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2024年03月26日

名護岳登山・前編。

2024年 3月25日(月) 曇りのち晴れ

南の風 波あり

 ひと月に渡って進めていた事務シゴトがようやく終了する予定のこの日は、そのために本島へ出なきゃならなかったのだけど、メインイベントは他にあった。
 
 遅ればせながらの、ホワイトデー記念登山である。
 
 前回はバースデー記念登山で本部富士登頂を果たしたクロワッサン登山隊、今回はホワイトデー記念登山でどこを目指すのか。
 
 それは……名護岳。
 
 これまたオタマサはかつて一度登ったことがある山ながら、なにしろ15年くらい前のことなので、記憶容量とメモリーの性能的に、ほぼほぼ初めてと大して変わらない。
 
 そして今回の登山には、登頂よりも重大な目的があるのだ。
 
 オリオンビール工場の近くからまずは車道を登り始めるコースもあるのだけれど、それだとフツーにただ歩くだけでも3時間近くかかるそうなので、日帰り予定では少々きつい。
 
 そこで名護青年の家からスタートという、前回オタマサが歩いた短縮コースをたどることにした。
 
 青年の家(青少年の家)では駐車場を快く利用させてくれるほか、入山する人数と下山予定を記入すると、チラシ程度の簡略なモノながら登山ルート地図まで渡してくれる親切ぶり。
 
 ペーパーレス社会のこと、そのうちQRコードをスマホでダウンロードしてくださいなんて日が来るかもしれないけれど、そんな日に生きていたくはないなぁ。
 
 さてさて、名護青年の家の場所は覚えていたオタマサながら、さあそこからスタートという段になって、早くも足取りがおぼつかない。
 
 簡略地図を手にしながら歩いていくと、キャンプ場を通り抜けた先に登山道入り口があった。
 
 ただ、どういうわけか出入口がネットで封鎖されている。
 
名護岳登山・前編。

 早くもオタマサ化するオタマサ。
 
 しかしこの封鎖は、↓こういうことだった。
 
名護岳登山・前編。

 ハブ除けネットだったのだ。
 
 なので登山道利用者は、出入りする際にいちいちこのネットを開閉すべしということになっていて、その開閉の仕方が写真付きで説明されていた。
 
 一般的沖縄県民に比べれば遥かにハブ経験値が高いと思われる我々からすると、このネット扉などハブはものともしないような…。
 
 ネットの扉の先は、いきなり亜熱帯の登山道。
 
名護岳登山・前編。

 序盤はけっこうな隘路で、鉄砲水でも来たらあっという間に吹っ飛ばされそうな、ほとんど溝状態の道だ。
 
名護岳登山・前編。

 場所によっては靴の幅くらいしかない逆平均台状態になっているところもあった。
 
名護岳登山・前編。

 そうかと思えば、しっかり拵えれた階段も。 
 
名護岳登山・前編。

 この階段用の資材をいったいどうやって運んでいるんだろう…と思うと気が遠くなりそうな数の階段が、坂道になるたびに出現する。
 
 なかにはかなり急な階段もあって、そういう場合にはご丁寧にも手すりまで設けられているんだけど、先を見るとあまりにも長くて、ただ登ることを考えただけで気が遠くなってしまった。
 
名護岳登山・前編。

 頂上までは、この階段や登山道が上り下りしながら繰り返し続く。
 
 うっそうと茂る木々からは、えもいわれぬ花の香りがたちこめている。
 
 柑橘系の花々とはやや異なるその香り、いったいどの木の花が放っているのだろう…と気にしていたところ、路面に花が大量に落ちている場所があった。
 
名護岳登山・前編。

 ひとつ手に取って香りを試してみたところ…
 
 …あ、この香りだ!
 
 帰宅後調べてみたところ、この花はエゴノキの花らしい。
 
 花が咲いている画像では、まるでプチトマトが生っているかのごとくズラリと花が密集勢揃いしている。
 
 こんなに花がたくさん咲けば、そりゃ周辺はこの花の香りに満ちることだろう。
 
 勝山ではシークァーサーがそれだったように、エゴノキはこの山の春の香りなのかも。
 
 香りのほか、沿道には興味深い動植物がポコポコ現れる。
 
 キノボリトカゲも、大小各サイズ各カラーがそこかしこで姿を見せてくれた。
 
名護岳登山・前編。

 ↑これは尻尾の先まで5センチくらいのチビターレ。
 
 もちろんオトナもいる。
 
名護岳登山・前編。

 ただしキノボリトカゲたちは「キノボリトカゲでござ~い!」とアピールしているわけではなく、どちらかというと人知れず静かに潜んでいるので、明後日の方向を見ていると、その存在に気がつかないかもしれない。
 
名護岳登山・前編。

 ちなみに↑このときはたまたまそんな感じに写っているだけで、オタマサは記憶性能は劣悪でも発見機能は優れているから、キノボリトカゲがいたらたちどころに見つけることができる。
 
 地味なところで今回特徴的だったのがこちら。
 
名護岳登山・前編。

 カタツムリと同じく陸生の、キセルガイの仲間。
 
 あいにく乾燥しているから貝から身を出しているものは1匹もいなかったけれど、やたらと数が多く、木の幹に何匹もついていることもあった。
 
名護岳登山・前編。

 恥ずかしながらワタシは初認識だったのだけど、こんなにたくさんいるのにこれまで知らなかったということは、環境を選ぶということなのだろう。
 
 木々がうっそうと茂っているからか、チョウの姿はそれほど目立たなかったものの、初遭遇となるチョウもいた。
 
名護岳登山・前編。

 (おそらく)クロセセリ。
 
 水納島で観られるセセリチョウの仲間といえば地味地味ジミーな黄土色っぽいものばかりだから、シブく黒でキメている姿がやたらとかっこよく見えた。
 
 そんなクロセセリもさることながら、ここでさらに注目すべきは、クロセセリが吸蜜している花。
 
 かつて喜如嘉の七滝で見た、アカボシタツナミソウだ。
 
 いったいこの花のどこの何が赤星なのかいまだに不明ながら、名護岳を代表する草花のひとつなのである、とオタマサは言う(ホントかウソかは知らない)。
 
 ただし前回登った時に比べると、まったく目立たなくなっているとも言っていた。
 
 知っているヒトにはツトに有名でも、知らないヒトにとっては名もなき草花たちは、人知れずひっそりと姿を消していく。
 
 実が目立っているものもいた。
 
名護岳登山・前編。

 重さで花芽が垂れ下がっていたほどのこの実は、(おそらく)ノシランの実。
 
 園芸植物にもなっているようだから、きっとご存知の方も多いのだろう。
 
 頂上付近の開けたところでは、こういう花も咲いていた。
 
名護岳登山・前編。

 この花が咲き終わり、実が膨らんで熟すと…
 
名護岳登山・前編。

 イチゴちゃんになる。
 
 これはおそらくリュウキュウバライチゴ。
 
 子供の頃、こういうのを草原で見かけると「それは毒である」と近所のニィニィたちに教わったものだったけど、リュウキュウバライチゴは食用OKだそうで、野山に生きる方々はこれでジャムを作ったりするそうだ。
 
 それを知っていれば試食したろうに、子供の頃の教えが…。
 
 三つ子の魂百までとはよく言ったものである。
 
 < そういう意味でしたっけ?
 
 そんなこんなしながらなのでやたらと時間をかけつつ、ついに頂上到達!
 
名護岳登山・前編。

 ~♪ 僕は空になるぅ~~~(ダーバダーバダーバダーバダーダーダー…) by さだまさし

 頂上を示す標識の根元には…
 
名護岳登山・前編。

 「よく頑張りました」
 
 と、まるで通知表のような誉め言葉が。
 
 この齢になるとヒトから褒められることなどそうそうないので、ちょっぴり心をくすぐられた。

 でも345メートルで空になるも何もないか…。
 
 この名護岳から西を見ると、ちょうど本部半島の付け根から半島の先側を見渡すアングルになる。
 
 なので視界の右端は羽地内海とその先に古宇利島が…
 
名護岳登山・前編。

 そして中央には名護市街と本部半島の山々が…
 
名護岳登山・前編。

 左側には名護湾…
 
名護岳登山・前編。

 …を一望できる。
 
 そんなベルベデーレを一望しながら頂上でやることといえば…
 
名護岳登山・前編。

 お弁当♪
 
 今回も仲宗根ストアで買ってきたふみちゃん弁当のカキフライだ。
 
 山を登るたびにカキフライ弁当を食べていると、なんだかワタシにとっての牡蠣は「山の幸」になってしまいそう…。
 
 さてさて、いろんな動植物にも会えたし、登頂には成功したし、美味しいお弁当も食べたとなれば、これにて目標達成、一件落着…
 
 …というところながら、実は今回の名護岳登山の目的は、頂上に至ってもまだ達成されてはいなかった。
 
 その目的とは?
 
 そしてその結果は?
 
 後半へ続く。 by キートン山田


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Posted by クロワッサン at 08:54│Comments(4)観光山川草木
この記事へのコメント
名護岳。かつて名護青少年の家で働いたこともあり、私にとってはホームのひとつ。23日、24日の日の出から9時までは、とある作業ボランティアで、山頂にいました。
アカボシタツナミソウは春先が花。奄美大島から沖縄島に固有。中南部では湧水付近に見られるらしいです。本部町八重岳山頂駐車場近くの法面でも見ました。
明日の、後編も楽しみにしています。
Posted by 屋我地 at 2024年03月26日 14:10
微妙なニアミスでしたね(笑)。
最後の一文、ありがとうございます。
そういってくださる方がいらっしゃると、
夜明け頃から2時間かけて書いている甲斐もあるというものです(笑)。
Posted by クロワッサン at 2024年03月26日 17:44
今日の新聞だったかな?
名護岳までノグチゲラの棲息分布が広がったとか言う記事があったので、さすが!それを見に行ったのかと思いながら読んでましたが、ノグチゲラは見なかったのですね。
まあ、それにしても345mを登るなんて、ビル3階に上るのも嫌な私には決してできませんな。尊敬いたします。
Posted by ガキヤヒロシ at 2024年03月26日 17:52
私どももそのタイムリーな記事は事前に読んでいたので、
登山中どこかでドラミングの音が聴こえはしまいか…
と一応気に掛けてはいました。
でもノグチゲラについては、まったく偶然の産物ながら、
目の前すぐのところで姿を拝見する機会があったこともあり(随分前にヤンバルクイナ探訪をしていた際のことでした)、
人生的経験という意味ではすでに満足しており、今回の主目的ではなかったのでした(笑)。

本部富士に比べると時間がかかることもあり、名護岳は(ワタシには)けっこうつらかったです(笑)。
Posted by クロワッサン at 2024年03月27日 06:06
 
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