シアワセの春。

クロワッサン

2025年04月25日 08:05

2025年 4月24日(木) 晴れ

北西の風 少し波あり 水温21度~22度

 トランプが何かつぶやくたびに乱高下する株価のように、日替わりでコロコロ変わる春のお天気。
 
 もともと天気が変わりやすい春とはいえ、1日ごとにコロコロ変わるとは…。
 
 前日とは打って変わり、コロコロのいいほうが巡ってきたこの日は朝から快晴!
 
 北西から吹く風がやや鬱陶しいものの、おおむね行楽日和&海日和だ。
 
 我々もまた、1日おきに海へGO!
 
 北西から吹く風を避けているのだろうか、洋上のダイビングボートは航路の東側に偏っていた。
 
 そのおかげで、いつもなら1~2隻は停まっている航路の西側のポイントが空いていたので、久しぶりにお邪魔することにした。
 
 ここは同じ砂底のポイントでも、航路より東側の各主要ポイントと比べると、どういうわけか観られる魚たちの加減というか塩梅というかが異なる。
 
 なので、砂底を徘徊しているだけで、なにか「おっ!」となるような魚に出会えるので楽しい。
 
 ただしそれは出会えればこそであって、何か変わったもの…という目になってヤシャハゼやヤノダテハゼといったお馴染みの共生ハゼなどに目もくれないでいると、ただ砂底を徘徊するだけで終わる不毛な1本になるおそれも無きにしもあらず。
 
 そのためかつてゲストをご案内していた頃は、そういうリスクはなかなか冒せないから、ちょいと足を伸ばせばたどり着くそれなりの根を訪ねることが多いんだけど、個人的に潜る分には不毛に終わろうどうなろうとまったく「リスク」ではない。
 
 というわけで、今日は砂底徘徊デーと決めた。
 
 すると、さほど徘徊するまでもなく、いきなり「おっ!」となるお魚さんが。
 
 こちらの方。
 

 このように画像で見ればウツボっぽいことがわかるけれど、「おっ!」となった当初は新種のガーデンイールか?と思ってしまった。
 
 それくらい細く、三菱のHBの鉛筆くらいだろうと思われる。
 
 カメラを向ける前は顔だけじゃなくてもう少し出ていたから、一歩後退してみたところ、少し身を出してくれた。
 

 もう少し待てばもっともっと体が出てくるかな…という期待ははずれ、マックスこれくらいで終了。
 
 ところで、画像でさえ点々に見える顔の模様、実際はこうなっていた。
 

 「モーニング娘。」の「。」が並んでいるのだ。
 
 < 句点といえばいいんじゃ?
 
 こんな不思議的模様のウツボなんて、見たことあったっけ…。
 
 グーグル先生を頼りつつ調べてみたところ、どうやらこれはモヨウタケウツボというらしい。
 
 句点模様にはまったく記憶がないものの、モヨウタケウツボという名には覚えがあるような気がする…。
 
 当サイトお魚コーナーには見当たらないし、この日記サイトの「ブログ内検索」をしてもまったくヒットしないところをみると、少なくとも2011年11月以降には一度も話題には上っていない。
 
 ということは、それ以前にどこかで誰かが出会って撮った画像を、なにかのおりに見せてもらったのかなぁ…。
 
 とにかくワタシ自身は人生初遭遇であるっぽい。
 
 ネット上の情報によると、このウツボはアセウツボのように潮間帯くらい浅いところを好むらしく、成長すると1メートルにもなる種類らしい。
 
 まさかこの細さで1メートルもあるはずはなかろうし、、この子はきっとモヨウタケウツボのチビターレに違いない。
 
 このファーストコンタクトが、モヨウタケウツボの人生最小記録となるのは間違いなさそうだ。
 
 ちなみに彼らはトンガリホタテウミヘビのように日中はいつも砂底から顔だけ出しているというわけではなく、ネット上の画像を見る分には全身を出している状態で撮影されていることのほうが遥かに多い。
 
 浅いところが主生息域だけに、通常のダイビングで出会う機会は少なそうだから、そもそもレア扱いと思われるモヨウタケウツボ、その砂から顔を出しているところというのはさらにレアなのでは…。
 
 これだけでもう、砂底徘徊デーにした甲斐があったというもの。
 
 20メートルより浅いところでは水温が22度になっていたこともあって、シアワセモードでボート下に戻ってきたところ、そこにもシアワセが待っていた。
 
 
 
 なんだか春のシアワセって感じ…。
 
 このアオウミガメのカメ子ちゃんも、実はここでシアワセを満喫していた。
 
  
 甲羅に繁茂している藻を、ハギの仲間たち(ナガニザか?)がツンツン食べて綺麗にしてくれるのが、とても気持ちいいらしい。
 
 根の上だけじゃなく、砂底でもジッとしてハギケアを受けるカメ子(以下写真4点撮影:オタマサ)。
 

 ↑ここではハギたちだけだけど、どさくさ紛れにこういう魚たちも甲羅をツンツンしていた。
 


 ヘラルドコガネヤッコもオトメベラも藻食の魚ではないから、ハギたちとは目当てが違うはず。
 
 それにしても、オトメベラは他の魚などをクリーニングする様子はよく目にするけれど、ヘラルドコガネヤッコがこのようにクリーニングするとは知らなんだ。
 
 …というか、ヘラルド君にとってはこれは他の生き物をクリーニングしているというよりも、岩肌の何かをつついているのと大差ない感覚なのかも。
 
 なんであれこのように甲羅や体をツンツンしてもらうのはカメ子にとって気持ちのいいことらしく、彼女は頭上を見上げつつ目を細めてウットリする。
 

 まさにカメのシアワセ。
 
 一方、アオウミガメがフラリと訪ねてきてくれるのはハギたちにとってもシアワセらしく、カメ子が根に近づいてくるとたちまち甲羅に群がりツンツンし始め、たとえカメがジッとしていなくてもずっとツンツンしながらついてまわる。
 
 
 
 でもカメ子が息継ぎをしに水面を目指し始めると、「じゃ。」とばかり、あっさり離脱して元に戻るハギたち。
 
 ハギたちにとっては、カメがフラリと訪れて去っていくまでが、御馳走タイムということなのだろう。
 
 サンゴが死んで藻だらけだからエサには困っていなさそうなのにこれほどカメに群がるということは、カメの甲羅に生える藻はよほどの御馳走なのだろうか…。
 
 カメと魚たちが戯れている傍らで、ずっとプカプカしていたのがこの方。
 
 
 ワタシが近づいてくるのを嫌がって泳ぎ始めたのだけれど、なにしろデブだから遠いところまでは行けず、手近なところに着底したモヨウフグ。
 
 その着底の様子がなんだか、これぞまさしく胴体着陸って感じだった。
 
 ワタシを避けて↓こういうところに潜もうとしたようだけど…
 

 …このあとふと上層を見上げると、いつの間にか底を離れ、モヨウフグは再びプカプカしていた。
 
 モヨウフグとしては、プカプカしているのがシアワセらしい。
 
 そんなこんなで、モヨウタケウツボと遭遇してシアワセになったと思ったら、実はみんながシアワセな春の海なのでした。

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