サンゴまで、あと3年。

クロワッサン

2025年01月30日 07:18

2025年 1月29日(水) 曇り時々晴れ

北の風 波あり

 ようやく風はおさまったものの、朝からとてつもなく寒いかった。
 
 日が高く上ってからも気温はそれほど上がらず、ひとたび風の当たるところにいたらたちまち体温を奪われてしまうほど。
 
 こんな極寒の日に、暖かい日の沖縄普段着で都内を彷徨うことにならずにすんでよかった…。
 
 激寒ではあっても風はおさまったので、連絡船は5日ぶりに通常運航となった。
 
 なので連絡船が到着する前に、連絡船用バースに避難させてあったうちのボートを元の位置に戻さなくては。
 
 でまた桟橋上にいると寒いこと寒いこと。
 
 でも海水に濡れたロープを持つと…
 
 …生ぬるい。
 
 今や真冬の水温になってはいても、気温と比べると遥かに高いから、お湯のように感じられるのだった。
 
 風がおさまっても連絡船が欠航するようだったら、ボートで行くしかないと覚悟していたところ、通常運航になってくれたおかげで、連絡船でワタシだけ本島へ。
 
 在庫が切れかけている常用薬の処方のため。
 
 実は渡久地港で身柄を勾留された時のワタシは、まさに野毛病院まで薬の処方してもらいに行こうとしていたところで、沖縄に戻ってきても、土曜の午後も日曜日も病院は休み、月曜火曜は連絡船が欠航と、まったく病院に行くチャンスがなかったのだった。
 
 病院まで行くとなると、別方面でいささかモンダイが。
 
 あのような報道を垂れ流されてしまっては、どのようなツラを下げて病院の窓口に行けば?
 
 おかげさまで水納島のみなさんも船員さんたちも全国3000万人のクロワッサンファンのみなさんも、そしてその他我々のことを信じてくださっている多くの皆さんも、垂れ流される報道に左右されることなく励ましの声を掛けてくださるけれど、小さな社会とはいえ、顔は知っている程度のヒトがご覧になれば…。
 
 やっぱ引かれるかなぁ?
 
 と、少々ドキドキしながら病院を訪れたところ、それほど待たされることなくセンセイの診察の番が巡ってきた。
 
 「このところの体調はどうですか?」
 
 それは身柄を拘束されていたことをふまえての質問に違いない。
 
 はぁ、、いささか事情がありまして……事情はご存知ですか?
 
 「もちろんですよ!」
 
 あ、やっぱり?
 
 「私も算数できますから!」
 
 へ?
 
 あ!
 
 算数というのは、前回薬を処方してからの日数のことか。
 
 センセイが合点した「事情」とはすなわち、もうお薬が切れているってことだったのか!
 
 やはり日々忙しく働いているセンセイともなると、テレビニュースはもとより、ネット上でさらされ続ける垂れ流しニュースなど、いちいち見ているヒマはないのだなぁ…。
 
 というわけで、フツーに診察してもらって処方され、薬局で薬を購入。
 
 これでこの先3ヵ月は薬切れの心配をせずに済むこととなった。
 
 そのあと銀行に行っても、馴染みの窓口のレディはフツーに対応してくれていたから一安心(ひょっとしたら緊張していたのかもしれないけど…)。
 
 地域社会における暮らしに不便は無さそうだ。
 
 昼食は抜くつもりでいたのだけれど、13時渡久地港発の便まで時間があったので、たちまち井之頭五郎になってしまった。
 
 腹が…………減った。
 
 久しぶりに仲宗根ストアで売られているふみちゃん弁当にしよう。
 
 ワタシのイチオシでもあるカキフライ弁当を想定していたところ、残念ながら店頭には無かった。
 
 次善の策のチキンカツ弁当を選びレジに行くも、店員さんにもワタシを極悪犯と誤解する様子はなかったのでここでも一安心。
 
 渡久地港の駐車場に戻り、旧正なので大漁旗をはためかせている漁船群を眺めながら、~♪お弁当お弁当うれしいなぁ♡と歌いながらフタを開けたところで気がついた。
 
 ありゃ?割箸が無い??
 
 さてはレジのご婦人、箸を入れ忘れちゃったか?
 
 いや……待てよ。
 
 ふみちゃん弁当にはいつも、弁当のフタを留めている輪ゴムで割箸も一膳留められてあるはず。
 
 でもすべて手作業だから、なかには割箸を添え忘れたものもあるのだろう。
 
 というか、たまさか手にしたお弁当がそのハズレって……やっぱり持っているワタシ。
 
 このままじゃせっかくのお弁当を食べられないので、水納海運の窓口に泣きついた。
 
 スビバセン、事務所に割箸はありませんか?
 
 すると事務レディのえーりーちゃんは、「(割箸がついてないなんて)ひどいねぇ」と言いながら、棚の上から割箸がたくさん入った袋を見つけてくれた。
 
 助かった…。
 
 もちろんのことニュースを知っているえーりーちゃんではあったけれど、長年培われた我々の信頼関係には、1ミリの傷もついてはいなかったのだった。
 
 さてさて旧正月のこの日、前述のように渡久地港の漁船たちはみな大漁旗を掲げていた。
 


 旧暦の1月1日が今月29日にあたるのは今年たまたまそうなっているだけだけど、1月29日といえば我々にとっては不動の記念日でもある。
 
 そう、うれしはずかし結婚記念日。
 
 オタマサの誕生日同様、危うく人生最悪の結婚記念日になるところだったけれど、おかげさまでオタマサスペシャルの御馳走で祝うことができた。
 
 当日記でネタにした一昨年がちょうど30周年だったから、今年は32周年だ。
 
 30周年には真珠婚式という名前がついていた記念日ながら、15周年以降は5年ごとにしか名前がついていない。
 
 ちなみに35周年の名前は、珊瑚婚式という。
 
 珊瑚まで、あと3年。
 
 おお、その頃はもう、還暦オーバーなのだなぁ…。 

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