徒然海月日記～つれづれくらげにっき～

　日中は初夏のような陽気に包まれた。

　一晩中晴れていてくれればいいのだけれど、夜中に雨が降ると、いささか朝が厄介だったりする。

　先日完了したデッキのペンキ塗り、まだまだ塗料の効果は続いていて、やはり塗る前と塗ったあとではまったく違うことがわかる。

　見栄えよりも重大な効果は、木材の保護だ。

　ただでさえ湿気の多く、日差しの強さも半端ではない沖縄の気候。木材をただそのままに放っておいたら即座に腐ってしまう。　
　屋外における木材の、防虫・防腐処理は大事な作業なのである。

　で、その一環として、撥水効果もある。
　水が木材の中にしみこまないようにするわけだ。

　雨が降ったあとは、その効果が抜群なことを知らされる…………




………水溜りになってるし。

　これを毎朝、店を開ける前にモップで除去しなきゃならない。
　拭くというよりも外へ流してしまうこの作業、やっているとそれなりにちょっと楽しかったりするものの、夜毎雨が降っている日などはさすがに毎朝ウンザリ。

　で、ようやくきれいさっぱり流し終えたと思ったら………

　雨。

　降るとわかっていればそのまま放置しておいたものを…。

　でもまぁきれいになったからいいか、と思っていたら、裏庭やら周辺の未舗装道やら、そこらじゅうを歩き回ったあと、そのサンダルのままでデッキを縦横に歩き回るうちの奥さん。

　……あのぉ、泥だらけなんですけど。

　わりときれい好きであるはずなのに、なんでそういうところは無頓着なのか不思議でしょうがない。

　とまぁこんな具合に雨に祟られつつも、やはり３月ともなると、ひとたび晴れると暑い……。

　この冬、あまりの寒さにじっと我慢の子であったカメたちも、このところやたらと活発になってきた。
　すごしやすい春と秋が、彼らにとって食欲増進の季節らしい。

　ところがせっかく食欲が増進しているというのに、この日のように朝から我々が買出しに行って夕方まで帰ってこないと、彼らは食いっぱぐれることになる。

　牛やヤギさんと違って、刈りとった草をキープしてあるものを与えても、カメさんたちは食ってくれない。

　鮮度が必要らしい。

　だから毎日、カメさんのために草を刈っているものの、朝から出かけて夕刻帰ってくる日にはそうもいかない。

　ではカメさんたちはどうするのか。

　そんなときに便利なのが、陸ガメ用フード。
　ドッグフードの陸ガメ版のようなもので、少し水に浸してやわらかくしてから与える。

　こんな高価なもの、わざわざ我々が買い求めるはずはない。
　ガメラ君の元飼い主さんが、カメとともに大量のカメフードをもたらしてくれたおかげである。

　でまた、たまにあげるだけだからか、よっぽど美味しいからなのか、カメさんたちはこのカメフードに目がない。




　いつもならまだボーッとしている朝8時過ぎでも、ひとたびカメフードをあげるとわらわらと集まってくるのだ。

　ところどころに散らばっているカラフルな玉は、フルーツの香りただようちびカメ用で、子ガメたちにはちびカメ用だけを与える。
　すると……




　なにもそこまで一生懸命脚を踏ん張らなくても……ってくらい、身を乗り出す勢いで食べるのだった。

　もちろんガメラ君も。

　普段は何よりも日向ぼっこを優先する時間帯であるにもかかわらず、小屋から出てきた途端、




　モグモグモグ。
　よっぽど好きなんだろうなぁ……。

　ガメラく～ん、ゴハン美味しい？？




　よかったよかった。

　が。

　カメフードのエネルギーも残りわずかに。
　たとえどんなに大好物であったとしても、ガメラ君の好むままにこの餌ばかり買い与えていたら、たちまち我々は破産してしまうだろう……。