2016年11月08日

新型蟹江敬三。

2016年 11月7日(月) 晴れ

北東の風 やや波あり 水温26度 
    
 砂地の根を覆うハタンポの群れ、久しぶりに「群れ」になったツバメウオに続き、シーズン最終盤で出会った「撮りたい!」ものがもうひとつ。

 トラギスの仲間。

 これまたシーズン終盤になってその存在を知るところとなった、けっこう深いところにある「サンゴの根」。
 その傍らで、見慣れぬトラギスの一種を見つけたのだ。

 トラギスといえば、ワタシがお魚界の蟹江敬三と称する(重要な脇役という意味で)オグロトラギスをはじめ、沖縄の海にはけっこうな種類がいるけれど、そのどれもがたいてい見慣れている。

 ところが件のトラギスは、少なくとも海中で認識したのは初めてだという自信(?)がある。

 被災する前まで持っていた東海大学出版会の日本産魚類生態大図鑑に、写真が載っていたようなかすかなかすかな記憶があるんだけど、写真でさえかすかなんだから、もちろんのことそこにどう表記されていたかなんてことはまったく覚えていない。

 ともかくそれを見つけたのが先月末日。
 それから一週間経って、はたして同じ場所に同じように居続けてくれているだろうか。

 というわけで、この日同じ場所に来てみると…………

 いた。

新型蟹江敬三。


 ……って、顔だけじゃわかんないじゃん。

 トラギス類といえばたいていそうだけど、この子は若いのも手伝っているのか、オグロトラギス以上に好奇心旺盛で、ジッとしていると向こうから勝手に近づいてくるのだ。
 そのため、むしろ横向きで撮らせてもらうほうがムツカシイ。

 でも正面顔じゃ正体が判明しないから、横向きになってもらう。
 
新型蟹江敬三。


 記憶だけを頼りに探っている間は、ひょっとしてオグロトラギスの模様の変異だったのかも……なんて弱気になっていたんだけど、こうして写真で見比べれば両者の違いは一目瞭然。
 
 オグロトラギスとの最大の違いは↓ここ。

新型蟹江敬三。


 尾鰭に大きな黒点が無い!!

 はてこのトラギス、なんじゃらほい?

 調べてみたところ、なんとも驚いたことに、この魚、その名をオジロトラギスというらしい。

 オグロじゃなくてオジロですか。
 
 図鑑には以前まではコクテントラギスという名で載っていたこともあるらしいんだけど、モロモロのギョーカイ事情で2004年以降「オジロトラギス」になっているんだとか。

 たしかにそれ以後出ている図鑑を見ると、オジロトラギスの名で載ってはいるけれど、写真がまったく違う魚に見えるから、画像や記憶を頼りに同定するのは不可能だ。

 で、オジロトラギス自体は、沖縄県で観られること自体さして珍しいわけでもなんでもないようで、実はフツーにいるらしい。

 ところが面白いことに、ネット上に散見されるオジロトラギスの画像&撮影者のコメントでは、たいていの場合「初めて見た」とか「初めて認識した」となっている。

 変態度が高まるにつれ、あまり目を向けなくなるお馴染みのトラギス類。
 他のトラギス類とさほど変わらぬその色彩のため、たとえそばを通っていたとしても、スルーしてしまっているのかも。

 そういう意味ではワタシも同類項なのかもしれないけれど、もともとトラギス類は好きな魚だし、普段からけっこう注視しているから、今まで見逃していたという可能性は否定したいところではある。

 はたして水納島でもフツーにいる魚なのか、それとも実はレアなのか。

 今後の調査に乞うご期待。

 ちなみに写真の子はまだ若く、メスの色彩を呈している。
 オスになると頬のあたりに縞々が現れるなど、もっと特徴的な柄が加わるようなので、それもまた観てみたいところ。

 とにもかくにも人生「初」トラギス、随分昔のこのトラギスほどのインパクトはないものの、オジロトラギスという名は深く心に刻まれたのであった。

新型蟹江敬三。




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Posted by クロワッサン at 07:48│Comments(0)水納島の海
 
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