2024年04月19日
限定的レア。
2024年 4月18日(木) 未明大雨のち午後から晴れ
西のち北の風 朝から荒れ模様
真夜中過ぎにとんでも級の嵐になっていたかと思えば、早朝には早くも強風が。
低気圧を伴う前線の通過のはてに、冬のような荒れ模様が待っていたのだった。
昨日の時点でこれは予想されていたことだから、連絡船はもちろん朝から全便欠航…
…と思いきや、どうしてもこの日出る必要があるという強い要望に応え、朝イチの1往復のみ運航。
これで離岸接岸できるんだったら……
…冬の欠航、もっと減るんじゃねーの?
< おいちゃん、それを言っちゃあおしまいよ。
午前中はときどきパラつく時間帯もあったけれど、午後にはすっかり晴天に。
4月も半ばを過ぎているから日差しはなかなか強いものがあるものの、強い北風が運んでくる冷たい空気が相殺してくれるおかげで、なんとも過ごしやすくなっていた。
そんな晴れた空の下で…

…島ニンニク乾燥中。
紫外線を浴びると赤く色づく島ニンニク、干すためにひとつひとつバラしてあるのだけど、その作業をしているオタマサの姿は、タマネギの皮を永遠に剥き続けるお猿さんのようだった。
ニンニクをバラす時にお猿さんになるオタマサは、海中では猿山にばら撒かれた細かいエサを一粒ずつ拾っては食べるお猿さんのように、海底をつぶさにサーチする。
すると、こういう1センチに満たない小さなウミウシに出会うことになる(以下の写真、すべて撮影:オタマサ)。

おそらくオオアリモウミウシの仲間と思われるこのウミウシ、よく似た種類が他にもいるけれどそれらは多くの場合海藻についている。
それに対し、コイツはたいてい砂底を這いまわっているようだ。
砂底皿目ウォッチャーのオタマサによると、砂底にやたらと数多く集まっているときがあるそうで、当初は春だからと思っていたという。

ところがその後の遭遇機会を朧げに振り返ってみると、どうも春だからというよりも、大雨のあとに団体さんが現れる傾向があるそうな。
大雨になると、陸水環境が無い水納島でも本島が近いだけにその影響を受け、川から流れだした水が満遍なく拡散して周辺を覆うようになるんだけど、なにしろ本島の河口周辺といえば富栄養状態なので、そのあとしばらくは富栄養状態の水ならではの藍藻類が蔓延る。
聞くところによるとこのウミウシは、藍藻食いなのだとか。

大雨のあと藍藻が蔓延るようになった環境は、このチビチビウミウシにとって「お菓子の家」級のパラダイス…
…ってことで、ワッと湧き出てくるのかもしれない。
ただし「大雨のあとに集団が観られる」説は、あくまでもオタマサの朧げな記憶に基づいた感触であって、観察記録上の前後のお天気を調べたうえでの話ではまったくないから、アテにしてはいけません。
こんな小さなクリーチャーをサーチしている一方で、ときにはこんな大物(?)にも遭遇することがある。

10センチほどのブッシュドノエルウミウシ。
ここに先ほどのオオアリモウミウシsp.が並んでも、そのサイズは10分の1以下だから、クラシカルアイには点にしか見えないことだろう。
過去にも何度か触れたことがあるように、ブッシュドノエルウミウシはリーフ内で出会うことはちょくちょくあっても、リーフの外でとなるとかなり稀な存在だ。
ボートダイビングばかりしていると、水納島では出会う機会はほとんどないといっていい。
出会う機会は多いはずなのにクラシカルアイでは見えないオオアリモsp,、そしてサイズは申し分ないのにボートダイビングではなかなか会えないブッシュドノエル。
クラシカルアイ&ボートダイビングオンリーという、高齢化ダイバーの条件に限定すると、両者はけっこうレアなウミウシということになるかもしれない。
未明の雨でまた環境が陸水化していたら、オオアリモsp.あたりがまた湧いているかもしれず、時化の荒波に吹き飛ばされたブッシュドノエルがリーフの外を徘徊しているかも。
年齢的にリャンハン縛りのみなさま、今週末は遭遇チャンス!