2013年04月30日

哀しい干物。

2013年 4月29日(月) 晴れ

南東の風 波あり 水温21~22度

 その日2本潜ってから午後4時水納島発の便でお帰りになる、というケースはわりと多い。

 しかし午前1本午後1本というペースで潜るクロワッサンの場合、2本潜り終えてから4時の便で、となるとかなりご本人的にはタイトなスケジュールになる。

 県内在住の方なら、器材は洗わずにそのまま持って帰るという手があるからヒト手間もフタ手間も省けるけれど、大きなカメラハウジング2台を分解・整頓してパッキングする手間まで必要な世界のM下さんにとっては、1分1秒たりとも無駄にできない状況だ。

 この日も午後3時頃に2本目終了。
 余すところあと1時間しかない。
 そこからシャワーを浴びて着替えてダイビング器材を洗ってまとめてカメラハウジングを分解、パッキングして……

 という作業を流れるようにこなされた世界のM下さん。
 しかも最後の最後には、「これを食べておかなければ始まらない」というドラゴンフルーツシャーベットにまでたどり付かれ、しかも獲れ獲れの生タコのサラダも一口。

 ええっ!?シャーベットとタコ???

 いやいや、限られた時間内ですべてをこなすには、2つ3つの作業を同時にこなさなければならないのだ。
 さすがレッドゲートを入学時と卒業時に潜り抜け、それ以外はずっと雀荘に入り浸っていたという世界のM下さん、ナニゴトもソツがない。

 一方。
 このゴールデンウィークにひょこっと2日続けて日帰りで遊びに来ていたオーシャン。
 彼はかつてのドレイヤング・オカダの同級生だ。
 学生の頃は「いかにも学生ファッション」に身を包み、やんちゃぶりを方々で発揮しまくっていた彼も、社会に出てからはなんだか好青年っぽい風情になり、なんといっても高価な焼酎の一升瓶を手土産に抱えてやってくるあたり、隔世の感これありってところだ。

 そのオーシャンも、世界のM下さんと同様、2本潜ってから4時の便で帰る予定になっていた。
 レッドゲートとは程遠い琉球大学のユルユルの門を潜り抜けた彼に、1時間ですべてをこなすソツの無さが備わっているのだろうか。

 そんな心配を他所に、アッという間に身支度を整えた彼。
 さすが昔とった杵柄、そのあたりは手慣れたものってことなのか、それとも琉大卒業後に進んだ九大マスター(専攻は、ビーチでおねーちゃんを眺めることによる視床下部へのヒーリング効果……………当サイト推測)のワザということなのか。

 そしてみなさんを4時の便で見送ったあと。

 うちの物干し場に、見慣れぬ海パンがぶら下がっていたのだった。



 ああ、オーシャン………ocean………orz。

 詰めの甘さを残すあたりは、さすが琉球大学の遺伝子(涙)。
 彼に限らず、昔からうちに遊びに来る学生たちは、忘れ物はないかとさんざん確認したにもかかわらず、何かひとつ必ず忘れていく。

 なかでも海パン率は高く、忘れ去られた海パンのたたずまいは、なんだかすべての人に忘れ去られたまま干され続けている干物のようで、どうにもこうにも情けないのだった。

 皆様、お帰りの際は、お忘れ物にご注意を♪

 あ、そうそう、この日のダイビングで、僕が初めて目にするミノウミウシ系の珍モノと、いまだ写真に納めたことがないオレンジウミコチョウを発見してくれたのは、ほかでもないオーシャンであるということを、彼の名誉のために付記しておく。  


Posted by クロワッサン at 07:33Comments(0)日々の徒然

2013年04月29日

お願い。

2013年 4月28日(日) 晴れ

南東の風 波あり 水温21~22度

 帰還をはたしたミスクロワッサン、おかげさまで連日ゲストを載せて活躍しております。



 ところで、ここで皆様にお願いが。

 当店ダイビングサイトの「シーズン情報」のページには、ご予約状況のほかにダイビングの休業日を記してあります。

 すでに今シーズンも、ご予約状況に鑑み、この日に休みを入れておかないと体が保たんッ!!(特に肝臓が)という日に休業日を設けさせていただいています。

 ただ、ご予約をいただく際に、肝心要の休業日のお知らせを事前にチェックしてくださっている方が少ない……。

 休業日は我々の生命に関わる大事な情報ですので、ご予約の際は、くれぐれも事前に当店シーズン情報のページをあらかじめチェックしてくださいませ。


  


Posted by クロワッサン at 07:24Comments(2)日々の徒然

2013年04月28日

Who?

2013年 4月27日(土) 晴れのち曇り

東の風 波あり 水温21度

 このヒトは誰でしたっけ?



撮影:オタマサ


 何かで目にしたことがあるような気がするんだけど、その「何か」が何かわからん………。

 情報求む。  


Posted by クロワッサン at 08:06Comments(2)水納島の海

2013年04月27日

春爛漫。

2013年 4月26日(金) 曇りのち晴れ

北の風 波高し 水温22度

 その昔、クロワッサンの元ドレイよいち氏が発見したエビを、久しぶりに見つけた。



 流れやうねりに合わせてゆらゆら揺れるソフトコーラルに住んでいるので、ひょっとしたらいるかもしれない「居場所」はかなりわかりやすい。
 ただし探すのがとても面倒かついたとしてもなかなかちゃんと撮れないので、これまでずっとスルーしていた。

 ところがこの日どういうわけか気が向いたので探してみると、ビンゴ。
 久しぶりのご対面と相成った次第。

 よいち氏が発見した当初は世にほとんど情報がなく、当時の日本では小笠原で発見例がある程度だった。

 それが今や多くの(変態社会在住)ダイバーが知るところとなっているようで、最新のエビカニ図鑑ではもう和名すらついているのではなかろうか。

 いずれにしても地味なエビであることには変わりがないので、にぎやかなウミウシたちでお口直し。

 本日出会った個人的レアものたち。







 ああ、春ですねぇ………。  


Posted by クロワッサン at 08:33Comments(2)水納島の海

2013年04月26日

長い道のり。

2013年 4月25日(木) ぐずついた天気

北東の風 おだやか
 
 長らく入院していたミスクロワッサン、その退院は、2月いっぱいでってことで当初お願いしていた。

 しかしそこはそれ、沖縄の会社のことである。2月でお願いといって「大丈夫よぉ」と言われれば、その「ダイジョーブ」はすなわち、3月になることを意味しているものと思っていい。

 なので、まぁ早くても3月中旬頃になるのだろうなぁ、とあらかじめ覚悟はしていた。

 2月に入ってしばらくしてから、一応念を押す意味で連絡してみると、

 「3月中旬くらい………ですかねぇ」

 やっぱり。
 しかしここで安心してはいけない。
 そう言ってきたってことは、すなわち早くて3月中旬ということだ。

 それでも多少ずれたとしても、なんとかシーズンイン前にいろいろと準備をする余裕はある。

 ところが3月も半ば近くになって、3月いっぱいまでに、という話に変身。そもそもいろいろグダグダと説明してくれる話自体が、2月に確認したときの作業段階から一歩も進捗していないじゃないか。

 おまけに、3月上旬に内地から名護の事務所にようやく届いたというキャビン、これから工場に運ぶという力強い言葉を聞いていたものの、20日頃になって、まさかなぁ……と思いつつ名護の事務所を覗いてみると……

 まだそのまま置いてあるし。

 確認してみると、

 「今度の土曜に工場に運びますから!!」

 ってあんた、何日ここに置きっぱになっとんねんッ!!

 そして本来の納期である3月も末になると、

 「遅くとも4月10日には納品できます!!」

 ついに日付確定の堂々たる連絡が。

 3月いっぱいと言っておきながらなわけだから、4月10日に!と胸を張られるいわれはまったくないものの、それでも日付が確定されたというのは画期的な進歩である。

 が。

 8日になっても、10日当日の段取りに関する連絡がいっさいない。
 こちらも渡久地港に出向いて受け取る必要がある手前、時間等の段取りは事前に知っておきたいから、恐る恐る確認の電話を入れてみた。
 すると……

 「ん?……あぁ………15日って言ってましたよねぇ??」

 完璧に10日って言うてたっちゅうねんッ!!

 念を押して確言を得た10日が間違いであるはずはないものの、どう言っていたかにかかわらず無理なものは無理。
 そもそも当方が修理をお願いしているのはヤンマー沖縄名護支店ではあるのだけれど、数年前からヤンマー沖縄はリストラ(?)を断行、その結果、それまで4名ほどいた北部支店の船舶現場スタッフは、重鎮たった一人になってしまったのだ。

 ちなみに北部支店の受け持ち区域は、恩納村から北の本島ならびに周辺離島。

 いうまでもなく漁港だらけの一帯で、プレジャーボートも数多い。
 そんな広大な区域を1人で…………なんてのはどだい無理な話で、おのずと業務は下請け業者に委託というスタイルになる。

 だから、ヤンマー沖縄がたとえ3月中に納品したくとも、下請け業者がこれまた多忙で(昨年の台風被害は全県規模だったせいもある)、急げといっても物理的に手に負えない。
 かててくわえて小さな離島の、吹けば飛ぶような小さな店の船の修理をなによりも優先させるはずもなく、納期はズルズルズルズルと後回しになっていくのである。

 事ここまで来てしまえば、納品は翌年に持ち越されてもなんら不思議ではなかったけれど、結局15日に受け取ることに。
 そして迎えた15日、さすがに今回は言葉どおりに事が運び、ついにミスクロワッサン、半年ぶりに洋上に!!

 が。

 そのまま水納島まで乗って帰ることあたわず。
 動くことは動くものの、空ぶかしのときは上がるエンジンの回転が、どういうわけかギアが入るとある一定ラインから上昇しない。

 それもまた8割くらいのラインであれば我慢もできるところながら、2割程度の能力しか出ない状況。これじゃあいくらなんでも。

 そのテのものに詳しい方は、きっとあれがあーだこれがこーだといろいろと持論をお持ちであるに違いない。
 納品の際に現場に来ていたヤンマー下請け業者スタッフの方もそうだった。

 で、その場でいろいろと試行錯誤を繰り返すものの、結局その日は解決せず。

 納期がずれるのはいい。
 適当に後回しにされるのもいい。
 しかし、半年もかけておいていざ動かしたら不具合ありって、そのブサイクな仕事はなんなんだ。
 半年あれば原子力空母だって直ってしまうぞ。

 先だっての「呆れてモノが言えない」というのはこのことね。

 その後紆余曲折を経つつも、結局なんら改善されることのないまま、クロワッサンのダイビングシーズンインを迎えてしまった。

 今シーズンの初ゲスト・イカママさんは、2割の力のミスクロワッサンにてご案内。
 幸い海況が海況だったのでスピードを出す状況になく、あまり違和感なく済んだけど……。

 しかしゴールデンウィークは目前。
 いくらなんでもこのままでは、いろいろと支障が出てくるのは想像に難くない。
 なにしろ本来であれば凪いだ状態なら15分で到着する水納島~渡久地間が、28分かかってしまうのである。

 その原因を究明すべく、これであろうと見当をつけたパーツをたまたま工場にあるという同じ型のエンジンの中古部品と交換したものの、症状の改善は見られず。

 ともかくもその間に、工場のほうで取り外したパーツの整備作業がなされている予定だった。
 そして当方がフリー予定の24日か25日に、その作業の結果を試しに、という話になっていた。

 ところが。

 23日になって、突如件の下請け業者の社長から直接電話が。

 「人手のやりくりがつかないから、来週でもいいですかねぇ??」

 ここにきて、さすがの私もついにキレてしまいました。

 部品の都合がどうにもつかないというならともかく、こんだけ迷惑をかけまくっておきながら、人手のやりくりができないからとはどういうことだ。
 先方としては、一応船は稼動しているという認識のようだったけど、とてもじゃないけどこのままでいいはずがない。
 もしこの状態でGWに突入なんてことになったら、こちらとしても損害を請求させていただく旨力強く先方に宣言し、満足に動かぬ船などそっくりそのまま返品する、とほぼ本気で宣告した。

 すると……

 予定どおり24日に作業をということに。

 なんだ、やればできるんじゃん。

 しかも、それまでの一週間の頼りないスタッフとは違い、この道ウン十年という感じのイブシ銀のベテランスタッフ登場。

 そしてこの一週間で整備を終えたパーツを装着し、試運転。

 が。

 回転上がらず。

 この一週間はなんだったんだ………。

 GW最初のゲストが島に上陸する2日前の話である。
 いったいどうなるんだ??

 しかしベテランスタッフは一味違った。

 これで上がらないということは、もうここしかない、という場所をチェック。すると……

 ビンゴ!!

 どうやら原因はそこで間違いないらしい。
 しかしその代替パーツのおニューが届くのは1週間後??

 待てないって!!

 でもちょっと待てよ。
 試しに装着した中古部品があるってことは、その元の中古エンジンにも原因特定箇所と同じパーツがあるってことですよね??

 急遽駆けつけたヤンマー沖縄名護支店重鎮と作戦会議をし、そのパーツを翌日午前中に装着しようということに。

 そして迎えた今日である。
 GW突入前日である。

 小雨混じりの冴えないお天気の下、渡久地港にて一縷の望みをかけた作業が行なわれ、ついに試運転のときを迎えた。

 はたして……

 はたして………

 はたして!!

 キュイィィィィィィィンッ!!

 おお、久しぶりに耳にするターボファンの音!!
 ついに………ついに………

ミスクロワッサン
 (ほぼ)完全復活!!

(パーツが中古だから9割5分ほどだけど、
脚がないジオングと思ってください)


 いやあ、さすがベテランスタッフ。
 てゆーか、主訴=お腹が痛い、という患者の肺も胃も腸も肝臓も切ってみたけど原因は盲腸でした、みたいなもんじゃねーの?>最初のスタッフ。

 なにはともあれGW直前、まさに劇的な9回裏の逆転サヨナラホームラン。

 ああ、故ヒデオさんの七回忌にて、昨夜仏前で手を合わせつつヒデオさんにあちらの世からのお力添えを頼んでおいてよかったぁ………。
 ヒデオさん、ありがとう(感謝の合掌)。

 その後買い物を済ませて島へ帰還。
 凪いでいたこともあって、渡久地港から水納島までたったの14分で到着した。

 こうして、長きに渡った憂いのひとつは、とりあえず払拭された。
 これで請求書が来るまでは、心穏やかな平和な日々が続くことだろう………。  


Posted by クロワッサン at 07:41Comments(5)吉田兼好

2013年04月25日

無常もまた良し。

2013年 4月24日(水) 晴れのち曇り夜は霧雨

南東の風 おだやかのちけっこう波あり
 
 この日4月24日は、かつてのタコ獲り名人である故・ヒデオさんの命日。

 そして今年は七回忌だった。

 本来の勘定では昨年がそれにあたるはずだったところ、何やらがなんたらでナニナニ……という我々には理解不能のムツカシイ事情により、今年に持ち越されていたのだ。

 お通夜や告別式ならともかく、三回忌とか七回忌になると、ご親族一同が集う内輪の法事、というのが一般的な感覚だろうけれど、なにぶん小さな島のこと、それが誰であろうと血の繋がりがどうであろうと、法事すなわちスーコーの際は島の皆が集まる。

 そのため親族は、前日から大量の食事の準備におおわらわ。なにしろ本島もしくは本土からやってくる親類縁者にはお昼に、そして島の人たちにはもっぱら夜に、お線香をあげたあとに昼食もしくは夕食を振舞わなければならないのだ。

 もちろんこういうときにこそシンメーナービーが活躍するわけで、しかも汁物には各々好みがあるから、魚汁とソーキ汁の2種類を用意したり……

 考えただけでも大変な労働が必要になるのが、沖縄の田舎のスーコーなのである。

 しかしお線香をあげにいく我々にとっては、普段いただけない美味しい食事をビールともども頂戴できるので、何かとステキなイベントだったりする。

 ところで。
 僕らが島に越してきた当時は現役バリバリに元気だったおじいたちは、近年1人また1人とお星様になってしまった。

 逆に、当時はピチピチの(?)青年だった人たちが、次々におじいやおばあになっていたりする。
 いや、単に年をとったという意味ではなく、孫持ちになったという意味ね。
 だからセイゴーさんやリョウセイさんは「おじい」になり、ジュンコさんも「おばあ」になった。

 そして当然、当時はピヨピヨだった子たちが、今では立派な1児もしくは2児の父母になっている。

 サザエさんやまるちゃんたちが変わらぬ世界を生き続けている間に、世の中はしっかり着実に世代交代をしているのであった。

 ゆく河の流れは絶えずして 、しかももとの水にあらず。
 よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく とどまりたるためしなし。
 世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。



  


Posted by クロワッサン at 07:57Comments(0)日々の徒然

2013年04月24日

ヒラメの効用。

2013年 4月23日(火) 曇りのち時々晴れ

南東の風 けっこう波あり 水温21~22度

 春とはいえ、前日から気温がいっきに5、6度も下がると、さすがに身にこたえる寒さになる。

 海中の場合、これがたった1度下がるだけで、ガツンと衝撃が走る寒さになってしまう。

 水温23度だと、50分くらいで集中力終了。
 水温22度だと、30分までは純粋に楽しい。
 それが21度になると、エントリー直後に戦意喪失。

 ちなみに20度だと、エントリー前から戦線離脱する……。

 この日潜り始めの水温は21度。
 前日まで22度余はあった様子から、水温はこのまま順調に上がっていってくれるものと安心していた。
 ところがこの日エントリーと同時に首筋から侵入してくる水は、そのまま飛び上がって船に乗り上げてしまいそうなほどにチベタかった……。

 本来であればエントリー直後に戦意喪失するはずのところ、50分ほど経って船の下に戻ってきたときには、手足の先は痺れまくり。
 ところがどういうわけか、何もわざわざそんな冷たい水温の中で撮らなくても……的な存在であるヒメダテハゼを、ちょっと気が向いたのでファインダーの中に納めていた。

 ファインダーの中で、エビちゃんが砂を抱えて運び出してくるのに合わせ、ヒメダテハゼがプルプルと震えていた。いや、けっして寒いからじゃなく…。

 しばらくその様子を見ていると、突如ヒメダテハゼが、ヒレを全開にし、頬をプクッと膨らませてポーズをとり始めた。

 カメラを構える前に周囲を見渡した際には、他に何の魚もいなかったし、はてさて、いったい何に対してアピールしているんだ君は。

 ひょっとして、ポート面に映っている自分自身に??

 そのわりには、威嚇?アピール?の視線の先が、カメラとは反対方向に向かっている。

 ん?

 ファインダーから実際の周囲に目を転ずると、そこには……



 ヒメダテハゼのすぐそばを、セイテンビラメがのっそりと通り過ぎて行ったのだった。
 ヒメダテハゼ君、どうにもこのセイテンビラメの「竿」が許せなかったらしい……。

 おかげでヒメダテハゼの雄姿をパシャリ♪



 イヤになるほどそこらじゅうにいるけれど、なかなか撮るチャンスがないヒレ全開ヒメダテハゼ。
 それもこれも、セイテンビラメののどかな散歩のおかげなのだった。  


Posted by クロワッサン at 07:45Comments(0)水納島の海

2013年04月23日

浅草名物。

2013年 4月22日(月) 曇り

北東の風 波あり 水温22度

 西の横綱が阿闍梨餅なら、我々はついに東の横綱に出会った。

 これだ。



 人呼んで「芋きん」。

 吉原の太夫がこよなく愛したという土手のきんつばをさらに洗練し、このうえなく上質に仕上げた浅草名物だという。

 さっそく箱から出してみる。



 一見しただけでは、その実力定かならず。
 さっそく実食。



 芋ようかんよりもずっと芋感たっぷりで、それでいてスイートポテト系洋菓子のような舶来ぶったよそよそしさがなく、甘さ控えめでいながら充実感たっぷりの深い味わい。

 これがあなた………

 うまいッ!!

 うーむ、こんなに美味しいもの、45年も生きてきて、いったいぜんたいなんで今の今まで知らなかったんだろう??

 それもそのはず、この芋きん、賞味期限は24時間なのだ。
 そのあたりも阿闍梨餅の地元オンリー感に似ている。

 ところで。

 かつてたのきんトリオ全盛時代、バラエティ番組は欽ちゃんの天下だった。
 そんな欽ちゃんのバラエティ番組のひとつで生まれたユニットは、その名を「イモ欽トリオ」といった。

 当時の僕はてっきり、たのきんトリオにくらべて垢抜けなくイモっぽいニィニィたちのトリオ、という意味だけだとばかり思っていた。

 しかし欽ちゃんといえば、元をたどれば浅草芸人である。
 そして浅草名物といえば……

 芋きん。

 この名物にひっかけた命名だったんですなぁ、イモ欽トリオって。

 30年を経て初めて知る事実は、芋きんの味わいと同じくらいに新鮮なオドロキなのだった。  


Posted by クロワッサン at 20:51Comments(0)街の美味いもの

2013年04月23日

コブシメ2つのヨロコビ。

2013年 4月21日(日) 曇り

北の風 けっこう波あり 水温22度

 今シーズン最初のゲストは……

 イカママ!!

 で、エントリー後最初にご覧になった生き物は……

 イカ!!

 ……コブシメですけどね。

 案内をしているうちの奥さんとイカママさんがその場を去った後、何も知らずに予備のアンカーの作業をしていた僕の目の前に、そのコブシメがいた。

 昼間である
 相手はイカ、こちらは素手。
 もとより獲れるはずはない。

 しかし据え膳食わぬは男の恥、目の前でおいでおいでしているコブシメを相手に、知らんぷりはないだろう。

 そこで完全超ダメモトで、刃渡り7センチほどのオモチャのような武器を振りかざすと………

 ゲット!!

 もちろん夕食は……



 イカ刺し♪

 どこぞの高僧様が仕事をホッポリ投げて(?)釣ってくる、アオリイカだヤリイカだといったそうそうたる顔ぶれに比べるといささか品下がるものの、鮮度という意味では勝るとも劣らぬとれとれピチピチ産地直下型。

 久しぶりに自力海の幸を堪能することができた。

 もちろんその日のゆんたくタイムは、コブシメのカルパッチョ&イカ天。

 イカママ、イカを食べるの巻。

 <え?共喰いッ!?

 いや、イカママのイカって烏賊じゃないですから。

 その翌日。
 砂地を徘徊していると、こんな生き物が。



撮影:オタマサ


 コブチビ♪

 フィールドで自然の姿で目にするコブシメのチビとしては、ミニマム級の小ささ。
 まさに、ほんのちょっと前に孵化しました……的可愛さだ。
 もちろん……

 イカママ、イカを撮るの巻。

 食べてよし、撮ってよし。
 コブシメは重要な水産資源である一方で、大切な観光資源でもある。
 生々流転、命はめぐり、まためぐる。  


Posted by クロワッサン at 20:09Comments(0)水納島の海

2013年04月23日

4月23日の記事

以下は、毎度お馴染み通信機器トラブルのせいで、あわやボツ原稿になりかけた20日の日記。

2013年 4月20日(土) 晴れのち夕方から雨

南東の風 やや波あり 水温22度

 本日からダイビングシーズン突入!!

 ………が、ゲストおらず。

 昨年は初日からわりとにぎやかだったというのに、いいお天気の土曜日に誰もいないなんて……。

 終わってるな、この店。

 ま、つい最近まで船がなかった店に予約するヒトはいないか。

 せっかくのフリータイムなので、今日もまた海へ。

 そうそう、昨日ちょろっと書いた微動だにしないフィッシュアイポート。
 マクロレンズ用だったら、こういう場合に便利な工具を持っているんだけど、フィッシュアイポートには不向き。
 かといって、調子が悪いテレビへの斜め45度チョップとか、異音を発する冷蔵庫への正券突きのように、これまでトドメを刺してきた数々のケースの二の舞にはなりたくないので、変に無理な力を加えたくもない。

 そういう場合に便利なアイテムが、ハウジングのメーカーであるアンティスのサイトのカタログに載っていた。
 いわゆるオイルフィルターレンチのように、ポートに特化したレンチである。

 これさえあればいつでも手軽に開けられるに違いない。

 さっそく電話してみると、夕方だったせいかいつもの落ち着いた女性ではなく、社長御自らご登場。
 で、事情を説明してそのレンチを買い求めたい旨伝えると……

 「いやーそれだったらですねぇ、このレンチでどうこうするよりは、人力で開けたほうがいいですねー。過去にどうしてもポートが開けられなかったというのは今年の1例だけで、他の場合は二人がかりでやればたいてい開きますよー」

 例によって相手に1を知らすために10を語るテクニカルかつマニアックな説明は、つまるところこういう工具を買わなくともよい、ということだった。

 さすが老舗アンティス、一味違うぜ。

 というわけで、ちゃんとした力だったら加えてもよいことを教えていただけたので、翌朝猫の手よりは使えるうちの奥さんの手を借りて、二人がかりでチャレンジ。

 すると……

 動いた!!

 かつて社会党が参院選で大幅に議席を増やした選挙後に「山が動いた!!」と叫んだ土井たか子の気持ちも、きっとこうだったに違いない。<違うと思います。

 無事にポートをマクロ用に交換して海へ。

 チマチマしたものを探しているところに表れたエビちゃん。



 この手のエビは、近頃では新しい名前がポコポコついて、もう何がなにやらワケがわからないけれど、いわゆるアカホシカクレエビ系の透明なエビね。

 この手のエビちゃんたちは、警戒すると相手を正面から見据えるように位置をとるから、フツーに撮るとたいていこういう正面向きになってしまう。
 そんな正面から彼らを見ると、彼らの鋏脚って、一番大きな鋏が実は2番目の脚であることに気づく。

 我々が擬人化して考えるところの「手」が、いわば4本あるようなもので、子供の頃にザリガニを見慣れたヒトにとっては、エイリアン的奇異な姿に見えることだろう。

 それにしても、脊椎動物のような「脳味噌」があるわけでもないのに、4本の手プラス3対の脚を、よくもまぁ機能的に統御できるものだとつくづく感心してしまう。

 しかし器用に手足を動かしても、どうしようもできないこともあるらしい。
 彼の腰(?)の辺りにご注目。



 これ、白い三角形はこのエビ本来の模様の一部。
 ところがその手前の、白地に黄色いマダラ模様、これはどう見ても体の正中線からずれているところについている。

 …ってことは、寄生虫??

 彼らの長い手足をもってしても、どうしようもできない位置らしい………。

 さて、話がやや変態化したところで、久しぶりにオタマサワールド。

 サンゴの表面を見てみると、所々に小さな穴が開いていることがよくある。
 他の生き物の住処になっている場合がほとんどで、これもどうやら住処のようだ。



 老いた眼では海中で視認できるのはここまでが精一杯ながら、そこは便利なマクロレンズとそれを使うオタマサ。



 それがカニであることを教えてくれる。
 どうやらヤドリガニ系らしい。

 オタマサによるとそんなカニさんが何種類かいるという。





 「あのぉ…どれもこれもカニに見えないんですけど??」

 そうおっしゃるあなたの反応は、ある意味正しい。
 れっきとした一般人であることの証だ。
 世の中には、足を踏み入れてはいけないところというものが多々あるのだ。

 すで踏み入れてしまっているそこのあなた、特にどっぷりと浸って元に戻れない方、どうかこのカニさんたちの名前をご教示くださいませ。  


Posted by クロワッサン at 16:55Comments(0)

2013年04月22日

不通。

2013年 4月21日(日) 曇り

北の風 荒れ模様 水温22~3度

 例によって原因不明かつなんの説明もないままに、通信環境が途絶。
 気まぐれにか細く繋がる時があるものの、写真をアップしたりすることができず。

 そのため、せっかく書き終えたこの稿も更新できず。
 それとメールも閲覧できない状態になったりならなかったりなので、お急ぎの方はお電話でお願いいたします。
 
  


Posted by クロワッサン at 07:06Comments(0)日々の徒然

2013年04月20日

春の椿事。

2013年 4月19日(金) 雨のち晴れ

北東の風 おだやかのちやや波あり 水温22度

 ハイシーズンにしか訪れない方には意外かもしれないけれど、春の海は冬の海といってもいいほどに、夏と比べるとその景色はうら寂しい。

 水温がまだまだ上がらないために、魚たちの多くが不活発なままのため、夏のような生命沸きかえる海というイメージとは程遠いのだ。

 そのため砂地の各根にはスカテンが群れ集うことはないし、スズメダイやハナダイのチビたちが随所で溢れんばかりに群れているということもない。

 ……のが普通だった。

 ところが昨日久しぶりにリーフの外で潜ってみたところ、キンギョハナダイのチビやデバスズメダイのチビたちが、例年の同じ時期では考えられないほどにたくさん集まっているところがあった。

 今年は全国各地で桜の時期が早かったというし、海中も何かと季節が早めに進んでいるのだろうか。

 そうはいっても夏に比べればまだまだなので、フィッシュアイを装備したカメラをマクロレンズに換えようと思い立った。
 どうせ天気も悪いことだし、ワイドよりはマクロでチマチマしようと考えたのだ。

 が。

 フィッシュアイポート、微動だにせず。

 さほど固く締めた覚えはないというのに、秋からずっと放置したままだったせいか、うんともすんとも言わない。

 しょうがないので、ビミョーな曇り空ながら今日もフィッシュアイのままで潜りに行った。

 すると……。

 この時期ではありえないところで、スカテンがわりと集まっているところがあった。

 へぇ~~と思いながらさらに近寄ると、その根にはそのほかに、スカテンでもキンメでもない小魚がゴシャッと群れ集っているではないか。



 どうやらこの魚は、クロスジスカシテンジクダイらしい。



 ですよね?

 図鑑的には「日本では稀」となっている魚である。
 日本では稀な魚が、こんなにひとっところに群れ集まっていていいのだろうか。

 かすかな記憶をひも解けば、過去にも目にしたことがあるようなないようなあるような………<全然ひも解いてないじゃん。

 いずれにしても、この魚がクロスジスカテンであるにせよないにせよ、フィッシュアイレンズ装備でよかったよかったというケースであることは間違いない。
 ポートよ、動いてくれなくてありがとう。

 絵的には、ここに昨日の赤いカエルアンコウがいたりすれば完璧だったものの、まぁなにはともあれ「日本では稀」っちゅうことで………ってことは、季節が早いというよりも、「春の椿事」ということか。
 みなさん、クロスジスカシテンジクダイは、今が旬です♪

 リーフ際に戻ってくると、お馴染みのガラスハゼがいた。



 「船が戻ってきてよかったね♪」

 ガラスハゼ、笑ったような笑わぬような。  


Posted by クロワッサン at 07:26Comments(0)水納島の海

2013年04月19日

2~3気圧の中で。

2013年 4月18日(木) ぐずついた天気

南のち西の風 おだやか 水温22度

 半年ぶりに、2気圧以上の圧力がかかる環境に身を置いた。

 MAX3メートル程度の水深のビーチの中でもたくさんのお魚さんを見ることができるとはいえ、リーフの外で眺めるこのグルクンの群れときたら………。

 なにもかもみな懐かしい………。

 …このセリフ、この稿でいったい何度登場しているかってくらいながら、今回ほどそのとおりの意味で使える時はそうそうない。

 このところずっと雨が続いているわりには透明度は良く、覚悟していた水温もこの時期にしては比較的「温かい」22度。

 が。

 このオフの間のダイエットのせいか、それとも単に年をとってしぼんだせいか、首周りが細くなってしまったために、冷たい水がたえずチョロチョロチョロチョロ……

 首筋から寒さが忍び入る。

 久しぶりに訪れた新一本サンゴは、冬の間にさらに成長していたようで、少し前までの「ミニ一本サンゴ」という呼称はもはや使えないほどになっている。

 ただし旧一本サンゴに比べ、テーブルサンゴの枝の隙間が狭いせいか、サンゴ自体を住処にする魚たちが少ない。
 どれも似たような枝ぶりに見えつつ、魚が集うサンゴには、太陽系で唯一生命が存在している地球と同じくらいに、様々な必要条件が備わっているのだろう。

 昨シーズンはこの新一本サンゴの番人になっていたシロブチハタが、少し離れた場所に「転居」していた。
 畳1畳ほどの小さな根を新たな住処にしているらしい。

 近寄るダイバーをものともしないフレンドリーさは相変わらずで、久しぶりの対面を果たした僕の前で、鮮やかにポーズを決めてくれた。



 リーフ際のサンゴたちはこの半年の間もスクスク育っていたようで、懸念されたオニヒトデの食害も目立たなかった。

 サンゴが元気だとスズメダイ類をはじめとする小魚たちが群れ集う。
 そしてまた、それをエサにする魚たちもやってくる。

 たしか昨シーズン後半に出会った、わりと綺麗なカエルアンコウ(イロ?オオモン?)が、ややサイズアップしつつもほぼ同じ場所に鎮座していた。



 リーフ際には、彼を成長させるほどの生産力がちゃんとあるってことか。

 特に何がどうというわけではなく、お馴染みの面々と再会を果たしただけだったけれど、やっぱり……

 リーフの外って面白いッ!!

 お節もいいけどカレーもね。
 インリーフもいいけど、リーフの外もね!!  


Posted by クロワッサン at 07:29Comments(0)水納島の海

2013年04月18日

復活の日。

2013年 4月17日(水) ぐずついた天気

南西の風 うねりあり
 
 「ソロモンよ、私は帰ってきた!!」

 そう叫びながら核弾頭装備のバズーカを発射したのは、「ソロモンの悪夢」ことガトー少佐だった。

 ひょっとしたら、思えば遠くへ来たもんだ武田鉄矢が福岡に帰っても同じようなことを叫んでいたかもしれないけれど、僕個人として同じような思いを抱いたことはかつてなかった。

 が。

 その気持ちがわかるような気がする瞬間が今日初めて訪れた。

 まずはその前に、BGMとして↓こちらの音楽をご視聴あれ(mp3の音楽ファイルです)。

 

 盛り上がりましたか?

 盛り上がりましたね?

 というわけで!!

 というわけです!!



 ミスクロワッサン、復活!!

 「水納島よ、私は帰ってきたッ!!」

 彼女はそう叫んでいたに違いない。

 思えば長い日々だった。
 セカンド・インパクトによる天地転覆後(ご存知ない方はこちらをご覧ください)、水納島に越してきて以来18年にして、初めて迎える「船のない生活」。

 その前の年にも台風のせいで家の屋根が吹っ飛び、究極のダウンサイジングといっていい転居生活を余儀なくされたものの、周囲の同情とは裏腹に、当人たちにはそれほどの痛手ではなかった。あ、そりゃ痛手は痛手だったけどね。

 しかし船がない生活、これはかなり堪えた。
 だって。
 だって………

 つまんないんだもの。

 こういう小さな島に住んでいて、しかもダイビングを一応趣味にしている身にとって、ヒマな日に、いつでも好きな時に、いつでも思うがままに

 タダでボートダイビングができる

 ということ以上に、ここで暮らしている意味があろうか。
 その重要なアイテムのひとつであるダイビング用のボートが無いなんて………。

 いやあ、この冬はつまんなかったなぁ!!

 ………といいつつ、台風もかくやというほどの大時化の時に船の心配をする必要がない、というシアワセときたら!!

 <どっちなんだよ。

 つらつら考えるに、人生の流れをマージャンでたとえていうなら、屋根が吹っ飛んで以来、さらに船がひっくり返って以降の流れ的には、降りているにもかかわらず何を切ってもフリこんでしまう、というドツボの状況であることは間違いない。

 そういう場合は、あえて流れに逆らうことはせず、臥薪嘗胆じっと期を待ちチャンスをうかがい、追い風をひたすら待ちつつガマンのマージャンをしなければならないところである。

 そんなときに大枚はたいて船の修理などという後先顧みない投資なんて、配牌時点でシーサンパラパラ状態にもかかわらず最初から面清一通を狙っているようなものである…………ことは百も承知している。

 その昔雀豪ムツゴロウ氏は、

 強気は相手のテンパイから3巡目まで。

 その著書でそう述べていた。
 いかな強運の持ち主といえど、4巡目、5巡目ともなるとそうは問屋は卸さないぞ、ということだ。

 クロワッサンのような最初から背水の陣のようなダイビングサービスにとって今、おそらくは何を切ってもフリこんでしまう流れの中で、高目超見え見えのマンズ狙いの相手に平気で何度もマンズ牌をきりつづけているようなもの。

 しかも自身の待ち牌は、すでに出目がない白だったりする。

 はたして高目をフリこんでしまう前に、奇跡の5枚目の白が出てくるだろうか???

 今シーズンに乞うご期待。<どっちを??  


Posted by クロワッサン at 07:45Comments(5)日々の徒然

2013年04月17日

アマリリス魂。

2013年 4月16日(火) 晴れのち大雨のち曇り

南東のち南の風 波あり
 
 ………………………。

 さらにモノが言えなくなったの図。

 とはいえ呆れてばかりもいられないので、華やかな話でも。

 以前も触れたとおり、昨年に比べて今年はカタツムリが極端に減少したため、アマリリスが順調に開花している。

 ブロック塀の外はこんな感じに。



 裏庭はこんな具合に。



 そしてBSアンテナは花に埋もれた。



 なんだかアマリリス屋敷ってな風情になってしまった……。

 これが年に3回くらい咲いてくれれば「見モノ」のひとつにもなりそうなもんだけど、残念ながら春のこの時期、すなわちゲストがほとんどいない季節にしか咲いてくれない。

 ま、束の間だからこそ美しいともいえるか。

 ところで、旧宅に住んでいた頃までは、裏浜の入り口付近は毎年こうなっていた。



 今ここはこうなっている。



 廃屋春にして草木深し……

 杜甫や芭蕉ならずとも感慨深くなる風景だ。
 毎年丹精込めていたうちの奥さんも、転居後はさすがにこっちまで手が回らない。

 こうして眺めてみると、「ヒトの手」ってものが人里の景観にとっていかに大切かということがわかる。

 そんな中……



 雑草を掻き分けるようにして花芽を出しているアマリリスも。

 世の中には「雑草魂」なんていう言葉があるけれど、どうしてどうして、名のある草花だって生き抜く力を持っているのだ。

 旧宅の周りでは、すでに花を咲かせているアマリリスもあった。
 そんな雑草化したアマリリスに救いの手が。

 現我が家の周りでアマリリスが咲き誇るのを目にした島のおばあたちが、ここで雑草化しているアマリリスを何株か救出(?)し、ご自宅に移植してくれたのだ。

 葉っぱだけの姿だととても庭に植えようとは思わないけれど、花咲く今の季節なら「植えてみようかな…」という姿に変身するアマリリス。
 寒空の下作業をしているおばあたちの姿は、なかなかにメルヘンだった。

 さてさて、明日あたりはさらに「………」が長くなっているかもしれない状況ながら、アマリリス魂を見習ってもうひと花咲かせてみよう。  


Posted by クロワッサン at 08:23Comments(2)庭の歳時記

2013年04月16日

…………

2013年 4月15日(月) 晴れ

東の風 おだやか
 
 ………。

 ↑呆れてモノが言えないの図。

 何に呆れたかは、また後日のお楽しみ。  


Posted by クロワッサン at 07:24Comments(0)吉田兼好

2013年04月15日

春の旬は竹の旬。

2013年 4月14日(日) 雨

北東の風 波あり
 
 例によって昨夜は飲みすぎてしまった…。

 しかも、お客様の接待中であるにもかかわらず、椅子の上でついに沈。

 うーむ、シーズンを前に自主トレが足りない………のか?

 そんな翌朝がまたお日様カンカン照りの超海日和だったりしたら、もったいないのと自分の愚かさ加減に涙がチョチョぎれるところ、幸いというかあいにくというか、今日日曜日のお天気は朝からずーっと雨雨雨。

 雨にもかかわらず雑貨屋さんの売り上げもあって、なんとも心穏やかな1日になった。

 それにしても、ゲストがゲストだけに、本来であれば昨日が今日のような天気になってもおかしくないところ、このところ彼はすっかり「雨男」を返上してしまったようで、おかげで昨夜は屋外で飲むことができた。

 ゲストとはウロコムシご夫妻である。
 はて、ダイビングのシーズンにはまだ1週間あるというのになんでまた?

 4月のウロコムシご夫妻といえば、もちろんこれ!!



 ダンボール2箱分のタケノコ!!
 この日の朝までタケノコの里で健やかに生えていた、産地弾丸直送の筍である。

 奥様のお父様と共に、ウロコムシご夫妻はこの日早朝にタケノコの里にてせっせとタケノコ掘りをし、ダンボールに詰め、空港に運んで一緒に搭乗、那覇空港到着後、渡久地港まで運送して連絡船に載せ…………

 そして大量のタケノコを携えてのご来島である。
 なんと尊い労力!!

 しかし作業はまだ終わらない。



 恒例イベントにしてくださったおかげで、すっかり手慣れた作業で大量のタケノコは次々に裸に剥かれ………



 ババンババンバンバン♪

 アヒルを飼わなくなった=潰す機会もなくなったため、もはやタケノコを茹でる際以外に活躍の場がなくなったシンメーナービー。
 モノがモノだけに狭い我が家に保管しておくのはやっかいながら、この大量のタケノコをいっぺんで茹でられる鍋の底力はやはり貴重だ。

 もちろんこちらもスタンバイOKだ。



 炭火焼でいただくタケノコ♪

 しかしこの日のこの網の主役の座は、タケノコではなかった。
 これだ。



 焼鳥!!

 普段なかなか美味しい焼鳥屋さんに巡りあえない……と我々が嘆いている姿を見るに見かねたウロコムシご夫妻が、我々に美味しい焼鳥を食べさせてやろうとばかりに、超高級鶏肉を持参してくださったのだ。

 しかもそれは腿肉の塊&鳥レバー。
 そしてご丁寧にも串焼き用の串まで用意してくるほどの気合の入りようだ。

 手際のよいウロコムシ奥様のおかげで、焼鳥サイズに切られた腿肉は次々に串に通され、たちまち炭火焼きスタンバイ状態に。
 しかるのちに日本酒と塩で味付けしてから、こうして網の上に載せると……

 ジュッ………。

 ああ、ヨロコビの焼鳥が今目の前に。



 夕映えの空の下、まずは一口いただいてみる。

 う………旨いッ!!

 ガマンできずに立て続けにさらにいただく。

 こ………これが焼鳥だ!!

 ノーマルとおっしゃるほうの肉ですら思わず太く大きく書いてしまうほどだというのに、市場価格にしてノーマルの3倍はするという、シャア専用秋田の地鶏がこれまた絶品。

 さらにさらに、レアないしはミディアムでいただく鳥レバーも、ヘタな焼鳥屋が裸足で逃げ出すこと間違いなしの超絶的美味さ………あ、ヨダレが。

 こういうものをいただける店が、一軒でも本部町内にあればなぁ……。

 まだ空が明るいうちから早くも焼鳥でフィーバーしているうちに、タケノコがいい感じになっていた。



 絶品の焼鳥に筍の炭火焼、そしてさごしのみりん干しその他、これで酒が進まぬはずはない。

 でまた、当然のように持参してくださった数々のお酒が旨いものばかりなので、ついつい調子に乗って……

 ……いつしか椅子の上で沈する羽目になってしまったのだった。

 まことに面目ない。
 どんなに美味しい肴、旨い酒を前にしても、いつでもどこでもマイペースで飲める大人になりたい……。

 <あんたの場合、ハイペースで飲み続けるのが「マイペース」なんじゃね??

 ………そうかも。

 なにはともあれ、タケノコムシご夫妻のおかげで、しばらくはシアワセのタケノコ三昧の日々を送れそうだ。  


Posted by クロワッサン at 07:22Comments(0)日々の徒然

2013年04月13日

指先が痺れる海で。

2013年 4月12日(金) ぐずついた天気

北東の風 おだやか 水温21度

 なんてことだ、先月6日にカモメ岩方面に行って以来、まったく潜っていなかったじゃないか。

 どこぞに旅行に行っていたわけでも、長期療養生活を送っていたわけでもないというのに……。

 毎年3月はシーズン前の準備やなんやかんやでいろいろと雑務が多いうえに、いいお天気の日に限って出かけなきゃならない用事が……なんていうことも多々あるので、ついついブランクダイバーになってしまう。

 というわけで、お天気は芳しくなかったものの海は穏やかだったこの日、久しぶりにカメラを抱えてカモメ岩方面を訪ねてみた。

 大潮の干潮後だったのでやや濁りのなか、海底を這っていたのがこのヒトを見つけた。



 アオフチキセワタ。

 一昔前まではたしかアオフチキセワタガイと呼ばれていたのに、いつの間にか最後のカイが取れてしまった。
 ウミウシなのに貝とつくとややこしいからだろうか。

 ところで、シーズン中にもちょくちょく出会うことがあるこのウミウシには、個体によってその体の模様に差異がある。
 上の写真のような頭部と体中央の白いラインが入っていないものもいるのだ。

 もしかしたらさらに時代は変わり、両者は別の種類になっているのかもしれないけど、いずれにしても、出会う頻度の差はそれほどないのに、これまでこの白い模様が入っている子と出会うのは、いつもガイド中のことだった。

 そのため青いラインのみの個体の写真しか持っていなかったところ、本日ようやく白い模様入りの子も写真に納めることができたのだった。

 お初といえばこのヒトも。



 ご存知コバンハゼ。
 海中では頬の青いラインが見えるほどには近づけないので、ただの黒いハゼに見える。
 というか、枝サンゴの隙間を住処にしているため、こうしてほぼ全身が見える位置にいる状態の時にカメラを向けられるチャンスがなかなかない。

 ところがこの子はわりとフレンドリーだったので、コバンハゼだとわかる程度ながら、初めて撮ることができた。

 不思議だったのは、このハゼどんが住処にしているサンゴだ。
 ラテン系の方々からすれば、枝サンゴであれば別になんでもいいじゃん、ってなところだろうけれど、魚に限らずサンゴを住処にする生物たちは、住処にするサンゴの種類にはとてもこだわりをもっているのだ。

 コバンハゼの場合は、図鑑的には通常はミドリイシ類を住処にする。
 ところがこのサンゴはミドリイシじゃないと思うんだけど………。

 周囲にはけっこうミドリイシがボコボコあるから、本来の住処には困っていないはず。
 ただ、彼が住んでいたこのサンゴの周囲は、まるで草刈りを終えた後に雨が降った若芽だらけの瑞々しい草原のように、握り拳大の枝サンゴ(not ミドリイシ)が群生していた。

 そのため、他のコバンハゼ類のチビが、サンゴからサンゴへ、40センチほどの距離をいともたやすくフツーに移動していたりする。

 彼らにとっては図鑑的な「本来の住処」よりも、かえってそういう環境のほうが本当は都合がいいのかもしれない。

 そういう環境が好きらしい魚がほかにもたくさんいて、どうやらこのヒトもその仲間らしい。



 オビテンスモドキの大人になりかけ君。

 前回ここで潜ったときも大人になりかけオビテンスモドキに会ったけれど、明らかにこっちのほうがサイズが小さいので、別個体であることはたしかだ。

 もちろんサンゴを住処にしているわけじゃないけれど、サンゴの向こうに見え隠れする様はなにやら楽しげだ。
 ガレ場で逃げ隠れするよりも、サンゴの園を行き来しているようが、そりゃあ彼らにしても心地いいに違いない。

 そろそろ千切れた海藻のフリが通用しなくなるお年頃にもかかわらず、幼魚泳ぎで移動し続ける彼。
 それを撮ろうとしたおかげで、冷たい水のせいで手足の先が痺れているにもかかわらず、たいそう泳がされる羽目になってしまった。

 その際彼の後ろからついていくと、超テキトーに逃げ回っているように見えるにもかかわらず、ある一定の範囲から外にはけっして出ない。

 なのでもし遠くから僕の姿を見ている人がいたとしたら、同じところをバターになりそうなほどにグルグルグルグル回っているマヌケに意味不明なダイバーに見えたことだろう……。  


Posted by クロワッサン at 07:57Comments(0)水納島の海

2013年04月11日

思いもよらぬフィット。

2013年 4月10日(水) 雨のち曇り夜少し雨

北西のち北東の風 荒れ模様

 ビミョーに時化る予報が出ていたものの、頑張れば運航できそうな程度で済みそうな気配もあった。

 が。

 連絡船、あえなく欠航。
 もっとも、欠航していなかったとしても朝から雨が降っていた寒空のこの日、好きこのんで島を訪れる観光客はいなかったことだろう。

 暑かったり寒かったり、春のお天気は何かと忙しい。
 GWあたりに来沖される方々から、この季節の気候を尋ねられることがままある。
 旅行用に用意すべき服装のためだ。

 でも実際の話、暑い日もあれば寒い日もあって、その差はけっこう大きい。Tシャツ短パンで過ごせる日があるかと思えば、今日のようにシャカパン&靴下なんて冬の装いが必要な日もある。

 なので、お天気次第でまったく変わってしまうとしかいいようがない。つまりは、暑いも寒いも運次第ってことで。

 寒い1日ではあったものの、雨は朝の間だけで上がってくれたので、日中は細々とした屋外仕事ができた。
 そのひとつがこれ。



 玉網。
 船の常備品に欠かせない便利アイテムの玉網ながら、ちゃんとしたものを買うとけっこう値が張る。
 そこでクロワッサンではこれまでずっと、チープな手網を買ってきて、それに自作の柄を取り付けてきた。

 ここ数年は自信作をずっと使ってきたのだけれど、あいにく船がひっくり返った拍子に備品類はことごとく海の藻屑となってしまったため、ロープを取るためのフックや玉網も再び作らなければならない。

 そういう場合は身の周りにある品々でってのが定番ながら、網の柄に適した棒というのはそうあるものではない。
 角材ならたくさん備蓄があるものの、網には使えないし……。

 そんなとき目にとまったのが、今のところ使い道がないステンレスのパイプだった。

 このパイプに手網の柄が入ったら調度いいんだけどなぁ……

 しかし世の中そううまくは運ばない………と思いきや、

 測ったようにピッタリ♪

 さっそくステンレスのパイプを網の柄に適した長さに切断し、手網の固定のためにパイプに穴を開けてネジで止めれば一丁上がり。

 おお、なんだかやけに高級感漂う玉網!

 これさえあれば、お客さんが船から何を落とそうとも、すかさずピックアップ可能だ(浮くもの限定)。

 <あのぉ、網自体を落としたら沈むんじゃね??

 アッ!!

 しまった、パイプの径と手網の柄の径がピッタリすぎたあまり、思わぬ落とし穴が。

 しょうがない、パイプの中に発泡スチロールのクッション材を詰め込んでおくこととしよう………。

 それで浮くか??

 明日のこの稿は更新されません。  


Posted by クロワッサン at 08:19Comments(0)日々の作業

2013年04月10日

TPO。

2013年 4月9日(火) 雨のち晴れのち曇り

南の風 おだやか

 所用あって本島に出かけた。
 最近は、TPOで乗る車を変えている。

 今日はプチトマト号でお出掛けだ。

 で、本部町内でゴニョゴニョと用を済ませていたところ、スピードメーターの周辺に配置されている各種警告表示のうち、バッテリー系の表示が運転中にアヤシく点灯した。

 あれ?

 ここが点灯したことはこれまでなかったぞ。

 しばらくするとそれは消えた。
 気のせいだったのだろうか?

 そして一路名護を目指すべく、エンジンをかけようとしたところ、エンジンは普通にかかったものの、始動の際に今度はそのマークが、まるで頭上から迫る白いモビルスーツの存在を知らせるグフのコクピットの警告表示のように、激しく小刻みに点滅するではないか。

 あれれ?

 いくらなんでもこれは車が何かを訴えようとしているに違いない。おそらくこれはバッテリーがヘタっているってことだろう。
 名護に行ったらメイクマンに寄ってバッテリーを買おう。

 そして車を走らせていると、まったく関係のない他の警告表示が意味もなく点灯したかと思うと、走行距離等のデジタル表示が風前の灯火のような弱々しい光量になってしまった。

 あれれれれ??

 「れ」の数がどんどん増えていく。
 これはどう考えても事態が悪化している。

 車を走らせているのに電気のパワーが落ちていくってことは………原因はダイナモ系か??

 その昔、国道58号線の嘉手納ロータリーから伊良皆へと続く坂道を走らせていたときのこと。快調に走っていたはずの車が、突如エンジン停止してしまったことがある。

 たまたま近くにあった修理工場で見てもらったところ、ダイナモの故障だった。
 ディーゼルエンジンと違い、ガソリンエンジンは電気がなければ動き続けることができないというのに、バッテリーに電気を蓄えるための発電をするダイナモちゃんが死亡していると、バッテリーの中の電気をただ消費するだけになってしまう。

 当然、エネルギーが切れるとエンジンは停止する。

 それと同じ事態になるんじゃないのかこれは……。

 そんなとき!!

 水納島御用達のフルゲン自動車さんが目の前に。
 速やかに乗り入れ、フルゲンさんの姿を探した。他にスタッフは大勢いるけれど、我々島民の「主治医」といえばフルゲンさんなのである。

 幸いなことに、ちょうど工場に戻ってこられたので、すぐさま症状を説明すると……

 「ダイナモだな……」

 やっぱり!

 バッテリーその他もチェックするため、いったん停めていたエンジンを再び掛けたところ、

 ウ……ウウン……ウン……

 でようやくかかった。
 もうギリギリのラインまで電気が無くなっていたのだ。

 あのままメイクマンを目指していたら、今頃プチトマト号はよしこそばあたりで完全停止していたことだろう……。

 というわけで、プチトマト号は緊急入院。
 フルゲンさんに渡久地港まで送ってもらい、ハイラックス・グフにてリスタートをする我々。
 乗る車のTPOには、こういうことも含まれるのだった。

 でもまぁ、ちょっとした時間のロスがあっただけで、ほぼナニゴトもなく無事にトラブルをクリアできたことになる。

 それもこれも、いいお天気だというのにカメルッキンガーしかいなかった前日のおかげだ。
 もし前日の雑貨屋さんが大入り満員で、この日もちゃんと店番をしておくか…ということになっていたら、うちの奥さんが1人で運転していたわけで、するとフシ穴が車の訴えに気づくはずもなく、きっとどこぞの路上で狐につままれたような顔をしながらオタマサ状態になっていたのは間違いない。

 毎度のことながら、世の中何が幸いするかわからないなぁ……。

 おおそうだ、車といえば!!

 ついに完成しました、今年のTシャツ♪

 今年のデザインは、あの日あの時あの風景シリーズ(?)。
 我らがマッハ軽の軽トラが主役!!<ヤドカリさんが主役じゃないの??







絶賛(の予定で)発売中!!  


Posted by クロワッサン at 08:16Comments(2)日々の徒然