2012年07月21日

母は強し

2012年 7月20日(金) 晴れ

南東の風 波あり 水温27~29度

 この季節、多くの魚たちは繁殖期を迎える。

 海水浴場の範囲内でも同様で、卵を守るために必死な親に、海水浴客が噛まれたりすることもよくある。

 卵防衛闘争本能が最も激しいのは、なんといってもモンガラ類だ。
 相手かまわず撃退行動をとる、という意味ではスズメダイ類も負けてはいないけれど、攻撃力ということになるとモンガラ類の右に出るものはいない。

 ビーチで海水浴客が襲われるのは、ムラサメモンガラという味わい深い名前のくせに、ピカソの色使いのようなド派手な体色のモンガラだ。

 しかし彼らはリーフの外にはいない。
 我々が通常のダイビングで出会う攻撃的モンガラ類の2大巨頭といえば、ゴマモンガラキヘリモンガラである。

母は強し


 全身顔でできているかのような彼らは、直接卵を守っているメスで40センチくらいある。写真のゴマモンガラはオスで、さらに大きい。

 詳しいことは上のリンク先をご参照ください。

 ……ということで、この季節の危険生物と言っていいゴマモン&キヘリモンなんだけど、そうはいっても実際に被害に遭った、というヒトは、今までのところカメラのポートに傷をつけられた某有名海洋写真家だけで済んでいた。

 ところが!

 この日もエントリー早々の船の真下あたりで、ゴマモンガラが卵のケアをしていた。
 その周辺一帯はデンジャーゾーンである。

 エントリーと同時に目ざとくそれを見つけた僕は、ゲストとともに、けっして第一種警戒区域に踏み込まないよう、遠巻きに眺めつつやり過ごした。

 しかし後続の他のゲストは2人連れの方で、潜降にちょっと手間取っているお一人をうちの奥さんがケアしていた間、もう1人の方は船の下でしばらく自由行動をされていた。

 で、実に無邪気にレッドゾーンに突入。

 きっとそれ以前から警告射撃くらいはしていたのかもしれないゴマモンママは、ついに堪忍袋の緒を切らし、実力行使に及んだ。

 そして。

母は強し


 !!!ッ

 脇の一番無防備そうなところをガブッ!!

 ウェットスーツの上からでさえこうである。
 これが耳や手先だったらいったいどういうことになっていたのだろう………。

 このまたとない貴重な被害状況を提供してくださったTさん(男性)は、幸い笑い話で済んだ。
 しかし、たかが魚と侮っていると、どんなしっぺ返しに見舞われるかわかったものではない。
 みなさんくれぐれも危険水域には近づかないようにお気をつけくださいませ。


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Posted by クロワッサン at 08:03│Comments(5)水納島の海
この記事へのコメント
私も20年前、シパダンでやられましたよ。5mmウェットスーツ貫通で二の腕に歯形つきました。
確かに痛いけど、それによって水中でパニックになると怖いですよね。多分、被害者多数おられるのではないでしょうか?
Posted by Hide Kobayashi at 2012年07月21日 12:55
コメントありがとうございます。
多数かレアケースか、アンケートとってみましょう。
襲われたことはあっても、(身を)咬まれるに至るまで放置プレイって方は少なそうな気がするのですが……(笑)。
Posted by クロワッサン at 2012年07月21日 18:12
私も先週噛みつかれましたー。
夏だってことをすっかり忘れておりましたー。
噛まれた所をチェックしましたが、
何ともなってませんでしたー。^^;;
Tさん、お大事に。。。
Posted by Miho at 2012年07月23日 07:52
ああ、フィンだけで済んで良かった・・・。
Posted by せーみや at 2012年07月23日 10:14
Mihoさん、ウカツ過ぎます(笑)。
でも、なんともなってなかったってのは、咬まれた部位のせい?
それとも????
ま、くれぐれもご用心くださいませ。

せーみやさん、あそこまでされるがままの無防備な方ってのも珍しいですからね(笑)。

あ、ちなみにせーみやさんは、
逃げるためにフィンを動かしたら余計にやられてしまう、と思い、
流れに身を任せたままどんどんゴマモンガラのほうへ近づいていくという、
誰にも真似できない冒険王状態だったのでした。
(もちろん救助しました)
Posted by クロワッサン at 2012年07月23日 17:26
 
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