Pretty Strong。

クロワッサン

2024年11月07日 08:26

2024年 11月6日(水) 曇り時々晴れ

北東の風 時化模様

 早々に連絡船が欠航を確定していたこの日は、ちょっとばかり強めに北風が吹き始めた途端、夏のしんがりは尻尾を巻いてとっとと逃げ出し、いきなり冬の空気に包まれてしまった。
 
 今回の張り出しは、冬将軍の先遣隊だったらしい。
 
 おかげで朝晩の肌寒いことといったら。
 
 今日のところは朝のうちだけながら、ついにTシャツだけではつらい季節の到来だ。
 
 ヒューヒューと音がするほど朝から風が吹いていたから、昨日の主役タゲリは早々にGoneになってしまったかな?
 
 カメさんのエサ採りついでに様子を伺いに手製ヘリポートまで行ってみると…
 
 昨日とまったく同じ場所にいた。
 
 風の強弱はあまり関係ないらしい。
 
 ところがそこへ、カラスが1羽やってきた。
 
 ヘリポート用に丁寧に刈り取られた芝ゾーンスクエアにいるものだから、上空からタゲリがよく見えるのだろう、「ん?」と興味をもったらしいカラスは、舞い降りる勢いでタゲリに接近してきた。
 
 するとタゲリは、すぐさま飛び立った!
 
 おお、羽の裏のツートンカラーがバッチリ。
 
 そして飛び去りつつ、
 
 「ミャー…」
 
 という、子猫のような鳴き声を披露してくれたタゲリ。
 
 ウワサには聞く「ネコのような声」を、初めて実際に耳にすることができたのだった。
 
 とはいえ飛び去ってしまったら、もうこのままGoneなのだろうか…
 
 …と思いきや、島上空を短い半径でグルリとUターンしてきたタゲリは、すぐさま手製ヘリポートに戻ってきた。
 
 よっぽどお気に入りの場所らしい…。
 
 ガメ公用のエサ採りを終え、今度は三脚を手にタゲリのエサ獲りの様子を動画で撮ってみることにした。
 
 ヤツガシラと同じような動きで繰り返し地面をつついているのだけど、いったい何を食べているのだろう?
 
 すると、いきなり大物をゲットした冬の貴婦人。
 
 
 
 獲物はカナブン系の幼虫のイモムシのようだ。
 
 ご存知のようにこのテのイモムシは、身を守るために体を丸めて筋肉(?)をギュッと固くするから、さすがにひと呑みというわけにはいかないらしい。
 
 そのため時間をかけてイモムシの「ギュッ」を解きほぐしつつ、最終的には丸ごとゴックン。
 
 貴婦人らしからぬ大胆な食事の仕方を披露してくれたタゲリ、栄養満点の御馳走にご満悦のようだった。
 
 お昼にも散歩ついでに手製ヘリポートに寄ってみると、ヘリポート脇の井戸へ通じる路上でエサ探しをしていた。
 
 この様子なら、もうしばらく居てくれるかな?
 
 散歩では、久しぶりにカモメ岩の浜に降りてみた。
 
 風下側なので、海辺は穏やかな陽気に包まれている。
 
 この浜辺の奥にあるのが、グンバイヒルガオの群落だ。
 
 陸側から見るとこういう塩梅になっている。
 

 ひとたびストロング台風が来ると、満潮時の波濤はカメラを構えているワタシのところまで達するから、海岸植物とはいえ波による物理的被害が半端ではなくなる。
 
 でも今夏は結局ストロング台風が来なかったから、大波に洗われることなく済んでいるからだろう、グンバイヒルガオは順調に繁茂していて…
 

 これまでこの場所で観てきた中で、最も多く花を咲かせていた(グンバイヒルガオは「ここ」という花の季節が明確ではないので)。
 
 海辺を彩る慎ましやかな花々で、しばしお花見。
 

 でも南向きのこの海岸だからなのか、花々はみんな海の方を向いているため、花を撮ろうとすると海が背景にならない。
 
 そこをなんとか、画面の一部に海が入るように撮ってみる。
 

 晴れてりゃ海も空も青く写ったろうになぁ…。
 
 海岸植物であるグンバイヒルガオは、天然の砂浜海岸があれば、沖縄ならいともたやすく繁茂する。
 
 水納ビーチだって、本来なら桟橋の付け根あたりからずっと群落が広がっていたこともあるのだけれど…
 

@2016年9月

 …海の家の移動その他いろいろと繁茂地を重機でいじくりまわしてばかりいるのと、桟橋脇に砂が堆積しすぎて波打ち際から遠くなってしまったこともあってか、現在はここまで繁茂していない。
 
 でも以前も紹介したように、グンバイヒルガオのタネはドンブラコッコと海を渡って移動できるから、気候が許す場所に自然の砂浜があれば、たちまち繁茂する逞しい植物でもある。
 
 なので温暖化著しい近年では、本来の分布域を越えて、紀伊半島の東、伊勢湾あたりでもグンバイヒルガオの生息が確認されているらしい。
 
 さすがにかの地では冬を乗り越えられず枯死するようながら、トランプ・リターンズとなった地球では、やがて東北地方の沿岸でもグンバイヒルガオが冬を越すようになってくるのだろう。
 
 でもその頃にはもう、自然の砂浜が残ってないか…。
 
 ところで、海を渡るタネとは、どういう作りになっているのだろう?
 
 グンバイヒルガオはアサガオの仲間だから、花の後につく実の部分も、やはりアサガオに似ている。
 

 花の時期がバラバラだから、咲いている花々が見られる一方で、もう実が熟れているものもあるのだ。
 
 すでにはじけているタネをオタマサが見つけたので、手のひらに載せてみる。
 

 おお、アサガオのタネでは見られない細かい毛が、タネをビッシリ覆っている!
 
 なるほど、これがえんえん海を渡っていける浮力のヒミツか…。
 
 …ということを初めて知ったついでに、アサガオの仲間は実はサツマイモ属である、ということもこれを書いていて初めて知ったワタシ。
 
 言われてみれば、花の様子はそっくりだわ…。
 
 台風の多い沖縄では古来台風のたびに、逆に少雨になるたびに飢饉に近い状態になっていたところ、かの野国総管をはじめとする人たちが琉球王国にサツマイモを普及させたことで、人々は凶作から免れるようになったという歴史がある。
 
 それもこれも、グンバイヒルガオに連なるサツマイモの遺伝子に、バッドコンディションでも逞しく生きられるというチカラがあったればこそ。
 
 海辺に咲く花をこのように愛でることができるのは、ひとえに彼らの逞しさのおかげなのだった。

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