› 徒然海月日記~つれづれくらげにっき~ › 2013年04月
2013年04月30日
哀しい干物。
2013年 4月29日(月) 晴れ
南東の風 波あり 水温21~22度
その日2本潜ってから午後4時水納島発の便でお帰りになる、というケースはわりと多い。
しかし午前1本午後1本というペースで潜るクロワッサンの場合、2本潜り終えてから4時の便で、となるとかなりご本人的にはタイトなスケジュールになる。
県内在住の方なら、器材は洗わずにそのまま持って帰るという手があるからヒト手間もフタ手間も省けるけれど、大きなカメラハウジング2台を分解・整頓してパッキングする手間まで必要な世界のM下さんにとっては、1分1秒たりとも無駄にできない状況だ。
この日も午後3時頃に2本目終了。
余すところあと1時間しかない。
そこからシャワーを浴びて着替えてダイビング器材を洗ってまとめてカメラハウジングを分解、パッキングして……
という作業を流れるようにこなされた世界のM下さん。
しかも最後の最後には、「これを食べておかなければ始まらない」というドラゴンフルーツシャーベットにまでたどり付かれ、しかも獲れ獲れの生タコのサラダも一口。
ええっ!?シャーベットとタコ???
いやいや、限られた時間内ですべてをこなすには、2つ3つの作業を同時にこなさなければならないのだ。
さすがレッドゲートを入学時と卒業時に潜り抜け、それ以外はずっと雀荘に入り浸っていたという世界のM下さん、ナニゴトもソツがない。
一方。
このゴールデンウィークにひょこっと2日続けて日帰りで遊びに来ていたオーシャン。
彼はかつてのドレイヤング・オカダの同級生だ。
学生の頃は「いかにも学生ファッション」に身を包み、やんちゃぶりを方々で発揮しまくっていた彼も、社会に出てからはなんだか好青年っぽい風情になり、なんといっても高価な焼酎の一升瓶を手土産に抱えてやってくるあたり、隔世の感これありってところだ。
そのオーシャンも、世界のM下さんと同様、2本潜ってから4時の便で帰る予定になっていた。
レッドゲートとは程遠い琉球大学のユルユルの門を潜り抜けた彼に、1時間ですべてをこなすソツの無さが備わっているのだろうか。
そんな心配を他所に、アッという間に身支度を整えた彼。
さすが昔とった杵柄、そのあたりは手慣れたものってことなのか、それとも琉大卒業後に進んだ九大マスター(専攻は、ビーチでおねーちゃんを眺めることによる視床下部へのヒーリング効果……………当サイト推測)のワザということなのか。
そしてみなさんを4時の便で見送ったあと。
うちの物干し場に、見慣れぬ海パンがぶら下がっていたのだった。
ああ、オーシャン………ocean………orz。
詰めの甘さを残すあたりは、さすが琉球大学の遺伝子(涙)。
彼に限らず、昔からうちに遊びに来る学生たちは、忘れ物はないかとさんざん確認したにもかかわらず、何かひとつ必ず忘れていく。
なかでも海パン率は高く、忘れ去られた海パンのたたずまいは、なんだかすべての人に忘れ去られたまま干され続けている干物のようで、どうにもこうにも情けないのだった。
皆様、お帰りの際は、お忘れ物にご注意を♪
あ、そうそう、この日のダイビングで、僕が初めて目にするミノウミウシ系の珍モノと、いまだ写真に納めたことがないオレンジウミコチョウを発見してくれたのは、ほかでもないオーシャンであるということを、彼の名誉のために付記しておく。
2013年04月29日
お願い。
2013年 4月28日(日) 晴れ
南東の風 波あり 水温21~22度
帰還をはたしたミスクロワッサン、おかげさまで連日ゲストを載せて活躍しております。
ところで、ここで皆様にお願いが。
当店ダイビングサイトの「シーズン情報」のページには、ご予約状況のほかにダイビングの休業日を記してあります。
すでに今シーズンも、ご予約状況に鑑み、この日に休みを入れておかないと体が保たんッ!!(特に肝臓が)という日に休業日を設けさせていただいています。
ただ、ご予約をいただく際に、肝心要の休業日のお知らせを事前にチェックしてくださっている方が少ない……。
休業日は我々の生命に関わる大事な情報ですので、ご予約の際は、くれぐれも事前に当店シーズン情報のページをあらかじめチェックしてくださいませ。
2013年04月28日
Who?
2013年 4月27日(土) 晴れのち曇り
東の風 波あり 水温21度
このヒトは誰でしたっけ?
撮影:オタマサ
何かで目にしたことがあるような気がするんだけど、その「何か」が何かわからん………。
情報求む。
2013年04月27日
春爛漫。
2013年 4月26日(金) 曇りのち晴れ
北の風 波高し 水温22度
その昔、クロワッサンの元ドレイよいち氏が発見したエビを、久しぶりに見つけた。
流れやうねりに合わせてゆらゆら揺れるソフトコーラルに住んでいるので、ひょっとしたらいるかもしれない「居場所」はかなりわかりやすい。
ただし探すのがとても面倒かついたとしてもなかなかちゃんと撮れないので、これまでずっとスルーしていた。
ところがこの日どういうわけか気が向いたので探してみると、ビンゴ。
久しぶりのご対面と相成った次第。
よいち氏が発見した当初は世にほとんど情報がなく、当時の日本では小笠原で発見例がある程度だった。
それが今や多くの(変態社会在住)ダイバーが知るところとなっているようで、最新のエビカニ図鑑ではもう和名すらついているのではなかろうか。
いずれにしても地味なエビであることには変わりがないので、にぎやかなウミウシたちでお口直し。
本日出会った個人的レアものたち。
ああ、春ですねぇ………。
2013年04月26日
長い道のり。
2013年 4月25日(木) ぐずついた天気
北東の風 おだやか
長らく入院していたミスクロワッサン、その退院は、2月いっぱいでってことで当初お願いしていた。
しかしそこはそれ、沖縄の会社のことである。2月でお願いといって「大丈夫よぉ」と言われれば、その「ダイジョーブ」はすなわち、3月になることを意味しているものと思っていい。
なので、まぁ早くても3月中旬頃になるのだろうなぁ、とあらかじめ覚悟はしていた。
2月に入ってしばらくしてから、一応念を押す意味で連絡してみると、
「3月中旬くらい………ですかねぇ」
やっぱり。
しかしここで安心してはいけない。
そう言ってきたってことは、すなわち早くて3月中旬ということだ。
それでも多少ずれたとしても、なんとかシーズンイン前にいろいろと準備をする余裕はある。
ところが3月も半ば近くになって、3月いっぱいまでに、という話に変身。そもそもいろいろグダグダと説明してくれる話自体が、2月に確認したときの作業段階から一歩も進捗していないじゃないか。
おまけに、3月上旬に内地から名護の事務所にようやく届いたというキャビン、これから工場に運ぶという力強い言葉を聞いていたものの、20日頃になって、まさかなぁ……と思いつつ名護の事務所を覗いてみると……
まだそのまま置いてあるし。
確認してみると、
「今度の土曜に工場に運びますから!!」
ってあんた、何日ここに置きっぱになっとんねんッ!!
そして本来の納期である3月も末になると、
「遅くとも4月10日には納品できます!!」
ついに日付確定の堂々たる連絡が。
3月いっぱいと言っておきながらなわけだから、4月10日に!と胸を張られるいわれはまったくないものの、それでも日付が確定されたというのは画期的な進歩である。
が。
8日になっても、10日当日の段取りに関する連絡がいっさいない。
こちらも渡久地港に出向いて受け取る必要がある手前、時間等の段取りは事前に知っておきたいから、恐る恐る確認の電話を入れてみた。
すると……
「ん?……あぁ………15日って言ってましたよねぇ??」
完璧に10日って言うてたっちゅうねんッ!!
念を押して確言を得た10日が間違いであるはずはないものの、どう言っていたかにかかわらず無理なものは無理。
そもそも当方が修理をお願いしているのはヤンマー沖縄名護支店ではあるのだけれど、数年前からヤンマー沖縄はリストラ(?)を断行、その結果、それまで4名ほどいた北部支店の船舶現場スタッフは、重鎮たった一人になってしまったのだ。
ちなみに北部支店の受け持ち区域は、恩納村から北の本島ならびに周辺離島。
いうまでもなく漁港だらけの一帯で、プレジャーボートも数多い。
そんな広大な区域を1人で…………なんてのはどだい無理な話で、おのずと業務は下請け業者に委託というスタイルになる。
だから、ヤンマー沖縄がたとえ3月中に納品したくとも、下請け業者がこれまた多忙で(昨年の台風被害は全県規模だったせいもある)、急げといっても物理的に手に負えない。
かててくわえて小さな離島の、吹けば飛ぶような小さな店の船の修理をなによりも優先させるはずもなく、納期はズルズルズルズルと後回しになっていくのである。
事ここまで来てしまえば、納品は翌年に持ち越されてもなんら不思議ではなかったけれど、結局15日に受け取ることに。
そして迎えた15日、さすがに今回は言葉どおりに事が運び、ついにミスクロワッサン、半年ぶりに洋上に!!
が。
そのまま水納島まで乗って帰ることあたわず。
動くことは動くものの、空ぶかしのときは上がるエンジンの回転が、どういうわけかギアが入るとある一定ラインから上昇しない。
それもまた8割くらいのラインであれば我慢もできるところながら、2割程度の能力しか出ない状況。これじゃあいくらなんでも。
そのテのものに詳しい方は、きっとあれがあーだこれがこーだといろいろと持論をお持ちであるに違いない。
納品の際に現場に来ていたヤンマー下請け業者スタッフの方もそうだった。
で、その場でいろいろと試行錯誤を繰り返すものの、結局その日は解決せず。
納期がずれるのはいい。
適当に後回しにされるのもいい。
しかし、半年もかけておいていざ動かしたら不具合ありって、そのブサイクな仕事はなんなんだ。
半年あれば原子力空母だって直ってしまうぞ。
先だっての「呆れてモノが言えない」というのはこのことね。
その後紆余曲折を経つつも、結局なんら改善されることのないまま、クロワッサンのダイビングシーズンインを迎えてしまった。
今シーズンの初ゲスト・イカママさんは、2割の力のミスクロワッサンにてご案内。
幸い海況が海況だったのでスピードを出す状況になく、あまり違和感なく済んだけど……。
しかしゴールデンウィークは目前。
いくらなんでもこのままでは、いろいろと支障が出てくるのは想像に難くない。
なにしろ本来であれば凪いだ状態なら15分で到着する水納島~渡久地間が、28分かかってしまうのである。
その原因を究明すべく、これであろうと見当をつけたパーツをたまたま工場にあるという同じ型のエンジンの中古部品と交換したものの、症状の改善は見られず。
ともかくもその間に、工場のほうで取り外したパーツの整備作業がなされている予定だった。
そして当方がフリー予定の24日か25日に、その作業の結果を試しに、という話になっていた。
ところが。
23日になって、突如件の下請け業者の社長から直接電話が。
「人手のやりくりがつかないから、来週でもいいですかねぇ??」
ここにきて、さすがの私もついにキレてしまいました。
部品の都合がどうにもつかないというならともかく、こんだけ迷惑をかけまくっておきながら、人手のやりくりができないからとはどういうことだ。
先方としては、一応船は稼動しているという認識のようだったけど、とてもじゃないけどこのままでいいはずがない。
もしこの状態でGWに突入なんてことになったら、こちらとしても損害を請求させていただく旨力強く先方に宣言し、満足に動かぬ船などそっくりそのまま返品する、とほぼ本気で宣告した。
すると……
予定どおり24日に作業をということに。
なんだ、やればできるんじゃん。
しかも、それまでの一週間の頼りないスタッフとは違い、この道ウン十年という感じのイブシ銀のベテランスタッフ登場。
そしてこの一週間で整備を終えたパーツを装着し、試運転。
が。
回転上がらず。
この一週間はなんだったんだ………。
GW最初のゲストが島に上陸する2日前の話である。
いったいどうなるんだ??
しかしベテランスタッフは一味違った。
これで上がらないということは、もうここしかない、という場所をチェック。すると……
ビンゴ!!
どうやら原因はそこで間違いないらしい。
しかしその代替パーツのおニューが届くのは1週間後??
待てないって!!
でもちょっと待てよ。
試しに装着した中古部品があるってことは、その元の中古エンジンにも原因特定箇所と同じパーツがあるってことですよね??
急遽駆けつけたヤンマー沖縄名護支店重鎮と作戦会議をし、そのパーツを翌日午前中に装着しようということに。
そして迎えた今日である。
GW突入前日である。
小雨混じりの冴えないお天気の下、渡久地港にて一縷の望みをかけた作業が行なわれ、ついに試運転のときを迎えた。
はたして……
はたして………
はたして!!
キュイィィィィィィィンッ!!
おお、久しぶりに耳にするターボファンの音!!
ついに………ついに………
ミスクロワッサン
(ほぼ)
(ほぼ)