2025年 1月15日(水) 曇りのち雨
北の風 おだやかのち荒れ模様
ローテーションが短すぎる今冬の季節風のせいで、海日和はたった1日で終了。
珍しく2日続けて通常運航だった連絡船も、この日は朝イチ便だけで午後の2往復は欠航となった。
ただし高気圧の張り出しが短期間で終わるのもこの冬の特徴で、強風が吹くのは今日1日だけっぽい。
そこで、まだ海が荒れていない朝のうちに自分たちのボートで本島へ行き、翌日また戻ってくることにしていた。
ところが前日うかがった連絡船の船長の話によると、16日の全便欠航はすでに決まっているという。
はて、16日も欠航するほど風が吹く予報だったっけか?
その後たしかに多少強め予報に変わったけれど、連絡船がたとえ欠航したとしても、ボートで帰ることができそうな程度の風予報だから、我々は予定どおり本島へ。
渡久地港には連絡船の朝イチ便出航前に到着したので、船長にこのあとの運航見込みについて訪ねる時間があった。
それによると、17日もひょっとすると欠航するかも…という。
多少強い風が残る16日はわかるけれど、17日っていったら北風がそよ…と吹く程度なんじゃ?
理由は風だけではなかった。
工期の遅れを取り戻そうと、現在急ピッチで進められている水納港大改修工事は、作業台船が2隻3隻と泊地に停留している時間帯がありながらも、かろうじて連絡船の運航スペースを空けてはいる。
けれど、それはあくまでも机上の空論的スペースでしかない。
風力と風向次第で船の動きが大きく左右されるからこそ、泊地は本来船の全長よりも遥かに長い直径の円が描けるほどのスペースが必要ということになっているのだ。
現在行われている港の大改修工事ではそのスペースを確保することも含まれていて、連日海を白味噌仕立てにしまくっている大規模な浚渫はそのためでもある。
ところがここのところ作業台船が何隻も停まっているものだから、ただでさえ小さなスペースは連絡船にとってギリギリのギリギリ状態になってしまっている。
それを別件で島を訪れた際にたまたま目にした海運会社社長は、たちまちいかりや長介になってしまった。
「ダメだこりゃ。」
それが連絡船となんの関係もない工事であれば、監督官庁の圧力を背景にしたダメ出しですぐさまスペースを確保できるだろうけれど、新港の一刻も早い完成を願う連絡船としては、工事の遅れにつながるクレームもしづらい。
そのため作業台船の事情が優先され、作業台船の作業状況次第では、そよ風であっても連絡船を欠航させるほかない…
…ということになってしまうのだった。
いかりや長介になった海運会社社長とは違い、ワタシはジーパン刑事になろう。
「なんじゃこりゃ!?」
師走からこっち、ただでさえ通常運航の日が少ないというのに、その数少ない運航可能日すら、工事のために欠航になってしまうかもしれないとは。
この先工事がますます本格化し、いよいよ現在の桟橋が使えなくなる段階になったら、その頃には出来上がっているはずの構造物を連絡船用臨時バースにする予定になっている…という話は以前紹介した。
しかも当初は1シーズンそれで我慢すれば…という話だったものが、「5年はみておいて…」なんて話に変わっている…ということもすでにお知らせしたとおり。
でも連絡船用臨時バースもやはり机上の空論的スペースを確保しているだけで、船長によると相当無理がある話なのだそうな。
それを5年って…。
その5年のうち、連絡船が通常運航できる日は何日あるのだろうか。
いつのことになるのか知らないけれど、晴れて水納港大改修工事が竣工し立派な港が出来上がった頃には、島民の暮らしはとっくの昔に破壊しつくされているかもしれない。
たとえそうなろうとも、北部土木事務所都市港湾班はいっさい責任を取ることもなく、ただ前だけを見つめて力強く歩き続けることだろう。