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2023年07月31日
劇的ダウンサイジング。
2023年 7月30日(土) 晴れ
東の風 うねりあるもおだやか
先週末前後の絵に描いたような「7月」の海とは違い、今週はここまでずっと南風が強かった。
そのため連絡船の運航も、26日は減便運航、27日は全便欠航となったのだけど、最も風が強かった28日はなぜだか全便通常運航。
29日になると、遥か南にある台風のうねりはあるも随分おだやかになってきて、そして迎えたこの日は、この4~5日の中では最も穏やかな抜群のお天気になった。
翌日にはもう台風の強風域圏内に入ること必至だから、まさに嵐の前の静けさ。
それは各種天気予報を目にする誰もが予想できる状況ではあった。
だから当然この日の連絡船も、台風対策の時間を考慮しても、島民が台風前の買い出しができるよう、せめてお昼くらいまでは運航してくれるに違いない、まかり間違っても、前夜宿泊予定の民宿のお客さんを返すべく、朝イチ便だけは運航してくれるに違いない…
…という見込みは甘かった。
誰もが耳を疑う決定が、前日お昼前に下されていたのだ。
すなわち30日は、全便欠航。
ありえないッ!!
知床で事故を起こした某観光船会社の経営者とは真逆の超絶的慎重な判断を下す水納海運社長は、いったいどの気象情報をご覧になって判断されているのだろう……。
ともかくそんなわけで、この日の全便欠航の決定が下されたのは29日お昼前のこと。
本来であれば、そこから慌ただしくうちのボートを上架すべく、渡久地港まで行って作業をするところではある。
でもその時間からだとすでに潮が引いているため、上架作業をするのはつらい時間帯になっている。
また、前回の台風時に上架してあったボートを下ろす際、たまたま港にいて同じ作業をしていた様々なみなさんに手伝ってもらえたおかげで、オタマサの手を借りることなく作業が進んだこともあって、1人で渡久地港に行ってもなんとかなるかも…と安易に考え、翌早朝のまだ潮が満ちている時間帯に渡久地港に向かうことにした。
…と決めた時は大して考えていなかったものの、シーズン中で何かと忙しい皆様のこと、はたして本当に誰かの手を借りることができるだろうか、ちゃんと滞りなく作業できるだろうか…と不安が募ってきた夕刻のこと。
もはやその時点ではその日のうちに作業をして島に戻ってくることなど不可能な状況になっていたとき、最終便の時刻になってスタッフさんたちが島から帰っていく時間帯になっても、海の家の台風対策をしていない業者さんが。
ひょっとして、台風対策は明日ですか?
顔馴染みのスタッフさんに尋ねてみたところ、案の定、台風対策は翌日ゆっくり作業をする予定とのこと。
これは………渡りに船かも!
穏やかな海況が予想される翌日のこと、作業をするとなっても平常の時間からの通勤ということになるはずだから、それまでにボートを上架させておけば、出勤するボートに便乗させてもらって島に戻ることができる!
さっそくその業者さん=オーシャンスタイルの現地リーダーであるオギドウさんに電話して厚かましいお願いをしたところ、ありがたいことにご快諾いただけた。
というわけで、早朝ながらも、いつもどおり2人で作業ができる状況確定。
これで台風が突如巨大化&速度を速めていたら目も当てられないところながら、日が昇る前の海は予報と予想どおりまったくおだやか。
これで欠航ですか!
上架作業は順調に進み、たっぷり余裕をもってオーシャンスタイルさんの出発に間に合ったので、無事島に戻ることができたのだった。
…オタマサだけ。
ワタシはワタシで、秘密基地でやらねばならないことがあるのだ。
そのひとつが草刈り。
これは台風対策というわけではないけれど、この2か月近く一度も秘密基地泊していなかったこともあり、梅雨の間に伸びた雑草をこの機会に刈り払っておかなければ。
草刈りが必要な場所だけは豊富にあるので、炎天下のなかで作業をおこなえば死んでしまうかもしれない。
そのためクーラーをガンガンに効かせておいてから作業をスタート。
冷蔵庫にはコンビニで買ってきたお茶もたっぷり入れておいたから、これで熱中症になることはないだろう。
で、伸び放題だった雑草たちをあらかた狩り払い、残りあと少しとなったところでひとまず休憩タイム。
ああ、クーラーが涼しい…。
そして喉の渇きを癒すべく、冷蔵庫を開けてお茶を…
あれ?
冷蔵庫内が室温より暖かいぞ??
冷凍庫内はかろうじて冷気があるものの、冷蔵庫内は完全にただの収納ケースになってしまっている。
ひょっとして……
故障???
そういえば、このところは冷蔵庫に電気を通した途端に異常音を出していたっけ…。
こりゃそろそろヤバいね、と言いつつも、普段使いなわけじゃなし、まぁ新規購入は壊れてからでいいか…とそのまま放置プレイにしていたのだった。
そう言いながら秘密基地泊は先月6月2日以来だから、冷蔵庫の使用もほぼ2か月ぶり。
この沈黙の2か月の間に、すっかり寿命が尽きていたらしい。
なんということだ、これから台風避難中の間、飲みたいときに冷えたビールが飲めない暮らしになってしまうのか?
さすがにそれは絶望的だから、草刈りを終えてから、急遽冷蔵庫を買い求めに名護までGO。
とはいえ家電量販店で購入しても、そのお店に在庫があるわけではなく、たいてい後日配送センターからの配達ということになるため、この急場にはまったく役に立たない。
買ったその日に持ち帰れるものを選ぶにしても、横倒しに積むことができない冷蔵庫のこと、(12万キロ走っているけど)新車の貨物スペースがいくら広いとはいえ縦に積めるサイズ限定になる。
というか重量的に1人で運べるものじゃないと、車から部屋まで持ち運べない…。
…という様々な縛りがあるなか、こういう危急の際に便利なモノといえば、以前はバッタモンに近い印象があったホームセンターで売られている冷蔵庫。
近頃は冷蔵庫にも新規参入しているアイリスオーヤマの製品がたくさん並んでいるメイクマンなら、おそらく店舗からそのまま持ち帰ることができるだろう。
さっそくメイクマンを訪ね、こちらの条件に合うものは…と物色してみたところ、なんとかこの台風中の文明生活を維持できそうな品を見つけた。
幸いなことに、店舗の在庫もあった。
というわけで、晴れて秘密基地の備品となった新型冷蔵庫ちゃん、中を拭き拭きしてからさっそく電気を通してみれば、ちゃんと稼働してくれてビールもしっかり冷やしてくれた。
冷蔵機能は申し分なし。
ただ、モンダイは……
…劇的にダウンサイジング。
車に積めて、1人で持ち運びできて…といった条件をクリアしているのはいいものの、ビジネスホテルの部屋の片隅にあるような冷蔵庫だから、収容量は高が知れている。
この状況なら寝かせれば入れられるものの、要冷蔵の食品がいくつかあると、2リットルのペットボトルが入らなくなる…。
そのため2リットルのペットボトル入りのお茶を、500ミリリットルのペットボトルに小分けにしなければならないのだった。
その他、冷凍モノが入れられるスペースは右上隅の箱部分だけという制限もあるけれど(当然ながら氷だけで満杯)、なにはともあれ冷たいビールを飲める生活は手に入れることができた。
台風も今回は足早そうだから、数日耐えればいいだけだからなんとかなるだろう…
…と思いきや。
これを書いている今朝(31日)あらためて台風情報その他を見て見れば、この台風6号、沖縄本島の南を通過してから急停止し、その後ターンして北上する予想が主流になっている気配が…。
ホントにそのとおりになると、ヘタをしたら8月最初の1週間は全滅、早くても9日まで連絡船は復旧しないかもしれない。
長くても4~5日だろうと見越し、オクスリは10日分もあれば充分だろうと思っていたのに、ひょっとすると薬切れになるかも…。
島に戻ったオタマサも、4~5日見当でしか台風前の買い物をしていないし、台風序盤で停電でもしようものなら、オタマサだけではなく、下手をすると島の皆さんは食料不足で飢え死にするかもしれない(野菜たちは台風で壊滅必至だし)。
一方現金しか持ち合わせていないワタシは、こういうこともあろうかと財布の中身は普段の倍にしてきたものの、いきなり冷蔵庫新規購入という事態となり、早くも大幅な戦力ダウンとなっている。
冷蔵庫はたとえ元気でも、何も買うことができずに飢え死にするかもしれない。
なんてことだ、薬の心配をしている場合ではなかった。
あくまでも強気に大陸へ抜けると予報し続ける米海軍台風情報どおりになるのか、はたして軒並みターン予想となっている日本勢の予想どおりになるのか。
運命の分かれ道は、本島の南を通過したあとに待ち受けているのであった。
2023年07月30日
忙中閑あり。
2023年 7月29日(土) 晴れ
南東の風 波あり 水温29度
テレビ番組で写真を使用された際にはホントにクレジットが出ているのか…という話を、放送終了後の時点で先日この稿にて触れたところ、たまたま番組を録画していた方が、ご丁寧にも確認してくださった。
さかなクンの「ギョギョッと魚スター」では、このような形で写真が紹介されていたようだ。
で、クロシマゴチの画像の片隅には…
…おお、当店の名がちゃんと記されている。
一方、今月24日に放送されたらしいTBSの番組では…
当方の通信回線事情を配慮して送ってくださった画像が当方の希望より小さすぎたので無理矢理拡大しているため見づらいけれど、どうやら番組中の芸人がどこかでサバイバル生活的なことをしていて、食料用に捕えた獲物をひとつひとつ画像で紹介しているらしい。
で、これもカスリイシモチの小さな画像の片隅に、ちゃんと当店の名がクレジットされていた。
なるほど、各制作会社はそのあたりの約束はしっかり守ってくださるのでございますね。
ところで、どちらの番組についてもチェック&ご報告してくださったのは同じ方で、せいぜいチラ…程度の画像登場シーンをどのように記録されていたのかというと…
…テレビ画面にスマホを向けて撮っておられるのだった。
真正面すぎるとご自身が写ってしまう、ということにお気づきになってからお撮りになった画像はちゃんとテレビ画面だけになっていたのだけれど、最初の失敗作(?)で笑ってしまった。
ご本人がおっしゃるとおり、毎日激務で「けっしてヒマではない」というのは実際そのとおりなのだろう。
でもその「ヒマではない」理由のひとつにこういうことが含まれているのだとすれば、ヒトはそれを「ヒマ」という(爆)。
お部屋まで写っているのでプライバシー保護のためにここでは名を伏せさせていただきますが、忙中閑あり的確認作業、まことにありがとうございます。
そうそう、画像提供といえば。
このテレビ番組よりも遥かに前の話ながら、とある方から写真使用につき、予想外のオファーをいただいた。
予想外というのは、この写真ですか?という意味で。
使用目的は、その写真に写っている生き物グループ全般に渡る大目録的図鑑だそうで、著者が自ら用意できないものについては、広く世間から画像を募っておられるようだ。
商業目的の印刷物利用の場合の使用料も当方では一応定めてはあるものの、こういうケースで規定料金をそれぞれに払っていたら画像使用料だけで天文学的数字になる。
そのため多くの場合、「現物支給」を条件とした「協力」という形になる。
今回も、出来上がった大図鑑を贈っていただくということでディール。
取り扱っている生き物のジャンル的にも、これまで日本には無かったとてつもない量の種類をカバーした図鑑になるようで、今から完成を楽しみにしている。
もっとも、完成予定は来春とのことなので、それを紹介することができるのは随分先のことになる。
晴れて「現物」が届いてから紹介すると、先ほどの忙中閑ありオンエアチェック嬢が再び書店などで確認してくださるかもしれない。
しかしその書店にいる他のみなさんは、とてつもない悲鳴を耳にすることになるだろう。
なにしろその図鑑が取り扱っている生き物は、オンエアチェック嬢がこの世で最も忌み嫌っているクリーチャーなのだから。
2023年07月29日
「このタコッ!」は不当である。
2023年 7月28日(金) 曇り
南東の風 波あり 水温29度
一昨日は減便で1日3往復の運航、昨日は朝イチの1往復のみ、そしてこの3日間で最も風が強かった本日は…
…全便通常運航。
なんだか不思議なメルモちゃん。
風は強いとはいっても、先日の連休中の時化時化に比べればなんてことはない程度だったので、3日ぶりにボートで海へ。
曇りがちの陸上世界とは違い、海中はあくまでも夏の様相だった。
…ヨスジ系は冬でも春でもいつ撮ってもこうなるけど。
浅いところに戻ってくると、岩の下からまだ小さなワモンダコが顔を覗かせていた。
広角レンズだからただでさえ小さく写る…ということを差し引いてもホントに小さなワモンダコだから、さすがに正当防衛を主張するのはムツカシイ。
そこで、清く正しくカメラを向けることにした。
タコたちは緊張下におかれると目まぐるしく体色を変化させるので、その様子を動画で撮ったら面白そう。
そこで例によっていつものごとくコンデジを放置プレイにして、傍らからライトを当てて様子を観ていた。
目の前にナゾの物体(コンデジのこと)があるものだから、当初はかなり緊張していたワモンダコチビ、でもそのナゾの物体が何かしてくるわけではないということがわかると、だんだん好奇心がもたげてきたらしい。
ナゾの物体をサーチしたいけどアブナイかも…と逡巡しているのだろうか、足を伸ばしたいけど伸ばせない、ということを数回繰り返したあと、ついに意を決し、足を伸ばしてナゾの物体にタッチ!
さすがにこれでナゾの物体の正体が判明するはずはないけれど、ともかく危険がないことを確認し、己の勇気を誇るかのようにややドヤ顔で身を乗り出すワモンダコ・チビターレなのだった。
…というタコチェックの様子が↓こちら。
タコの寿命が実際の1~2年ではなく、もし80年くらいあれば、タコたちはとっくの昔に海中世界の覇者になっている…一部の海洋生物学者たちが言うくらい、タコたちの知能は高い(イルカ・クジラどころじゃないらしい)。
いつぞやのサッカーワールドカップで勝敗を占うタコまでいたけれど、そのようなタコの本分を超越した能力があるかどうかはさておき、知能が高いというのは過去の経験に照らし合わせてみてもナットクできるし、コンデジの正体を探ろうという好奇心の発露を見るだけでも、その知的探求心のほどが伺いしれる。
残念ながらニッポンの首相は同じタコでも「このタコッ!」だけど、実際のタコの知力に鑑みれば、その罵倒はかなりタコに失礼であることがよくわかるのだった。
2023年07月28日
終末のフルーツ。
2023年 7月27日(木) 曇りのち雨模様
南東の風 おだやかのち波あり 水温30度くらい(リーフ内)
台風5号に関していえば、この日が最も沖縄本島に影響を及ぼすこととなった。
そうはいっても先日の連休中ほどの時化っぷりにはならなかったけど。
日々の気象状況の変化が生活に直結する我々としては、このようなお天気情報が暮らしに密接に関わっているのだけれど、世界に目を転ずると、もはやそういった細々した気象状況を心配している場合ではなくなっていることに気づく。
邪魔になるだけなのにわざわざ被災地を訪ね、そこで初めて「激甚災害指定」をするような脳内エンプティ・マリオネットフミオあたりはいまだ気がついていないだろうけど、何年も前から当サイトが指摘しているように、地球が人類に優しかった時代はとっくの昔に終了しているのだ。
ところが、国内、世界のニュースをチラ見するだけでもほぼほぼ終末の様相を呈しているのに、女優とコックの不倫がまるで国の一大事のように騒ぎ立てるマスコミ&国民。
小惑星が3年後に地球に衝突する、といったわかりやすい事態にならなきゃ気がつかないのだろうか。
実際は3年後ほど急じゃないにしろ、10年以内に衝突確定というケースと同じくらいの「終末」感が漂っているんだけどなぁ…。
あ、気がついているけど知らないふりをしているだけか。
実際にホントに10年後に小惑星が地球に…なんて話になると、衝突前に早くも天地が引っくり返るほどの騒ぎになるんだろうけれど、そこで11年後も生きていられるよう遮二無二あがくのではなく、その残された10年を有意義に楽しくシアワセに暮らせるヒトでありたい。
という意味でも、すでにすっかり終末感が漂っている今こそ、日々のシアワセを求め、今日もさすらう……心だけ。
そんな日々のシアワセのなかでも、この夏のとっておきのシアワセがこちら。
あぁ~…ウッ!、マンゴー!!
夏の初めになるとJAのファーマーズマーケットに特大コーナーができるマンゴーは、オキナワを代表する果物だ。
でもご存知とおり高価な高価な果物だから、我々が口にできるのは年に1度あるかないか、それもヒトからいただいた場合のみ。
この夏、そんな唯一のケースが出来した。
なんとも奇特な方が、宮古島産マンゴーをドドンと贈ってきてくださったのだ。
一部お裾分けしつつ、たっぷりのマンゴーを味わうシアワセ…。
ひと切れを命のかぎり味わわねばならない場合と違い、たっぷり味わえるという余裕で美味しさ3倍増し。
ただでさえ美味しいマンゴーは、とてつもなく昇天級のスペシャルデザートになったのだった。
奇特な贈り主には心より感謝いたします。
ところで、今年はマンゴーにとって大事な季節に大雨その他異常なことが起こらなかったのか、県内での収穫は順調っぽいのだけど、極めて珍しいことに、水納島でもマンゴーがたわわに実った。
とある方のご実家には昔からマンゴーの木が植わっていて、もともと木自体はけっこう大きく育っていた。
でも花が咲いて実をつける大切な季節には特に手厚いケアを必要とする手のかかる果樹なので、放置プレイだとそうおいそれとは結実しない。
ところが今年はホントに気候条件がよかったのか、そんな庭で放置プレイ状態のマンゴーが見事に結実。
ありがたいことに、我々もおすそ分けをいただいた。
片手で持てば持ち重りがするくらいの立派なサイズの庭マンゴー、いただいてから数日経ってだんだん柔らかくなってきて、香りを周囲に放つようになってきている。
食べ頃まであとひと息だ。
庭マンゴーと売り物マンゴーで、大きな違いがあるのだろうか?
衝撃的マンゴーといえば、その昔ナイロビのフルーツ屋台で買った現地のマンゴー。
その夜ホテルのレストランでナイフを借りて食べようとしたところ、あまりの硬さにビックリ仰天したものだった。
はたして庭マンゴーは??
昔からマンゴーの主と顔馴染みということで庭マンゴーをお土産に頂戴している島内宿泊客の方々もいらっしゃるのだけれど、なかにはフルーツは好きだけど皮を剥くのが面倒くさいという、極めてレアケースなヒトもいる。
実は先週、そんなある意味奇特な方が、置き土産的に我が家に託してくださった。
その場で皮を剥いてお出しできればよかったのだけど、食べるにはまだまだ早すぎる状態だったから、持ち帰って家で召し上がれば…とおススメしたものの、なにしろ頑なに皮を剥くのがキライな方なので、結局置き土産とあいなった次第。
それから1週間ほど経った昨日には、限界ギリギリの熟れ熟れ状態になっていた。
さっそく実食。
オタマサが皮を剥いてみれば、ものの見事にマンゴー♪
この時点で、ナイロビのマンゴーとはまったく別物であることがわかった(写真を撮るのを忘れた…)。
で、そのお味は……?
激ウマッ!!
放置プレイで育ったマンゴーは、店で売られているものに勝るとも劣らぬ味だった。
熟した際に実から放たれる香りは売り物のほうが芳醇な気がするけれど、味はむしろ庭マンゴーのほうが濃厚かも…
…とはオタマサの弁。
とある宿泊客の方、皮を剥くのがキライでいてくださって感謝いたします。
ああ、これがさらにもう1個あるシアワセ……。
というわけで、本来なら年に一度あるかないかのハッピーマンゴータイムが、ひょんなことからこの先一生ないかもしれない怒涛の波状攻撃となった夏。
これをシアワセといわずになんと呼ぶ。
< 人類存亡の危機における話のレベルでいえば、女優とコックの不倫で騒いでいる方々と大して変わらないような気が…。
ま、「終末のフール」ならぬ「終末のフルーツ」ってことで。
2023年07月27日
ガンテンメギス。
2023年 7月26日(水) 晴れのち昼から時々スコール
南東の風 波あり 水温30度くらい(リーフ内)
遥か南海上を悠々と大陸へ向けて進んでいる台風5号の影響で、朝から南東の風が強めに吹いていたこの日。
昨日の段階で海水浴場の遊泳禁止が決定していたこともあって、連絡船は減便運航となり、8往復のうち、朝、昼、夕前の3往復となった。
もちろんのこと日帰りマリンレジャー業者さんも来ていないから、桟橋で風浪が遮られているビーチ側は、晴れているのにヒトッコヒトリーヌという、ビーチエントリーには最適の状況になっていた。
そこでオタマサは、カメラを携えてイソイソとビーチへ。
すると桟橋のコンクリート壁に、まめまめしい豆チョウの姿が。
撮影:オタマサ
ご存知チョウハンのチビターレ。
このような豆チョウハンはリーフの外ではまず観られず、リーフ内でも他のチョウチョウウオのチビチビのようにサンゴの枝間にいることがないので、オトナの数に比すれば意外なほどに、能動的にサーチしても出会う機会が少ない。
その点桟橋の岸壁沿いなら、例年だと梅雨時くらいから1~2匹姿を現してくれることが多いのだけど、今年はこれまでまだ1度も見かけていなかったから、本年初のチョウハン・チビターレだ。
オトナと出会う頻度的にはフツー種でありながら、ボートダイビングばかりしているとチビターレに会う機会はほとんどないチョウハンなのである。
出会う機会がほとんどないといえば、そのあとオタマサが出会ったこちらの魚はさらに(個人的に)レアだった。
撮影:オタマサ
海から戻ってきたオタマサが、記憶を頼りに図鑑を紐解きながら、「見慣れないメギスの仲間を見たんだけど、誰だろう?」と首を捻っていたこの魚。
フィルム時代じゃあるまいし、写真を撮ってきたのなら記憶と比較するのではなく、画像と図鑑を見比べればいいじゃん、グーグル先生がすぐに教えてくれるんだし…。
機器がどれほど便利になっていようとも、習慣は四半世紀前とまったく変わっていないオタマサのこと、グーグル先生で画像検索なんてことができるはずもないので、代行することにした。
というわけで上の画像を目にしたところ、なるほどたしかにこれまで目にしたことがないメギスもしくはニセスズメの仲間だ。
はたしてグーグル先生の結果やいかに?
…と思ったら、さしものグーグル先生のチカラも及ばず(ベラの仲間たちが真っ先に出てきた…)。
どう見てもメギスやニセスズメ系であることは間違いないから、そのあたりを重点的に探ってみることにした。
ところがこの特徴的な背ビレの斑紋を持つ画像がなかなか出てこない。
ひょっとしてレアもの?
桟橋脇のごくごく浅いところにいるくらいだから、まさかこれまで誰も知らなかった系ということはあるまい。
むしろそういうところにいるとなれば、案外誰もが知っている種類の誰もが知っているわけではない幼魚なのでは?
オタマサによると、サイズはクレナイニセスズメくらいだったというから、オトナサイズでせいぜいそれくらいのニセスズメの仲間たちは、この場合該当しないことになる。
誰もが知っているこの系統の魚で、オトナサイズがこれよりももっと大きい種類といえば…
メギス?
メギスに絞ってビンゴ!な画像を探ってみたところ、ようやく背ビレに斑紋を持つ画像が出てきた。
はたしてこの魚は、やはりメギスの幼魚~若魚だったのだ。
ちなみにリーフ内でもリーフエッジ下付近でもフツーに観られるメギスのオトナはこんな感じ。
この赤いボディのオトナ(メスはもっと深緑色)は見慣れていても、これまで幼魚にお目にかかったことはなかったなぁ…。
ところで今回ひょんなことからメギスを調べることになって、知らなきゃよかった新ジジツを知ってしまった。
一昨年くらいに、メギスのそっくりさんの「ガンテンメギス」なる種類が新たに加わっていたのだ。
なんでも前世紀半ばに一度新種として記載されたものの、それはメギスと同種であるとされてその後一度消え去ったものが、今世紀になって精査され、やっぱり別種でしたってことで再登場を果たしたそうな。
ではメギスとどこがどう違うの?
それは体側の点々模様の配置で見分けられるという。
メギスでは点々模様が体の真ん中ラインよりも上側に偏っているのに対し、ガンテンメギスでは体側全域に渡っているという。
それに従うと、これまでメギスと思っていた↓この魚も…
…ガンテンメギスということになる。
では、これまでメギスのメスだと信じてきた↓これは?
体側の赤い部分だけを見ると点々が上半分に偏っているように見えるけれど、その他の部分では体側全般に点々があるようだし、メスの特徴を記してある説明を読むかぎりでは、これはガンテンメギスのメスなのかも。
なんてことだ、昨年ようやくメギスのメスを撮ることができたと喜んでいたというのに、振り出しに戻ってしまったではないか。
というか先ほどの幼魚も、ホントに「メギス」ってことでいいんですかね??
2023年07月26日
コンタック600方式。
2023年 7月25日(火) 晴れ時々雨パラパラ
南東の風 波あり
強大な勢力となって遥か南海上を西進している台風5号は、沖縄本島地方に直接の影響を与えることなく、フィリピンの北端から大陸方面へ抜けようとしている。
この進路なら、とりあえず本島地方への直接の影響はなさそうだ。
とはいえ台風が強大だけに文字どおりの「余波」があるから、洋上は大きなうねりが見込まれる。
…ということを受け、海水浴場は早くもこの日の時点で、翌26日の遊泳禁止を決めた。
さすが台風、たとえ遠くにあってもただでは済まさない。
遠くにあってただでは済まさないだけではなく、まだ生まれてもいないのにえらいことをしてくれるのが台風。
5号しか注目していないと、そのあとすぐに誕生する6号にイタイ目に遭わされますから、御用心御用心。
…というか、6号のほうが相当ヤバそうなんですけど。
このままじゃ白化確定かと危惧されたサンゴたちにとってはひとまずの安心材料になるんだろうけど、ほぼ直撃となると5年ぶりくらいのことだから、不安材料のてんこ盛りだ…。
それはそうと、先週末からの絵に描いたような「7月のオキナワの海」となった4~5日間は、まさに嵐の前の静けさだったのだ。
そんな静けさに包まれた最後の日だった昨日は、久しぶりに遠出をして今年初めて訪れた場所で潜ってきた。
久しぶりだけにシビれる水深まで探訪しつつ、浅いところに戻ってきたら…
…デバデバキンギョヒーリング。
以前も紹介したような記憶がある同じ場所に、今年もまたデバデバのチビたちがたくさんいて、なおかつそこにキンギョハナダイがオレンジの彩りを添えていた。
デバデバとキンギョって、ありそうでなかなか無いでしょ?
このあたりの浅いところは、98年の大規模白化の際に一部のハナヤサイサンゴを残して一望焼け野原(?)状態になってしまったのだけど、あれから四半世紀経った今、見渡す限りの広範囲にサンゴたちが繁茂している。
テッポウエビ類を枝間に住まわせるタイプも多く、それらのサンゴが広範囲に広がっているものだから、テッポウエビ類が指パッチンで奏でるプチプチ音の量が半端ない。
このようなサンゴの平原部分が比較的狭い水納島の主要な砂地のポイントのリーフに比べれば、いったいなんじゃこりゃ?てなくらいの音量だ。
おまけに夏の水納島と違い、ボートやジェットスキーのエンジン音がひっきりなしに行き交うこともないから、純な「海の音」だけを楽しむことができる(自分の呼吸音はしますけれど…)。
シビれる深さで普段目にしないものをサーチするのもそれはそれで面白いけれど、今現在当たり前にある景色を体いっぱい味わえる浅いところもやっぱり面白い。
そんなサンゴの大平原には、ソフトコーラルもチョコチョコ育っていて、そこにお馴染みの貝がいた。
ご存知ウミウサギガイ。
慧眼なる皆様におかれてはすでにもうお気づきだろうけれど、このウミウサギガイ、産卵中だった。
ツトメを果たして干からびた無香空間(消臭剤)の粒々のような、丸い粒々が卵。
卵といってもこのひとつの粒から1匹のウミウサギガイがオギャーッと出てくるわけではなくて、ひとつの粒の中には小さな小さな卵がゴシャッと入っている。
ひとつひとつの粒は、いわば卵たちのカプセルなのだ。
肉眼ではまったくわからないけど、撮った画像を大きな画面で見れば、なるほど、ひとつのカプセルの中に顆粒が充満していそうな気配が…。
その後発生が進むと、カプセルの中身が重力によって偏ってくるそうで、その様子は球体にしたコンタック600のようになるという。
それはそれで観てみたい…。
ところで、多くの貝で観られるこのカプセル方式の卵から生まれるのは、オトナとは似ても似つかないベリジャー幼生という段階のものなのだそうな。
孵化後ベリジャー幼生は浮遊生活を送るから、何千何万という小さな貝がたちまちこのソフトコーラルに群がるわけではない。
もう1匹のウミウサギガイのそばには、随分前に孵化が終了しているように思われる卵の跡があった。
今頃幼生たちは、そこかしこに浮遊しているのだろうか。
ときおり口内を湿らせるために海水でグチュグチュする際、なにげにベリジャー幼生を口に含んでいたりして…。
2023年07月25日
熟成マスク。
2023年 7月24日(月) 晴れ一時スコール
南東の風 おだやかのち波あり 水温29度~30度
もう数日前のことになるのだけれど、ここのところずっと幅を利かせていた防砂ネットが、突如撤去されていた。
どういうことだろう…と不思議に思っていたら、先日紹介した「人生の迂回路」看板も片づけられていた。
そして昨日の朝、桟橋まで降りてみれば…
防砂ネットどころか、巨大なバックホウ船の姿が無い!
さらによく見ると、工事中を示す各種看板がすべて撤収されている。
はてさて、これはいったいどういうことだろう?
ひょっとして、ウミンチュの「マグロが死ぬ!」に匹敵するクレームが多数寄せられ、北部土木事務所はついに工事を断念したのだろうか。
…などとあり得ない期待を抱いていたところ、事情はまったく違った。
なんとその日の時点ではまだ沖縄本島から遥か南の海上にある台風5号対策として、早くも撤収作業を終えたというのだ。
そりゃ台風対策は早いに越したことはないとはいえ、こんなに早く対策していたら、8月に予想される台風ラッシュの間、1ミリも工事は進まないんじゃ??
事情通の船員キヨシさんに伺ったところ、なんでもバックホウやバージなど、作業台船の避難先は台風時にやたらと混み合うそうで、整然と避難できるよう入港(?)期限も設けられているという。
遅くなるとちゃんと避難できないこともあるから、各土建屋さんはとっとと撤収するものなのだそうな。
なるほどなぁ…。
というわけで、山と積まれたトン袋は景観的に鬱陶しいけれど、ベタ凪ぎ状況のなかで撤収してくれたおかげで、これまで脳内画像処理して存在しないことにしていたバックホウや各種重機がホントに消えた海岸は、やっと「夏」を取り戻した。
早朝から日中、そして夜まで連日騒音が続いていた間すっかり数を減らしていたアジサシたちも、「夏」が帰ってきたおかげで…
たちまち多数が復活。
狂気の沙汰「真夏の工事」が、いかに周辺に影響を与えていたか、よくわかる。
海にももちろん好影響が。
浚渫現場は野ざらし(?)で放置されているから、波が当たったり干満時の潮位差が激しかったりすると、白濁水はすぐに外に流れ出すものの、ベタ凪ぎでなおかつ満潮に向かっているタイミングだと、航路脇すぐそばでもこのとおり。
久しぶりにクリアになっていたリーフ上は、まったくの別世界に生まれ変わっていた。
そうだ、これが「夏」のオキナワの海なんだ!
…ということなど、公的環境テロ組織北部土木事務所が気にするはずもないけれど。
話は変わる。
昨日紹介した友人は石垣島在住(娘夫婦は本島在)で、職場は小浜島にある。
そんな環境なら、いつでもどこでも海三昧!
…と気楽に夢を見る多くの観光客とは違い、ゲンジツはなかなか厳しく、おうおうにして海とは縁遠くなるもの。
そのため彼は、水納島かどうかに限らず10年ぶりのダイビングだった。
自転車と同じで体は覚えているものだから、技術的にどうこうという心配はなくとも、後期中年という年齢に鑑みて、潜った途端に死んじゃうかも…
…という一抹の不安が(ワタシに)あった。
ところが案に相違して(?)、結局1本目は、まったくブランクを感じさせない往年の姿が戻っていた彼である。
ただ、マスクだけは持参してきたそのマスクはというと…
…本来クリアであるはずのシリコンが、すっかり琥珀色に。
そりゃ10年前の時点で10年以上経っていたのだもの、いくらその後使っていないといったって、劣化は進む一方だ。
ベテランダイバーの器材でちょくちょく見かけるとはいえ、ここまで「使い込んだ」感がある状態は初めてかも。
というか、硬すぎてマスクの中に水が入りまくりなんじゃないの?
「けっこう柔らかいよ」
…というマスクのシリコンを触ってみたらば
硬ッ!!
こんなマスクにもかかわらず、1本目はまったく問題なし。
さすが古き良き製品、シリコンの強度まで今とは違っているのか…
…と思いきや。
2本目では、エントリー直後にトラブル発生。
予備のマスクがあったからその後のダイビング自体は事なきを得たものの、琥珀色の熟成マスクはというと…
レンズのキワから外側まで、一気に切り裂きジャック。
無理なテンションがかかる場所でも何でもないのに、潜っている時に突如裂けてしまうだなんて…。
熟成マスク、おそらく1本目で最後のチカラを振り絞り、真っ白に燃え尽きていたのだろう。
学生時代には泳いでいる最中に脇にいる先輩からマスクを奪われるなんて訓練をしていた彼だけに、どうしようもないほど水が入ってきたからといってどうしようもなくなることはなかったのだけれど、これが「マスクに水が入ってきたら死んじゃうぅッ!」なんて方だったら…。、
ダイビング歴が長い方のなかには、このように古びた器材を使っている方がけっこういらっしゃり、たいていの場合「まだ使えるから」とおっしゃる。
そんな皆様に、この機会にひとこと御忠告を。
みなさま、こういうことがいつ起こってもおかしくないのですから、早めに買い替えておいたほうが吉でございます。
そうそう、こんなマスクを使っていたとはいえ、彼が潜った1本目は、リーフ際はともかくとして沖はなかなか爽快クリア状態だった。
最近ワタシがテンション高めに騒いでいる「7月の海」だったのだ。
ところが20世紀末のスペシャルクオリティの水納島の海が記憶に残っている彼にしてみれば、モヤッ…として見えたという。
今望みうる最高レベルのクリア状態でも、往時のレベルの足元にも及ばなくなっているオキナワの海。
北部土木事務所をはじめとする公的環境テロ組織の破壊活動は、着実に結果を残し続けているのである。
2023年07月24日
セカンドチャレンジ。
2023年 7月23日(日) 晴れ
南西の風 おだやか 水温29度~30度
朋アリ、遠方ヨリ来タル。
以後の写真すべて撮影:ママ
…孫を連れて。
十年一日生活を長く続けてはいても、幕内力士が全員自分より年下だったり、今年は違うけれどセ・リーグの監督が全員自分より年下だったり、教頭先生や校長先生が自分と同年代であったりすることにふと気づくことがある。
そういう場合はおのずと自らの加齢を思い知らされるものだけど、学生時代の友人が孫とともにやって来るというのも、そこにたしかな時の流れがあることをしみじみ実感させられる。
時の流れといえば、5月にも島にやってきた孫のハル君。
誰に抱っこされてもイヤがることなくぐずることもなく、泰然自若ベビーの彼ながら、前回来島時に乗せられたガメ公の背中では、全身全霊で拒絶をアピールしていたものだった。
それから2ヶ月ちょい経って、セカンドチャレンジははたして?
ガメ公の柵に近づくだけで、ギュッと手を握りしめ、やや足を踏ん張るハル君、幼心にも、記憶の片隅にちゃんと初体験時の衝撃が残っているに違いない。
それがさらに倍増され、ガメ公はトラウマ化するほどの激拒否クリーチャーになってしまうのか?
いささか緊張が走る中、パパがそぉっとハル君をカメの背中に載せてみると、ずっと周囲の注目を集めていることを知ってか知らずか…
おお、まさかのドヤ顔!
カメの背中に仁王立ちしてこの余裕の表情、載せられる前から絶叫拒否していた2ヶ月前とは大違い。
たった2ヶ月で、巨大カメの恐怖を克服したハル君なのだった。
男子、三日会わざれば刮目して見よ。
刮目してはいないけど、じぃじが満足そうにニコニコとその様子を眺めていたのはいうまでもない。
2023年07月23日
なんとかする魚たち。
2023年 7月22日(土) 晴れ時々スコール
南東のち南西の風 おだやか 水温29度
アフターコロナでレンタカーだらけの本島道路事情にはつくづく閉口するところなんだけど、これまたアフターコロナでこの夏はどこもかしこもお祭りだらけ。
与那原の大綱引きとか糸満ハーレーなど、沖縄ブームとは関係なく昔からある伝統のお祭りならともかく、客が来ることに目を付けて、取って付けたようなお祭りも数多い。
本部海洋祭りもそのひとつで、何もせずにただ黙ってジッとしているだけでも大勢のお客さんが来る夏休み初っ端に開催される。
まぁそれで地元のみなさんも多少楽しく経済的にも潤うのであれば、ワタシが文句を言う筋合いのものではないのは重々承知してはいても、基本的に本部町役場ってスカポンタンだから、会場の設置=本部町で管理している場所となると、なんとなんと、渡久地港の連絡船待合所の駐車場の半分を一般利用禁止にし、ドデンとテントを設置してしまうのだ。
ただでさえ午前中のうちに満車になるこの真夏の超繁忙期に、駐車場を半分使えなくするお祭り。
そういえば昔は祭りのクライマックスに渡久地港の北岸から花火を打ち上げていて、船揚げ場に揚げてあるボートをどかしてくれ、なんて話もあったっけ。
当方は台風避難のためにボートを上架していて、連絡船の運航が回復するまで島から出られないものだから、動かしてくれといわれてもどうすることもできない(祭り初日に連絡船が復旧し、なんとか下ろすことができたけど)。
その後花火は別の場所で打ち上げることになったようだけど、そもそも会場自体をすべて別の場所にしてくれればいいのに…。
水納海運にとっても、島にお越しになる多くのお客さんにとっても、そのお客さんを待つ島民にとっても、ただただ迷惑でしかない本部海洋祭りなのだった(※個人の感想です)。
さてさて、そんなスカポンタン祭りとは関係なく、この日も海はゴキゲンだった。
ハマクマノミ夫婦も、視界良好で気分爽快てなところ。
普段は寂し気にポツンと育っているだけに見えるサンゴも、なんだか街中のオブジェのような存在感になっていた。
浚渫工事由来の白濁を除くこのところのグッドコンディションが好影響を与えているのだろうか、先日来紹介しているハンディキャップ・オウゴンニジギンポは、さらに1週間経って…
撮影:オタマサ
…さらに尾ビレの再生が進んでいた。
オウゴンニジギンポといえば、その行動範囲はそれほど広くなさそうなイメージがあったんだけど、このハンディキャッパーが観られる範囲はけっこう広く、オタマサによると、この日は当初の遭遇地点から20~30メートル離れた場所で見られたそうな。
遊泳力に限界があるために、激しい潮流に抗えず流されてしまったのか、それとも能動的に居場所を変えているのか。
能動的なのだとしたら、なんという運動能力!
それにしても、あれほど欠損していても、ここまで再生するなんて。
「ホントに同一個体なの?」
という声もあるかもしれないけれど、オウゴンニジギンポは、目を通る黒い帯模様の形が個体ごとに異なるので…
…そこに注目すると、
先月初遭遇時の傷痕も痛々しかった子と、今月になって再生中の子が同じ個体であることがわかるのだ。
この調子なら、あと数か月もすればすっかり元どおりになるのかも。
傷を自ら癒す力以外にも、このようなトカゲのしっぽ級の再生能力が備わっているとは。
生きてりゃなんとかなる、と口で言うのは簡単だけど、彼ら魚たちはホントになんとかするのだなぁ…。
2023年07月22日
ヤマトナデシコ七変化。
2023年 7月21日(金) 晴れ
南西の風 ベタ凪ぎのちおだやか 水温29度
今日も絵に描いたような「7月」の海!
…浚渫工事の影響圏外だったら。
日中は連絡船の運航のために作業ができないため、夕刻から夜間、そして夜明け前から早朝にやっているものだから、朝バージが港外で出て行く際に砂防ネットが解放されるためか、航路の両サイドはとんでもなく白濁している。
これさえなければ、パーフェクトな海なのになぁ…。
ちなみに最近耳にしたところによると、どうやらこの浚渫工事は、先日ワタシが愚考していたように、渡久地港の浚渫がポシャッたために浮いた予算で急遽決まったものなのだそうな。
「マグロが死ぬ!」という漁協の駄々にはヒトコトも返せずに、誰も文句を言わない水納島でやっちゃえ!的な、とてつもない場当たり事業なのである。
すなわち、港大改修工事の工期&工程的に、ほとんど意味をなさない「なんちゃって浚渫工事」。
これを真夏にやってしまう北部土木事務所はもはや、反社会的環境テロ組織といっていいだろう。
そんな環境テロ行政に負けず、海は今日も元気だった。
沖に向かって長く伸びるそれぞれの根には各種スズメダイたちが群れ集い…
その根は遠くまで見渡しても輪郭がクッキリ!
往時を彷彿させる夏の海だ。
思い起こせばこの透明度(透視度)が恒常的に失われてしまったのは、2000年の沖縄サミット前後から始まった狂気の開発ラッシュに起因する。
すなわち国や沖縄県、その他県内各市町村がやってきたことというのは、ようするに公的大規模環境テロ活動だったのである。
お隣の大陸や半島国やロシアなど「仮想敵」が実際に及ぼした被害よりも遥かに激しく深刻なダメージを日本に与えているのは、ほかならぬニッポン自身なのである。
明智光秀風にいうなら、
「敵はニッポンにあり!」
…ってところだろう。
ま、もちろんそれは、「自然環境」を最優先事項とする一元的なモノの見方ではありますが…。
さてさて、そんな昔懐かしい夏のオキナワの海、たただたプカーッと中層に浮かんで漂っているだけで気持ちいいことこのうえないところ、どういうわけだかチマチマしたものにとらわれてしまった。
それは…ナデシコジャパンことナデシコカクレエビ。
遥か遠くまで見渡せるのが当たり前だった当時にはまだ和名がついていなかったエビちゃんで、よく観るとけっこうケバケバハデハデ系なんだけれどもついた和名は撫子。
ナデシコとくればどうしてもジャパンと続けてしまうので、いつしかこのエビのことをナデシコジャパンと紹介するようになってしまっているワタシである。
ただしこのナデシコジャパン、主分布域はもっと南洋なのか、近縁のアカホシカクレエビがもっと水温が低い季節のほうがよく観られるのとは逆に、夏に出現頻度が高くなる(気がする)。
それでもひとつのサンゴ群体に2~3匹くらいが関の山なんだけど、年によってはウジャ…となることもある。
この日潜ったところには毎年チェックしているナデシコジャパン専用サンゴ群体があって、今年もまだ水温が低い時期からチラ…ホラ…と姿が見えていた。
それがすっかり夏になった今…
…ウジャウジャナデシコ。
小さな画面だとわかりづらいとは思うけれど、小さなサンゴ群体の表面に、10匹以上のナデシコカクレエビが。
おそらくこれは、過去最多と思われる。
ついに水納島あたりも、彼らの主分布域に近い高水温になってきたってことなのだろうか?
ところで、画像だとジッとしているように見えるこれらのカクレエビたちだけど、実際に観てみるといつも腰をフリフリしているし、なにげにチョコマカとハサミ脚を動かしていたり、シュルルルル…と居場所を変えたりしている。
1匹に注目してその様子を。
七変化する大和撫子ほどではないにしろ、けっこう動きのあるナデシコカクレエビなのだった。
2023年07月21日
Hill Valley Jr.。
2023年 7月20日(木) 晴れ
南西の風 おだやか
とうとう南西の風が「ソヨ…」と吹くだけとなったこの日は、連絡船の夏休み増便態勢の始まり。
1日8往復となって、狂ったように日帰り客が押し寄せることだろう…
…と思いきや、まだ世間は夏休みではないからか、それほどの入りではなかったようだ。
ようだ…というのは、朝イチ便が到着する前にもう我々は島を出ていたから。
試練の日々を終え、羽を伸ばしに本島へ。
このところ紹介しているゆいゆい国頭のフードコートのカレー屋さんを実際に訪れた方から、「美味しかった♪」という旨のメールをいただいていたばかりだったので、心は早くもスパイシーカレー。
名護のメイクマンで買い物を済ませたあと、一路ゆいゆい国頭まで北上を開始した。
地図で見ると距離は遠いけれど、名護以南の国道と違って信号がほとんどないし交通量もそれほどでもないから、距離から想像するほど時間はかからないやんばる路のこと、11時前に到着すると、カレー屋さん「ソウスイ」のシャッターは閉じられたままだった。
ん?
あ、開店は11時からか!
…と安心したのも束の間、開店時刻表記の下には「毎週木曜定休」の文字が。
月曜&木曜はかなりの危険日ということは承知していたので、やっぱりね…という程度のショックで済んだ。
こういう場合、行こうと思い立った時点でスマホで調べればすぐさま定休日であることがわかるんだろうけど、この程度のことで入念リサーチをする暮らしなんて、かなりつまんないでしょう、実際。
とはいえやんばる路もここまでくると、テラス席で食事ができるという縛りを加えれば次善の策がまったくない。
フードコートの他店も食事系のお店のシャッターは閉じられたままだったから、仕方なく本館(?)のほうに足を向けてみた。
そういえば本館の片隅に、ハンバーガー屋さんがあったような記憶が…。
あった。
このままでは空腹のあまり倒れていたかもしれない我々を救ってくれたのは、アメリカンスタイルのハンバーガー屋さん、「Hill Valley Jr.(ヒルバレージュニア)」。
創業は2002年というから、今年25周年を迎えたゆいゆい国頭ができてしばらく後に誕生したらしい。
屋号の「Hill Valley」というのは、ひょっとしてブリジストンと同じく、創業者が岡谷さんもしくは谷岡さんとおっしゃるとか?
こちらも11時からオープンということだったけれど、厨房にいたおねーさんに尋ねてみたら、10分前にもかかわらずオーダーを取ってくれた。
数ある魅惑的メニューのなかから小食のオタマサが選んだのは…
アグーのスパイシーソーセージドッグ。
これだと肝心のソーセージが見えないけれど、セルフトッピングシステムで出てくる姿はこんな感じ。
これにあと200円だか230円だかを足すと、ソーセージ2本の豪華版になる。
ちなみに似たようなアグーソーセージは、我那覇ミートでは5本入りで770円もする高級ソーセージ。
それを1本たった200円そこそこで追いソーセージできるなんて。
一方、数あるバーガーメニューのなかからワタシがチョイスしたのは…
A1ソースバーガー。
A1ソースとは、ご存知のとおり沖縄のステーキ屋では欠かせないエキゾチックテイストのソース。
学生時代にジャッキーで初めて味を知った際は何かの冗談か?と思ったものだけど、ルートビアと一緒で回数を重ねるほどに慣れてくる不思議なソース。
まさかそれが大英帝国産だなんて、知ったのは卒業してからのことで、長い間ずっとアメリカンソースだと信じていたワタシ。
でも沖縄ではまるで沖縄産のように当たり前にあるA1ソース、しかしそれをハンバーガーの味にするということを、これまで誰も考えなかったらしく、ありそうでなかったA1ソースバーガー。
袋を開けてみると…
「インスタ映え?それ何語??」的な潔さが素晴らしい。
インスタ映え狙いで手間暇かけて、それが値段に反映されてしまう超高級ハンバーガーよりも、お求めやすい価格で味わえるほうがありがたい。
肝心のお味は……
オーダーを受けてから焼いてくれるパティは、先日食べたモスバーガーの「とびきりナントカ」くらいの巨大サイズ。
サイズは同じでも、その味は…
10倍増し!!
いやはや…美味いや、この挽肉♪
ファーストコンタクト時は不思議的テイストだったA1ソースも、意外なほどにぴったりマッチング。
このパティだったら、ベーコンチーズバーガーも相当いけそうだ。
豚肉を召し上がれない方々を慮ってのことか、合い挽きと牛肉100パーセントをチョイスできるメニューがズラリと並んでいる一方、すでに名物になっているらしい「ヒージャーバーガー」なるものまでラインナップしていた。
スパイシーカレー&シュークリームだけがゆいゆい国頭での目的だったところに、新たに加わった素敵なハンバーガー屋さん。
それもこれも、定休日かどうかを事前にチェックしなかったからこそ。
リスク回避の安定ライフ志向では、こういう新たな出会いは生まれないのである。
いや、けっして負け惜しみではなく…。
2023年07月20日
雑魚魂。
2023年 7月19日(水) 晴れ
南の風 少し波あり 水温28度~29度
昨日はこの夏最大の試練を乗り越え、豆腐脳が弛緩状態だったために、書くのをうっかり忘れてしまったことがひとつ。
このところ浚渫工事の白濁レポートをしてはいるけれど、その白濁を避けて遠いところで潜った昨日は、往年の水納島の海を彷彿させるスペシャルクリアブルー!
山脈のように長く伸びる根の輪郭が、遠くまでクッキリ。
かつてはこれが当たり前だったというのに、今では涙が出そうになるほどにスペシャル懐かしい…。
この透視度なら、たとえ30メートル先にマンタが通りかかろうとも、余裕で確認できること請け合い(あいにくマンタは出なかったけれど、マダラトビエイには会えた)。
さすが7月の海。
そもそも7月のこの時期こそが、本来なら連日ベストコンディションの季節なのだ。
台風やら長引く梅雨やらで近年はなかなか味わえなかった「7月の海」を、久しぶりに堪能することができたのだった。
最初で最後かもしれないけど。
で、本日は。
うみまーるのカレンダーの小さいシリーズの7月の写真は、デバスズメダイの群れをバックに、ネッタイスズメダイが主役になって彩りを添えている。
ネッタイスズメダイはミドリイシ類のサンゴを住処にしているので、サンゴが健全なリーフエッジ付近でごくごくフツーに会える魚だ。
ところが先月、ごくごくフツーに会えるスズメダイなのに、全然フツーじゃないネッタイスズメダイに出会った。
尾ビレの付け根…というか、もっと大元から先がスッポリ欠損してしまっている。
欠損部分の傷痕はまだ生々しく、見るからに痛々しい。
いわば背骨が途中から切断された状態にもかかわらず、それでも他のネッタイスズメダイと同じようにサンゴ周辺を泳いでいた。
死ぬまで全力で生き通す魚たちとはいえ、この痛手では先は長くあるまい…
…と思いきや。
それからひと月以上経ったこの日、まったく同じ場所で…
…健在。
生々しかった傷痕はすっかり癒え、ただヘンテコな形というだけになって、同僚(?)と一緒にサンゴの上でエサをパクついていた。
なんという治癒力。
運動機能にハンディがある分、他のネッタイスズメダイに比べると警戒心はいっそう強く、サンゴの下に避難するタイミングが2テンポくらい早いけれど、こんな目に遭っていればそれも当然。
このような姿をご覧になって、推進機関上最も大切な尾ビレを失った状態で泳げるものなのだろうか?と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれない。
でも観ていると、案外フツーにスイスイ泳いでました。
この先もハンディキャップネッタイスズメダイにとってはけっして平坦な道ではないだろうけれど、この調子ならけっこう長生きできるかも。
それにしても魚たちって逞しい…。
これらの小魚を「雑魚」とはこれっぽっちも思わないけれど、古くは鈴木啓示、近年では上原浩治の精神をそれぞれ「草魂」、「雑草魂」というのであれば、魚たちの生きるチカラはまさに「雑魚魂」。
毎度のことながら、魚たちの「不屈の魂」に感服させられたのだった。
2023年07月19日
まさかの主客転倒。
2023年 7月18日(火) 晴れ
南の風 波あり 水温28度~29度
ようやくスコールの心配をする必要がないお天気に。
連絡船は通常運航となり、日帰り海水浴客や日帰り業者さんたちもやってきて、ビーチは再び「夏」の姿を取り戻した。
…3連休中はなんの作業もしていなかった浚渫工事も。
作業が再開されたといっても、いったいなにをやってんだかサッパリわからないんだけど、とにかくタグボートが数隻やってきては何かやっている。
その際タグボートが吐き出す大量の排ガスが、南風に乗ってビーチ方面に……。
いやホント、真夏に浚渫工事だなんて、何度も言うけど正気の沙汰ではない。
そういえばその昔、話の全てがウソ八百だったことが後年明らかになった北部土木事務所の住民説明会において、説明用の冊子が配られたのだけど、その冊子のタイトルはというと
「安心・安全なくらしと国際リゾート地の形成を支える水納港のあり方について」
真夏に海をメチャクチャにしながら大規模な浚渫工事を海水浴場のすぐそばで実施することが、北部土木事務所の言う「国際リゾート地」だったとは恐れ入る。
さてその国際リゾート地では、タグボートが浚渫区域内から出入りする際には、いまひとつ意味不明な砂防ネットを開放しなければならず、朝それをやっていたものだから、砂防ネット内の白濁水はあらかた外に流れ出ていた。
航路から出て行った白濁水は、南風&潮流の影響で西側へと流れ、西側のリーフ上は干潮時までずっと白濁。
常時流出しているわけではないようながら、潮流も風もさほどではない場合は、ジワワワ…と全体的にリーフの外に出て行くのだろう。
この夏以降の各業者さんたちは、白濁箇所を避けながらの非情に面倒くさいポイント選択を迫られることになる。
沖縄県土木建築部北部土木事務所におかれては、「水納港のあり方について」を住民に説明する前に、「観光地における工事のあり方について」というテーマで、「公共」工事のなんたるかを一からお勉強し直してもらいたいところである。
リーフ周辺は白濁汚染水にさらされていても、海中はまずまずの透明度。
ただしそれを支えているのは、強い強い流れだった。
そんな流れがたくさんエサを運んでくるためか、デバ(アオバ)スズメダイがフィーバーしていた。
フィーバーしすぎて、どう撮ってもまとまりのない写真にしかならない…。
たくさんいつつ整然と群れているように撮れないものか…とあれこれ試行錯誤していたところ、こういう場所にそぐわない…というか、フツーこういうところに居ないでしょ?的魚が現れた。
ツユベラのオトナだ。
それも、オスメス2匹で。
ツユベラは海底の石の下などに潜む小動物が好物だから、デバデバたちに襲い掛かるということはない。
とはいえ、このサイズの魚が来たら、デバデバたちは避けるから、サンゴの上を泳ぐと、デバデバの群れが偏ったり、サンゴの枝間に隠れてしまう。
フィーバー中の群れを撮りたいワタシとしては、ツユベラには一刻も早く退散していただきたいところ。
ところがそんなワタシのココロなど知る由もないツユベラは、サンゴのキワの小石の下に執着し始めてしまった。
魚との距離がけっこうあるように見えても、広角のレンズだから実はカメラの目と鼻の先。
こんな至近距離でツユベラのオトナが逃げも隠れもしないなんて…。
ひょっとしてこのカップル、餌付いているのかな。
ツユベラが餌付くのかどうかは知らないけれど、魚にエサを与えるダイバーの傍をうろついていれば、海底の死サンゴ石を転がしてくれるからうまい具合にエサにありつける…ということを学んでいるのかもしれない。
余談ながら、餌付けなんて遠い遠い過去の遺物と思っていたら、どうもこのところ、新規参入業者なのか乗り合いで来ている他所の業者なのか、やたらと餌付けをしているフシが見られるようになってしまった。
体験ダイビングであれファンダイビングであれ、ゲストに餌付けで時間を費やしてもらうというのは、それはすなわちそのショップやスタッフの無能を意味するとともに、ゲストの知能をそうとう見下していると思っていい。
ノーインテリジェンスのアンチエコ、それが餌付けダイビング。
海の中で餌付けをすることの是非を今さらクドクド述べるつもりはないけれど、その行為は真夏に浚渫工事を企図する北部土木事務所と同レベルの民度の低さと言っていい。
さてさてその邪魔なツユベラ、物怖じしないからカメラを向けても逃げないことがわかってきた。
リーフ際で低民度ダイバーによって餌付けられてしまっているクロスズメダイのオトナと違い、そのボディはけっこう美しい。
そうこうするうちに、いつの間にかツユベラが主役になってしまった。
こうなると、先ほどまで主役だったはずのデバデバたちは、完全にスクールメイツのポジションに。
まさかの主客転倒、撮っている本人もビックリ魂消たモンザエモン。
とまぁのんきにツユベラの写真など撮っていても、それで何がどうなるというものでもない……
…のだけれど、こうしてアップしておくと、思わぬところで需要が生まれたりする。
先日はEテレでやっているさかなクンの番組制作スタッフさんから、当サイトお魚コーナーで掲載しているクロシマゴチの眼のアップ画像を使用したいという旨の連絡があって、当店既定の料金にて商談成立、14日に放送された(らしい)。
またそれとは別に、TBSの「アイ・アム・冒険少年」という番組制作スタッフさんは、「カスリイシモチ」の画像を使いたいというので、これまた商談成立。
これは今月24日に放送されるそうな。
使用条件として、料金のほかに「海と島の雑貨屋さん」のクレジット表記をお願いしているので、ホントに表記されているかどうか、ヒマな方はご確認ください。
実際に番組内で画像が出てくるのかどうかはワタシには不明ながら、クロシマゴチやカスリイシモチなど多くのダイバーにとって脇役中の脇役たちが、揃って多少のお小遣い(ホントに些少ですが)になっているのだ。
ツユベラも、バカにしたものではありますまい?
2023年07月18日
南海の大決戦。
2023年 7月17日(月) 晴れたり降ったり
南東のち南の風 かなり波あり 水温28度~29度
さらにパワーアップした南東寄りの強い風。
前日からそれは覚悟のうえだったものの、朝イチ便の時間帯なら行けるだろう…
…ということで、連絡船はこの日の朝イチ便のみの運航を宿泊客をはじめとするみなさんに伝えていた。
ところが一夜明けてみれば、予報も実際の海況も格段にパワーアップ。
連絡船としては、朝イチ便を確約するんじゃなかった…と後悔しきりだったことだろう。
今後同様のケースがあれば、おそらくシブイ結論になること必至。
それはともかく、ビーチは遊泳禁止、おまけに朝イチ便のみだから日帰り客の姿もなしとなれば、晴れ渡る空の下、ビーチは今日もヒトッコヒトリーヌ。
やっぱ小さな離島の海辺はこうでなくっちゃ。
アフターコロナとなってインバウンドも復活し、もう2度と味わえないと思っていた真夏のヒトッコヒトリーヌビーチを再び眺めることができるなんて。
連休の時化時化、グッジョブ。
一方この連休を迎えるに際し、この夏最大の試練に直面していた我々だった。
2ヶ月前からこの日々のことを考えただけで胃が痛くなるほどの絶大試練、ついにその日々を迎え、この日ようやく終了した。
真っ白に燃え尽きた体が、青コーナーの椅子に座っている…。
よりによって連休に時化時化は実に困った状況ではあったものの、考えようによっては「試練」が実にのんびりムードになったこともたしか。
終わってみれば、時化のおかげってこともあったかもしれないことを考え合わせると、まさに人間万事塞翁が馬ってところか。
ところでこの季節の「試練」といえば、昔なら↓こういうケースだったけれど…
…はたして今の試練とは?
それはヒミツです。
ところで、いよいよ夏本番になった海中では、今夏もまたゴマモンガラが狂暴化し始めている。
昨年一昨年は夏場の水温上昇が遅かったこともあって、ゴマモンガラの気分があまり盛り上がっていなかったのか、それ以前にとてつもなく狂暴化していた様子がほとんど見られなくなっていた。
世代が変わり、再びダイバーをある程度警戒するようになっているのかな…と安心していたところ、今夏のいつも以上の水温上昇により、卵を守っているゴマモンガラもそうとうイライラが募っているらしい。
これはあくまでも「聞いた話」ながら、あり得ないほどの遠い距離から猛然とダイバーに襲い掛かり、ファーストコンタクトで頭に牙を向けるほどに狂暴化しているという。
なかには額の生え際を噛みつかれ、多量の出血を伴う裂傷を負った方や、マスクのラバー越しに攻撃を受け、マスクは裂けて額にも傷を負った女性もいらっしゃるとか。
随分昔に狂暴化著しくなった頃には、スノーケリング業者のスタッフさんが本気で頭部を噛まれ、病院送りになったことがあるほどだから、このままではこの夏被害者続出ということになるかもしれない。
卵を守るゴマモンママのキモチもわかるけれど、ウカツに近寄ってしまって襲われるのならともかく、充分距離をおいて近寄らないようにしても向こうから襲ってくるとなれば、このままでは罪のないお客さんたちがアブナイ。
そんな「夏の危機」に、ついに立ち上がった男がいた。
だからといってご法度の飛び道具を携えたり、化学兵器で勝負したりなどという姑息な手段ではまったくなく、指示棒1本片手に、
「かかってこいや!」
ほぼ身ひとつで勝負を挑んだところ、10メートル彼方から猛然と襲い掛かってきたゴマモンガラ。
これは完全に返り討ちに遭うのでは…と誰もが固唾をのんで見守っていたところ(誰も助けにはいかなかったという…)……
…スリーコンタクト目で渾身の指示棒付き右フックが炸裂!
真正面から襲い掛かってこられた場合、フツーのヒトは本能的にまずその口や顔を避けようとするところ、まさかの右フック。
あ、もう一度言いますけどこれは「聞いた話」で、写真は「お借りしたもの」であって、当方はまったく関知しておりませんから。
似非ヒュマーニズム全盛のダイバー社会においては、こんな画像を見るとたちまち眉を顰める方々ばかりだろうけれど、ただ住宅に現れただけで撃ち殺されるクマに比べれば、遥かに危険な狂暴化ゴマモンガラ。
「被害者続出」が未然に防がれたということに鑑みれば、平和な海のままでいていただくための尊い犠牲と諦めてもらうほかない。
南海の大決戦にて惜しくも敗れたゴマモンガラは、その後丁重に葬られたという…(聞いた話です)。
ちなみにその様子を逐一目撃されていた同行者のみなさんによると、激狂暴化ゴマモンガラよりも、彼のほうが遥かに「狂暴」に見えたそうな…。
それにしても、指示棒1本で解決とは。
かつて当店において、激狂暴化ゴマモンガラ対策として、勇者の盾、投網大作戦、大物ゲット用アブソリュート、かっ飛ばせ男岩鬼作戦などなど、数々の策を弄しつつも、結局笑いを取る以外なんの成果も出せなかったチーム・タオのおふたりっていったい……。
2023年07月17日
大言壮語。
2023年 7月16日(日) 晴れ夕方強雨
南東の風 けっこう波あり 水温28度~29度
夕方に強い雨の時間帯があったものの、日中はおおむねいいお天気に。
ただしおりからの強い南風で、洋上は白いウサギさんがカリブーの大移動状態になっていた。
南東の風だけに、さすがにこれでは連絡船は全便欠航か…
…と思いきや、まさかまさかの通常運航。
もっとも、前日からビーチはこの日の遊泳禁止を決めており、各日帰り業者さんたちもツアーを中止にしていたため、せっかくの通常運航にもかかわらず、訪れるヒトの姿も疎らだった。
おかげで!
台風でもなんでもないのに、真夏のヒトッコヒトリーヌビーチが復活!
コロナ禍中以来の風景は、なんとも心和むものとなった。
…東側の浚渫工事区域を見さえしなければ(以下の写真は翌朝撮影)。
やはり土日や祝日はお休みらしく、この連休は1ミリも稼働していない各重機。
しかし浚渫区域に張り巡らされた砂防ネットは、なぜだか半開放状態になっていて…
…白濁水を惜しげもなく砂防ネット外に吐き出し続ける。
砂防ネットは故意に開放するように設置されているのか、それとも敷設作業が杜撰すぎてちょっとした風で動いてしまっているだけなのか、いずれにせよ「砂防」の意味をまったくなしていないのは明らかだ。
「浚渫作業中も、砂防ネットで囲むので浚渫区域外は濁りません」
「毎回濁り度合いを計測して、数値が規定値を超えたら作業を中断します」
などと沖縄県土木建築部北部土木事務所都市港湾班は住民説明会にて大見得を切っていたけれど、作業していなくても濁ってんじゃん。
現場なんて、えてしてこんなものであることは誰もが知っている。
行政の頭のほうでどれほど机上の計画を立てようとも、現場には現場の都合と事情と能力の限界があって、机上の計画どおりにはけっしていかない。
できもしないことを大見得を切って大袈裟に言う、それが行政。
白濁水が浚渫区域からどんどん流れ出している様子を見るにつけ、マイナカードをめぐるトラブルがあちこちで発生するのもむべなるかな…と思えるのだった。
2023年07月16日
来るか?次のチャンス。
2023年 7月15日(土) 晴れ時々スコール
南東の風 けっこう波あり 水温28度~29度
爽快な晴天!
…かと思いきや、にわかに雲が広がってスコール。
まるで台風接近前のように、それが何度も繰り返されるお天気の1日だった。
窓を開けたままにしていたり、洗濯物を干していた方々は、きっとえらい目に逢われたことだろう。
一方雨に祟られることはない海中はなかなか爽快で、水温もすっかり高くなっているから、完全無欠のストレスフリー。
ただしダイバーにはストレスフリーでも、早くも高水温にさらされ始めているサンゴたちには大いにストレスになるらしく、岩場のポイントに多いハマサンゴには、色が薄くなり始めているものも出てきた。
夏場に色が薄くなるのは近年では当たり前になっているとはいえ、7月半ばでそうなってしまうのはいささか早い気がする。
これでひと夏もつのだろうか?
このあと発生するっぽい台風も太平洋高気圧に蹴飛ばされてフィリピン方面へ行っちゃうみたいだし、ワタシがこのところ冗談ぽく言っている白化シナリオがいよいよ現実味を帯びてきた。
リーフのサンゴが↓こうなる日も近い?
ちなみにこれは2016年の中規模白化のことで、9月の初旬に島の南側のリーフ上のサンゴたちがことごとくパステルカラーになってしまったときのもの。
実はこのときには死んでしまって藻が生え始めているものもチラホラ出てきているんだけど、これよりも数日前が完全無欠のパステルカラー状態だった。
その限られた期間の(サンゴには申し訳ないけど)美しい様子を撮っておきたかったのはやまやまながら、当時はゲストのご予約が立て続いていて、ゆっくり写真を撮っている時間がまったくなかった。
やっと撮れると思ったら、もう藻が…。
そのチャンス、次回は逃すまじ。
いや、そんなチャンスなど訪れないに越したことはないんですけどね、ええ…。
2023年07月15日
煌めく裏社会。
2023年 7月14日(金) 晴れ一瞬スコール
南東の風 波あり 水温28度~29度
暦の上では夏場唯一の3連休が目前に迫っている。
聞くところによると、15日には海洋博公園の花火大会があるそうな。
アフターコロナで久しぶりの開催、さぞかし大勢の人々で賑わうことだろう。
その一方で、遠くフィリピン付近に台風が発生しようとしている。
台風になった後もその進路はどんどん西に向かっていくようだから、沖縄方面への台風の直接の影響はなさそうだ。
ところが、沖縄地方は台風と高気圧に挟まれる形になるために、合わせ技でけっこう強風が吹く予報になっている。
おまけにその風は台風の大外の湿った空気を運び込んでくるものだから、連休中はちょっとした台風並みのお天気になってしまいそうだ。
南東の強風だとただでさえ微妙な連絡船の運航だというのに、浚渫工事のために鎮座しているバックホウで泊地内の利用域が制限されているものだから、こりゃ連休中の欠航はほぼ確定だ。
3連休の大半が欠航、それも浚渫工事の影響で…。
まったくもって笑うほかない。
さて、この日もすでに南東の風が強めに吹いてはいたものの、水納島近辺で潜るぶんには支障はないので海へ。
するとオタマサが、先日紹介したハンディキャップ・オウゴンニジギンポに再会した(以下写真2点、撮影:オタマサ)。
大切な尾ビレの欠損ともなれば短命に終わるのかと思いきや、なおも頑張り続けているハンディキャップギンポ。
でもその尾ビレの付け根をひと月前と比較してみると…
ん?
少し再生している??
それとも別個体なのだろうか?
でも顔周辺の模様を比較してみるかぎりでは、どう見ても同一個体っぽい。
ということは、やはり再生しているんだ…。
ここまで欠損してしまっている尾ビレ、いったいどこまで再生するんだろう?
引き続き追跡調査をしたいところ。
そのためには、ハンディキャップギンポにはさらに頑張ってもらわなければ。
一方リーフ際で相変わらず裏社会を覗き見ていたワタシは、画像では表せない面白さが動画にあることに気がついた。
題して「煌めく裏社会」。
同じサンゴを同じ時に同じように撮っても、その都度異なる小さな太陽の輝き。
それもそのはず、波間で揺らめく光は、一瞬一瞬で入射角がまったく変わっているのだもの。
この日のように洋上がけっこう波立っていると、裏社会の煌めきは輝く光のショーになるのだった。
2023年07月14日
希望の星。
2023年 7月13日(木) 晴れ
南東の風 波あり 水温28度~29度
早朝から桟橋方面がなにやら騒がしいなぁと思ったら、それもそのはず、朝6時前から早くも浚渫を始めていたのだった。
掘る範囲の磁気探査が終わったようで、先日からずっと鎮座しているバックホウの隣にバージを横付けし、掘った砂を載せていた。
バージを横付けすると連絡船が離接岸できなくなるから、朝夕の連絡船の運航時間外に行うしかないのだろう。
でもこれまでのところ、土日はお休みのようだし、おそらく祝日も休みになるっぽいので、朝夕の静寂を破る騒音は平日限定ということかもしれない。
それはそうと、8時過ぎにはとっととバージは退場していたものの(日中は沖合でずっと停泊)、泊地はというと…
…すっかり白濁。
それもそのはず、浚渫区域は一応砂防ネットでグルリと囲んではいたものの、バージが去った後のその砂防ネットは、なぜだか完全オープン状態になっていたのだ。
ここから流れ出た砂泥混じりの白濁水は、拡散しながらおりからの南東の風に流されて桟橋をグルリと周り、ビーチ側にも流入していた。
日帰り客の多くは渡久地港の濁った水を見て「きれい!」というほどのみなさんだから気にならなかったかもしれないけれど、なかには「どうも白濁りしているなぁ…」と思われた方もいらっしゃるかもしれない。
その原因はこの意味不明の砂防ネット解放にございます。
連絡船が到着する頃には、砂防ネットは取り繕ったかのように再び輪が閉じられていたけれど、ヒトがいないときに解放したままにしておいたのでは、海中が濁らないはずがない。
「濁りませんから」
と説明会時に大見得を切っていた北部土木事務所都市港湾班の「説明」がいつものように大ウソであったことが、泊地浚渫の初日から早くも実証されたのだった。
何度も言うけれど、海が輝く真夏にこのような工事を行っているのは、すべて史上最低レベルの民度を誇る北部土木事務所都市港湾班の裁量によるものなので、クレームの矛先はすべて↓こちらにお寄せ下さい(リンク先にお問い合わせフォームへのリンクがあります)。
そんな杜撰な砂防ネットにも負げず…というか、風向きのおかげで、海の中はまずまずの景観だった。
スカテンが順調に増えてきた根はにぎやかな「夏」になっているし…
…根によってはキンメモドキもにぎやかに群れ泳いでる。
スカテンやキンメモドキといった小魚が群れ成している根につきものなのが、それを狙うプレデターたち。
ここのキンメモドキなど、アカジンがたむろするほど集まっていて、いっときなどはダイバーが間近で観ている前でキンメモドキをロックオンし、ダッシュしてゲットする様子も観られたほど。
そのためキンメモドキたちはいつも恐れおののいているのか、流れがさほどなければ根の外側にフワッ…と雲のように群れるはずが、大半が根の内側の空隙に身を潜めてばかりいた。
アカジンなどハタ類の他、こちらのみなさんも相変わらず数が多い。
小魚が集まるところ、必ずその姿アリ…のハナミノカサゴたち。
日が高くなると待ち伏せモードになってジッと岩肌やサンゴにはりついたままになっていることが多い彼らも、まだ朝の早いうちは、獲物を求めけっこうアクティブに泳いでいる。
お、そういえばここのサンゴは、巨匠コスゲさんがその枝ぶりを絶賛していたサンゴのアーケードだ。
なるほど、竹ひごで拵えたアートのような造形だ。
どうせなら、サンゴはシルエットで、ハナミノにだけ光が当たるように撮れないものか…
…と試行錯誤してみたもののうまくいかなかった(涙)。
ストロボを使わず、ライトでハナミノだけ照らせばいいかも…
…と思い立ってやってみたところ、
手が写っちゃってるし。
邪魔だよ、オレ!!
< じゃあ誰が撮るんだよ。
ちなみにこのアーケードを作っている2つのサンゴの片方は、以前紹介したように紫色のカイメンの侵食により、次第次第に生命が奪われつつある。
昨夏は↓まだこれくらいだったから、ジワジワながらも確実に患部が広がっていることがおわかりいただけよう。
アーケードを楽しめるのは、あとわずかな期間かもしれない。
リーフ際へ戻ってきた後は、本日も枝ぶりのいいサンゴちゃんを探して、その裏社会を覗いてみよう。
こういう枝ぶりのサンゴだと枝間が広いから、小さな太陽は生まれないのかな…と思いきや、枝が折り重なるとそこに小さな隙間ができるおかげで、ちゃんと小さな太陽ができていた。
小さな太陽=希望の星は、どんな状況でも作り出すことができる…ということかな?
たとえ真夏に浚渫工事が行われる島でも…。
2023年07月13日
パンデミック、カムバーック!
2023年 7月12日(水) 晴れ
南東の風 波あり 水温29度
八王子では気温が39度に達したそうな。
今季断トツの最高気温だとか。
関東地方の高温のメッカといえば埼玉の熊谷だったはずなのに、7月に八王子で39度到達ってことは、盛夏の熊谷あたりは45度くらいになるんだろうか…。
沖縄本島地方も、天気予報で翌日予想される最高気温は34度ということになっていた。
沖縄もついに、気温が体温級になる日が近づいている。
この調子で気温がグングン上がったままになって、それでもって台風が全然来なかったら、おそらく今月下旬にはハマサンゴあたりがパステルカラーになってきて、高温に最弱のトゲサンゴは8月初頭には白くなっているかもしれない。
そのまま8月になっても台風が来なったりしたら、9月を迎える前に、ミドリイシをはじめとするリーフ上のサンゴたちまでがいっせいにパステルカラーになっていくことだろう。
それでもなお台風が来なかったら……。
9月半ばには葬送行進曲が流れているかもしれない。
高水温が引き金のひとつと思われているサンゴの白化は、それが大規模かつ広範囲で始まってしまったら、もはやなすすべはない。
でも誰かが何かをなしたことによって、サンゴが被害を受けていることもある。
とある場所に、フタスジリュウキュウスズメダイが暮らし始めて久しいミドリイシが砂底でポツンと育っている。
スズメダイの数が多くなってきたからか、水温が低い春先でも、すぐそばにいるダイバーを気にせず景気よく群れ泳いでくれていたこともあった。
ところが今年は、水温がすっかり高くなって、魚たちの代謝が活発になっているはずの夏場になっても、まるで春先の低水温時のようにビクビクし続けている。
遠目に観ているとサンゴから随分離れて群れ泳いでいても、ほんの少し近寄るだけで引っ込んでしまう。
ジッとしていたらやがてみんな出てきてくれるものの、夏場とは思えないほど出てくるまでが遅いし、たとえ出てきてくれたとしても、ひと息吐くだけで一斉にサンゴに避難してしまう。
3年前の夏にほぼ同じ距離から撮った↓これと、同じ場所の同じスズメダイたちとはとても思えない変容だ。
↑この頃に比べると、先の動画を撮った昨春には一気に数を増やしていたフタスジリュウキュウスズメダイたちだったのに、現在はその数も激減している。
ということに気がついたのが先月のことで、その原因もわかっていたから、この日はすぐに避難してしまう様子をあえて撮るというカナシイ時間を過ごし、かつ原因も記録してきた。
はたしてスズメダイたちにいったい何があったのか。
それは…
彼らが暮らすサンゴの沖側3分の1ほどが、大規模に破壊されてしまっているため。
サンゴの枝間を隠れ家にしているスズメダイたちにしてみれば、その隠れ家が単純に考えても3分の1失われてしまったとなれば、そこに住まうスズメダイたちの数が減るのも当然といえば当然。
おまけにサンゴの下に大きな魚が入り込みやすくなっていて、これ幸いとばかりにこのサンゴ下を縄張りにしているっぽいバラハタが常駐しているようだから、スズメダイたちはコンスタントに食べられてもいるのだろう。
絶えず危険にさらされて気の休まる暇もないとなれば、スズメダイたちがビクビクし続けているのも無理はない。
それにしても、これまでにもこのサンゴの端々の枝がちょくちょく折れて砂底に転がっているということはあったとはいえ、このような規模で破壊されてしまっているのは初めてのこと。
さすがにウカツなフィンキックでこれほどの破壊力をもつダイバーなんていないだろうし、さしものゴマモンガラも、たとえ御馳走のカニがいたからといっても、ここまでサンゴを破壊しつくすことはない。
となると考えられるのは…
釣り船あたりが無造作に放り投げているアンカー?
釣り船かどうかはともかく、ヒトのなしたるワザであることは間違いなさそうだ。
それもこれも、コロナ禍がすっかりおさまってしまったからこそ。
海中世界が勢いを取り戻し、魚たちが溢れ、ビーチにはヒトの姿は無く、洋上にボートがほとんど無かったから、ヒトがボートを停めているすぐ傍にボートを停めて潜ってくるようなスットコドッコイショップなど存在しなかったコロナ禍中が懐かしい…。
たとえそれが原因で死ぬことになってもいいから、コロナ禍中の静かで平穏な海を取り戻すために、最凶ウィルスが再びパンデミック状態になってくれないかなぁ。
…という話にまったく関係なく、本日の裏社会。
今日もサンゴの裏で、小さな太陽が輝いていた。
2023年07月12日
Open Sesame!
2023年 7月11日(火) 晴れ時々にわか雨
南東の風 波あり 水温28度~29度
今日もいい天気!
…と思ったら、にわかに広がり始めた雲が雨まで降らせてきた。
所用のため午後イチで本島に出たのだけど、束の間ながら海辺の道路から眺める水納島や伊江島の景色が雨のためにホワイトアウト状態になるほど。
出発が15分ほど遅かったら、うちのボートは白い世界の中で彷徨える浮船になっていたことだろう…。
そんなにわか雨祭りになるなどとは夢にも思わず、午前中は海へ。
南風が止んだ前日、久しぶりに訪れてみた岩場のポイントがすこぶる新鮮だったので、本日も引き続きそちらへ。
だからといって特筆すべき何がいるというわけではないのだけれど、昔は砂地のポイントにだって同様にたくさん観られたウミシダたちが居なくなって久しい現在、岩場のポイントには色とりどりのウミシダたちがまだまだたくさん生息しているから、その様子を眺めるたびに、たまに本島東海岸の昔のままの道(それも残り少ないけど)を通っている時に感じるような懐かしさを味わうことができる。
砂地のポイントでもフツーにこのような光景が観られたその昔には、こういったカラフルなウミシダの足元や触手の合間、それに中央の円盤上にいる小さな魚や甲殻類をゲストにご覧いただいていたものだった(当時はゲストの眼もクラシカルではなかったし)。
ただしウミシダたちの触手は密生しているから、覗き込もうにも触手が邪魔して見づらいことのほうが多い。
そういう時に便利なのが、ウミシダの「開けゴマ」。
横から撮っているからイマイチわかりづらいけれど、足元を外側からコチョコチョすると、ウミシダは外側から外敵がちょっかいを出していると感知するのか、触手を全体的にサッと広げるのだ(内側をコチョコチョすると、閉じる方向に動きます)。
その隙に中央の円盤上にいるウミシダウバウオのご尊顔を拝むことができる、という寸法だ。
ノータッチダイビングが主流の清く正しいダイバーには目くじらを立てられるかもしれないとはいえ、ウェットスーツにウミシダをはりつけまくり、やがて根絶させてしまう「ボディでタッチダイバー」に比べれば、遥かに害はない。
ところで、このポイントでは5年前から数年ほどの間、↓こういうニシキヤッコとたびたび出会うことができていた。
体の右側の模様な乱れて、円周率を表わす「π」が横になっているような模様のニシキヤッコ、名づけてパイニシキ。
IKAMAMAさんが見つけて以来、3年ほどほぼ同じ場所で観られたパイニシキだったのに、ここ2年ほどはとんとご無沙汰していた。
そのパイニシキに先月久しぶりに遭遇したものの、撮るチャンスには恵まれずに話だけで終わりかけていたところ、この日オタマサが記録に残してくれた。
撮影:オタマサ
ニシキヤッコの個体数はそれなりに多くとも、そうそうあるとは思えないπ模様、まさか別個体ということはあるまい。
初遭遇時すでにすっかりオトナサイズだったから、ゆうに5年以上は生きていることになるパイニシキ、いまなお健在だ。
近縁のタテキンあたりでは、飼育下での観察ながら平均寿命は10年ほど、長寿記録級だと20年という例もあるそうな。
このパイニシキなら個体識別可能だから、この先何年観られるか、追跡調査は可能なはず。
パイニシキに出会ったら、ひと声かけて、鍵かけて。
寿命といえば、公には「不明」ということになっているウミシダ類の寿命、実はスペシャル級の長寿を誇るという説もあって、中央の円盤部分が無傷でさえあれば、触手その他は永遠に再生可能という。
一部の専門家が「もしかしたら不死なのかも…」と本気でいうほどの超絶長寿のウミシダ。
そんなウミシダたちが、ほとんど姿を消してしまった水納島の砂地のポイントっていったい…。