食するボラボラ。

クロワッサン

2024年11月16日 08:31

2024年 11月15日(金) 朝雨昼晴れ午後遅く強雨

南東の風 おだやか

 再び冴えないお天気になりそうな気配に満ちている朝。
 
 そういう予報でもあったから、オタマサは特定健診を受けにいくことにし、それに便乗してワタシも(水納班の)銀行仕事のため、日帰りで本島まで出向くことにした。
 
 健診を終えても雨降りのままだと、そのあと何もできなくなるところだったオタマサだけど、昼前には日が出てきて、昼過ぎからはすっかり晴れ、何か作業をしていると汗が滴るほどに。
 
 おかげでオタマサのヒミツの畑ではタマネギ部隊のスペースがほぼ完成に近づき、ワタシも例の鳥さんケージ用台も、形になってきた。
 

 なんの外連味もない愚直なまでのフツーの台でしかないけれど、「愚」直だけに切り欠きの向きを間違えていたりする…。
 
 作りはともかく、今回はオールドウッドワックスという、蜜蝋を主原料とするワックスで色付けしてみることにした。
 
 「無垢の木に塗りこむだけで、味のある古材のような仕上がりになるソフトタイプのワックスです。」
 
 という売り文句に惹かれたからなんだけど、(ウォルナットのために)美味しそうな生チョコに見えるワックスを布切れでゴシゴシ塗り込んでいくと、なるほどたしかに…
 

 白無垢の木材が、長年使いこんだかのような風合いに。
 
 もっとも、鳥さんのケージ用の台に古材のような趣きが必要なのかと言われるとグゥの根も出ないんだけど、もう20年以上飼っているインコもまた古鳥なわけだから、ちょうどいいのだ。
 
 というか実際は、ネット上ではまるでエポワスなどのウォッシュ系チーズですか?ってな見映えで売られているこのワックスを、試しに使ってみたかっただけだったりする。
 
 汗だくになりながら作業を終えた頃には、再び雨が降ってきた。
 
 そしてそろそろ買い物を済ませてから渡久地港まで…という時間帯になると、またしても極端な強雨に。
 
 世界には大干ばつにあえぐ地域がたくさんあるというのに、なんで降るところにはあえがなきゃならないほど降るんだろう…。
 
 懸念されていた台風25号は、結局「台風」と名乗っていることすらおこがましいほどのショボショボになり、台湾を過ぎる前に消えてしまいそうな雰囲気を醸し出しているけれど、台風ではなくなるからといってもけっして低気圧が天気図上から消えるわけではない。
 
 むしろ雨を降らせる要因としてその後も存在感を発揮し続けるかもしれず、先日の大雨で被害にあった地域はもちろん、紙一重で持ちこたえていただけかもしれない地域も油断は禁物だ。
 
 …という天気が当分続きそうだから、いまだボートを下ろせていない我々なのだった。
 
 なので、昨日の桟橋脇の続き。
 
 目的は防波堤脇のサンゴ群落の見納めではあったけれど、エントリー早々から桟橋脇ならではのキャラクターだらけだったから、実はなかなか防波堤までたどり着かなかった。
 
 波打ち際の斜面が終わるところにポツンと佇んでいたのは、「ウン、ウン」でお馴染みのこの方。
 

 ご存知エンマゴチのチビターレ。
 
 棒切れにしか見えないような真っ黒クロスケ時代は終了し、体に模様が出始めている8センチほどのチビだ。
 
 チビではあっても、その目には特徴的なヒダヒダが。
 

 観るヒトが観れば、きっとこの目を見ただけでエンマゴチだとわかるのだろうなぁ…。
 
 先月末にオタマサが桟橋脇に潜った際に、この場にエンマゴチがいたと教えてくれていたのだけれど、それから2週間経ってもまったく同じ場所に。
 
 ちなみに2週間前はこんな感じ。
 

撮影:オタマサ

 多少模様が増えている気がするけれど、オタマサによるとサイズの顕著な変化は見受けられないらしい。
 
 ま、2週間くらいじゃこんなものか。
 
 すぐそばの桟橋の岸壁沿いの砂底にタカノハハゼのチビチビの姿がチラホラ見えていたなか、ヘコアユたちの姿もあった。
 

 真夏には小さな木屑にしか見えなかったチビチビたちが、その後しっかりサバイバルして成長し、こうして群れているのだろう。
 
 昔はリーフの外でも50匹ほどの群れと出会うこともあったけれど、今じゃなかなか通常のボートダイビングでは出会えないヘコアユたち。
 
 わずか10匹ほどとはいえ、桟橋脇ならではのキャラクターだ。
 
 ところで、ダイバーのみなさんならこの画像を観ただけで、実際にどのように彼らが泳いでいるのかイメージできるんだけど、まったくこの魚をご存知ない方々からすると、みんな逆立ちしてどうやって移動するんだろう…?と不思議に思われるかもしれない。
 
 そこで、痒いところに手が届いてより痒さを増幅させる当サイトは、そのヘコアユの様子を動画でも紹介するものであります。
 
 

 このように、平時は逆立ちのまま移動するヘコアユたちなんだけど、緊急の場合はちゃんと横向きになってダッシュする。
 
 このヘコアユたちを撮ろうとしていた際、手前でモゾモゾモゾ…と砂に潜っていくモノが。
 

 通りすがりのダイバーさんが愛してやまないソデカラッパ
 
 愛してやまないわりにはカラッパなのかガラッパなのかいまだに覚えておられないようなので、この際ハッキリしておきましょう、「カラッパ」ですから。
 
 前から見ただけではただのカニにしか見えないけれど、背後から見ると…
 

 …けっこうラブリー(本来無いはずの青い模様はなんだろう?)。
 
 散歩中のところをワタシが邪魔をしてしまったので、すぐさまモゾモゾ…と砂中のヒトになったのだけど、すみません、何度も掘り出して遊んでしまいました。
 
 この先へ行くと普段うちのボートを横付けしているあたりになって、ようやくサンゴ群落が現れてくる。
 
 防波堤脇でも桟橋脇でも、サンゴ群落にはお馴染みの各種スズメダイがにぎやかに集まっているほか、豆チョウたちの姿もチラホラ観られた。
 
 常連のトゲチョウに…
 

 …またしてもニセフウライチョウ。
 

 先日も触れたように、近年は個体数が増えている気がするニセフウライチョウのチビだけど、それでもやはり全体的に見れば数は少ないから、いまだに「おっ!」となる。
 
 でも数が多いトゲチョウやフウライチョウのチビチビたちと区別がつかないでいると、せっかく目の前にいても「おっ!」ってなれないから、よい子のみなさんは見分けられるようになっておきましょう。
 
 見分けられるかどうか自信が無いかたのために、痒いところに手が届く当サイトがお届けする、豆チョウカタログページはこちらです。
 
 サンゴ群落には他にもスズメダイ類やベラ類などのチビがたくさんいるんだけど、どうしても目が行ってしまう豆チョウ系。
 
 それと同じくらい目を引かれるのが、ヒレナガハギのチビターレだ。
 
 もう11月だからみなさん随分大きくなっていて、なかには幼魚体形でありながらオトナ色になり始めているものもチラホラ観られた。
 

 背ビレの先から尻ビレの先までまだ10センチにも満たないサイズだから、カモメ岩の浜あたりならまだチビターレカラーのままでいる年頃なのに。
 
 でも、オトナはこのように背ビレをずっと立てたままでいることはまずないのに対し、この子はこのポーズのままずっと泳いでいた。
 
 ココロはまだコドモのままなのだろう。
 
 これくらい育っているものがいる一方で、まだ育ち始めたばかりくらいのチビチビの姿もあった。
 

 11月半ばでもこんなチビチビに会えるんだなぁ…。
 
 彼らが拠り所にしているサンゴ群落には各種スズメダイ類が多いから、ときにはこういうシーンにもなる。
 

 ヒレナガハギチビターレ本人にしてみれば、1人でいるほうが気楽でいいんだろうけれど、観ているぶんにはなんとも心和む風景ではある。
 
 ビーチ内とはいえ防波堤脇に沿って泳ぎ続けていたために、タンクの空気も少なくなってきた。
 
 そろそろエキジットすべく波打ち際近くの斜面のところまで戻ってくると、ボラの仲間がウロウロしていた。
 

 フウライボラなのかタイワンメナダなのか、ワタシには区別がつかないものの、このテのボラの仲間はビーチ内や桟橋脇ではお馴染みの魚で、波打ち際近くの浅いところを徘徊している姿をよく見かける。
 
 この時は浅い砂の斜面で何度も同じところをクルクル回っていた。
 
 砂底に顔を近づけては…
 

 …ブハッと砂を吐き出しているところからすると、どうやらお食事中らしい。
 
 どうやってエサを採っているんだろう?
 
 砂底に口をつけ、そのままザーッと進んで砂ごと口に入れているようだから、最初は下アゴだけを砂底につけ、ブルドーザーのようにしているのかと思った。
 
 ところが実際は、プレコのように口全面を伸ばして砂底につけた状態で前進していたのだ。
 

 口元アップ。
 

 へ~んな口!
 
 いやはや、ボラがこのような食事の摂り方をしているだなんて、まったく知らなんだ。
 
 知らなかったついでに、その様子を動画でも。
 
 
 エサとなるものがいくらでもあるからだろうか、なんともゴキゲンそうな顔をしていた彼である。
 

 観るヒトが観れば、この口元だけで種類がわかるのかも。
 
 名前が何であれゴキゲンな彼のおかげで、エキジット間際ですら楽しいダイビングとなったのだった。

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