ニヒキオオメワラスボ。

クロワッサン

2024年10月21日 04:57

2024年 10月20日(日) 晴れ午前中一瞬雨

北の風 けっこう波あり 水温27度~28度

 今日は朝から予報を上回る強めの風が吹いていた。
 
 欠航の目もあったらしい連絡船はかろうじて通常運航となったくらいだから、絶望的な時化模様というわけではなくとも久しぶりにウサギさんがたくさん跳ね飛んでいる。
 
 このところはずっとおだやかな洋上だったから、ようやく10月らしい海に…といえなくもない。
 
 このあとまた穏やかな日々が続くのであれば、何も今日無理に海へと繰り出す必要もないところ、どうやら台風の影響を受けることが確定的っぽいから、今のうちに潜っておくことにした。
 
 本日は、夏の間なかなか足を運べないポイントへ。
 
 足を運べないのは遠いからとか海況が悪いからとか流れが強いからというわけでもなんでもなく、シーズン中は連日他のボートが何隻も停まっているため。
 
 なので今日は他の誰もまだ島の周りに到着していない朝早めの空き時間に、ちょっくらお邪魔してみた。
 
 かつて何度か紹介したことがある、模様がヘンテコなカクレクマノミはここで観ていたんだけど、その住処ともども今もなお健在だろうか。
 
 夏になってから一度も来ていないものだから、ヘンテコカクレの白化後の様子などもちろん知る由もない。
 
 はたして彼らのセンジュイソギンチャクは…
 

 …健在だった。
 
 今ではベテランママになっているのであろうヘンテコカクレも、もちろん健在。
 

 パートナーのオスも元気いっぱいだ。
 

 そしてしっかり仲間として受け入れられている3匹目も、元気にチョロチョロしていた。
 

 どうやらヘンテコカクレの一家が住まうセンジュイソギンチャクもまた、白化禍を無事に乗り切ることができそうだ。
 
 さて、ここのポイントは一見他と同じような砂地のポイントに見えつつ、なにげに死サンゴ礫がわりと深いところまで多めに転がっている点が他の砂地のポイントとは異なり、そのためか出会える魚たちにも若干の違いがある。
 
 ニシキオオメワラスボもそのひとつで、他のポイントでは若い個体がたまに観られる程度なのに、ここではやたらとオトナの個体数が多い。


 この日もそこかしこでニョロニョロしていたんだけど、あいにく無造作に近づけばすぐに逃げ去るか、その場にある穴の中に引っ込んでしまう。
 
 ただし、穴に引っ込んでもそのままジッと待っていれば…
 

 …やがてニョロッと出てくる。
 
 出てきたところを撮らしてもらおうとにじり寄っていたら…
 

 ありゃ?もう1匹出てきた。
 
 ツーショットのチャンス!
 

 おお、これぞまさしくニヒキオオメワラスボ!
 
 ザンネンなピンボケながら、2匹が同じ穴から出てくるところなんて初めて見た。
 
 これはワタシが接近したためにたまたま同じ穴に2匹が緊急避難しただけなのか、それともアツアツカップルの愛の巣なのか、どっちなんだろう?
 
 このあと1匹は遥か遠くまでピューッと逃げ去り、もう1匹は再び穴の中に逃げ込んだところからすると、やはりたまたまだったのかなぁ…。
 
 再びリーフエッジ付近に戻ってくると、ちょうど頃合いだったらしく、各種ベラたちが産卵フィーバータイムに突入していた。
 
 クギベラも、20匹ほど集まっているメスたちを相手に、例によって絶倫ぶりを発揮中。
 

 産卵しているのはクギベラのほかお馴染みの面々ばかりと思いきや、他のポイントではなかなか観られないメンツも集まってきていた。
 

 カマスベラだ。
 
 普段はリーフ内くらいの浅いところをもっぱらの生活圏にしているっぽいんだけど、産卵の際にはリーフエッジまで出向いてくるらしい。
 
 ここのポイントはカマスベラが暮らしているところからすぐのリーフエッジだからなのだろうか、他所ではあまり観られないのに、この日は何匹もの黄色いカマスベラの姿が。
 
 いったいどれがオスなんだろう…と眺めていたところ、オスはまったく様相を異にしていた。
 

 黄色いカマスベラよりも遥かにでかく、そしてくすんだ体色の胸(?)のあたりに白い模様が浮き出ている。
 
 興奮モードなのだろうか。
 
 なんでこれがオスだとわかったかというと、産卵シーンを見せてくれたから。
 
 メスたちはクギベラのメスのように一か所に集まるわけではなく、見える範囲に1匹ずつ泳いでいて、オスがメスのもとに駆けつけては産卵を促す泳ぎ方を見せ、ペア産卵に至っていた。
 
 どうやら黄色い個体はみなメスのようだ。
 
 たま~にカマスベラのオトナに会うと、圧倒的に黄色い個体が多いと思っていたのだけれど、それはすなわちメス色だからってことだったのかも。
 
 もっとも、カマスベラには暮らしの場の環境に合わせた様々な体色のバリエーションがあるそうで、これはあくまでも水納島におけるこの場所のカマスベラに限っての話と思われる。
 
 ノーマークだったこともあって、何度か繰り返してくれた産卵シーンは観るだけで終わってしまったものの、これまで認識したことがなかったカマスベラのオスメスがわかり、しかも初めてオスの姿を記録することができただけでも収穫といえば収穫。
 
 カマスベラの産卵を見るなら、こっち側のリーフエッジが吉…ってことなのだなぁ。
 

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