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2015年10月31日
日暮れて道楽し。
2015年 10月30日(金) 曇り時々晴れ夜雨
南東の風 波あり 水温26度
10月一杯までがシーズンということにはなっているけれど、この日午後4時島発の便でお帰りになるゲストを見送った時点で、クロワッサンの今シーズンは事実上終了!!
今年の14万8千光年も、長い長い道のりだった。
その長い道のりの果てにたどり着いた今シーズン最後のゲストは3名連れの方々で、平均年齢はなんと67歳!!
しかもそのうちの高齢側のお2人は、体験ダイビングのご予約である。
当店体験ダイビング最高齢記録にあと一歩及ばないとはいえ、齢74にして体験ダイビング。
フツーに考えれば、受け入れ側が負うリスクは高い。
しかもシーズンの最後の最後で。
海況や海中のコンディションに関係なく、生理的なモンダイで何かがどうにかなったらどうしよう……というプレッシャーは、シニアゲストを受け入れる際に避けては通れない試練だ。
幸い、今回はお2人とも過去に何度も体験ダイビングのご経験がおありで、しかもお1人は70歳から始められてすでに10回経験済みとか。
医学的なモンダイはキチンとチェックされていたので、あとはもう、ご本人のお望みのとおり潜っていただくだけである。
なんと本人のご希望で、バックロールエントリーで!!
でまたみなさん、お元気なんだわ。
楽しく潜った後の夕刻以降の酒がまた半端ではなく、おまけにビーチスタッフのおねーちゃんをナンパしては、夜のゆんたくタイムにうちまで連れてくる始末。
娘を通り越して孫の歳に等しいおねーちゃんと楽しく話ができるのだから、ある意味すごい(おねーちゃんもエライ)。
日暮れて道楽し。
肉体と精神が健康かつ前向きであれば、年齢にかかわりなくいつでもどこでも楽しめる、ということを、身をもって人生の後輩である我々に教えてくださる、元気な元気な「高齢者」たち。
今シーズンの終幕にふさわしい、楽しいオジサマたちに乾杯!!
2015年10月30日
開いた口はふさがるけれど…。
2015年 10月29日(木) 晴れ
北東の風 おだやか 水温26度
今月の連休中のこと、ドリンキングクイーンMihoさんが、例によって自分探し中のダイビングにて、
「こんなんいましたけど………?」
と、ニシキアナゴに続きまたもや見つけてくださったのは、タツウミヤッコの若魚だった。
タツウミヤッコは幼魚の頃から若魚の間まで、体の節々から羽のように生えている皮膜がカッコよく、わりと珍魚として人気があるヨウジウオの仲間だ。
夏の初め頃に幼魚を見かけることはあっても、その後育った若魚を観る機会は少ないので、その場に居合わせた皆さんんにもご覧いただいた。
その数日後、ひょっとしてまだいるかな?と同じ場所を探してみたら、幸いにもまったく同じ場所にいた。
そこはリーフが入り組んで水が淀む場所のため流れに影響されることもなく、かといってエサに不足するわけでも隠れ家に苦労するわけでもないから、わりと居心地がいいいのかもしれない。
とはいえ、それから半月経てば、さすがに同じ場所には居ないだろう………
……と思いつつも立ち寄ってみたら。
まだいた。
ま、わりと珍魚とはいっても、ノンダイバーを海へと誘う力はなさそうな魚ではある。
でもそれなりに本数を潜っている方にとっては、見慣れた魚とそうではない魚という区別はつくから、たとえ地味めではあっても、こういう不思議的形をした魚は興味の対象になるのだ。
ただ。
せいぜい10センチちょいのこの魚、体に羽のような皮弁がついているのは肉眼で確認できても、水中でつぶさに顔を認識するのは、老いた目を携えたオーバー40のダイバーにはなかなか辛い。
おそらく連休中にご覧になった多くの方も、結局のところこの魚がどんな顔をしているか、ほとんど見えていなかったに違いない。
えーと、タツウミヤッコの若者の顔はこんな感じです。
吻端や目の上にも小さな皮弁が。
で、矢印の先が口。
口を開けるとこんな感じ。
上向きに開く口なのはこの仲間の特徴だから仕方がないにしても、地べたを這う生活をしていて、地べたにいる餌を食べている身にとってはとっても不便そう。
だから彼らは、餌(毛じらみ級の小動物)を食べる時は必ず………
……体を横にしながら狙いをつけなければならなくなる。
口が下向き、せめて前向きに開いた方が、間違いなく便利と思うんですけど。
島ごとに食べる餌が異なるために、同じフィンチでもクチバシの形状が異なることを指摘したダーウィン先生、なんで彼らの口は遥かな昔からずっとこのままなんでしょうか。
口が上を向いていることに、開いた口がふさがらなくなるほどに衝撃的な知られざる理由があるのだろうか?
2015年10月29日
得意満面。
2015年 10月28(水) 晴れ
北の風 波あり 水温26度
普段よく訪れる砂地のポイントのあまり立ち寄らない場所に、砂底からニョキッとヤギが生えているところがある。
本来は周囲に何もないこのような場所に生えている生き物ではないのだけれど、おそらく岩というには大げさすぎる基質が砂に埋もれてしまっているのだろう。
身の丈20センチほどのささやかなサイズながら、こういうモノを頼る生き物がやはりいる。
ホソガラスハゼか何か、そのテのヤツ。
他に頼るべきものとてない彼らにとって、砂地にポツンと生えている身の丈20センチのヤギは、砂漠を放浪した果てにたどり着いたオアシスに等しいに違いない。
その後ひと月経って彼らは今もなお元気だろうか。
マクロレンズに換えたことだし(上の写真は、フィッシュアイで撮った写真をトリミングしてます)、せっかくだから昨日チェックしに行ってみたところ、3匹ほどいたガラスハゼは1匹になっていた。
この生活圏だけではやはりキビシイのかもしれない。
そのかわり、こんな魚がついていた。
タツノイトコだかハトコだか。
ヨウジウオやタツノオトシゴの親戚になるこの魚、普段からちょくちょく見かける魚ではあるけれど、身を寄せているのはたいてい枯れかけた海藻とか枯れすすきのようなガヤの仲間だったりするので、こんなきれいな場所にくっついてくれていることなんてそうそうない。
それを知ってか知らずか、尺取虫も真っ青の擬態ブリである。
その得意気な顔を拝見してみよう。
得意満面ではあっても、マナザシはあくまでも真剣なのであった。
2015年10月28日
10分チョイ劇場。
2015年 10月27日(火) 晴れ夜一瞬雨
西の風 少しうねりあるも穏やか 水温26度
ここ数年10月の末にご来島いただくOさんが、今年もお越しくださった。
10月、それも下旬ともなれば、冬の走りの気圧配置になって時化る日が増えてくるものなんだけど、不思議なことにこれまで一度として時化のためにダイビングは無理、ということがなかったOさん。
とはいえ今年の10月なんて、序盤こそ快調だったものの連休前からずーっと時化続き。下旬ともなればいよいよキビシイかも……
………と危惧していたら、
ベタ凪ぎ!!
ビロードのような海面!!
いやあホント、洋上がこんなにツルツルの凪ぎ凪ぎ状態を目にするのなんて、いったいいつ以来だろう。
ボートって、こんなに海面を滑るものだったんですね。
それはともかく、この荒ぶる神無月ですら凪ぎをもたらすその引きの強さ、Oさん恐るべし。
この日潜らずにいつ潜るんだ的絶好のコンディションのもと、彼女はセルフで潜られるので、我々もカメラを携えて潜ることができた。
夏になってからずっとワイドレンズ装着のままだったのを、そろそろ季節も季節だし、マクロレンズに変えて臨んだ一本。
エントリー早々に、苦も無く背後をブルーにできる場所で顔をだしているヒトスジギンポがいたので、久しぶりにお近づきになることにした。
彼らギンポたちとお近づきになる以上、待つべきものはやはりアクビ。
長期戦覚悟で待つことしばし。
おッ??
まだまだ。
おおッ??
まぁだだよん。
フーム、なかなか気を持たせる子である。
しかしそれでもなお待っていると、来ましたぁ………
波動砲発射!!
以上、12分間の物語でした。
2015年10月27日
待てば海路の日和あり。
2015年 10月26日(月) 晴れ一時雨
北東の風 うねりあるも穏やか 水温25~26度
ここまで風がおさまったのは、今月上旬以来のこと。
北寄りの風に苛まれ続けたこの2週間余、よく耐え凌いだものだ。
……と、海神様が憐れんでくださったのか、ここにきてそっと手を差し伸べてくださった。
ジャンッ!!
こんなプレゼントをいただけるなんて、感謝感激でございます、海神様!!
こんな目に遭わせてもらったら、かえってバチが当たるんじゃ……
などとオタオタするオタマサ。
何を言う、この5年間に一生分のバチがすでに当たっているのだから心配はない。
……はず。
というわけで、今宵は海神様からのプレゼントをば。
もちろん……
お刺身は超絶級に美味しい。
白身の魚なんだから、もっと濃いめの皿に盛るか下に大葉などを敷けば刺身も引き立つところ、あいにくどちらも手元にないのだからしょうがない。
ビジュアルはともかく、アカジンのお刺身なんて、通常こんなにたくさん1人で食べるものではない。飲み屋でこんだけアカジンの刺身が出てきたら、それだけで破産してしまうこと確実である。
しかし3枚におろした1枚だけでも相当な大きさなので、さぁ刺身をいただきましょうとなると量も応分に多くなってしまうのだ。
恥ずかしながら飲み屋でアカジンをオーダーしたことは一度もないけれど、海神様のおかげで、これまでに都会に住む一般サラリーマンの人生10回分くらいは賞味しているのは間違いない。
そして魚体丸ごとだから、楽しめるのはお刺身だけではない。
カマはカマで美味しいし、頭は煮つけにしたら最高。
しかし僕がアカジンをいただく際に最もシアワセを感じるのは、この部分。
右から、胃袋、ハツ、キモ。
いわゆるモツである。
ちょっぴりビターな肝は、ヘタな鳥レバーどころじゃなく美味しい。しかし特筆すべきはなんといっても胃袋。
近頃はマグロのモツも一般に流通するようになっているとはいえ、1、2度食べたマグロのモツなどてんで話にならないくらいに美味しいのだ(量では完敗だけどね)。
キモも胃袋もそれなりのサイズなのに対し、笑ってしまうのがハツ=心臓だ。
60センチを超える魚体にもかかわらず、その心臓たるやまさに蚤の心臓級。
か細いサンマの倍ほどしかない。
やはり回遊魚と根付きの魚では運動量がまったく違うから、心臓のサイズも相応に異なるのだろうか。
これで体格比がサンマと同サイズの心臓だったら、さぞかし食べ応えがあるんだろうに……
……とは思うものの、仮にそんなサイズの心臓だったら、009の加速装置付きアカジンになってしまって、海神様のプレゼントどころではなくなってしまうに違いない。
ともかくそういうわけで、神様がいないはずの神無月に、待てば海路の日和あり、おまけに甘露の日和もある、海神様からのステキなプレゼントなのでした。
明日はカルパッチョかなぁ♪
2015年10月26日
再会のモデル。
2015年 10月25日(日) 晴れ夜中に雨
北東の風 波とうねりあり
前日の予報では、この日も連絡船欠航級の強風が吹くことになっていたんだけど、一夜明けると風はすっかりおさまっていて、日中吹く風の予報もガクンとレベルダウン。
おかげで連絡船は通常運航を再開した。
当店としてはゲストの予定が入っているワケじゃなし、翌日のほうが波もおさまっているから何もこの日慌てて渡久地までボートをとりに行く必要はなかったものの、明日をのんびり過ごすためにこの日のうちに船を島に戻すことにした。
せっかく本島に渡るのだから、せめて名護あたりまで行って、ついでにあれやこれやそれやをしたいところである。
でもそうするとお店を開けられなくなるから、やむなくとんぼ返りで島に戻ってきた。
とはいえ、店を開けたとしてもこの季節のこと、せいぜいひと組ふた組のジャストルッキンガーが室内に多量の砂粒を落としていくのが関の山だろう………
……と思いきや。
諦観に反して思いのほか多くの方にご来店いただき、この季節では異例の売り上げに。
とんぼ返りしてきた甲斐はあったのだった。
話は変わる。
当店のオリジナルTシャツのデザインのモチーフになっている海の生き物たちは、その多くが……というかそのほとんどが、一般的にはマイナーな魚たちだ。
知られざるお魚さんなのだから誰も知らなくてもしょうがないんだけど、少なくとも他の生き物に間違えられることはあまりなかった。
数少ない例をあげると、作者(ワタシのことね)が文字どおり自画自賛していたアカククリのTシャツを見たご同業の方が、
「それマンボウですよね?」
と言ったとか言わぬとか、という話があるくらい。
ところが今年のミナミホタテウミヘビは、知られざる度は従来とさほど変わらないものの(ちなみに「ウミヘビ」という名前ですが、アナゴの仲間の魚です)、見間違えられる度が上がってしまったということはかつて触れた。
そう、海面から頭を突き出したクジラと勘違いされるのだ。
モデルの魚と瓜二つを通り越して瓜一つ級のそっくりなデフォルメだと作者は信じていたのに、なまじ知られていないせいで不遇な扱いを余儀なくされているミナミホタテTシャツ。
でも実際に海で観てもらえる当店ゲストになら、きっとわかっていただける…………
……という思惑も、一昔前と違って水納島の砂底からすっかり姿を消してしまったミナミホタテウミヘビのこと、実際に海の中でご覧いただくのは至難の業なのである。
が。
先週のこと、シーズンも最終盤になって、超久しぶりにミナミホタテウミヘビちゃんに出会えた。
Tシャツの通販ページのようなアップの写真だと、どこでどんなふうに顔を出しているのかいまひとつわかりづらいところながら、こういうふうに撮れば、ノンダイバーの方にもだいたいの様子をおわかりいただけよう。
ミナミホタテウミヘビは周囲に何もない砂底からポコッと顔を出しているだけなので、そこにいることを知らなければ、往々にして上の写真のようにダイバーは気づかずに通り過ぎることになる。
あ、そうか!!
Tシャツもこういうデザインにしておけば、よもやクジラと間違えられることもなかっただろう。
時すでに遅し。
でもしばらくここに居続けてくれれば、ゲストに海の中でご覧いただくこともできる……
……って、もう今シーズンは終わってしまうってば。
昔は年を越してもそこに行けば必ずこのミナミホタテがいる、という場所がいくつかあったけれど、大勢のダイバーがひっきりなしに本島からやってくる今の世では、おちおち呑気に顔など出していられないであろうミナミホタテウミヘビ。
再会の道は険しい。
2015年10月25日
時化の昼下がり。
2015年 10月24日(土) 雨のち晴れのち雨のち晴れ
北東の風 時化模様
船を渡久地港にもっていった朝も、そしてお日様が傾き始めた午後遅くも、断続的に雨が降る冴えないお天気ではあったけれど、お昼前後はなんだかいい感じの日差しが出ていた。
桟橋に行ってみると……
思わず「17才」を口ずさみたくなるような、誰もいない海。
風は天気予報ほどのことはなく、この日差しの下にいると、欠航している連絡船までがのどかに見える。
日中から行き来するボートやマリンジェットがまったくないおかげで、ミジュンたちがシアワセそうにのんびりたむろしていた。
例によって黒っぽい部分が魚群ね。
結局今年も長期滞在してくれている。
こうして見るとなんとものどかな昼下がりってなもんだけど、リーフの外に目を転ずればウサギさんがたくさん跳ね飛んでいるわけで、リーフで一度砕けた波が、さざ波となって砂浜に寄せては返していた。
やや風の音が邪魔ながら、15秒ほど砂浜で膝を抱えて目を閉じている気分になってみてください(笑)。
2015年10月24日
時化の週末。
2015年 10月23日(金) 雨
北東の風 少し波あり
数日前の天気予報では、23日以降は多少風がおさまるような流れになっていた。
ところが、カス台風のおかげで結局風はさほどおさまることもなく、週末も引き続き風がやや強めに吹くような予報に。
でもまぁ、渡久地港に避難させるほどでもないか……
……と、天気予報は半信半疑ながらも、ボートは島においたまま耐えることにしたのだけれど。
24日朝になって、天気予報は一段と風が強く吹く予報に変わってしまった。
これじゃあ連絡船はおそらく欠航だろう。
島に係留したままで凌げないこともなさそうではあるものの、夜通し強い風が吹くとなると船が気になって安眠できなくなってしまうので、時化る前にとっとと渡久地港に船を持っていくことにした。
連絡船が欠航してしまったら、島に戻れなくなるから、とりあえず本島宿泊セットを携えつつ。
でも桟橋で準備している時に、海の様子を見に来た船長カネモトさんから、朝イチで船を出して、おっとり刀で帰ってくるというこの日の決定事項を教えてもらった。
というわけで、まだ風がさほど吹いていない朝6時20分頃に出発。
渡久地港の岸壁に係留して、9時過ぎの便で島に戻ってきた。
水納島の桟橋が、頭頂部にチョンと突き出た波平の髪の毛のような脆弱なものでさえなければ、この程度の時化であれば何をどうする必要もないのだが……。
島のショボイ港のおかげで余計な作業を余儀なくされてしまったこの朝、唯一のイイコトといえば、これ。
渡久地港から眺めるレインポー。
うっすらともうひとつ見えていた。
ま、西の空に虹が出てるってことは、日は出ていても島の方は雨も降っているってことで、天候に関しては今日もまた冴えない1日になりそうだ。
2015年10月23日
あたり前田のクラッカー。
2015年 10月22日(木) 雨の慕情
北東の風 少し波あり 水温26度
今日もまたこのところと同じように日中は時化模様か……
…と諦めかけていたところ、早朝こそ荒れ模様だった海は、次第次第におさまっていった。
うねりはあるのでリーフ上の波は相変わらず景気よく白い波濤を躍らせているものの、日中に風が弱まり波がさほどでもなくなるなんて、いったいいつ以来だろう。
今週初めの天気予報では、カス台風の影響でずっと時化そうだったから、いっそのこと20日あたりに船を揚げちゃおうかとも思っていたんだけど、ジッと我慢していて良かった良かった。
今のところは、だけど。
それもこれも、この日日帰りでお越しになる浪速のブラック・ジャックことフジワラ先生のご予定が入っていたからこそ。
そんな浪速のブラック・ジャック先生から、ステキなお土産をいただいた。
藤田まことといえば、我々の世代にとっては仕事人中村主水、後年は剣客商売の秋山小兵衛といった時代劇か、観てはいなかったけどはぐれ刑事純情派といったところの「大物役者」だった。
しかし我々よりもさらに上の世代の方にとって、藤田まことといえばこれ。
「俺がこんなに強いのも あたり前田のクラッカー!」
もちろんのこと、リアルタイムで「てなもんや三度笠」を観ていた世代ではないけれど、何かというと「懐かしの…」系映像で子供の頃からしょっちゅう観ていたこのフレーズ。
しかし肝心の前田のクラッカー自体は、それこそ懐かしいお菓子であって、現在は世の中にないものとばかり思っていた。
ところが!!
浪速のブラックジャック先生からこの日いただいたお菓子は、
なんと世の中には、今もなお前田製菓のクラッカーが存在していたのだ。
しかも、コント中のギャグだったフレーズが、そのまま商品名になっている!!
調べて見ると、前田製菓は今も現役バリバリのメーカーさんで、サイトで様々な商品を通販してさえいるのであった。
ネット通販しているのに「関西限定」ってどーゆーこと??
と思いつつも、なぜ今の今まで前田製菓の存在を知らなかったんだろうと不思議にも思う。
しかし考えてみれば大阪に住んでいたのは18の歳までだし、その後の生活でコンビニやスーパーのお菓子コーナーに立ち寄る機会など数えるほどなのだから………
俺がそんなの知らぬのも あたり前田のクラッカー!
存在こそ知らなかったけれど、実に昔ながらの懐かしくも素朴な美味しいクラッカーでございました。
2015年10月22日
幻の黄色い花。
2015年 10月21日(水) 未明雨日中晴れのち曇り
北東の風 波あり
10月になってから、島内はすっかり冬の畑シーズンスタンバイモードになってきた。
真夏にしか訪れたことがない方はまず目にしたことがないであろう、耕作地だらけの水納島に変わりつつある。
マサエ農園も着々と準備が進められている一方、一足早くチョコチョコッと食べたい葉野菜類は、プランターにて成育中。
無造作に蒔かれた種からたちまち芽を出すルッコラや水菜、からし菜たちがスクスク育つのも、これすなわち長い年月に渡ってオタマサが丹精した土のなせるワザ。
本来キチンと育てようとするならこんなに密生させないものなんだけど、このプランターの野菜たちは、若いうちにいただくためのもの。
水菜もルッコラも、実は育ってしまう前の、間引くくらいの時のほうがよほど美味しいのだ。
ルッコラなんて、パッと見はなんの変哲もない弱々しい葉でしかないのに、1枚2枚を口の中に入れたときのその存在感ときたら!!
たとえばこういうふうに利用すると……
生ハムの美味しさが通常の3倍増し。
こういうときに適当に摘んでいただけるので、手近なところにプランターがあると重宝するのである。
さて、もちろんのこと花より団子の我々ではあるけれど、春にしか観られないアマリリスやグラジオラスをかつて紹介したことがあるように、庭には多少の花もある。
そもそもガメ公が我が家にやって来るまでは、彼の居住空間は元々花壇だったのだ。
ガメ公が来てしまうにあたり、その花壇からオリーブ以外の草木を取り払ってカメハウスにしてある。
なので、ガメ公が暮らし始めた当初、小屋の入り口付近からニョキニョキと次々に葉を出す植物が茂り始めた。
そこらの雑草にしては葉がしっかりしているところを見ると、どうやら観葉植物っぽいのだけれど、元の花壇にそんな植物を植えた覚えはオタマサにも僕にもない。
そんなところへ、カメを見にやって来た民宿大城のおばぁが、この土地の前の住人がずっと昔に植えていたものだと教えてくれた。
「黄色い花が咲くはずよぉ」
その花を見てみたいし、観葉植物系はカメにとって食すと害になるものが多いので、植木鉢に移し替えることにしたオタマサ。
さあて、いったいどんな花が咲くのかな??
……………
………それから2年。
待てど暮らせど、植木鉢に茂る緑の葉はいっこうに花を咲かせようとはしない。
あわてんぼうのおばぁのこと、黄色い花が咲くのは、ひょっとして違う草のことだったのでは???
とにかくそろそろ鉢を他の用途に使いたかったこともあって、葉だけ茂っているその草を裏のアマリリスの周りに移し替えたのが2年前のこと。
都合4年の月日が流れても、葉しか見せなかったその草が。
ついに。
ついに!!
咲いた!!
おお、水仙のようなかわいらしい花が咲くのかと思っていたら、彼岸花のお仲間さんだったか。
というか、「黄色い花が咲くはずよぉ」といった大城のおばあの話はホントだったのだ。
おばさん、疑っちゃってすみません……。
そもそも4年に1度咲く花なのか、今年は何か条件が良くなったから咲いたのか、はたまたこの花が咲く時はとんでもない天変地異が起こるとか……
理由はいまだ不明ながら、「はたまた……」じゃないことを切に願おう。
2015年10月21日
でかした、佐川。
2015年 10月20日(火) 晴れ
北東の風 波あり
昨日掲載した写真のように、空は見事な秋晴れの日が続いている。
…んだけど、海はずっと時化たまま。
おまけに中途半端な台風24号が、熱帯低気圧程度の勢力に退化しながら北上してきそう。
そんな台風など、あえて言おう、カスであると!!
しかしその後はそのカスを東へと追いやる大陸の高気圧が張り出してきそうで、そうなるとカス台風よりも始末が悪くなるのは間違いない。
そんなこんなで、今月最後の週にもポツポツご予約をいただいてはいるものの、なんだかこのまま尻すぼみで今シーズンが終わってしまいそうな気がする……。
話は変わる。
先日紹介した、カクレクマノミ・チビターレが住んでいる、センジュイソギンチャク・チビターレはこんな感じ。
カクレチビが1.5センチほどだから、イソギンチャク本体の小ささをおわかりいただけよう。
各ダイビングポイントには、これまで20年間観察し続けているイソギンチャク&クマノミ類がけっこういる。
そのどれもが最初からほぼオトナサイズだったけれど、このチビセンジュなら、今後成長する様子を追えるかもしれない。
しかしたとえ彼らが幸いにして元気にスクスクと成長を続けようとも、観察しようとしている僕のほうが、この先20年の間にアンチスクスクで減退&消滅していくのは確実なのであった。
さらに話は変わる。
酒飲みが多いクロワッサンのゲストの中には、ご滞在予定にあわせてわざわざ各種お酒を送って下さる方もいらっしゃる。
かつては各種焼酎がブームに沸いていたものだったけど、最近は日本酒やワインといった醸造酒が人気だ。
どれもこれも、本部町や名護あたりではけっして目にできない、いや、たとえ目にできたとしても我々には買うことができない品々なので、いつも「これで翌日さえなければ……」と思いながら賞味させていただいている。
今月、連休にチョコッと重なりながらもちょっとずらしてご滞在されていたIKAMAMAさんも言わずと知れた大の酒飲みで、ご予定に合わせていつもワインと肴をドドンと送って下さる。
ところが。
いつもご注文されているお店が契約している発送業者が佐川急便に変わったらしく、離島地域住民にとってはまったく使えない佐川急便のこと、早めに手配をしたものの、荷物の配達は15日になる、との通達が後日あったという。
15日といえば、彼女が島を発たれる日。
それじゃあ意味が無いということでかけ合ったところ、さすが上得意様、通販業者は配達業者を変えてまで対応してくれた。
……んだけど。
時すでに遅く、結局どんなに急いでも15日の配達にしかならないのであった。
もっと早く伝えてくれていれば良かったものを、まったく使えない佐川急便。
これが1本2本のことだったらともかく、そこはセレブなオトナ、連休中にご滞在中の他のゲストのみなさんの分もと、それはそれは大量のワイン&肴。
もったいないから、その後引き続き滞在される本島の娘さんファミリー宅に配達先を変えれば……??
……セレブなオトナは、そんな無粋なことはしないのであった。
「少し早目のお歳暮です♪」
わぁーい♪
しかも送ってくださったワインのアテの中には、サンエーで売られているモノが塩味のするオブラートとしか思えなくなるような美味しそうな生ハム、そしてそして……
モッツァレラチーズ♪
なにしろ僕にとってのモッツァレラチーズといえばあなた、「買ってまでして食べる」(島のおばぁたちの、食品に対する最大級の褒め言葉)ほどの好物である。
実は連休中にも海の男ハールゥ夫妻が、ご自身たちは普段ワインを召し上がらないにもかかわらず、僕が普段からバカのようにモッツァレラモッツァレラと騒いでいるのを見るに見かね、わざわざ肴として各種ハムとともに持ってきてくださっていた。
それはもう、できることなら独り占めしてしまいたかったところながら、セレブじゃないけどオトナとして、断腸の思いで大勢のゲストでにぎわうゆんたくタイムにお出ししていた。
そこへもってきての、まさかのモッツァレラリターンズ!!
断たれていた腸がまたひとつになったこの日。
夕食はもちろん………
ああ、誰憚ることなく思う存分いただけるシアワセ………。
それもこれも、すべてはセレブなオトナIKAMAMAさんのおかげであることは言うを俟たないけれど、ここであえて強く言いたいことはただひとつ。
でかした、佐川急便!!
あ、IKAMAMAさん、すみません(汗)。
2015年10月20日
2015年10月19日
世の中ダウンサイジング。
2015年 10月18日(日) 晴れ
北東の風 波あり 水温26度
朝たまに食べる食パンは、いつも同じものをサンエーで買っている。
先日もトーストを食べていて、ふと気がついた。
なんか、薄くなってない??
面積は変わってないけど、厚さがそれまでと比べて微妙に薄くなっている気がしたのだ。
同じくサンエーで買っている冷奴は、今年になって品揃えがガラリと変わった………ように見えた。
でも食べてみるとこれまでと味は変わらない。
どうやらメーカーも同じらしい。
でもなんとなく………豆腐が小さくなっている気がする。
ひょっとして、豆腐のサイズを小さくしたためにパッケージを変えただけだったのかも。
シーズン中の急なエネルギー補給用に冷凍庫に常備している、3種類の一口サイズチョコが入った「meiji Best3」も、なんとなくひとつひとつのチョコが小さくなっている気がする。
カルビーのスナック菓子も、中身が妙にスカスカだ。
これらはすべて、原料その他の高騰で値上げを余儀なくされる商品の値段を据え置くための、メーカーの努力ってことなのだろう。
北部の雄、カイトのバゲットも、長さは変わらないけど随分細くなった。もっと小麦の値段が上がってしまえば、あの硬さのこと、殺傷能力を有するほどに細くなるかもしれない……。
その昔日本で初めて消費税が導入された時、それまで100円だった缶ジュースが110円になってしまった。
100円玉一枚だからこそ便利だったのに、100円玉プラス10円玉なんて、面倒くさくて仕方がない。
それならいっそのこと、缶のサイズを小さくして100円のままにしておいてくれたほうがいいのに、と思ったものだった。
でも実際こうして小さくなっていくモノたちがどんどん増えてくると、なんともはや、秋の日のスーパーにてためいきの身にしみてひたぶるにうら悲し的侘しさと哀しさ。
とてもじゃないけど、景気がいい国のデキゴトではない。
そんなうら悲しい国をどうにかしようとする政治家のみなさんたちまでもが、昔に比べて随分小粒になっちゃっているんだから、ダウンサイジングの流れは止まりそうもないのであった。
ダウンサイジングといえば。
これまではリーフ際でごくごくフツーに観られたタテジマキンチャクダイが、このところ随分減っている気がする。
たまに見かけても、オトナのくせに小さなものが多い。
砂地の根でいつでもどこでも観ることができた渦巻模様の幼魚も、かなり「レア」な存在になってしまった。
なぜだろう?
以前ならリーフ際で当たり前に観られたこういうシーンも、今ではすっかりレアなケースになっている。
豆腐やパンは小さいままでもいいけど、タテキンはもっと立派なサイズになるよう願わずにはいられない。
2015年10月18日
新陳代謝。
2015年 10月17日(土) 晴れ
北東の風 時化模様
引き続き時化模様。
それでも連絡船は、朝10時渡久地港発と13時水納島発の便を欠航したのみで、その他を運航。
そうなると本島から来る各日帰り業者はお客さんを連れて来られないため、週末にもかかわらずがら空きのビーチになっていた。
ホントにもう、このままずっと時化続けて終わるのだろうか、10月。
話は変わる。
ウコンハネガイという貝は、四半世紀くらい前に「光る貝」として一世を風靡した。
水納島でも、多くはないけどそこかしこで観られ、我々が越してきたばかりの頃からずっとそこにいるモノもいる。
それがこの個体だ。
20年近くずっと同じ場所で元気に光り続けていたウコンハネガイ。
ところが今夏、なにやら萎れてしまったかのように元気がなくなっていたので多少気にはなっていた。
その後台風が来たりしてしばらく経った頃、このウコンハネガイが居た場所の直下といっていい海底に、こういうモノが。
初めてじっくり見るけれど、おそらくこれはウコンハネガイの殻。
20年近くに渡っておりに触れ我々を楽しませてくれたウコンハネガイが、ついに力尽きたのだ。
彼(?)が元いた場所には現在、新たに育ち始めた小さなウコンハネガイが、健気にピカピカ光を明滅させている。
老いてついに力尽きたのであろう先代は、さしずめチームの新陳代謝のために辞意を表明した原監督のようなものだったのだろう。
先代ウコンハネガイも原監督も、お疲れさまでした。
※巨人ファンではありません。
2015年10月17日
荒ぶる神無月。
2015年 10月16日(金) 晴れ
北東の風 時化模様
遥か南を行く台風と高気圧の合わせワザ一本で、ミーニシもどきのような風が吹き、連絡船は朝イチ島発、午後5時渡久地港発の1往復で終了。
今さらながら、あらかじめこの日をお休みにしていた自らの慧眼がニュータイプ級だったことを知った。
これで翌日からコロッと海況が変わり、しばらくベタ凪ぎ続き………
……だったらいいんだけど、あいにく台風との合わせワザはしばらく続きそうで、おまけにその台風が進路を北寄りに変えそうな気配が濃厚だ。
そういえば一昨年の10月は、20日までの間でダイビングの営業ができたのはたったの2日間、昨年も上旬から中旬にかけて怒涛の台風ラッシュだったため、ろくに営業できなかった。
それに比べれば、今年の10月はここまで順調といってもいいほどで、万一このあとずっと潜れる日がない…なんてことになっても、一昨年、昨年に比べれば遥かにマシだったりする。
ダイビングの営業は10月一杯で終了というと驚かれる方がまだまだいらっしゃるけれど、今後も10月がこんな調子なら、潔く体育の日がらみの連休をもってシーズン終了としたほうがいいような気もするなぁ……。
…ということを毎年言っている気がする。
はたして今月後半やいかに。
2015年10月16日
「楽」は発見にあり。
2015年 10月15日(木) 晴れ
北東の風 波あり 水温26度
お盆のピーク時よりもゲスト数が多い日もあった連休は終了。
お盆期間に同じ人数のご予約を受けてしまうと、タンクのチャージが間に合わず、翌日もそのまた翌日もずっと間に合わないままついにはタンクが足りなくなってしまうのに対し、3連休程度だったらたとえその日チャージが間に合わずとも、ヒマになってから充填すれば大丈夫だから、短期集中型のご予約の受け方ができるのである。
で、そんなピンポイント大賑わいも、ウロコムシ氏の記念ダイビングお祝い宴席で終了。
翌日はのんびりと昼寝でも……
……というわけにはいかない。
連休終了後も引き続きご滞在のゲストや、連休終了後にお越しになる方もいらっしゃるからだ。
そういう意味でも、連休が終わったからといってけっして気を抜いているわけでも燃え尽きたわけでもなかったんだけど………
………体がついていかなかった。
いつものようにゲストがお越しになる夜8時30分、我々は外灯も部屋の電気も点けないまま、ゲストに声をかけていただくまで爆睡状態の無言のヒトになっていたのである。
IKAMAMAさん、すみません!!(汗)
そんな失態を演じつつも、前日14日もこの日もなんとか潜れる海況だったおかげでダイビングはできた。
そしてシーズン最終盤にきて、新たな発見がふたつ。
ひとつは、カクレクマノミのロンリーチビターレ。
今シーズンのいつだったか、もっともっと小さかったこのカクレちゃんをオタマサは見つけてはいたものの、いつも他の店の船が停まっているポイントのためにその後なかなか再訪することができず、本人もすっかり忘れていた連休中に、IKAMAMAさんが見つけてくれたもの。
当初の発見時よりは随分成長しているようだけど、それでもまだまだあどけなさが残るチビターレ。
カクレクマノミは、近縁種がニモのモデルになったりするほどに一般的にはカワイイと認識されているけれど、オトナをよく観るとその顔はさほど可愛くなく、むしろ迫力を有しているともいえる。
でもさすがにこれくらい小さいと、顔つきもしぐさもすべて愛らしい。
ちなみに、彼が住んでいるこのセンジュイソギンチャクもまた相当幼いサイズで、直径15センチほどしかない。
カクレクマノミの小さい個体は何度も観たことはあっても、センジュイソギンチャクのこのサイズは初めてかもしれない。
そういう時に限って、ズゴックがポッケに入ってない………。
ま、イソギンチャクが一朝一夕で巨大化するとは思えないから、全体像はまたの機会に。
ともかくイソギンチャクもカクレちゃんも、健やかに成長してくれますように……。
さて、ふたつ目の発見はこれ。
……冴えない写真で申し訳ないけど、チンアナゴに混じって1匹だけいるニシキアナゴ。
ときとして「ダイビング=自分を見つける心の旅」になるドリンキングクイーン・Mihoさんが連休中、
「なんか、こんなんいましたけど………?」
的に教えてくださったもの。
この日同じポイントに行ってみると、たしかに1匹だけ大人サイズのニシキアナゴがチンアナゴに混じってニョロニョロしていた。
あいにくただでさえ警戒心が強いニシキアナゴをこの水深で粘って撮ることはできなかったので、ブルーのフィルターに包まれた証拠写真だけで撤退。
本来のカラーを知りたい方はこちらをどうぞ。
とまぁそんなわけで、どちらもゲストに見つけていただいたネタなのだった。
そーゆーのはガイドとしてどーなのよ、と言われそうだけど、ダイビングの楽しみはなんといっても「発見」にあるのだ。
ガイドが次々に指差すものだけを見ていて何が楽しい?
発見の対象が「自分」であれ珍しい生き物であれ生き物たちのカワイイしぐさであれ、そういういろんなものを「発見」する時間を、我々はみなさんに提供しているのである。フフフ。
↑これを詭弁を弄するという。
2015年10月15日
お手軽魚群識別法。
2015年 10月14日(水) 晴れ時々曇り
北東の風 波あり 水温26~27度
10日の大時化以来、日中海が穏やかになることがない。
おかげで連休からこっち、なんとか潜れる海況という日々が続いている。
それでも、やはり日差しが出ると前向きな気持ちになるもので、少なくとも日差しの下で撮る写真は、けっこう強く吹いている風など微塵も感じられなくなる。
桟橋脇に停めているうちの船近くに群れているハララー(ヤクシマイワシ)も、日差しに煌めく魚群が清々しい。
実はこれ、例によって船べりからカメラだけ水に浸けて撮っている超お手軽水中写真。
勝手にピントを合わせてくれるのだから、モニターなど見ずとも撮れちゃうのである。
ちょっとズームにしてみると……
魚のフォルムがわかる程度には撮れるので、船の周りにいるこの魚群はミジュンか、ハララーか、となった場合、まず撮ってみると正体がわかる、なんてこともできる(ちなみに、釣りをしている島の人たちは、魚群を水面越しに一目見ただけで、「あれはハララーよ」とすぐさまわかってしまう)。
その結果、うちの船の周りに群れているのは、たいていの場合ハララーであることがわかってきた。
東~南東の強い風が吹いていないかぎり、ミジュンはもっぱら水納丸側に結集することが多い。
桟橋の両サイドに群れがあれば、東側はミジュン、西側はハララーと思っていて間違いはないと思われる。
なので、サビキ釣りをするなら東側で。
ところで、どちらであれ似たような小魚、なぜに両者の区別をする必要があるのかと不思議に思われるかもしれない。
それには深~いワケがある。
というのも、ハララーはそもそもサビキの仕掛けの針に食いつかないんだけど、たとえ釣れたとしてもウロコが固く、さばくのに手間がかかる。
それに対してミジュンは、ただ手にするだけでポロポロ…とウロコが剥がれるほどで、釣ったその場で指でウロコを落とし、頭を千切ってワタを抜けば、そのまま食べられるほどに便利な魚なのだ。
味はというと、ハララーの方が実は美味い、という声の方が多いのだけど、面白いことに、釣ったミジュンをエサにして、ダツやアオヤガラ、あわよくばガーラを狙っている船員さんの話によると、ミジュンだったらたちまち食いつくダツもアオヤガラも、ハララーをエサにしたらまったく見向きもしないという。
やはり固いウロコが食べづらいのだろうか。
というか、そっくりな魚なのに、食いつく前から見分けるなんて、なにげに奴らも違いのわかる魚であるらしい……。
……なんて呑気な話をしていられるのも明日までか。
台風24号が北上してこないのはその北側に高気圧があるからこそ。
しかしそのために、高気圧と台風に挟まれている部分は、両者の合わせワザの強い風が吹くことになる。
今週末は運動会だけど……はたして連絡船は運航することができるのか??
…などと運動会の心配をしている場合ではなかった。
欠航はほぼ間違いなしっぽい16日はもともとお休みにしていたからいいとして、その後に続く週末の海況ははたして???
時々刻々変化する天気予報とにらめっこの日々が続く。
2015年10月14日
ハッピー・フレンドリー。
2015年 10月13日(火) 曇り時々晴れ
北の風 波あり 水温26~27度
昨日載せたような、ガメ公とのツーショットを望む人は、ダイバーノンダイバーを問わずわりと多いけれど、ノンダイバーの方にとってウミガメが目の前の海にフツーにいる、というのはまったく身近な感覚ではないらしく、
「え?水納島にウミガメもいるんですか??」
と驚く方も多い。
そういう方にとっては、ウミガメとのツーショットなんておよそありえないことなのかもしれない。
もちろん、ツーショットを撮れるほどにウミガメがフレンドリーじゃなければ、なかなかかなわない望みではある。
その点我々が「カメ吉」と呼んでいるアオウミガメの若い子たちは、一昔の水納島では考えられないほどにフレンドリーで、足欠けカメ吉、カメ吉ヒゲモジャ、そしてカメ吉3号がわりとよく出会うおりこうさんだ。
どれくらいフレンドリーかというと、これくらい。
大切な前腕をお腹の下に隠しつつも、ダイバーの接近にはわりとおおらかなカメ吉3号。
ゲストが至近距離から撮影している間も、気前よくポーズを決めてくれていた。
増えすぎたら増えすぎたで、そろそろモンダイも起きてきそうなアオウミガメだけど、こういうツーショットを当たり前に撮れるってのはやはり、それはそれでシアワセなことに違いない。
2015年10月13日
長い道のりの果てに。
2015年 10月12日(月) 晴れ
北の風 波あり 水温27度
今月初頭のごっくん隊というアイガーサンクションを乗り越えた果てに待ち受けていたのは3連休だった。
特に11日、12日は、どういうわけかお盆のピーク時よりもゲスト数が多いという、どーしよー?的未踏の高峰が立ちはだかっていたのだけれど、フタを開けてみれば、立ちはだかっていたのは前線を伴う低気圧なのだった。
おかげで3連休の初っ端の10日は、かろうじて午前中に連絡船が1往復しただけであとは欠航。
ボートダイビングは中止以外ありえないなか、ゲストの皆さんは予定どおりご到着された。
ボートダイビングは無理でも、チーム・タオの梅さん&ジョシダイセイMさん改めADMのお2人が、吹きすさぶ冬の北風をものともせずビーチでダイビング、というのは予想どおりのことだった。
が、まさかチーム・ウロコムシのみなさんまで果敢に潜られるとは!!
それも、フツーだったら他の方々が潜っている間、ご自身は昼間からケツを出しながらランチワインでも……なんてことになるのかと思いきや、ウロコムシ武田さんご本人までもがビーチでダイビング。
連絡船が欠航、他の船が来るはずはなし、各業者も観光客もいない桟橋脇はある意味なんでもありの潜り放題状態とはいえ、あのTバックがいったいどうしちゃったの??と不思議に思われる方も多いに違いない。
しかしこれには深~いワケがあるのだ。
どうせ大時化だろうと諦めて(個人的に)大酒を飲んだ一夜が明けた翌11日は、夜明けからしばらくは前日がウソのような穏やかな海が広がっていた。
嵐をもたらした低気圧がやっと遠ざかってくれたのだ。
(個人的に)いささか重い頭を抱えつつも、ヤレウレシヤとばかりにようやくこの連休1本目のボートダイビング。
が。
前線が遠ざかるとともに張り出してきた高気圧の風が、エントリー早々に吹き始めてきた。
やがて、これは2本目は無理、という状況に。
すると一部のゲストのみなさんは、カモメ岩の浜からエントリーするという、通常はありえないビーチエントリーダイビング。
そしてそこにもまた、ウロコムシ武田さんのお姿が。
いったいどうしちゃったんだろう???
その理由とは…………
これだ!!
撮影:オタマサ
そう、ウロコムシ・ケツプリプリ・武田さんの、700本記念ダイブ!!
思えば長い道のりだった。
ジャスト700本が目前になった頃から、いろいろと画策し始めたTバック氏。
が、6月下旬以降から、石垣でも大東でも水納島でも、予定を入れると台風が来るという、天中殺的めぐり合わせというかついに眠れる獅子が目を覚ました的本領発揮というか、ことごとく台風に蹴飛ばされているうちに、気がついてみると今シーズン最後のチャンス。
その連休すらこの季節ならではの時化に見舞われ、あわやご滞在中の700本達成は無理かも??な状況に追い込まれつつあったウロコム氏だったのだ。
それもあっての、まさかのビーチエントリーダイビングだったのである。
その甲斐あってついにこの日、降りそそぐ日差しの下で、ボートダイビングにて晴れて700本達成。
まぁ、100本記念とか1000本記念に比べれば、700本なんていったら「135本記念なんですぅ」と言っているのと大差ない中途半端さ。なにもわざわざ祝う必要もないんじゃね??と多くの方が思われることだろう。
しかし500本から700本まで12年かかったことを考えると、お祝いはできるときにやっておくに如くはない。
というわけでもちろん夜も、自分自身のためにドドンと用意されていた連日の豪華な酒肴でお祝い。
そして散々飲んで食べた後、チーム・ウロコムシ以外の他のゲストの皆さんも、まぁご馳走になったことだし的にシブシブながら(?)一緒にお祝いの記念撮影を。
もちろん「サインはT」♪
……といいつつ、なにげにダメだしサインに見えなくもないけれど、ウロコムシTバック氏、長い道のりを経た甲斐あっての、ご満悦のひとときなのだった。
なにしろ12年前の10月には、たった一人のご来島、たった一人のゲストという状況で、一人さびしく500本を祝われたウロコム氏である↓。
当時を思えば、いろんな方々に祝福された今回の700本、きっといい冥途の土産になることだろう(?)。
ところで。
500本記念の時には「カジキが観たい」などと、例によって実現不可能なリクエストをしていた氏は、今回もなにやら同じようなことを嘯いておられた。
もちろん完全スルー。
でも、とっておきのツーショットを記念にプレゼントすることができた。
これ♪
撮影:似非エンジニアさん
久しぶりにいいお天気に恵まれ、道草をたらふく食べてゴキゲンなガメラ君とのツーショット。
どうなることやらと思われたお天気も、最後には優しい西日がTバックを包み込む、ハッピーエンドの3連休になったのでした。
なにはともあれ、ウロコムシ・ケツプリプリ・武田さん、おめでとうございます!!