
…などと、激チビターレの正体を知りたがっている場合なんだろうか?
2022年07月30日
君を忘れない。
2022年 7月29日(金) 晴れ昼から時々雨
東のち南西の風 少々うねりあるも穏やか
人騒がせな台風は、結果的には台風の「た」の字も感じさせないまま、静かに本島東方から北方へと通り過ぎて行った。
まだ通り過ぎる前のこの日朝の天気予報では、ほとんどの予報サイトが本島周辺では全然風が吹かないと告げていたというのに、ひとり気象庁発表の天気概況だけは、「風速15メートル」と連絡船欠航確定の数字を冷徹に告げていた。
那覇の街中で暮らしていれば、風速が10メートルであろうが15メートルであろうが生活になんの支障もないだろうけど、離島民にとってはライフラインがストップするかどうかの瀬戸際の数字だ。
おそらく台風予報にて強風域に入りそうな気配が濃厚ということで、強風域に入るなら風速15メートルでしょう、という短絡ヤクニン思考の予報だったのは間違いない。
なんだかそのあたり、インフォームドコンセントの意味を解しきらず、不治である状況や余命を機械のようにあっさり告げるきょうびの若いお医者さんたちのようでもある。
しかしフタを開けてみれば、日中こそ局地的豪雨はあったものの、桶屋が儲かるほどの風すら全然吹かず。
今でこそいろんな天気予報情報源があるからいいものの、気象庁発表の予報が頼みの綱だったふた昔前なら、連絡船は間違いなく朝から全便欠航だったことだろう。
世の中便利になったおかげで、連絡船は朝から通常運航、ビーチも渡久地港の駐車場も満員御礼の盛況になっていた。
世間の実情に鑑みると、このうちの半数くらいは新型コロナウィルス感染者なのだろうなぁ。
コロナといえば、ここにきて2類だ5類だという話が再燃しているようだけど、2類だと社会がストップしてしまう、5類だといざという時の措置がとれないなどなど、それぞれの支持者が一長一短を論じ合うことで終始している。
2類でも5類でも不便なんだったら、新型コロナウィルスの実情に即して「コロナ類」って枠を新たに作ればいいじゃん…
…という話にならないのはなぜなのだろう?
衆を頼んで憲法まで変えちゃうことは可能なのに、なんで感染症の分類を現場に即して変更することができないんだろう。
政治家を通して語られる話の内容は、ようするにヤクニンの思考に則った作文でしかないということか。
しかしそんなヤクニンなのに、世界遺産の登録申請用の書類に致命的な不備があったそうな。
書類仕事も満足にできないんじゃ、ヤクニンがヤクニンである意味はどこにあるんだろう??
さすが衰退途上国。
さて、この日は朝から本島に出て、午後に戻ってきたから海には行かず。
なので話は数日前のことになる。
キンリンサザナミハギのチビターレを紹介した先日も触れたように、これまで「珍」だと思っていたキンリンサザナミハギは、場所を選べばそこらじゅうにいるということが近年(個人的に)わかってきた。
チビターレにこそおいそれとは会えないものの、オトナはフツーにいるのだ。
そこで問題です。
下の3枚の写真のうち、どれがキンリンサザナミハギでしょう?(1枚だけとはかぎりません)
すぐにわかったからといって普段の暮らしになんの役にも立たないけれど、
「“知るは楽しみなり”と申しまして、知識をたくさん持つことは人生を楽しくしてくれるものでございます」
と鈴木健二アナウンサーもその昔言っていたように、「知るヨロコビ」を知るヒトにはこれもダイビングのエッセンス。
ハギといえば。
ミヤコテングハギは砂地のポイントでも岩場でも浅場でフツーに観られる大型のハギで、独特の色柄をしているからご存知の方も多い。
ところが↑このオトナは多いにもかかわらず、これまで記録に残しているミニマムサイズは、リンク先で紹介している10センチくらいのものがせいぜいだ。
それより小さなチビターレの写真は残せていないから、チビチビの姿は観たことがない…と思っていた。
そんなミヤコテングハギチビターレが、サンゴ群落の上にポツポツポツ…と集まっていることに気がついたのは先日のこと。
海中で5センチくらいに見えたから、実際は4センチ弱ほどしかないチビターレだ。
ハギの仲間のチビにはこういう形になるものも多いけれど、サンゴ群落の上にいるこのチビたちの動きは独特なので(ビビるとすぐに枝間に逃げる)、黒くても目立っている。
そこで「はて誰じゃらほい?」と近づいてみれば、ミヤコテングハギの模様がうっすら見えていた、という次第。
なるほどなぁ、遠目には真っ黒にしか見えないから、これまではミヤコテングハギのチビターレだと気づいていなかったんだなぁ…
…とその日は納得したのだけれど、上記リンク先を見てビックリ。
そこにはちゃんと
「夏場になると、サンゴが群生する浅場などに、やけに黒っぽくなっている5cmほどのチビたちが、10匹前後で集まっている様子を観ることがある。」
って書いてんじゃん、オレ。
この時期になるとたいていゲストをご案内中ってことばかりだから、これまでは「観るだけ」で終わっていたのだろう。
やっぱビジュアル記録を残さないと、記憶に残りづらいのか…。
ミヤコテングハギのチビターレ、これでもう君を忘れない。
…来年同じことを書いていたりして。
2022年07月29日
亀運ゴーヤー。
2022年 7月28日(木) 晴れ時々雨
東のち南東の風 穏やかのち波あり 水温29度
交通量の多い幹線道路で、突如信号システムがダウンしてしまったとする。
たちまち交差点の秩序は崩壊し、大渋滞勃発。
ただちに信号システムが回復する見込みは無くとも、社会に支障をきたさないようにするためにも、交通量を制限するわけにはいかない、ということもあるだろう。
ではその場合どうするかといえば、交通整理のおまわりさんが交差点の真ん中に立ち、笛を吹きながら、時に踊るような仕草を見せつつ華麗に車を行き来させる。
信号に比べればそれにはもちろん多少の不便はあるにせよ、これによって交差点の秩序は回復され、「交通」が維持されることになる。
現在の行政、特に政府にまったく存在しないのは、この交通整理のおまわりさん的秩序回復の手段だといっていい。
大渋滞でにっちもさっちもいかなくなっている交差点で、「自己責任で」と言われても…。
で、何をするのかと思えば、「BA.5対策強化宣言」を都道府県まかせで新設するのだそうだ。
東京あたりでは早くもBA.2.75に置き換わろうかというときに、なんというスピード感を持った施策だろうか。
エンプティダンプティ総理の「聞く力」は、相当なモノに違いない。
さて、この日は冴えない天気予報だったのだけど、朝から日差しが出ていてイイ感じ。
朝だけですぐに雨になるのかなと覚悟していたところ、昼前にサーッと降っただけで、あとは薄曇りとはいえ太陽の下で過ごせるのどかな1日になった。
天気予報がまったく冴えなかったからだろうか、それとも急拡大する一方のコロナ禍なのだろうか、この日の日帰り客は昨日一昨日の3分の1以下で、久しぶりに落ち着いたビーチになっていた。
朝のうちは風も静かだったから、また岩場に行ってきた。
そして久しぶりに、ご長寿ハナビラクマノミと再会。
リンク先でも紹介しているように、このカップルは四半世紀以上観察している。
仮に途中気づかない間にメスが交代していたとしても、現在のメスは当時オスだっただろうから、少なくとも現在のメスは四半世紀以上の長寿を誇っている。
もはや「花びら」などまったく連想できない逞しい魚体はサイズも大きく、後方で小さく見えるオスもずいぶん大きい。
そしてリンク先で紹介しているオスの尾ビレ模様は、あれから2年ほど経ってさらにオレンジ部分が拡大している。
あと5年ほどしたら、尾ビレ全体がオレンジ色になっちゃったりして。
話は変わる。
表アタイの通りに面した側に、フェンス代わりにとオタマサがゴーヤーを1株植えたのだけど、もともと貧相な苗だったためか成長速度が芳しくなく、このまま育たないかも…と半ばあきらめていた。
ところがさすが夏野菜、梅雨が明けるとともに順調に成育し始め、今では実までつけている。
大きいものはもうそろそろ収穫できるくらいになっているこのゴーヤー、その出自は買ってきた苗ではなく、実は野良ゴーヤーだったりする。
収穫漏れで熟れすぎてしまい、黄色くなってしまったゴーヤーは、それを好んで食べるガメ公にちょくちょく与えている。
すると糞に混じっているゴーヤーのタネが、ガメ公の糞用コンポスター(?)内で勝手に発芽する。
それがある程度育っていたので、どうせなら…と植え替えたのが上の写真のゴーヤーだ。
通りすがりに「あ、ゴーヤーだ!」という観光客のみなさんも、まさかそれがカメのウンコ由来だとは夢にも思っていないはず。
人気ブランドのゴーヤーをカメに与え、その糞から次世代を育てれば、まさか農水省も種苗法がどーのこーのとうるさいことは言わないだろう。
いっそのこと「亀運ゴーヤー」なんていう縁起良さげなブランド名にしてしまうか?
まだ味は確認してないけど…。
2022年07月28日
ドルチェ・ビータ。
2022年 7月27日(水) 晴れ
北東の風 穏やかのち少々波あり 水温27度~30度
ほんの少し前までGOTO的な旅行支援策を再開するかどうかについて得意の「見当」をしていたことを考えると、政府のみなさんの見込みの甘さ加減がいかにとてつもないかということがよくわかる。
「行動制限は考えていない」と言いつつ、医療方面におけるコロナウィルスのポジションは従来のまま。
現在の「医療逼迫」は、まるっきりの人災といって差し支えない。
「考えていない」のは行動制限だけではなく、おそらく「何も考えていない」ということなのだろう。
そろそろ今回の第7波の感染力の強さについて、政府筋から「想定外」という言葉が出てきそうでオソロシイ。
為政者のみなさんの度を越した見込みの甘さはきっとコロナウィルスにかぎったことではなく、経済でも防衛問題でもなんでも、同じような見込みの甘さでモノゴトを決めているのだろうなぁ…。
いずれにしても、コロナウィルスはもはや風邪のようなものだ、というヒトが多いけれど、たとえ症状が軽くてもこんなに大流行する夏風邪って何?ってことがそもそも異常なのだから、マスクもせずに満員の連絡船に乗っているお客さんたちの見込みもまた、政府に輪をかけて甘々なのだろう。
いやはや、これぞまさしくドルチェ・ビータ。
そんなコロナの嵐などどーでもいいくらいに、この日の海はゴキゲンだった。
北寄りになった風のおかげで、リーフ内の濁った水が南側に出て行ってくれているからかもしれない。
そういえば今朝方はジーワジーワが鳴いていたし、風は北寄りで涼しいし、これはひょっとして…
…小さい秋見つけた?
一方海中はついに浅いところで水温30度に達し、ぬるい温泉状態になってきていよいよ真夏の到来だ。
表層付近で集まっていたイスズミたちも、水温が低い頃と違ってすぐさまつれなく逃げ去ったりしない。
ホンソメアシストのおかげでもあるものの、これが水温の低い春だったらたちまち逃げ去っているはず。
ところで、先のリンク先でもイイワケしているように、イスズミの仲間はワタシには見分けがつかないので、とりあえず「イスズミ」という総称で済ませているのだけれど、どの種類であれこのように横から見ると、パッとしない色彩の地味な魚たちというイメージでしかない。
ところが少しでも前側から観てみると…
ちょっぴりゴキゲンな顔になる。
もっと前から観てみると…
たいそうゴキゲンな顔に。
横から見た無表情めいた様子から一変、なんだかこちらまで楽しくなってくるような顔で見つめてくるイスズミたちなのだ。
イスズミに注目するダイバーはほとんどいないけど、この顔を見逃す手はない。
ゴキゲンといえば、エントリー早々にのんびり泳いでいる若いアオウミガメと出会った。
まだヒト科ヒト属から悪さをされたことがないらしく、ランデブーを受け入れてくれるお利口さんだ。
せっかくだから…
…ゴキゲンランデブー。
泳いでいる間に、目のあたりをカキカキする仕草や口をモグモグさせる様子が面白いですよ。
同じ「甘い生活」なら、こうしてカメさんたちと気兼ねなく一緒に泳げる生活のほうがいいなぁ…。
Posted by クロワッサン at
06:29
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2022年07月27日
恋模様は迷路模様。
2022年 7月26日(火) 雲が多い晴れ
北東の風 穏やか 水温26度~29度
暗殺直後は「これは民主主義への挑戦だ!」などと憤っていた方々が、実はカルト教団と手を組んでその民主主義を蔑ろにしていたとは。
日本のブラックジョークも、だんだん絶望級になってきた。
なんだかんだいって、自民教も充分カルト教団だったのだなぁ…。
それにしても、この10年ほどは統〇教会の「と」の字も目にする機会が無かったというのに、ひとたび風向きが変わるとたちまち攻め手側に回る現代ニッポンのマスコミも、考えてみればすでに相当カルト教団化しているのかもしれない。
今騒がれているジジツなどは相当昔から知られていたことだろうに、ここまで沈黙を守ってきた自分たちの非は完全に棚に上げているのだから始末に負えない。
なんだかその様子は、時代劇の捕り物で主人公が圧倒的強さを見せつけている背後で、提灯と六尺棒を持ちながら
「御用だ!、御用だ!」
と言いながら何もしないその他大勢のようだ。
ちなみに捕り物系時代劇でよく出てくる「御用だ!、御用だ!」のヒトたち、長い間ワタシは彼らを奉行所の方々と思っていたのだけれど、あれは奉行所に努めている与力や同心の配下にいる「町の実力者」の方々(岡っ引きとは別系統)の手の者たち、すなわち民間組織なのだそうな。
いわば武士でもなんでもないわけで(与力・同心も厳密には「武士」ではないんだって)、凶悪犯を前に身を犠牲にする義理など端からないのだ。
おお、ますます現代ニッポンのマスコミみたい。
さてさて、本日は朝早めに1本潜り、その後タンクを運びがてら本島へ。
その後午後4時過ぎに帰ってきたので、島内の日中の喧噪とはまったく無縁でいられた。
県内の路線バスがあちこちでコロナ禍や燃料高騰のあおりで減便や運休になっているというこのご時世で、増便&連日満員という連絡船は、ある意味テレビ東京なみの独自路線なのかもしれない。
午後から少し風が出てきたこの日ながら、午前中は穏やかだったから、先日に続き岩場に行ってきた。
そして再び、チョウチョウウオたちのフツーの写真。
フツーなのになかなか撮れないフツーの写真、まずは…
日本デビューが実際より遥かに遅かったら、「ラスカルチョウチョウウオ」なんて名前になっていたかもしれないチョウハン。
お次は…
岩場のポイントのほうが出会う機会が多いスダレチョウチョウウオ。
どちらも10センチ超サイズなので、見かける頻度は数多くとも、カメラを向ける頻度はなにげに極少になる。
そのためこういったフツーのペア写真がなかなか撮れない。
普段なかなか撮れないといえば、ハナグロチョウチョウウオもしかり。
ハナグロチョウは砂地のポイントでもフツーにちょくちょく出会えるほど数は多いのに、大きめのサイズが災いして普段カメラを向ける機会がない。
それは個体数が圧倒的に多いトゲチョウチョウウオでも同様で、砂底上を泳いでいるペアを撮ることはあっても、岩場にいる様子を撮ったことがなかったから、今さらながらトゲチョウに目を向けてみた。
すると…
模様が変なんです。
一部分だけ迷路みたいになっている。
ちなみにパートナーはノーマルだし…
ヘンテコ迷路君も、左側はノーマル模様だった。
トゲチョウには5万回くらい会っているけれど、ヘンテコ迷路模様を見るのは初めてかも。
それもこれも、中途半端画角の40ミリレンズにして、チョウチョウウオたちのペアに目を向けていたおかげだ。
…ヘンテコ迷路模様を見たから何?と言われれば身もフタもないけれど。
2022年07月26日
スナッパ―ズ。
2022年 7月25日(月) 薄曇り
北の風 引き続き穏やか 水温25度~29度
風がすっかり凪いだのはうれしいことながら、相変わらず水温の二層構造は顕著で(特に干潮時)、この日の朝など水深20メートル超ではダイコンで水温25度と表示されていた。
エントリーするあたりが29度だから、4度の差はヒートショック級だ。
それでも浅いところに戻れば温かくなる…と思えば、多少の冷たさもシュッと身が締まる程度で済みはする。
午後になると潮が満ち始めてくるからなのか、水温の極端な差は無くなっていた。
そんななか、なぜだか急に憑りつかれたようにキレンジャーの群れを撮ってしまった。
ここにゲストと訪れるたびにしばしば案内していたから、きっとすぐにわかる方のほうが多いと思うけれど、念のためにここで問題です。
上の写真にロクセンフエダイが混じっています。さてどれでしょう?
もうおわかりですね?
でもここには、ヨスジフエダイ、ロクセンフエダイ、キュウセンフエダイ、そしてニセクロホシフエダイもいる。
ではこの場所に何度も訪れたことがある方々にさらに問題です。
上記4種類の魚を、下の写真でそれぞれを指し示してください。
すぐにわかった方、度重なるワタシの案内をよくぞ何度もガマンして聞いてくださいました。御礼申し上げます。
ぜんぜんわからない方、お逝きなさい。
この場で実際に観たことはないけれどどれがどれやら気になる、という方は、こちらをご参照ください。
2022年07月25日
岩場の蝶たち。
2022年 7月24日(日) 晴れ
北西の風 久しぶりに穏やか 水温27度~29度
ワタクシ、世のタイガースファンには平身低頭して謝らねばなりますまい。
まさか前半戦終了時に借金完済勝率5割になっていようとは。
6月7月だけなら、首位を独走しているスワローズに勝るとも劣らぬ戦績だものなぁ。
メジャーだったら矢野監督は解任されているところだ、などと春に怒っていたヒトは、今頃なんと言っているのだろう?
さてさて、この日は久しぶりに風が弱まり、梅雨中も梅雨明け後もほとんど行けなかった岩場のポイントに行ってきた。
それに合わせ、40ミリマクロレンズという、いささか中途半端感がある装備にした。
ヒトが意識を振り向けることができる視野とほぼ同じくらいの画角だから、海で魚を観ている時のまま、すなわちごくフツーの写真を撮ることができるレンズである。
が。
そういう時に限って……
…1センチほどの、人生最小級のクロオビスズメダイ・チビターレに出会ってしまった。
こうしてトリミングして小さな画像で見れば支障はないものの、元の画像はこんなもんだったりする。
ま、クロオビちゃんのチビ具合いがわかりやすくていいか…と見方を変えつつも、また人生最小記録を更新する魚に出会ってしまった。
3センチほどのキンリンサザナミハギチビターレ。
コガネヤッコのような趣きもある鮮やかな黄色とささやかなブルーが美しい。
とはいえ先述の事情により、ファインダーで覗いている目には、魚が何をしているかというところまで見えていないから、後刻PC画面で写真を見て驚いた。
このキンリンちゃん、えげつない顔を見せてくれていたのだ。
ちなみにキンリンサザナミハギについて、リンク先にあるようにこれまでずっと「レア」であることを強調してきたのだけれど、数年前からあるジジツに気がついてしまった。
たしかに個体数はそれほど多くはないとはいえ、とある場所ではオトナにフツーに出会えるのだ。
この場所に来るといつも3~4匹で仲良く一緒に行動していることにようやく気がついたのが数年前のこと。
それまでずっと、サザナミハギだと思い込んでいたらしい。
そういえば、かつて遊びに来ていた後輩の大学院生(現在は気鋭の研究者)が、ここで潜った際にポロッと
「キンリンサザナミハギもいるんだぁ…」
とつぶやいていたっけ。
それを聞き、どこかで黄色いチビターレでも観たのかなと思っていたら、彼はきっとフツーにいるオトナを観ていたのだろう。
…といったマクロ案件は置いておいて、本来の目的であるフツーの魚をフツーに撮ることに専念。
水納島の場合、岩場ならではのチョウチョウウオといえば、真っ先に思い浮かぶのがこちら。
シチセンチョウチョウウオ。
ここ10年でかなり個体数が増えた気がするシチセンチョウは、ペアでいることが多いチョウチョウウオたちのなかでも仲睦まじさでは圧倒的で、つかず離れずではなくいつもついているといっていいほど。
仲睦まじいから、エサを食べるときも…
…同じものを見つめるシーンが多いくらいに仲がいい。
一方、同じチョウチョウウオ類でありながら、ウミヅキチョウチョウウオは、リンク先で触れているようにロンリーであることが多い。
水納島では岩場のポイントでしか観られないウミヅキチョウながら、シチセンチョウに比べると遥かに数は少ない。
いつもロンリーでいるのは、個体数が少ないためにパートナーに出会えないから、ということなのだろうか。
ところが昨年だったか一昨年だったか、ゲストをご案内中にウミヅキチョウが3匹一緒にいるシーンを目にした。
これだったら、いつの日かペアでいるところを撮れるかも…
…と思っていた「いつの日か」がついに来た。
でも魚体が大きいからか、それとも仲がそれほど良くないのか、2匹が画面内に納まるくらいに近づいてくれるチャンスは、シチセンチョウに比べてほとんどなく、このペアも…
…これくらい離れていることのほうが多く、寄り添うところを撮りたいワタシは、もっとくっついてくれよぉ…とヤキモキしていたりする。
1匹でいることが多いと思っていたけど、実はウミヅキチョウは、遠恋OKなカップルなのだろうか。
ところで、前述のようにウミヅキチョウは体が大きいから行動範囲も広く、撮らせてくれよぉ…とお願いしても、どんどん遠くまで逃げていくことも多い。
それがこの日は、なぜだかヒレまで広げてジッとしてくれていた。
なんてお利口さんなんだろう。
でもいったいぜんたい、どうして?
と思ったら…
ホンソメワケベラ・激チビターレが、甲斐甲斐しくクリーニングケアをしていたのだった。
こんなチビチビでも、これくらい大きな魚のお役に立てるのだなぁ。
ホンソメ激チビ、グッジョブ。
2022年07月24日
ハッとして!Good。
2022年 7月23日(土) 未明遠雷のち晴れ
北西の風 相変わらず波あり 水温27度~29度
ダイビングの経験本数が増えてくるにつれ、「見慣れた魚」もどんどん増えてくる。
見慣れたうえに撮り倒したとなると、もはやカメラを向けなくなる方も多いかもしれない。
でも見慣れているからといってスルーしていると、観たことがないシーンを見逃すことになる。
アカヒメジはオジサンの仲間ながら、中層で群れて過ごしており、基本的にキレンジャーカラーだから見栄えがする。
でも近年の水納島ではリーフ際でもわりと観られるようになっているので、すっかり見慣れている方も多いことだろう。
この日リーフ際で出会ったアカヒメジたちは、オーバーハング下の暗がりに群れていた。
アカヒメジたちが暗がりにいるところを撮ると、どういうわけだか肉眼では黄色く見えているのに赤っぽく写る。
暗がりバージョンで目立たないようにしている…つもりなのだろうか。
ともかくそういうわけで写真ほど赤く見えない黄色い群れを観ていたら、そこに意外な顔が混じっていることに気がついた。
光物系だ。
上の写真でも見えているんだけど、わかりますか?
アカヒメジと一緒に泳ぐ光物系の魚たちといえば、深めの根近辺ではシマアジであることが多い一方、かつてリーフエッジではヒレナガカンパチの若魚が1匹混じっていることもあった。
そのため何か光物の魚が混じってやしまいか…と常々期待とともに眺めてはいるものの、まさかこういう系が一緒にいることもあるとは知らなんだ。
この群れに一緒にいた魚とは…
ご存知ツムブリの若魚。
まだ20センチそこそこのチビだ。
ツムブリはたまたまここに通りかかったわけではなく、アカヒメジと一心同体少女隊状態で、常にアカヒメジたちと行動をともにしていた。
ただ、サーッと群れが泳いでいるときはともかく、アカヒメジたちはわりとのんびりホバリング同然でたたずむことが多いので、ツムブリチビもみんなに合わせてほぼ静止状態になろうとする。
これがかなり辛そうで、酸欠状態の水槽にいる金魚のように、口をパクパクさせながらヨタヨタしていた。
もともと泳いでナンボの暮らしをしているツムブリなので、アカヒメジの生活様式は本来フィットしないのだろう。
誰でも受け入れるアカヒメジたちだから、みにくいアヒルの子のようなイジメは受けていなさそうで、ツムブリも今のところ自分をアカヒメジだと思い込んでいるっぽい。
しかしこれからの季節には、ツムブリの群れが目の前を通り過ぎていくこともあるかもしれない。
それを見て自分の素性を知った日には、このツムブリチビはどうするのだろう?
ハッ!と気づいた途端、ピューッと泳ぎ去っていくのだろうか。
でもその「ハッ!」はツムブリとしてのシアワセに繋がる「ハッ!」だから、これぞまさしく…
ハッとして!Good。
2022年07月23日
オジサン包囲網。
2022年 7月22日(金) 晴れ
西の風 相変わらず波あり 水温26度~29度
本日も天気晴朗なれど波高し。
いったいいつまで続くんだろう、この夏至南風のような強い風。
ずっと吹き続けているからうねりがあって、それが影響しているからだろう、島の周りでは小潮だというのにけっこう強めの流れがかかった状態になっている。
そんな流れに乗りつつ、行きはよいよい帰りはコワイで、少し深めの根にたどり着いたところ、滅多に来ないものだからこれまで気がついていなかったシーンを初認識した。
オオイソギンチャクモドキが分裂増殖している!
ここで紹介しているように、98年の白化後からずいぶん経ってようやく姿を見せ始めたオオイソギンチャクモドキながら、それ以前までのように同じ場所で分裂増殖している様子が全然観られない…
…と思っていたら、いつの間にかこんなところで。
先日紹介したように、リーフ際のオオイソギンチャクモドキたちがあちこちでヘタってきているのと比べると、なんとも元気いっぱいということにも驚いた。
場所によっては元気いっぱいということは、原因は周辺海域の普遍的な水質の悪化というわけではないのだろうか。
そういえばこの同じ根には、今やすっかり見かけなくなったナガレハナサンゴの大きな群体も健在だ。
となるともっぱらリーフ際で見られる彼らオオイソギンチャクモドキの不調の原因は、リーフ内にあるってことなのかも。
リーフ内の水が流れ出やすい場所に近いリーフ際ほど、オオイソギンチャクモドキが弱っていく何かがもたらされているのかもしれない。
もちろんのこと、この日ここに来たのはこのような奇々怪々クリーチャーを撮るのが目的ではなく…
…納涼シーン鑑賞のため。
ちなみにここで群れているキレンジャーさんたちは、ヨスジフエダイも混じっているけれど、多くはベンガルフエダイだと思われる。
聞きなれないベンガルフエダイをご存知ない方はこちらをご参照ください。
で、リンク先でも触れているように、ベンガルフエダイらしきキレンジャーたちはある時期までは群れていても、忽然と姿を消す傾向にあるっぽいから、群れているうちに撮っておこうと。
…といいつつ、実は混じっているだけじゃなくて全部ヨスジフエダイでした、なんてことだったらご勘弁ください。
でも同じ根にいるのに、明らかにヨスジフエダイっぽいキレンジャーが多い群れとはけっこう別行動になっていたから、きっと両者は別の種類なのだろう。
この場所はボートを停めているところからわりと遠いところにあり、ボートを停めている近辺にはこれといった根が無く、一望砂底が広がっている。
砂しかない…と思っていたらこれ以上ツマラナイ場所もないのだけれど、そういうところでこそ見られる魅惑的クリーチャーも多いものだから、そういう目で徘徊しているとかなり楽しい場所でもある。
ただ、フィッシュアイレンズ装備ではなかなか厳しく、イソギンチャクエビが居たとしてもこういう写真しか撮れない。
まぁこれはこれで、住処であるハナブサイソギンチャクも含めた環境写真ってことでいずれ使途はあるはず。
ちなみにここで紹介している、かつて撮っていたイソギンチャクエビ・キングは、写真再発見後1度も確認しておらず、ナゾはナゾのままになっている。
ともかくそういうわけで、砂底にいるよりもフィッシュアイレンズの活躍の場がありそうなリーフ際に戻ろうとしていたときのこと。
遠目にテンスモドキが2匹でいるように見えた魚に近づいてみたところ、開けてビックリ玉手箱、その魚は…
ハナツノハギのペアだった!
人生初のハナツノハギとの遭遇は3年前の春のことで、そのときは4センチほどの幼魚だった。
ところがこの2匹は10センチほどながらどう見てもオトナのペアで、オスと思われるほうは興奮気味に体高を嵩高くしているのか、メス(と思われる)ほうのフォルムとはまったく違って見える。
実はちょくちょくここの砂底で観られるものなのか、それともこの日たまたま奇跡的に遭遇できたのか、普段あまり来られないところだから実態はよくわからないものの、個人的には千載一遇。
ああしかし、手にしているレンズは…
上の写真、トリミングする前の元の写真はこんな感じ。
これでもペアまで50センチくらいまで近づいてるんですぜ。
ポッケのコンデジで撮った方が良かったかなぁ…。
でもデジイチを置きっぱにしてハナツノハギについて行っていたら、エアーが残っているうちにカメラまで戻れなかったかもしれない。
この日は出会いという意味ではこのハナツノハギがMIPだったのだけど、リーフ際に戻ってから、MVP級のシーンを見せてくれたモノたちがいた。
彼らだ。
ご存知オジサン。
水納島のどこで潜っても必ず会えるオジサン、今さらながらなんで彼らがMVP?
そのヒミツは彼らの動きにある。
興奮モードで赤味がかっているのは、エサ探しに我を忘れるほど夢中になっているからなのだろう。
そのエサ探し、砂底面積が広いところだとヒゲを使って砂中の小動物を探るオジサンたちながら、死サンゴ石が海底を覆うくらい転がっている場所だと、石の下に潜んでいるものを探す傾向にある。
とはいえ石の下に潜む小動物たちもサバイバーなので、襲われかけた場合に備え、逃げ道はいくらでも用意してある。
そこで…
オジサン包囲網。
これ、ご存知ない方はたまたまこうなっているんだろうと高をくくられるかもしれない。
でもこれはかなり統制の撮れた動きで、ふた周りほど大きい個体がリーダーとなり、全員で同じ石をサーチする際に、しっかり包囲態勢を整えた配置になるのだ。
その配置につく様子があまりにも見事だったから、動画で撮った。
この動きは、「オジサンだから」というわけではなく、「このグループだから」ということなのだろうか。
こういうサーチを繰り返すうちに、追われた小動物が反対側から出てくることを経験的に学習したうえでの配置、ということなのかもしれないにせよ、まるで熟練の戦闘小隊のような動きに思わず見惚れてしまった。
これぞまさにがんばるオジサン。
通常営業をしていた昨年まで、当店ボート上で蠢いていた多くのオジサンたちとはひと味違うのであった。
2022年07月22日
ナニゴトも稲妻級。
2022年 7月21日(木) 晴れ
南のち南西の風 相変わらず波あり 水温26度~28度
朝早めに本島から帰還。
その後なんだかんだと後片付けをしなければならないため、いつもの時間には海に行けず。
なので早お昼を済ませ、そろそろ満潮というタイミングで出発することにした。
小潮になっているものの、このところずーっと続いている南風のために大きなうねりも続いており、そのためか相変わらず潮は流れていた。
それでもやはり、水深20メートルあたりになると、水温はリーフ際よりも2~3度低くなる。
そんな、晩春なんだか夏なんだか、ビミョーな塩梅の中、フタスジリュウキュウスズメダイはチビターレも加わって盛大な群れになっていた。
昨年までのこの時期はいつもゲストとともにホゲー…と眺めているしかなかったところ、今年は旬の間に撮ることができてよかったよかった。
もっとも、実際に撮ってみると、ホゲー…と眺めている間に脳内で勝手に撮影していた「幻の作品」のようにはなかなか撮れず。
そもそもフタスジリュウキュウスズメダイがツートンカラーでしかないということも、インパクト僅少化の要因のひとつなのだろう。
これがすべてナンヨウハギのチビターレだったら…
…と脳内変換するしかない。
ちなみに、ナンヨウハギのチビターレもいることはいる。
この隣のサンゴには4匹ほどついているし、実はこのフタスジリュウキュウスズメダイの群れの中にも…
…ナンヨウハギのチビターレが1匹だけ混じっていたりする。
さて、どこにいるでしょう?
どうしても気になるのにこんな小さな写真じゃわかんない、という方は、写真をクリック(タップ)すると大きな写真になるので探してみてください。
そのほか、根ではキンメモドキの群れも撮ってみたものの、なんだか猛暑に追い打ちをかける暑苦しい写真にしかならなかった。
リーフ際に戻ってくると、オトナのネムリブカに遭遇しつつ、死サンゴ石ゴロゴロゾーンに踏み込んでみた。
こういう場所にはニザダイ類(ハギ)のチビターレがたくさんいるものながら、普段見かけないチビの姿もあった。
テングハギのチビチビだ。
といいつつ、テング印のテの字もないツルッツルのおでこ。
上記リンク先でも紹介しているチビよりもさらに小さいから、人生最小記録更新だ。
ここに2匹ほどいて、つかず離れず離れずつかず、ときおり岩肌をついばみながら泳いでいたのだけれど、その泳ぎ方が他のハギのチビチビたちとは全然違っていて、頭と尾を交互に上下させながら、体ごと上下動していた。
もっと激チビの頃は何かのカモフラージュ模様になっていて、その頃の名残りの動きということなのだろうか?
その泳ぎ方が面白かったから、これは動画で撮っておこう…と思ったその時、死サンゴ石ゴロゴロ海底でがんばっているベラがいた。
イナズマベラだ。
上記リンク先で紹介しているように、こういった浅いところで産卵するイナズマベラたちは、産卵の寸前までは写真を撮ることができるスローモーションなのに、いざ産卵という時はまさに稲妻級の素早さになる。
そのためその瞬間を記録したことはなかった。
でも動画だったら!
というわけで、急遽ターゲットをテングハギからイナズマベラに変更。
ああ、この時に気がついていれば…。
海底付近にいるメスたちを巡って、その気になっているメスと一緒にラブラブモードに入るオスの様子を、至近距離から撮影…
…したものの、動画でさえ稲妻級の速さについていけず、肝心の産卵シーンは画面の外。
ああそうか、さきほどテングハギを撮る時にマクロモードにしたままだったから画角が狭すぎたのか。
というわけで、画角を広くしてあらためて撮影(同じオスが複数のメスと産卵するので)。
ところが…
…これまた肝心のシーンは画面の外(涙)。
やっぱ動画でも無理なのか…
…と思いかけた時、ようやく気がついた。
デジイチはフィッシュアイ仕様で臨んでいるため、テングハギのチビを撮る際にはコンデジからワイコンをはずして撮っていたのだけれど、そのはずしたワイコンを再装着し忘れていたのだ。
画面に納まりきらない…と嘆いていた時、その左手にはずっとワイコンを握りしめていたのである。
ワイコンをつけたうえで産卵の一部始終を撮れば、たとえ画面内のベラの姿は小さくなろうとも、いかな稲妻級の速さでもその様子を余さず捉えることができるだろう。
ああしかし。
ワイコンを取り付けたときにはもう、オスはすっかりその気をなくし、岩肌でのエサあさりに高じていたのだった。
盛り上がりタイムはあっという間に終了。
気分急変の速さもまた、稲妻級のイナズマベラなのである。
2022年07月21日
ふわとろ。
2022年 7月20日(水) 晴れ
南西の風 波あり
この夏最大の試練を乗り越え、晴れてバケーション。
…と吞気なことを言っている間に、世の中はコロナの新規感染者だらけになっていた。
昨年までは極めて稀だった、個人的な範囲、すなわち友人知人家族といった「知っているヒト」の感染が、今年になって急増。
あの人もこの人も…と言っている間に、全体的にも凄い数になっている。
この調子だと、なんだか感染しないと流行に乗り遅れている感すら漂ってくる。
でも経済経済経済で、ほとんどノーガードで銭儲けをすることを国が奨励しているのだから、むしろこうならないほうがおかしい。
でも昨年一昨年のようなパニックを生まずに済んでいるのは、感染してもほとんどの方は軽症で済んでいるとか、重症化率は極めて低いといった話でみんな安心しているからだろう。
たしかに今流行のウィルスの型なら、健常者の場合まず大丈夫と思っていいのかもしれない。
とはいえ相変わらず指定感染症の分類では2類のままだから、感染発覚後の扱いも、病院が要求される対応も、「風邪のようなもの」とはまったく違い、あくまでも感染を拡大させないような処置が必要とされている。
そうなると、たとえコロナウィルスに感染した人はピンピンしていても、病院側は手一杯になってきて救急外来の受付ができなくなっていたり、あらかじめ決まっていた手術予定が大幅に先送りにされてしまうという、コロナウィルス感染に関係ない人々の生命が脅かされるようになってくる。
実際に沖縄県では、救急外来を受け入れられなくなっている病院も出きているのだ。
感染者はピンピンしているのに、まったく関係ない方々がひどい目に遭う、という理不尽な事態を避けるためには、以前から多くの方が言っているように、新型コロナウィルスを指定感染症の2類から風疹などと同じ5類にランクダウンさせればいい、ということになる。
ただこの場合、万一ウィルスが再び凶悪化したり、実は現在の型も言われているほど弱毒化しているわけじゃないなんて事実が新たに発覚した場合に、ララァを殺してしまったスーパーニュータイプのように「取り返しがつかないことをしてしまった…」ということになってしまう。
その場合の責任は取りたくないものだから、おつむの中が極めてshallowであることがこのところジワジワとわかってきたエンプティ・ダンプティ総理としては、もちろんのことそこには手を付けない。
でも経済優先にしておかないと人気が落ちちゃうから、行動を制限するわけでもない。
すなわちおつむエンプティ・ダンプティ総理はじめ政府は、圧倒的に手数が多い相手に対し、ノーガードでボクシングをしているようなものなのだから、ダメージゼロで済むはずはない。
親方がその調子なんだから特に問題ないよね!的なノリとしか思えなかった沖縄県のノーガードぶりは凄まじく、いったいどの口が「手詰まり感がある…」なんて言わせているのだろう。
同じノーガードでも、攻防一体の作戦的動機があったといわれる辰吉丈一郎の左ノーガード戦法とはまったくわけが違うのだ。
攻防一体であってさえ浪速のジョーは相当なダメージを蒙っているのだから、ほとんどサンドバック状態のノーガードでいながら、「手詰まり感がある」なんて言われましても…。
何もしないまま手詰まりになって、「かくなるうえは国が…」と言い始めているようながら、そもそも国自体がおつむエンプティ・ダンプティなのだから、このうえ何かをどうにかしてくれるはずなどあるわけがない。
そうはいってもそういう党を占拠で圧勝させたのは国民である、ということを考え合わせると、日本人はすでにコロナとは関係が無い何かのウィルスに全員感染してしまっているのかもしれない。
この状況下で夏休み期間の増便を決めた水納海運も、きっとその何かに感染しているのだろう…。
※夏休み期間の時刻表については、水納海運公式ウェブサイトをご覧ください。
話は変わる。
そんなわけで、バケーションとはいっても相変わらず外食などしていられないから、本島ならではの「文明の味」も、つましくお持ち帰り品限定になる。
久しぶりにサーティワンのアイスクリームでも…と思いつつ、もっと手軽にコンビニアイスにすることにした。
コンビニアイスと言えば、もちろんハーゲンダッツ。
いつもなら迷わずマカデミアナッツにするところ、先日新聞の片隅で紹介されていたためにオタマサが存在を知っていた↓こちらをゲット。
ついにハーゲンダッツにもピスタチオが!
フタを開けてみると、ピロ…とめくる内蓋(?)に、なにやらハーゲンダッツらしからぬ説明書きがあった。
「練ると、ふわとろ!」
「ふわとろ」ってあんた…。
消費者であるアメリカ人にヨーロッパブランド風のイメージを持ってもらうため、コテコテのアメリカン企業が意味不明の北欧風の名称になっているというのに、「ふわとろ」といいハッシュタグつきの「ねり食べ」といい、群馬県高崎市が誇るハーゲンダッツジャパンは、相当日本化路線を突き進んでいるに違いない。
ハーゲンダッツ界のガラパゴス化か?
さてさて内蓋をめくってみると、ピスタチオゾーンとミルククリームゾーンに分かれていた。
なるほど、これをネリネリして「ふわとろ」にするわけね。
ハーゲンダッツアイスの場合、レジで渡してくれるアイス用の使い捨てスプーンが折れてしまうほど固いこともあるけれど、クリーミージェラートというだけあって最初からけっこうやわらかい。
さっそく実食。
あ……
ピスタチオの味。
ミルクゾーンと合わせてネリネリしてふわとろにしたら、いやはや、得も言われぬ絶妙感!
実際の成分がどれほど体に悪かろうと、たまのハレの日のたった1個のアイスで四の五の言ってもしょうがない。
美味しければいいのだ。
期待以上に美味しかったので、写真を撮るのを忘れちゃいました…。
2022年07月20日
フィンが海底に落ちている理由(かも?)。
2022年 7月19日(火) 晴れ
南の風 かなり波あり 水温27度
今日もずっと南風が強かったけれど、お天気は上々。
一般のお客さんにとっては、むしろ風が吹いているおかげで涼しく過ごせたことだろう。
この日差しで風が無かったら…
海に飛び込まずにはいられまい。
我々は日中のどこかの時間帯で海中に滞在している時間があるからいいようなものの、世の中にはどんなに酷暑だろうとツナギを着てシゴトをし続けている方々もいらっしゃるわけで、ワタシなどその様子を見ただけで意識が遠のくくらいに絶望的な状況だ。
各種工事現場では、このごろヘルメットの周りに麦藁帽子のつばを装着してシゴトをしているヒトをよく見かける。
なるほど、アイデア賞かも…
…と、モノを知らぬワタシは、その現場の作業スタッフのみなさんの独創なのかと思い込んでいた。
ところが先日メイクマンで、ヘルメット装着用の麦わら帽子のつば部分が、なんと製品として売られていることを知った。
製品だったんだ、あれ…。
話は変わる。
工事作業中にヘルメットを落として失くすという方はそうそういないと思うけれど、ダイビング中にいろいろなものを海で失くしてしまう方は多い。
海底にはたまにマスクが落ちていることもあり、どういう状況だったらマスクを落とすんだろうか…と一瞬首を捻りかけることもあるけれど、たいてい場合ボート上でうっかり八兵衛さんがやらかしているのだろう。
ダイビングの3点セットのなかではマスクやスノーケルが圧倒的に多い一方、フィンが落ちていることもたまにある。
これまたボート上でのうっかり八兵衛さんが原因の8割方を占めているのは言うを俟たないところながら、かつて当店でもダイビング中に片方のフィンがはずれてしまっているにもかかわらず、そうと気づかず最後まで潜り終えてエキジットしてきた方もいらっしゃった。
それを考えると、数少ないながらもダイビング中にフィンをロストしているヒトもいらっしゃるのかもしれない…
< そんなヤツおらんで…
…と言いたいところながら、ワタシはその瞬間を記録していた。
1グループが多人数の場合とか、居合わせたゲストのみなさんが気心の知れた方々ばかりというとき、たまに興が乗ると開催される海中かけっこ大会。
バカバカしく思えるかもしれないけれど、マジメなダイバーほど海中でフィンを脱ぐという経験が無い方が多いから、かけっこと言わずともフィンを脱いでみるだけでも新鮮な気分を味わえたりする。
こういう遊びを普段おりにふれやっていれば、ダイビング中にフィンが脱げたからといって慌てふためいてパニックになることもない(激流下のドリフトダイビングなどでは致命的だけど、水納島では無縁なので)。
それにしても、いい年をしたオトナが海中でかけっこ大会なんて…
…と、ナニゴトにも醒めている方は思うかもしれない。
しかしそもそもいい年をしてダイビングをしている時点で、醒めた方々とはいささかタイプが異なるみなさんばかりだから、これがまた笑ってしまうくらいに「勝ち」にこだわることになる。
オタマサが案内をしているときによく催されるこの海中かけっこ、別行動をしていることが多いワタシながら、この時は人数が多かったのでサポート係になっていた。
しかもこの時は普段の当店ではあり得ないようなビジュアル系ゲストがポールポジションにいらっしゃったので、絵的にもネタ的にもバッチリかも…と動画で撮ることに。
はたして勝敗の行方は?
ところが…
各馬一斉にスタートし、みなさんがまるで初めて月面を歩いた人類のようにアタフタしながら激走(?)しているその後方に、
フワリ…
…と漂い始めた黒い物体。
ゴムのフィンなら重いからその場で沈むのだけど、軽量級のプラスチックフィンはややプラス浮力だから浮いてしまうのだ。
このまま見捨てるわけにはいかず、レースの結果はそっちのけで回収せざるをえなかったのだった。
このまま浮いて海洋プラスチックゴミの一員になるか、はたまたなにかがどうにかして海底のゴミになっていたかもしれないフィンは、傍観者たるワタシがいたおかげで無事持ち主のもとに戻った。
四十男がフィンを手放してまで夢中になる海中かけっこ。
未体験の方は是非。
※くれぐれも時と場所はわきまえましょう。
2022年07月19日
静かに最長不倒記録。
2022年 7月18日(月) 未明雨のち晴れ
南の風 かなり波あり 水温26度~28度
この3連休はこの夏最大の試練を迎えている。
できることなら時が素早く流れて早く終わっちゃえ!という思いが募れば募るほど、そういう時に限ってやたらと1日が長い。
これが終わったら、真っ白に燃え尽きてしまいそうだ。
いったい何が試練なのかという話は、当然ながらナイショである。
先週の予報では雨マークが優勢だった3連休中は、結局日中の降雨は無く、この日など天気予報をまったく覆してずっと晴れ。
ただしまるで梅雨明け直後のような気圧配置のせいで南風がやたらと強く、この日の連絡船の運航も危ぶまれたほどで、そこまで荒れたらやっていられないということなのだろう、島に来る2大日帰りツアー業者が水納島ツアーの中止を決定。
ここ数年はこういう場合だと連絡船も息を合わせて便数を減らすところだったのに、なぜだかこの日は雄々しく通常運航してくれて、なおかつ水納ビーチは営業、島内パーラーも営業、島内唯一のマリンレジャー業者も営業と、一般客にはなんの支障もない1日になった。
もっとも、その肝心の一般客は、パラソルが10本立っているくらいだったけど。
臨時便まで出た昨日はパラソルだらけになっていたことを思えば、ようするに水納島への日帰り客って、そのほとんどがツアー客なのだということがよくわかる。
でもそのおかげで、これぞまさしく離島の夏というほどにのどかでほのぼのとした環境になっていた。
そして太陽もゴキゲンに。
桟橋にいた時に、ビーチボーイに教えてもらったもの。
これは日暈(ひがさ)と呼ばれる気象現象で、久しぶりに目にした。
この日ビーチにいた人々のうち、気がついた人が何人いただろう…。
お日様といえば、先月の爆裂豪雨長雨の日々で不足していた日照も、このところお釣りがくるくらいに燦燦としている。
だからだろうか、春先の日照不足の頃から太陽を求めて場所を移動していたセンジュイソギンチャクが、元の場所に戻りつつある。
このセンジュイソギンチャクの住人であるハナビラクマノミに、ようやくパートナー候補ができたことは先日お知らせしたとおり。
チビターレは今も健在だ。
そしてこのほど、さらにもう1匹候補が増えていた。
サイズ的に左側が先住者で、右側が新入りだろう。
クマノミ類における先住者優勢の法則からすると、このまま順調にいけば左側のチビが「オス」になるのだろうけれど、まだまだこの先なにがあるかわからない。
彼にもし何かあれば、たちまち新入り君の時代の到来だ。
健気にイソギンチャクの触手の合間でチロチロしているチビターレたにも、様々な思惑が絡み合った虎視眈々的暗闘があるに違いない。
こことはまったく別の場所で、久しぶりにモンヒモウミヘビに出会った。
近寄ろうとするとすぐに砂中に引っ込む子が多いモンヒモウミヘビだけど、コイツはなかなかお利口さんで、口をパクパクさせながらずっとこのままでいてくれた。
撮っている間、なんか違和感があるなぁ…と思っていたところ、その理由がわかった。
日中出会うモンヒモウミヘビといえば、↓このように顔の部分が出ているだけということが多く…
…これまで観たことがあるなかで最も出ていたものでさえ、せいぜい↓これくらい。
最初は体の黒点の密度の違いかなとも思えた違和感は、実は身の乗り出し方にあったのだ。
個人的モンヒモウミヘビ最長不倒記録樹立だ。
…って、単にでっかい個体だっただけなんだろうか。
一方リーフエッジあたりでは、相変わらずオキナワスズメダイの若魚たちが、おそらく今年限りであろうフィーバーぶりを見せてくれている。
場所によっては、オキナワスズメダイ云々以前に水納島とは思えなくくらいの魚影の濃さになっているところもあって、ただただボーッと見ているだけで気持ちがいい。
あいにくその様子を1枚の静止画像で表わす術がワタシには無いので、わかりやすさという意味ではやはり動画に軍配が上がる。
近年恒例となっていたキホシスズメダイチビチビたちのお株を奪う大集団なんだけど、「夏の沖縄」が当たり前の方々には、こういうのもフツーに「夏の沖縄」のシーンに見えてしまうのだろうなぁ…。
今年限りであろう旬を迎えているオキナワスズメダイたち、見頃を迎えている今、夢お見逃しなく。
2022年07月18日
トサカでオシャカに気をつけましょう。
2022年 7月17日(日) 薄曇り
南の風 うねりと波あり 水温28度
先日オタマサは、砂底に唐突にポコン…と生えているトサカの仲間の表面に、初見のウミウシがついているのを見つけた。
撮影:オタマサ
まるでトサカのポリプを食べているかのように見えたため、口元を観察したところ、その時は食べているわけではなかったらしい。
ところが後刻そのウミウシを図鑑で調べてみたところ、その名をアオフチオトメウミウシというこのウミウシは、まさにトサカ類を食べるタイプのウミウシであることがわかった。
後日同じトサカを再訪したところ、1匹と思われたそのウミウシは、なんと同じトサカに↓この密度で大小合わせ8匹もついていたという。
撮影:オタマサ
前回もこんなにいたのに1匹しか見えなかったわけではなく、たった3日の間にドッと増えたものらしい。
ひとつのトサカにこんなにいるものなのにこれまで一度も観たことがなかったのは、つまり彼らがたくさん観られるくらいに現在トサカ類が増えている、ということなのかもしれない。
一方、別の場所では、似た種類と思われるトサカが、砂底でわりと大きく育っている。
これだけだったら「大きなトサカね…」で終わるところながら、これまた先日オタマサは、このトサカに魅惑的な魚たちがついているのを目にした。
でもオタマサのマクロ装備では撮れないシロモノだったので、その日は目撃情報だけで終了。
で、この日ワタシにそれを撮れというので、オタマサのかなりテキトーな位置情報だけを頼りに砂底をウロウロしてみたところ、上のとおり立派なトサカにたどり着いた次第。
で、そこについている魅惑的な魚たちとは…
ご存知ムレハタタテダイのチビターレたち。
ムレハタタテダイの群れが観られなくなって久しい水納島のこと、総勢10匹(上の写真では9匹)も集まっているだけで夢のような世界だった。
トサカがもう少しドピンクだったり赤味が強ければ申し分なかったのだけど、この際ゼータクは言っていられない。
どう考えても期間限定のムレハタタテダイスクール、スクールであるうちに記録に残せてよかったよかった。
それもこれも、妙に増加傾向にあるトサカ類のおかげだ。
水深25メートル超ではいまだに水温が25度くらいと夏になりきれないままでいるのが、トサカ類にとって功を奏しているのだろうか。
相変わらずの水温2層構造のために、水深の違いでぬるかったり冷たかったりするのだけど、水温差が3度もあると、冬場の風呂場で要注意とされるヒートショックに見舞われるかもしれない。
トサカを見ながらオシャカになってはシャレにならない。
高齢ダイバーは特にそのあたり、本気でお気をつけくださいませ。
2022年07月17日
凶弾と教団。
2022年 7月16日(土) 晴れ
南西の風 大きなうねりあり 水温28度
凶弾に倒れた途端、なにやら「悲劇のヒーロー」的扱いになりつつある元首相。
彼ががんばってくれなければ、今頃日本はもっと大変なことになっていたのだそうだ。
また、秘書に言わせると、「彼ほど国民に愛された政治家はいなかった」そうだ。
彼が何をどうがんばったのか、ワタシらごとき生活レベルの人間からは、ただただ自分と自分に近しい人々のために自分の地位を利用していろいろがんばった、という記憶しかない。
以前も何かのおりに触れたように、今世紀になってからの政府のさまざまな政策は、現行のシステムで銭儲けがうまく行っている方々のためのシステムを「維持」することが「経済対策」である、という観点からすると、その旧態依然とした銭儲けシステムに延命治療を施していただけのような気もする。
そんなことのためにがんばらず、身を切る思いでいっそのこともっと大変なことになりつつもそこから這いあがる方向でがんばっていたほうが、むしろ今頃はたとえ「大変なこと」になっていたとしても、新たな経済の仕組みが生まれて将来によっぽど希望が持てていたのではあるまいか。
いずれにせよ8年もずっと続けて「いまだ道半ば…」だったということは、すなわちたっぷり時間をかけても大した成果が出ていなかったわけで、一般的にはそれを「失政」という。
…と勝手に思っている人間からすると、彼の何がどのように「国葬」に値するのか、さっぱり意味不明だ。
でもこれまた以前触れたように、今やひとつの宗教団体になっている「自民教」のこと、こういった盛大な宗教儀式もまた、教団の勢力拡大には大いに役に立つのだろうから、信徒に賛同者が多いのは当たり前の話。
でもそれを税金で賄われるってのはなぁ…。
そんなに国民に愛されているのなら、費用をすべて香典という形の寄付で賄えばいいのに。
彼に現行システムを守ってもらった経済界の方々が、喜んで多額の費用を拠出してくれることだろう。
2022年07月16日
今そこにある危機2022。
2022年 7月15日(金) 晴れ
南西の風 波あり 水温25度~27度
ウィズコロナとかコロナと共存とか併存とか、まぁだいたいそんなもんだろう…的に理解はしているけれど、ずっとワケが分からないのが、観光業支援とか飲食業支援など。
フツーにしていればいいものを、税金を使って感染を拡大させる仕組みを作っておきながら、いざ感染者が増大してくると「医療逼迫」とかいって慌て始める。
感染拡大はヒトの移動によるものではなく、ウィルスの周期であるだけだ、なんてことを言うヒトもいるけれど、ウィルスが何型であろうとも、自由遊泳してヒトに感染することはまずないのだから、ヒトが押し寄せる場所が増えればそりゃ感染者は増える。
どうしても観光業飲食業を支援したいのなら、まずはその結果増大するであろう感染者の数を試算して、医療体制がどのようになっていれば「逼迫」しないか検討し、その準備をしたうえで旅行へGO!、外食カモン!って話なんじゃなかろうか。
なんだか同じことの繰り返しをしている行政の様子を見ていると、連絡船を大きくしたら港が小さすぎて運航に支障をきたしている、というどこぞの離島航路と同じような気が…。
まず港からでしょう、フツー。
さてさて、本日はお日柄も良く、海中はさすが大潮、流れがいささか強かったもののそのぶん水はクリアで、心地よいひとときを過ごすことができた。
いまだに浅いところと水深20メートル以深あたりで水温が2~3度異なる二層構造のままながら、出現が送れていたスカテンたちが、ジワリジワリと増えてきている…気がする。
ハナミノカサゴたちもゴキゲンだった。
ところでこういう場合には、絵柄上サンゴが欠かせない。
98年の大規模白化以後、復活の道を歩み始めたリーフ上のサンゴたちは、その後10年以上かけて見事に復活を遂げてくれた。
それと同時に、砂底の各根でもサンゴがどんどん成長し始め、場所によっては大規模白化以前にはけっして見られなかったほどのサンゴの園が出現したほどだ。
ところが。
一昨年くらいからだろうか、拙日記でもたびたび紹介しているように、水深20メートル前後の根に繁っているサンゴたちが、次々に変死を遂げるようになって、サンゴの園状態だったサンゴがほとんど壊滅してしまったところもある。
死に始め(?)はまるでオニヒトデの食害に遭ったような感じに見えるのだけど…
周辺にオニヒトデの姿はまったくなく、ただただサンゴが勝手に死んでいく。
上の写真では、右側が死んでから時間が経っている部分で、すでに藻が生えており、真ん中が死んだばかりか息も絶え絶え状態、そして左側がかろうじて生きているところ。
これもやがて全体が死サンゴとなり、付着生物がついた黒い石になってしまうことだろう。
このサンゴの不審死は、どうやら「ホワイトシンドローム」と呼ばれているもののようだ。
慶良間あたりでは早くも2007年頃からモンダイになっていたようで、述べられている症状は水納島の場合とほぼ同じ。
原因不明だけに対処のしようがないという話なんだけど、その後15年経ってサンゴが全滅したなんて話は聞かないところをみると、ある程度死ぬと終息するのだろうか。
終息するにしても、水納島の場合砂地の根のかなりのサンゴはもう死んじゃってるけど…。
それに追い打ちをかけるかのように、今年はこれまでと違い、別の脅威も目立ってきている。
上の写真の紫色の部分がそれで、これはカイメンの1種。
いついかなる時も恒常的に見られるカイメンではあるのだけれど、何がスイッチになるのか、突如爆発的に生息範囲を広げる活動を開始することがあって、生きているサンゴにすら戦いを挑み、そして勝利してサンゴを覆い始めてしまう。
その昔、旧一本サンゴがまだ元気だった頃にもこの紫色のカイメンにスイッチが入った時期があり、一本サンゴでも広がり始めてしまった。
こりゃもうダメかも、一本サンゴ……
…と諦めていたところ、そこで雄々しく立ち上がったのが、かつて本部町内にあったダイビングサービス「シーガーデン」のみなさんだ。
オーナーとベテランスタッフの2人で、一本サンゴに蔓延り始めたこの質の悪い紫色のカイメンを、ゴシゴシゴシ…ときれいさっぱりこそげ落としてくれたのである。
結局その数年後にオニヒトデに全部食べられて一本サンゴは死を迎えたものの、彼らのその貢献がなければ、一本サンゴはもっと早い時期に旧一本サンゴになっていたことだろう。
当時の苦労話を聴きたい方は、沖縄そば屋「海庭」へGO!
そんなタチの悪いカイメンが、今年再び活動し始めている。
ホワイトシンドロームに侵されることなく元気に成育しているサンゴの根元や枝に、いつの間にか蔓延っている紫色のカイメン。
さきほどのハナミノカサゴやスカテンがいたミドリイシにも…
サンゴの基盤である岩にもともとついていた紫色のカイメンが、サンゴにまで侵出し始めている。
かなり多くの場所で同様のシーンが観られるところをみても、ホワイトシンドロームと併せ、いよいよもってサンゴの危機かもしれない。
一方、同じサンゴでもミドリイシとは耐性が異なる方向に働いているっぽいハナヤサイサンゴ類にも異変が起きている。
これまた、それまで元気いっぱいだった群体のあちこちがまだら状に白くなっているのだ。
一見しただけだとシロレイシガイダマシにやられたのかな…という感じに見えることもある。
たしかにシロレイシガイダマシも恒常的に多く、食べられているサンゴも多いのだけど、ここで挙げているサンゴたちのどこにもシロレイシガイダマシの姿は無いし、白くなっている感じからしてオニヒトデの食害というわけでもなさそうだ。
今月になってやけに目立つようになってきたハナヤサイサンゴ類のまだら白化、これはいったいどういうことなのだろう?
これもまたホワイトシンドロームなのだろうか。
それとも、梅雨の間の尋常ならざる降水量のために表層5メートルあたりまでの塩分濃度が下がり過ぎ、具合いが悪くなってしまったのだろうか。
ミドリイシの多くが白化してしまうほどの高水温には強いハナヤサイサンゴ類たちに、いったい何が起きているのだろう?
不審死は、ハードコーラルだけの話ではない。
過去に何度も触れているオオイソギンチャクモドキも、このところ1つ、また1つといったペースで、ジワリジワリと弱ってきている。
サンゴの大規模白化と時を同じくして、まるでとろけるように消え失せてしまったオオイソギンチャクモドキもまた、長い時間をかけてようやくチラホラ観られるほどに数を回復してきた。
写真の個体はこの場でかなり長い間いつも元気いっぱいでいたものなのだけど、今年になってすっかり衰退してしまっている。
一方、先日久しぶりに訪れたところに群生しているリュウキュウミゾヤギ(と我々が思っているヤギ類)は、いつの間にか群落全体が死に追いやられていた。
生前の姿は↓こちら。
生きていてもパッとしないっていえばパッとしないんだけど、水納島周辺では数少ない群落だったから、それはそれで貴重な場所だった。
1本1本を見れば、ある種の貝類が食べているとか、ガラスハゼの仲間が産卵床にするために肉を削ぎ落しているということはあっても、こんなに生えているサンゴのほぼすべてが死んでしまうなんて…。
何が起きているのかまったく不明ながら、畜養したサンゴを人工的に植え付けていても、けっして解決できる話ではないことだけはたしかだろう。
ひょっとしてひょっとすると、10年後くらいには、この時が見納めだったんだね…なんて話になっているかもしれない。
すでにして2年前の姿ではなくなってしまっているくらい変化があるものの、この先良くなるという保証はどこにもないので、見納めはお早めに…。
2022年07月15日
サザエといつまでも。
2022年 7月14日(木) 晴れ
南のち南西の風 やや波あり 水温28度くらい(表層のみ)
朝早めに島に帰還。
昨日の話の続きになるけれど、前日夕方から同じ番号から何度も着信があった。
心当たりが無いから完全スルーしていたところ、帰宅して見ると家電にも着信がたくさんあった。
あいにく家電は番号表示がないからどこから掛かってきたものかわからないものの、こうなると携帯に掛けていたヒトと同じかもしれず、ひょっとして…という心当たりが帰宅後初めて生じた。
携帯から掛けてみたところ…
案の定、島御用達のNTT現場作業スタッフの方だった。
前日から電話が繋がっているかどうか、当方に確認をとろうとしていたそうな。
まだ実際に家電から掛けてみたわけではないけれど、発信音はするしファックスは受信していたし、携帯から掛けても通じていたから、きっと大丈夫なのだろう。
その旨彼に伝えたところ、
「もう乗船券買っちゃったし、とりあえず行きます」
そりゃ悪いことをした……
…って、ちょっと待て。
こっちは最初からNTT西日本の故障受付にちゃんと連絡して、修理予定日は最速で19日と聞かされていて、それがなぜだか直っている旨伝えてもいるぞ。
このやり取りのなかで、現場の作業スタッフに電話が通じているかどうかをお伝えする義務など当方にはまったくないんですけど。
というか、そもそも現場と故障受付との間の連絡はどーなっておるのだ。
現場スタッフによると、3日ほど前に灯台方面にある大元の機器を修理したそうで、それで島内の不通世帯はほぼ復旧したという。
なんでこのようなチグハグなことになってしまったのかというと、島のみなさんが直接現場スタッフに連絡を取ってしまっているからだ。
本来の業務の在り方は、コールセンターによる故障受付→現場スタッフ→現地作業という流れだから、回線契約者はまず故障受付に連絡しなければならない。
ところが水納島の場合、現地を訪れて実際に修理をしにくる方がいつも決まった方で、訪問予定の確認のために携帯電話でやり取りをしてるものだから、「電話の修理」といえば「このヒト」という図式が成り立ってしまっている。
そのため電話が不通になった途端、みなさんいっせいにそのスタッフさんに電話をしたために、人の好い修理スタッフ氏は「パニックになってしまってよぉ…(本人談)」という状況だったらしい。
故障の状況によっては(今回のように)大掛かりな作業になる場合もあり、各戸ごとの修理では済まないようなケースだと、島御用達スタッフさんの手に負えず他の業者さんになるということもあるのだけれど、電話が不通になってしまった世帯にそういう事情を顧みる余裕などないのだった。
しかしそれもこれも、あまりにも繋がらない113番もしくは0120から始まるコールセンターにすべて起因しているといっていい。
NTT名護支店の担当者が出ていたのも今は昔、コールセンターシステムになってからは、水納島のことなど微塵も知らない大分のコールセンターに掛かっていたりもして話が遠い…なんてこともあったけれど、現在ではそもそもコールセンターになかなか繋がらない。
自動音声によるメッセージで、案件ごとに何番を押せ、何番を押せが続いたかと思えば、挙句の果てには
「現在混み合っておりまして…」
的なメッセージでどうしようもなくなる。
今回のワタシの場合、そのメッセージ内でweb113なるネット上のNTT故障受付ページを知ったので、すぐさま「お問い合わせフォーム」を使って連絡を取ったところ、たちどころに…といってもいいくらいの早さでメールにて返信が届いた。
その後その案件に関する限り、メールで問い合わせることができ、内容によっては携帯に「故障受付」という名前で掛かってきたりもして、けっこう便利だったりもする。
というか、そんなに早く対応できるんだったら、電話にも出られるんじゃね?
世の中悪質なクレーマーが増えすぎて、もうNTTのコールセンターとしても、できることなら電話には出たくないんですぅってことなのだろうか。
その点理性と理解に満ちたワタシのメールのような内容には、迅速なる対応をしてくれるってことだったりして。
いずれにせよ、電話が不通になってしまった高齢世帯に「web113をご利用ください」って言ったところで何がどうなるはずもなく、島御用達の現場スタッフさんに電話が掛かってくるのも無理からぬ話ではある。
シゴトを終えた電話スタッフさんは、今回のことを教訓に各世帯に「故障の際はこちらに…」と、113番と0120から始まる故障受付番号を記したチラシを配っていたようで、うちにもそのチラシをくれたんだけど、あのぉ…ワタシは最初から故障受付に連絡してたんですけど。
むしろ「現場と故障受付の連絡をちゃんとしてください」って書いたチラシを渡した方がよかったか?
というわけですったもんだあったものの、現在島内の電話は完全復活しているのでご安心ください。
そんな暑苦しい話題のあとは、一服の清涼剤。
前日出掛ける前に、今期初導入のワイドレンズでオキナワスズメダイたちを撮ってみたもの。
こういう涼やかな群れがあると、普段は限りなく存在が地味なナミダクロハギでさえ、まるでそこがモルディブの海であるかのような存在感を発揮してくれたりもする。
この日は早く島に戻ってきたから、潜りに行こうと思えば行けなくはなかったのだけど、とりあえず窒素抜きデーにすることにした。
でもハンパない暑さを凌ぐためには、クールダウンも必要だ。
そこで、ラス前の便が島を出た頃に桟橋まで行き、ボートを出してクールダウンのひと泳ぎ。
いやはや、少々波はあったものの、引ききったあと満ちてくる水のなんともクリアなこと!
あーきれい。
そして晩酌は…
貝尽くし♪
ちなみにサザエさんはお刺身でもつぼ焼きでもアヒージョにしても燻製にしても、とにかくなんでも美味しいのだけれど、最も美味しいのは、茹でたばかりの殻から取り出した身。
貝殻に含まれる程よい海水と貝殻についている海エキスの出汁の味だけで、なにもつけずにそのままいただく。
その昔大量のサザエをシンメーナービ―で茹でていた機関長に教えてもらって以来、ワタシの中ではナンバーワンのサザエ料理になっている。
これをちょいとつまみ食いするときのシアワセときたらアナタ…。
~♪
今宵も日が暮れて 時は去りゆくとも
サザエの美味しさは 変わらない
いつまでも……。
2022年07月14日
謎の復活。
2022年 7月13日(水) 晴れ
南西の風 うねりあり 水温25度~27度
この日は1本潜ってから本島までお出掛けすることにしていたので、連絡船の1便が到着する前に出発、2便が桟橋に接岸している頃に戻ってきた。
そして帰宅したところ、なぜだか電話機のファックス受信ランプが点灯している。
はて、不通のままのはずなのに、なんで受信ランプが?
念のために受話器を上げてみると…
ツー………
という発信音が。
さらに試しに携帯にかけてみたら繋がったし、携帯からかけてみても通話ができた。
あれ?知らない間に朝イチ便で修理業者が来ていたのかな?
それとも、連日の猛烈晴天で豪雨が原因らしき故障個所のトラブルが勝手に直っちゃったのかな?
どっちなのか、同じ案件(問い合わせ番号)に関するかぎりメールのやり取りが一応できるようになっているNTT西日本故障受付にメールで尋ねたところ、
「修理に訪れたという報告はないけれど、回線チェックをしたところ通常状態で繋がっていますね…」
と、ワタシ同様にキツネにつままれたような感じになっていた。
雨に打たれすぎると壊れ、乾燥すると直る何かがモンダイだったのだろうか。
ともかくそういうわけで、いろいろとご不便をおかけしておりましたが、とりあえず現在電話は繋がっているみたいなので、以後は家電のほうにお願いいたします。
ところで、家電が不通になってから「ご連絡はメールで…」とお願いしていたにもかかわらず、お気軽に携帯電話に掛けてくる方がなんと多いことか。
あれほど当方では携帯電話は普段携帯していないと言っているのに、携帯電話文化に毒されてしまっている方々は、携帯電話といえばいつでもどこでも出られるもの、というノリになってしまうのだろうか。
だいたいいいお天気の日中ともなれば海に行っているのだし、そんな時間帯に電話を掛けたところで、そもそも電話に出られるわけないじゃん。
もともと今回のように家電にトラブルが発生したりしないかぎり暮らしを携帯電話に依存していない当方なので、携帯電話は緊急連絡用でしかなく、掛かってきたからといってなんでもかんでもホイホイ電話に出る習慣がまったく無かったりする。
まず間違いなく緊急案件ではないと見た場合は、むろんのことこちらから掛け直すこともない。
ともかく外出中に電話に出るケースといえば、船長その他連絡船関係のほか、暮らしに密接に結びついている登録済みの人々や各種業者さんからの電話くらいのものだから、どう考えてもメールをいただいたほうが確実だしむしろ早く連絡がとれるはず。
というわけで、次回家電故障の際は、「父危篤、母急死」といった緊急連絡以外、くれぐれもメールをご利用くださいませ。
新しいアドレスをご存知ない方は、何度もお伝えしておりますように当サイト「お問い合わせフォーム」をご利用ください。
そんなの使いたくない!という方は、もしまた家電が故障した場合は、再び電話が直るまで気長にお待ちくださいませ。
2022年07月13日
メインイベントは水面に。
2022年 7月12日(火) 晴れ
西の風 おだやか 水温25度~27度
引き続き本日も快晴!
大潮に差し掛かっているので干潮時に潮がやたらと引くということ以外、コンディション的にはまったくのストレスフリー状態だ。
この日も早めに1本潜りに行って、懲りずにまたサンゴの上シリーズの続き。
本日はこのヒト。
ん?ハマクマノミがサンゴの上に?
そのヒミツはこちら。
サンゴの根元のほうに、彼のおうちのタマイタダキイソギンチャクがあるからでした。
…というネタのために注目してみたものの、とりたててサンゴの色味がきれいなわけでも、ハマクマノミがかわいいサイズのチビターレというわけでもないから、いわゆる「可愛い♪」系で撮れない。
そこで正面から見ると…
…わりとカワイイ。
と思って撮っていると…
アクビをしてくれた。
あいにくサンゴの上ではなかったものの、先日の人生最小記録を5ミリほど更新するシチセンチョウチビターレに遭遇。
こういうものをチマチマ撮っている合間にたまにキョロキョロしていると、2匹の大きなイソマグロがでブイブイいわせながら傍を通っていった。
先頭の1匹はフィンを脱いだオタマサくらいはありそうなサイズだ。
でも小さい魚をチマチマ撮る用のレンズなので、離れていても…
…顔を撮るのが精一杯なのだった(涙)。
それにしてもスルドイ歯だこと。
こんな歯を揃えたデカいイソマグロに本気で挑まれてしまったら被害はゴマモンどころじゃなさそうだけど、幸いイソマグロとダイバーは、利害が対立する関係にはない(今のところ…)。
その他いろいろ海中での出会いがありつつも、メインイベントはエキジット後に待っていた。
大潮で潮の移動量が増したからか、大量の軽石をはじめいろんなゴミも流れ着いていて、ボートに戻ろうと思ったらドライブ(プロペラがついているとこ)に太いロープが絡まりついていた。
知らずにそのままボートを走らせてしまったら、すぐさまプロペラに絡みついてしまうから、すぐさま排除。
その際になにか魅惑的なクリーチャーがいないか、ちゃんと目視したはずなんだけど、その時には気づかずボートに揚げた。
しかし海中で気づけなかっただけで、そのゴミロープには魅惑的なクリーチャーがついていた。
ロープとともに水揚げされ、そのままでは即席干物になってしまうから、すぐさま放流。
さて問題です、このクリーチャーは誰でしょう?
すぐさまわかってしまったアナタは、ある種の変態社会人であることは間違いない。
正解は↓こちら。
ご存知ハナオコゼ。
けっして長距離遊泳をするために特化しているわけではなさそうな運動機能を駆使し、懸命に泳いでいた。
ただしゴミとはいえそれまで長い間拠り所にしていたものが突然無くなってしまったハナオコゼ、傍に浮いているものといえば…
…ボートだけ。
できることなら拠り所にしてあげたいところではあるけれど、この場に停めたままにするわけにもいかない。
なのでボートに縋ろうとする彼を追いやり、遥かな旅路へとついてもらうことにした。
この日は他にも浮遊物が多かったから、すぐさま次のマイホームを見つけることができるだろう。
ハナオコゼは桟橋脇に漂ってきた流れ藻の上で見かけることはあっても、ボートダイビングでは滅多に会えるものではない。
久しぶりに軽石が大量でしかもゴミが多くて閉口していたのだけど、そんな状況だからこその千載一遇なのだった。
2022年07月12日
2時間の痕。
2022年 7月11日(月) 晴れ
西の風 おだやか 水温26度~27度
本日も快晴!
連日強めに吹いていた西風も、ようやく一休みしてくれたから海況もバッチリ。
こんな日にシゴトをしている場合ではない。
何度か触れたようにこのところはよんどころない事情で1本のタンクで2本潜るということをしていたから、当然ながら1本あたりの潜水時間は短くなる。
そのフラストレーションを発散…というわけではなかったのだけど、久しぶりにフツーにダイビングできる状況が楽しく、海中の心地よさも手伝って、ついつい長く潜ってしまった。
だからといって何がいたというわけではないのだけれど、今年初めて訪れた場所だから鮮度抜群で、久しぶりに「手つかず感」を味わうことができた。
昔からここでは安定的に見ることができていた、ミナミゴンベオンイソバナは今もなお健在だった。
ミナミゴンベがいないいないと騒いでいた間も、ここだけは安定的に居続けていたのだろう。
この日は3匹くらいがチョロチョロ動いては、枝上の小動物をゲットしていた。
イソバナには小魚もたくさん集まっていて、ササスズメダイのチビターレの姿がやけに多かった。
1匹1匹はさほど目立つ魚ではないけれど、キンギョハナダイチビターレと同等の数が集まっているとそれなりに見応えがある。
そんなササスズメダイチビターレの集まりの中に、ほんの少し浮いている姿があった。
↑このなかでいったいどれが「浮いている」のかわからないでいると、他の多くの小魚と同じく、彼に食べられてしまうことだろう。
ちなみにササスズメダイチビターレはこんな感じ。
そして浮いている魚はこちら。
ご存知バラフエダイチビチビだ。
オトナになると1メートルくらいになる巨大なフエダイの仲間も、チビターレの頃はスズメダイの若魚なみに小さい。
こうしてピックアップしてみればそのフォルムの違いは明らかだけど、ナリが小さいから群れの中に混じっているとけっこう溶け込んでいる。
尾ビレの付け根付近の黄色い模様までマネするあたり、でっかくなるオトナからは想像もつかない芸の細かさも見せるバラフエダイチビターレ。
そのサイズを活かし、スズメダイの群れに混じりながら、うっかり八兵衛をときおりゲットしているのだろう。
なのであからさまにプレデターたる口のサイズを見せびらかすわけにはいかないから、グッと閉じた状態でガマンしているようなのだけど、ときおりガマンしきれなくなって、実力を垣間見せてしまうバラフエダイチビターレである。
ここはリーフエッジのサンゴが見事なところなので、浅いところに戻ってきてからもまた楽しい。
先日サンゴの上にいるニセネッタイスズメダイのチビターレを「思い違い」して撮っていたらけっこう楽しかったので、せっかくサンゴがきれいなことだし、オンザコーラルにハマってみた。
おあつらえ向きに、わりときれいなミドリイシの上にホシゴンベの激チビターレがチョコン。
あららら、こりゃかわいい。
両の手のひらを合わせたくらいのサンゴの上といえばスズメダイ類のチビターレが定番で、スズメダイ自体は冴えない種類でも、サンゴがきれいだとたちまちビジュアル系になる。
これだけを見て何スズメダイかすぐさまわかる方は、ご自身が一般市民とはちょっと違うスズメダイ変態社会の住人であることを、そろそろ自覚されたほうがいいだろう。
さて問題です。これは何スズメダイでしょう?(正解はこちら)
スズメダイ類といえば、今年は小さな異変が発生している。
初夏ともなるとリーフエッジを埋め尽くす勢いで群れるキホシスズメダイのチビチビ…という光景が近年すっかりおなじみになっているのに、今年は最初だけキホシスズメダイのチビチビが湧いたかと思ったら、その後はパッとしなくなった。
そのかわりやけに目立つのが…
オキナワスズメダイのチビたちだ。
他のスズメダイ類も混在しているとはいえ、ここに群れている90パーセント以上がオキナワスズメダイ。
かつてこんなに群れていることがあったろうか…
…って、例によってまた思い違いかもしれないけど。
いずれにせよ、このときがんばっていた父ちゃん母ちゃんの努力の賜物が、今まさに花開いているのだろう。
ひょっとするとオキナワスズメダイの「当たり年」かもしれないので、そのシーンをおすそ分け。
こういうところをホゲ~…と徘徊しているだけであまりにも気持ちいいものだから、気がつけばダイコンに表示されている潜水時間は110分になっていた。
カモメ岩の浜からエントリーしてリーフ内で潜っているときは2時間くらいってこともあったけれど、おそらくボートダイビングにおける人生最長記録だろう。
個人的には、45分のダイビングを2回するよりも90分のダイビングを1回のほうが、そして40分のダイビングを3本潜るよりも120分のダイビングを1本のほうが、遥かに充実度が高い。
そのシンジツを誰もが認めてしまうと、ギョーカイのみなさんは商売上がったりになってしまうから、これはここだけの話にしておこう。
それはともかく、この齢になるとただでさえなかなか消えない「マスクの痕」、2時間近くも潜ったせいで、夕刻にシャワーを浴びた後でさえ消えていなかったのは言うまでもない…。