2023年09月30日

天寿全う。

2023年 9月29日(金) 晴れのち夕方から雨

北東のち東の風 波あり 水温27度~28度

 昨日紹介したダブルレインボー、なんとも無念なことに手元にカメラが無かったから眺めるだけで終わってしまったのだけれど、ありがたいことに通りすがりの宿泊客さんから画像を提供していただいた。
 
 これが昨夕のダブルレインボーです。
 

写真提供:通りすがりの宿泊客さん

 この虹の真下にマッハ軽を停めて撮りたかったなぁ…。
 
 このような見事な虹のアーチを描き出す雨の1日だった前日とは対照的に、日の日中の天気予報は大きくはずれ、ほぼほぼお日様が出ずっぱりのいいお天気になってくれた。
 
 ただし風予報も大きくはずれていて、海は朝からずっと荒れ模様になっていた。
 
 そしてとうとう9月最初の台風が発生。
 
 今のところ進路はさほどビビるほどのものではないとはいえ、台風前には素早く撤収しなければならない浚渫工事は急に焦りの色が濃くなって、この日など夜9時くらいまでガンガンゴンゴン騒音を出しながら砂を掘り倒していた。
 
 早朝から始めることも多々あるこの工事、一応日中の作業時間は「8:00~20:00」となっているというのに、それが守られていることなど一度もない。
 
 浚渫工事といえば、本来早春に行う予定だったものが漁協の反対で延期されていた工事が、9月になって開始されている。
 
 春のうちにやっておけばいいものを、今頃になって始めるものだから、船釣り業者さんやレジャー業者、そしてもちろん漁船なども、浚渫区画ごとに移動を余儀なくされ、船を停める場所が無くて困っているという。
 
 浚渫のためには普段の係留用に設置してあるでっかいアンカーを引き揚げなきゃならないのだけれど、その区画の浚渫工事が終わればすぐにアンカーを元に戻せるのかと思いきや、すべての作業範囲の浚渫が終わってから「検査」が入るそうで、その検査に合格しないうちはアンカーを設置できないのだそうな。
 
 無駄がないよう一度にまとめて行いたいというお役所のキモチもわかるけれど、ぐずぐずしている間に台風が来たらどうすんのよ。
 
 「台風が来るようでしたら、アンカーの設置許可を検討します」
 
 とお役所は言っていたらしい…。
 
 夏から秋にかけて沖縄には台風が来ないと思っているとしか思えないスカポンタン北部土木事務所都市港湾班の発注事業のために、現在渡久地港や水納港は大変なことになっているのである。
 
 北部土木事務所都市港湾班であれなんであれ、こういう方々に事業を「計画」させてはいけない、ということにそろそろみんな気づいてはいるものの、市町村議員や県議会議員は選挙で選べるのに対し、ヤクニンを選ぶことはできない。
 
 それでいながらお役所がやりたい放題っていうのは、いったいどういうことなのだろう?
 
 ほとんど関東軍のようになっているお役所の暴走を止める手立ては市民運動だけ…てのは、それはホントに民主主義なんだろうか?
 
 新しい資本主義なんかどうでもいいから、新しい民主主義を…
 
 …なんてことになったら国会議員の座を失いかねない方々が、そんな世の中を生み出すはずはないか。
 
 話は変わる。
 
 これまでおそらく四半世紀くらい、少なくとも20年は頑張り続けているご長寿ハナビラクマノミママがいる。
 

 もっとも、小さな頃から注目していたわけではないし、フツーサイズの頃にいちいち撮っていなかったから、20年の歩みをご紹介できるわけではないのだけれど、おそらくその間に世代交代していないであろうことは、オスの尾ビレが明らかにしてくれている。
 

 ハナビラクマノミのオスは、成熟すると尾ビレや背ビレにオレンジのラインが入ってくるんだけど、ご長寿メスのダーリンである彼は、ダーリン歴が相当長くなっているから、このオレンジ部分がクッキリハッキリ。
 
 上の写真は2018年に撮ったもので、それから4年経った昨年になると…
 

 オレンジ部分が随分広がった。
 
 こんなハナビラクマノミのオスは、なかなか他の場所では観られない。
 
 それもこれもメスがご長寿でいるからこそオスもそれに合わせて長寿になっているわけで、その夫妻の長寿をもたらしているのは、大きく育っているセンジュイソギンチャクの賜物なのだろう。
 

 このセンジュイソギンチャクは、我々が越してきた95年の時点ですでにでっかかったのだけど、その後さらに成長しているから、ハナビラクマノミ夫妻が大きく育ってもなおだだっ広く、巨大ハナビラクマノミの住まいとしては申し分がない。
 
 今年になってもご長寿夫妻は健在で、しかもオスのオレンジ部分がさらに広がっているように見えた。
 
 これはまたちゃんと撮っておかなければ…
 
 …と思いつつ、一週間ぶりくらいに再訪してみたこの日、衝撃のジジツが待ち受けていた。
 
 なんと!
 
 ご長寿メスの姿が見えない!!
 
 イソギンチャクの陰に隠れているだけかも…としばらく眺め続けていたものの、メスが出てくる気配はない。
 
 それどころか、オレンジ模様の尾ビレを持つオスが、以前まではただの居候さんだった小柄の個体と仲良くいちゃついているではないか。
 
 どうやら新たなペアの誕生…。
 
 長きに渡ってメスの座を守り続けてきたご長寿メス、ついに天寿をまっとうしたのか、誰かに襲われてしまったのか、はたまたなかなかメスになるチャンスが訪れないオスが業を煮やしてメスの座を奪い取ったのか。
 
 真相は不明ながら、貫禄たっぷりの姿にもう会えないなんて…。
 

 ご長寿ママ、長い間お疲れさまでございました。 
 
 というか、オスの尾ビレのオレンジ模様は、新たにメスの座に就いたらこのあとどんどん消えていくんじゃ?
 
 しまった、ご長寿メス逝去の衝撃のため、依然尾ビレにオレンジ模様がクッキリハッキリの旧オスを撮るのを忘れた…。 
  


Posted by クロワッサン at 06:40Comments(0)吉田兼好水納島の海

2023年09月29日

ダブルレインボー。

2023年 9月28日(木) 曇り時々晴れたり雨降ったり

北東の風 波あり 水温27度~29度

  このところのにわか雨は、量の多寡にかかわらずただ雨を降らせるだけだったのに、この日の雨雲はやたらと風まで吹かせるやっかいな雲だった。
 
 そのため朝から海は荒れ模様で、ようやく午後遅めの時間帯にいったん静まった…と思ったら、その後再び強めの風に。
 
 これが夏だったら、なんだかすぐ近くにステルス熱帯低気圧が発生していて、突如台風登場なんてことになるのでは…と不安になるところ、さすがにこの季節でそれはない……
 
 ……ですよね?
 
 やっかいな風が吹き続けていた1日ながら、雨雲のおかげで夕刻にはお天気の神様から素敵なプレゼントが贈られた。
 
 クッキリハッキリ、桟橋から眺めればどちらの根元も見える見事な虹が、西の空に大きなアーチを描いていたのだ。
 
 そのクッキリハッキリレインボーの外側には、もうひとつレインボー。
 
 冴えないお天気でその後も再び雨になったとはいえ、この夕刻のダブルアーチは年に1度あるかないか級だから、この日これをご覧になった方は、たとえ雨に打たれていようとも大きな幸運に包まれていたのは間違いない。
 
 そんな大きな幸運に包まれていたというのに、あいにくボートを係留するために桟橋に来ていたため、手元にカメラがない…。
 
 年に1度あるかないか級のダブルアーチは、どうか脳内で再現してくださいませ。
  


Posted by クロワッサン at 06:31Comments(0)日々の徒然

2023年09月28日

9月の初夏。

2023年 9月27日(水) 夜明け頃雨のち晴れ

北東の風 波あり 水温27度~29度

 この日も日が高くなると風が出てきて、午後にはすっかりウサギさんの大群に。
 
 でもさほど強くはないから、1匹1匹のウサギさんは小さい。
 
 雨は夜明け頃にサーッ…と降っただけで、その後は全面的に晴れ。
 
 完璧な行楽日和だ。
 
 秋の行楽日和にココロが浮きたつのは人間だけではなく、カメもなにやら旅心を誘われるらしい。
 
 とはいえなかなか散歩に出られない日が続いていたために、散歩に連れていけ攻撃で柵内で暴れまわるものだから、小屋がかなり破壊されてしまった…。
 
 昨日今日でようやく夕方に時間ができたので、久しぶりに散歩に出て見ると…
 

 …得意気になってテケテケ歩いていたガメ公なのだった。
 
 海の中では、旅心ではなく恋心で浮きたっているものたちもいた。
 

 スイジガイが仲良くデート中。
 
 そのあたりに這い回っているスイジガイを拾い集めて並べたわけじゃないですからね。
 
 これを撮る前は2匹が重なるようになっていたのだけど、撮る頃には並んでいたスイジガイ。
 
 貝類は種類によって雌雄同体のものと雌雄異体のものとがあり、スイジガイは雌雄異体なのだそうな。
 
 だからといってこれがホントにデートなのかは不明ながら、ちょくちょく見かける機会はあっても、2匹が寄り添う様子なんてそうそう見ないから、繁殖に向けた行動のひとつなのかもしれない。
 
 ということは、スイジガイは今が繁殖期なのだろうか?
 
 一方、本来なら水温が高くなりすぎて繁殖行動に精を出さなくなる魚たちは、Zターン台風の影響で真夏に水温が低下したおかげで、真夏の間もひっきりなしに子孫繁栄のためがんばり続けていた。
 
 そのためかどうか、9月下旬になってもまるで初夏のように、チビチビスズメダイたちがそこかしこで観られる。
 
 浅いリーフ上では、メガネスズメダイチビターレの姿もよく目立っている。
 

 地味なオトナとは違い、チビチビの頃は赤い模様がかなり目立つので、2センチに満たないサイズでもよほどの節穴でもないかぎり必ず目につくチビターレ。
 
 ただし居場所は浅く、お近づきになろうとするとつれなく引っ込んでしまうこともあるから、じっくりご覧になったことがある方は案外少ないかもしれない。
 
 そんなアナタに朗報。
 
 数が多いということはいろんなタイプのチビがいるわけで、引っ込んでしまうことなくずっとカメラの前に居続けてくれるおりこうさんに出会えることも多くなるのだ。

 そしておりこうさんは、カメラの前で健気な姿を披露してくれることもある。
 

 クマノミ類をはじめスズメダイ類はわりと頻度高くアクビをするから、おりこうさんに出会えるということは、アクビチャンスでもあるのだった。 
  


Posted by クロワッサン at 06:46Comments(0)カメハウス水納島の海

2023年09月27日

イロブダイ・チビターレ。

2023年 9月26日(火) 未明雨のち晴れ

北東の風 波あり 水温28度~29度

 9月も下旬になってくると、どんなに鈍感な方でも夏から秋へと季節が移ろい変わっていることが実感できるようになる。
 
 このままめでたく台風ゼロのまま10月に突入か?
 
 聞いたところによると、9月の沖縄に台風が来なかったのは60年ぶりのことになるという。
 
 なんとまぁ、半世紀以上ぶりのミラクルセプテンバー。
 
 今年この奇跡を体験できた人は、ハレー彗星をご覧になったことがある方と同じくらい、子や孫に語って聞かせることができるだろう。
 
 台風ゼロとはいっても季節は移ろい始めているから、風はこのところすっかり秋になっている。
 
 そういえば今季は、初夏くらいから登場してくれてもおかしくないイロブダイチビターレとなかなか出会えないでいた。
 
 それがようやく今月半ばも過ぎた頃に、今季初登場。
 
 もっとも、すでに15ミリくらいだから、もう少しチビチビの頃からそのあたりにいたはずで、単に気がついていなかっただけで、いつもどおり他にも夏場に登場しているチビチビがいるのは間違いない。
 
 ちなみにイロブダイのチビターレは、↓こんな色形(下の画像は一昨年撮ったものです)。
 

 雅な砂糖菓子のような色形は、オトナとはまったく似ても似つかない。
 
 すぐさまピューッと逃げ去っていくオトナとは動き方も異なっていて、小さいうちは尾ビレを含めた腰から先をくねらせながら狭い範囲を行き来する程度。
 
 その動きがまたイロブダイチビターレの可愛さを倍増させているんだけど、静止画像じゃなかなかわからない。

 そこで、ちょっとだけでもそのイロブダイモーションがわかるよう、この日動画で撮ってみた。
 
 
 
 けっこうかわいいでしょ?
 
 こんなに特徴的なチビターレにもかかわらず、それを絵柄にしてTシャツを作ってみたらば…
 

 「金魚ですか?」
 
 と言われてしまったのだった…。
 
 リアルなオレンジ色のインクが無いことが原因だと自分を慰めよう。
 
 ちなみにこの「金魚」は、もっと小さい頃のイロブダイをモデルにしている。
 

 1センチほどのチビチビ。
 
 たとえ比較対象物がなくとも、背ビレや体に黒い模様やラインが入っているかどうかを観るだけで、そのチビターレのある程度のサイズがわかるようになっているのだった。
 
 オトナはどういう姿をしているのか気になった方は、こちらをご参照ください。
  


Posted by クロワッサン at 06:00Comments(0)水納島の海

2023年09月26日

工事は続くよどこまでも。

2023年 9月25日(月) 晴れ夕刻にわか雨

北東の風 うねりと波あり 水温27度~28度

 予報が告げていたよりも強い風が未明から吹いていて、日中も洋上には久しぶりにウサギさんが飛び跳ねていた。
 
 それでもおおむね晴れているから、やや強めの北風は、爽やかな秋を運んでくれているかのよう。
 
 これで浚渫工事の轟音と排ガスがなければなぁ…。
 
 タグボートが港内で細かく動くたびに大量に吐き出す排ガスは、夏場の南風だと家に居る分には気にならないのだけれど、北東の風になるとすべてが集落内に運ばれてくる。
 
 それも、今日などは早朝6時過ぎから早くも轟音&排ガスの洗礼だ。
 
 なんでこんな離島に居て排ガスのために気分が悪くならなきゃならないんだ…。 
 
 過去に1度として「説明」どおりになったことがないスカポンタン北部土木事務所都市港湾班の「説明会」では、
 
 「6月下旬か7月上旬から初めて、2ヵ月ほどの工期となります。」
 
 なんて嘯いていたけれど、やはりスカポンタンだけあって、彼らは工期中に台風が来るなんてことを1ミリも予想していなかったのだろう。
 
 で、当初はのんびりしていた受注業者も、迫る工期終了に焦りはじめ、このところは砂運搬用の台船2隻態勢でピストン輸送を繰り返すほどの熱の入れようで、この日のように夜が明ける前から作業を開始していることもある。
 
 それでも到底当初の工期に間に合わないということになったのだろう、スカポンタン北部土木事務所は、工期を延長することにしたらしい。
 
 本来実施する予定ではなくやる必要も無かったのに浮いた予算の消費のためだけに行うことにした真夏の浚渫工事の工期が延長されちゃえば、本来の作業工程であるはずの10月からの開始時期が、後ろにずれ込むことになるんじゃ?
 
 台風が来る率が低い10月後半から集中的に始めていれば、もっともっともっと効率的かつ能率的に作業がはかどったろうになぁ。
 
 少しでも早く…という取って付けたような理由で多くの人々の迷惑も顧みず真夏に始めた浚渫作業が全体の工期を遅らせることになる、なんていうのもまた、スカポンタン北部土木事務所都市港湾班のスカポンタンたる所以なのだろう。
 
 いずれにせよこの浚渫工事が終わったら、いよいよ構造物(ケーソン)が待合所前あたりに設置され始めることになる。
 
 秋になっても冬になっても春になっても、工事は続くよどこまでも。
 
 ちょっとした浚渫工事だけでこの工期の延長だもの、いよいよ海岸に構造物を造るとなれば、来年のGW中も工事しまくっていたとしてもなんら不思議はない。
 
 大は国から小は地方自治体隅から隅まで、スカポンタンな行政によってこの国はズタボロにされていくのだった。
 
 さて。
 
 この日はうねりが大きかったので、海中の浅いところではユラユラ揺れるほど。
 
 シライトイソギンチャクも、まるで蛇女ゴーゴンのようになっていた。
 
 
 
 こうしてイソギンチャク全体を見るとクマノミ夫婦しかいないように見えるけれど、その端々には小さな魚たちも暮らしていて、ミツボシクロスズメダイのチビターレたちもそのメンバーになっている。
 

 そして触手の合間では、↓このチビターレがチョロチョロしている。
 

 米粒ほどのハナビラクマノミ・チビターレ。
 
 同じクマノミ類といえどもこのイソギンチャク内でこのチビターレに人権はないので、少しでも目立ってしまうとたちまちクマノミ夫婦に傷めつけられる弱い弱い立場にある。
 
 先ほどの動画でクマノミがイソギンチャクの縁にダッシュしているのは、これらのチビたちを追い払っているため。
 
 それもこれも、本来ならクマノミ夫婦はイソギンチャクから少し離れて食事をしているはずのところ、ワタシがそばにいるせいで警戒してイソギンチャク内に留まり、その腹いせというか八つ当たり的にチビたちを攻撃しているからにほかならない。
 
 動画ひとつのために、とんだとばっちりを受けているチビターレたちなのだった。
  


Posted by クロワッサン at 06:25Comments(0)吉田兼好水納島の海

2023年09月25日

アキアナゴのストライキ。

2023年 9月24日(日) おおむね晴れ

北東の風 おだやか 水温27度~28度

 9月もいよいよ最後の1週間、ここまでは奇跡のような台風レスだったけど、はたして今週の運命やいかに。
 
 台風といえば、まだ記憶に新しいZターン台風、その怒涛の波濤によるリーフ上のサンゴの破壊の痕は依然生々しく残っている。
 
 波によって発生するローリングストーンズによると思われるこのサンゴの物理的損壊により、多くの魚たちが居住環境の変更を余儀なくされている。
 
 そのためだろうか、今月になってからやけにその姿が目立つようになっているこの魚。
 

 ご存知インドカエルウオ…にそっくりな、ホソカワインドカエルウオ。
 
 パッと見では区別がつかない両者ながら、撮った写真で確認してみれば、リーフエッジよりも外側で観られるものはほぼほぼホソカワ氏だから、フツーにボートダイビングをしている時に出会っているのはおそらくホソカワ氏だと思われる。
 
 あ、見分け方についてはこちらをご参照ください。
 
 で、リーフ内のインドカエルウオ同様、ホソカワ氏も特段珍しいというわけではないんだけど、警戒心が強いため、カメラを向け…ようとしただけですぐにサササ…とサンゴの枝間に逃げてしまう。
 
 なので、見かける頻度のわりには撮るチャンスがなかなかないホソカワインドカエルウオ。
 
 ところが今年は、住処のサンゴがバキバキになったからなのか、外に姿をさらしているホソカワ氏の姿がやけに多く、しかもカメラを向けても従来のようにつれなくすぐさま逃げたりしない子も多い。
 
 これは居住環境の悪化のためなのだろうか、それとも実は個体数が増えていて、みんな大胆になってきているからだろうか。
 
 理由は不明ながら、オトナもコドモもとにかく1回2回は撮らせてくれるようになっているから、これまでホソカワインドカエルウオにはフラれてばかりだった方は、今がチャンスです。
 
 たくさんいるといえば、やや深めの砂底に大群落を作っているアキアナゴたち。
 

 チンアナゴよりも体が大きく、砂から外に出している体も長く、そしてチンアナゴに比べると遥かに密集している群落がかなりの広範囲に渡っているため、初めてご覧になって「おお…」となる方も多い。
 
 で、ノー台風の今月半ばまでの間には、こんなに体を出しまくっていることなんて滅多にないってくらい全員ビヨヨ~ン状態で、しかも大群落だから実に壮観な眺めだった。
 
 普段の2割増しの出具合い、なにがどうしてこういう状態になるんだろう…と不思議に思っていたところ。
 
 あれほど景気よくビヨヨ~ン状態だったアキアナゴたちが、先週になって全員忽然と姿を消してしまった。
 
 うねりやなにかの影響で、その日たまたまそのタイミングで出ていなかっただけかなと思いきや、翌日もその翌日も、あれほどたくさんいたアキアナゴの姿はずっと消えたまま。
 
 いったい何があったのだろう?

 チンアナゴたちはいつもどおりの様子であるところからすると、ひょっとして、アキアナゴ限定でうどんのようにズルズル…と食べるプレデターが食べつくしたとか?
 
 とにかく1週間近くもアキアナゴが出ていない状態が続いたことなんて過去に経験がないから、このままずっと観られなくなってしまうのだろうか…
 
 …と気を揉んでいたところ、一昨日くらいにようやくチラホラ姿が見え始め、この日になると深いほうでも少数ながらニョロニョロしていた。
 
 なんだか、すっかり禿げた頭部にニューモをかけたような…。
 
 今後再び大群落状態に戻ってくれるのかな?
 
 とすると、1週間近いストライキのような状況はなんだったのだろう?
 
 みんなもっと深いところに行って、大繁殖祭りでもしていたのだろうか。
 
 アキアナゴのストライキのナゾ、その理由をご存知の方はテルミープリーズ。
  


Posted by クロワッサン at 06:41Comments(0)水納島の海

2023年09月24日

影の軍団の志穂美悦子。

2023年 9月23日(土) 晴れ

北東の風 おだやか 水温27度~29度

 本島方面はどうだったか知らないけれど、久しぶりににわか雨が降らない1日に。
 
 このところ焦りが見えるほどに急ピッチになっていた浚渫工事も、工期延長が決まったせいか、祝日の土曜日だからか、本日はお休み。
 
 おかげで海は輝いていた(それでも若干白内障)。
 
 9月も半ばを過ぎているというのに、クロスジスカシテンジクダイのチビたちがワッと根に溢れているのには驚いた。
 
 もともとそこには狂ったようにハナミノカサゴがいて、彼らがにわかに訪れたバブル景気に浮かれまくっている。
 
 クロスジスカテンの輝く群れをバックにハナミノが2~3匹舞う…
 
 …なんとステキな光景、でも写真はない。
 
 そこへカスミアジが7~8匹で来襲。
 
 高速ダッシュでハントするカスミアジ、それを逃れるクロスジスカテンたち。
 
 逃げまどうクロスジスカテンが、アジが入り込めないような狭いところに逃れようとすると、そこで待ち受けるハナミノカサゴ。
 
 次々に逃れてくるクロスジスカテンを、ボイボイボイ…と掃除機のように喰い倒していた(残念ながら動画も写真もない)。
 
 全速力のダッシュで追いかけてもせいぜい1匹ゲットできるかどうかというカスミアジに比べ、なんと効率的なゲットの仕方。 
 
 この調子で食べられ続ければ、せっかくの初夏の再来もあっという間に終わってしまうかもしれない。
 
 リーフ際に戻ってきてからリーフ上をフラフラ彷徨っていると、ナガニザを中心とする影の軍団が大集合していた。
 

 これが全員シマハギだったらビジュアル系なのになぁ…と思いつつも、そもそもこのサイズの魚の群れがそこらじゅうにいるわけではない水納島なので、黒くてもついつい「おっ!」となる。
 
 なので、影の軍団の行進の様子をまた動画で撮ってしまった。
 
 
 チョロチョロっと混じっているビジュアル系のシマハギは、影の軍団の志穂美悦子といったところかな?



  


Posted by クロワッサン at 06:23Comments(0)水納島の海

2023年09月23日

スズメダイ玉。

2023年 9月22日(金) 晴れ夕刻にわか雨

南東のち南西のち北東の風 おだやか 水温27度~30度

 この日もやっぱりにわか雨。
 
 本島方面は地域によっては昼間に降っているところもあったのだろうけど、水納島上空は日中はおおむね晴天で、朝と夕だけ雲が通りかかってしまった。
 
 にわか雨が定番になっている今月ながら、おおむね好天続き、しかも台風がまったく来ないというキセキの期間になっていることもあって、水温がまたジワジワと上昇している。
 
 水深20メートルを過ぎるとガクンと冷たくなって27度くらいになるんだけど、それより浅いところは2度ほど温かく、リーフ上ではダイコンの水温表示が30度を表示していた。
 
 で、27度ゾーンはやや濁っているのに対し、温かいところは真夏のクリアウォーターで、まさに夏再来といった感じ。
 
 Zターン台風後に心配されたグリーンワールドも、その後はこういう塩梅になっている。
 

 怒涛の波濤で物理的に破壊されたサンゴの端々はいまだガタガタしているとはいえ、あの不気味にライトなグリーンの藻が蔓延っている様子はない。
 
 台風直後からしばらくは物理的破壊で縁がガタガタになっているサンゴにはライトグリーンの藻がほぼ100パーセント蔓延っていたのに、今ではまったく藻がついていないものも見られるし…
 

 傷んだ箇所に藻が残っているものも、現在はこんな感じになっている。
 

 蔓延るライトグリーンの藻のために多くのサンゴが息も絶え絶えに見えた先月とは対照的に、今ではかろうじて残っている藻が息も絶え絶えといった様子だ(藻の種類も変わっているっぽい)。
 
 これはやはり、当時は度を越した大雨によって本島方面の富栄養&塩分濃度が低い海水が広範囲に蔓延し、特殊環境にしか育たないはずの藍藻が我が世の春とばかりに大繁茂した…ということなのだろうか。
 
 当時コメント欄で屋我地さんからご教示いただいたところでは、サンゴ礁が藍藻によって衰退させられるという例はこれまで聞いたことがないというお話だった。
 
 もちろんそれは、健全なサンゴ礁環境と藍藻が蔓延る環境がまったく異なるからにほかならない。
 
 ところが、いくら度を越した大雨・長雨だったとはいえ、サンゴ礁に藍藻が育つ環境を一時的に提供できるくらいにまでなっている沖縄本島エリア…。
 
 美ら海美ら海とのんきに歌い踊っている間に、海はどんどん大変なことになっているのだった。
 
 話は変わる。
 
 多くのベラ類は、潮のタイミングに合わせて日中に産卵する、ということはこれまでに何度も紹介した。
 
 日中に産卵をするということは、他の魚たちも思いっきり活動時間なわけで、特にリーフエッジ付近のように魚が集まる場所ともなると、ほとんど御馳走を提供しているような状況になる。
 
 特に味をしめているのが、本来プランクトン食の群れるタイプのスズメダイたちだ。
 

 リーフエッジ付近で群れているアオバスズメダイたちは、ベラ類が産卵するや、待ってましたとばかりに群がり、卵をボイボイ食べ始める。
 
 以前も紹介したこのスズメダイ玉、しかし画像だと彼らがどう盛り上がっているのかいまいちわからない。
 
 そこで、今日はその様子を動画で撮ってみた。
 
 
 
 アオバスズメダイを中心に、ロクセンスズメダイたちも混じっての大饗宴。
 
 盛り上がりすぎて、オヤビッチャか誰かが水面付近で水をはねてしまい、その音にビックリした全員がサッと散会するあたり、フィーバーしていても周囲の警戒は怠っていないということだろうか。
 
 産みたてホヤホヤの卵を貪り喰われるベラたちも、ただ黙って甘受しているわけではなく、産卵前につきまとうスズメダイ類を闘志剥き出しで追い払ってはいる。
 
 でもしょせん多勢に無勢だし、産卵・放精をしたくてウズウズしているとなれば、隙をついて産卵するしかない。
 
 そこでベラたちはスズメダイたちの隙をついてシュッ…と産卵するのだけれど、スズメダイたちはあっという間に気がつき、ワッと卵に群がるのだった。
 
 産む前の鮭の卵を美味い美味いと食べているワタシがいうのもなんだけど、産んだばかりの卵を食べられてしまうってのもなぁ…。
 
 もっとも、この時点での淘汰のおかげもあって、リーフエッジがヤマブキベラ塗れにならずに済んでいる、ということなのかもしれない。
  


Posted by クロワッサン at 06:24Comments(0)水納島の海

2023年09月22日

ヤコウガイ、その美味しさのヒミツ。

2023年 9月21日(木) 晴れ

北東の風 ベタ凪ぎのちおだやか

 この日も時系列天気予報上では午後に小さな傘マークが開いていて、このところお馴染みのにわか雨が降ることを告げていた。
 
 ところが水納島には1滴の雨も降らなかったようで、ホッシーたちは夕刻の水浴びシャワーをたいそう喜んでいた。
 
 一方、今月最後の買い物デーで本島に出掛け、時間はたっぷりあったから国頭村まで足を伸ばしたところ(ヒルバレージュニアのリベンジに成功するも、ユイカフェの黒糖シュークリームが滅多にない売り切れという悲劇あり)、昼前くらいから「ところにより」のにわか雨が。
 
 雨に追われるように南下すると、西の空には青空が広がり、山のほうには雨雲がどっぷり…という不思議かつよくある光景が広がっていた。
 
 さらに南下すると空は一変して晴れ渡り、バイカ―たちが心地よさそうに北を目指して走っていた。
 
 あのぉ…そっち行ったら雨ですよ?
 
 大宜味あたりでは晴れていたのだけれど、前方を見ると名護はすっぽり雨雲に覆われている様子。
 
 でも名護で買い物しなければなんのために出掛けてきたのか意味不明になってしまうから、雨を厭わず名護市街に入ってみたら、圧倒的怒涛の大雨になっていた。
 
 イオン名護店の下から上がる坂道の手前と入口付近が、昨年経験したようなとんでもない水量になっていたからびっくりした。
 
 でも昨年はライフだったからヤバかったけど、この日は(12万キロ走っている)新車だからタイヤもでっかく、道が局所的に池になっていても安心して通過できる。
 
 というわけで雨降りだったのだけど、せっかくだからとオタマサにせがまれて立ち寄った喜如嘉のターブクでは、久しぶりにセイタカシギに遭遇した。
 

 沖縄県では一応冬鳥ということになっているようなのだけど、初夏以外ならいつでもどこかにいるような気がするセイタカシギ。
 
 だからといって、喜如嘉のターブクであれどこであれ、年がら年中同じ場所にいるわけではないから、いたらやっぱりラッキー感がある。
 
 ほとんど放置プレイ状態に見えるこの時期のターブクでも、このように水が張られている場所があれば、セイタカシギのエサ場として申し分ないのだろう。
 
 オクラレルカの花見は名物になっているとはいえ、いつまで残ってくれるかなぁ、喜如嘉のターブク。
 
 さてさて、このような鳥さんを遠くから撮る場合に活躍しているのは、光学40倍ズームOKのコンデジ。
 
 もちろんのこと近接撮影もOKだから、出先であれ庭先であれ、普段から何を撮るにも出番は多い。
 
 でもさすがに夜空に向かってヒョイと気軽にとっても、画面には何も写らない。
 
 その点ヒトをダメにしていくツールの最たるものであるスマホは、ほろ酔い気分でホイホイホイと天に向けて撮るだけで、星空まで撮れてしまう(機種の価格差で性能は異なりますが)。
 
 その話を先日紹介したあと、撮影者であるミノワマン氏が、ネタ用にと後日画像を送ってくださった。
 
 その晩に4枚ほどホイホイホイ…と撮影された星空、その1枚をシゲシゲと眺めていたら驚いた。
 

画像提供:ミノワマン

 夏の大三角がドンと真ん中に!
 
 画角的にアルタイルの居所であるわし座は全部入っていないものの、デネブのはくちょう座もベガのこと座も、クッキリハッキリコンプリート。
 
 ものすごくテキトーに撮っておられたように見えたけど、ミノワマン氏、ちゃんと意図して撮影されていたのだろうか?
 
 もし見えざる手のチカラだったのなら、それはそれである意味スゴイ。
 
 ただ真上を見上げて撮っただけと言ってしまえばそれまでながら、画角的に偶然でコンプリートできる確率は相当低いような気が…。
 
 恐るべしミノワマン、その「ゴッドハンド」はご本業だけのものではないらしい…。
 
 話は全然変わる。
 
 ヤコウガイはサザエ(チョウセンサザエ)の10倍くらいある大きな巻貝で、身の美味しさや貝殻の美しさから、昔から水産資源として重宝されている。
 
 有名な中尊寺の金色堂の螺鈿細工の材料もこのヤコウガイだったりするほどに(だからといって当時も今も、奥州の海でヤコウガイが獲れるわけではないところが面白い)、工芸分野では馴染み深い素材でもある。
 
 それくらい有名ではあるものの、なにせ高級食材なので、そうそう口にできるものではない。
 
 ところが、何かと不便な離島で暮らしていると、その暮らしぶりを見るに見かねた海神様が、ときどきニッコリ微笑んでくださることもある。
 

 その味をご存知なのは、家計が違う一部の選ばれし方々のみかもしれないけれど、このように刺身になった姿を写真なりなんなりでご覧になったことがある方はわりと多いはず。
 
 身よりもさらに重宝される貝殻についても、ご覧になったことがある方は多いことだろう。
 
 ことほどさように有名なヤコウガイだから、貝殻も刺身の様子は誰もが知っている。
 
 ではヤコウガイの体って、どんな感じなの?
 
 …ということについては、想像はできても、具体的な色味などはイメージできない方が多いのではなかろうか。
 
 そこで!
 
 これがヤコウガイの体です。
 
 
 この動画以前には、体を出そうか出すまいか、数分間の逡巡があったのだけど、意を決して体を出してくれたヤコウガイ。
 
 深緑色のボディ、その裏側は黄色っぽかった。
 
 そして体の吻側(触角が生えているほう)が少しでも岩肌に達すると、あっという間に貝殻を正位置に戻すその筋力!
 
 ヤコウガイのお刺身、そりゃ美味しいはずだわ…。
  


2023年09月21日

秋茄子は嫁に…。

2023年 9月20日(水) 晴れ黄昏時ににわか雨

北東の風 おだやか 水温27度~29度

 今日も午前中から本島方面ではカタブイがところどころに見られたけれど、水納島の日中は晴天キープ。
 
 おかげで久しぶりに布団を干すことができた。
 
 それでも灯ともしごろには、この日もまたにわか雨。
 
 雨量は大したことはないものの、あともう少しで乾くところだった器材や何かが再び濡れてしまうという被害は多少はある。
 
 ゲリラ豪雨というほどの存在感は無くとも、ゲリラにわか雨もそれなりにやっかいなのだった。
 
 さてさて、夏バージョンの1日6往復もこの日で最後、明日からはある程度平穏な日々が戻ってくる(浚渫工事を除く)と思えば、北寄りのそよ風にも秋の気配がたっぷり漂ってくる。
 
 でも海中はまだまだ夏で、先日も紹介したようにZターン台風の際の大雨による海水温低下のあと、再び盛り返した水温が、多くの魚たちに2度目の繁殖期のピークをもたらしているおかげか、この時期にこんなチビチビが?という出会いがけっこうある。
 
 で、このところ目にしていたチビチビたちを撮っておこうと岩場のポイントに出向いたこの日は、その目的を果たした後、ひょっとしたらあの魚のチビチビもいたりして…と期待を抱いて、普段行くことがない深場まで足を伸ばすことにした。
 
 すると。
 
 5メートルくらい離れたところから(実質3メートルかも)、岩陰にまるで峠道の一軒家の灯りなみにポン…と淡い光が見えた。
 
 これはホントにひょっとするかも?
 
 近づいてみると…
 

 出たぁ~~、ハナゴンべの激チビターレ!
 
 せいぜい12ミリほどのチビチビは、間違いなく人生最小級更新だ。
 
 これくらいのチビチビは、例年だったら初夏もしくはその少し前に登場しているようなのだけど、そのタイミングで岩場の深いところに行く機会がこれまでほとんど無かったこともあって、出会えるハナゴンべのチビといえば、これからもう少し成長したサイズのものばかりだったのだ。
 
 こんなのを観てしまえば、ニセモンツキスズメダイなど撮っている場合ではない(※個人の感想です)。
 
 あまりにも可愛いので、迷惑を顧みずパシャパシャ撮らせてもらった。
 
 パシャ。
 

 パシャ。
 

 さらにパシャ。




 撮っているときから気づいていた…というかむしろそう見えてしまっていたのだけれど、口元のピンク紫のラインがなんだか妙にニッコリ笑っているように見えてとってもプリティ。
 

 ゴキゲンそうに見えるでしょ?
 
 また、漂ってくるエサに注目する際に、寄り目になるのがまた可愛い。
 

 せっかくの一期一会、もっと撮り方を変えたりなんやかんやと工夫をする余地がいくらでもあったのだろうけど、いかんせん深すぎて頭がそこまで働かない(< 深度のせいか?)。
 
 たっぷり窒素も溜め込んで、浅いところでの長期滞在を余儀なくされたものの、ハナゴンべ激チビターレのおかげで充実感もたっぷり溜まったから、なんとも満足の1本となったのだった。
 
 1本といえば。
 
 かつてのマサエ農園畑1号2号でも、昨年のあたいぐぁでも冴えなかったナスが、今年はどういうわけか豊作になっている。
 
 水が欠かせないナスのこと、庭に植わっていれば水やりにも事欠かなくて済むのと、台風が8月まで襲来しなかったことが大きな要因なのだろう。
 
 その8月の台風ではコテンパンに薙ぎ倒されて、もう死亡確定か…というところまで追い込まれたらしいのだけど、その後オタマサが丹精すると息を吹き返し、再びたくさん実をつけてくれるようになっている。
 
 で。
 
 ナスにはいろいろ使い道があって、漬物でも天婦羅でも利用できるけれど、焼きナスもまた美味しい。
 
 ただ、オタマサの実家では焼きナスといえばスライスしたものを炒めるのがスタンダードだったらしく、ワタシがイメージするところのモノとは少々違っている。
 
 ではワタシがイメージするものというのは、クックパッドなどのレシピ的にはなんと言う呼び名の料理なのだろう?
 
 …と調べてみたところ、それは丸ごと焼きナスというものになるのだった。
 
 かつて子供の頃、実家で焼きナスといえばこの丸ごと焼きナスで、オトナたちの料理向け、もっぱら父の晩酌時に供されていたように記憶している。
 
 酒でも肴でも、近くでオトナが美味しそうに食べているのを見ると子供心にも美味しそうに見えるものだけど、子供の頃にはグロテスクな剥き身のナスの姿がどうにも苦手で、食べたいと思ったことは一度もなかった……と記憶している。
 
 ところがオトナになってから他所でいただいたのか、それとも実家で暮らしている間に食べるようになったのか、とにかくこの丸ごと焼きナスがワタシにとっての「焼きナス」になっていただけに、スライスした焼きナスではどうにも満足しきれない。
 
 満足しきれないんだけど、オタマサの焼きナスといえばそれオンリーだから、生姜が効いた「あの味」を味わう機会がないまま今日まで生きてきた。
 
 でもせっかくのナス豊作、この機会に丸ごと焼きナスを食べなかったら、ついに儚い夢となって消えてしまうかもしれない。
 
 ということもあって「丸ごと焼きナス」という名を調べ、もちろんのこと各種レシピがネット上に山ほどあることを確認してから、オタマサにおねだりしてみた。
 
 幸い快諾を得たものの、皮を剥くのは手伝えという。
 
 ついに生涯再会することなく終わってしまうかもしれないと思えば、皮を剥くことなど御安い御用(だからといって上手にできるわけではないけど)。
 
 というわけで、一度丸ごと焼いたナスの皮をムキムキしたあと、ようやく登場、丸ごと焼きナス。
 

 見てくれは相変わらずグロテスク…というか、皮の剥き方がヘタクソだからいっそうグログロしているものの、ポン酢もしくは醤油とからむ生姜の味が効いた焼きナスは絶品。
 
 人生初体験のオタマサもすこぶるつきで満足の逸品となって、ナス料理のレパートリーにたちまち参入することになったのはいうまでもない。
 
 「秋茄子は嫁に食わすな」
 
 という古からの言葉には、美味い物を嫁には食べさせるな、という嫁いびりであるという説と、サバイバル教訓であるという説がある。
 
 サバイバルというのは、体を冷やす効果があるナスを冷え性が大敵の女性がたくさん食べ過ぎると健康を害する=子供を産めない体になる、ということを用心しての教訓なのだそうな。
 
 でも目的はなんであれ、こんなに美味しいモノを目の前にして食べられないだなんて、イジメ以外のナニモノでもないよなぁ…。
 
 むしろ
 
 「丸ごと焼きナスを嫁に食わせてレパートリーに入れてもらえ」
 
 というほうが遥かにシアワセに繋がる教訓のような…。
 
 あ、ポリコレ的にモンダイがあるジェンダー・バイアスネタで申し訳ございません。あくまでも我が家での話ということでご勘弁を…。 
  


Posted by クロワッサン at 06:37Comments(4)水納島の海島の美味いもの

2023年09月20日

偽の証。

2023年 9月19日(火) 晴れ昼頃にわか雨

北東の風 おだやか 水温27度~29度

 今日もおおむねいいお天気だったけれど、お昼時には例によってにわか雨に。
 
 これは時系列予報でも朝からしっかり雨マークが出されていた時間帯で、珍しく予報どおりだったから驚いた。
 
 夕刻にはすっかり晴れて、夜の帳が降りると空には満天の星空。
 
 季節柄、午後7時過ぎにはもう、天の川が中天にあった。
 
 こういった星空を撮るなら、ちゃんとしたカメラを用い、ちゃんと三脚を立てて、ちゃんと考えて…と、あれやこれやの「ちゃんと」の連打が必要だったはず。
 
 その「ちゃんと」がいいコンコロもちになっている時間帯にはいちいち面倒だから、ついつい夜空を見上げるだけで終わってしまうというのに、近頃のスマホの性能には心底ビックリ仰天させられた。
 
 夜空に向かってスマホを掲げ、ホイ…と写真を撮るだけで、なんとなんと思いっきり天の川まで写っているではないか。
 
 それも、アプリだなんだと面倒くさいことなどひとつもなく、ただ撮影ボタンをタップするだけで。
 
 大画面にすると1つ1つの星々は多少手ブレしているのかもしれないけれど、たとえば拙日記上で小さな画像を掲載する程度であれば、まったく申し分ない星空の写真が撮れてしまえるとは…。
 
 ただしこれはiPhoneの機種にのみ許された性能だそうで、iPhoneじゃないスマートフォン、略して「じゃないフォン」では、いくら撮っても真っ暗にしか写らないという。
 
 そこに大きな価格差があるのは知っていたけれど、星空画像ひとつでこの差となれば、その価格差にもナットクの高性能だ。
 
 ただしそうやってスマホがどんどん高性能になっていく一方で、それに頼って生きることになる人類は、ますます低性能になっていくのだろうなぁ…。
 
 話は変わる。
 
 今年新年早々からなぜだか注目することとなったモンツキスズメダイとニセモンツキスズメダイ。
 
 当時は真冬だけにチビターレの姿は観られず、夏になったらそれぞれの幼魚もこの際ちゃんと撮っておこう…
 
 …と思っていたことを、夏も終わりかけのこの日になってようやく思い出した。
 
 過去に何度も紹介しているだけに、オトナを観て両者の違いがわからないというヒトはまさかいらっしゃらないだろうけど(ホントか?)、チビターレをひと目見てどちらかわかるというヒトはまだまだ少ないはず。
 
 突然ですが、そこでモンダイです。
 
 下の画像2点のうち、ニセモンツキスズメダイはどっちでしょう?
 


 あいにく思い立ったのが遅すぎたため、どちらも激チビというわけにはいかないものの、ほぼ同サイズのチビターレだ。 
 
 基本的に両者は住み分けているようなのだけど、場所によっては同じところでどちらも観られることもあり、上の2匹は同じ場所にいて、流れてくるエサをパクつきながら、ときおりツーショット可能な距離にまで接近してもいた。
 
 オトナに観られる両者の明確な違いはチビターレの頃には出ていないから、手掛かりは色味の違い…と信じて疑っていないワタシ。
 
 なのでどちらか片方だけ観てもすぐに違いが分かる…
 
 …つもりでいるのだけれど、はたして両者のこの色味の差は、本当に種類が異なることによる差なのだろうか?
 
 出題しておきながらアヤフヤでどーもスミマセン。
 
 一応当サイト的正解が気になる方は、こちらをご参照ください。 
  


Posted by クロワッサン at 06:02Comments(0)日々の徒然水納島の海

2023年09月19日

ヒトデがいいヒトデ。

2023年 9月18日(月) 晴れ16時前後にけっこうな雨

南東のち北東のち南東の風 波ありのちおだやか 水温27度~29度

 オキナワではカタブイと呼ばれる局所的にわか雨が、このところヤケクソのように各地で頻発している。
 
 その挙句にカタブイが大集合して、本格的ストロングタイプのまとまった雨になる…というのもパターン化していて、この日はそれが午後4時前後の小一時間に当たっていた。
 
 最終便でお帰りになる日帰り客のみなさんは大変だったことだろう。
 
 その1時間前に渡久地港までタンクの運搬を済ませておいた我々はギリギリセーフ。
 
 天気予報が予報しきれないこの極端なカタブイ大集合は、どうやら南からの湿った気流がドンドコドンと北へ北へ向かっているためのようで、水蒸気をたっぷり含んでいるその気流が、次から次へと雲を作っているらしい。
 
 なにがどうなったらこの暖湿気流がおとなしくなってくれるのか知らないけれど、ともかくしばらくはこういう天気が続くということなのだろう。
 
 おちおち布団も干していられない。
 
 さてさて、3連休の最後の日というのに早朝から作業台船がやってきて、砂防ネット内に入れるためにけっこう長い間砂防ネットが解放されていたせいで、白濁水が外に大量に流出していたこの日は、干潮が午後遅めということもあって、リーフの外はどこもかしこも白内障の景色になってしまっていた。
 
 砂といえば、水温が再び上昇傾向で適温になったからか、このところキヘリモンガラたちが精力的に産卵床を作っているのだけれど、彼らの巣作りの影響なのか、この四半世紀以上に渡る水納島でのダイビングでずっとずーっと観続けていたジュズタマイソギンチャクが、ほとんど砂に埋もれてしまっていた。
 
 もちろんのこと、クマノミたちの姿は1匹も無し。
 
 その根全体がうっすらと砂を被っているような塩梅だったから、すぐそばでキヘリモンガラが激しく巣作りをしていたためか、もしくは砂を運搬している作業台船からボロッ…とこぼれたかのどちらかだろう(おそらく前者だと思います…)。
 
 幸いジュズタマイソギンチャクは絶命していなかったから、クマノミのチビターレたちが再びたどり着いてくれるかもしれない。
 
 一方、そこからもう少し離れたところ=キヘリモンガラの産卵床のすぐそばには、こちらで紹介しているチュウモクサンゴが数々の試練にも負けず頑張って育っていたのだけれど、これまた砂の影響か、はたまた他の要因なのか、こんな姿に変わり果てていた。
 

 最後に生きている姿を目にしたのがいつのことだったか覚えてないけれど(< それってチュウモクしてないってことなんじゃ?)、最後に撮ったのは2ヵ月前のこと。
 

 この時点で、すでに奥側半分が死んでしまっていることがわかる(白く見えるけれど手前側は生きてます)。
 
 奥側が死んでいるのは、たしかこれより前にシロレイシガイダマシの食害に遭っていたためで、とりあえずその時貝は排除したからその後さらに食害が進むことはなかった。
 
 ところがなにかがどうにかして残りの部分も死亡し、ついに群体完死の運びとなってしまった。
 
 2017年から注目し始めたチュウモクサンゴ、これにてジ・エンド。
 
 これくらいのサイズに育ったものにはもう手(胃袋)を出せなくなるマンジュウヒトデにとって、育ち始めのミドリイシは格好のエサになる。
 
 その他エサには事欠かないマンジュウヒトデだから、個体数は多い。
 
 そのマンジュウヒトデに失礼して引っくり返して見ると、お馴染みのヒトデヤドリエビが何匹もいる…
 
 …のがフツーだったのだけど、ここ10年くらいでマンジュウヒトデにヒトデヤドリエビが暮らしている確率がめっきり減ってしまった。
 
 ヒトデヤドリエビが激減しているのだろうか?
 
 ところが、マンジュウヒトデで観られる率が高かった頃にはかなり遭遇率が低かったアオヒトデなど、他のヒトデでヒトデヤドリエビに会う機会がやたらと増えている気がする。
 
 先日も、なにげにふと目をやったルソンヒトデの足元に…
 

 …ヒトデヤドリエビの姿が。
 
 いくら脚が5~6本あるヒトデとはいえ、この体表面積にこのエビのサイズはミスマッチのような気が。
 
 ところがこのルソンヒトデ、ヒトがいいならぬヒトデがいいのか、失礼して引っくり返してみたところ、なんとなんと、ヒトデヤドリエビが4~5匹ついていたからビックリした。
 
 といっても、全員を一堂に会して撮れるものではないので、とりあえず複数いる証的に…
 

 ルソンヒトデといえば濃い目の色だから、エビちゃんがヒトデの色に合わせてこういう色にになっているのはよくわかる。
 
 ところがこのルソンヒトデには、こういうカラーリングのものもいた。
 

 こんな色だと目立ってしょうがないんじゃ??
 
 ところがさにあらず、ルソンヒトデの裏側は、わりと白っぽいのだ。
 

 なるほど、これなら目立たないかも。
 
 ところで、ヒトデヤドリエビにかぎらず、このテのエビちゃんたちは、メスのほうが大きな体つきをしている。
 
 そのためダイバーが注目するのはついつい大きめの個体、すなわちメスばかりということになるのだけれど、このテのエビちゃんたちはまた、体に比したハサミ脚の大きさが、メスのほうが小さめになっている。
 
 なので特にクラシカルアイダイバーには、ヒトデヤドリエビ=ハサミ脚がそれほど目立たない、というイメージがあるかもしれない。
 
 でもおそらくオスらしき小ぶりな子を観てみると…
 

 …ヒトデヤドリエビらしからぬ(?)けっこう立派なハサミ脚を持っていることがわかる。
 
 とまぁこんな具合いにエビちゃんをシゲシゲと見比べることができたのも、小さなヒトデにたくさんついてくれていたおかげ。
 
 1匹につき脚1本、て感じで優雅に暮らしているのだろうか。
 
 それはそうと、マンジュウヒトデにおける遭遇確率が激減しているにもかかわらず、こんな小さなルソンヒトデにエビちゃんが複数…って、いったいどういうことなんだろう?
 
 ひょっとして、多くのダイバーが水納島を訪れるようになり、エビサーチをする変態ダイバーも激増して、マンジュウヒトデが引っくり返されいじくられ、エビちゃんとしてはとてもじゃないけどマンジュウヒトデで暮らしていられない…ということになっちゃったのだろうか。
 
 もしそれがジジツなら、お次はルソンヒトデがいじくり倒されるようになるかも…。
 
 ちなみにルソンヒトデは、潔さにもほどがあるだろうといいたくなるくらいの自切マニア(?)で、危険を感じると脚の1本2本を平気で提供し、大事な本体はその場を離れていくという物凄いサバイバルテクニックを持っている。
 
 なのでヘタにルソンヒトデをいじくると、すぐに脚がもげてしまう。
 
 ルソンヒトデの脚の再生能力がいかにすごくとも、世の心無い変態ダイバーがルソンヒトデに注目してしまったら、そこらじゅう脚が無いルソンヒトデだらけになっちゃうかもしれない…。 

 ルソンヒトデに頼らずとも、マンジュウヒトデでいくらでもヒトデヤドリエビが観られる世界の復活に期待しよう。


  


Posted by クロワッサン at 07:02Comments(0)水納島の海

2023年09月18日

アカハチシステム。

2023年 9月17日(日) 晴れ時々くもり夕刻大雨

南東の風 波あり 水温27度~29度

 3時間ごとの天気を予報する時系列天気予報では、この日はおおむね晴れということになっていた。
 
 ところが日中は雲が広がる時間帯も多く、陸上は過ごしやすいものの海中は暗くなってしまう。
 
 それでも前日のように雨に祟られることがない分、「いい天気」といえばいい天気だったから、ああよかったよかった…
 
 …と思いきや、夕刻には誰も予想していなかった土砂降りの大雨に。
 
 こんなとてつもない雨を降らせる雲なんて、1時間前の雨雲レーダーのどこにもなかったし、沖縄気象台も石原良純も何も言ってなかったけどなぁ…。
 
 胡散臭い気象予報士はともかく、このところの雨雲レーダーって、1時間先のことすら当てられなくなっている気がするんだけど、「何時間も先の雨情報がわかる無料アプリ」なるものの成績(?)はどんな塩梅になってるんですかね?
 
 というか、物凄くハイテクな機器を利用した科学的予報システムというイメージをついつい抱いてしまう雨雲レーダー、実際のところどういう「レーダー」を使ってるんだろう?
 
 端的な説明を見てみると、以下のように述べられていた。
 
 「雨雲レーダー(気象レーダー)は、水平方向に360度回転するアンテナから電波を空中に向けて発射し、雨雲(雨粒が浮遊している状態)から反射してくる電波を捉えることで、その方向や距離、雨や雪の強さを観測する仕組みです。」
 
 ということは、この先発生するかもしれない雨雲についてはわかんない、ということなんじゃないの?
 
 それでありながら「何時間も先の雨情報」だなんて、ほぼほぼ当たるわけないような気が…。
 
 いずれにせよこの仕組みなら、スマホを天にかざすだけでOKなんていうアプリがそのうち登場して、性能的に追い越されてしまうんじゃなかろうか、雨雲レーダー…。
 
 よもやの大雨を眺めながら、気象庁と各種民間天気予報の先行きを憂う秋の夕べなのだった。
 
 さてさて、まさかの大雨に見舞われたりしながらも、海中は初夏アゲインとでもいうべき状況になっている。
 
 やはりZターン台風6号がもたらした大雨&長雨で低下した水温が再び上昇し始めて、魚たちの繁殖期が2度目のピークを迎えたのだろう。
 
 そのおかげで、9月も半ば過ぎというこの時期になって、各根にスカテンのチビチビがワンサカ集まっていたり、キンメモドキのチビターレ集団がドッと増えていたりする。
 
 これほどチビチビが爆発的に増えていれば、↓このようなチビチビは日々の食事にまったく不自由しないことだろう。
 

 これは4センチほどのオニカサゴの仲間のチビターレ。
 
 しばらくここに居てくれればなぁ…と期待を込めて翌日も訪れてみれば、見事にGone…。
 
 単に見つけきれなかっただけかもしれないけど。
 
 リーフ際ではこういうチビターレにも出会った。
 

 メタリックグリーンに輝く2センチほどのチビターレ、これが何ブダイのチビかすぐさまおわかりになる方は、相当な変態と思われる。
 
 このメタリックグリーンチビターレの正体は誰で、成長するとどのように体色が変わっていくかということについては、こちらをご参照ください。
 
 チビターレといえば、近年になってやたらと遭遇頻度が増えているのがアカハチハゼのチビチビ。
 

 けっして珍しいハゼではないけれど、どちらかというとリーフ内のほうが主生息域なのか、リーフ内で遊んでいると、1匹で蒲鉾が作れそうなくらいに大きなサイズのペアをちょくちょく見かける。
 
 それに比べるとリーフ外、それもリーフ際から程近い死サンゴ石ゴロゴロゾーンにいるアカハチハゼは幼魚もしくは若魚がもっぱらで、それすら以前は出会う頻度はそれほど高くなかった。
 
 ところが数年ほど前からなぜだかチビターレとの遭遇頻度が激増していて、死サンゴ石ゴロゴロゾーンにいれば、フツーにチビチビのペアに出会うことができるようになっている。
 

 若魚サイズ以降のアカハチハゼはだいたいこの色なんだけど、チビターレの頃は周囲の環境に合わせるからだろうか、同じ場所でも季節が異なると、かなり濃い目の色になっていることもある。
 

 若魚サイズになっているペアでこういう色をしているアカハチハゼを観たことがない(気がする)から、これはチビターレ色のひとつということなのだろうか。
 
 随分昔に撮った↓このチビも、おそらく色が際立っていたから撮ったはず。
 

 ともかくそんなわけで、個体数が激増しているおかげでナマイキにもチビチビの頃からペアになっているアカハチハゼだち。
 
 でこのアカハチハゼペア、観ていると食事の際には必ずどちらか一方が周囲を警戒していて、一方がモグモグする、というお約束がある。
 
 ほぼほぼかわりばんこだから、まるで水飲み鳥を2つ並べたかのような様子が観ていて微笑ましい。
 
 
 
 このスキンダイビングにおけるバディシステムのような食事方法は、サバイバルのためには欠かせないアカハチシステムなのだろう。
 
 でもずっと観ていると、ごくごく稀ながら同時に食事することもある。
 
 そういう場合は、後刻巣穴で夫婦反省会でも開くのかもしれない。 
  


Posted by クロワッサン at 06:21Comments(0)水納島の海

2023年09月17日

日陰の日陰に生きる。

2023年 9月16日(土) 晴れたり雨降ったり

南東の風 波あり 水温27度~29度

 昨日までは本島にだけ降っていたにわか雨だったのに、この日は雲の範囲を広げ、島の空までスッポリ雨雲に覆われた。
 
 久しぶりのまとまった雨。
 
 干からびかけていた雑草たちはもちろんのこと、ようやく復活なったのにこのところの少雨傾向で疲弊していたあたいぐゎのオクラたちも、小躍りしながら雨を歓迎していた。
 
 ずっと雨ってのも困るけど、ずっと晴れってのも何かとモンダイがあるわけで、ナニゴトもほどほどが一番。
 
 空が雨雲に覆われると暗くなる海中ながら、浚渫工事に起因する白内障的白いモヤを除けばこの日も快調だ。
 
 先月のZターン台風がもたらした大雨のために極端に下がった水温のためなのだろうか、本来なら水温が高くなりすぎてグッタリしているはずの季節に再び精力的な繁殖行動を頑張っていたらしく、このところまた各種チビチビたちが目立つようになってきている。
 
 サンゴの枝間を覗いてみれば、多くのダイバーにスルーされていること必至のベラの仲間たちのチビチビの姿も多い。
 



 それぞれ10ミリから15ミリくらいのこれらベラチビターレたち、いったい誰のチビチビか、おわかりになりますか?
 
 …というか、それ以前にスルーしているヒトのほうが多いから、存在すら気づかれていないかもしれないチビターレたち。
 
 ちなみに上から順に、ムナテンベラダマシ、カザリキュウセン、シチセンムスメベラのチビターレたちです。
 
 チビといえば、先日紹介したハマクマノミのオス候補2番手君は、今日も健在だった。
 

 ひと回り大きい1番手君に比べると、その行動範囲はタマイタダキイソギンチャクのほんの一角に限定されてはいるものの、ストロングメスに撃退されることもなく局地的に己の地歩を固めているようで、このようにイソギンチャクの触手の外に出てのんきにアクビまでしている。
 

 オス候補2番手でありながらこの自由度であるのに対し、れっきとしたペアがいるところにたどり着いてしまったハマクマノミチビターレは、せいぜい触手の隙間から顔を覗かせる程度。
 

 目立ってしまうとたちまちペアに撃退されてしまうから、体色を淡くしてイソギンチャクの触手の陰でひっそり暮らしているのだ。
 
 ちなみにこの薄幸のチビターレの存在にワタシが気がついたのは梅雨時の6月のことで、当時コンデジで撮った写真を見てみると…


 …↑これから3ヵ月経った今現在と、サイズも色も居場所もまったく変わっていない。
 
 これが間違いなく同一個体であるという確証は何も無いものの、それまで居た子が突如いなくなることはあっても、ちょくちょく観察しているイソギンチャクでチビがホイホイ入れ替わるなんてことはそうあるとも思えないから、まず間違いなく同じチビターレだろう。
 
 となると、居場所はともかく、サイズが変わっていないというのはどういうこと?
 
 それは、先住者のペアが徹底的にイジメ倒しているから。
 
 己が予備軍でしかないということを普段から先住ペアに徹頭徹尾叩きこまれているチビターレは、成長速度がとてつもなく遅くなる…というかほとんど成長しないのだ。
 
 同じイソギンチャクで、ポンポンオトナサイズの同居人が増えていく…なんてことになったらペアも大変だから、先住ペアは新参チビをイジメることによって、成長ホルモンかなにかをコントロールしているのだろう。
 
 のんきにアクビをしているオス2番手のチビとはまったく対照的な、日陰の日陰に生きる予備軍チビターレなのである。
 


  


Posted by クロワッサン at 05:26Comments(0)水納島の海

2023年09月16日

乗り越える魚たち。

2023年 9月15日(金) 晴れ

南東の風 ベタ凪ぎのち少し波あり 水温27度~29度

 午後になると風が出てきて洋上にも白波が出てきたけれど、昨日今日と午前中は真夏もかくやというベタ凪ぎ。
 
 ノーストレスの海況で、脳味噌までとろけてしまいそうだ。
 
 脳味噌がとろけるのを防いでくれているのは、今日も夜明け過ぎからガンガン掘りまくっている浚渫工事だったりするけれど。
 
 でも工事も工期がここまで長引くと、そこに作業台船がある、というのがだんだん当たり前になってきて、風に運ばれてくるタグボートやユンボの排ガスさえ無ければひとつの風景になっている感がある。
 
 実際朝桟橋に到着する大勢の日帰り観光学生たちの初っ端の一言を聞いていると、到着するなりビーチ側の海を見ては、景色の美しさ、海のきれいさに感嘆する若者言葉が連発されている気配がある。
 
 子供の頃から世の中にイヤなモノがありすぎて、すでに作業台船など目に入らないのか、脳が存在を打ち消してしまっているのか。
 
 それはそれである意味サバイバル技術なのかもしれない…。
 
 そんな学生日帰り客の人数も昨日あたりからガクンと減り始め、ビーチはコロナ禍中の真夏くらいのほどよい人数に。
 
 ベタ凪ぎの海は真夏でも、季節はしっかり秋になっているのだ。
 
 そうやって季節が移ろい変わっていくなかで、その後の彼らはどうしているだろう?
 
 彼らとは、かつて何度か紹介したハンディキャッパ―フィッシュたちのこと。
 
 リーフ際で健気にフツーの暮らしを続けていた、ツインテールこと尾ビレ欠損ネッタイスズメダイは、見るからにハンディ激大な状況にもかかわらず、この日も健在だった。
 

 見るからに大変そうな状況…とわかるのは、スズメダイ類がそもそもどういうフォルムをしているかということをご存知の方に限られてしまうので、わかりやすく健常ネッタイスズメダイのフォルムと比較してみると…
 

 左奥でボヤッとしているのが、健常フォルムのネッタイスズメダイ。
 
 もうどう考えてもツインテールは不便そうでしょう?
 
 初遭遇時はまだ傷痕も生々しく、切断部分からは肉も見えていたというのに、まるで最初からこういう形状だったかのように修復されている。
 
 尾ビレを失った当初こそかなり不便だったろうけれど、初遭遇当時からわりと大きかったこのハンディキャッパ―ネッタイの周りには現在小柄なネッタイスズメダイたちも増えていて、そんな若手に対してこのハンディキャッパ―は厳しく接している…
 
 …というか、フツーにえらそうにしている。
 
 広い範囲を遊泳する暮らしではないだけに、尾ビレの欠損は致命的ではなかったらしい。
 
 動きを観ているとオスっぽいから、次回の繁殖シーズンにはメスを相手に熱烈ラブアタックなんてシーンも観られるかもしれない。
 
 一方、同じように尾ビレを失ってしまっていたハンディキャッパ―オウゴンニジギンポも、ほぼ同じ場所で健在だった。
 

撮影:オタマサ

 ネッタイスズメダイと違い、オウゴンニジギンポはひとつのサンゴ群体の周りだけが生活圏内というわけではない、ということはわかっちゃいたけれど、思いのほか行動範囲が広く、サーチしても出会えない日のほうが多いハンディキャッパ―ギンポ。 
 

撮影:オタマサ

 初遭遇当初とそのひと月後が↓こんな感じだった尾ビレ。
 
 久しぶりに会ってみれば、尾ビレがかなり再生していた。
 

撮影:オタマサ

 ただし損傷があまりにも酷かったからか、再生している尾ビレはいささか取って付けた感があり、そのために泳ぎ方にはいささかぎこちなさが。
 
 
 
 それでも広い範囲を暮らしの場にしているようだから、けっこう遊泳しているのだろう。
 
 泳げるとなれば、もちろん食事もフツーに摂っている。
 
 
 
 欠損当初こそ相当不便だったろうけれど、その後省エネルギー摂餌テクニックをしっかり身に着けたらしく、海底付近では頻繁に何かをゲットしていた。
 
 このあたりでの生活には、まったく支障はないらしい。
 
 とにかく死ぬまで懸命に生きる魚たちのこと、この程度の試練など試練のうちには入らないのかもしれない。
 
 逞しき彼らに乾杯。
  


Posted by クロワッサン at 05:55Comments(0)水納島の海

2023年09月15日

クリーニングアドベンチャー。

2023年 9月14日(木) 晴れ

南東の風 ベタ凪ぎのち少し波あり 水温27度~28度

 タイガースファンではないワタシが言うと、いらざる誤解をされたり誹謗ととられたりしかねないんだけど、プロ野球をこよなく愛する身としてシンジツをひとつだけ言わせていただくと…
 
 阪神ファンはロクでもない。
 
 いや、これはもうタイガースファン以外が認めるシンジツですから。
 
 もちろんのこと勝っている時はみなさん超ゴキゲンでも、ひとたび負けが込み始めると途端に豹変し、愛憎の「憎」が大幅に膨れ上がって、選手、コーチ、監督への偏執的異常的個人攻撃へと発展していく。
 
 なので監督を引き受けた岡田監督も、今年はきっと苦労するだろうなぁ…と個人的に岡田監督ファンとしては心配していた。
 
 ところがフタを開けてみれば、開幕から絶好調。
 
 これがまたその後の豹変へとつながるのは間違いない…
 
 …と、ますます気の毒に思っていたワタシ。
 
 案の定、首位を走っていたところちょっと躓いて2位になったりすると、早くも豹変した「憎」増大ファンがケチョンケチョンに言い放ち始める。
 
 まだ2位なのに…。
 
 コロナ禍でデビューしたため、満員のスタンドからの大声援という意味では初体験だったからだろうか、若きスラッガーのはずの佐藤選手が未経験の不振に陥ったり、昨年まであれほど安定していた青柳がまったくダメダメになったりすると、これまたたちまち「憎」三倍増で個人攻撃に走る阪神ファンたち。
 
 ホント、ロクでもない。
 
 なので夏以降に他のチームに追い上げられ、そのまま失速していくと、もう目も当てられない状況になるのは必至。
 
 ロクでもない阪神ファンたちが、最終的には
 
 「岡田の顔がアカンッ!」
 
 とまで言い始めるまで時間のモンダイ…と勝手に思っていた。
 
 監督就任以前、「球辞苑」にチョコチョコインタビュー出演していた岡田氏を観て以来ファンになっていたワタシとしては、ロクでもない阪神ファンから守るため、岡田監督がいかに素晴らしいかという一大擁護キャンペーンをはろうと心に決めていた。
 
 ところが!
 
 夏以降もそのまま快走が続き、9月に至ってはいまだ1度も負けることなくそのまま一気にゴールイン。
 
 これにはロクでもない阪神ファンの愛憎の「愛」も、留まるところを知らぬほどのうなぎ上りの百倍増しだ。
 
 というわけで、一大擁護キャンペーンの必要などまったく必要なかったのだった(クライマックスシリーズで負けちゃったら出番があるかも…)。
 
 そんなタイガースがマジック5で迎えた火曜日、甲子園での巨人戦は、珍しくNHKBSで中継されていた。
 
 秘密基地で心地よい午睡を堪能したあと、ビールを飲みながら野球観戦するシアワセ…。
 
 そんなヨロコビに浸っているときに、試合中画面の上に「ニュース速報」の文字が。
 
 はてさて、またどこかで大雨が降って被害が出ていたりとか?
 
 …と思いきや、その速報は内閣改造にあたり入閣が決まった方々を、いちいち1人ずつ知らせる「ニュース速報」なのだった。
 
 野球中継を観ている時に、誰それが入閣決定などという「ニュース」をリアルタイムで知りたいヒトがいる…と本気で思っているのだろうか。
 
 そりゃ永田町のごく一部の関係者は固唾を呑んで報せを待っているんだろうけど、そんなのは他の多くのケースと同じくただの永田町文化でしかないのに。
 
 NHKBSの野球放送の場合、「副音声では場内の音声だけでご覧いただけます」などというテロップが出て、実際に副音声にしてみると、ヘタクソな実況やウルサイ解説などを聞く必要が無くなる(ワタシはNHKBSの解説陣は好きですけどね)。
 
 それと同じく、「青ボタンを押すと、ニュース速報が流れなくなります」という選択肢を作ってくれればいいのに。
 
 まぁそんなわけで、交響曲「滅びの笛」が第4楽章まで達している今のニッポンにとって、屁のツッパリにもならないまったくどーでもいい内閣改造、案の定改造内閣に期待するという声は低空飛行を続ける首相の支持率よりも低いという絶望の極地。
 
 多くの人々に期待されたかったのなら、首相自体を交代するほうがよほど支持されたんじゃないですかね?
 
 というか、なんで政治の世界には、ロクでもないタイガースファンのような「憎」激増現象が起きないんだろう?
 
 あ、そもそも「愛」がないから「憎」もあるわけないのか…。
 
 ところで知る人ぞ知る、タイガースの岡田監督とマリオネットフミオの最終学歴は同じである。
 
 ナニワで生まれ育っていた岡田少年は子供の頃、テレビか何かで東京六大学野球の試合を観て、「六大学で野球をしたい!」と熱烈なファンになったそうな。
 
 で、見事目標を達成して都の西北に進学し、大学でも大活躍したわけだけど、勉学のほうは実際にどうだったのかという話はあまり聞かない。
 
 もともとナニワの方なので、喋り方だけ聞いていたら西萩(架空の町です)にいるテツの友だちなんじゃないかと思うほどで、インタビューなどでは合間合間に意味不明の接続詞だか間投詞だかが入ったりもするから、話した言葉をそのまま文字にすると、慣れない人にはまったく意味不明になりかねないところがある。
 
 でも慣れてくると、言っていることは実に筋が通っていて、目的、方法、考察など様々な方面で理路整然としていることに気づく。
 
 そこには野球への愛、選手たちへの愛があるのだ。
 
 テツ喋りなので無愛想なことを言っているように見えつつ、実は誰よりも選手一人ひとりのことを考えていることもわかるし、とにかくいろいろと微に入り細を穿って野球一筋にモノゴトを考えている岡田監督なのである。
 
 すなわち、文字にするといささか意味不明な気がしつつ、その実とても意味深かつ意義深い言葉を発している岡田監督。
 
 一方、文字にするとムツカシイ言葉を使ってそれなりのことを言っているような錯覚にとらわれるのに、ちゃんと読んでみると何を言っているのかまったくわからないマリオネットフミオ首相。
 
 最終学歴は同じでも、そこでいったい何を目標にして何を学んだのか、そしてその後どういう社会に出たのか、という人生の違いで、発する言葉の重みにこれほどの格差が出てくるのだなぁ…。
 
 なにはともあれ、ロクでもない阪神ファンの皆様、おめでとうございます。
 
 話は変わる。
 
 この日午前中はほぼほぼ無風で、洋上は真夏を思わせる超ベタ凪ぎに。
 
 浅いところで水面を見上げれば、天空に広がるサンゴ礁。
 

 あいにくここは島の南東側のリーフなので、リーフ上のサンゴたちが先月のZターン台風にかなり破壊されてしまっているのがザンネン…。 
 
 さて。
 
 魚たちの世界には種類を越えた「信頼関係」があって、これを裏切るともはやその世界では生きてはいけなくなる。
 
 クリーナーと称される魚たちは、この信頼関係があってこそ心おきなく他の魚たちのケアができるわけで、たとえお腹激減りの肉食魚であろうとも、けっしてこの信頼を裏切ったりはしない。
 
 それを遺伝的に知っているクリーナーたちは、疑心など微塵も抱くことなく、他の魚の口の中までケアする。
 
 …ということは理性ではわかってはいるのだけれど。
 
 この日水深20メートルほどの砂地の根で、水納島の場合そういうところでは滅多に見られないドクウツボが、それも特大サイズに出会った。
 

 ただジッとしているだけかと思いきや、ホンソメワケベラの幼魚のクリーニングケアを受けていた。
 
 もちろんのこと信頼関係にある両者のこと、間違ってもウツボがホンソメヤングをパクッとすることはない…
 
 …ということはわかっていても、こんな巨大ウツボの口の中に平然と入っていくホンソメワケベラのあまりの無防備さがスゴイ。
 
 
 
 ドクウツボにその気はなくても、うっかりクシャミ(魚はしませんが…)などされたら噛まれちゃうんじゃ…って気にならないんですかね?
 
 ある意味相当なアドベンチャーかもしれない、ホンソメワケベラの口腔ケア。
 
 でもケアしてもらっているドクウツボの様子を見るかぎりでは、まだ幼魚だからかホンソメの施術は未熟なようで、あと少しでドクウツボの堪忍袋の緒が切れてしまいそうにも見えるのだった。
 
 怒ったらうっかり喰っちゃうのかな? 
  


Posted by クロワッサン at 06:39Comments(0)日々の徒然水納島の海

2023年09月14日

うらにわにはにわ。

2023年 9月13日(水) 晴れ時々スコール

南東の風 少々波あり

 お隣の解体工事は火曜まで作業があって、水曜日には再びバージが接岸して重機やトラックなど作業車と廃棄物の撤収、という予定を現場の方に伺っていた。
 
 1日中工事の音に接していたら気が狂いそうだし、いっそのことそれらがすべて終了するまで本島に出ていることにした。
 
 そのための秘密基地泊だったわけだけど、このところあっちこっちで集合住宅の建設ラッシュが続いていた秘密基地近隣は一段落したのかついに不動産バブルが崩壊し始めているのか、昨日今日の2日間は朝から夕まで実に静かな、かつての「閑静な住宅街」を彷彿させる居心地の良さだった。
 
 静けさを求めるなら島ではなく本島へ…なんていう時代になってしまったのだなぁ。
 
 しかし静けさを求めつつも日中には滞在している機会にやっておくべきことがいろいろあって、ワタシのミッションは裏庭の草刈り。
 
 前回はZターン台風襲来直前だったから、もうひと月以上も経っているわりには雑草の伸びはさほどではないものの、そう言っているうちにあっという間に藪になってしまうから、できるときにやっておくに如くはない。
 
 ちなみにこの裏庭、前の住人が適当に植えた庭木が雑木林化していて、周辺はほとんど「鬱蒼」と言っていいほどの森になっていた。
 

 これはこれで各種鳥さんたちが訪れてくれるし、キノボリトカゲはいるし、梅雨時や秋にはホタルが飛ぶし、イモリもカエルも各種昆虫もいて素敵な状況ではあった。
 
 ところが静けさだけではなく耕作地を求めるのも島ではなく本島という時代になってしまったため、この裏庭の森を耕作地に変える必要に迫られてしまった。
 
 ワタシとしては木々を残して猫の額ほどの土地だけを畑にすればいいと思っていたのだけれど、すでに巨木になっている木々の根っ子が地中に縦横に蔓延っているとなれば、たとえ野菜を作ってもろくに育つものではない…
 
 …と言い張るオタマサの方針に則り、造園業者さんに頼んで、裏庭の木々は涙を呑んで取り払うこととなった(ちなみに今般お隣で解体工事をしている業者さんと同じところだったりする)。
 
 人力では絶望的に思えた作業も、重機を駆使するプロの手にかかればほんの数日でこのとおり。
 

 思っていたよりも広くてビックリした…というか、道路脇に立っている電柱の補強ワイヤーが埋め込まれているだなんて、まったく知らなかった…。
 
 鬱蒼と茂っていた「森」に比べるとあまりにも荒涼とした無味乾燥な土地になってしまったけれど、頑張ってここを耕作地にしなければ、排除された木々たちもまったく浮かばれない。
 
 というわけで昨冬は、せめてひと区画でも畑に…とばかり、まずは石拾いから始まって……って、いまだに石拾いは終わらないままながら、ともかくもタマネギや各種ネギを収穫することができたのだった。
 
 ただし、冬はこまめに畑の世話をすることができても、所詮こっちに腰を落ち着かせているわけではないから、荒涼とした荒蕪の土地も、冬場ですら数か月もするとあっという間に草むらに変身してしまう。
 

 雑草の生育が早いおかげで、絶滅してしまったかと思われたカエルさんたちはいまだ健在だし、各種昆虫もやたらとたくさんいるから、それはそれで良かったのだけど、伸びた草は放っておくと取り返しがつかなくなるので、定期的に刈らねばならぬ。
 
 この夏の間にすっかり伸びた雑草、その草刈り作業を、2リットルほど汗をかきながらこの日の朝のうちに済ませた。
 

 まるっきり刈り払って土を露出させすぎると、コウブシなどもっとヤヤコシイ雑草が蔓延ってしまうから、それらのヤヤコシイ雑草が入り込んでくる余地が無い程度にわざと残して刈る、というのが楽なようで面倒くさいこの草刈り、これでオタマサが次回の畑準備に入るまでは、もう草を刈る必要はないだろう。
 
 朝頑張ったものだから、そのあとは撤収作業が終了するであろう午後遅めの時間まで、特にやらねばならないこともなくうたた寝のひとときに。
 
 静けさに包まれた極上の午睡タイムとなったのはいうまでもない。 
  


Posted by クロワッサン at 06:56Comments(0)日々の作業

2023年09月13日

求む、ハンドルキーパー。

2023年 9月12日(火) 晴れ時々スコール

北東の風 少し波あり

 久しぶりに時間たっぷりで本島に出掛けることができた。
 
 となれば、ランチは滅多に足を延ばせないところまで行ってしまおう。
 
 …とばかり、意気揚々と一路北を目指した。
 
 ゆいゆい国頭のパーラー、ヒルバレージュニアでベーコンチーズバーガーを食べるのだ!
 
 しかし。
 
 胃袋は完全にオイシイ挽肉のバーガー待機態勢となって到着してみれば、なんとなんとなんとなんとなんと……
 
 火曜定休。
 
 年中無休的ゆいゆい国頭本館の脇にある店舗だけに、パーラーもほぼ無休なのだとばかり思い込んでいた…。
 
 付近で自衛隊と米軍の小規模な合同の演習でもあったのだろうか、迷彩服に身を包んだ兵隊さんグループのうち、アメリカーたちがゾロゾロとヒルバレージュニア前に来ては、我々と同じように路頭に迷っていたのが笑えた。
 
 この非常時(?)にヒトのことを笑っていられるのも、こんなこともあろうかと次善の策をちゃんと用意してあったから。
 
 挽肉待機態勢だっただけにショックは大きかったものの、このゆいゆい国頭のフードコートコーナーには、われらの希望の星、カレーの名店「ソウスイ」がある。
 
 たしかソウスイさんは木曜定休だったから、バーガーはお休みでも絶品カレーなら…
 
 …と、絶品カレーを次善の策にするという超ゼータクプランで臨んでいたやんばる路なのである。
 
 さてさて、気を取り直してカレーモードに素早く変身し、フードコートの一番奥にあるソウスイさんを訪ねてみると、なんとなんとなんとなんとなんと……
 
 「誠に勝手ながら本日は臨時休業」
 
 の貼り紙が。
 
 こちらでは迷彩服に身を包んだ自衛隊のみなさんも、同様に路頭に迷っていた…。
 
 かくなるうえはしょうがない、スーパーエクスペンシブな料金となったわぁ~家ぁのテラス席でそばでも食べるか…
 
 …と再びゆいゆい国頭の本館側に行ってみれば……
 
 …もうだいたい予想は尽きますよね?
 
 ええ、思いっきり定休日でした。
 
 完全にインケツの日確定状態となってしまい、途方に暮れつつも食後に寄ることに決めていたゆいカフェで黒糖シュークリームを。
 
 これで売り切れなんてことになったら海に向かって吠える以外に手はないところだったけど、幸いシュークリームはいつものように購入することができた(迷彩服に身を包んだ自衛隊員さんもまた、シュークリームを買っている姿がなかなかシュールだった…)。
 
 シュークリームは無事手に入れることができたけど、さて困った、お昼をどうしよう?
 
 意外に美味しいラーメンを出してくれるお店は開いていたものの、なんだかクヤシイのであたりをさまようことにした。
 
 そういえば奥間ビーチへと続く道の途中に、おばあの名店「ひまわり」食堂があったはず。
 
 と、海沿いから奥間ビーチ経由でグルッと回って訪ねてみれば…
 
 …ええ、やっぱり定休日でした。
 
 国頭村の火曜定休地獄にまんまと陥りつつも、最後の砦的に国頭港食堂に縋ることにした。
 
 やっぱりここも定休日だろうか?
 
 …と半ばあきらめモードでたどり着いてみると、おお、しっかり営業中ならぬ「泳魚中」の文字が!
 
 以前も拙日記にて紹介したことがある港食堂は、開店当初は辺士名漁港内にあって、すぐ近くの名店「波止場食堂」の向こうを張ろうとしたようなのだけど、近年整備された国頭浜漁港の敷地内に移転して2016年にリニューアルオープンした。
 
 我々が初めて訪れたのは2019年のことで、インバウンドだなんだかんだとあったからだろう、芸風が観光客向けにシフトチェンジしていたようなイメージがあった港食堂、はたして現在はどうなのだろう?
 
 もう選り好みしていられる状況ではないから、四の五の言わず入り口にあるウェイティングリストに名前を記入し待つことにした。
 
 昼時ながらさほど大賑わいというわけでもなさそうで、待機リストも2番目だったから、それほど待つことなく呼ばれるだろう…
 
 …と思いきや、用意されているテーブルは店舗内とテラス席だけではなかった。
 
 なんと店舗から海辺へと続く広大な芝生の広場の海辺沿いにある四阿や木陰にもテーブルがいくつも用意されており、そこにもお客さんが料理が出来あがるのを待っていたのだ。

 そりゃこの景色を眺めながら食事できれば最高だろうなぁ…。
 
 遠い席のお客さんはコール音が出る装置を持って待っているらしく、御膳を運ぶのはもちろんセルフで、というシステムになっているようだった。
 
 駐車場に並ぶ車にはレンタカーもあるにはあるけど意外なほど地元ナンバーが多く、地元ユーズのお店の地位を確立している感がある。
 
 そんなお店のお昼時が混んでいないはずはなく、ようやく名前を呼んでもらえたのは30分くらい経ってからのことだった。
 
 ここまでフラれにフラれ、待ちに待ったのだもの、今日はゼータクしよう!
 
 というわけでオタマサがチョイスしたのは、刺身3点盛り地魚のフライ定食。
 

 刺身3点盛りといいつつ、近海マグロとセーイカと思われる刺身はスタンダードメニューで、そこにスペシャルな3点が加わっているから、刺身は実質5点盛り。
 
 で、オタマサの分を配膳してくれたおばあが、オタマサにまるで秘密を打ち明けるようにつぶやいたことには…
 
 「これはアカジンだから♪」
 
 観光客に伝えても価値をわかってもらえないだろうけど、真っ黒に日焼けしていて潮風に刻まれたシワシワの顔となれば、アカジンの価値をたちどころにわかってくれるはず、という期待込みのヒミツ情報だったのだろう(訊けばフツーに教えてくれるだろうけど)。
 
 ワタシも刺身3点盛りを基本に据えつつ、トロサバの塩焼き付きの御膳にした。
 

 もちろんこのあたりにサバの名産地があるはずはなく、サバの産地はノルウェーではあるけれど、このところお弁当に入っている焼きサバがことのほか美味しく感じられるようになっている身には、極上の塩焼きサバ。
 
 でまたもちろん、お刺身の美味しいことといったら!
 
 アカジンの実力は今さらいうまでもないけれど、おそらくゲンナー(ナンヨウブダイ)と思われるイラブチャーもヒレナガカンパチのように見えるコリコリのお刺身も、イカもマグロもどれもこれも素晴らしくオイシイ。
 
 普段の家食でも、鮮魚店やスーパーで買ってきたり、海で襲ってきた8本脚クリーチャーを退治したりして「お刺身」を口にする機会はけっこう多いのだけど、なんだか久しぶりに「お刺身」を食べた感…。
 
 ここはやっぱり…
 
 ビールでしょう!!
 
 メニューには生ビールもあって、隣席ではおとっつぁんたちが美味そうに飲んでいた…。
 
 あいにく生ビールというわけにはいかなかったものの、いやはや、1400円でこの内容。
 
 ポテトと飲み物をつけたら1300円くらいになってしまうA&Wの「高級メニュー」が歯クソ菓子以下に思えてしまう圧倒的な充実度。
 
 いつの日か、ハンドルキーパーを用意して再訪することにしよう。 
  


Posted by クロワッサン at 07:10Comments(2)街の美味いもの

2023年09月12日

体は口ほどにモノを言う。

2023年 9月11日(月) 晴れ夜中に一瞬雨

北東の風 少々うねりあり 水温27度~28度

 9月になってからさらに、サンゴの枝間に各種チビターレの姿がよく観られるようになっている。
 
 オトナにはけっこう出会うのにチビチビには滅多に出会えない魚たちは多く、各種チョウチョウウオ類、特に地味系のハタタテダイの仲間のチビターレはよくて年に1個体くらいの遭遇頻度だ。
 
 今月はその年1チャンスに恵まれ、まずはツノハタタテダイチビターレに遭遇。
 

 出会うたびに騒いでいる気がするけど、なかなか出会えるものではないからその都度ラッキーチャンスなのである。
 
 この日は同じポイントで、ミナミハタタテダイのチビチビに出会えた。
 

 似た形のツノハタタテダイのチビターレよりもさらに遭遇機会は少なく、これまで数度しか出会ったことがないミナミハタタテダイチビターレ、そのなかでもこれは人生最小級サイズだ。
 
 サンゴ群体自体は地味な種類だからパッとしないものの、その枝間には魅力的なチビターレがけっこう潜んでいる9月の海である。
 
 チビといえば、砂底の小さな岩についているウミキノコの傍で、コブシメのチビターレがジッと身を潜めていた。
 

 周囲の状況に合わせて自在に体色を変えることができるイカやタコのこと、このチビコブシメがこの色になっているのにも、きっと理由があるのだろう。
 
 でもカメラを向けていると、嫌がってカメラを避けつつ、体の色を変えた。
 

 カメラを嫌がるくらいだから、そばを通りかかる大きめの魚もイヤなようで、ジッとしているところへツユベラのオトナが接近してくると…
 
 
 
 …咄嗟に体色を変えるコブシメチビターレ(26秒くらいのところ)。
 
 でもこの場合、体の色を変えずにジッとしているほうが、存在に気づかれずに済むと思うのだけどなぁ…。

 ひょっとして、自らの意思と関係なく、体が勝手に反応しているとか?
 
 イヤな上司に声を掛けられ、ついつい「イヤそうな顔」が出てしまう昭和のOL…のようなものなのだろうか。
 
 タコも同様で、隠蔽効果抜群カラーだからジッとしていればこちらは気がつかないところ、わざわざ体の色を瞬時に変えたりするものだからすぐにバレてしまう。
 
 色素胞を巧みに操る高性能カラーチェンジ機能ではあるけれど、その実身を亡ぼすもとにもなる両刃の剣のようなワザなのだった。
  


Posted by クロワッサン at 06:56Comments(0)水納島の海

2023年09月11日

マルコはイタリア人。

2023年 9月10日(日) 晴れ

北東の風 少々うねりあり 水温27度~28度

 すっかり朝晩が涼しくなってきて、日中の風もずいぶん秋めいてきた。
 
 いつの間にか午前5時は真っ暗になってきたし、もうシーズンオフがそこまで迫っていることを実感。
 
 日帰り客もシフトダウンしたようにグッと数が減って、平和な日々まであと少し…
 
 …のはずが、港の大工事その他のために、本当の「平穏」が訪れるのは4年ほど先のことになりそうだ。
 
 もっとも、その頃にはすでに島自体が「平穏」ではなくなっているだろうけど…。
 
 話は変わる。
 
 なぜだか世界名作劇場作品の話になって、当然のように「母をたずねて三千里」も話題に上った。
 
 アニメーションをご覧になったことがあるかどうかを問わず、世界的な不朽の名作だから主人公の名をご存知の方はきっと多いはず。
 
 我々世代の子供の頃はマーケットが大きかったこともあり、オトナが真剣に子供のためにたくさんの良作アニメーション作品を作ってくれていたこともあって、ハイジから連なる系譜の一連の「名作」を観て育った人もまた多い。
 
 なので「~♪ 遥か 草原を ひとすじの雲が…」のゆっくりモードから転調して「さあ 出発だ」と続くオープニングを、YouTubeなどに頼らずともソラで歌える人も多いと思われる。
 
 ただし子供の頃からガマンにガマンを重ねなければならないような話は大嫌いだったから、母をたずねて三千里が名作であることはわかっちゃいても、1年もかけてじっくり鑑賞しようなんて気にはまったくならず、これまで長い間「知ってるつもり」でいたワタシ。
 
 そう、オープニングは歌えても、とにかくマルコがアンデスまで母をたずねる話ですよね…くらいの知識しかなかったのだ。
 
 というか、主人公のマルコ少年がジェノヴァの人だったなんて!
 
 「マルコはイタリア人ですよ」
 
 と語るヒトに、それってマルコ・ポーロのことなんじゃないの?と思わずツッコんでしまった。 
 
 ずっと南米の都会とアンデス方面が舞台なんだとばかり思っていたら、出だしはイタリアだったのですね、母をたずねて三千里って。
 
 そりゃたしかに「三千里」だわ…。
 
 でも「母をたずねて三千里」のマルコの場合、思い浮かぶ絵柄といえば↓これでしょう?
 

 まさかこのアンデスの少年っぽい子が、マルコ・ロッシなどという名のジェノヴァ人だったとはなぁ…。
 
 これは「忘れていた」のではなく、間違いなく「知らなかった」ことのはず。
 
 それもこれも、おそらく前作「フランダースの犬」で打ちのめされ、1年も耐えて最後はこれかよ!的な話に我慢できない体になっていたときに「母をたずねて三千里」が始まったためにほかならない。
 
 その第1話のタイトルが
 
 「いかないでおかあさん」
 
 もうこの第1話だけで、次回以降観る気が失せてしまったのだろうなぁ、ワタシ。
 
 もう少し我慢して翌週の第2話も観れば、
 
 「ジェノバの少年マルコ」
 
 で、ジェノヴァの港町のシーンが長く記憶に残ったかもしれない(ちゃんと最後まで観ればハッピーエンドだったみたいだし…)。
 
 マルコがイタリア人だなんてジジツに驚いているのはワタシくらいなものなのか…と不安になったものの、ビジュアル情報で記憶が再生されることが多いということに鑑みれば、イタリアのマルコという絵柄はまったく目にしないまま50年近く経っているわけだから、ワタシ以外にもマルコがジェノヴァ人であることを知って驚いているヒトはきっと多いに違いない。
 
 というわけで、母をたずねてジェノヴァからブエノスアイレスまで旅したマルコ・ロッシ少年は、イタリア人ですからお間違いなきよう…。
  


Posted by クロワッサン at 06:27Comments(4)日々の徒然