2024年09月23日
限定的バブルの到来。
2024年 9月22日(日) 晴れ夕刻強雨のち曇り
南の風 けっこう波あり 水温28度~30度
6日ぶりに連絡船が復活!
しかもビーチは遊泳禁止とはならず通常営業となったので、連絡船も通常運航。
となれば日帰り業者さんたちもようやく通常モードで、いつものように朝早くから続々とジェットスキーやボートが島に到着。
ここのところヒトッコヒトリーヌになっていた桟橋や波打ち際でのびのびしていたアジサシたちだったけれど、これにて「飛行者天国」も終了だ。
連休の中日、そして前日分のお客さんも加わっていたこともあり、臨時便対応するほどの満員御礼だった連絡船の朝イチ便に乗り、我々は渡久地港へ。
11日に上架してからずっとそのままだったボートをようやく海に戻し、切れかけていた食料を少々買い足してから島に戻り、午後から久しぶりのダイビング。
8日以来だから、実に2週間ぶりである。
この2週間ずっと悪天候だったわけではなく、時には海日和もありはしたものの、数少ないそういう日にボートを上架させていたりお出掛けしていたりしていたから、気がつけばこんなにブランクが空いてしまった。
昔から9月はひとたび台風が来ると影響を受ける期間が長くなるため、1週間くらい海に行けないなんて日もちょくちょくあったけれど、さすがにこの時期に2週間のブランクだなんて、過去30年で初めてのことだ。
南風がなかなか強烈ではあるけれど、小さいながらも多少は風浪を遮ってくれるので、主だったポイントはスノーケリングができるほど。
そんななかでエントリーした海は、この時期望みうるベストに近いコンディション。
低気圧に苛まれ続けてはいてもそれほどの雨量ではなかったから、陸水由来の濁りとは無縁、海岸の工事もずっと中断しているおかげだろう。
あれから2週間経って、青息吐息だったサンゴたちはどうなっているだろう。
さっそくリーフエッジ付近を観てみると…
たしかに藻が生え始めている群体が増えているとはいえ、覚悟していたよりは踏ん張っているものが多く、航路側に行けば行くほど生存率が高いように見えた。
でもリーフエッジ付近からさらに浅いほうへ行くと、先月半ばには↓このようにパステルメルヘンワールドだったあたりでは…
…9月も下旬になった今、すっかり死の世界が大勢を占めていた。
アジサシたちが羽を休めるために利用している岩の周辺は、先月12日には同じくパステルカラーのメルヘンワールドだったのだけど、…
それからひと月半経って…
…やはり死の世界が広がっていた。
リーフの切れ込みに溜まった白砂とあいまって、淡色カラーになったサンゴがなんともまばゆいばかりだった↓ここらあたりも…
…ひと月半後の今、砂だけがいたずらにまぶしく輝いている。
ちなみに、白くなってしまったサンゴでも、そのままなんとか踏ん張って生き続けていれば、やがて水温が下がればストレスから解放されて褐虫藻が体内に戻り始め、元の姿を取り戻すことができる。
でもこのように藻が生えてしまっているということは、すでにサンゴは骨格だけを残して死んでしまっているということだから、これが元に戻るということはない。
なので、いまだ藻が生えることなく白い、もしくは淡いサンゴ群体はまだ生きているということなのだけど、ミドリイシ類の場合、たとえ群体の一部が↓このように生き残っていても(白いところが生存部分)…
…やがて死が全域に広がることのほうが多いように見受けられる。
なので今現在はパッと見まだ生き残っている部分がけっこうあるように見えても、1週間後にはさらに死が広がっているかもしれない。
うまくすれば2016年の中規模白化程度の被害で済むかも…と淡い期待を抱いていたのだけれど、白化による死滅のエリアは2016年よりも遥かにリーフエッジ側まで及んでいる。
なので藻の世界になってしまっているところでは、早くも↓このような魚たちが我が世の春を謳い始めている。
アイゴの若魚たち。
藻食性のアイゴたちにとってみれば、藻だらけになったリーフ上はさぞかしお菓子の家なみの天国状態なのだろう。
若魚たちだけではなく、普段はこんなところで姿を見かけることなどほとんどないゴマアイゴのカップルまでが、うれしげに食事をしていた。
死の世界というのはあくまでも「※個人の感想です」であって、藻食性の魚たちにとっては降って湧いたようなバブルの到来なのだ。
なんだかその恩恵限定的バブル到来の様子は、被災地を次々に置き去りにしていきながら平均株価上昇に湧き上がる、どこぞの衰退途上国みたいだけど…。
このままリーフ上は、さらに藻食性の魚たちの天国になってしまうのだろうか。
ただ、98年の大規模白化の際はみんな一斉に真っ白になって一斉に藻が生え始めたのに対し、今回は群体ごとに被害の出方がバラバラで、このまま生き残るんじゃなかろうかというものもけっこう観られる。
全滅ではなく、そうやって少しでも生き残ってくれれば、サンゴたちの回復はきっと早まるだろうし、サンゴに依存する魚たちも、まったく姿を消してしまうということはないかもしれない。
先日紹介したコバンハゼたちも、生きている部分がどんどん減少していくサンゴの枝間で、まだまだ頑張っていた。
この先この群体が生き残れるのかどうかは不明ながら、リーフ全体としてなんとか壊滅を免れてくれれば、コバンハゼが姿を消してしまうということはあるまい。
この日のリーフ上は依然30度だった水温も、リーフエッジ付近では28度と、2週間前に比べると随分下がっている…ということが、数少ない希望の光なのだった。
Posted by クロワッサン at 07:21│Comments(0)
│水納島の海