終末のフール。

クロワッサン

2025年01月31日 05:21

2025年 1月30日(木) 晴れ

東の風 うねりあり

 滅茶苦茶冷え込んだこの日は、正午頃になっても室温は12度。
 
 先週東京へ連れていかれた時、到着時の羽田空港の気温はたしか11度だった。
 
 その後も数日は「3月なみの陽気」ということで、地元の方々も「暖かい」と口を揃えていた。
 
 でも数字上はほぼ同じであっても、沖縄の12度のほうが圧倒的に寒い…。
 
 冷え込みが厳しい朝早い時間はさらに寒く、渡久地港を目指すボート上では耳が千切れそうに痛かった。
 
 そんな寒い日になぜボートで本島に出ているのかといえば、それはもちろん上架するため。
 
 先週は突然のことで時化対策を何もできないままになってしまい、連絡船の船員さんたちに多大なお手間をお取りいただいたけれど、上架さえしておけば、台風が来る季節じゃなし、大津波でもないかぎりまずナニゴトも起こるまい。
 
 旧正月=大潮なので、朝の満潮時刻に合わせて島を出発、無事に上架作業を終えることができた。
 

 再び上京するにあたっての、後顧の憂いのひとつはこれで解決だ。
 
 那覇空港発は明日なのだけど、午前中の飛行機だから当日島を出たのでは間に合わないから、この日のうちに島を出て、翌早朝に那覇を目指す。
 
 なのでボートを無事上架してしまえば午後は時間が空くのだけれど、秘密基地は秘密基地で、今のうちにやっておかねばならないこともある。
 
 特にオタマサには。 
 

 ヒミツの畑の作業だ。
 
 今季中に拡張する予定だったエリアは、完遂まであとひと息というところで先週無念の中断となっていたため、なんとかこの日のうちに最後まで…とフル稼働。
 
 そして拡張されたエリアには、この日島から持ってきたレタスの苗が植えられた。
 
 一方、すでに植えてあった島ニンニクやタマネギ、下仁田ネギなどは昨季同様順調に育っている。
 


 プチトマトも、むしろ土壌的に島よりもこっちのほうがいいんじゃないかってくらいに、ずいぶん立派に育っている。
 

 ああしかし、これら千成トマトが赤くなる頃までには、残念ながら帰ってこられないのだろうなぁ…。

 しょうがない、ヒヨドリにくれてやろう。
 
 トマトにかぎらず、植えたものを口にできるかどうかかぎりなくアヤシイところなんだけれど、終末のフールなオタマサの場合、たとえ3日後に巨大隕石が地球に衝突して人類が滅びるということがわかっていても、きっと畑仕事をしていることだろう。
 
 生きているかぎり現在進行形のヒトには、持て余す暇などないのだ。
 
 晩秋からこっち、秘密基地に来るたびに憑りつかれたように畑作業をするオタマサなので、このところはなかなか散歩する時間がなかったのだけど、この日は早めに終えてくれたおかげで、多少は暖かくなっていた午後遅くに1時間ほど歩いてみた。
 
 そして夕食の買い物に出かけたあとは、夕陽もまた美しかった。
 

 これが当分の見納めになりませんように、水納島。 
 
 夕景を楽しんで戻ろうとしていたところ、道の向こうから顔見知りの若い男性が女性を連れ、楽しげにこちらに向かって歩いてきていた。
 
 あれ?
 
 船長!
 
 連絡船のタイセイ船長ではないか!
 
 なんだ船長、彼女とデート中だなんて、隅におけないなぁ!
 
 …と冷やかしたら、
 
 「嫁さんです♪」
 
 え?船長結婚してたの??
 
 聞けば、いつぞや紹介した他の2人の若い船員さんと同時期に、タイセイ船長もご結婚されていたという。
 
 そういえば船員キヨシさんが当時、
 
 「ご祝儀ビンボーだよぉ…」
 
 と嘆いていたっけ…。
 
 もちろんタイセイ船長も我々の現在の境遇はご存知なので、明日からまた上京することを伝え、向こうにいる間は欠航のご連絡はいただかなくて大丈夫です、と伝えておいた。
 
 「戻ってきたら知らせてくださいね!」
 
 そう言ってくれる船長の笑顔を見ているうちに、なんだか帰ってこられそうな気も少しはしてきた旧正月2日なのだった。
 
 では明日、行ってまいります!

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