防波堤のサンゴ群落・見納め編。

クロワッサン

2024年11月15日 06:59

2024年 11月14日(木) 晴れ

東の風 少々うねりあり 水温26度

 午前中はやや雲が多かったものの、オタマサが布団を干すくらいにはおおむね晴れで、午後になるとすっかり青空が広がった。
 
 冴えないお天気の合間に、ポッと行楽日和を挟んでくれるのは、海神様のご配慮なのだろうか。
 
 おかげで数日ごとに季節がコロコロ変わる。
 
 昨日一昨日は冴えない氷雨、そして本日は「夏」。
 
 島を訪れていた数少ない日帰り客のみなさんのなかには、貸切のビーチで海水浴を堪能されている方々もいた。
 
 そんな貸切ムードをお邪魔して申し訳ないけれど、せっかくの海日和、本日はオタマサともども桟橋脇からエントリーして、ワタシは防波堤脇のサンゴの様子を確認してみることにした。
 
 今夏の白化でことごとく壊滅したかと思われたリーフ内のサンゴたち、しかし浅所&高水温に適応しているリーフ内特化型サンゴたちは、実は白化などどこ吹く風で今も変わらず元気に過ごしていることを先日ようやく知ったばかり。
 
 同じ種類のサンゴが繁茂している防波堤脇も、きっと変わらず元気でいるに違いない。
 
 (桟橋脇にしては)いつになくクリアな海中を進み、防波堤に到着。
 
 はたしてサンゴたちは…
 




 …防波堤の一段高くなっている範囲では、ビーチ側の全域に渡って白化前と変わらず群生していた。
 
 傍らでチラホラ成長しつつあったミドリイシ類はすべて壊滅しているなか、ハマサンゴ系とこのサンゴは(けっして無傷ではないにしろ)ビクともしていないといっても過言ではない。
 
 ミスジリュウキュウスズメダイやデバスズメダイ、ルリスズメダイはにぎやかだし、ノコギリダイのチビたちの群れもいたりするなどやけににぎやかだったから、つられて動画も撮ってしまった。
 
 泳ぎながら撮っているためヨレヨレ動画ですが、これが防波堤脇のサンゴたちです。
 
 
 ちなみに、動画冒頭でビヨヨンと伸びているモノは、先ごろ行われていた浚渫前の磁気探査エリアのためのブイ。
 
 そう、もうすぐこのあたりに作業台船が停まり、防波堤の解体ならびに資材再利用のための運搬が始まるのだ。
 
 その作業台船を安定して停められるようにするため、事前に地ならし的に浚渫をするという。
 
 その浚渫エリアにサンゴ群落が入っているかどうかは不明ながら、いずれにせよ作業台船が停まってアンカーだなんだをそこらじゅうに落っことすのだろうし、防波堤解体の作業が進めばサンゴ群落が無事のままとは思えない。
 
 つまり、せっかくここまで育った群落ながら、これにて見納めとなる公算が高い。
 
 もっとも、本来の「工程表」においては、その作業は今年の7月初頭には早くも始まる予定だったから、今見納めることができるのは、思いっきり工事がズレ込んでくれているおかげともいえる。
 
 そういえば今夏、工事が遅れていることを幸いに、朝食前にひと泳ぎしてこの群落をちゃんと見納めた方々もいらっしゃる。
 

 まったく興味がない人たちからすれば、何を物好きな…というところだろう。
 
 けれど興味がある方々にとっては、防波堤脇とはいえやはり見納めておくべきかけがえのないサンゴたちなのである。
 
 一方で、強い北風でも連絡船が運航できる港を待望している島のことを思えば、再び復活するであろうサンゴ群落のひとつやふたつ…という考え方もたしかにある。
 
 そこはもう価値観のモンダイでしかないし、誰も彼もがお金儲けをしたがる今の右肩上がり信仰の世の中では、より多くの入域客のために連絡船を大きくし、そのために港を大きくするという考え方のほうがきっと正論なのだろう。
 
 それはそれとして、その「正論」のためにいったいどういうモノが失われていくことになるのか、コラテラルダメージについてキチンと知ったうえでコトを進める…ということは、この地球に生きる我々人類の最低限のマナーではなかろうか。
 
 お金儲けをするならするで、何の罪もない犠牲者たちに手を合わせるくらいのことをしても、けっしてバチはあたるまい。

 そんな最低限のマナーすら見受けられないように感じられるから、昨今の狂乱不動産祭りは下品に見えるのだろうなぁ…(※個人の感想です)。
 
 防波堤脇のサンゴたちが元気にしているくらいだから、桟橋脇のうちのボートを横付けする場所のすぐそばにある群落も、ホントにナニゴトもなかったかのように元気にスクスク育っていた。
 

 今年は結局ストロング台風の襲来がなかったから、毎夏のような物理的被害にまったく遭っていないおかげで、むしろ例年よりも育っているように見える。 
 
 桟橋の先っちょの先にいるカクレクマノミ4匹在住ハタゴイソギンチャクも、しっかり健在。
 

 この近くで観られるミノイソギンチャクは白化のため真っ白になってはいたものの、ダメージから回復途上ではあるようで、触手の様子は元気そうに見える。
 
 むしろ触手が白いおかげで、通称「悪魔の実」がなんとも美しい。
 

撮影:オタマサ

 白化被害は免れず、もう会えないかも…と覚悟していたリーフ内のサンゴやイソギンチャクたちは、予想を遥かに超えて逞しかった。
 
 港が見違えるほど立派になったらなったで、彼らはきっとその後も命脈を保ち続けることだろう。 

 たとえヒトの歴史が途絶えても、彼らはさらに生き続けるに違いない。

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