› 徒然海月日記~つれづれくらげにっき~ › 2023年02月
2023年02月28日
正解と不正解。
2023年 2月27日(火) 曇り時々小雨
北東の風 荒れ模様
微妙な荒れ模様が続いているため、本日も代船はまかぜ号は全便欠航。
連絡船が20日にドック入りしてからかれこれ1週間経つけれど、その間はまかぜ号が運航したのは23日と24日の昼までのみ…。
代船運航期間中すべて運航できれば、ホクホクだったろうに、リョウセイさんもガックリきていることだろう。
一方ワタシは。
朝から曇りがちで、その後ときおり小雨が降ったりするなど冴えないお天気になったこの日、サーッと降る雨を見ながら、駅前に何も無いような田舎の町で井之頭五郎が一軒の食堂を見つけたときのようなガッツポーズをしていた。
昨日塗っておいて正解!
でも…
…ああ、腰が痛い。
オーバーワークは不正解だったみたい…。
2023年02月27日
塗装日和。
2023年 2月26日(日) おおむね晴れ
北東の風 荒れ模様
本格派ストロングタイプではないものの、それなりに季節風が吹いているため、代船はまかぜ号は今日も元気に全便欠航。
でも先日と違い、この日はホエールウォッチングツアーも中止になっているようだったから、ホントに荒れていたのだ。
風は吹いても天気はいいので、本日はペンキ塗り。
うちのボートのように、台風避難とかたまの整備のために上架させることはあっても、普段は海に浮かべっぱなしという場合、船底塗料は必須になる。
その昔は船台がなく、島の裏浜に造られているなんちゃってスロープまでボートを回し、船底に丸太をかませ、干潮時だけ干上がるようにして塗料を塗っていたため、そうそう定期的にやれるものではなかった(地面と船底の間は丸太1本分しかないから、塗装はつらいつらい作業だった…)。
そのため効果が薄れてくると藻が生えまくるようになり、それをゴシゴシ掃除する…ということを繰り返しているうちに、船底の水に浸かっている部分はあらかたハゲハゲになっていた。
ところが船台を造ってから(台風で転覆してえらい目に遭ってから、ともいう)は、塗料の効果がなくなる前にほぼほぼ定期的に塗れるようになったため、前回の塗装が剥げる前に塗り重ねていくことになる。
船底塗料は重ね塗りしていくのが基本なので、10年も繰り返していると船底は塗料の千枚岩状態になっている。
それでも表面が均等にツルツルならまだしも、剥げてから上塗りした場所とそうでないところがランダムになっているから、船底は理想の状態とは程遠い凸凹になってくる。
藻が生えなければそれでいいと割り切っているものの、その凸凹のせいで速度も燃費も随分悪くなっているのは間違いない。
船の性能にかかわることもモンダイではあるけれど、古くなった塗料は多重構造になっている部分のどこかしらが剝げかかっていたりもして、その上から塗るとすぐに塗る前の部分が剥がれてしまい、塗料の空白地帯になってしまう。
その「剥がれかけ」の部分がだんだん目立ってきたので、ともかくも剥がせるものは剥がしてしまうことにした。
あいにく島にあるスクレイパーを持ってくるのを忘れてしまったため、昨日のうちにメイクマンで柄の長いものを購入し、本日の作業に臨む。
本来であれば事前に剥離剤などを使い、塗料をあらかた溶解させてからやればかなり綺麗になるんだろうけど、今この時点で手に入らないものを求めてもしょうがない(事前に買っておけともいう)。
というわけで、スクレイパー一丁で始めてみたところ…
…おお、さすが新品スクレイパー、剥がれる剥がれる。
といっても、剥がれないところは剥がれないし、この調子でやっていたら日が暮れても終わらないから、際立って剝がれやすそうなところ攻め続けているうちに、「今日はこのへんにしといたろ」状態になった。
お昼過ぎまでずれ込んだ午前の部はこれにて終了、いったん秘密基地に戻り、冷蔵庫内の刻みネギを活かすべく、これに大量投入してみた。
ネギたっぷりカレーヌードル♪
うーん、刻んでから数日経っているというのに、なおも香るネギ…
…って、しまった、カレーヌードルって、食べる前にかきまぜなきゃじゃん。
そして遅めの午後から、いよいよ船底塗料の塗装。
いつものようにボートの右側を船尾から塗っていき、船首まで到達した際、ついうっかり「終わった!」と喜んでしまった。
まだ左側が残っているじゃないか…。
このところはオタマサと半分半分でやっていたので、1人で全面を塗るのは久しぶりだ。
狭いところに潜り込み、仰向けになっての塗装作業はなかなか体にキツいけれど、塗装の場合は作業の進み具合が実にわかりやすい形で目に見えるし先も見えるから、ベスト・キッドになったつもりでセッセと塗り続け…
2時間ほどで完了♪
どうせ明日も欠航だろうから、船底塗料についてはホントは明日と思っていたのだけれど、いつ予報が手のひらを反すか知れたものではないし、この日はせっかくのいい天気、塗装中や塗装後に雨が降ることもなさそうだから、チャンスを活かすことにした次第。
でも朝から続くこの作業は個人的には完全にオーバーワーク確定だ。
すでにして腰が痛いところに追い打ちをかけているから、明日は機能停止になるかもしれない…。
2023年02月26日
それがハイラックスの生きる道。
2023年 2月25日(土) 曇り午後束の間雨
北の風 時化模様
予報どおり昨夕から吹き始めた北風は、そのままずっと吹き続けていったん冬に逆戻り。
もちろん代船はまかぜ号は欠航で、どうやらこれが27日まで続きそうな塩梅だ。
いろいろとやることがあるのに、これでは本島に出てくることもままならない…
…ということもあって、今回はオタマサだけ島に戻ることにし、ワタシは単身赴任状態になっている。
で、そうなった途端に、注文してあった品が届いたという連絡が昨夕メイクマンから。
朝届いていれば、午前中はメイクマンにいたのに…。
そうなればお支払いは家計の財布から出るからなんのモンダイも無かったところ、とりあえず自分の財布から出さねばならなくなってしまった。
家計のキャッシュカードやクレジットカードはすべて、名義はワタシながらもオタマサの財布に入っていて、なおかつワタシ個人所有のカードなど無いから、財布の中身はいつも現金のみ。
でも今回は長期単身赴任になりそうだからと、想定される必要量よりも少々多めに入れてきたというのに、アイリスオーヤマ製プラスチック製品のくせにやたらと高価な「押入れ用」収納ケース×2個のせいで、いきなり半減してしまったではないか。
単身赴任は27日いっぱいまで続きそうだというのに、これじゃあ毎日香るネギとインスタントラーメン生活か?
まぁ半減したとはいえ食事くらいはなんとかなるだろうけど、(11万キロ走っている)新車にうっかりガソリンを入れてしまったら正真正銘の困窮生活になりそうだから、オチオチ遠出もできやしない…。
それもこれも、なんともバッドタイミングな収納ケースのせい。
こういうものは、自分で作ろうとするとえてして買ったほうが安かった…ということになるから、今回は最初から「測ったように」ピッタリサイズの既製品を買うことにしたのだけど、ひょっとすると作ったほうが安かったかも…。
でも今はなんでもかんでも値上がりしているから、なにをどうしようと高くつくのだろうなぁ。
さてさて、この日は古堅自動車さんに用があったので、操業早々の工場に出向いたところ、傍らの空きスペースに懐かしい車体があった。
10年間に渡ってミスクロワッサンを牽引し続けてくれたハイラックス。
10年前は元気だったなぁ…。
…ワタシも。
昨年(11万キロ走っている)新車に替えた際に、フルゲンさんに搬送してもらったあと、別の場所にある廃車置き場に安置されていた。
それが工場に来ているということは、すなわちそういうことで、やはり…
内臓(?)が無~い!
フィクション小説の描写でしか知らないけど、司法解剖をおこなったあとのご遺体みたい…。
エンジンに関しては、使えるパーツがまだまだたくさんあったのだ。
たしかに最後まで調子よかったものなぁ、エンジンは。
潮水、潮風による足回りの腐食さえ凌げれば、渡久地港北岸限定であと2年くらいは使えたろうに…。
でもこうしてそれぞれのパーツが誰かの車で役に立っているのなら、それはそれで「生きている」ということなのだろう。
2023年02月25日
ねぎかおる。
2023年 2月24日(金) 曇りのち晴れ
東のち北の風 少々波あり
秘密の野菜園でスクスク育っている野菜たちのうち、この日ついに初収穫を迎えたものたちがいた。
ネギ♪
いわゆるアサツキ系のなんの変哲もないネギだったらプランターでさえ育てられるとはいえ、石だらけだった畑から採れたとなると感慨もひとしおだ。
同じものを島のオタマサあたいぐぁでも作っているし、かつてのマサエ農園でも定番だったから、ネギの種類も育て方もこれまでとなんら変わらない。
ところが、収穫してきたオタマサがビックリするくらいに、このネギ…
香るんです。
刻んで細かくしたら、その周辺は完全無欠のネギアロマだ。
ネギ嫌いの方なら思わず目を背けるだろうけど、ネギ好きならたちまち食欲が増進すること請け合い。
弁当屋さんで100円そばを買ってきたオタマサは、さっそく刻んだネギを投入。
100円そばが、たちまち300円そばくらいに変身していた。
そういえば、ひところ本部町内では「もとぶ香りねぎ」なるブランド名をこしらえて売り出していたことがあったっけ。
フツーのネギに比べて香るからということでつけられたこの名称、ひところは食堂などでも「もとぶ香りねぎ使用」ということを謳い文句にしているメニューもあったけど、今どうなってるんだろう?
もとぶ香りネギが植物としての品種なのだったかどうか記憶が定かではないものの、ひょっとしてこの香るネギって、本部町内の土壌がそうさせているのでは?
さすがに今季のオタマサあたいぐぁはまだ土がこなれていないから、昨季までのネギに比べると香りは少々物足りないとオタマサは言う。
そのネギでは対照実験にならないけれど、これまでマサエ農園で作っていたネギに比べても、遥かに香りが高いのだ。
同じものを同じヒトが同じように世話をして育てたネギの香りの威力が全然違うとなれば、それはもう土壌に原因を求める以外になさそうじゃないですか。
なるほど、本部町内の土が香るネギの素だったのか…。
例によっていつものごとく、うっかり八兵衛なみに早合点したけれど、ホントかどうかは知りません。
とにかく、うっかり八兵衛のお風呂大好きな旅の同行者は由美かおる、本部町内の土壌はネギかおるってことで…。
オタマサのたっぷり追いネギ100円そばがかなり美味しそうだったので、明日以降数日続きそうな単身赴任生活中の糧にすべく、タッパに刻みネギをたくさん入れてもらったワタシである。
このネギがあれば、インスタント麺でもそうとう美味しくなりそうだ♪
2023年02月24日
シトラスの香り。
2023年 2月23日(木) 晴れ
東の風 少々波あり
さすがに今日は、代船はまかぜ号でも通常運航。
我々も朝の便で本島へ。
街中では交通量がわりと多く(レンタカーだらけ)、子供たちの姿もチラホラ見えたから、この日が祝日であることを思い出した。
えーと…何の祝日だったっけ?
あ…天皇誕生日だ!
今朝方ネット上のニュースで、陛下が63歳に…という見出しを目にしていたというのに、天皇誕生日の祝日であることを忘れていたなんて。
世が世なら不敬罪で入獄必至のところだった…。
せっかくのお出掛けデーながら、この日は作業デーだったので、秘密基地で旅装(?)を解いた後、さっそく現場へ。
で、いつものようにあれをどうしたこれをなにしたと冗長なる作業日誌を書くところながら、この日の作業はのちのち人目に触れるものなので、「気づく人と気づかないヒト」度合いをリサーチすべく、この際黙っていることにした。
はたして真っ先に気づく方は誰?
あいにく資材の関係でこの日のうちにすべて終了しなかったので、ワタシは明日以降単身赴任となって本島にとどまり、引き続き作業をすることに。
草刈りはせにゃならぬ、船底塗料を塗らねばならぬ、収納スペースを完成させねばならぬ…
…と、やることだらけだというのに、また週末から数日は欠航必至の様相となれば、本島にでずっぱりもやむなし。
欠航といえば、時化のために欠航していた今週月曜日に、本部郵便局から電話があった。
荷物が届いているのだけれど、欠航しているために配達できないことを詫びてくれる内容だ。
そんなこと日常茶飯事なのに、何を今さら?と不思議に思って尋ねてみると、荷物が生ものだからわざわざ連絡してくれたらしい。
たとえ翌日運航しても、水納島の場合土日祝日にはゆうパックすら配達されないということもあったのだろう。
配達はされなくても、自ら受け取りに行けばいい。
というわけで、この日本島に着くなりさっそく郵便局へ行き、裏側にある集配所で受け取ってきた。
その荷物とは…
松山は道後温泉すぐ近くにある旅館「常磐荘」の女将さんが贈ってくださったいよかん♪
過去に何度か紹介しているとはいえ、ご存知ない方もいらっしゃるだろうから常磐荘についてはこちらをご参照ください。
毎年お気遣いいただいているおかげでいよかんを頂戴しているのだけれど、今年はいよかんとともに異種の柑橘系も含まれていた。
これ。
ザ・文旦!
左のいよかんとはひと目で別系統であることがわかるこの柑橘は、かつて南国土佐を旅した時に出会ったこともあり、「土佐の柑橘」のイメージが強い。
箱を開けた途端に解き放たれる強烈な柑橘系の香りはいよかんには無いもので、なんともステキな柑橘アロマ。
晩白柚とかザボンにも似ているなぁ…
…とボンヤリ思いながら、ちょいと調べてみてビックリ。
なんと文旦って、植物の「種」としての和名は「ザボン」なのだそうな。
そして、でかさ自慢のあの晩白柚も、文旦すなわちザボンの一品種なのだそうな。
香りが似ている…と思ったのも当たり前、植物としては全部同じ種類だったのである。
ザボンといえば、奇しくも常磐荘を訪れる前に泊まった鉄輪の温泉閣の露天風呂にたくさん浮かんでいたっけ…。
ちなみに文旦が外来種であるのに対し、いよかんは日本在来種で、植物の種としての和名も「いよかん」、そして学名はCitrus iyo。
伊予の旧国名が学名になっているけれど、実はいよかんが発見されたのは山口県で、現在の萩市内のことだったりする。
であれば、本来ならC. hagiensis なんじゃないの?と思ったけれど、そうだ、萩といえば夏みかんだ。
さらにちなみに、夏みかんの植物の種としての和名は「ナツダイダイ」で、学名も C. natsudaidai というのだそうな。
そしてここにきて初めて気がついたことが。
相当昔の男性用化粧品だかシェービングクリームだかジェルだか、もしくは女性用化粧品だったかのCMで、「シトラスの香り」なんていう宣伝文句があったけれど、このシトラス(citrus)って、ミカン属 Citrus がそのまま英語になっているのですね。
シトラスの香りっていうからなんだか秘密めいた媚薬にも似たアヤシゲな響きもあったのに、なんのことはない、柑橘の香りって言ってただけなんじゃん…。
でもオレンジもシトラス、温州ミカンもシトラス、文旦も柚子もシトラス。
シトラスの香りって、いったいどの香り?
おそらく今もフツーに宣伝文句として使われているんだろうけど、みんなちゃんと意味を理解しているのだろうか?
例によっていつものごとく、知らなかったのはワタシだけ??
まぁ、四六時中薔薇の香りを放っているワタシには必要ないものとはいえ、ほら、そこのアナタ、知ったかぶりしないで正直に告白してください。
2023年02月23日
そんなアナタにe-tax。
2023年 2月22日(水) 曇りのち晴れ
東の風 うねりあるも風浪は少し
代船はまかぜ号とはいえ、今日はさすがに運航するだろうから、また秘密基地泊で本島へ…
…といろいろ準備していた間に念のため水納海運の公式サイトをチェックしてみると、
「海上天候不良のため全便欠航します」
の文字が。
たしかに予報は少しばかり剣呑な数字が出てはいたけど、本島から潜りに来ているボートが朝からいたくらいだし、日中はおおむねおだやかだったんですけど…。
はまかぜ号のリョウセイさんも、これでは畑の仕事が進まないとばかり、朝から島に渡ってきてセッセと畑仕事に勤しんでいた。
って、ボート動いてんじゃん!
…と事情をご存知ない方はツッコミを入れるところだろうけど、代船運航中の判断はボートの船長がするわけではないので、おうおうにしてこういうことがあるのです。
さてその畑仕事に追われるリョウセイさん、今の時期は野菜の成長を阻害する雑草の排除が主だった作業で、それもこれも普段島にいない日のほうが多いからという理由はあるにせよ、やり始めるとシゴトは早い彼だから、追い込まれないとスイッチが入らないのだ。
おそらく夏休みの宿題も、最後の3日間ですべてやり切っていたと思われる。
普段留守にしているものだから、そろそろ収穫のタイミングになっている野菜たちもたくさんあって、先日は見事に育ったチンゲン菜をたくさん頂戴した。
これがまたことのほか美味しく、塩と少々の中華だしで炒めただけで、抜群の甘味とうま味。
しまったなぁ、チンゲン菜の元写真を撮っておけばよかった…
この日もまた、ボートで到着するやさっそく畑仕事をしていたリョウセイさんである。
これまでは四肢のチカラだけで耐えてきた彼も、除草作業のためについに畑用に椅子を用意しているあたりは、さすがに時の流れといったところか…。
で、午前の部のひと仕事を終えた頃、彼は今日もまた野菜サンタさんに。
大根と、また大量のチンゲン菜を抱えて持ってきてくれたので、前回の反省を活かし、採れ採れのチンゲン菜を…。
なんだかシマウマのヒップばりにセクシーなプリプリの曲線、これぞチンゲン菜ってな感じ。
先日は塩味だったので、今回はナンプラーメインの生姜&島とうがらしのエスニック風味でオタマサが料理してくれた。
このテの料理を美味しそうに撮るスベを知らないからどうしてもこうなっちゃうけど、チンゲン菜は食感も味も存在感抜群。
ありあわせの肉しかなかったから仕方ないにしても、このチンゲン菜の存在感なら、ベーコンとか三枚肉とか、こま切れ肉などの獣脂たっぷり系で炒めたほうがさらに美味そう…。
オタマサのあたいぐゎでもチンゲン菜を作っていたとはいえ、量的にとっくの昔に過去のものになっているから、なんともうれしいプレゼント。
畑を失ってしまったことや、先日いよかんを配ったことなどいろいろ気を遣ってくれているリョウセイサンタさんである。
しまった、チンゲン菜を両手に抱えている姿も撮っておけばよかったなぁ…。
話は変わる。
前述のとおりこの日も欠航で、これで3日連続欠航。
よく考えると、いわゆる世間の確定申告期間と丸々重なる代船運航期間、お役人風を吹かすヤクニンにいじめられて、あれが必要これが必要となったとしても、足繁く本島に通えないとあってはいろいろ支障も出てくることだろう。
ちなみに、有限会社クロワッサンアイランドはまがりなりにも法人で、これまでずっと、前オーナー時代から弊社税務を見てくれていたヒト(税理士のシゴトができる税理士事務所勤めのヒト)に任せっきりで過ごしてきたので、自分自身の確定申告とはずっと無縁だった。
それもこれも、税理士さんもどきの手数料が相場の半分くらいで済んでいたからなんだけど、近年その仕組みも変わってしまい、随分高くつくようになってしまった。
そもそも弊社の事業規模では節税対策など必要なく、いわゆる資金繰りともまったく無縁なので、法人にしているうま味はまったくない。
にもかかわらず、法人であるがゆえにかかる経費だけがどんどんかさばっていく。
法人ゆえの負担のひとつである「均等割り」は、どんなに赤字でも毎年決まった額を本部町と沖縄県に納めなければならない法人のサダメで、うちの場合はそれが毎年合計7万円。
ただしこれを四半世紀以上払い続けてきた大いなる虚しさについては、コロナ禍の初年度に国が大盤振る舞いしてくれたおかげで200万円となって返ってきたから、多少は報われた感あり。
でも今後も法人として営業を続けていくとなると、その均等割り、そして大幅に高くなった税理士手数料を引き続き毎年払い続けなければならなくなる。
もう実質引退、売上も食えるだけでいいのに、負担だけ「法人」であり続ける意味はもはやどこにも見当たらない。
そこで有限会社クロワッサンアイランドは長い冬眠期間に入ることにし、ワタシ個人はいわゆる「個人事業主」になることにしたのが昨年4月のこと。
うれし恥ずかし、50半ばにして個人事業主デビューである。
そこでひとつモンダイが。
個人事業主となった以上、これまでずっと他人任せにしてきた確定申告を、これからは自分でやらなきゃならない。
法人の申告システムに比べれば、揃えるべき書類が遥かに楽っぽそうに見えるとはいえ、今さらお勉強するのもかなり面倒くさい…。
収入なんてほぼ無いんだし、面倒だからいっそのこと知らんぷりしようかなぁ…
…と思ったりもしたのだけれど、徳井のようになってしまっては世間に後ろ指を刺されてしまう。
< え?そんなに巨額の収入が?
いえ、ウソ偽りなく正直に勘定しても、これもあれもそれも経費にならんとどれほど指摘されようとも、課税所得はゼロどころかマイナスですから…。
とにかく無収入であっても「確定申告」はせにゃならぬとあれば、最も楽な方法を選ぶに如くはない。
税務書あるいは役場の住民課のオヤクニンの方々が、ワタシのような迷える子羊に対し、小型船舶検査機構の検査官どころじゃなく役人風を吹かすであろうことは想像に難くない。
かてて加えて、これまでまがりなりにも「法人」だったから一応会計年度なるものがあって、巷の確定申告期間とはほぼ無縁でいられたけれど、これからはそうはいかない。
しかも今年はその確定申告期間のほぼ丸々が代船運航となれば、本島に行かなきゃならないのに欠航だらけでズルズル…
…なんて目に遭うことが容易に予想される離島民。
そんなアナタにe-tax♪
というわけで年明け早々から、初めての確定申告をe-taxで行うべく、「確定申告」を1から…いやマイナス100くらいからお勉強することとなった。
四半世紀ぶりくらいにそのあたりのことをお勉強してみたら、世の中いろいろ便利になっていて、今ではいちいちソフトを購入してPCにインストールして…なんてことをせずとも、クラウドナントカという方式で、ウェブ上であれやこれやそれやができちゃうようになっているではないか。
そのあれやこれやそれやを理解するまで(まだ理解しきっていないけど)に頭からピナツボ火山級の白煙を出しまくりはしたけれど、家計簿的に入力するだけで勝手に複式簿記の形にしてくれるんだもの、こりゃまったく楽チン楽チン。
取引件数など僅少でしかないから利用していないけど、カードや口座を同期させれば、ITさんが勝手に用途まで的確に予想して仕分けしてくれる機能まであるらしい。
その他申告するうえで控除のために必要なあれやこれやそれやも、質問に答えていくだけで勝手に書式が整い、あの暗号にしか見えない税務署提出用書類がいつの間にやら完成しているこの不思議…。
当初の絶望的に何もわからない状態からすれば、ここまではビックリするくらいの手軽さでできてしまえた。
でも最重要課題であるところのe-taxを利用するためには、事前の諸手続きと準備が必要で、困ったことに最もお手軽簡便なマイナンバーカード方式の場合、当然ながらマイナカードが必須だ。
本来マイナンバーカード取得は「任意」と法律で定められているにもかかわらず、なし崩し的に義務化しようとする政府による社会主義国家的マイナカード普及活動があまりにも強引&メチャクチャで腹立たしいから、そんなもの要らないとばかりに完全無視を決め込んでいた我々。
けれど、楽をするためにそれが必要となれば話は別だ。
政府のためではなく、ワタシのために、マイナカード。
さっそくネット上で交付申請をしようとしたところ、それが本当に公的な手続きなのかと不安になるくらいウェブサイトの出自がアヤシゲで、実際はどうなのかはともかく、感覚的にはセキュリティ的にユルユル感が満載。
そんな手続きを経て、先月9日に交付申請を終えた。
あらゆる分野における身分証明になろうというカードにもかかわらず、添付する写真は自宅のトイレのドア(白っぽいから…)をバックに自分たちで撮った写真でOKってのも、なんだかなぁ…という感じではあったけれど、申請は支障無く先方で受理された旨、連絡があった。
そして
「申告してから約1ヵ月ほどかかります」
というお役所の言葉どおり、先月9日に申請が受理されたあと、申請後にweb上でできる処理状況の確認をしてみたところ、状況は遅々として進まず、先月末になってようやく、画面上に「自治体にカードを送りました」という案内が出た。
そこから先は各自治体のシゴトになるわけで、場合によっては数週間かかることも…というところ、はたして本部町役場のシゴトはいかに?
…すると1週間後に、早くも役場から引き換え証兼務の通知ハガキが届いた。
覚悟していたよりもシゴトが早いじゃん、本部町役場。
そして今月9日、とうとう本部町役場住民課で受け取ることができた(ボートを載せた船台がスロープで立ち往生している間に役場に行って…)。
ホントにピッタリ「申請から1ヵ月」。
住民課の窓口で受けた説明を一言でいえば、失くしてしまうととんでもなく大変なことになる、ということで、その他諸説明を受けてカードを受け取ったあとは、フロアの隅に設けられているブースにてマイナポイントの手続きを…とのことだった。
そもそもマイナポイントなどどうでもいいから最初からスルーするつもりだったのだけど、よくよく聞けば、マイナポイントをゲットする手続きをすると、同時に健康保険証機能がマイナンバーカードに移行するという。
そんなこと、マイナカード普及用CMで舘ひろしや松坂大輔は言ってましたっけ?
本部町だけ?
というか、さきほどさんざん失くしたら大変なことになると言っておきながら、健康保険証はマイナカードに…なんてことになったら、月替わりに病院に行くたびに、薬を処方されれば薬局に行くたびに、マイナカードを持っていかなきゃならないってことでしょう?
で、病院の受付では、レジでのクレジットカードのように、カードリーダを利用して保険証手続が「ピッ!」で終わるのだろうか?
スタートレックに出てきそうな、マイナンバーカード用に特化した読み取り機器もあるようながら、はたして本部町内の各病院に、現段階でそんな最新設備が用意されているのだろうか?
これまでの保険証と同じように、受付のおねーさんにいったん渡して、奥で事務処理を終えた後、返ってくるなんてことになるんじゃないの、当分は。
たとえ窓口で手続きが済むようになったとしても、クレジットカードで会計をするときのように、暗証番号を入力してくださいなんてことになったら、おじいおばあはどうしたらいいのだ。
暗証番号を記入してある用紙を、たえずマイナカードと一緒に持ち歩く?
なんて危険な世の中だろう…。
< 暗証番号の入力はいちいち要らないんじゃ?
ホントに?
ともかくも、あれほど不要論をとなえていたワタシは、手のひら返しでマイナンバーカードを手に入れた。
一方、マイナカードが届くまでの間に、e-taxに必要な利用者識別番号の登録だのなんだのかんだのをなんとか理解して手続き上必要なものを取得、それ相応のアプリなるものをダウンロード、併せてカードリーダライターを購入するなど、ピナツボ火山は各国の旅客機が飛行ルートを変更しなければならなくなるほどに白煙を空高く放ちながら、準備万端整えていた。
で、ようやく待ちに待ったマイナカードを入手。
南米大河で購入したカードリーダライターは、ちゃんと使えるだろうか?
使えた♪
不勉強であることを恥ずかしげもなく露呈すると、てっきりe-taxも確定申告期間開始日からの受付開始なのかと思いきや、e-taxの場合は1月4日から受付しているということを今さらながら知り、さっそく実施。
ちゃんと滞りなく受理されるだろうか?
された♪
こうして人生初のe-taxは、限られた確定申告期間に苛まれることもなく、混雑する役場もしくは税務署を訪れることもなく、少なくとも手続き上は無事にゴールに達したのだった。
この方面のことが得意な方からすれば「なに言ってんの?」てなところだろうけど、数字を見るだけで汗が出る算数嫌いのワタシにとっては、当初は考えただけで胃が痛くなるほどに絶望的拷問のような試練だったのだ。
それゆえこの冬の個人的最大の脳トレ―ニング課題だったのだけど、これにて完了!
ワタシのことだから落とし穴がそこらじゅうにあるような気がしないでもないものの、それから2週間近く経ってもどこからも何も言ってこないから、きっとこのあと何かがどうにかすることはない…
と信じたい。
きっと大丈夫……ですよね?
これで大丈夫なら、課税所得はゼロどころかマイナスなので所得税はゼロ、本部町の住民税はわずかなもの、そして確定申告にかかった費用といえば、クラウドソフトの年間利用料1万数千円にカードリーダライター2000円弱だけ。
これまで均等割りと税理士手数料を合わせて毎年20万近く払っていたことを思えば、ワタシに臨時ボーナスが出てもいいくらいの大躍進である。
…ああしかし、その差額はすべて、先日オシャカになってしまった船台の自在キャリアー代になってしまうのだった(涙)。
なにはともあれ出番は済んだので、マイナカードもカードリーダライターも、来年まで静かなる眠りについてもらうことにしよう。
2023年02月22日
Vive la France!
2023年 2月21日(火) 曇り
北東の風 時化模様
太陽が出ないまま北よりの風が吹き続くと、さすがに気温が下がる。
代船運航開始早々2日連続欠航となった連絡船と同じく、昨日はフツーに飛び回っていたリュウキュウアサギマダラもあらかた機能停止に。
それでもときどきジタバタ羽ばたいているものもいたから、完全機能停止というよりは、その気になれば飛び立てるけど、やる気なしといったところかな。
蝶たちはこのようにジッとしているというのに、蛾はがんばっていた。
スズメガの仲間のホシホウジャク(と思われる蛾)である。
まだ年齢ヒトケタの頃は、スズメガの仲間をでっかいハチと誤解して恐怖に慄いたものだったけれど、それが蛾であることを知り、おまけに独特のお食事方法を知るに至り、実に興味深い生き物へと(ワタシのなかで)進化を遂げた。
蛾と聞くだけで拒絶反応を起こす方々は姿を見るのもイヤ=独特のお食事方法をご存知ない、かもしれないから、余計なお世話でそのお食事シーンを披露いたしましょう。
ハチドリのような完璧なホバリング!
蝶や蛾やハエたちには前肢の先っちょに味がわかる器官があるので、花にとまるだけで肢で味がわかるという便利な機能を有している、という話を知った子どもの頃にはたいそう感心したものだったけど、スズメガの仲間たちのホバリングフィーディングの場合、どうやって味を確かめるんだろう?
「考えるな、食うんだ!」
というマーヴェリックなみの教えでもあるんだろうか。
それにしても、同じようにホバリングして花の蜜を食す小さな鳥には「蜂」と名づけ、大きめの虫には「雀」と名づけるこの不思議。
進化の流れ的には昆虫のほうが先輩なのだから、蜂のような鳥というのはわかるにしても、茶色くて大きめだからと見た目だけで雀蛾って呼ばれるスズメガにしてみれば、せめて機能的にハチドリガにしてってところだろうか。
チョウとガをひとくくりにパピヨンと呼び、両者を区別しないフランス人からすれば、どっちでもいいじゃんってところなんだろうけど。
というか、チョウとガの区別もできないのに、料理についてあーだこーだ細かいことを言ってんじゃねえってところかな?
でも両者を区別しないということはすなわち、多くの日本人のような
チョウ………きれ~い♪
ガ ………気持ちわる~い!
なんていう差別もないわけか。
さすが自由の国!
というわけで蛾が苦手なみなさんもフランス人にならい、まずはスズメガたちのお食事シーンからお近づきになりましょう。
チョウもガもきら~い!という方は………お逝きなさい。
2023年02月21日
価格改定のお知らせ。
2023年 2月20日(月) 曇り
北東の風 時化模様
予報どおり朝から北よりの強風が吹き続く「冬」のお天気に。
昨日今日と沖縄に滞在している観光客のみなさんのなかには、前日がいかにアタリだったか、この日初めて気がついた方も多いに違いない。
結局一度として小屋から外に出てこなかったガメ公も、昨日がいかに恵まれていたか、今さらながらシアワセを噛みしめているかもしれない?
「冬」とはいっても大した寒気ではなかったのか、それほど急激に気温が下がることはなく、前日の暑さを思えばむしろ「過ごしやすい」という範疇に入る1日だった。
なので昼の散歩の際でも各種蝶々たちは活発だったし、どうやら寒さを凌ぐためではないことが明らかになりつつあるシロジュウジホシカメムシ集団も、相変わらず密集しているけれど妙に活発な感じに見えた。
毎度のことながら、虫は苦手…という方が45型テレビ画面一杯でこんなシーンを観ようものなら、たちまち気絶してしまうかもしれない。
菜の花やさしぐさ(タチアワユキセンダングサ)が咲き誇る沿道では、蝶たちがランチタイムを楽しんでいた。
ルリタテハくらいのサイズの蝶なら、花に軽くフワッ…と舞い降りることができる。
一方でっかくて重いオオゴマダラともなると、こういった花に止まると茎がグニャ…としなり、オオゴマダラが垂れ下がってしまうことが多い。
ところがこの日灯台近くで遭遇したオオゴマダラは、さしぐさの茎がわりとしっかりしているのか、重さで垂れ下がることなく食事をしていた。
しかもこのオオゴマダラ、コンデジを5センチほどの距離まで近づけても、まったく気にすることなく一心不乱に食事を続けている。
気温が下がり過ぎて機能停止している時ならいざしらず、食事をするほど元気なのにここまで傍から観させてくれるなんて、まるで蝶々園的人工環境にいる蝶のよう。
これなら動画も撮れそう。
一瞬飛び立ちかけつつすぐさま戻るくらいに、このさしぐさの花が相当美味しいのかもしれない。
早くもその情報が伝わったのか、ここにリュウキュウアサギマダラもやってきた。
南国の蝶オオゴマダラが大きいということは知っていても、実際に間近でご覧になったことがなければなかなかそのサイズを実感できないだろうけど、こうしてリュウキュウアサギマダラと比べてみれば、遠近感を差し引いても相当でっかいことがおわかりいただけよう。
翅を広げれば、でっかい感3倍増し。
ありそでなさそなこんなツーショットを、木戸銭も払わずご覧になれるみなさんは果報者である。
あ、そうそう、木戸銭といえば。
このところの諸式高騰の煽りが急速に身近に迫りつつあるなか、そろそろ今年の新作Tシャツの注文でも…という時期になってきたので、毎回プリントをお願いしている業者さんに、諸式高騰がもう価格に反映されているのかどうか、恐る恐る尋ねてみた。
すると、すでに昨秋から価格改定が行われていたようで、製版代を除くとTシャツ代、プリント代合わせ、従来の30パーセントほどアップしていた。
しかも追加発注の場合、同じ版で同じインクを使用する最少枚数が10枚からという条件までついてしまった。
こうなると、追加したからといってすぐさま売れるわけでもないものを、おいそれと追加することもできない。
だからといってグズグズしていると、4月からTシャツメーカーサイドのほうでさらに値上げがあるやもしれず…なんてことになると、さらに値段が上昇してしまう。
となれば、今年度中に新作を作り、追加できるものは追加しておく必要がある。
そして事ここに至っては、これまで長い間価格を据え置いていたTシャツ代金の引き上げもやむなし…。
というわけでTシャツのお値段は、4月から20パーセント弱ほどアップいたします。
それに併せ、送料無料になるご購入合計金額を、これまでの7000円から1万円に変更させていただきます。
悪しからずご了承くださいませ。
2023年02月20日
ヨロコビ、クジラ級。
2023年 2月19日(日) 晴れのち曇り(一瞬雨)
南のち北の風 おだやかのち荒れ模様 水温21度くらい
大陸から張り出してくる高気圧が夕刻には沖縄方面にまで達する見込みで、それに伴い強風が吹き始めるという予報になっていた。
それを受け、連絡船の運航は昼までとなり、最終便の1往復は欠航。
ドック入り直前の最後の便が欠航ということで、お買い物に行くならこの日午前中が吉…ということになっていたようだ。
予報どおり夕刻からガラリと天気が変わって北風が吹き始めてきたものの、それまでは完全無欠の夏日。
なにしろガメ公が暑さを避けるために日中に小屋の中に引っ込んでいたくらいだから。
夜中に冷え込まないと朝から活発で、しかも気温が下がらないから消化も促進されているらしく、俄然食欲は旺盛になる。
今日など普段の2日分をペロリと平らげ、まだ物欲しそうにしていたくらい。
最終便が欠航だから午後から来る日帰り客はおらず、それでいてお天気はいいので、絶好の散歩日和だ。
まだ足りない分は、自力で食べてもらおう。
冬の散歩では遠出はせず、すぐ傍の道草をムシャムシャ食べて食べて食べて30分ほどで自ら戻ってくるガメ公なので、秋の散歩のように1時間以上付き合わされる心配もない。
で、例によっていつものごとくムシャムシャ道草を食べ、ホントに30分で戻ってきたガメ公にご褒美のバナナをあげてもなお、食欲がおさまらない様子。
しょうがないからサニーレタスのタワーをあげることにした。
畑の葉野菜類は、食べるのが追い付かなくなるとますます成長してどんどんタワーになっていくのだ。
もうこれが最後だったら、ギリギリまで人間用になるところながら、狭いあたいぐぁでも冬の間の二期作作戦で現在第2段が成育中だから、サニーレタスならぬタワーレタスはガメ公やホッシーたちに回せる。
このタワーレタスの立派に育った茎をポキンと下り、スペシャルフードとしてガメ公にあげたところ…
見ているこちらが思わず生野菜サラダを食べたくなるほどの食いっぷり。
ときおり「ブハ―ッ!」と息を吐き出すのは、食べている時は呼吸をしていないから。
夢中になって食べているときは文字どおり「息をするのも忘れ…」ってな様子なので、ブハ―ッ!の勢いもすごくなるガメ公である。
さてさて、ガメ公が暑さを避けるくらいの夏日となった日中は、完全無欠の「海が呼んでるぜ!」的日和。
水に飛び込む映像をイメージするだけで心地よくなるくらいだから、それをゲンジツにすべく午後から潜りに行くことにした。
といってもボートは上架中なので、ビーチエントリー。
カモメ岩の浜を見下ろす坂道の上にマッハ軽を停め、準備を整えていたそのときのことだった。
穏やかな洋上、見晴るかすその先に…
ザトウクジラが!
凪いだ海から突然、ガメ公の「ブハ―ッ!」のように潮が吹きあがったおかげで気がついた(さすがに音は聴こえません)。
沖に向かって左側からゆ~っくり右に進んでいるようで、どうや2頭連れらしい。
こういう時にコンデジのジョニーがあれば便利だったろうに、あいにくデジイチを入れたハウジングしかないから、それを抱えて撮るワタシ。
最近フロート代わりの浮き玉をおニューにしたとはいえ、陸上でその浮力はまったく役に立たないから、ほとんど筋トレ状態でクジラを見ていたら、(視界の中で)だんだんカモメ岩に近づいてきた。
さざ波が立っているところがリーフの端で、105ミリのレンズで撮っているからリーフからやけに近そうに見えるけれど、およそ100メートルくほどリーフから離れていると思われる。
そのあたりはリーフ際からダラダラと深くなっていく海底が水深30メートルほどのところで崖になっていて、水深45メートルくらいまでガクンと落ちたあとまたダラダラと深くなっていくところで、クジラにとってはちょうどいい塩梅なのだろう。
引き続き見ていたら、カモメ岩を通り過ぎたあたりでまた現れた。
やっぱり2頭連れ。
ホエールウォッチングの季節のこと、こんな凪ぎの日ともなれば洋上にはウォッチング船がわんさか…ってなりそうなところながら、12時過ぎだったからウォッチング船はみんなお昼休みの時間帯。
おかげでザトウクジラ2頭を陸から貸切だ。
ちなみにこの時オタマサは別目的で海岸にいたのだけれど、位置関係でいうと…
浜に降りてから右のほうに行っているので、矢印の先あたりの海岸にいる。
そこから海を見渡せば、ワタシよりも遥かに近くから真正面にクジラのテールが見えるポールポジションだ。
オタマサがそこにいることはわかっていたので、ザトウクジラが見えた最初の最初に、坂の上から大声で「クジラが見える!」と伝えた。
そよ吹く風の音すらしない静かな海辺だから、きっと聴こえているだろう…
…と思いきや、後刻戻ってきたオタマサに尋ねてみれば、まったく聴こえていなかったらしい。
もちろんながら、「目の前」といってもいいところをゆっくり通り過ぎて行ったクジラなど、岩肌に用があったオタマサが見ているはずもなし。
30度なのは視野だけではなく、聴覚も30度くらいの指向性があるらしい…。
というわけでエントリー前からネタ的には物理的に最大級のクリーチャーを観てしまったから、海中はほとんどオマケのようなもの。
そのオマケで…
人生最小級の…というか、オトナではないトノサマダイに初遭遇。
豆チョウとかベビーというにはいささか薹が立っているものの、ルリスズメダイの小ぶりなメスと比べてもこの程度の大きさだから…
まだ充分「幼魚」ではある。
環境を選ぶようなので水納島ではオトナが観られる場所もかぎられており、幼魚ともなるとこれまで一度として出会ったことがなかったトノサマダイだけに、出会えたヨロコビの大きさは陸から観るザトウクジラ級だ。
やっぱ幼魚はこういうところにいるのだなぁ。
年末くらいに出会えていれば、この先二度と更新不能の最小サイズだったかも…。
ま、ナニゴトも段階を踏まないと…ということかな?
2023年02月19日
キャスティング・ボート。
2023年 2月18日(土) 晴れ
東の風 やや波あり
朝から完全無欠のいいお天気。
風は東~南東寄りということもあって、冷え込むと寒さが厳しくなる秘密基地の朝も、昨日今日はことのほか過ごしやすい。
さて、この日は昼の便で島に戻る予定なので、朝から壁紙貼りの続き。
2部屋を1部屋にしたことことによってクローゼット仕様の収納が2つ並んでいるのだけれど、昨日述べたようにそのうちのひとつは単なる収納スペースにした。
冬の本土に行くことがなければまず着る機会がないものでも、無きゃ無いで何かと不便という衣類が多少はあるので、もうひとつはクローゼット仕様のままにしておく必要がある。
そのため観音開きの扉はそのままにして、外側のイメチェン。
こちらの扉も引き出しも隣と同じくもともとは古臭い木目がらのプリント合板だったから、取手やフレームの色合いはこれまで全然目立っていなかったのだけど、白基調にするとなかなか映えて、施行前にはまったく予想していなかった「いい感じ」に。
取手がついたままでは壁紙を貼るのがやっかいだから取り外す必要があるため、これまでまったく気にかけていなかった取手のはずし方(=取り付け方)がわかったというオマケもついて完成。
作業開始となるとまず始めてしまうものだから、アフターの写真はあってもビフォーを撮っていないワタシ。
このままでは以前がどうだったのか確実に忘れてしまうから、昔撮った写真は無いものかと探してみたところ、壁を白く塗り替えて床を畳からフローリングに変えたばかりの頃に撮った写真があった。
↑これの右側が、ひとつ上の画像の白い収納に変身している。
ちなみに一番奥の昭和な2段の押し入れは、先日触れたように中間の段を取っ払って…
ストライキを起こしたワタシがいつでも立てこもれるプチ書斎にすべく、小さな小さな部屋にした…
…のだけど、作り付けの机を拵えようという計画をズルズル先延ばしにしているせいで、現在はオタマサの「とりあえず…」攻撃によって次々にモノが置かれ、単なる物置と化している。
当時押し入れ内の壁全体を白くするために使用したのが壁紙で、その「当時」は5年ほど前のことかとオボロゲに思っていたところ、この写真を撮影したのは2016年2月22日のこと。
なんと丸7年も前だった。
今回使用した壁紙は、引き続き他の収納スペースに取り掛かるべく当時購入したもの。
アサヒペンのそのまま貼れるノリ要らずの壁紙、7年経ってもフツーに使えるスグレモノでした…。
一方、空が明るくなり始めるとともに始動したオタマサの秘密の花園ならぬ秘密の野菜園は、春めいてきてグングン増殖してくる雑草をものともせず、健気にもスクスク成長中だ。
今季の目標を、この区域を端から端まで畑にする、というところに設定していたオタマサは、この日めでたく目標達成し…
…ついに端まで到達した。
新たに畑になっている部分には、ダメ元でサトイモが植わっている。
かつてのマサエ農園畑1号ではスクスク育ったサトイモ、この秘密の野菜園でははたして?
サトイモはダメ元でも、タマネギには期待がかかる。
前日立ち寄った名護のJAで売られていた伊是名島産新玉は、4~5個入りで400円という高級野菜だった。
採れ採れの新玉がいくら美味しいとはいっても、現実的にはその隣で2個120円で売られている北海道産タマネギに手が伸びる。
やはり新玉は、作らなければ味わえない…。
島のあたいぐゎのものと合わせ、この秘密の野菜園のタマネギちゃんも無事に玉になってくれれば、今年も自家製新玉を多少は楽しむことができそうだ。
もちろんのこと、すべてはオタマサのケアにかかっているわけで、そのためにはコンスタントに本島まで出てこられる状況が必要なのはいうまでもない。
連絡船は20日から定期ドック入りのため、はまかぜ号による代船運航になるのは例年どおりとはいえ、どうやら初日から時化のため欠航しそうな気配が濃厚だ。
はたして代船運航期間中、コンスタントに本島に出られるだろうか?
我が家の新玉の運命は、はまかぜ号にかかっているのだ。
これぞまさしく「キャスティング・ボート」(※ホントはVoteです)。
がんばれ代船はまかぜ号、地球は君の帰りを、君の帰りだけを待っている!
2023年02月18日
新・物価の優等生。
2023年 2月17日(金) 晴れ
東の風 少々波あり
今月は思うように秘密基地泊ができなかったために、やりたい作業のあれもこれもどれひとつできないままでいた。
今回久しぶりにお泊りで滞在できているので、あれもこれものうちのひとつにとりかかることにした。
収納スペースの壁紙だ。
畳敷きの和室をことごとくフローリングに替えたのは、もうずいぶん前のことになる。
昭和な家なので各部屋にいわゆる備え付けの押入れやクローゼットなどの収納スペースがあって、2部屋の和室を合体させて洋室一間にしてフローリングにした際に、収納スペースにも改造を施し始めた。
それがここ5年くらい中断していたのだけど、ようやく作業を再開することにしていたのだ。
部屋の壁にはペンキを塗って床はフローリングに替えるなどしてイメチェンできた一方、収納スペースの扉を開くと古臭いまま。
そこで古風な2段の押入れは、真ん中の段を取っ払って押入れ内までフローリング材を敷き、壁紙をはっつけ、部屋とひとつながりのミニミニ書斎にした…
…のが5年前のこと(6年前かもしれないし、4年前かもしれないけど)。
その隣にはクローゼット仕様の収納スペースがあって、観音開きの扉はすでに取り外し、ちょっとしたカーテンのような布で目隠ししてあるものの、収納スペース内の壁は元のままになっている。
これをフォンテーヌ♪ばりに変身させよう。
すでに作業を終えている元収納スペースと隣り合わせでもあるし、統一感をもたせるためにも同じ壁紙を購入しなければ。
はてさて、以前はどんな壁紙だったっけか、少し残っているだろうから、その切れ端を持って買いに行こう…
…と思ったら、10メートルの壁紙が丸々おニューのまま残っていた。
ここまで中断することになるとは思ってもいなかった当時、次の作業用に購入していたようだ…。
壁紙を貼るための道具はキープしてあるから、さっそく作業開始。
でも…
…やり方を忘れている。
中断せずにいれば、どんどん手慣れてきてチョチョイノチョイだったろうに、すっかり忘れて一から出直しだ。
おまけにこの日昼前の船検での救命胴衣ショックで心がざわついたままだったからだろうか、最初に取り掛かった正面の1枚目はシワシワのヨレヨレ。
でもまぁそもそも収納スペースだし誰も見ないのだから気にしない。
気を取り直して両サイドに取り掛かると、だんだんコツが掴めてきた。
そうこうするうちに…
完成。
空気が入っているとか、細かいことを気にしてはいけない。
ここまでが前日の作業。
もともと昭和な和室だったこともあり、備え付けの引き出しや扉などのプリント合板の柄が和風木目調で全体的に暗いから、これも全部替えちゃえ。
それが本日の作業。
これはこれでリメイクシートなどで柄を変えようかとも思っていたのだけど、10メートルの壁紙はまだ半分以上残っているから、同じものでやっちゃえ!
…とばかりに引き出しにも扉にも貼り付けたら、
「かまくら」みたいになっちゃった…。
冷え込んだ日には寒々しすぎて見ちゃいられないかも。
教科書やノートは絶えず落書きだらけだったワタシとしては、絵など描きたくなってウズウズしてしまうスペースだけれど、あくまでも収納スペース、モノを詰め込めば多少は印象も変わるだろう。
昭和な押入れと隣接している収納スペースなので、クローゼット仕様ではあっても奥行きは押入れと同じだけあって、約90センチほどある。
こういうスペースの場合、奥行きを利用しないと意味がない。
とりあえず詰め込んでいた「モノ」は、上ブタ式の衣装ケースを詰め重ねてあったのだけど、それだとモノを取り出すときにいちいち面倒だから、この際引き出し式のものに取り換えようと思い立った。
こういう場合、島にいると「じゃあ今度出掛けた時に…」となるところ、本島にいれば思い立ったが吉日、作業が一段落した昨夕、さっそくメイクマンまで行ってきた。
そこで思いがけないジジツを知ったワタシ。
その昔のホームセンターなら、奥行きのある引き出し式の収納ケースはいくらでもあったのに、今の「売れ筋」商品は、どれもこれも横幅があって奥行きがないものばかりなのだ。
おそらく住宅事情が変わり、洋間が主流になって、備え付けの押入れ用商品よりも、室内に直置きしやすいよう、横幅はあっても奥行きはさほどないモノのほうが需要が高いのだろう。
奥行きがあるタイプも多少あったけれど、重さで引き出しが開かなくなるから4段以上重ねられないなど、昭和な押入れスペースにはまったくもって不向きなものばかり。
でもこれは売れ筋じゃないから置いていないだけで、アイリスあたりなら商品としてちゃんと存在するのでは?
そこでメイクマン生活感担当レディに尋ねてみたところ、親切な彼女はわざわざ商品カタログを持ってきてくれて、一緒に検討してくれた。
すると、寸法的にまさに理想の品が掲載されていた。
その商品説明には、
「押入れ用収納ケース」
ビンゴ!
しかも7段まで重ねられるという。
3段重ねのセットで、なおかつピンで売っているわけでもないものをどうやって7段重ねるのかは不明ながら、壁紙を貼ったクローゼットの高さは、ちょうどこの3段セットを2つ積んだらドンピシャリ(死語?)。
というわけで、2個注文することにした。
モンダイは、今もなおその商品が存在しているのかどうか。
すでに午後5時を過ぎていたからメーカーに確認がとれず、答えは後日ということに。
で、この日島から出てきたオタマサを渡久地港で拾って名護まで行き、イオンにいるときにメイクマンから電話がかかってきた。
いわく、商品は今も存在しているという。
ただ、生活感担当レディはとても心配そうに、べらぼうに高い価格を教えてくれて、ホントに2つでいいですか?と。
たしかに高いけれど、この諸物価高騰のおりでは想定の範囲内だったから、目と鼻の先だからそのあしでメイクマンまで行って、2つ購入する旨を伝えた。
10日から2週間ほどで届くでしょう、とのことだった。
前金なり全額なり支払う必要があるのか問うと、代金は商品が届いてからでいいというので、注文だけしてメイクマンをあとに。
で、しばらくたってから、再び生活感担当レディからお電話が。
「お伝えし忘れたんですが、これは取り寄せになるので、注文するとキャンセルができないんですけど大丈夫ですか?」
いや、だから買いますってば。
そもそも全額前払いって言われたら払うつもりでいたのに…。
というか、どんだけビンボーに見えてんだろ、オレ…。
けっして口にはされない世間の客観的評価を、こういうところで知ることになるのだよなぁ…。
それにしても、学生の頃にはわりと高かった衣装ケース系の収納ケース、それがひと昔前には「こんなに安いの?」とオドロキの価格になっていたというのに、今や印象としては学生時代を上回る高価な商品になっているのですね。
価格で驚くといえば、コーキング材にもビックリした。
昨日ボートにちょっとした工作をして穴を開けたところのシーリング用に、コーキング材をほんの少しだけ必要としていたのだけれど、秘密基地に置いてあったコーキング材はすでに完全に固体になっていた(穴の開いていないフタをしていたのにもかかわらず)。
ほんの少量のために新しいのを買うと、次回使用時にはまた固まってしまっているだろうから、ほんの少量で売られている水場用のシーリング材でいいか…
と思ったら、少量だというのにコーキング材と変わらぬお値段。
だったらコーキング材でいいか…
と思ったら、いつの間にやら1本600円近くになっているではないか。
ちょっと前に300円台になったときですら、高くなったと思ったのに。
こりゃもう、1本買ったらなにがなんでも固体にならないようにしなきゃ、やってられない。
時節柄なんであれ高騰するものばかりのなか、びっくりするほど低価格になっているものもある。
ちょいと入用になったSDカードを購入すべく、イオン内のベスト電器で物色してみたところ、なんとも驚いたことに32GBの製品が軒並み1000円ちょいになっているではないか。
たしかほんの少し前は3000円台くらいで、そのもっと前は1万円くらいしていたことを思えば、なんという大暴落。
というか、卵4~5パックで32GBもの記録メディアが買えるって、なんかおかしかないか?
レジにいた(なんでも詳しくてしかもオジサンに優しい)おねーさんによると、さすがにこれ以上は当分下がらないでしょうとのことだった。
今の時代、物価のお利口さんは、卵ではなくIT周辺機器になっているのかもしれない。
しかしSDカードがどんなに安くなろうとも、それでお腹一杯になるヒトはいない。
2023年02月17日
よりによって!
2023年 2月16日(木) 晴れ
北東の風 波あり
前回秘密基地にて泊まったのは先月30日のことで、この間日帰りで立ち寄ることはあったものの、実に半月以上ぶりのお泊りだ。
単身赴任で出てきたのは、本日は船検を予定していた日だから。
先日お伝えしたように、期限が切れていた自動消火器を新たに買い替え、普段まったく使用しない救命胴衣などをズラリとデッキに並べるなどして万全の態勢で検査官の到着を待っていた望んでいたところ、検査官は予定時刻よりも早めに到着した。
その昔の小型船舶検査機構の検査官といえば、国交省の本筋から飛ばされた窓際的年配のおじさんたちばかりで、超テキトーなヒト、やる気が無いヒト、納税者をいじめることに嬉々とするヒトなどなど、ヒトによっての当たりハズレが大きかった。
ところがいつの頃からだろう、検査官には、まるで見込みのあるヒトは沖縄局に必ず赴任するNHKアナウンサーの出世コースのように、国交省の本道から出向しているヒトなどガラリと若返った。
仕事熱心なのはいいのだけれど、なかにはやたらと細かいヒトもいたりして、これがまた当たりハズレがけっこうある。
こっちはただ検査を受けるだけで定期的に2万5千円ずつ払い続けている上得意客である、という感覚がオヤクニンにあるはずはないものの、昔に比べると遥かに物腰は柔らかくなっている気はする(単にこっちが年配のおじさんになっただけという話もあるけど)。
この日も前日の電話の時点から物腰柔らかく、実際に到着してみると随分若い人の良さそうなにいにいだった。
聞けば、今月沖縄に赴任してきたばかりで、北部の地理がまったくわからず往生したという。
右も左もわからないのは、シゴトでもきっと同じだろう。これなら船検も無傷(?)で終わるかな?
若いながらも世間話は得意のようで、あーだこーだ言いながらまずは船体をチェックしたあと、デッキに上がってきた検査官(上架してあるので)。
そしてまずはズラリと虫干し状態になっている救命胴衣を見るなり、
「ややッ!?」
え?
「これ、ファスナーが壊れてますねぇ」
当店がかつてスノーケリングで使っていたようなレジャー用の高級ライフジャケットとは違い、国交省認定の桜マーク入りライフジャケットは、ライフジャケットは大事だ大事だと声高に謳うわりにはファスナーがすぐに潮で腐食する素材でできているために、ボートに載せっぱなしにしているとすぐに腐食してダメになってしまうのだ。
それもひとつやふたつではなく、定員13名分すべて。
それは今に始まったことではなく…というか、ファスナーが無事だったのは船検でいうなら最初の2~3回くらいまでのことで、その後はずっと壊れたまま。
壊れた状態で最初に迎えた船検では、納税者いびりを無上の喜びにしている窓際検査官からチクチク小言を言われたものの、その後は
「まぁファスナーが壊れていても、紐で結べるから大丈夫です」
なんてことになってきて、その後ファスナーについて検査官に突っ込まれたことは一度もなかった。
ゆえに完全ノーマーク状態。
ところが今月沖縄入りしたばかりのにいにいは、沖縄での経験値が乏しいということもあるからだろうか、壊れていることを指摘するだけではおさまらなかった。
なんと彼は、現場での検査官になる前は大阪で救命胴衣の性能チェック、すなわち国交省認定の「認定」をするシゴトをしていた救命胴衣のエキスパートだったのである。
よりによって!
そのジジツを嬉しそうに語る彼の話を聞いた際の、ワタシの絶望感をご想像いただきたい…。
なまじエキスパートだけに彼のなかにおける救命胴衣重要度は並々ならぬものがあり、これまでの船検では検査官から紐で縛れればOKと言われてきたことを伝えるなどしつこく食い下がったものの、ファスナーが締められるかどうかが「救命」の際にいかに重要なことか、ということについて朗々と語る一方、
「このままでは船検にOKを出すわけには…」
と言い出す始末。
彼としても、これまでのシゴトでダメ出ししてきた部分だけに、ここにきて自分を曲げるわけにはいかないのだろう。
それはわかっちゃいるけれど、そろそろ引退しよう、船検を受けるのもこれが最後かなぁ…というときになって、今さら救命胴衣を買い揃えなければならないだなんて…。
そう、船検クリアのためには、救命胴衣を購入したことがわかる書類(納品書や領収書など)をファックスで泊にある小型船舶検査機構の事務所に送る条件が付加されてしまったのである。
桜マーク付きの国交省認定救命胴衣なんて、レジャー用で使用しているものに比べれば使いにくいことこのうえない品ではあるけれど、最も安いものでさえ1着いかほどかご存知か。
これを13着揃えなければならない。
それもこれも、今月赴任してきたこの救命胴衣ラブな若い検査官のせいで…。
救命胴衣には異常な執着を見せた彼ながら、たとえばエンジンルームを覗いていたときに
「ビルジポンプはついてますかぁ?」
というので、後方のハッチを開いたところにある旨告げると、
「ああ、ついているんですね、OKですぅ」
と、ホントに備えられているのかどうかなどまったく確認せずにOK出し。
救命胴衣についても、ファスナーにいちいち目を留めることなく、数だけ数えればそれでアナタの仕事は済んだろうに…。
というわけで、今回の船検は無傷で終わることができず、一部の分野だけ小役人的やる気に満ちていた検査官のせいで、またしても巨額の出費を余儀なくされることとなったのだった。
ああ、1月のうちに船検を受けていればよかった…。
2023年02月16日
バレンタイン・キッス。
2023年 2月15日(水) 曇り
北の風 荒れ模様
朝から冷え込んではいたけれど、雨は夜明け過ぎに曇りへと変わったおかげで、前日とは違って屋外活動(?)が可能な日となった。
そこでさっそく、朝の海況を眺めるついでにムナグロの様子を観てみようと、マッハ軽で桟橋まで行くと…
今日も集まっていた。
前日と違って先っちょのほうに偏っているのは、他にも桟橋に来る島のヒトがいて、その都度飛び去っては戻って来るうちにだんだん先っちょに移っていったのだろう。
昨日の反省を活かし、この日はダイゼンが混じっていないかどうか、ジョニーのズームで拡大しながら集団を隈なくチェックしてみたところ、ムナグロと明らかに違って見えるダイゼンらしき鳥さんの姿は1羽も見当たらなかった。
そのかわり、面白いことが判明した。
こうして風が強い日に彼らが風に向かってジッと立っている様子は、傍から見るとなんだか宗教儀式めいて不思議な光景なんだけど、その理由は実に単純なことだった。
上の写真の矢印の子が、居場所を少し変えようと風に対して横になると…
軽い体が強風で押され、ズルズルズル…と風下側にずり動いてしまい、慌てて踏ん張るうっかり八兵衛。
他のみんなはそうならないよう、ジッとしている際には体を強風に向けているのだ。
大空を飛ぶ小さな鳥たちの体はホントに吹けば飛ぶほど軽いから、こういう時はなにげに不便な思いをしているらしい…。
桟橋に出向いてこられるくらいだからそれほどの時化模様ではないものの、ムナグロが風に押されるくらいには強く吹いているために、この日も連絡船は全便欠航。
12日目までは11勝1敗、優勝争いのトップに並んでいたというのに、終盤の大事な一番でことごとく黒星、あっという間に優勝争いから脱落して、終わってみれば11勝4敗。
なんだか「ここ一番」で絶対に勝てなかった(という印象が強い)稀勢の里のような、今月前半の連絡船である。
そのため本来であれば昨日山のように届いていたであろうチョコレートも、南米大河で注文した古本や工作機器用パーツなどとともに、本島に足留めだ。
…って、こう書くと本気で「山のように」届くと信じてしまう純粋な方が多くて困ってしまうのだけど、他の場合と同じく話を盛ってるだけですからね。
というか算数的には、ゼロに何を掛けてもゼロですから。
ちなみに世間では義理チョコ需要が激減しているらしく、イオン名護店のチョコ販売コーナーも随分縮小されていて、おまけにいくらか以上ご購入の方々にはプチブーケを配るサービスをしていた。
戦後間もない頃と同じくらい卵が高級食品になろうというときに、そしていつでも庶民の味方だったサバすら獲れなくなっている今、世間のみなさんもチョコレートに投資している場合ではないのだろうなぁ…。
山のようなチョコが欠航のために届かないかわりに、前日はオタマサがスペシャル料理を作ってくれた。
今年は島でタマネギを作っていないオタマサながら、島の方にお裾分けをいただいた新玉でポタージュスープ、そして前菜は…
アカジンのカルパッチョ♪
この皿の上の素材のなかで、購入したものはアカジンの上に乗っている紫タマネギだけ(レモンもいただいたもの)。
そしてメインは…
猪肉リブcon温野菜サラダ♪
これまたスーパー産はジャガイモだけという、エンゲル係数の超低空飛行(飲んでいるワインまで頂戴したもの…)。
こういう暮らしをしていれば、たとえサバがまったく獲れなくなろうとも、きっと生きていける…。< かなり他力本願なのでは?
ところで、庭で育っているローズマリーが効きまくっている猪肉は、言わずと知れた木原いのししみかん産。
あれほど多量にあった猪肉も、ついにこれにてジ・エンドなんだけど、これがまた実に美味い。
骨付きラム肉の塊を今では考えられない安価で購入できていたその昔は、あらゆる肉の中でラム肉が最も美味しいと思っていたものだった。
ところが今や、猪肉が断トツトップの座を獲得している。
リブだからもちろんあばら骨もついていて、その骨から剥ぎ取られる肉の美味いことといったら…ああ、ヨダレが。
どんなに高級な牛肉でも、量が多めだと自分の分を一部ワタシに回してくるオタマサが、珍しく肉を優先して野菜をワタシに回してきたくらいだもの、その美味いしさが伺いしれようというもの。
最初は上品にフォークとナイフで食べていたのだけれど、やっぱりこういうモノはギャートルズっぽく骨を掴んでかぶりつくのが一番美味しい。
ああ、リブ肉がなんともいとおしく見えてくる…。
リブ猪肉に、バレンタインデーキッス♪
時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たしながら、 つかの間、自分勝手になり「自由」を手に入れることができたのは、ひとえに木原いのししみかんのおかげ。
でも届いた猪肉を宣伝するあまり、「山のようなチョコ」と同じく彼を猪漁師だと勘違いしてしまっているヒトもいらっしゃるかもしれないから慌てて正しく言うと、彼はみかん農家である。
城ぐらい建てられそうな山で育てられている柑橘類は各種あるなか、我々が愛しているのはいよかんで、今年も届いたということは先日紹介した(紹介しましたっけ?)。
生産者が食べ頃を見計らって送ってくれるので、毎年これでもかというくらいに瑞々しいザ・いよかんを食べることができている。
同じ生産者が作る同じいよかんとはいえ、自然が作り出す産物のこと、1年を通じたお天気に、そして収穫前の雨量などにも味は左右されるから、毎年ビミョーに違いがあって面白い。
基本的に届いたばかりのころはもっとも水分が多い一方で酸味が強く、その後時を追うごとに糖度が増してくるのだけれど、その「時を追うごと」に変わる味を楽しめるのは、ひとえに「山のように」大量に購入するおかげ。
昨年届いたいよかんは、最初から水分たっぷり&糖度もたっぷりという、稀にみる最初から甘々ないよかんだった(そしてそのまま最後まで瑞々しかった)。
今年は例年どおりっぽく、届いた当初は酸味が強いワイルドな味わいを楽しませてくれたあと、その後2週間ほど経った今、昨年届いたばかりのときのような甘味が増してきた。
その食べ頃を迎えたいよかんは…
これがまたなんとも瑞々しいんじゃぁ。< 常田富士男風に。
甘いだけの柑橘とは違い、甘さのなかに酸味が生きていて、これぞオトナの柑橘。
ランチはいよかん1個のみという毎日を過ごしているワタシは、まさに天の恵みの味に毎昼のごとく心震わせているのだった。
…と、ここで木原すきすきみかんのサイトにリンクを貼るなどして宣伝したいところながら、木原すきすきみかんのウェブサイトは2010年3月を最後に更新が途絶えていたりする。
よほど猪猟が忙しいらしい…。
2023年02月15日
うしろゆびさされ組。
2023年 2月14日(火) 雨
北の風 けっこう波あり
汗ばむ陽気だった前日の夏日から一転、昨夕前線が通過してから吹き始めた北風が、沖縄方面まで寒気で包んでしまった。
おまけに断続的ながらも朝からずっと雨。
裸足で過ごしているならともかく、寒いから靴下を履いていると、雨降りでデッキも履物も濡れているために、部屋から1歩外に出るためだけにいちいち靴下を脱がなきゃならないのが面倒くさく、小止みになっても屋外に出られない(靴下を脱ぎゃいいだけなんだけど)。
お日様の光がゆらめく海で潜っていたのがつい昨日のことだなんてなぁ…。
トイレに入るつもりが、間違ってどこでもドアを開けて旭川に出てしまったかのようだ。
午後になっても雨雲が次々に通りかかるものだから、デッキが乾く暇も無かったのだけど、午後3時前後にわりと長めに雨が止んでいる時間帯があった。
デッキ上も履物もわりと乾いていたので、このチャンスにとばかりにそそくさと外に出てみた。
調子に乗って散歩でもしようものならたちまち雨に祟られそうだったから、とりあえずマッハ軽に乗って桟橋の様子でも見に行こう。
すると…
桟橋上を鳥さんが占拠していた。
はて、誰かな?
アップ。
さらにアップ。
もっとアップ。
もひとつおまけにアップ。
おお、ムナグロだ。
近年冬になると島に集合する様子が観られる彼らは、連絡船が通常運航していると、ビーチにいたり防波堤の北側に集まっているのだけど、桟橋を訪れるヒトも船も何もない日には、このように桟橋上に集まり、風に向かってジッとしていることが多い。
マッハ軽から1歩でも降りて姿を見せればたちまち飛び立ってしまうところ、軽トラに乗ったままだったらけっこう近くに寄ってもさほど逃げない。
ところで、昨年までこういうシーンを紹介する際につきものだった「ムナグロかダイゼンかどっちだ?」モンダイに、羽を広げて脇の下を見せてくれなくても判別可能な、決定的な区別ポイントがあることを知った。
ムナグロとそっくりなダイゼンの脚には、ヒトでいうならアキレス腱あたりの場所に、ほんのわずかに後指がチョンと蹴爪のように出ているというのだ。
干潟で足先を泥の中に突っ込んでいたら文字どおり手も足も出ないだろうけど、桟橋の上ならアキレス腱のあたりは丸見え。
3年前にビーチに少しだけ集まっていた鳥さんたちをダイゼン認定できたのは、羽を広げた子の脇が黒かったからなんだけど、その背後に写っていた子の足元を無理矢理拡大して見てみると…
おお、たしかに後指が見える(気がする)。
それからすると、この日集まっていたのはムナグロ!
…と断定してしまっていいんでしょうか。
「有る」ことを確認するのはわかりやすくても、「無い」ことを確認するためにはあらゆる角度から撮ってでもいないかぎり難しい。
そこで、マッハ軽からもっとも近いところにいる子の脚元を、この際じっくり見せてもらおう…
…と思ったら。
他のみんながジッと立ってガマンしているというのに、なんというものぐさ太郎!
関東地方でも越冬しているくらいだから、そっち方面の変態社会では誰もが知っているムナグロやダイゼン、ネット上の画像も多いので拝見していたところ、フィールドでは両者が混じっていることもけっこうあるらしい。
両者が並んでいれば、体格や色味だけでも違いが分かりやすい。
ということを踏まえてもう一度写真を見てみると、ものぐさ太郎の遥か後方に写っている数羽は…
…体格といい色味といい、ひょっとしてダイゼン?
そんなこと考えながら撮っていたわけじゃないから、もちろんのこと足元の後指など確認できるはずもなし。
連絡船の欠航も北風も明日もまだまだ続くようだから、もう一度風に震える桟橋に行って、「うしろゆびさされ組」をチェックしてみようっと。
あ、この日はうしろゆびさされ組じゃなくて国生さゆりの日だったか…。
2023年02月14日
カメラ、カエルアンコウになる。
2023年 2月13日(月) 晴れのち夕刻雨
南西の風 けっこう波あり
突然脚光を浴びる形となった屋那覇島は、伊是名島のすぐ傍にある小さな島。
那覇を発着する本土便はちょくちょく上空を通過するため、空からご覧になった方も多いことだろう。
まだグーグルアースとかグーグルマップなんてものが世の中に影も形も無かったその昔には、水納島を訪れたお客さんから
「飛行機から水納島が見えました!」
という文言とともに見せてもらった写真は屋那覇島だった、ということもあったっけ…。
傍にある伊是名島とのセットが、伊江島&水納島に見えちゃうのだ。
この無人島を「購入」する外国の方がいらっしゃるというのはそもそも、防衛費は増大させてもそういう脇の甘さも増大している政府の無策ゆえながら、屋那覇島にかぎらず日本中のあちこちで外国の方々に土地が売られていく現状は本来、そういう方々に売っている日本人がいる、ということが根本的モンダイのような気がする。
投機目的の不動産売買なんてものをしている人々なんてのはしょせんその程度の認識しかないわけで、多くの土地が「資本家」のモノになってしまっている現在の水納島だって、いつなんどきあちらのSNSがいうところの「中国領」になるか知れたものじゃないですぜ。
眼鏡コレクターマツノは例によって「注視する」というけれど、コロナ禍と同じく、日本政府の「注視する」ってのは、吉四六さんの桃の番と大して変わらないからなぁ…。
さてさて、この日は予報どおりかなりの強風となった。
連絡船も前日の予告どおり、「海上強風のため全便欠航します」。
たしかに風は強く、波も高い。
でも南西の風だから…
満潮に近い時間でも、桟橋の両サイドはベタ凪ぎ。
予報は北風だったのに…ということならともかく、予報どおりの南西の風だから、この日の日中がこういう状態であることは誰にも予想できていたことでもある。
これで欠航って言われてもなぁ…。
しかも夏日!
太陽ピーカンで25度~26度あると、ちょっと歩いただけでたちまち汗をかく。
この日最低気温がマイナス10度と予想されていた旭川からどこでもドアで沖縄に来たら、気絶するくらいの気温差だ(逆の場合はヒートショックで死んじゃうかもしれない…)。
南側はなみなみならぬ波波ながら、桟橋側は絶好の海日和。
ボートはないけど、これで潜らずしていつ潜る。
というわけで、昼の散歩のあと、再び桟橋へ。
暑い日なのにうっかり上着まで着込んでしまったため、汗だく状態で眺める海は…
…あくまでもおだやか。
幸い洋上は荒れているから、ダイビング業者やジェットスキーが桟橋周辺に来ることもないだろう。
絶好のお天気に、桟橋周辺を貸切だ。
エントリー前から汗だくになっていたものだから、本来ならチベタイ水温をとっても心地よく感じながらエントリー。
そのまま桟橋に沿って進んでいると、こんなリーフ内でも観られるとは知らなかったウミウシに遭遇した。
人生最大級のミアミラウミウシ。
海中で10センチくらいに見えたから、実質7センチ以上はあったはず。
シーズン中にたまに出会うミアミラウミウシといえばせいぜい3センチほどだから、そうとうでっかい。
この時期に卵を産んでお役御免となり、夏場はチビたちの季節ということになるのだろうか。
でっかいウミウシといえば、このヒトの姿も。
ブッシュドノエルウミウシ。
こちらはリーフ内がもっぱらの暮らしの場だから、水納島でボートダイビングをしていたらまず出会えないウミウシだけど、その昔のユビエダハマサンゴ群落がそこらじゅうにあった頃のビーチなら、海水浴中にすら出会えたことだろう。
その他、もっと小さな小さなウミウシたちもきっとたくさんいたんだろうけど、もはやクラシカルアイにはこのサイズしか見えないのだからしょうがない。
連絡船は確実に、他のボートもまず来ないであろうことをいいことに、そのあと泊地の東側にも遠征してみたものの、パッとしなかったので再び桟橋脇に戻ってきて、先っちょをめぐってみたところ…
昨年11月に見た際とまったく同じ場所に、けっこう育っているサザナミヤッコの幼魚がいた。
昨年11月の時点で、そろそろオトナ模様が出てきそうなくらいにまで育っていたのだけれど、あれから3ヵ月経っているというのに、それほど大きくなったようには見えないし、模様の成長段階もほとんど変わっていないように見える。
ホントに同じ個体なんだろうか?
顔の模様をチェック。
↓これが3ヵ月前。
そして↓これがこの日。
前回は体の左側、今回は右側からしか撮っていないから、かろうじて比較できる頭部の模様を見てみると、白い丸で囲った部分の模様の感じからして同一個体に間違いなし。
ホントにその部分は個体ごとに異なるの?
という疑り深いヒトには、昨年まったく違うところで撮った同サイズのサザナミヤッコの額(?)をご覧いただこう。
模様でちゃんと区別できるでしょ?
それにしても、3ヵ月経ってもまったく同じ場所にいてほとんど成長してないとはなぁ…。
よほど幼魚模様のままで暮らしやすい場所なのだろうか、桟橋の先っちょ。
ここにはクロソラスズメダイがたくさんいて、岩肌は彼らが培養している藻だらけになっている。
そのうちの1匹だけが、興奮モードカラーになっていた。
すぐ近くにいるカクレクマノミを観ようとしていたワタシに、攻撃的につっかかってきては岩陰に隠れるという動作を繰り返す興奮オス。
その岩陰に隠れている際の様子が、どうもアヤシイ。
ひょっとして、そこで卵を守っているのでは?
しかし完全に陰になっているためにファインダーで覗いても何も見えなかったから、とりあえず撮っとけとばかりに撮ってみた。
この画像の砂からところどころ顔を出している岩肌を、後刻PC画面でよぉ~く見ると…
小さな小さな黒点は、卵のなかででき始めている眼か?
ってことは、これらはすべて卵………なのか?
なにしろこれが100パーセントサイズをトリミングしたものだから、これ以上拡大してもボヤけてわからん…。
こりゃ明日もう一度訪れて、ホントに卵なのかどうか、じっくり拝ませてもらおう…
…って、明日からしばらく北風で時化予報じゃん。
桟橋の先っちょなどに潜っていられるはずもなし。
というか、少なくとも15日まで(ホントに)時化そうだというのに、この日欠航してどうすんだ連絡船。
まだエアーは100以上あったものの、いくら汗ばむ夏日でも90分近く潜っていたらさすがに脚が攣りそうなくらい冷えてきたのでエキジットすることにした。
エントリー時は桟橋の連絡船側からだったから知らなかったことに、桟橋の西側の波打ち際が大変なことになっていた。
スキーで言うなら、上級者じゃなければ絶対滑れない急斜面!
下から上まで斜面の長さは3メートルくらいあるから、潮が引いている時だったらヘタをすると這い上がることができずにそのまま溺死してしまう人がいるかも…。
これは先月の度重なる激時化のために、ビーチの西側の砂が大量にこちら側に押しやられたもの。
そうでもなければ、波打ち際でこんな造形はあり得ない。
でまた、急斜面から上の平坦な部分との境界で、光のダンスの見え方が違ってとても面白い。
画面左側はいわゆるフツーの光のユラユラなんだけど、右側の急斜面では光が斜面に沿って縦に伸びていて、それがゆらめくものだから、なんだか砂上のオーロラみたいになっていた。
その様子は画像じゃわかりづらいから、動画で撮っておこうとコンデジを構えてジッとしていた際は、デジイチは傍らに置いていた。
その置いておいたはずのデジイチがコスゲってしまっては泣くに泣けないから(コスゲる=海底に置いておいたはずのカメラが無くなること)、振り返ってみると…
カメラがカエルアンコウになっていた。
先日新しいものと付け替えたフロート代わりの浮き玉が水深50センチで微妙な浮力を生み出していて、なおかつ島の裏側から少し入ってきているうねりがちょっかいを出し、そして重力が斜面の下へとカメラを導く。
そのためカメラハウジングが、まるでオオモンカエルアンコウのように歩き始めていたのだった。
なんだかカメラが持ち主のもとから逃げ出していくようで、思わず動画で撮って楽しんでいたものの、海辺で拾った浮き玉のサイズが前回とビミョーに違っていたら、振り返ったときにはすでにコスゲっていたかも…?
※巨匠、悲劇を勝手に動詞にしておりますこと、どうかお許しください。
2023年02月13日
胡蝶の夢。
2023年 2月12日(日) 曇り時々晴れ
南の風 おだやか
オタマサの畑仕事をはじめ、秘密基地ではあれやこれやといろいろやりたいことがたくさんあるというのに、今月になってまだ一度も「1泊」していない。
この日まで連絡船は11勝1敗だから、1泊2泊くらいなら日を選ばずいつでも可能だったはずなのに。
それもこれも、今月半ばにはボートを上架させる予定だったから、天気がいい日は海に行っておこうと思ってしまったからだ。
そのため今月初めて本島に出かけたのは9日になってしまい、ようやく1泊しようと思っていたところ、翌日の欠航通知(まったく時化なかったけど)、日帰りを余儀なくされてしまったのだった。
この日は日曜日だから、普段だったらどこも混み合う本島になど出掛けはしないところ。
でもボートを上架させるところで大きくトラブってしまったせいで所用の半分もこなすことができなかった9日の不手際を挽回するために、日、月で1泊することにした。
ああそれなのに…。
翌日には前線通過に伴う強風予報が出ていた。
強風とはいっても夕刻までずっと南西の風だから、連絡船用バースには影響がないはず…
…と期待していたんだけど、シフト上まだ経験値が小さな船長の当番ということもあり、石橋を叩いて渡らない社長判断でこの日のうちに欠航判断ということになってしまった。
1泊準備で荷物を抱えてきたというのに、日帰り確定。
明日欠航となると、14日も、ヘタをすると15日も欠航するのだろう。
この日日帰りしてしまった場合、船検予定の16日に、ワタシは本島に出てこられるんだろうか?
だからといって船検のために本島で4泊だなんて、あまりにもバカバカしすぎる…。
さて。
日帰りとなると所用を済ませている間にお時間となってしまうから、やりたい作業はもちろんのこと、のんびりゆっくりする時間もないんだけど、秘密基地にてお茶を飲むくらいの時間はとれた。
今日は予報に反してずっと冴えない曇り空だったものの、ちょうどその頃にはときおり日差しも出るほどになっていて、隣家の桜がいい感じ。
ちょうど秘密基地の縁側(?)に腰掛けて眺められるところで満開になっているから、なんともステキな借景だ。
今月は咲き始めからずっとこの桜を楽しめたろうに、一度ものんびりしていなかったのだからもったいない。
この日ようやくのんびり眺める時間を持てた…
…と思ったら、この桜の周りをヒラヒラと飛びながら、フラフラと吸い寄せられるように花に止まったものが。
オオゴマダラだ!
桜もオオゴマダラも島で観られるし、このあたりじゃ珍しくもなんともないものたちとはいえ、「桜にオオゴマダラ」なんて、ひょっとすると初めて目にしたかも。
個人的に決定的にレアなシーンに遭遇してしまい、のんびりコーヒーでも飲みながら花見をするはずが、ジョニー片手にカメラ小僧になってしまった…(オタマサはのんびり花見してたけど)。
蝶とはいえこれほど大きくなるとメジロなど桜の花を好む他の鳥さんたちにライバル認定されてしまうのか、ときおり鳥に追い払われつつも、かなり桜に執着しているらしいオオゴマダラは、何度も何度もヒラヒラフラフラを繰り返していた。
こんな小さな画像じゃご覧いただけないだろうけど、数えてみれば…
…実に4匹ものオオゴマダラたちが集合していた。
桜にメジロは定番だし、ジャコウアゲハが桜に集まっているのを以前観たこともあったけど、桜にオオゴマダラだなんて、画像検索して「もっと見る」をかなり下のほうまでたどってもわずか数点ほどしかなかった。
季節限定だけに、いつでも観られるものではないのだろうなぁ。
いやあ、いいモノを見せてもらった。
今月ここでもっとのんびり過ごせていればいくらでも観られたシーンかもしれないけれど、こういうものは一期一会の儚さがあればこそ有難みが増すというもの。
文字どおりの胡蝶の夢的借景のおかげで、いつもと同じコーヒーが格段に極上の味わいになった、午後のお茶タイムなのでした。
2023年02月12日
シマキンパラ。
2023年 2月11日(土) おおむね曇り
東の風 やや波あり
建国記念日でやんす。
土曜に当たっちゃうと振替休日は設けられないから、暦どおりの休日になるサラリーマンのみなさんには残念な土日。
そういえば今年は、ハッピーマンデー方式の人工的(?)3連休を除くと、タイミングよく土日とくっつく祝日が滅法少ない。
3連休以上の連休を心の拠り所にして日々を生きている方々にとっては、なんとも辛い1年になりそう…
なんてことは、みなさんとっくの昔からご存知か…。
さてさて、月初めから快調に連勝街道を歩んでいた連絡船も、10日目にしてついに土がついてしまったけれど、本日は再び通常運航。
連敗しないのが横綱・大関が優勝する必須条件、このままロードトゥ横綱をまっしぐらに突き進めるか?
あ、20日から定期ドック入り予定だった…。
水納海運公式サイトによると、ドック入りは来月15日までを予定しているようだ。
ほぼ1ヵ月じゃん…。
夜明けはこのあとの雨を予想させる朝焼けになっていたものの、その後は降る気配だけを見せつつおおむね曇り空に終始したこの日、朝から耳慣れない鳥さんの声が聴こえていた。
コゲラの金属ドラミングの音に混じって聴こえてくるその声は甲高い短音で、「ピッ…ピッ…」もしくは「キュッ…キュッ…」といった感じで、ずっと鳴き続けている。
ただし声はすれども姿は見えず、だから正体はナゾのままだったところ、お昼の散歩中についにその声を発しながらエサを食べているところに遭遇。
声の主はこのヒトだった。
路傍に生えているイネ科植物の実を食べつつ、同じく路上にいる我々を気にしている様子の、文鳥のような顔をしたこの鳥さん、人生初遭遇に違いない。
ところがオタマサは、前に水納島で観たことあったんじゃない?という。
観たことあるのかないのか、はたして正解は?
人生初遭遇ではなく、水納島で観たことがあったわけでもなく、億首川近くの水田で観たことがあったのだった。
この鳥さん、その名を(おそらく)シマキンパラという。
県内で観られているものは、もともと飼育されていたものが逃げ出して繁殖している、いわゆる「外来種」認定されている鳥だ。
億首川では頭を垂れる稲穂の実を味わい尽くしていたシマキンパラ、稲穂など無い水納島では…
イネ科の雑草の実が精一杯の御馳走のようだ。
それにしても、単独でいるにもかかわらず、居場所を容易に特定できる声を発しながら食事だなんて、リスクマネジメント的にどうなんだろう?
甘えているような声の出し方にしても色味的にも、まだ若鳥なのだろうか。
朝から昼まであれほど近隣から聴こえていた特徴的な声は、午後になるとカモメ岩のほうに移動していたという(オタマサ談)。
このまま居続けるのだろうか、それともアイランドホッピング中で、束の間水納島に羽休めに立ち寄っていただけなのだろうか。
「外来種」は冬の渡り鳥ってわけではないけれど、これはこれで水納島初記録ってことで…。
2023年02月11日
及ばざるは過ぎたるが如し。
2023年 2月10日(金) 雨のち曇り
南西のち北東の風 やや波あり
前線通過のタイミングと、通過時にどれくらい吹くかという判断がしづらかったこの日、天気予報を鵜呑みにすれば朝イチだけ様子を観て午後から運航、という手もあったのだろう。
しかし、もう前日から関係各方面(島から出る予定のヒト、帰る予定のヒトなどなど)にこの日の欠航の可能性を告げており、みなさん前日のうちに出るなり帰るなりしていたこともあって、連絡船は潔く全便欠航。
フタを開けてみれば、たしかに前線通過時には強い雨が降りはしたものの、束の間吹いた強い風は南西方面から、そして北よりに変わった後はさして吹くこともなく、「ダイビングでも行きますか?」ってくらいの海況に終始した。
島民生活的には郵便物や新聞が届かないということ以外に支障は何もなかったとはいえ、ひょっとすると日程的に前後にずらすことができない、人生最初で最後になるかもしれない「水納島を訪れる日」を予定されていた方が、1人2人いらっしゃったかもしれない。
静かな海を眺めつつ、ご自身の身の不運をお嘆きください。
前日、まさか動かなくなっているなどとは夢にも思っていなかった間、船台を動かそうとして渾身の力を振り絞って押したり引いたりしていたせいで、この日は朝から疲労感と筋肉痛。
こういう時のために、普段から鍛えていりゃいいってところなんだろうけど、能力以上の力を出してまで何かをどうにかしようなんて、普段思わないからなぁ…。
トレーニング用船台が必要だ。
そんな肉体疲労中ではありながらも、ここで怠けていてはすぐさまリバウンドするのは間違いないので(毎日オタマサのワナが待っているから)、散歩やカメさんたちのエサ採りで精力的に歩き回った。
冷え込みと強風続きで、一時は絶望の淵に立たされていたクワの葉の収穫量も、ようやく春の兆しが見えてきたおかげで新芽が湧きはじめ、明日への希望が持てるようになってきた。
一方、冬の野菜たちは終盤を迎えている。
ほぼほぼ収穫し終えたあたいぐぁのブロッコリーも、今では脇芽(側花蕾)の時代になっている。
本体(頂花蕾)は残すところ1本のみ。
マサエ農園終了にともないブロッコリーの生産量はガクンと落ちたこの冬なんだけど、不思議なことに、例年よりもブロッコリーを口にする機会が随分多かった。
作っている量が少ないのでお裾分けした量も少なく、おまけに「蒸しブロッコリー」の美味しさを知ったものだから、食べる頻度も増えたためだろう。
これまで毎年どんだけ送ったり配ったりしていたんだろう…。
また、あたいぐぁは敷地内にあるものだから、朝昼夕と毎日いつでも世話ができることもあって、葉のなんと美しいことか。
まるで農薬を散布したおしたかのような美しさ。
無農薬でこうなるのは、ひとえにヒマさえあればそのケアができるところに小さな畑があるおかげだ。
農家で同じことをやろうとしたら、農業留学生1000人くらい動員しなければならないかもしれない…。
ご存知のとおりアブラナ科のお野菜たちにはモンシロチョウが嬉々として卵を産みつけるから、ほったらかしにしているとたちまちアオムシだらけになり、葉がどんどん食べられていく。
マサエ農園で作っていた頃のオタマサは、毎朝アオムシパトロールをしては葉からアオムシを排除して、遠くの藪に放り投げていたけれど、それでもけっこう食われていた。
そのうえ1週間~10日間ほど不在にしようものなら、ブロッコリーの葉が骨(葉脈)だけになってたりしたこともあった(ヒヨドリが大挙襲来した年はやばかった…)。
モンシロチョウが異常的大発生をした年なんて、大根の本体にまで卵を産みつけていたものなぁ…。
ところで、モンシロチョウ(の子ども)が大好きなアブラナ科の野菜たちには、ブロッコリーのほか、親戚のカリフラワー、キャベツ、芽キャベツなどメジャーどころがわんさか列挙されるほどたくさんあるのだけれど、それらのほとんどが、遡ればケール(青汁の原料)を原種とするのだそうな。
キャベツもブロッコリーも元は同じ植物だったなんて、まるでヒトもカンガルーも遡ればネズミのようなナリをした哺乳類が先祖、みたいな衝撃かも。
青汁といえば、野菜不足解消を謳って様々な商品が世に出回っているけれど、聞くところによると、青汁の原料ケールに含まれるナンタラチンとかカンタラリンという成分は、摂取しすぎると甲状腺機能を甚だしく低下させてしまい、場合によっては生命に危険をもたらすほどになるそうな。
先祖が同じとなれば、含有量に差はあれどブロッコリーにももちろん同じ成分が含まれている。
となると、例年より食べ過ぎている我々の甲状腺も、行政によって隠蔽されているどこぞの子どもたちの甲状腺異常と同じような事態になっていたり?
心配御無用。
ナンタラカンタラリンの摂取しすぎというその量は、フツーに生活していたら到底実現できないくらいのとんでもない量なのだった。
数少ない海外の報告例は、体にいいからと、とにかく大量摂取していたそうなのだけど、ナニゴトも過ぎたるは及ばざるがごとし。
薄い薄いお煎餅にイワシが5匹分♪なんてものをそうかそうかと食べ過ぎていたら、体にいいわけがないのである。
百薬の長のお酒も然り。
このところ疲労が抜けづらいのは、加齢のほか、ひょっとするとお酒のせいかもしれない…と気づき始めたワタシである。
というわけでこの週末は、禁酒デー。
…でもビールは飲むけど。
< 飲むんじゃん!
だって、及ばざるは過ぎたるがごとしですからね♪
2023年02月10日
にっちもさっちもどうにもブルドッグ。
2023年 2月9日(木) 曇り
東の風 やや波あり
今月16日に船検を受ける予定にしている。
船検は海に浮いた状態でも上架していてもどっちでもいいのだけれど、併せてペンキ塗りなどの作業も施すべく、上架することにした。
検査日はもう少し先のことなので、なにもこんなに早く陸揚げする必要はないものの、なにやら渡久地港内で浚渫工事が行われる予定だそうで、今回は河口の奥側だけではなく、溜まっていることが計測されている港内随所も局地的に掘るという。
その「局地」のひとつは連絡船が停まっている浮桟橋の反対側、すなわち待合所がある岸壁と浮桟橋の間だったり、北岸のスロープ近辺だったりと、当方ともけっこう関わりがある場所が指定区域になっている。
その予定が先日水納海運に通知されたというナカムラ船長から伺ったところによると、ちょうど船検前に上げようと思っていたあたりにスロープ周辺の浚渫作業予定が入っていた。
加えて14日、15日は時化そうな予報になってもいるから、もういっそのこと早いうちに上げてしまい、準備万端整えておくことにした。
それがある意味で天の配剤になろうとは、神ならぬ身の知る由もないこと。
何が天の配剤なのかはのちに触れるとして、その前に面倒くさい船検のことを。
「船検受けて、安全運航」を謳い文句に、小型船舶検査機構が執り行っている船検は、ジェットスキーも含めたエンジン付き小型船舶が必ず受けなければならない検査で、いわば車検のようなもの。
本検査は6年ごとながら、その間に中間検査も入るので、結局3年に1回受けなければならない。
検査を受けるだけならともかく、もちろんのこと費用が掛かる。
これがやたらと高く、2万5千円近くかかる。
おまけに船検には「法定備品」のチェックもあって、一度も使ったことはないけど置いておかねばならない、というものばかりなのはいいとして、モノによっては有効期限がある。
有効期限があるくせにひときわ高価なのが、機関部に据え付ける自動消火器だ。
これがまたうまい具合いにできていて、製造日から6年が有効期限だから、船検に使えるのはバッチリのタイミングで購入したとしても3回、ヘタをすると2回しか使えない。
有効期限が切れていたら検査前に購入しなければならず、例によってバカ高い。
今回もこの消火器の期限が切れてしまっているために、新たに購入せねばならなかった。
船検費用と同額くらいするから、ただ検査を受けるだけで5万円もの出費。
ちゃんと検査を受けているからといって、「船検受けて、安全運航」が保証されるはずもなく、この3年の間に軽石は詰まるわあれやこれやの修理代で首が回らなくなるわ…。
ボートなんてものは、ただ所有しているだけでお金が湯水のように出て行くのである。
湯水のように出ていく分については、これまではかろうじてボートにシゴトをしてもらって補填することができていたけれど、そうも行かなくなってきたからなぁ…。
で、その小型船舶用自動消火器、前回購入したものと同じものを…と思ったものの、前回購入した泊のミヤギ産業は小売りの店舗が無くなってしまったので、こんなものをポンッと用意してくれる船具店など他に知らないし、たとえあっても中南部だろうから、仕方なくネット通販で買い求めた。
そこまではいい。
でも有効期限が切れてしまった旧消火器はどうすればいいの?
メーカーのサイトによれば、各営業所に持ち込むことも可能だというけれど、その各営業所の最南端は福岡。
その他の手段としては、提携している西濃運輸に持っていけば引き取ってくれるという紹介もあった。
そういえば名護に西濃運輸があったっけ。
さっそく電話して尋ねてみた。
電話に出てくれた事務の方らしきおねーさんがいろいろ調べてくださったあとに折り返して電話してきてくれたところによると、なんとオキナワの西濃運輸は「沖縄西濃運輸」で、ザ・西濃運輸とは別法人、かつ消火器メーカーと提携していないとのことだった。
はてさて困った、旧消火器。
仕方なくメーカーの問い合わせ先に掛けてみると、大阪弁の男性がいろいろ詳しく教えてくださった(事務所が大阪にある)。
いわく、全国には消火器リサイクル推進センターなるものがあって、それが沖縄県内にもあるはずだから、まずは東京にある本部に問い合わせれば、最寄りの受付場所がわかるはず、とのこと。
教えてもらった番号にさっそく掛けてみたところ、ずっと話し中。
なんだ、使えないじゃん、本部。
でも県内にもあるのなら、検索すればすぐ出てくるかも。
すると、なんとなんと消火器リサイクル推進センターの活動をしていてリサイクルの窓口になっている企業が、名護市内に2か所あった。
そのひとつ、伊差川にあるグリーンクロスという看板屋さんに電話してみると、見目麗しいおねーさん(※個人の勝手な想像です)が実に優しく丁寧に引き取り可能であることを教えてくれた。
彼女によると、消火器本体にリサイクルシールが貼ってあれば、引き取りは無料です、とのこと。
本体を見てみると……
シールが貼ってあった♪
一時は途方に暮れつつも、ようやく見つかった旧消火器の引き取り手。
でも考えてみれば、小型船舶用自動消火器なんてものは一般的ではないにせよ、家庭用消火器となるとものすごい数になるのだろうから、このような窓口がたくさんあって当たり前といえば当たり前か…(メーカーさんによると、近頃はホームセンターでも取り扱っているところが多いので、購入時に旧品を引き取ってくれるとのこと)。
というわけでこの日、前日のうちに消火器を持ち込むことを伝えてあった、伊差川のグリーンクロスさんにお邪魔した。
電話の向こうの見目麗しいおねーさんと、ついにご対面……
…と思いきや、事務所内には若いにぃにぃが1人。
しまった、昼休み時間だった!
でもちゃんとおねーさんはリサイクル用の書類を用意してくれてあったらしく、それに書き込んでミッション終了。
こうして旧消火器は、リサイクルの道へと旅立っていった。
…と、これだけならミッションコンプリートまでなんの支障もない1日だったのだけど。
満潮が9時頃で、スロープが混み合う前に上架作業を終えてしまいたかったこともあって、7時30分に島を出て、秘密基地に留めてあるボート牽引用の四駆に乗り換え、渡久地港北岸に戻ってきたのは8時過ぎ。
この季節のこと、渡久地港北岸も空いていたから、ボートを上架させるにあたり、すでに出航している釣り人の車といった障害物はなにもない。
さっそくチャッチャと上架作業を済ませてしまいましょう。
で、いつものように、ボートが乗った船台をゴロゴロゴロ…と引っ張り、スロープ上で方向転換させて所定の位置に移動…
…させようとしたその時、異変が。
船台に4つついている車輪のうち、前側の2つは自在キャスターといって、方向転換が自在にできる仕組みになっている。
その自在キャスターが、「自在」じゃなくなってしまったのだ。
船台を作ってから10年も経てば、毎度海水に浸かることになる足周りなど腐食が進んで当然とはいえ、つい先日も空荷状態のときにジャッキで持ち上げ、グリスを注入したり油塗れにしつつ、まだまだグルグル回る状態であることをチェックしたばかりだし、この日定位置からスロープまで空荷の船台を押していった際も、自在キャスターは自在に方向を変えていたというのに…。
何がどうなっているのか詳細は不明ながら、ひょっとしたらジャッキアップしてグルグル回してみれば、何かがどうにかして直るかも…
…と一縷の望みをかけ、秘密基地に置いてあるジャッキを取りに行き、さっそく上げてみたところ(2トン用の油圧式なのでボートを載せていても楽々上がる)…
かなり強く叩けば動くけど、これじゃまったく「自在」じゃない!
まっすぐ上げた状態のまま固まってしまったのなら、そのままもう一度海にボートを下ろし、船台だけ上げれば引きずってでも元の位置に戻せるだろう。
でもいったん所定の位置に向けて方向転換させていて、スロープに対して斜めになってしまっている状態だから、海に戻せず所定の場所にも動かせず。
これはもう完全に…
にっちもさっちもどうにもブルドッグ。
さてどうしよう?
ジャッキで浮かした状態で車輪をぶっ叩けば多少は動くのであれば、なんとかスロープに対してまっすぐの位置になるよう車輪の角度を変え、そしてまっすぐになったら再びジャッキアップして車輪をまっすぐに戻してから、ボートを海へ下ろす…
…という強引な方法の場合、万万が一叩きすぎて車輪が根こそぎモゲてしまったら…という危惧がある。
ユニックで釣り上げてボートだけ海におろし、船台を移動させる…という方法もあるけれど、ともかくまずは困った時の古堅自動車、まずはフルゲンさんに電話してみるしかないか…
…と思案していたまさにその時!
古堅自動車社長フルゲンさんが、まるで自転車に乗って事件現場にやってきた古畑任三郎のような調子で、「よぉ!」と軽トラで登場。
友人の方々と共同所有しているボートの調子を見に来たというフルゲンさんに、藁にもすがる思いで事情を伝えると、たちまち彼のメカニックエンジニアの血に火がついた。
すでにその時点で彼の頭の中では段取りがついていたのだろうけど、ともかくいったん工場に戻り、必要な工具を取ってきつつ、作業開始。
これはもう自在キャスターを「自在」にさせているベアリング部分がやられているに違いないから、ともかく船台から取り外して修理するほかない、ということで、ボルト締めしてあるキャスターを取り外すことになった。
船台を作った業者さんが、気を利かせて盗難防止用にとボルトとナットを溶接してあるというジジツが判明し、作業にはいささか手間がかかったものの、やがてなんとか自在キャスターの取り外しが完了した。
この日たまたま近隣のスロープでボートの整備をしていた業者さんはフルゲンさんのお知り合いで、取り外された自在キャスターを目にした彼いわく、あきちゃびよー。
自在キャスターなど10年ももてば、そろそろ潮時と思ってしかるべきなのだそうな。
こうして自在キャスターは取り外すことができた。
モンダイは、ベアリングがある内部構造を見るべく解体できるかということ。
腐食が進みすぎ、膠着していたらどうしようもないかもしれない。
でも解体できれば今日中になんとかなるはず。
「電話するよぉ」と言い残し、自在キャスターを軽トラに積んだフルゲンさんは、工場に戻っていった。
作業がたちまち終わるわけはないし、電話してくれるということだったから、この場で待っていてもしょうがない。
しょうがないけど、現在ミスクロワッサンを載せた船台は、スロープを斜めに横切っているから完全に障害物状態。
これをこのまま残して立ち去るわけにも…
…というところではあったのだけど、幸いなことに車の通行は可能で、朝下ろして夕方また上げる予定で釣りに出て行ったおじいのボートは、脇のスペースで上げ下ろし作業が可能だ。
これが夏場だと目も当てられない事態だったところ、オフシーズンもオフシーズン、業者さんによっては完全オフにして内地に帰省中というところもあるくらいの閑散期だったのがせめてもの救い。
上架中のボートを整備している顔見知りがいたので、作業中にもしなんかあったら状況を説明してもらえるようお願いした。
快諾してくれた彼いわく、
「これはひと目見たら誰でも事情はわかりますって、大丈夫ですよ」
と妙に勇気づけてくれた。
たしかにこの状態だから…
撮影:オタマサ
事情はわかってもらえるか、車輪無いし…。
この日12時前から14時までの2時間ほどの間、迷惑千万な位置に放置されていた我がボートのせいで迷惑を蒙ったみなさん、この場を借りてお詫び申し上げます…。
さて、この間に名護まで行って消火器を引き取ってもらい、メイクマンで買い物をしている間も、フルゲンさんからの電話はなかった。
この日は日帰りの予定で出てきていたのだけれど、最終便に間に合わないようならオタマサだけいったん島に戻し、ワタシは本島に残っているほかないか…
とか、そもそもまったく外せないという結果に終わったら、立ち往生の船台はどうしよう?
などいろいろ考えていたこともあって、沿道の満開の桜を堪能することもできず。
このまま電話を待っていても埒が明かないから、ともかく現況を教えてもらうべく古堅自動車さんに立ち寄ってみた。
あれ?でも社長の姿が見えない。
工場長がいたので尋ねてみると
「ん?ついさっき現場にもどったはずよ」
え?電話まだないけど??
工場長いわく、応急処置はできたみたい、とのこと。
慌てて渡久地港北岸に行くと、スタッフさんがすでに自在キャスターの取り付け作業に取り掛かっていた。
ちょうどボルトを買いに行っていた社長も戻ってきていわく、
「なんとか応急処置はしたけれど、買い替えなきゃダメよ、もう」
我々が見て「もう無理!」と思う車を「まだ乗れる!」というフルゲンさんが「もうダメ」というくらいだから、相当にダメなのは想像に難くない。
でまたこの「自在キャスター」がとんでもなく高価なんだけど、こりゃもう今後のためにも刷新あるのみ。
…ああ、また修理代が。
取り付け作業が終わり、自在ってほどではないにしろなんとか動くようになったおかで、ボートを載せたまま船台を所定の位置に移動させることができた。
その際には古堅自動車のスタッフさんにまで手伝ってもらって…。
ボートを載せたままでもジャッキアップしてブロックをかましておけば、両輪とも取り外して新品と交換してくれるというので、もう全面的にお任せすることにした。
いやはや、これにて一件落着!
…あ、落着はしてないか。
まだ落着はしてないとはいえ、一時はどうなることかと思ったスロープ上での立ち往生が、ともかくもこの日のうちにボートを所定の位置に納めるところまでたどりつけたのは、ひとえにフルゲンさんがあの時フラリと軽トラで登場してくれたおかげ。
忙しい時は社長の手も借りなければ回らないところ、この日は釣り船の調子を見に来ることができるくらいヒマだったおかげともいう。
もし上架する予定を他日にしてその日にトラブルが発生していれば、たとえ電話をしてもすぐには来てもらえなかったかもしれないってことを考えれば、これを天の配剤と言わずになんと言おう。
重大なトラブルはあるんだけれど、すんでのところで何とかしてくれる…
それが、水納島の御願所龍神様のご利益なのかもしれない。
どうせなら、最初からトラブル無しにしていただけるとありがたいんですけど…
< それだと有難みがわからんでしょ(天の声)。
夏場の台風避難時じゃなかったってことも、ある意味ご利益だったのかも。
一時は着替えもないのにオイル塗れのズボンだけで本島泊を覚悟していただけに、まさか夕刻のんびりビールを飲んでいられるとは。
大きな危機を乗り越えた感で、晩酌が祝杯になったのは言うまでもない。
ああ、ビールがうまい♪
沿道の桜は楽しめなかったかわりに、「いちばん桜」が満開だ。
2023年02月09日
リーフエッジ・ビフォーアフター。
2023年 2月8日(水) 晴れ
北東の風 けっこう波あり
暖かいを通り越し、暑さすら感じるほどになってしまったこの日(でも午後3時を過ぎるとちょっと肌寒くなる)。
暖かい季節の到来を肌で感じ取っているのか、引きこもり気味だったホッシーたちも、この日は気持ちが外に向いていた。
ガメ公も午後になると俄然やる気が出てきて、朝のうちに早くも今日の分のごはんを食べ切ったというのに、午後になってから、メシはまだか、メシはまだか攻撃をしている。
しょうがないから2ヶ月ぶりくらいのお散歩に。
すると、ゲートを出た途端に…
キンセンカに興味津々。
お初のものには慎重になるガメ公だからいきなりパクつきはしなかったものの、放っておいたらおそらく花から葉っぱまで食べつくしていたかもしれない。
キンセンカの鉢をここに置いて以来、柵の中からいつもジーッと見ていたガメ公の姿に、カメにも花を愛でる心があったか、とホノボノしていたというのに、なんのことはない、単に食い気でずっと気になっていただけだったのだ。
ようやく目の当たりにすることができ、まずは鉢をチェック、そして葉を確認、最後に花に迫るガメ公。
食べなかったのはカメにとって毒性があることをクンクン匂って探知したのか、それともあと寸刻放っておいたら食べちゃったのか。
いずれにしろ「花より団子」だったのは間違いない。
この日はお天気は上々、気温も上昇の1日だったんだけど、北よりの風が強めに吹いているので海には行かず。
強めに吹いているとはいっても先月の爆裂季節風に比べれば可愛いもので、海辺で体感可能なザ・冬といったところだ。
先月の爆裂季節風といえば、リーフエッジのサンゴの被害は、さらに広範囲に及んでいることを知った。
ただ、その様子を伝えようにも、実際に海中で観ている破壊の爪痕の衝撃を伝えきる画像が撮れないので(能力的に…)、動画に頼ってみることにした。
というのも、先日撮った動画と同じ場所で昨年同時期に撮っていたから、ビフォーアフターの比較が容易そうだから。
というわけで、昨年3月に撮ったBefore爆裂季節風のリーフエッジから。
そして↓こちらが、今月初めに撮った、同じ場所のAfter爆裂季節風の様子。
ちなみに動画冒頭は同じ場所。
Beforeにはあったサンゴ群落が消え去っているなど、拙い動画でも両者の違いをおわかりいただけますかね?
リーフエッジに群生しているサンゴたちは、環境さえ整っていれば成長はかなり早いから、きっとそれほど時をおかずにまた見事な景観が復活する…
…と信じてはいるものの、ひと月後ふた月後にそれを求めるのは虫が良すぎるというモノ。
そうこうするうちに港の工事が始まっちゃったりしたら、整っているはずの「環境」にダメージを食らうかもしれない。
Beforeの動画が見納めになったりしないことを、切に願う次第です。