2015年10月26日
再会のモデル。
2015年 10月25日(日) 晴れ夜中に雨
北東の風 波とうねりあり
前日の予報では、この日も連絡船欠航級の強風が吹くことになっていたんだけど、一夜明けると風はすっかりおさまっていて、日中吹く風の予報もガクンとレベルダウン。
おかげで連絡船は通常運航を再開した。
当店としてはゲストの予定が入っているワケじゃなし、翌日のほうが波もおさまっているから何もこの日慌てて渡久地までボートをとりに行く必要はなかったものの、明日をのんびり過ごすためにこの日のうちに船を島に戻すことにした。
せっかく本島に渡るのだから、せめて名護あたりまで行って、ついでにあれやこれやそれやをしたいところである。
でもそうするとお店を開けられなくなるから、やむなくとんぼ返りで島に戻ってきた。
とはいえ、店を開けたとしてもこの季節のこと、せいぜいひと組ふた組のジャストルッキンガーが室内に多量の砂粒を落としていくのが関の山だろう………
……と思いきや。
諦観に反して思いのほか多くの方にご来店いただき、この季節では異例の売り上げに。
とんぼ返りしてきた甲斐はあったのだった。
話は変わる。
当店のオリジナルTシャツのデザインのモチーフになっている海の生き物たちは、その多くが……というかそのほとんどが、一般的にはマイナーな魚たちだ。
知られざるお魚さんなのだから誰も知らなくてもしょうがないんだけど、少なくとも他の生き物に間違えられることはあまりなかった。
数少ない例をあげると、作者(ワタシのことね)が文字どおり自画自賛していたアカククリのTシャツを見たご同業の方が、
「それマンボウですよね?」
と言ったとか言わぬとか、という話があるくらい。
ところが今年のミナミホタテウミヘビは、知られざる度は従来とさほど変わらないものの(ちなみに「ウミヘビ」という名前ですが、アナゴの仲間の魚です)、見間違えられる度が上がってしまったということはかつて触れた。
そう、海面から頭を突き出したクジラと勘違いされるのだ。
モデルの魚と瓜二つを通り越して瓜一つ級のそっくりなデフォルメだと作者は信じていたのに、なまじ知られていないせいで不遇な扱いを余儀なくされているミナミホタテTシャツ。
でも実際に海で観てもらえる当店ゲストになら、きっとわかっていただける…………
……という思惑も、一昔前と違って水納島の砂底からすっかり姿を消してしまったミナミホタテウミヘビのこと、実際に海の中でご覧いただくのは至難の業なのである。
が。
先週のこと、シーズンも最終盤になって、超久しぶりにミナミホタテウミヘビちゃんに出会えた。
Tシャツの通販ページのようなアップの写真だと、どこでどんなふうに顔を出しているのかいまひとつわかりづらいところながら、こういうふうに撮れば、ノンダイバーの方にもだいたいの様子をおわかりいただけよう。
ミナミホタテウミヘビは周囲に何もない砂底からポコッと顔を出しているだけなので、そこにいることを知らなければ、往々にして上の写真のようにダイバーは気づかずに通り過ぎることになる。
あ、そうか!!
Tシャツもこういうデザインにしておけば、よもやクジラと間違えられることもなかっただろう。
時すでに遅し。
でもしばらくここに居続けてくれれば、ゲストに海の中でご覧いただくこともできる……
……って、もう今シーズンは終わってしまうってば。
昔は年を越してもそこに行けば必ずこのミナミホタテがいる、という場所がいくつかあったけれど、大勢のダイバーがひっきりなしに本島からやってくる今の世では、おちおち呑気に顔など出していられないであろうミナミホタテウミヘビ。
再会の道は険しい。