› 徒然海月日記~つれづれくらげにっき~ › 2015年03月
2015年03月31日
ズゴックの性能。
2015年 3月30日(月) 晴れ
南の風 おだやか 水温21度
昨日今日と本島泊でお出かけをしてきた。
出かける前に1本潜り、この日戻ってきてから午後遅くにまた1本。
どうしたんだ我々は?ってなくらいにアクティブダイバーになっている。
ところで、先日お伝えしたハナヤサイサンゴの白化の写真は、もちろんズゴックで撮ったもの。
マクロレンズ装備のデジイチではサンゴの群体を撮るのはつらいので、チャチャチャと撮れるコンデジが手元にあると重宝する。
動画もおりに触れ撮れるから楽しい。
しかしズゴックの便利さは、それだけでは終わらない。
その秘められたポテンシャルが発露するのは、スペースの無い場所だ。
たとえばこの写真。
デート中のハダカハオコゼを、105ミリのマクロレンズで撮るのはなかなかキビシイ。
その点コンデジの画角だと、極めてフツーの写真ながらフツーに撮れてしまう。
しかしこの時のズゴックの便利さはそれだけではない。
このカップルは、デジイチサイズのカメラを抱えて撮ろうとするなら、背後の青い側からしか撮りようがない場所にいる。
ところがハウジングさえ必要ない剥き身サイズのズゴックなら、手と腕さえ入るちょっとした隙間さえあればこうして撮ることができるのである。
サイズの小ささが生きるのは、岩の隙間だけではなかった。
キリンミノというビーチではお馴染みのカサゴが、ちょっとした小石の上に載っていた。
これをデジイチサイズのカメラで撮ろうとすると、どう頑張ってもせいぜい横から撮るのが精一杯のところ。
ところがミニミニズゴックなら、カサゴのやや下側から撮ることだってできるのだ。
何の変哲もない…と言われればそれまでながら、キリンミノの吻端から砂底まで5センチもないのに、あと一歩で太陽が入るくらいに下からのアングルで海をバックにできるのである(ちなみに縦位置にしても太陽は無理だった)。
このような、デジイチサイズじゃあり得ない「下からアングル」の最たるものがこれ。
リーフ際の岩の端を、ユラユラしながら這っていたオオコノハミノウミウシ。
15センチくらいある大きなウミウシである。
この時のこのウミウシ君は海底に逆立ちする姿勢で真下を向いていて、その鼻先から海底までわずか5センチほど。
それでもズゴックなら、海面をバックにできてしまう。
しかもレンズ自体は水中ではややワイド的画角だから、マクロで撮っても海面の波のゆらめきまで写る。
マクロといえば、もっと小さな生き物を撮る際にもズゴックは力を発揮する。
リーフ際のムチカラマツにムチカラマツエビがいたので、試しにズゴックで撮ってみると……
1センチほどのエビちゃんを、ノートリミングでこんなサイズで撮れてしまう。
水中モードの色補正がなされているとはいえ、ノーストロボでこんだけ撮れるんだったら、なにもわざわざデジイチを構え、なかなかピントを合わせられないまま時間だけが過ぎていく、なんてことをしている場合じゃないのかも………。
クリーチャーそのものの魅力を楽しむなら、よりマクロなレンズを装備したデジイチのほうがいいのだろうけれど、海を感じることができるマクロ写真ということなら、かえってこっちのほうがいい。
というわけで、サブとして携えているはずのズゴックだったのに、いつしかスーパーサブどころか主機になり、デジイチはただのウェイト代わりになってしまっているのだった。
はたして、いまだ秘められたままになっているであろうデジイチの潜在能力が発露する日は来るのか。
2015年03月29日
犬も歩けば野菜に当たる。
2015年 3月28日(土) 晴れ
北西の風 波あり
春の嵐はしつこくないので、一夜明ければ普通に北風の日に。
しかし南海上に目を転ずれば、3月にして早くも4個目の台風が西進している。
実際にそうなるかどうかはわからないけど、現在の予報では数日後には935ヘクトパスカルにまで発達するらしい。
北半球の3月~4月でここまで発達するくらいなら、今シーズン中にバヌアツ級の台風に襲来される可能性は高い……。
のんきな生活をしていられるうちに、のんきなことを書いておこう。
先日カメさんのエサ採りに牛小屋方面に向けて歩いていると、トシおばさんが畑仕事をしていた。
トシおばさんといえば、昨年末にお星さまになったトクマツさんの奥様。
長年連れ添ったダーリンを亡くした深い悲しみはいまだ癒えるはずはないだろうけれど、それでも畑仕事に精も出し、笑顔でお話もできるほどに新たな日常をしっかり歩んでおられる
そんなトシおばさんからお声が。
「ニンジンあるねー?」
無いならあげるよ、ということね。
マサエ農園でもニンジンを作っているけれど、今年は間引きをさぼったために1本1本が小さい。
それ以前に、こうしてお声を掛けていただいたなら必ず喜んで頂戴する教に入信している我々なので、迷わずいただくことに。
出荷に適さない不合品だけど……とおっしゃるニンジンたちはどれもこれも立派。カメのエサ用に抱えていたはずの籠の中は、たちまちニンジンの山となった。
山のようなニンジンとくれば、もちろん……
ニンジンイリチー♪
島人参ではない黄色い人参もいただいたので、いつも以上にカラフルなお皿になった。
収穫したニンジンは上手に保存すれば7月くらいまでは保たせることができるし、スーパーに行けば季節を問わずいつでも手に入る。
しかし採れ採れのニンジンの旨さ甘さには遠く及ばない。
この採れ採れニンジンを子供の頃に食べておけば、オトナになるまでの人参が嫌いな人生を味わうことも無かったろうなぁ……。
さて、ニンジンをいただいた数日後。
このところジョギングといえばわざわざ本島まで行って走っていたから、久しぶりに島内をオタマサとともに走った際のこと。
島の中を1時間くらい走ろうと思うと、道という道のほとんどすべてを走ってもまだ足りないくらいなので、必然的に牛小屋経由秘密のビーチへの往復もコースに含まれる。
そしてその沿道には、トシおばさんの畑が。
この日は大きな鍬を振りかざして、ジャガイモの収穫に精を出しておられた。
畑にはすでに収穫された大きなジャガイモがゴロゴロ転がっていたので、通りかかった際に「立派なジャガイモですねぇ!!」というと、おばさんは嬉しそうに手を振ってくれた。
ええ、けっして催促したわけじゃないんですよ、ええ。
ところが秘密のビーチで折り返して再び通りかかると、おばさんが
「ジャガイモ持っていって!」
なんと、たくさんのジャガイモが入れられたビニール袋が道端に用意されていたのだった。
収穫の際に鍬の歯が当たってしまったりした不合品は、出荷はできないし早く食べないと傷んでしまうということがあるとはいえ、こんなにたくさんいただいていいんでしょうか……。
トシおばさんにお礼を言いつつ、ジャガイモがたくさん入ったビニール袋を下げながら走るオタマサ(僕には無理ですから)。
もちろんマサエ農園で収穫されたジャガイモの備蓄もたんとあるけれど、採れ採れのジャガイモとくればもちろん……
ポテトフライ♪
普段揚げ物ができない我が家ではただでさえ貴重なのに、それが採れ採れポテトのフライとなれば、かっぱえびせんどころではないやめられない止まらない状態。
うす塩味だけでなんでこんなに美味しいんだろう、ジャガイモ………。
トシおばさん、美味しい野菜をありがとうございます!
一方、マサエ農園でも突如収穫のピークを迎えた野菜がある。
ズッキーニだ。
ふとしたときにあるとコジャレたアイテムになるズッキーニながら、大量に採れたからといって大量に使用する料理はそうそう思い浮かばない。
……というような話を昨年書いた際、ウロコムシ奥様から魅惑的なレシピをいただいた。
ズッキーニの酢漬けもどき(すみません、ちゃんとした名前がわかりません)。
ピクルスではない、ちょっとワイン風味の酸っぱい保存食だ。
それを今年試すべく………
輪切りズッキーニの陰干し。
こうしてある程度水分を抜いて、酢とワインとお塩で煮込んだ後、冷ましてから水気を切り、オリーブオイルに漬ける。
ついでに作ったローストプチトマトともども、ガラスの容器で密封。
キープしてあるガラスの空き瓶がこういうとき役に立つ。
滋味あふれる野菜たちをこうして楽しめるのも、適度に潮をかぶってミネラル豊富な島の土地のおかげだ。
でもこの先バヌアツ級の台風が何個も襲来するようになると、そのうち「塩害」になってしまうかもしれない……。
血道をあげて軍事的な安全保障に余念の無さを発揮するアベ総理には、とってつけたような作業着を着ての事後の対応だけではなく、自然災害の安全保障にも「我が軍」なみの熱意で目を向けていただきたいところである。
今の日本で国民の生命と財産を奪い続けているのは、中国でも北朝鮮でもその他周辺諸外国でもなく、頻発する超弩級の自然災害なのだから。
※明日のこの稿は更新しません。
2015年03月28日
受難の日々。
2015年 3月27日(金) 曇りのち夜雨
南東の風 時化模様
天気予報どおり南東の風が凄まじく吹き、予定どおり代船はまかぜ号は欠航。
水納丸なら南東の風だったら問題ないところながら、さすがにはまかぜ号ではあり得ない。
こんなに時化ると撹拌されるため、せっかく上昇に転じ始めた水温が、またいったん元の木阿弥になることだろう。
ところで、サンゴの白化という現象が知られるようになって久しい。
その主な原因が夏場の高水温にあるということもわりと広く知られている。
一方、水が冷たいがためにサンゴが白化するという現象は、まだそれほど世間に認知されていないような気がする。
白化するといっても、サンゴ礁を彩る代表的なテーブルサンゴや枝サンゴのミドリイシ類ではなく、もっぱらハナヤサイサンゴ類だけで、それも壊滅してしまうほどの被害になるわけではないから大きな騒ぎにならないだけかもしれない。
でも昨年の5月にも書いたことがあるように、ここ数年は低水温時のハナヤサイサンゴたちの白化がかなり顕著になってきたのだ。
今年もこんな感じになっている。
これだけだと対比できずに白い度合がわからないかもしれないので、健全(?)なミドリイシ類と比べてみよう。
周囲のサンゴ(ミドリイシ類)に比べて色が薄々でしょ。
もっと白くなっている群体もある。
白いけれどオニヒトデに食べられた跡のように死んでいるわけではなく、ただ共生藻が抜けて色が落ちただけだからそれぞれのポリプは健在だ。
ハナヤサイサンゴたちが薄く白くなっているといっても、すべてのハナヤサイサンゴ類が薄くなっているわけではなく、なかにはこのように……
同じ種類がほぼ同じ場所に居るのに、オセロのような対比になっている場合もある。
もちろん右側が通常の濃さだ。
両者の間でいったい何が違うのだろう?
水納島の桟橋側のリーフは、98年にミドリイシ類その他リーフのサンゴがほぼ壊滅した際、ハナヤサイサンゴ類はかなり生き残った。そのためその後ミドリイシ類が復活してきた後も、けっこうハナヤサイサンゴが目立っている。
そんな目立つハナヤサイサンゴが白化するものだから、リーフの上は淡い色彩になってしまっているのだ。
見た目パステルカラーできれいだけど、このまま低水温が続けば死んでいきそうな勢い。
やがて水温が上がり始めれば、例年のようにまた元通りになるのだろう。
でも昨年は5月半ばまで色が薄いままで、なかには一部が死に始めている群体もあった。
この時期からこんなに薄くなっていて、水温が上がるまで保つんだろうか???
暑さには強いけど寒さには弱い、ハナヤサイサンゴたちの受難の日々はまだまだ続く。
2015年03月27日
桃色吐息。
2015年 3月26日(木) 晴れ
東のち南東の風 波ありのち時化模様
風が南に回ったのはいいものの、さすが春、南に回ったほうが強烈に吹く。
翌日は欠航間違いなしっぽいけれど、この日はまだそれほどでもなさそうな天気予報だったのに、昼前の時点で侮れない風の強さになっていた。
そのため代船はまかぜ号は午後2時の便をもって終了。翌日の欠航もその時点で決まっていた。
3月半ばは好天続きだったのに対し、春休み本番になった途端に繰り返す時化模様。
雑貨屋さんは青息吐息なのだった。
それでもこのところお天気自体はいいので、連日庭でちょっとした工作をしていた。
成果その1。
そろそろ室内から庭に放たなければならないチビホシガメ用ハウス。
端材とキープしてあるパーツだけでできている
バスキングライトの交換もできる、メンテナンスハッチ付きであるところがミソ。
成果その2。
棚部分の琉球松の板はさすがに購入する必要があったものの、その他はやはり端材と海岸で拾ってきた流木。
まぁ、ホームセンターで売られているような格安メイドインアジア家具だったら、琉球松の板を1枚買う値段で棚の一つや二つ買えそうな気もするけれど、この世にひとつしかないというところに無理矢理価値を見出そう。
ところでこの棚、いったい何に使うのかというと、もちろん……
商品棚。
細かくセパレートされた従来の棚よりも便利に使えるよう企図したはずなのに、足元をしっかりさせたがためにそちらのスペースが狭くなってしまった………。
また、雑貨屋さんモードと夜のゆんたくタイムモードの室内改装の際、従来の棚だと重くて揚げ降ろしが大変だったので、昼夜のモード変更をほぼ毎朝毎夕しなければならないシーズンに備え、棚の重量を軽くしようという最も大事な意図があった。
………はずなのに、結局大して変わらない重さになってしまった。
ま、従来の味気ない棚に比べれば、それっぽい雰囲気は出たか。
青息吐息の店ながら、咲かせて咲かせて桃色吐息、なのである。
2015年03月26日
代船でドナドナ。
2015年 3月25日(水) 薄曇り夕方ちょっと雨
北東の風 波あり
北風の日々になったおかげで少々寒くなりはしたものの、連絡船が欠航するほどではないお天気が続いている。
連絡船といえば、当日になってお知らせすることになってしまったけれど、今月18日から定期ドックに入っているため、「はまかぜ号」が代船運航している。
本来の「ニューウィングみんな」は、定員160名の高速船。
それに対しはまかぜ号は、定員18名の小型船舶。
……でも乗船料は変わらない。
一応キャビンはあるものの、乗船客全員を収容できるはずもなく、あぶれた方は前や後ろに場所をとることになる。
凪いでいればどこに乗っていようと大した差はないけれど、それなりの波があるといささか困ったこともある。
揺れを避けるなら後方の席。
しかし波しぶきが容赦なく降りかかることもある。
波しぶきを避けるなら前方の席。
しかしその揺れは時としてジェットコースターなみに。
まぁ、片道せいぜい15分から20分のこと、ディズニーシーよりもリアルな海洋アトラクションだと思えば、得した気になれないこともないかもしれないってこともなくね?ってなところか。
いずれにしても、連絡船乗船料だけでこのはまかぜ号に乗れるのは、1年のうちでこの時期の2週間しかないので、レア度からすれば多少濡れようと揺れようとお得度はアップ??
といいつつ、島のおばあたちをはじめ、この2週間頑なに島を出ようとしない人々もいらっしゃる。
しかし中には、乗りたくないけど乗せられてしまうモノもいる。
この方。
ヒージャー♪
西暦の終盤の人類は増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになるけれど、島で増えすぎたヤギは食べるか本島の業者さんに売られていくのである。
それもよりによって代船運航中に………。
けっこう潮が引いているのに、ヤギさんは船に乗れるんだろうか。
桟橋に居合わせた人々のそんな心配をよそに、この方々は強かった。
飼い主と船長の強力タッグの前には、いかなヒージャーといえどもなすすべ無し。
島から搬出される燃えるゴミとともに、おとなしく船首付近でうずくまるしかないのだった(揺れが嫌いらしい)。
うーん、モノノアワレ……。
アルプスの少女だったら、泣き叫んでヤギを連れて行くのをやめるよう希うところだろうか。
しかしそれはみなさん誤解というもの。
彼女はたしかに、ユキちゃんが飼い主に潰されるのを止めはした。
それはただかわいそうだからというだけが理由ではない。
ユキちゃんの成長が思わしくなく、乳は出ない子は産まないってことになったら世話代餌代だけかかって大変だ、という飼い主に対し、いや、やりようによってはユキちゃんはちゃんと大きくなるし乳も出るはず、ってことで反対したのである。
それがヤギ飼い的にホントに「そろそろコイツは食べなきゃね…」という話であれば、彼女だって生命をいただいて生きている者の一人として、しっかり受け入れていたに違いない。
「だから私はベジタリアンなの」
なんてヒトが西洋社会には多いけれど、彼らは野菜も果物もまたそれぞれ立派な「生命」なのだということに気づいていない。
あれ、なんの話だっけ?
あ、そうそう代船運航中。
この時期に初めて島にお越しになった方の中には、はまかぜ号が本来の連絡船なのだと固く信じてお帰りになる方が意外に多い。
その誤解だけは解いていただきたく、そんな方々が未だ知らない連絡船の姿もここに紹介しておこう。
ドックでの作業が予定どおり進めば、4月1日から復帰予定です。
2015年03月25日
オタマサワールド・March2015
2015年 3月24日(火) 晴れ
北東の風 時化模様
18日から代船運航になって、初めての欠航。
久しぶりに時化る海を見た。
こういう海の状態だと、安心してのんびりしていられる。やはりオフはこうでなければ。
その間に、このところオタマサのマイブームになっているクリーチャーをご紹介しよう。
この生き物だ。
さすがオタマサワールド、一見しただけで得体の知れなさ加減がほとばしる。
アミの仲間に見えるこの生き物、同種と思われる色の異なる個体がチラホラいるらしい。
この子も…
この子も……
おそらく同じ種類だろう。
彼らはいつもこうして尾を縮めているだけではない。
時には………
こうしてビヨヨ~ンと体を伸ばすこともあるらしい。
ひょっとしてこれって、ピコピコ虫が大きくなった姿なのだろうか?
しかし大きくなったとはいっても、この程度のサイズである。
お馴染みの人差し指対人比。
たしかにピコピコ虫よりは多少は大きいか。
いずれにしても老眼ユーザー(?)の方には、まったく無縁の生き物であることは間違いない。
こういう生き物にはなかなか気づけなくとも、同じくらい小さいのにわりと多くの方が目にしていると思われる極小クリーチャーもいる。
安全停止のために船の下でぶら下がっている時、流れてきては去っていく様々な浮遊生物を見ているときに、ときおりキラリと輝いている小さな小さな生き物をご覧になったことはないだろうか。
ただ流されているのではなく、能動的に直線的な泳ぎをしている生き物。
かなり気になるから正体を確かめてみたいんだけど、小さいうえに動きが素早く、しかも流れていくのでなかなか摂りづらい。
そんなナゾのクリーチャーを、ついにオタマサのカメラが捉えた!!
……………光り輝くナゾの生き物は、脚の無いフナムシみたいなヤツだった。
これは、サフィリナと呼ばれているコペポーダ(橈脚類)の一種。
サフィリナとはサファイアを意味するラテン語で、つまり宝石の名前が学名につけられているほどに、世の中では美しく輝く生き物として随分昔から認識されているのだ。
「サフィリナ」で画像検索すれば、美しく輝く写真のオンパレードをドドンッ!!とご覧いただけることだろう。
見た目は脚無しフナムシでも、実は宝石だったのである。
同じカイアシ類でも、魚にベットリくっついて生きる寄生虫がいる一方で、こうして光り輝く存在として世界中で知られているコペちゃんもいるのであった。
2015年03月24日
初稚魚。
2015年 3月23日(月) 日中晴れ
北東の風 うねりあり
週が明けてようやく北寄りの風が吹く気圧配置になった。
それまでのまるで夏至南風のような南風の日々は、3月とは思えないような暖かな日々に。
先週までの10日間ほどの間に来沖されていた観光客は、この時期としては空前の大当たりといっていいだろう。
そんな連日の暖かさが呼びさましたものがある。
シーベーだ。
今年は昨年に比べてやたらと数が多い気がするのは、やはり相当暖かい日が続いたからに違いない。
おかげで連日潜ることができた。
この日記が1行2行で終わっていた日々も含め、ついに10日連続潜っていたのである。
まるでダイビングサービスみたいではないか。
…あ。
ともかく、潜っているのにその他にいろいろあったため、海の中のことを書けなかったここ数日のホットな(?)話題をいくつかご紹介しよう。
寒いからそろそろ船に上がろうとラダーのところまで浮上したその時、こんな魚がいたのだ。
上に写っているステンレス部分がうちのラダーの横バーだから、この魚たちの小ささをおわかりいただけよう。
このテの回遊魚系幼魚とは、ちょくちょくこんな感じで出会う機会がある。
しかしこのような色模様の子供はこれまで観たことがない。
なのでやや色めき立ちつつ撮ろうとするものの、寒さ対策で着ぐるみのようになっている姿のため、うねりがある水面付近にいるものをなかなか思うようには撮れない。
おかげで、寒いからそろそろ上がろうと思ってここまで戻って来たはずなのに、せめて証拠写真でも……とやっているうちに20分くらい経ってしまった。
熱い生き物は寒さを忘れさせるのである。
さて、そうやって粘った甲斐あって、正体がわかるほどには証拠写真になった。
はたしてこの魚の正体は!?
……わからん。
アジではなさそう。
かといってサバでもなさそうだし、ツムブリでもない。
うーん、ひょっとしてブリ??
画像検索してみると、この写真とそっくりな子がいくつか出てきた。
でも沖縄にブリなんていたっけ???
分布域を確認してみると、沖縄はその分布域の南端にギリギリ入っていないようだ。
ブリではないとすると………。
そういえば、ブリにそっくりな魚がいたような。
そうだ、ヒラマサだ!!
ヒラマサなら、その生息分布域に沖縄も含まれている。
さっそくヒラマサの稚魚で画像検索してみると………
ビンゴ♪
というわけで、きっとこの子はヒラマサの稚魚と認定。
オトナはいまだかつて観たことがないけれど、今さらながらの初物の魚である。
ところで。
目ざとい方はすでにお気づきであろう。
鰓の付け根に黒点がある体色なんだ……と思っていたら、個体によってその黒点の位置が違う。
ん?
モニターで拡大してみると………
わぉ、寄生虫!!
ご丁寧に3匹それぞれにくっついているなんて……。
体の反対側にも付いていたんだろうか。
定住性の魚だとその移動距離はたかが知れているけれど、このテの魚に付いちゃえば相当あちこち旅できるに違いない。
その他、変態社会系ムービーも撮ってみた(リンク先はyoutubeです)。
その1:カンザシヤドカリsp.の「トリトンが行く…」
カンザシヤドカリたちは、実はモールス信号の達人だったのだ(右のハサミ脚にご注目あれ)。
その2:移動するジャブエビ
ご存知ジャブエビの魅力を余すところなく捉えた(?)ムービー。
このヘンタイ的クリーチャーを知らずして、クロワッサンで潜ることはできないのである(……ということはけっしてありません)。
2015年03月22日
クジラでGO!
2015年 3月21日(土) うす曇りのち雨
北東の風 うねりあるもおだやか 水温21~22度
なぜに連日のシーズン用遅寝早起き合宿になってしまったのかというと。
春といえば別れの季節。
卒業式もあれば、離任される先生とのお別れもある。
離任される先生を主賓として迎え、水納班主催で送別会が催される、ということはかつて何度も紹介してきた(と思う)。
今年もやはりその送別会が開催される予定ではあったんだけど、なんと今年度離任される先生は、養護教諭のサオリ先生ただお1人!
少子化過疎化の離島のこと、たった1人の卒業式ってのはすっかりおなじみの水納島ながら、たった1人の送別会って、我々が島で暮らし始めてからの20年で他に記憶が無い。
そんなある意味スペシャルな送別会の主賓であるサオリ先生は、押しも押されもしない酒豪である。
……それをすっかり失念していた。
彼女は3年間に渡る在任中、まずはスノーケリング、次は体験ダイビングを当店でしてくださったこともあって、離任する前に最後にもう1度スノーケリングをやりたい、というご希望をうかがっていた。
オフシーズンだから一般ゲストであれば頑として受け付けないクロワッサンでも、島のヒトとなれば話は別なのである。
というわけで、暦よりは一足早く、送別会前日にサオリ先生の浜下り。
心優しい彼女が、わざわざオタマサの背に合わせてくれているの図。
まだまだ水温が低いから1時間も泳げるかなぁ…と危惧していたところ、彼女は寒さなどまったく感じることなく、1時間丸々サンゴの海をたっぷり堪能された(おかげでその間に我々は、サザエの備蓄を増やすことができたのだった)。
で、せっかく一緒に海に行ったことだし、ここはひとつ夕食もご一緒に……
ってことでその日の晩、雑貨屋さんは久しぶりにゆんたくタイムモードになったのである。
とはいえ翌日には自らが主賓になる送別会が控えている身、さすがに前日に深酒することはないだろう……
……と思っていたら。
気がつけば1時半。
サオリ先生は酒豪なのである。
久しぶりに午前様になってしまい、これで翌朝が凄い雨だったりすれば心安らかに眠っていられたところ、これがまた嫌がらせのようにいいお天気。
ついに8日連続でダイビングに行かざるを得ないことに。
潜るのはいつも雑貨屋さんをオープンする前の時間帯と決めているので、そのためには9時頃に出発する必要がある。
久しぶりの午前様で寝坊してしまえば、当然ながらこの日記の更新などできるはずはなかったのだった。
そんなこんなで、酒が残った状態で迎えてしまった送別会当日。
実はこの日、別して密かにサプライズプロジェクトが進行していた。
島滞在中にサオリ先生とすっかり仲良くなったコーラルリーフさんのご宿泊客の方々が、本人には内緒で送別会に出席して、彼女をビックリさせようという企画。
となると送別会前に先生に見つかってしまうわけにはいかないから、11時の便で島にご到着後は、秘密厳守のために我が家よりもさらに灯台側にあるナカチさんの家で避難生活を送っていたみなさん。
コーラルリーフのヤスシさんをはじめ、島じゅうでサプライズの成就を企図していたのである。
そこまでしてサプライズを演出しようとしていたにもかかわらず。
たまたまコーラルさんに立ち寄ったサオリ先生、なにげにテーブルの上で、記入された直後のページが開いたまま置かれていた宿帳を見るともなくふと目にすると、そこにはおなじみの方の名前が燦然と……。
当人たちの涙ぐましい努力も虚しく、送別会開催時にはすでに、サプライズはまったくサプライズでもなんでもなかったのであった。
さて、そんないささか残念なことになってしまったご宿泊客のみなさんとは。
この方々!!
ご存知、チーム電車でGO!。
潜るわけでも、泳ぐわけでも、何をするわけでもなく、ただただ送別会に参加するためだけにはるばる沖縄までやってきた彼ら。
みなさんが今心の中で思ったことを、ワタシが一言で代弁しましょう。
アホとちゃうか!!
いやいや、彼ら独身貴族がそういうノリで生きてくださるからこそ、世知辛い世の中も少しは面白くなるのだ。
彼らはクロワッサンでダイビングをしてくださることもあるけれど、基本的には島での滞在をとことん楽しむご宿泊客である。
だからご滞在中に学校のイベントに参加するのは彼らにとってはもはや当たり前のことで、昨年の運動会ではついに主役級の働きを見せるに至り、島の人たちで彼らのことを知らない人はいないといってもいいくらいの知名度になっている。
そんな彼らが今回の送別会のために、ギリギリになって用意したスペシャルTシャツのデザインの一部がこれ。
これら数々の涙ぐましい努力が報われる日は来るのか。
きっと下り線しか運行していないであろうことはご本人たちをのぞくほとんどの人が知っている。けれど恋の片道切符は、けっして北陸新幹線のようにあっという間に目的地に着いてしまったりはしないに違いない。
一方。
酒豪とはいえさすがに前夜の酒が残っていたサオリ先生には、この日中まったく違う方面でサプライズが用意されていた。
修了式、そして離任式を終えたばかりの学校に、リョウセイさんから電話が。
「今クジラが島の傍を泳いでいるから、子供たちを集めて桟橋に!!」
代船運航中の船長の仕事で忙しいにもかかわらず、ただちにはまかぜ号をスタンバイするリョウセイさん。
そして児童生徒教職員すべてを載せて(定員ピッタリ)、はまかぜ号は島の周りを回遊中のザトウクジラのもとへ行く。
すると、オトナ2子供1の合計3頭のザトウクジラが、サービス精神たっぷりに、惜しげもなくその姿を人々に見せてくれたそうな。
この日この時にこうして現れてくれるだなんて、なんという天の配剤!!
電車でGO!とは一味違うぜ、ザトウクジラ。
が。
たっぷり姿を拝めたのはいいものの、なにしろうねりと波がそれなりにある。前夜の酒が残っているサオリ先生、最後の方はクジラよりもなによりも、桟橋に戻ることこそがただ一つの人生的希望になっていたのであった。
そしていよいよ、午後6時から送別会。
お馴染みのオードブルのほか、牛追い人であり必殺草刈り人でありヤギのおじさんでもあるマサシさんご提供によるヒージャー汁や刺身がふるまわれ、これまた送別会にあわせてお越しになったコーラルさんのご宿泊客ご提供の北海道のズワイガニも超大量にテーブルに並んでいる。
あのぉ……「たった1人」のほうが豪華なんじゃね?
そんなスペシャル宴席では、中学生によるかっこいいダンスが披露されたかと思えば、なんとなんと電車でGO!による「京王ダンス」まで登場。
留任される先生制作による島民&関係者ほぼ全員出演のビデオレターもまた秀逸で、涙あり笑いありゲストありスペシャルな酒肴あり、なんだかもうこれは興行的に大成功といっていいだろう。
……って、「興行」じゃないですから。
そうこうするうちに1次会はお開きとなり、ショバをコーラルリーフさんに移して2次会に。
気がつけば、また1時の風が吹いていたのであった。
~♪
いいとこだ(アハハン)
いいとこだ(アハハン)
サヨナラするのはつらいけど
時間だよ 仕方がない
次の回まで ごきげんよう!!
サオリ先生、お疲れさまでした!!
※明日のこの稿は更新しません。
2015年03月21日
2日連続。
2015年 3月20日(金) 晴れのち電車でGO!
北西の風 わりとおだやか 水温21~22度
またしても飲み過ぎ……たわけではないけど眠い。
なんだかシーズン前に向けて遅寝早起き鍛錬合宿をしているような……。
なんで合宿状態になっていたのかという話は、また明日にでも。
2015年03月20日
2015年03月19日
老朽化。
2015年 3月18日(水) 晴れ
南の風 波あり 水温21~22度
この朝も海に行ったので、これでなんと6日連続。
水温もまた少しアップ。
ひょっとして南海上の熱帯低気圧が温かい水を運んでくれているのだろうか……。
それでもやはり写真を撮っているとジッとするから、40分くらい経つと寒さが身に染みる。
そこでカメラに代わり、寒くならない潜り方ができる得物を手にすることにした。
で、本日の成果。
久しぶりのアカジン♪
美味いものはやはり、海中で寒さを忘れるほどに旨い。
話は変わる。
ご存知のとおり、水納島には給油所が無い。
初めて島にお越しになり、そのジジツに気がついた方は必ず、車のガソリンはいったいどうしているのかとお尋ねになる。
「うーん、いいところに気がついたねぇ!!」
全国子供電話相談室だったら、きっとそう言ってもらえることだろう。
ガソリンをはじめ、ボイラーには欠かせない灯油も、船の燃料になる軽油も、これすべて各自が容器を用意し、連絡船で本島から運んでもらっている。
電話で燃料の空容器を連絡船に載せる旨、本島の給油所に連絡しておくと、給油所のスタッフが渡久地港まで容器を回収しにくる。
そして容器を燃料で満たした後、渡久地港に停泊している連絡船に載せてくれる。
連絡船が島に到着したら、桟橋で各自が回収してそれぞれの貯蔵スペースに置いていく、という流れだ。
つまり渡久地港までは、給油所に配達してもらっているわけである。
1リットルあたり1円ほどの配達料が加算されているとはいえ、代金はツケ払いでOKなので、給油所が無い島で暮らす島民にとっては大変便利なサービスだ。
ところが。
これまでずっと世話になってきた本部町内の給油所が、今年度3月一杯をもってガソリンの小売り業務を終了するという。
近頃全国各地で流行中(?)の、ガソリン貯蔵タンク設備の老朽化に伴う商いの断念、ということらしい。
最新安全基準を満たすためには相当な設備投資を強いられるようで、それが気軽にできるほど売り上げが保証されているわけではない地域の老舗サービスステーションは、近年日本全国津々浦々で軒並み廃業しているのである。
かつて本部町内にはそこかしこに給油所があったんだけど、この「老朽化」のために各店舗は次々に廃業に追い込まれ、新しくできた給油所はセルフサービスの店ばかり。
以前まで島への配達を一手に引き受けていたお店も、一足先に廃業しており、現在配達をお願いしているお店は、本部町で唯一の「配達してくれる給油所」なのだ。
それが3月一杯でガソリンの小売り業務終了(軽油や灯油はOKらしい)。
4月からは、いちいち容器を携えて本島に渡り、セルフステーションまで行ってガソリンを購入しなければならなくなる。
まだ初夏のうちはお客さんも少ないからまだいい。
しかしこれがハイシーズンになったら、買い出しのために本島に出ることさえままならないというのに、いったいどういうことになるのだろうか。
離島を抱えている市町村なんだから、本部町もそのあたりのことを考えいろいろ手を尽くしてくれ………るはずはない。
まぁ間違いなく役場のヒトたちは、町内離島のそういう事情などなにも知らずにいることだろう。
立派な道が次々に造られていく一方で、離島の生活はさらに不便になっていくのだった。
2015年03月18日
春はうみうし。
2015年 3月17日(火) 晴れ
南の風 波あり 水温21度
20度表示ながら実際は20.5度くらいはあるんじゃなかろうか…と昨日思っていたら、今日は21度になっていた。
やはりジワリジワリと水温上昇中。
たしかに今日なんて日中は初夏のように暑かった。
このところ連日こんな天気だから、そりゃ水温も上昇し始めるだろう。
水温が上がってくれるのはウレシイことながら、ひとつ問題が。
冬の野菜たちが急速にダメになっていくのだ。
こんな天気が続けば白菜なんてひとたまりもないし、タマネギも少しずつ傷み始める。
雨が適度に降っていれば甘さがひきたち辛さゼロになる新玉も、これほど好天が続くとさすがに辛さが出てきてしまう。
サシバとアジサシがけっして同時に島にはいないように、海のヨロコビと野菜のシアワセも両立はしないようだ。
さて。
春はうみうし。
やうやう温かくなりゆく海中、少し明かりて、鮮やぎたる彩の玉の緒の細く這いずりたる。
彼らはハイシーズンにも観られる種類だけど、夏になるとたいてい4センチ以上なのに対し、上の写真の子たちはみんな2センチほどと小さい。
これから少しずつ育っていくのだろう。
それに対してオタマサがこの日撮ったこの……
……ゴマフビロードウミウシは、15ミリくらいとこの種類にしてはかなりでかい。
夏場に出会える1センチ未満の若々しい小さな子と比べれば、老いさらばえた感たっぷりだ。
彼らが冬の間に育んだ新たな生命が、夏場にチビチビとなって登場してくれるってことなのかもしれない。
2015年03月17日
思わず痒くなる話。
2015年 3月16日(月) 晴れのち曇り夕刻一瞬雨
南の風 波あり 水温20度
本日も午前中に海へ。
前日も卒業式の前に1本潜っているから、なんとこれで4日連続である。
オフのクロワッサンとは思えぬこのやる気モードは、連日の暖かな南風のおかげだ。
とはいえそれで水温が急に上がるというものでもなく、相変わらずダイコンに表示される数字は20のまま。
ただ、今日は20.5度くらいなんじゃ……??って思えるほどには、少しだけ温くなっていたような気がした。
水温が低いとテンションが下がるのはダイバーだけではない。
海の中で暮らしている魚たちも、代謝がグーンと落ちるせいか、夏に比べればいささかニブくなるものが多い。
そんな隙を逃さない生きものたちがいる。
寄生虫だ。
普段からジッとしているタイプの魚であれば、季節を問わず宿主にとりつく機会がある。
しかし相手が泳ぎ回るタイプの魚たちの場合、水温が低くて魚たちが不活発になる今の時期が、寄生虫たちにとってはチャンスなのかもしれない。
根の周りで群れ集うアマミスズメダイも、本来は活発に泳ぎ回るタイプの魚だ。
ところが、1年で最も水温が低いこの時期、彼らにもやはり……
ん?
なにやら目のあたりがおかしい???
………寄生虫だ。
ただでさえ不活発な季節に寝込みを襲われたのだろうか。
このテの蟲にとって「目」にとりつくのが便利なのか、こうして目の上に堂々とくっついているのをよく見かける。
魚の立場になってみると、こんなものが目にある人生ってのもつらそうだ……。
寄生虫1匹で驚いている場合ではなかった。
同じ根に群れている他のアマミスズメダイに目を転ずると…
左右に1匹ずつ!!
ここまでくると「ファッションですか?」と問いたくもなる。
すると、ひょっとするとホントにファッションなのかもしれない…と思わずにはいられない子に出会ってしまった。
2匹ずつッ!!
……まるで花魁の髪飾りのようにも見えるその勇気とセンスに脱帽だ。
一方、例によって我が道を行くオタマサもまた、己の世界で蟲系を見つけていた。
撮影:オタマサ
この毛むくじゃらのエビちゃんは、ご存知フィコカリス・シムランス。
ここでいう蟲系とはこのエビのことではなく、まるでこぶ取り爺さんのこぶのようにくっついている丸いもの。
実は、これもまた寄生虫なのだ。
エビヤドリムシという、実にわかりやすい名前がついている生き物の仲間であろうと思われる。
エビヤドリムシの仲間は、このシムランスに限らず様々なエビに寄生することが知られており、世間に出回っている写真を垣間見るかぎりでは、シムランスにこの虫がくっついているケースもけっこう多いようだ。
労せずして栄養補給という蟲の利点はわかるけれど、1センチにも満たないこんな小さなエビにわざわざとりつくこともないだろうに……。
……って、実はこれ、エビも寄生虫を利用しているんです、なんて話があったりして。
2015年03月16日
十五の春・2015
2015年 3月15日(日) 晴れ
南の風 波あり 水温20度
小学生の頃、丸々コロコロしていた少年ユウキ。
そんな彼が、ついに水納中学校を卒業する。
「たった一人の卒業式」もさることながら、高校進学をするには生まれ育った島を出ることになる離島では、「中学校の卒業」が都会のそれとはまったく異なる大きな意味合いを持つ。
そのため水納島でも昔から、卒業式とその晩の合格祝いは一大イベントになっているのだ。
合格祝いの席では、カメラを手にした父ちゃん(タツヤさん)に各席に連れまわされ、まるで披露宴の花嫁のようにいろんな人たちと写真を撮られるユウキ。
年頃の少年としてはメンドーなことこの上ないところだろうけれど、一大イベントであればこそ、彼もガマンのしどころを心得ているのである。
そんな彼の疲労(?)をよそに、オトナたちは勝手に盛り上がるのだった。
撮影:タツヤさん
この日午前中に行われた卒業式には、もちろん島の人たちも本島の縁者もみんなやってくる。
卒業式の最後を飾る花道もにぎやかに……。
紙吹雪を煌びやかに舞い上げる、春風の心憎い演出。
そして少年は春風に乗り、新たな道を歩み始める。
2015年03月15日
集団的自衛権?
2015年 3月14日(土) 曇り時々日差しそして雨
南東の風 波あり 水温20度
本日も朝から海へ。
昨日の日差しは失われてしまったけれど、南からの風は生暖かく、船上にいてもさほど寒さは感じない。
でもやっぱり水はチベタイ。
さて、一見何も変わらぬように見える海の中で、実はみんな少しずつ成長していた、という昨日の流れで、この日も昨年と比べてすっかり成長していたお魚さんに出会った。
ご存知シマアジ。
昨年久しぶりに群れ集ってくれた未成魚たちが、その後居場所を変えつつもまだ群れていて、しかもその体のサイズは5割増しくらいになっていたので驚いた。
うーん、なかなか見応えがある。
せめてゴールデンウィークくらいまでは居続けてくれないかなぁ……。
こういう光物系の群れ集うタイプの彼らは、何か拠り所となるものに群れですがる傾向があるので、ボーッと浮いた状態で佇むと、たちまち周囲にまとわりついてくれる。
それはおそらく寄らば大樹の陰的な行動だと思う。
ところが、彼らが群れている根を通りかかったロンリーイソマグロヤングに対するシマアジたちの動きは、なんだかちょっと違うような気が。
久しぶりに海中ムービーでどうぞ。
遠くて観づらいところを目を細めてご覧いただくと、どう見てもこれ、イソマグロをシマアジが追い立てているように見える。
たしかに、寄らば…にするには自分たちと変わらぬサイズのイソマグロを頼るとも思えず、となるとこれは、ゴッドファーザー・ユカタハタがカスミアジを追い払うのと同じく、根の安寧秩序・公序良俗を守るためのシマアジの戦いだったのだろうか?
2015年03月14日
2カ月ぶり。
2015年 3月13日(金) 晴れ
南東の風 おだやか 水温20度
2時間走ってご馳走食って、ダハダハダハと過ごした翌朝は、長らく上架してあった船を久しぶりに海に戻し、水納島へと連れ戻った。
せっかく船を島に戻したのだから、当然この日はダイビング!!
旅行前に船を陸揚げする直前はサザエ獲り祭りだったから、タンクを背負って潜るのは実に2か月ぶりである。
空白の2ヶ月。
この間に海の中で何かとんでもないことが起こっていたらどうしよう………
な~んてちょっぴりドキドキしながら潜ってみると、何がどうってことはなくてホッとした。
でも水温は20度。
チベタイ。
しかし1月の弱々しい太陽に比べ、ひとたび晴れたときの3月のティダカンカンぶりときたら!!
船に上がれば暖かい……という希望を胸に抱きながらの寒中ダイビングなのである。
あ、ちなみに曇っていて北風だったりすると、たとえ5月でも超寒いですので勘違いなさらないよう……。
さて、激変ぶりがなくて安心しつつ、いつも周っている根に行ってみると、アザハタミニがミニじゃなくなりつつあった。
男子、三日会わざれば刮目して見よ。
アザハタミニも、2ヶ月ご無沙汰していた間にすっかり青年になっていた。
アザハタミニ君、アザハタミニ改め、何とお呼びすればいいですかねぇ??
あ、そーっすか……。
じゃあ、今後はどん兵衛君ってことで。
一方、エントリー早々に砂地に這いつくばってなにやらアヤシゲな動きを……というか静止していたオタマサは、いったい何を撮っていたのだろうか。
これだった。
撮影:オタマサ
得意の対人比「魅惑の人差し指」シリーズ・クロヘリアメフラシの極チビ。
こんな小さな生き物も、ただそこにいるだけなのではなく、ちゃんと活動しているのだ。
撮影:オタマサ
お食事中。
どうやら彼らは海藻が好物らしい。
よく見ると、触角の両脇に「目」(小さな黒点)がある。
それに気がつくと、彼らの表情がガラリと変わる。
エントリー早々のクロヘリアメフラシお食事中に気をよくしたオタマサは、調子に乗ってこんなモノも発見した。
撮影:オタマサ
なにやら得体のしれないモノが海藻の先でモゾモゾしていたので、念のために撮ってみたらウミウシっぽいクリーチャーだった……ってことらしい。
触角もあるし、背中に突起があるし、よく見ると目もあるし、たしかにウミウシっぽい。
カノコウロコウミウシ系だろうか。
いずれにしても、ここまでトリミングしてアップにすれば生き物って思えるけれど、実際は精一杯接近してこの程度のサイズですぜ。
撮影:オタマサ
こういうものを探し求めて海底に這いつくばるのが好き、という方以外、発見のしようがない小さな小さなクリーチャー。
あ、そうそう、冬になってからもまだ群れている、とお伝えしていたデバスズメダイ、どうやらこのままひと冬越しそうな勢いで、相変わらず群れていた。
リーフの外でサンゴの上に群れ集うデバチビが、群れのままひと冬越したなんてことがかつてあったろうか………??
アザハタどん兵衛にしてもデバチビにしても、寒さに耐えながらしっかり着実に成長している。
成長といえば。
一昨年のプチ白化で壊滅の憂き目に遭いつつも、昨年から復活の兆しを見せていたピンクのトゲサンゴが、さらに成長していた。
水温が低いせいか、枝1本1本の長さが全盛時よりも短いから、まだ枝間で暮らす生き物の数は豊富ではないとはいえ、昨年4月のこの状態を思えば……
……約1年で見違える成長ぶり。
何度も言うけど、サンゴって、環境さえ整っていればちゃ~んと育つし増えるのだ。
サンゴの移植とかなんとか、人工的にサンゴを増やそうとする事の是非はこの際おく。
それよりも、なんでそこまで手をかけないとサンゴが増えないのか、という原因をもっとしっかり広く知らしめ、なおかつ原因自体を根絶する努力こそが肝心なのではあるまいか。
現状のサンゴの移植なんてのは、放射能を垂れ流しながら除染作業をしている東電となんら変わるところはないように思えるのであった。
2015年03月13日
2時間のご褒美。
2015年 3月12日(木) 曇りのち雨
北東の風 少し波あり
毎年恒例の本部マラソン合宿に行ってきた。
水納島内で走ろうと思えばそりゃ走れはするけれど、走っていてしんどい時にそのしんどさを忘れさせてくれるような「鮮度」が、見慣れ過ぎた景色にはない。
だから島内で走れる精神的な限度はせいぜい1時間くらい、ということになってしまう。
そこで、たまには本島の新鮮な景色を楽しみながら、それなりに長い時間を走ってみよう、ということで始まったのがこの本部マラソン合宿だ。
今回は距離を定めず、とにかく2時間走ることを目標にすることにした。
心配されたお天気は、寒くもなく暑くもなく、ときおり日差しすら出てくれるほどで、前日や翌日とは大違いのいい日和。
午前中にチョコチョコッと上架してある船の整備を終え、斜陽になり始めた午後3時にスタート。
最近の主要幹線には、距離表示の道標が1キロごとに立っている。
ほとんどのレンタカーがカーナビを揃えているであろう今の時代に、道標で距離を確かめる地元以外のドライバーがはたしてどれくらいいるのだろうか、と思えば限りなく税金の無駄使いに思えるこのシロモノも、ジョギング中に距離を確かめたりキロ当たりの速度をチェックしたりする際にはけっこう便利だったりする。
最近流行のチャリダーにもきっと役に立っていることだろう。
しかし今回は先述のとおり距離に重きを置いていないため、距離表示がある国道伝いに走る必要がない。
そこで、普段車でもジョギングでも通らない「知られざる裏路地」を巡ってみることにした。
これが実にステキなのだ。
本部路といえば旅行者的には本部半島をグルリと廻る国道か山の間を抜ける伊豆味の道がもっぱらだろう。
しかし本部半島の魅力は、幹線道路沿いよりもそこからちょっと入ったスージィグヮーにこそあるといっていい。
フクギ並木、石垣、セメント瓦屋根の家々、野菜畑にサトウキビ……
その魅力はかねてより知ってはいたけれど、車を運転しながらではなかなか味わえるものではない。
それがジョギング程度のスーパースロー走りなら、思う存分楽しむことができるのだ。
もちろん随所に写真を撮りたいちょっとした景色があったのだけど、なかなか走りながらちゃんと撮るのはムツカシイ。
そうやって見慣れぬ景色を楽しみつつ気の向くままに超テキトーに道を行くと、やがて海の方へ降りていく。
刈りとられたばかりの畑の向こうに青い海が見えるなんて、なんとゼータクな景色だろうか。
そうこうするうちに、いつしか新里の海抜0メートル地帯に。
国道よりも山側にある集落と違い、海の近くは本土からの転居者が多いのか、わりと今風の家も見える。
そんな集落の先に、港があった。
これがあなた………
超立派!!
そりゃお土地柄ウミンチュもいる集落なんだろうけど、さほど漁業漁業しているわけでもない小さなコミュニティに、こんな規模の港が必要なんですか??
……ってなくらいに立派だ。
実際、丈夫そうなビットがたくさん設置された岸壁は、この日陸揚げされた状態で並んでいた船をすべて接岸させてもなお余るほどの余裕のスペース。
しかも接岸してある船なんて1隻だけだった。
こんな港が近くにあれば、プレジャーボートを所有している転居組には便利だろうなぁ……。
本部町ならびに沖縄県さん、ここまで立派じゃなくてもいいですから、水納島にも、せめて潮の満ち干や風の向きに関係なく、安心して船を停めていられるくらいの桟橋をお願いします………。
そうやって国道周辺のスージィグヮーに点在する集落を巡りつつ、今帰仁村に入ってすぐの今泊交差点でUターン。
この4日前に今オフ初めて1時間走をしたばかりだったので、実はこの日途中でダメになるかも……とやや不安だったんだけど、やっぱり新鮮な景色がもたらす刺激は強力だった。
おかげで、疲労しつつも2時間完走することができたのだった。
さて。
走りながら眺める景色は実に楽しかったとはいえ、個人的には「走ること」そのものにヨロコビを見出しているわけではけっしてない。
では何が楽しくてわざわざ2時間も走っていたのかといえば、それはもちろん………
……もちろんひと汗かいたあとのビールにほかならない。
しかもこの日はオタマサがおごってくれるという。
であれば、これまでずっと二の足を踏んでいた店に初めて行ってみることにしよう。
その名は良風(らふう)。
国道の拡幅計画の影響もあり、ここのところ突如居酒屋激戦区になった「かねひでと野毛病院の間の地帯」に店はある。
店名の枕詞に「和琉酒ダイニング」とあることからもわかるとおり、そのたたずまいはこの界隈ではかつてなかったほどに洒落ている。
一昨年9月にオープンしているにもかかわらずこれまで二の足を踏んでいたのは、ダハダハ飲みしかできない我々にはやや敷居高いように見えていたのだ。
でも今日は2時間走った打ち上げである。
多少の敷居なら越えられるに違いない。
そしてそのオシャレ感は、お通しからいきなり炸裂した。
こ…………これはッ!!
都会にお住いの、飲む店など選り取り見取りという方々にはわからないかもしれない。
しかしあなた、本部町内のお店ですよ、ここ。
カツラ剥きにした大根を巻いたもの、ほうれん草のおひたし、タケノコの土佐煮。
本部の飲み屋でこのセンスだなんて、かつてあり得なかった衝撃である。
その後に続く肴たちは、お通しで抱いた期待どおりだったのはいうまでもない。
本部といえば海鮮サラダが定番なので、たいていどの店にもある。
しかしこれは、ササミとモッツァレラのサラダ。
本部の居酒屋でモッツァレラって!!
ヒデキ感激。
この日はとにかく「肉」を求めていたので、魚系には目もくれず……
長野産馬刺しのユッケ!!
これを思う存分グチョグチョにかき回してからいただくその美味しさたるや…………あ、ヨダレが。
鶏肉系も攻めてみた。
白レバーの塩焼きに……
つくね。
つくねの上に乗っているのは、黄身おろし。おまけにバゲットまで添えられている。
ん?バゲット??
馬刺しユッケのタレ、そして白レバー、そこにバゲット。
となれば、こうでしょう!
黄身たっぷりのユッケのタレでバゲットをヒタヒタにし、その上に白レバー塩焼き。
するとたちまち、レバーペーストを載せたブルスケッタのようなものに変身!!
いただき方としては甚だ掟破りなんでしょうけど、これが実に美味かった。新メニューに是非加えていただきたいところだ。
鶏肉を堪能した後、なにやらアヤシゲにゆらめく炎が。
はたして鍋の上には??
本部町が名産品にしようと力を入れている香りネギが所せましと乗っかっている。
その下には、塩風味の牛タンがたっぷり。
肉と葱と塩のセットがビールに合わないはずはない。
世には「カモネギ」って言葉があるけれど、牛が葱を背負って歩いてきたら、そのヨロコビは倍増であることがわかった。
そして、オーダーしたメニュー中、もっとも気になっていたものがついに登場。
牛スジコロッケ。
ここのお品書きにはお好み焼きメニューも充実していたけれど、牛スジまであるってことは、そういうことなんでしょうか??
それにしてもこのキャンバスのような皿。
味もさることながら、目もまた美味しさを求めているのだ。
至福のコロッケで満腹十秒前になったので、そろそろシメに。
ゆし豆腐そば。
これは酒を飲んだ翌日にいただけばさらにシアワセ度がアップすること間違いなしの、しみじみほのぼの体に染み渡るお味。
とまぁこんなわけで、当初の目的どおり肉三昧に明け暮れた今宵、いただいたどれもこれもが衝撃的シアワセの品々だったのだけど、この日最も驚いたのは………
シズちゃんッ!?
通りかかった女性スタッフがわざわざ挨拶してくれたので、
へ??
その後脳内シナプスに電気が走るまでに0.3秒ほどかかったものの、そのスタッフさんが、かつてはアクアポポさんのスタッフだった、そして今でもときおりヘルプをしてもいるシズちゃんであることに気がついた (ちなみにオタマサは、わかるまでに35秒を要した)。
シーズン中、水納島の桟橋でよくお会いするのである。
彼女は、良風さんが開店して以来ずっとスタッフとして働いているという。
いつもは真っ黒に日焼けしていたのに、昨シーズン中はずっと真っ白だったから妙に思っていたんだけど、そうか、そういうことだったのか。
というわけで、本部町のお店とは思えないほどのステキなお料理に加え、ステキなレディともお話できたこの夜は、2時間走った甲斐がたっぷりあったのだった。
メニューには刺身盛りをはじめとするお魚料理もたくさんあるし(ここの「刺身盛り」の皿も見てみたい……)、もちろんカツオメニューも充実している。
そのほか沖縄料理もたくさん揃っているから、観光客だってきっと楽しめることだろう。
そしてなによりも驚いたことに、ドリンクメニューには各地の焼酎がズラリと並んでいるほか、オタマサがオフシーズンに君嶋屋から買い求めているような純米系日本酒が勢揃いしているのだ。
ゲストの方々からたくさんお酒をいただくこともあって、本部町内のどの飲み屋よりもクロワッサンの方が種数豊富である、と常日頃豪語していたオタマサだったけど、どうやら今後はそんな公言はできそうにない。
ともかく実にステキなお店。
また必ずお邪魔して、日本酒方面にも手を伸ばそうと心に決めた。
ところで。
いくら夜のビールのためとはいえ、それだけでわざわざ2時間走っていたわけでもない。
2時間走は、練習のためである。
いったいなんの練習か。
それは、4月に行われるマジックアワー・ラン出走のため♪
シーズン突入直前にハーフマラソンなんぞに出てしまって、ゴールデンウィークははたして大丈夫なんでしょうか、クロワッサン………。
2015年03月11日
機能停止3秒前。
2015年 3月10日(火) 曇り
北の風 時化模様
大陸高気圧の張り出しにともなう強い北風のせいで、連絡船は昨日の午後から欠航。
連絡船を止めてしまう北風は、もちろん冷たい冷たい寒気をもたらす。
おかげで庭のカメさんたちはいうまでもなく、人間までも機能停止しそうなほどに寒い。
予報天気図を見たら、このあと北海道は台風ばりの低気圧に蹂躙されるようで、羅臼は再び雪に閉ざされてしまうのではなかろうか……。
3月も半ばにさしかかろうというのに、真冬のようなこの寒さ。
Tシャツ短パンで過ごせる日々が、そろそろ恋しくなってきた。
※明日のこの稿は更新しません。
2015年03月10日
目指せ2000万人!の代償。
2015年 3月9日(月) 曇り一瞬日差し
北西の風 時化模様
ニュースをチラッと見てたら、那覇空港が大変な騒ぎになっていた。
ビックリしたのでちゃんと見てみると、どうやら那覇空港で羽田への乗継便を待っているおバカな客が、免税店を探しているうちに手荷物受取場に来てしまい、再び出発ロビーへ逆行してしまったのだという。
個人を特定できないからなのかなんなのか、それによってすでに保安検査を済ませて出発ロビーにいる人たち全員を再度チェックすることになり、そのため欠航もいくつか出てしまうほどに那覇空港発の便は遅延フィーバーになってしまったという。
今朝ネット上のニュースを見ていたら、そのお客さんたちは中国人の方々だったそうな。
するといつものことながら、鬼の首を獲ったようにフィーバーするネトウヨさんたち。
たしかにこのチャイニーズが各航空会社や利用客に及ぼした被害は、韓国のとある航空会社のダダコネ副社長どころではないのだから、職員室に呼び出して「立ってなさい!」で済む話ではない。
でも、そうやって件の客たちを責める前に、愚かな行為の裏に隠れてしまいそうなところに「モンダイ」を見出さなければならない。
というのも、素朴に不思議に、
なんで手荷物受取場から出発ロビーにフツーに逆行できるのか
と思ってしまうわけである。
手荷物受取場から出発ロビーへの逆行が、遅延しまくりで欠航便すらいくつか出てしまうほどの緊急事態だというのなら、そもそもバカな客に安易に逆行を許してしまう那覇空港のセキュリティのゆるさっていったい何??って話ではないか。
国をあげて外国人客を誘致しようとしている今、沖縄県も例に漏れず海外からの客、それもアジア地域、とりわけ中国からの旅客をターゲットにして入域客数を増やそうと躍起になっているくせに、肝心要のセキュリティは30年前のままなんだろうか。
どれほど各国言語で書かれた案内板を設けようとも、書かれてあるとおりに行動しない人たちだってわんさか来るんだから、逆行してはいけないゾーンがあるならあるで、逆行させないよう空港は努力をしなければならない。
今回の遅延欠航騒動で、おバカなチャイニーズたちはあちこちで槍玉に挙げられることになるのだろう。
でも、逆行が逆境を招いたおバカな客を庇うつもりはまったくないけれど、最も罪深きは那覇空港のセキュリティの甘さといっていい。
ちなみに、パレルモからローマのフィウミチーノ空港に到着したおバカな外国人客は、手荷物受取場を探している間に気がつくと外に出てしまっていた。
慌てて外側から手荷物検査場に戻るため、ジョン・トラボルタのような警備員に事情を説明すると、ちゃんと検査機を通過してセキュリティチェックをしたうえで、トラボルタは快く「逆行」させてくれたのだった(詳しくはこちら)。
あ、ここでいうおバカな外国人客って、我々のことですからね…(汗)。
逆行を制限するためのセキュリティチェックが増したら、空港がまた面倒なことになる……
と嘆く方も多いことだろう。
かといって、ユルユルのままだとまた同じ騒動が起こるかもしれない。
セキュリティチェックが厳しくなるにしろ遅延騒動が繰り返されるにしろ、いずれであれそれがすなわち、2020年までに「入域外国人旅行客数2000万人を目指す」という、市井で暮らす人々のシアワセとはまったく関係がない政府方針の代償なのである。
2015年03月09日
転換モード。
2015年 3月8日(日) 曇り一時日差し
南東の風 波あり
これまた先日の話になるけれど、最終便で島に戻ってきた6日、軽トラの荷台から荷物を家に運んでいるときのこと。
小糠雨降る灰色の空に、突如爆音が響き渡った。
米軍ヘリが超低空で島近辺を無意味に飛ぶ時に響く音とはちょっと違う。
これはひょっとして???
案の定。
オスプレイ、転換モードでの飛行。
飛行機のように飛んでいる状態、すなわち固定翼モードで島の上空を通過する姿はこれまでに何度も観たことがあるけれど、この形態で水納島上空を飛んでいる姿を観たのは初めてだ。
飛行機のように飛んでいる時は、スピードが速いこともあって、従来の輸送ヘリに比べれば相当静かだと思うけれど、やはりエンジンを垂直にされると下方に轟く爆音は凄まじく、しかもスピードはゆっくりだからタチが悪い。
落ちる落ちると騒がれつついまだに日本では一度も落ちていないオスプレイ、この、前に進んでいるんだけど固定翼モードではない状態、いわゆる転換モードの時が最も不安定だそうで、その状態で飛行できる区域は本来限定されているはず。
そういったオスプレイの運営に関する細かいことを取り決めた「日米合同委員会合意」というものがあって、その中では、
MV-22(オスプレイのこと)は、通常、ほとんどの時間を固定翼モードで飛行する。運用上必要な場合を除き、MV-22は、通常、米軍の施設及び区域内においてのみ垂直離着陸モードで飛行し、転換モードで飛行する時間をできる限り限定する。
という項目がある。
日米合同委員会といいつつその実態はアメリカ政府のご意見尊重というこの委員会なので、限りなくあやふやなどうとでもとれる文言を駆使しつつも、とりあえずお役所言葉を意訳すると、
「運用上必要ではないかぎり、定められた飛行経路上以外では転換モードでは飛行しません」
ということになる。
でも上の写真のオスプレイ、この形態のまま島の周りを3周ぐらい低空でグルグル周回してたんですけど???
水納島の周りをこの転換モードでグルグル周る飛行のどこが「運用上必要な場合」なのか、そのあたりお役所言葉ではない日本語で誰かキチンと説明できるのだろうか。>那覇防衛施設局改め沖縄防衛局。
百歩譲って転換モードでグルグル周る訓練が必要だとしても、それを島の周り…というか一部は上空…で行う必然性がどこにあるというのか。
「次の休みはこの島のビーチに来るか!」
ってな乗組員の会話が聞こえてきそうなほどだった。
周辺に基地があるんだから、そこに配備されている機材が空を飛ぶのは仕方がない。
でも、ホントはイケナイことなのに「どうせバレてもどうってことないだろ」的にルール違反をしているのだとしたら、爆音にさらされている身としては腹立たしいことこのうえない。
ひょっとして日米政府の間には、
水納島上空はどのように飛んでもいいですから。
なんて合意があるのか???
……ありそう。