弥生三月冬アララ。

クロワッサン

2025年03月05日 09:02

2025年 3月4日(火) 曇り

そよ風 真冬の寒さ

 前日の雪は一夜明けるとほぼ融け果ててしまっていたけれど、見晴るかす秩父の山々はすっかり雪化粧が施され、青い山なみが水墨画の世界に変わっていた。
 

 なんだか会津に来ているみたい…。
 
 冷え込みは厳しいし、いつ降るとも知れぬお天気そうだったから午前中はオタマサ実家でジッとしていたのだけど、散歩ではけっして行けないところまで断捨離マスター弟嫁が連れて行ってくれるというので、お言葉に甘えることにした。
 
 散歩ではけっして行けないところとは…
 

 ご存知角上魚類。
 
 何年か前にも連れてきてもらった所沢店だ。
 
 アジの刺身といえば茶色くなったものしか売られていない沖縄のスーパーがライフラインの我々にとって、角上魚類はまさに鮮魚パラダイスのお店。
 
 もっとも、こういうところでフィーバーするのは他所から来た田舎者だけかと思っていたところ、東京にお住いの方々でさえ角上魚類で大量買いし、みんなでパーティーを開くこともあるという。
 
 しかもそのパーティーの呼び名は、角上魚類パーティー、略して「角パ」。
 
 その昔「ダンパ」という略称は耳にしたことがあったし、パリーグ応援キャッチフレーズの「熱パ」というのもおなじみだけれど、まさか「角パ」などという略称がまかり通るほどになっているとは。
 
 せっかくだから我々も角パといきたいところだったけれど、サンデー毎日な我々と違ってオタマサ実家のみなさんはそれぞれ明日がある身、お気楽な魚パーティーで食卓を占拠するわけにもいかない。
 
 …といいつつ、サンエーやかねひでではけっして買えないものを見ると、やっぱり舞い上がってしまう。
 
 というわけで今宵は刺盛り♪
 

 パックにされた刺身もたくさん並んでいる一方、刺身用の魚体が丸ごと並んでいるコーナーもあって、そこで注文すると奥で三枚におろしてくれたり刺身にしてくれたりする(無料)。
 
 選り取り見取りの魚たち、新鮮なアジも1匹…と迷わずチョイスしたいところながら、このところ青物ではアニサキス被害が多発していることに鑑み、アジをはじめとする青物系には、一度冷凍するか熱処理してから召し上がれ…という札が掲げられていた。
 
 今宵食べたいのに一度冷凍なんてやってられないし、刺身でいただきたいのに熱処理もありえない。

 かといって我々が買ってきた魚のせいで実家の誰かが悶絶地獄になったりしたら大変だ。

 というわけで断腸の思いでアジは断念(奥に見えているアジは、パックで売られていたもの)。
 
 開幕早々の4番打者の離脱は痛いところながら、(手前左から)メバル、カサゴ、ウマヅラカワハギ(肝つき)のスターティングメンバーで戦うこととなった。
 
 面白いことに、カワハギは魚体によっては肝が無い場合もあるそうで、持っているワタシが選ぶとババを引くことになるかもしれない。
 
 その点店の方に選んでもらったおかげで、適量の肝もゲット。
 
 先年は舞鶴の鮮魚店で舞い上がり、ここぞとばかりに肝を大量に食したところ、この先3年は口にしなくていいってくらいに気持ち悪くなったものだったけど、ちゃんと間をあけて適量をいただけば、やっぱり美味しいキモキモ。
 
 明日はさわらの西京焼きに、つぶわさびが待っている…
 
 …ああシアワセ。
 
 昼前に出かけたので、帰りはどこぞでランチということになった。
 
 女子2人から選択の自由を与えられたワタシは、沈思黙考することしばし、ついに自分の進むべき道が見えた。
 
 そうだ、天丼食べたい…。
 
 というわけで訪れたのがこちら。
 

 外食産業銀座になっている国道299号沿いにある、鶏彩。
 
 大元は各種飲食店チェーンを手広く展開している馬車道(ばしゃみち)という会社で、その各種チェーン店のうち唐揚げとそばに特化しているのがこの鶏彩なのだそうな。
 
 現在埼玉県内に6店舗あるだけで他県にはまだ無いようだから、チェーン店とはいえ埼玉オリジナルブランド。
 
 やよい軒のように沖縄まで進出してくることはまだなさそうだ。
 
 先月初旬のワタシが単身通勤だった日に、オタマサは一度弟夫婦に連れてきてもらったそうだけど、ワタシは初探訪である。
 
 今どきの外食産業では当たり前になっているタブレット端末でオーダーすると、お待ちかねの天丼登場。
 

 上天丼ミニそばセット。
 
 よく考えると、この店に初めて来たのなら唐揚げメニューを食べてこそってところだったんだけど、なにしろ「天丼食べたい」から始まっているので、初志は貫徹しなければならぬ。
 
 上天丼と天丼の違いは海老天が1匹か2匹かという違いのほかに、味付け卵の有無という差もあったらしい。
 

 手前の丸っこいのがその味付け卵の天麩羅で、まさかと思って食してみたら…
 
 完璧な半熟トロトロ!
 
 なんとも驚いた。どうやって作るんだろ…。
 
 その味付け卵天のトロトロの黄身が、また特製タレに合うんだわ、これが。
 
 卵魔人としては人生的ヨロコビの逸品である。
 
 この特製タレの天丼を食べながらのワタシの舌では、とてもじゃないけどそばの繊細かつ微妙な味など感知できようはずはないのに対し(だったらミニそば無しごはん大盛りでよかったのか…)、オタマサはそばがメインの天麩羅盛り合わせせいろ。 
 

 そばがメインとなると、天麩羅用に抹茶塩がついてくるようだ。
 
 鶏の唐揚げがウリの店ではあっても、そばも同様にメインを張っているだけあって、オタマサによると、ちゃんとしたおそばで美味しゅうございました、とのこと。
 
 メニューには同じくせいろメインでありながら、ミニ天丼とのセットもある。
 

 …と紹介すると、ここまでの流れをまったく考えず、またぞろワタシが調子に乗ってもう一品オーダーしたんだろう、と勘違いされる方がいらっしゃるに違いない。
 
 でもちゃんと脈絡を追ってくださっている方はおわかりのとおり、3品あるナゾの正解はもちろんもう一人いるから。
 

 モモイロキレンジャーこと断捨離マスター弟嫁、すなわち羽田空港にこの店アリと知られるカレーうどんの名店cuudの使者である。
 
 彼女はオタマサと1年違いで誕生日がまったく同じ、つまり先々月の釈放日は彼女の誕生日でもあったから、そんなめでたいお祝いの日に着の身着のままで夜遅く流れ着いた我々…。
 
 それ以来スカポンタンな我々のせいで彼女をはじめオタマサ実家のみなさんにも島のみなさんにも大変な負担を強いているという状況は今なお続いていて、ホントはこのようにのんきに天丼など食べている場合ではないのである。
 
 とはいえ御沙汰待ちのまま当局からはまったくのなしのつぶてなのだから、自分から何をどうすることもできない我々は天丼を食っているしかないじゃないですか。
 
 …と開き直っていてもしょうがないから当番弁護士センセイにも相談していたところ、羽田→那覇→羽田の1往復がまったくの無駄になってしまおうとも、この際一度沖縄に戻るか…と思案する運びとなった。

 弥生三月冬アララ、身から出た錆はなかなか落ちないのでした。

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