2024年04月08日
雨中に活を求めてみれば…。
2024年 4月7日(日) 曇りのち雨夕方曇り
南東の風 おだやか 水温21度
引き続きプレ梅雨のお天気が続いている。
おかげで天気はまったく冴えないんだけど、困ったことにというか皮肉なことにというか、海況はバッチリだったりする。
客としてただ潜るだけならばともかく、ボートの面倒も見ながら海で遊ぶとなると、晴天で時化時化状態と雨模様でもベタ凪ぎ状態のどっちがいいかといえば、それはカレーの匂いがするウンコとウンコの匂いがするカレーだったらどっちを食べる?という究極の選択よりも遥かに答えは明白だ。
もちろん雨模様でもベタ凪ぎの勝ち。
< で、ウンコ問題は?
これが雷雨が予想される状況であれば、四の五の言わずおとなしく家で本でも読んでいるところながら、雨は小康状態、周囲を見渡すかぎりどえらい雨雲の気配はなしとなれば、こりゃあ行くしかないでしょう。
というわけで、朝イチ便の到着前に海へ。
曇天&表層の濁りで、海中はトロピカルなイメージとは程遠いくらい世界ながら、照度が低い時ならではのラッキーチャンスというものもある。
明るいところが苦手なエビカニ系が、普段よりも表に出てきていることが多いのだ。
エビカニ好きなオタマサが、いつも以上に目を皿のようにしてサーチできる好条件とも言える。
ところが彼女がこの日遭遇したホットなクリーチャーはというと…
撮影:オタマサ
…ベニゴマリュウグウウミウシのチビターレ。
過去にオトナには出会ったことがあるから初遭遇ではないとはいえ、スーパーファインサンドに比してこのサイズのチビターレはミニマム記録だ。
この色味だと、赤系が真っ先に吸収される海中では地味に黒っぽい塊にしか見えないんじゃ…と思われるかもしれない。
ところがこのウミウシの場合、海中では地色は地味になる一方で、なぜだか点々模様は妖しく蛍光色を発しているのである。
むしろストロボを当てた色味よりも海中で観る色のほうが、よっぽど神秘的に見える。
ところがストロボを当てて撮った写真をもとに後刻図鑑で調べてみると、「紅胡麻」なんて和名が…。
枯れたススキが幽霊に見えるくらいのほうがよかった…ということも世の中にはあるのだった。
一方ワタシは、エントリーと同時にイトヒキベラにつかまってしまったものの、もう少し足を延ばしていつもの根にたどりつき、以前紹介したことがあるアカシマシラヒゲエビの由紀さおり&安田祥子の童謡姉妹を訪ねてみた。
不審死により先日最期を迎えてしまったサンゴの陰にポジショニングしているアカシマシラヒゲエビは、当初は1匹だけだったところにその後もう1匹現れ、おや、パートナー登場?と思ったら実はどっちもメスだった…
…という話は以前紹介した。
どっちもメスだから、それ以来この2匹を童謡姉妹と呼びながら訪れるたびに毎度チェックしていたところ、この日は少しばかり変化が生じていた。
なんと童謡姉妹に従妹が加わり、新ユニットが誕生していたのだ。
新登場のその従妹とは…
ご存知ホワイトソックス!
一時期シロボシアカモエビという和名がつけられかけたこともあるこのエビは、世にその存在が知られて以来、ずっとスター街道を歩んでいる。
ただし水納島では、ひところ出現が相次いた頃もあったとはいえそうそう出会えるエビちゃんではなく、個人的には17年ぶりの再会だ。
そんなレアものが、童謡姉妹と新ユニット結成。
分類的に近い仲間だし暮らしぶりも似たようなものだから同じような場所にいることは不思議なことでもなんでもないものの、だからといってアカシマシラヒゲエビと一緒に写せる機会などこれまで一度もなかった。
ちなみにこの新ユニットの3匹は、最初から先ほどの画像のようなポジション取りだったのではなく、↓こういう状態だった。
このあと右の由紀さおりが左の安田祥子のほうに移動するのだけれど、その際に真ん中のホワイトソックスの目の前を横切っていく。
そこはそれ、新ユニットのセンターとしてのプライドがあるからか、無遠慮に目の前を横切っていく由紀さおりに対し、ちょっと怒ってみせるシカゴ・ホワイトソックス。
なにげに気は強いらしい。
ところで、かねてより童謡姉妹がこの場所を気に入っていたのは、サンゴの陰で暗いということのほかに、すぐそばにイソギンチャクがいることも理由になっているのかもしれない。
イソギンチャクに寄り添うタイプのエビちゃんではないとはいえ、イソギンチャクのおかげで余計なものが近づいて来ないとなれば、それにこしたことはないってことか。
ちなみにこのイソギンチャク、おそらくイワホリイソギンチャクの仲間と思うのだけど、水納島ではそうそう目にする種類ではない。
ひょっとすると出るところに出れば…というか見るヒトが見れば、ホワイトソックスよりも「おっ!」となるかも…。
このイソギンチャクの助力のほどは不明ながら、童謡姉妹がずっと同じ場所に居続けてくれているからこそ毎度注目していたわけで、この日の17年ぶりの再会は、いわばこの童謡姉妹のおかげといっていい。
そして海中が曇天&表層の濁りで暗かったからこそ、いつもは出てこない場所にホワイトソックスまで姿を現してくれていたのだろう。
グッジョブ、プレ梅雨。
ホットな出会いに気を良くしていたから、リーフ際に戻ってきてから「何かいはしまいか?」というサーチモードでもなく、のんびりポヨヨンと泳いでいたのがかえってよかったのだろうか、意外なところでこんな魚に出会った。
この画像をご覧になり、20センチほどの魚がどこにいるか、ゼロコンマ3秒ですぐにわかった方はさすがである。
3分経ってもわからない方のために…
オオモンカエルアンコウ。 ←大山のぶ代版ドラえもんの声で。
こうして見てみると、オオモンカエルアンコウの尾ビレはヘラジカハナヤサイサンゴの枝に擬態するのにバッチリな形状であることがわかる。
それにしては色が…と思われるかもしれないけど、このヘラジカハナヤサイサンゴは半分かた紫色のカイメンに浸食されているから…
…色味的にも見事に溶け込んでいるのだ。
デンッと構えているようでいながら、実は背景に溶け込み、近寄ってくる獲物を虎視眈々と待っているオオモンカエルアンコウなのである。
しかしその瞳は、案外プリティだったりする。
撮影:オタマサ
目は口程に物を言う…のであれば、オオモンカエルアンコウ、実はいいヒトなのかもしれない。
というわけで、天気予報的にはまったくもってその気になれない1日ではあったけれど、雨中に活を求めてみれば、意外や意外、実にホットな巡りあいが待っていたのでした。
Posted by クロワッサン at 07:31│Comments(6)
│水納島の海
この記事へのコメント
実在したのですよ。(^^ゞ
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%97%E5%BF%97%E3%81%BF%E6%B4%A5
ところで、し瓶に入ったビールと、ジョッキに入った尿、どちらがお好みで?
前者は実在しました。
してるかも?
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%97%E5%BF%97%E3%81%BF%E6%B4%A5
ところで、し瓶に入ったビールと、ジョッキに入った尿、どちらがお好みで?
前者は実在しました。
してるかも?
Posted by ウロコムシ武田 at 2024年04月08日 10:37
このテの話になると、
まるでリーフエッジのヤマブキベラなみに食いついてきますねぇ……さすが(笑)。
ちなみに流れ上仕方なくリンク先を覗いてみようとしましたところ、
「不適切なページ名」
というタイトルのもと、
「指定されたページ名が無効なUTF-8シーケンスを含んでいます。」
という表示が出て、ページを開かせてもらえませんでした。
「不適切」と指摘されるあたり……さすが(爆)。
まるでリーフエッジのヤマブキベラなみに食いついてきますねぇ……さすが(笑)。
ちなみに流れ上仕方なくリンク先を覗いてみようとしましたところ、
「不適切なページ名」
というタイトルのもと、
「指定されたページ名が無効なUTF-8シーケンスを含んでいます。」
という表示が出て、ページを開かせてもらえませんでした。
「不適切」と指摘されるあたり……さすが(爆)。
Posted by クロワッサン at 2024年04月08日 13:43
あら?
ウィキが開けない事が有るんですね。
千歳船橋「志み津」期間限定で存在してました。
ウィキが開けない事が有るんですね。
千歳船橋「志み津」期間限定で存在してました。
Posted by ウロコムシ武田 at 2024年04月08日 16:42
「千歳船橋『志み津』期間限定」で検索してみたら、いろいろ出てきて正体がわかりました。
話題性とその持続力をちゃんと心得た商売だったようですね(笑)。
話題性とその持続力をちゃんと心得た商売だったようですね(笑)。
Posted by クロワッサン at 2024年04月09日 06:20
アカシマシラヒゲエビは、同時的雌雄同体なので、この2匹は雄であり雌である状態だと思われます(正確には雄性先熟性の同時的雌雄同体だとされています)。
Posted by F(ヤシガニ狂) at 2024年04月09日 08:24
おお、F教授!!
アカデミズムの光り輝くご教示、ありがとうございます!
それにしても「同時的雌雄同体」だなんて、
ようするにオトナのアカシマシラヒゲエビは、ウミウシと同じってことですか。
ということは、童謡姉妹とか由紀さおり&安田祥子という擬人化表現は、まったくそぐわないってことに…(困)。
アカデミズムの光り輝くご教示、ありがとうございます!
それにしても「同時的雌雄同体」だなんて、
ようするにオトナのアカシマシラヒゲエビは、ウミウシと同じってことですか。
ということは、童謡姉妹とか由紀さおり&安田祥子という擬人化表現は、まったくそぐわないってことに…(困)。
Posted by クロワッサン at 2024年04月09日 09:16