2025年潜り初め。

クロワッサン

2025年01月15日 08:00

2025年 1月14日(火) 晴れ

東の風 おだやか 水温21度

 今日は朝からエ・セレーノ!
 
 海辺にいても春風が心地いい。
 

 海もすっかり穏やかになって、こりゃあ絶好の海日和。
 
 昨日はあまりの寒さに戦意喪失してしまったけれど、今日こそは海へGO!
 
 年明けから2週間経ち、ようやく潜り初めだ。
 
 本年最初にカメラが捉えた相手はこの方。
 

 ご存知タツノイトコ。
 
 3センチほどとまだ小ぶりな若魚だけれど、潜り初めで登場するあたり、干支にピッタリ…
 
 …と思ったら、今年は巳年じゃん。
 
 1年を通して最も水温が低くなるこの時期とはいえ、なにしろ気温が低いものだから海水に触れれば生ぬるくさえ感じる。
 
 でも全身を水に浸けたままでいると、たとえ6ミリ半のウェットスーツに身を包んでいても、やはり30分もすれば寒さがつのってくる。
 
 そんな低温だと海の生き物たちも代謝が鈍くなり、成長速度も夏に比べれば遅くなる…
 
 …ような気がするのに、成長が早い系のサンゴ、特にミドリイシ類などは、むしろ冬場のほうが成長スピードが速い気がする。
 
 単に潜る頻度が少ないからそう見えるだけか?
 
 昨年から注目しているクログチニザ・アブノーマルヤングも、先月最後に会ったときはまぁ少し成長したかなってくらいだったのに…
 

 …年が明けて2週間経ったこの日は、ずいぶんクログチニザっぽくなっていた。
 

 小さな画像で見比べても差異などわからないだろうけど、サイズは一回りほど大きくなっていて、先月まではどこかしら儚げだった体色もなにかしらアピールを感じさせるほどにメリハリが出てきているから、実際に海中で観ると「存在感」が増しているのだ。
 
 それに伴って行動範囲も随分広くなっていて、なおかつ昨年まではわりとカメラの前から逃げないお利口さんだったのに、これまでいろいろ経験してきたのか、逃げモードになるのが早くなっている。
 
 オトナの階段を登っているのだろうなぁ。
 
 このクログチニザ・アブノーマルヤングと出会ったのは昨年7月のことで、もう一度おさらいすると、当時は↓こんな様子だった。
 

 現在の姿と比べると、なんとも薄幸そうなたたずまい。
 
 それから2ヵ月経った9月には…
 

 …尾ビレ周辺の黒い部分が増えてきた。
 
 そして10月…
 

 11月…
 

 …と、少しずつ体色にメリハリがついてきているのがおわかりいただけるだろうか。
 
 で、先ほど紹介した12月…
 

 そしてこの日と続く。
 

 当初の7月に比べれば2倍増しくらいになっているから、もちろんこの間ずっと成長し続けていたとはいえ、その成長度合いがこのひと月弱ほどの間が最も速かったように思えたわけでござんす。
 
 それにしても、世の中に水中写真を撮るダイバー多しといえども、クログチニザの成長を記録し続けるヒトなどおそらく他にそうはいないはず。
 
 すなわち、その記録をいともたやすくこうして今スマホでご覧になっているアナタは、日の本一の果報者なのである。
 
 それを喜ぶヒトがいるかどうかは別として…。
 
 それはともかく、このように個体識別ができて成長を追えるのも、このクログチニザがアブノーマルヤングであるおかげだ。
 
 ところで、何をもって「アブノーマル」と称しているのかというと、水納島の海におけるノーマルなクログチニザヤングは真っ黄っ黄だから。
 

 クログチニザの幼魚といえば黄色と相場が決まっているほどで、このキレンジャーがもう少し成長しても(同一個体ではありません)…
 

 …けっしてアブノーマルタイプのようにはならない。
 
 稀にナメラヤッコのそっくりさんタイプとか、意味不明の模様をしているものが観られる程度だ(それらについてはこちらをご参照ください)。
 
 ところが図鑑によっては、
 
 クログチニザの幼魚はナメラヤッコに似ている
 
 と言い切っているものもある。
 
 海域によっては、ナメラヤッコタイプがフツーに観られるのだろうか?
 
 いずれにせよクログチニザヤングたちは、環境に合わせて体色を変えているというよりは、先天的にその色形でスタートしているような気配がある。
 
 だからといってキレンジャーなオトナもナメラヤッコのようなオトナも観たことはなく、水納島の場合最終ゴール地点はもっぱらこんな感じで…
 

 …色味だけでなく、幼魚の頃はラウンドテールだった尾ビレの形まで変わっている。
 
 幼魚の面影が観られるのはオトナになりきるチョイ前くらいまでで、リンク先で紹介しているように、同じ個体でも体色の濃淡を変えるから別の魚のように見えることもある。
 
 なので、↓このヤングアダルトも単に濃淡の違いだけかもしれないけれど…
 

 …ひょっとするとアブノーマルヤングタイプが成長した姿なのかもしれない。
 
 でも…どちらかというとナメラヤッコタイプかな?
 
 そういえばこれを撮った時(2年前)は、ナメラヤッコタイプだ!と盛り上がって撮ったような記憶が…。
 
 と、ほとんどのヒトが見向きもしないクログチニザで勝手に盛り上がってしまったワタシとは違い、オタマサは潜り初めにふさわしく初登場のウミウシに出会っていた。
 
 これ。
 

 ちなみに右側が頭です。
 
 その名をオオウラメリベというらしいこのウミウシは、大きくなると10センチほどにもなる種類だそうな。
 
 この日オタマサが出会ったのは2~3センチというからいわばチビチビなんだけど、それがポツ…ポツ…と2匹いたという。
 
 2匹目はこんな感じ。
 

 オタマサによるとジッとしていたそうで、身じろぎもしないこんなモノを上から見ると、小さなイソギンチャクにしか見えない。

 けれど横から観れば、多少はウミウシっぽくなる。
 

 ちなみに左側が頭です。
 
 1匹目も2匹目も色彩的にはさして美しくはないものの、そのフォルムは「おっ!」と思わせるものがある…
 
 …といっても、これが10センチにまでなったら、「おっ!」じゃなくて「ぎょっ!」となるかも。

 こういうクリーチャーを見て嬉々とするのは、あくまでも一部の変態社会の方々だけなのだろうなぁ、きっと。
 

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