春風駘蕩。

クロワッサン

2025年04月23日 08:35

2025年 4月22日(火) 朝はミストのち晴れ

南の風 少し波あり 水温21度

 人のウワサも七十五日というくらいだから、我々が世間をお騒がせすることになってしまったことも皆様におかれてはすっかり忘却の彼方になってくれているかも。
 
 お忘れいただいたほうがむしろ当方にはありがたいくらいなんだけど、相変わらず毎日のんきにこのような日記を更新し続けているだけに、もしやすでにすっかり片が付いたのでは…?と思われている向きもあるやもしれない。
 
 実際、このところ別件で連絡がある方々からも、「その後どうなったの?」というお尋ねがあったから、他にも「で?」と思っている方がいらっしゃるかもしれない。
 
 そこで4月も残り10日を切った今、とりあえず現状をお知らせしておくと、我々は依然として御沙汰を待っている状態のままでございますです。
 
 御沙汰が無くて御無沙汰になってしまっているのだった。
 
 だからといってこれは異例なことではなく、当番弁護士氏によると、勾留されていない身の上の場合はまぁよくあることなのだそうな。
 
 でもこんだけ待たされてようやく沙汰が届き、それから裁判なんて話になったら、突然日時が決まるわけで、そうなるかもしれない可能性もあることをふまえれば、5月以降のゲストの予約などお受けできるはずもなし。
 
 …となると、以前までのようにダイビングサービスを営業していたら、どえらい経済的被害を蒙るところだった。
 
 それもまた沙汰前の懲罰のひとつなんですかね…。
 
 ああよかった、営業してなくて。
 
 さてさて、前日の天気予報では軽快に晴れマークが並んでいたこの日は、朝から霧に包まれて…というか霧が雨粒になって…いや、それを霧雨というのだろうけれど、霧雨よりはミストって感じの、あたりいったいモイスチャーリンス。
 
 なので、それほど降っているようには見えないのに、桟橋でボートを横付けする作業をちょこっとするだけで濡れネズミになってしまった。
 
 一夜明けたら雲に覆われていたから慌てたのか、当日の天気予報はいきなり手のひら返しで9時からの3時間も曇りと雨マークに変わっちゃったものの、ミストが終わるとだんだん薄日がさすようになってきた。
 
 これならまずまずの海日和。
 
 というわけで、9時頃から海へGO!
 
 2日も間が空けたら劇的に水温が上昇…
 
 …なんてことはなく、依然として21度という低空飛行を続けている。
 
 そんな水温なら、昨夏の高水温で白化してしまったサンゴやイソギンチャクたちはすっかり元に戻って…と誰もが思うところ、冬からずっとお伝えしているように、水深20メートルオーバーでもまだ白いままのイソギンチャクたちが見られる。
 
 ただし褐虫藻が戻ってきているものが増えてきてはいるので、回復傾向であることがわかる。
 
 一方でまだ白いままのものもいて…
 

 …このジュズタマイソギンチャクは、↓ひと月前と比べると、体積が縮んでいるような気もする。
 

 もっとも、廉価版デジタルの色再現では違いがほとんどわからないけれど、海中では先月の純白度合いに比べ、黄色味が増えているようには見えた。
 
 それが回復の兆しなのか、ますます弱っている徴なのかは不明だ。
 
 ところで、先月このイソギンチャクを撮った際、後刻PCモニターで画像を確認したところ、イソギンチャクにはエビちゃんがついていた。
 
 オタマサじゃなし、ワタシがそれを忘れているはずはなく、白い触手の上のエビちゃんを探していたみたところ…
 
 ダメだ…見えない。
 
 いや、曇り空の午前9時過ぎの水深20メートル超となるとけっこう薄暗く、いわば薄暮のようなもの。
 
 クラシカルアイが最も苦手とする照度のなかで、こんまいエビちゃんなどに目を凝らせるはずがない。
 
 これじゃあ前回気がつかなかったのも無理はない。
 
 でもさすがにこの道も長くなると、物理的に見えていなくても、そこにいると信じていれば、ココロの目でちゃんと見えるのだった。
 

 前回画像中でチラ見した際はニセアカホシかと思ったけど、どうやらアカホシカクレエビっぽい。
 
 せっかく白い触手の上にいることだし、それを活かしてより美しく撮らせてもらおう…
 
 …と思ったら、エビちゃんつれなく隠れエビ。
 
 このイソギンチャクにはもう1匹いて、そちらがメスだった。
 

 あいにくイソギンチャクの奥側の縁にいて、しかも後ろ向きのまま態勢変わらず。
 
 次の機会を待つことにしよう。
 
 って、それまでイソギンチャクが保ってくれるだろうか…。
 
 エビといえば、この日は久しぶりに貫禄サイズのムチカラマツエビと出会えた。
 

 昔の水納島では、ムチカラマツをサーチすればかなりの高確率でこのようなプリップリのミセス・ムチカラマツエビに出会えたものなのに、近年はすっかりその数を減らし、出会えてもごくごく小さなものばかり。
 
 といっても、このプリケツミセスにしたって、大きいといっても実測はおそらく1センチほどだろうから、節穴クラシカルでは見えないかもしれない。

 いると信じているからこそ見える、クラシカルなココロの目なのである。
 
 ところでムチカラマツエビといえば、このようにムチカラマツにピト…と寄り添っているのが定番ポーズ。
 
 でも、近づくカメラを避けながら微動するプリケツミセスをクラシカルな心眼で観ていると、プリケツミセスは時々違うポーズを見せてくれる。
 

 少し身をのけぞらせて鋏脚を動かしているだけながら、いつもと違うポーズを見せてもらえるとそれだけでなんだかうれしい。
 
 逆に、ずっと観ていても身じろぎひとつしないものもいる。
 
 こちら。
 

 ご存知ツノザヤウミウシ。
 
 もう少し水温が上がる梅雨頃に出現頻度が増すはずなのに、早くもクマデコケムシにとりついていた。
 
 この箒のようなものがクマデコケムシで、ツノザヤウミウシはそれを専食しているっぽい。
 
 なのでお食事中ならモゾモゾ動いているんだけど、この子は食後の休憩中なのか、それとも産卵を終えてジッとしているのか(茎部分にある白い板状のものが卵と思われる)、観ていてもまったく身動きしてくれない。
 
 でもクマデコケムシ自体が流れにたゆたっているから、実はユラリユラリと揺れている。
 
 その様子がとても心地よさそうだったので、動かないウミウシを動画で撮ってみた。
 
 
 
 いやはや…春風駘蕩でございますねぇ。
 
 ウミウシといえば、前回オタマサは再びイッサイフシエラガイに遭遇していた。
 
 今度は50センチ!
 
 …とはいかず、逆にミニマム記録更新だ(以下の写真2点撮影:オタマサ)。
 

 周辺のスーパーファインな砂粒と比べればおわかりいただけるように相当小さく、オタマサによると、海中で1円玉(2センチ)くらいに見えたというから、実測15ミリほどのはず。
 
 真上から見た姿が、1円玉よりも小さいイッサイ。
 

 50センチのイッサイと、2センチに満たないイッサイ、遭遇頻度的にはどちらがレアなんだろう?

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