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2024年04月28日

がんばる顔黒パパ。

2024年 4月27日(土) 未明雨のち曇りのち午後晴れ

南の風 波あり 水温22度~23度

 前日の予報がいい方向にはずれるという、フルフル詐欺が続いている流れで、前日には雷雨予報が出ていた時間帯もすっかりいいお天気に。
 
 午後にはすっかり晴れ渡り、本気を出し始めた春の太陽が容赦なく照り付ける暑い1日になってしまった。
 
 雨続きのわりには水温は順調に上昇していて、エントリー時の首筋ヒヤッと感がずいぶん緩和されているから、海へ行く際の寒さ冷たさへのプレッシャーがようやく無くなっている。
 
 というわけで、この日の午前中も海へ。
 
 さすがゴールデンウィーク初っ端、朝イチ便の連絡船にゴミを出してから出航する頃には、洋上にはたくさんのダイビングボートが浮かんでいる。
 
 みなさんの営業を邪魔しないよう、端っこの空いているところに行ってみた。
 
 昔はしばしば訪ねていたポイントなのに、ここを訪れるのは今年初めてかも…。
 
 なので何がいるとか何を観るという目的はまったく無かったのだけど、今年もこのチビチビが姿を見せ始めている。
 
がんばる顔黒パパ。

 これを見て「ホンソメワケベラの幼魚」と思われた方は、もう当サイト出禁です。
 
 わからないけど今さら訊けない…という方は、似非エンジニアさんにお尋ねください。きっと水中にいらっしゃっても大声で教えてくれることでしょう。
 
 各根を巡って浅いところに帰ろうとしていた時、20メートルちょいのところにある根で、レアものとの遭遇が待っていた。
 
がんばる顔黒パパ。

 仮面の忍者赤影でいうなら、紅影と同じくらいマイナーな存在かもしれないベニハナダイ。
 
 本来は潮通しのいいドロップオフ下といった環境を好む魚のようだから、砂底の根にいるってことは「不運にもこんなところにたどり着いてしまった」ってことなのだろう、過去に一度だけ複数匹いた根でオスになりかけた子はいたものの、立派なオスの姿になるまで成長することはまずない。 
 
 まだ幼く色味はメスのそれだから、ほんのり淡い色合いがなんともかよわげに見える。
 
 プレデターたちにとってみれば、格好の獲物に見えてしまうに違いない。
 
 最浅記録更新のベニハナダイ、いつまで居てくれるかな…。
 
 彼女の今後が気になるところながら、このテの魚に会えるとやっぱりうれしい。
 
 ただ、このテの魚といえばこれまではたいていワタシが発見していたというのに、この日はなんとオタマサに教えてもらった。
 
 しかもこの日一度訪れていたにもかかわらず、その時には気づけなかった…。
 
 ウーム…。
 
 浅いところに戻ってくると、顔黒状態のイシガキカエルウオの姿が見えた。
 
がんばる顔黒パパ。

 明らかに興奮モードであることがわかる顔黒、その傍にはノーマルカラーの子がいた。
 
がんばる顔黒パパ。

 きっとこっちがメスで、顔黒オスは求愛でもするのかな?
 
 …と思ったら、顔黒オス、すぐ近くの巣穴に入ってしまった。
 
 このままナニゴトもなく終わるのだろうか…
 
 …と思ったら、顔黒オスは巣穴からあたりを見渡したあと、再び穴から出てくると、今度はホバリングしながら体をクイッとクイッと上下させる求愛泳ぎで、メスらしきもう1匹にアピールし始めた。
 
 すると、素早くその場を立ち去るメスらしきもう1匹。
 
 クイックイッ泳ぎをしている顔黒オスもそのあとをしつこく追うも、相手にまったくその気がなければどうしようもないのだろうか、すごすごと引き返してきた。
 
 一連の動きがホントにこのような話なのか、それとも傍にいるもう1匹をただ追い払っただけなのか、ともかく顔黒オスは、巣穴からゴキゲンそうに顔を出している。
 
がんばる顔黒パパ。

 これよりももっと身を乗り出しているときもあって、その際には胸ビレをずっと動かし続けていた。
 
 ん?
 
 この動き……ひょっとして?
 
 昨日のフタイロカエルウオや、いつぞやのヒトスジギンポといった、同じ仲間の同じ仕草をこれまで何度か観てきたおかげで、この動作が何をしているのか見当がつく。
 
 そう、卵に水流を送っているのでは?
 
 先ほどは外に出てさえいたというのに、巣穴を覗かせてもらおうとすると、逆に意地でも巣穴から出なくなる顔黒オス。
 
 そのかわり奥に引っ込むことはあるから、その隙になんとか穴の中をうかがえるように撮ってみたところ…
 
がんばる顔黒パパ。

 これって……卵ですよね?
 
 なにしろスリムなイシガキカエルウオだけに巣穴の間口は狭く、なかなか光が奥に届かないため卵らしきモノが写っているのはこれ1枚だったんだけど、卵だとするとどうやら産みたてっぽい。
 
 ひょっとすると先ほどのもう1匹は、無事産卵を終えたイシガキママで、用が済んだらとっとと失せろとばかりにイシガキパパに追い払われていたのだろうか…。
 
 それはともかく、顔黒オスがこのように巣穴から身を乗り出している様子はこれまでにも何度か観たことがあるのだけれど、実はいずれの場合も巣穴の中には卵があったのかもしれない。
 
 卵守り中にもかかわらず、余計なちょっかいを出したことも多々あったような記憶が…。
 
 顔黒イシガキパパのみなさん、今さらながらではありますが、罪に等しい無知を伏してお詫び申し上げます。
 
がんばる顔黒パパ。

 ちなみにこの顔黒パパは、こんなに狭い間口の巣穴にもかかわらず、頭から入ってすぐに顔を出す。
 
 
 
 巣穴の中には、身をクルリと翻せるほどのスペースがあるのだろう。
 
 そりゃメスがこの中に入って産卵するんだもの、入り口の狭さがずっと奥まで続いていたら、出すものも出せないか…。 


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Posted by クロワッサン at 07:43│Comments(2)水納島の海
この記事へのコメント
記事を読む前にサムネイル画像で何の魚か判ってしまいました(笑)
Posted by 似非エンジニア at 2024年04月28日 08:10
そういえばスマホ版ページではサムネイル画像が出るのでしたね。
それにしても、ひと目でおわかりになるとは…
もうすっかりベラマニアですね(笑)。
Posted by クロワッサン at 2024年04月28日 10:45
 
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