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2022年11月30日
斜陽ダンス。
2022年 11月29日(火) 晴れ
南西の風 波あり
本日も梅雨(?)の中休みでいいお天気。
おかげで秘密基地における作業も捗った。
その関連でこのところホームセンターの木材コーナーでいろいろ物色しているのだけど、一画に積み重ねられている各種合板にふと目をやって驚いた。
合板、めっちゃ高くなってる…。
何年か前に憑りつかれたようにタタミ部屋をフローリングに替えていた頃、フローリング材の下敷きにするための合板を大量に必要としたのだけれど、同じものが当時のほぼ倍になっているではないか。
あの頃に済ませておいてよかった…。
高くなっていたりモノが無くなっていたりするのは合板だけではなく、世界的に木材の需要が高過ぎて流通が追い付いていないために、現在木材需給状況はそれこそ「逼迫」しているという。
コロナ禍による流通の制限に加え、コロナ禍に応じた金利政策のために住宅用木材の需要が増えたり、かたや温暖化に起因する大規模な山火事やキクイムシなどの害虫の大量発生で木材用の伐採が追いつかないなど、様々な原因が重なっての木材不足。
世間ではこれを「ウッドショック」と呼んでいるそうで、通算3度目となる今回は、昨年がピークでそろそろ終わっている…
…という話なんだけど、いまだ不足していたり高価だったりするのは、沖縄ならではの時差なのかな?
それにしても、グローバル経済ならではのウッドショック、これだけ国内に山林があって昔から「林業」という確固たる産業があるニッポンなのに、なんで世界の状況に振り回されるのかといえば、食料と同じで大きく輸入に頼っているからにほかならない。
コメ離れじゃないけど建築方面での木材離れもひところ急激に進んでいたこともあって、日本の林業は衰退の一途なのだとか。
おまけに建築方面では各種設計を輸入木材使用前提でやっているものだから、国産の材木を使いきれないという事情もあるらしい。
いわば国を挙げて林業を廃れさせているってことだろうか。
立派な林道は山野を切り開いてあちこちに作るくせに、肝心の林業は廃れていくだなんて、さすが衰退途上国。
似たような話ながらさらに深刻なのが、世界的な穀物不足だ。
穀物輸出大国同士が戦争しているうえに、世界の穀倉地帯では地下水の枯渇や干ばつにつぐ干ばつで生産量が激減していることが原因のようだ。
食料安全保障の理念のもとに世界が協力できるのは、ひとえに自国の食料の安定が保証されている場合であって、今回のようにひとたびえらいこっちゃとなると、各輸出国は輸出をストップしてしまう。
となると、多くを輸出に頼っているニッポンなどはたちまちジリ貧。
そんな状況を避けるべく、北米を中心に日本の穀物輸入安定に頑張っている全農グレインがブラジルあたりに目をつけたら、すでに市場は中国のやりたい放題状態になっているそうな。
穀物が無いなら米食ってればいいじゃん…
家計の中だけならそういうやりくりも可能かもしれないけれど、穀物とひとくちにいってもそのなかには様々な畜産系飼料用も含まれている。
飼料用穀物の値が上がったからといって大手電力会社のように「はい、じゃあ値上げします…」なんてことが簡単にできない業界のこと、飼料の高騰で経営難というケースはおそらく枚挙にいとまがないはず。
同じような理由で各種肥料もえらいことになっているらしく、これまた肥料高騰につき「値上げします…」ということがなかなかできない業界はかなり苦しい。
これが続けば、やがて電力会社のように値上げということにせざるを得ないだろうから、ありとあらゆるものの価格はこの先えらいことになるかもしれない。
ちなみに大手電力会社のひとつ沖縄電力は、来年4月から約40パーセントの値上げを申請しているそうな…。
40パーセント!
政府が賃金アップ賃金アップっていうんだもの、賃金を上げようと思ったら料金を上げるしかないんだろうなぁ、電力会社も。
ヤクニンを含めた政府なんて、日本にはサラリーマンしかいないと思っているから賃金アップで物価高モンダイは解決すると勘違いしているフシがある。
けれど、たとえば豆腐屋さんが自らの賃金を上げるには、豆腐を値上げする以外に方法はない…
…ってことをフミオはわかっているんだろうか。
沖電の値上げ幅は容量の大きな業務用の契約についても同様らしく、そうなると日夜コンプレッサーを稼働させて空気を充填させている業者さんの電気料金もとんでもない値上げとなる。
諸物価高騰のおりながらも今も価格据え置きで頑張ってくれている県内業者さんながら、この規模の値上げになってしまうと、さすがに価格に転嫁せざるをえないだろう。
現在配達料込みで1本410円でやってくれているチャージ料金、はたして春からいかほどに?
…という状況下となれば、百万が一当店が来シーズン営業することになるとしても、料金の大幅アップは避けられない。
なにしろ賃金アップするにはそれしかありませんから。
そんなありとあらゆる方面で危機的状況に陥っているときに、政府&地方自治体が税金を湯水のように使って押しに押している業界は旅行業。
各種ナントカ割りでそれに乗っかり、嬉々としてレンタカーを乗り回しているニッポン人である。
おまけに反撃能力確保のために、ミサイルをハリネズミの針のごとく装備するために大増税をするそうな。
いやはや、衰退途上国は斜陽も斜陽、午後5時過ぎくらいにさしかかっているようだ。
でも。
斜陽には斜陽の光がある。
なにげにそれは、真昼間よりも美しい。
のっぴきならないモロモロの事情でたとえ衰退の一途となっていようとも、見方を変えて価値観も変えれば、まだまだ輝く何かはある。
それを楽しめさえすれば、斜陽の国もまんざら捨てたものではない…
…ということを、午後4時半の水深30センチの海底で、光のダンスが静かに教えてくれるのだった。
2022年11月29日
ナイブズ・アウトのアナ。
2022年 11月28日(月) 大雨のち晴れ
南東の風 波あり
一昨日こそ午後から欠航になったものの、今月は全般的には安定運航の連絡船。
おかげで定期的に本島まで買い物に出かけられるので、我が家の食糧事情も安定している。
朝方の嵐で運航が危ぶまれたけれど、8時過ぎにはおさまり、本日も秘密基地泊で買い物ついでにお出掛けすることができた。
前回味を占めたギネスビールエクストラスタウトを再びイオン名護店で買い求め、午後からのちょっとした作業のあと、風呂上りに1杯(もちろん2本分)。
これからはマンデースタウトと名付けよう。
…名付けた途端に、来週月曜日は欠航か?
どうやら30日は大陸の高気圧がようやく出番登場とばかりに大ハリキリになるようで、本格ストロングタイプの時化模様になりそう。
長引くことはなさそうながら、その後は間隔がやたらと短いローテーションで次々に荒れそう。
マンデースタウトを実現するためには、大量に買い込んでおかねばならない…。
話は変わる。
先日とある方から、各種映画のDVDを多数いただいた。
誰もが知っているメジャー作品のほかに、魅力的な出演者の顔ぶれのわりにはまったくノーマークだったものがあった。
もっとも、ここ数年は「トップガン・マーヴェリック」以外劇場まで観に行っていないから、劇場予告で存在を知る機会がないし、民放はほとんど観ないので映画のテレビCMも目にしない。
もともと映画情報は観終わったものについてのみ触れるようにしているから、最近の作品はほとんどがノーマークともいえるんだけど。
で、先日さっそく視聴したのが「ナイブズ・アウト」。
ダニエル・クレイグ主演の、まるでアガサ・クリスティ作品のようなコメディタッチの名探偵ものだ。
その他、先年亡くなってしまった名優クリストファー・プラマーやジェイミー・リー・カーティス(「トゥルーライズ」でシュワちゃんの奥様を演ってた方)など、シブいベテラン陣が脇を固めるこういった映画はまず外さないという個人的法則がある。
内容は予想どおりまさに名探偵ポワロシリーズのような話で楽しかったけど、それにしてもダニエル・クレイグ、007シリーズの間にこういうのも演じていたんだなぁということに感心してしまった。
こういう役のときはそれなりに肉をつけて、また自身のジェームズ・ボンド役最終作に出るときはちゃんとしぼっているものなぁ。
ハリウッド映画に出始めたころは、ロードトゥパーティション(ポール・ニューマンの息子役)とかトゥームレイダー(アンジェリーナ・ジョリーの元カレ役)とか、かなり冴えない役が多かったけど、やがては故エリザベス女王のエスコート役までこなしてしまうのだから(ジェームズ・ボンド中佐として、だけど)大した出世だ。
そんな大物俳優もさることながら、最も気になったのが上の主要キャスト勢揃いしている画像の、後列向かって右端の女性。
物語上でも重要な役をこなしているこの女性、どこかで見たことあるなぁ…と思いながら観ていたところ、ハタときがついた。
この子だ!
「ブレードランナー2049」において、主人公のあまりにも切ないロマンスのお相手ジョイ。
あまりにも切ないロマンス…って、言ってみればハイテク版南極2号のようなものなんだけど、主人公の切なすぎる人生的に「ロマンス」って言いたくもなる(実際そうなんだけど…)。
その時は↓こうだった子が…
「ナイブズ・アウト」では↓こう。
役柄の雰囲気も似ているし、これならワタシでも「ハタ」と気がつく。
ところが、ようやく廉価版が出たDVDで先日観た「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」にも出ていただなんて、まったく気がつかなかった。
この方。
物語中、カリブのどこかでボンドが例によっていつものごとくひと暴れする際に、ボンドに協力する自称新人の凄腕CIAエージェント・パロマ。
ユーモラスでアクティブで切れ味鋭いアクションも(スタントだろうけど)かっこよく、この場面だけで退場してしまうのがもったいないほどの魅力的なキャラクターだった。
ダニエル・クレイグはほぼ同じでも、一緒にいる女性が同一人物だなんて、全然わからんかった…。
「ナイブズ・アウト」を観て、「ブレードランナー2049」の子と同じヒトであることに気づき、はて、なんて名前なんだろう…と調べたところ、ようやく名を知り、その出演作リストで初めてパロマ役だったことを知った次第。
この方はキューバにルーツをもつ、アナ・デ・アルマスという女優さんだ。
今や話題の作品に引っ張りだこ、出演していたシリーズもののスピンオフ作品で主役になったり、まだ公開されていないマリリン・モンローの伝記映画「Blonde」では、主演(もちろんマリリン・モンロー)を演じているらしい(Netflix)。
この画像だけ見てもどっちかわからんくらい…。
いやはや、ワタシの知らなかった度は同じでも、フェニックス:モニカちゃんとは女優としての格が違う、押しも押されもしない売れっ子俳優さんじゃないですか、アナ。
そういえば「ブレードランナー2049」で共演したライアン・コズリングとは、彼が主演の「グレイマン」でも共演しているらしい。
再共演率が高いのは、なにげに主演の男性陣がメロメロになっているからだったりして…。
このパッチリつぶらなお目目で見つめられたら、それだけで「ジョイ」営業になるに違いない。
< それぞれの作品には、キャスティング担当の方がちゃんといますから。
2022年11月28日
のび太とジャイアン。
2022年 11月27日(日) 晴れ
東の風 波あり
ドイツに勝ったものだから、多くのヒトが「おおっ!」となって迎えた第2戦は、計ったように日本時間の日曜ゴールデンタイム。
しかも対コスタリカ戦を前にした世間の風潮は、なんだかアゲアゲムード。
となれば、もう鎌倉殿など観ている場合ではない、となったヒトもおおかったことだろう。
熱心なサッカーファンだけではなく、多くの目を引き付けた注目のゲームははたして?
というところだったのだけど、手のひら返しでノリノリになっているマスコミ各社の雰囲気を観るにつけ、なんだか破竹の勢いの緒戦の勝利で調子に乗って、ミッドウェー海戦を迎える前の浮かれニッポンのような気がしていたワタシ。
なので、どれほど世間が盛り上がっていようとサッカーの試合になど興味がないものの、ちょうど晩酌タイムだったため試合開始前からテレビの前にいたオタマサに、「こういう時はヤバいかもしれない…」とつぶやいていたのだった。
でまたマスコミ各社もいろんな方々も、あっさり手のひらを反すのだろうなぁ…。
でもモリヤス監督はドイツに勝った直後に言っていたではないか。
「一喜一憂するな!」
ドイツに勝って憂うヒトなど絶無のはずだから、本来なら「浮かれるな」というべきところで一喜一憂するなと言っていたということは、すなわち次戦のこういう結果を早くも覚悟していたということかもしれない。
そう、一憂していてもしょうがない。無敵艦隊相手にマリアナ沖海戦で勝利すればいいのだ。
ドイツに勝って予選リーグ突破を決めて余裕モードのスペインよりも、引き分けたために次戦本気で勝ちに来るスペインと試合ができるんだから、ある意味よかったじゃないですか。
…と前向きに考えつつも、この日の試合が深夜に終了する時間帯じゃなくて良かったとつくづく思うのだった。
ヤケ酒飲んだヒトは多そうだけど…。
さてさて、この日は季節外れの梅雨(?)の中休み。
朝からまことにいい天気だったので、昼の散歩のあとに草刈りダイエット、そしてそのあとは海へGO!という、まことにアクティブな1日を過ごすことができた。
東の風が強めだったから、秘密のビーチからエントリーするか、桟橋脇を行くか悩みどころだったのだけど、エントリーのしやすさから桟橋脇を選んだところ、これが大正解、人生初遭遇が相次いだ。
そのひとつがこちら。
ダンダラスズメダイのちょい若オトナ!
ダンダラスズメダイはどうやら南方系らしく、オタマサがその昔訪れた竹富島周辺の石西礁湖ではやたらと目にしたそうなのだけど、残念ながら水納島ではときおりリーフ内で幼魚を見かける程度で、過去28年間、眼状斑が消失するまでに成長している子を観たことは一度もなかった。
それが波打ち際からすぐのところに。
7センチくらいだったからてっきりオトナかと思いきや、完熟オトナは14センチにも達するというから、まだまだ若い個体なのだろう。
でもチビターレとはまったく違うこの色模様は人生初。
ついつい盛り上がってしまい、ずっと観ていたところ、当初はハマクマノミのメスのように何度も何度もカメラにケンカを売っていた彼も、 やがてカメラの存在に慣れてくると藻か何かのエサをついばみはじめてリラックス。
そして…
うんちプリッ。
やはり魚たちと相対する際には、気軽にうんちプリッてするくらいの安心を提供しなければいけませんな。
ダンダラスズメダイはチビターレには会ったことがあったから、種類としては人生初遭遇ではないのに対し、エントリー直後、フィンを履こうとしていたときに眼下にいた魚は、まさに水納島における人生初遭遇だった。
知る人ぞ知る、ミズタマハゼ。
地の色が白いからわかりづらい頬のあたりの水玉模様と、背ビレの点ポチが特徴の、アカハチハゼの仲間だ。
その昔ソロモン諸島はガダルカナル島在の先輩を頼って訪れた際に観たことはあったものの、水納島では初遭遇。
それも、桟橋の付け根も付け根、ここのところ何度も訪れている場所で。
2匹いたうちの大きいほうで3センチほどとたいそう小さく、まだ子供なのだろうけど、行動はオトナっぽく、海底に沈んでいる木の皮だかなにかの傍らで巣作り行動をしていた(口に含んだ砂礫を吐き出しているところ)。
早くも2匹はペアになっているのかと思ったら、小さいほうは小さいほうで、傍らの小石の脇で同じように石を排除する仕草を見せていた。
練習なんだろうか?
この巣作り(?)行動が面白かったので動画で撮っていたところ、フタスジタマガシラのチビが、まるでジャイアンのような風情でやってきた(40秒あたりから)。
その様子はなんだか…
ドラえもんから借りた道具で秘密基地作りをしていたのび太のところにやってきたジャイアンが、
「おう、のび太、いいもん作ってんじゃんかよぉ」
とか言いつつやってきたような。
そしてせっかくこさえた秘密基地をジャイアンに横取りされそうになったのび太が「ひどいよジャイアン!」とかなんとか言おうとすると…
「なんだよ、文句あんのかよぉ?」
と睨まれる…
…といったシーンのようだった。
桟橋脇からビーチへ移り、ひとめぐりして戻ってくると、巣作り練習は飽きたらしく、大きいほうはなぜだかホバリング態勢になっていた(背後は桟橋のコンクリート壁です)。
近くに河口があるような内湾っぽい環境が好みのようだから(まれに河口にもいるらしい)、本来なら水納島のようなところにはいないはず。
こうして水納島初遭遇ができたのは、人工的内湾環境になっている桟橋脇ならではともいえる(だからといってこのまま増え続けるわけではないはず)。
いいことなのか悪いことなのかはビミョーながら、一喜一憂することなく前向きにいきましょう。
前向きといえば、この方。
先日お伝えした、ウオビル付きのカモハラギンポ。
彼(彼女?)もまた桟橋の付け根付近を暮らしの場にしているので、ここからエントリーするといつも遭遇する(ウオビルの被害者は他に何匹かいる)。
たくさんのウオビルにとりつかれて悲嘆に暮れているのかといえばさにあらず、今日も元気にウオビルを振り乱して砂底のエサ摂りに精を出していた。
その表情はゴキゲンそのもの。
ウオビルパンクファッションで日々を過ごす、ゴキゲンなカモハラギンポなのである。
2022年11月27日
意外な犯人。
2022年 11月26日(土) 雨降ったり晴れたり
北の風 波ありのち荒れ模様
季節外れの梅雨入りで、朝から雨が降ったり晴れたりの繰り返し。
止んだから散歩していたら最後に雨が降り、晴れたから草刈りでも、と思ったら雨に打たれ…という小刻みな天気の変わりようだった。
その点海況は予報どおり時化方向にキチンと進んでいて、風がグルリと回るにつれて強まってきたあとは、しっかり冬の荒れ模様に。
そのため連絡船は、朝イチの1往復のみでその後は欠航。
今月はここまでキセキの通常運航が続いていたけれど、ようやく逆の意味で「通常モード」に戻った感すらある。
晴れたり雨が降ったりの繰り返しはヒトにはやっかいなことながら、適度な雨量と適度な太陽は植物たちの成長のもと。
諸々の事情により今春から始まったあたいぐぁの野菜たちも、スクスク育っている。
ダウンサイジングも甚だしいあたいぐぁながら、オタマサによると、これまでの畑1号2号に比べて便利なことも多少ある。
そのひとつが水やりだ。
どんなに家から近いといっても畑となればそこに水道は無いから、水やりは家から水を運んで…という手間がかかる。
その点家の畑なら、いつでも好きな時にホースを引っ張ってきたらOK。
その効果が最も大きかったのが、ニンジンの発芽だ。
ニンジンはニンジン用に整えられた畝にタネを直播きするものなのだけど、そのタイミングがなかなかムツカシイ。
タネの状態で厳しい季節を乗り越えてきた植物としての習性なのか、多量の水分を感知すると発芽するという仕組みになっているために、タネ撒きの際、特に撒いた後には、たっぷりの水やりが欠かせない。
そのため天気予報で雨が降りそうな日を事前に把握しておき、その直前にタネを播くと効率的で、あっという間に発芽する。
これを畑の準備からタネ撒きまで神懸りのスピードとタイミングでやっているリョウセイさんとは違い、段取りよく念には念を入れているはずのオタマサのニンジンは発芽率が悪く、タネ撒きをやり直してようやく…ということが多かった。
ところが今年は、家の敷地内に畑があるものだから、タネ撒き後の水やりが思うまま。
いい感じで夜間に雨が降る日が多かったこともあって、オタマサのニンジンとは思えない発芽率の良さで、スクスク育ち始めた。
ところがそこに、とんだ落とし穴が。
毎日畑で育つ野菜たちと語りかける勢いでコミュニケーションをとっているオタマサなので、日ごとのビミョーな違いはすぐにわかる。
ある朝のこと、スクスク育ち始めたニンジンたちの葉が、やけに傷んでいることに気がついたオタマサ。
悪天候などで植物体が弱った…というような傷み方ではなく、どう見ても物理的なダメージだ。
ひょっとしてオカガニのシワザだろうか。
小さな水納島は全島どこでも海辺だから、家であれ畑であれオカガニはどこにでもいて、雑食の彼らは美味しい葉っぱには目がない。
育ち始めの野菜の葉は大好物らしく、この次期のオカガニは畑の害虫になるのだ。
そういうこともあって、ほぼほぼオカガニの犯行ということで確定しかけた晩のこと、念のためにニンジンコーナーを偵察に行ったオタマサの目には、信じられない光景が。
なんとオカヤドカリたちが、若いニンジンの畝に大挙押し寄せていたのだ。
ライトを当てるとコソコソコソ…と撤収していくオカガニたち。しかし時間をおいて再びチェックしにいくと、
ほんの1時間ほどで、こんなにたくさんのオカヤドカリがニンジンの畝に集まっていた。
近くに放ったらまたすぐ戻ってくるだろうからと、わざわざ裏浜まで放ちに行くオタマサ。
そして1時間後に再びチェックすると、またまた同量のオカヤドカリたちがバケツの底を埋め尽くした。
それをひと晩に4回くらい繰り返すと、さすがに4回目は少なくなっていたようながら、どうもオカヤドカリの間では、
「ここに美味しい葉っぱがあるぞ!」
という情報が出回っているフシがある。
そういえばその昔、旧我が家で暮らしていた頃には庭でアヒルを飼っていて、毎日夕方になると皿に載せたエサをやっていた。
すると皿を地面に置く前から、周囲の藪からオカヤドカリがワラワラワラ…、まるでスターシップトゥルーパーズの昆虫型エイリアンのように押し寄せてきたものだった。
旧我が家は防風林よりも海に近い立地だったから、そのあたりにいるオカヤドカリの生活圏内だったのだ。
でも現我が家はまがりなりにも住宅街(?)。
海からの距離は畑1号2号とそれほど変わらず、畑1号2号でオカヤドカリの被害に遭ったことなど1度も無かった。
ところがこのヤドカリの量。
あ。
そういえばもともと、カメさんたちにちょっと気の利いた系のフルーツなどをあげると、すぐにオカヤドカリがやってくるし、堆肥作り用の生ゴミには毎晩群がっていたっけ…。
むしろオカヤドカリにとってはヒトの生活の場のほうが効率よくエサにありつけるわけで、ニンジンの若い葉なんてものは、
「おっ!季節の味じゃん♪気が利くねぇ…」
てなものなのかも。
それにしても、周辺に潜んでいるものたちがそれぞれ個別に情報を察知しているのだろうか。
それともなんらかの情報伝達手段があって、「季節の味」情報が広まったのだろうか。
ちなみにオタマサによると、翌日もほぼ同量のオカヤドカリを捕獲したものの、その次の日からはようやく排除効果が出てきて、現在は小康状態になっているという。
「あそこはヤバいぞ」
という情報が出回ったのかもしれない…。
2022年11月26日
知られざる共生。
2022年 11月25日(金) 雨のち曇り
南東の風 おだやか
沖縄本島地方、なんだか梅雨入りしたみたいです…。
前日の予報では夕方から強めの雨になる予報で、朝から午後遅くまではノープロブレムなはずだったのに、思いっきり朝から雨。
昼過ぎになってようやく小止みになり、屋外活動が可能になったんだけど、潜りに行こうなんてとても思えない日和になってしまったので、先日の海中での話。
今月のホットスポット「防波堤のキワ」で、まだ若いクロソラスズメダイ(矢印)が縄張りの藻類農場でブイブイ言わせているところに遭遇した。
周囲がサンゴ群落でも、クロソラスズメダイが藻類を育てているエリアはポッカリと藻場になるうえに、クロソラスズメダイ自体も地味なものだから、景観的にはまるでメトロポリスに点在するスラム街のようになる。
でも浅い海中ではお馴染みの光景でもあるから、ああクロソラスズメダイね…くらいのものなのだけど、コイツはひと味違った。
「魚の名前はクロソラスズメダイ、育てているのは藻類。
ごく普通の組み合わせは、ごく普通の暮らしをし、ごく普通の光景に見えました。
でも、ただひとつ違っていたのは…
…奥さまは魔女だったのです。」
じゃなかった、縄張りの藻類農場は…
…貝だったのです。
苔むしていてもちゃんと生きている貝で、これはシャコガイによく似ているシャゴウガイという種類。
かなりでっかくなる二枚貝だから、写真の貝も岩ほどでかい。
形が似ているとはいえシャコガイと決定的に違うのは、シャゴウガイはその場所に根を生やさないところ。
でっかいナリではあるけれど、なにげに自由生活者なのである。
なのでその気になればここから移動できるはずで、そもそも最初からここにいたわけでもないはず。
そんなシャゴウガイを自らの藻類農場にして縄張りを主張しているってことは、、それが能動的であれ受動的であれ、シャゴウガイが移動するたびに農場についていくことになるのだろうか、このヤングクロソラスズメダイ。
家畜を放牧させながら家ごと移動する遊牧民ってのは聞いたことあるけれど、農場を移動させながら屋移りし続ける農民ってのは聞いたことがないなぁ。
移動してしまわないよう、クロソラスズメダイは常に貝のゴキゲンをとっているのかもしれない。
いや、育てば10センチ超になるクロソラスズメダイだから、シャゴウガイにとっては外敵を撃退してくれる便利な存在なのかもしれず、むしろ貝のほうが気を遣っているとか…?
案外両者は相利共生関係だったりして。
2022年11月25日
ライオンズゲート。
2022年 11月24日(木) 雨のち曇り
北東の風 やや波あり
コロナ禍中のJR西日本や今回のJR東日本といった、旧国鉄分割民営化でできた大手鉄道会社さんたちが、このところ次々に泣き言を言い始めている。
すなわち、各車が抱えるローカル線の赤字が大変だ、ってやつ。
全道まるまるローカル線といってもいいJR北海道などは、むしろ黒字路線があるのか?ってなものなのかもしれない。
この日ニュースになっていたJR東日本のとあるローカル線では、100円の利益を得るために2万円ちょいかかる、ということになっているそうだ。
たしかに経営的には、そりゃ大変だ。
でもそれって……最初からわかってたことですよね?
それも踏まえてローカル線を維持するという約束のもとに「民営化」されたはずなのに、何を今さら。
それともJR各社は国鉄から経営を引き継いだ際、今後地方の人口が飛躍的に増加するとでも試算していたのだろうか。
そもそも旧国鉄の全線民営化は、ワタシが思うに日本が衰退の道をたどることとなった大きな一助となっているのは間違いなく、郵政民営化、大規模小売店舗立地法と並び称される(?)国家百年の愚策のひとつといっていい。
地方の人々にとっては、隣国から飛んでくるかもしれない弾道ミサイルのための住民用シェルターなんかよりも、ライフラインの鉄道が安定的に運行しているほうが、よほど暮らしの「シェルター」なんじゃなかろうか。
話は変わる。
過去に何度か紹介している「波に転がるサンゴ」は、2014年の秋の爆裂台風のあと、それまで何も無かった水深20メートル超の砂底に突如サンゴが出現したもの。
いくら成長は早いといっても、サンゴがいきなり群体として突如登場するはずはなし、そもそもその土台になっている岩すらもともとその場所にはなかった。
これはどうやら、台風の大時化のせいで浅場から引きはがされたものが、ここまで転がりこんできたものらしい。
それがちゃんとサンゴが上になった状態で鎮座しているのは、偶然の産物か、はたまたダイバーによる手心か(もちろん我々はそんな手は下しておりません)。
台風直後はさすがに枝先がボロボロになっていたミドリイシも、半年経った頃にはすっかり傷が癒えてはいたものの、まだそこを暮らしの場にする魚たちがさほど集まってはいなかった。
そして1年弱経って夏を迎えた頃には…
スズメダイたちの暮らしの場に。
こうして見ると砂底に鎮座する岩に育っているように見えるけれど、なにしろこの小さな岩ごと転がってきたわけだから、台風のうねりなどでコテン…と倒れることもあった。
それゆえ「波に転がるサンゴ」という名にしたこのサンゴは、台風のたびに転がったり砂に埋もれそうになったりしながらも、登場から6年後にはこうなっていた。
なんという成長速度。
…といった話は一度紹介したことがあるし、実際に海中でご覧になったことがある方もいらっしゃるだろう。
で、この「波に転がるサンゴ」、台風か何かでリーフ内から流出してきた砂で群体の3分の1ほどが埋まってしまい、一部が死んでしまったものの、埋まらずに生き残った部分が順当に成長し続け、そこを暮らしの場にする魚もどんどん増え、今では「波に転がらないサンゴ」…って、それがフツーなんだけど…になっている。
今の状態を見ても、まさかそれがかつての台風で転がってきたものだとは誰も夢にも思わないに違いない。
なんともウカツなことに、過去最高潮に小魚が群れていた今夏に撮り忘れてしまった。
仕方がない、すっかり平穏な状態になっている晩秋の様子になってしまうものの、ともかくも成長度合いの様子を撮っておこう…
…と思ったら。
はい、ここからが本題です。
小魚がいるところ必ず姿を現すあの方が、なぜだか妙にカメラに対抗意識を燃やしてきた。
彼を主役にして撮る分にはフォトジェニックなモデルではあっても、サンゴを撮っておきたいときに立ちはだかられると邪魔でしかない。
でも一向にのいてくれそうもないから、いっそのこと主役にしてあげることにした。
なんだかライオンフィッシュの門番のよう。
…という単純な理由から「ライオンズゲート」とタイトルをつけたところ、この言葉はなにやらスピリチュアル方面でとても有名なんだそうですね。
いずれにせよ、ハナミノカサゴはスズメダイたちを守っているのではなく、彼にとって御馳走以外のナニモノでもないスズメダイたちがたくさんいる「餌場」を守っているんだろうけど(動画最終盤でハナミノが猛然と接近してくるのは、ワタシがカメラのこちら側で指示棒の先をアヤシク動かして見せたから)。
ちなみに今年からこのサンゴに10センチほどのユカタハタが住み着いていて、ミニボス気取りで頑張っている。
まだハナミノカサゴの若魚を撃退するほどのチカラはないだろうから、冬の間にスズメダイたちは減っていくかも…。
以上、かつての「波に転がるサンゴ」は今年も元気です、というお話でした。
2022年11月24日
ヘラヤガラバトル。
2022年 11月23日(水) 晴れのち曇りのち雨
南東の風 やや波あり 水温25度
この日の沖縄タイムスの1面はこんな記事だった。
ん?堂安選手って沖縄出身だったっけ??
…と思ったら、コメントしているおじいちゃんは宮古島出身ながらも、大阪在住の方だ。
そりゃたしかにおじいちゃんが堂安選手のルーツであることは間違いないにしても、これを1面トップだなんて、かなり無理矢理の沖縄繋がりネタっぽいなぁ…といささか呆れた。
でもこのおじいちゃんからのエールが、カタールまで届いたみたい。
いやあ、久しぶりにサッカーの試合を、いや、スポーツの試合を観て興奮したなぁ。
なんだかもう、このあとたとえ2敗しちゃっても誰も文句を言えないくらいの、大きな衝撃と感動。
このゲームをナマで観ることができたワタシは果報者である。
それにしても、ワタシはサッカーの戦術だなんだといったことにはまったく疎いからよくわからないものの、モリヤス監督って、予選の時からずーっと一部のアツいファンからケチョンケチョンに言われていたことは知っている。
ワールドカップ直前に至ってもその声は続いていたような気配があって、詳しくないワタシがそのような話を見聞きしたら、よほどよろしくない監督なのかとさえ思うほど。
ところが何を言われようとどう評価されていようと、とにかく本番でこの結果。
予選リーグでこのあとどうなるかはさておき、乾坤一擲を絵に描いたような後半での逆転勝利をもたらしたヒトは、やっぱり名監督なんでしょう?
なんか、予選その他の試合を通じ、ことあるごとにシステムが、戦術が、ベンチワークがなってない…なんて声ばかりが目立っていたのに、明日のスポーツ新聞はこの日のそれらすべてを讃える声ばかりになっている気がする。
代表監督解任だ、クビだと言っていた方、今宵は沈黙を守っているのかな?
これほどケチョンケチョンに言われていたヒトがいざというときに結果を残すという意味では、ひょっとするとエンプティ総理もいざというときについに能力を発揮するのかも?
あ、今がまさにその「いざ」か…。
エンプティ総理が今宵の代表監督だったら、システムを検討している間に90分終わっていたことだろう。
さて。
前線だか低気圧だかが通過する影響で、この日朝の予報では、午後あたりから束の間ながらも多少不穏な気配が見えていた。
そのため連絡船は朝イチのみ通常運航で、その後はお昼過ぎの臨時便で修学旅行の団体様御一行が帰る便をもって終了、ということに。
結局フタを開けてみれば、風は大して吹くこともなく終了。
ただし前線通過後は風向きが変わり、Tシャツ短パンでいると肌寒くなってしまった。
さすがにそんなお天気の日に海に行こうという気にはなれないので、本日は昨日の海中の話。
これまでのシーズン中にはよくあることだけど、「おっ?」と思う生き物たちはたいていの場合長居してくれることはなく、極めて短期間で退場…ということが多い。
ところが今年は、従来では考えられない「粘り」を見せてくれているものがいる。
そのひとつがこちら。
ご存知ビシャモンエビ。
水温が冷たい春先に出会う機会が多く、このままシーズンを通していてくれればなぁ…という願いも虚しく、何がどう不都合なのか、夏を迎える頃には居なくなってしまうことが多かった。
ところが今年9月に初遭遇した時点ですっかりオトナになっていたこのビシャモンエビは、今に至るも健在だ。
もうひとつはこちら。
8月に久しぶりに遭遇したトンガリホタテウミヘビは、その後場所をほとんど変えることなく、これまた今もなお同じ場所でパクパクしていた。
それも、カメラを向けたからといって身を沈めることもなく、むしろこれまで観たことがあるトンガリホタテに比べ、かなりサービス精神旺盛な体の出しっぷり。
ところで、夜になるとそのあたりを徘徊しているのであろうトンガリホタテは、日中はほぼずーっとこの状態だと思われる。
実際に四六時中つきまとって観察したことがあるわけではないものの、いつ訪れてもこの状態ということは、まずそう思って間違いない。
ちなみに彼は微動だにしないわけじゃなく、絶えず口をパクパクさせてはいる。
とはいえ付近に何がいるというわけでもない砂底で顔を出して、口をパクパクさせて呼吸しているだけ。
たった1分の動画でさえ耐えられないほど退屈で飽きてしまうというのに、日がな一日こうしているトンガリホタテウミヘビは、何を思い何を願っているのだろう?
それにしても、ビシャモンエビにしろトンガリホタテウミヘビにしろ、従来には考えられなかった「長期滞在」。
これまでといったいなにが違っているのだろう?
あ。
なるほど、我々がゲストを案内しなくなったおかげか!
リーフに戻ってきてから安全停止を兼ねてリーフエッジをウロウロしていると、やけにお腹の大きなヘラヤガラがいた。
お腹だけではなく、体もかなりの大型個体だ。
その傍で3周りほど小さな2匹のヘラヤガラが、かなり激しいバトルを繰り広げていた。
ひょっとして、メスを巡るオスの戦いだろうか?
しばらく観ていると、3匹は1列になって行進し始めた。
はて、平和的解決を迎えたのかな?
…と思いきや。
小ぶりな2匹が突如激しい勢いでチェイスを始め(開始12秒くらい)、遥か彼方まで泳ぎ去ってしまった。
どうやら優位なほうが、邪魔なもう1匹を追い払ったらしい。
追い払ったのはいいけど、メスらしきでっかい個体は放置プレイ?
…と思ったら、勝者が1匹で悠々凱旋を果たし、岩陰に隠れていたメスの傍に戻っていった。
彼が戻ってきた方向からメスの姿はけっして見えてはいなかったはずなのに、迷うことなくメスのもとへ戻ってくるこのリターン機能。
ヘラヤガラの空間把握能力は、キラーパスを連発するミッドフィルダーなみに高性能なのかもしれない。
2022年11月23日
カペラ。
2022年 11月22日(火) 晴れのち曇りのち雨
南東の風 やや波あり 水温25度
流星群というのは毎年地球が公転軌道で「そこ」を通過するたびに定期的に訪れるもので、そっち方面の変態社会の間では、その月ごとの「流星群」の話題で持ちきりになる。
しし座流星群もそのひとつなんだけど、今年はいわゆる「ピーク」の時間帯が夜じゃないもんだから、さほどの話題にならなかったようだ(一般社会では)。
しし座流星群といえばその昔、その「ピーク」がとんでもないことになると予想されていた年があって、うっかり八兵衛なみの節穴でも、夜空を駆ける流星をいくつも見ることができると喧伝されていた。
自他ともに認めるうっかり八兵衛マナコ夫妻の我々も、それならば…とばかりに夜空を見上げたのは言うまでもない。
するとどうだ、「流れ星」という言葉の概念を、投げっぱなしジャーマンなみのとんでもない荒ワザで払拭するほどの流れ星を観ることに。
ひとつひとつは思わず「うわッ…」と頭を抱えて避けたくなるほどの火球が落ちてくるような勢いで、「流れ星」の燃えカス(?)が上空の風で揺れ動いてクネクネしてるほど。
自宅から眺めていた機関長など、
「旅客機が落ちてるのかと思った」
というほどの物凄さだ。
当時水納小中学校に勤務していた理科の先生によると、1時間に300個以上の「流れ星」が観られたという。
これぞまさしく「流星群」。
我々はといえば、寒さ募る夜間に半纏を着込み、道路に寝そべって見上げながら鑑賞していたのだけど、あまりの冷え込みにオタマサは音を上げ、30分ほどで切り上げたものだった。
…という記憶があるものだから、あれは1月とか2月とか、冷え込みが厳しい真冬も真冬のことだったのだろう………
と思い込んでいたところ、なんてことだ、しし座流星群って、毎年決まって11月だというじゃないですか。
そりゃ地球の公転軌道上で定期的に出くわすのだから、毎年同じ季節であることは1+1が2であるのと同じくらい当たり前のこと。
で、今年もまたしし座流星群の季節になっていた。
あのぉ……とんでもなく暖かいんですけど。
半纏を着込んで寝そべりながら、あまりの寒さに退散したのと同じ次期の流星群なんですか??
これ一事をもってしても、地球温暖化がのっぴきならないところまで来ていることがよくわかる。
さて。
普段から天文学的な「当たり前」のことを、噛んで含めて丁寧に教えてくださる天文変態さんから、最近(個人的に)新たな星の名前を教わった。
その名もカノープス。
ギリシャ神話にでも出てきそうな名前だから、これは覚えやすそう…
…と思いきや、一夜明けたら「カプチーノ?」。
どうも星々の名前は、けっして嫌いではないのに…というかむしろ大いに興味を持っている分野にもかかわらず、昔から不思議と覚えられない。
西洋文明に偏り過ぎているせいで、生理的に忌避しているのだろうか。
そんな星や天文系の名前が、魚たちの和名でもやたらと目につく。
思いつくだけでも、
シリウスベニハゼ
ペガススベニハゼ
ホシクズベニハゼ
ギンガハゼ…
…って、あれ?ハゼばっかじゃん。
なにげにハゼ専門アカデミック変態社会って、夢見る乙女ウケしたいヒト揃いだったの??
近年やはり星の名前がつけられたハゼのひとつに、カペラサンカクハゼがいる。
ひところサンカクハゼの仲間たちをマイブームにしていたワタシは、憑りつかれたように「カペラサンカクハゼだ!」「カペラサンカクハゼだ!」と当日記上で紹介していたことがある。
ところがどういうわけだかそういうわけで、いずれもまったくカペラサンカクハゼではなかった…という哀しいオチで終わってしまった。
ところが!
ここで話は随分遡る。
このところ海の話題といえば、ずっとずっとずーっとビーチエントリーになっていたのはなぜか。
ほかでもない、ボートを長期入院させていたから。
なにぶん高齢化著しいミスクロワッサンのこと、ずっと調子が悪かったこともあり、いろいろリフレッシュしてもらうべく、先月半ばからかかりつけ医(?)に診てもらっていたのだ。
で、定期的に要交換のパーツもこの際この道120年くらいのグシケンさんにやってもらおうとお願いしたところ、とんでもないジジツが発覚してしまった。
なんと、プロペラの軸が折れていたというのだ。
折れているっていっても、ずっと動かしてたんですけど?
なんだか、気軽に健康診断を受けたら、いきなり余命1ヵ月を宣告されてしまったような…。
簡単に言うとどうやら折れているけど動いていた、という状態だったようで、すなわちそれは、ヘタをするととんでもないことになっていた、ということでもある。
そうはいっても、プロペラの軸が折れてしまうほどの衝撃を与えてしまった記憶は……
あ。
そういえば一昨年、渡久地港に向け全速航行中、瀬底島の沖あたりで浮遊していたロープが絡まってしまったことが。
ひょっとしてその衝撃で??
当初は亀裂骨折程度だったものが、ジワリ…ジワリジワリ……ジワリジワリジワリ……
と1年半かけて病状がゆっくり進むうちに、えらいことになってしまったのだろうか。
ロープや網など各種漁具は、国内だけではなく近隣諸国からのものも物凄く増えていて、小さな水納島の海岸をちょっと歩くだけでも…
とてつもない漁具が岩に引っ掛かっていることがある。
こんなものが水面下で大量に漂流しているのだから、海辺に暮らす者にとっては立派に「周辺有事」、犯人には前法相に頼んですぐさま死刑のハンコを押してもらいたいところだ。
というか、マイクロプラスチックとかなんとか、目に見えない危機以前のモンダイのような気が…。
ともかくそんなわけで、思わぬ大病発覚となってしまったミスクロワッサン、その他諸々の要処置箇所も含め、先月から陸に上がった河童状態になっていたのだけど、先日ようやく海に戻せる状態までに復活。
今回の本島行は、久しぶりにボートを海に戻すというミッションも含まれていたのである。
この日は早朝にボートを海に下ろしておいて、秘密基地作業を少々やってから昼過ぎに島に戻ってきた次第。
久しぶりに戻ってきたミス・クロワッサンとなれば、なにをさておいてもまずはダイビングでしょう。
というわけで、ひと月ぶりのボートダイビング。
ここでまたかつての文豪の言葉を借りよう。
ボートダイビングは楽である。
ここひと月は最大水深が3mにも満たない潜水ばかりだったから、水深20メートル超の加圧がなんだか微妙に懐かしい…。
普段のボートダイビングなら当たり前に会える魚たちでもリーフ内にはいないものだから、ゴマハギですら神々しく見えてくる。
11月末ともなるとさすがに消え去ったかな…と思っていたスカテンたちは、先月に比べれば大幅に減ってはいるものの、昔の同時期では考えられないくらいたくさん群れている。
そりゃ同じ11月でも半纏を着ていてさえ寒かった頃に比べてこんなに暖かいんだもの、スカテンだって元気に暮らしていられるのだろう。
そんな夏の気配を残している景色に心奪われつつ、久しぶりに訪れた砂地の根の片隅にいた魚は…
ん?
これは???
いや待て、これまでさんざん間違えまくってきたのだから、ここでまた同じ愚を繰り返すわけにはいかないぞ。
でも……
…カペラなんじゃね?
これまで何度も何度も裏切られ続けた(誤認識し続けた)カペラサンカクハゼ、どうせ今回もまた懲りずに「なんちゃって」なのだろう…
…と思いきや。
この背ビレの形、青と黒が連星のように重なる模様、そして尾ビレの付け根付近の黒い線。
これってどう見ても……
カペラサンカクハゼじゃん!!
ついに出会った、カペラサンカクハゼ。
というか、これまでもゲストをご案内しているときはホントにカペラサンカクハゼだったものの、後日撮るときは違うモノを撮ってしまっていた…ってことなんだろうか。
ともかくもやっと記録に残すことができた。
これまで違うモノを撮っては「カペラ」と言い続けて失礼いたしましたが、皆さま、これがカペラサンカクハゼです。
ああ、久しぶりのボートダイビング、グッジョブ。
まもなくやってくる冬には、宵のうちから夜空に煌々と煌めくであろうカペラ。
やっとカペラサンカクハゼに出会えたとなれば、今度はお星さまのカペラを探してみよう。
1等星6人組が織りなす冬のダイアモンド、その一翼を担うカペラは、オリオンさんの頭上にきっと輝いているはず。
冬の夜空ではシリウスの次に明るいというから、うっかり八兵衛マナコでもハッキリ見えることだろう。
…酔っ払って寝てなければ。
2022年11月22日
エクストラスタウト
2022年 11月21日(月) 晴れ
北東の風 波あり
今週初めも、お買い物でついでに秘密基地の例の作業&その他もろもろのため本島で1泊。
実は前回名護まで出掛けた際には、うっかりやり忘れてしまったことがひとつあった。
イオン名護店の酒販売コーナーで、とある商品の有無をチェック、あればただちに購入するつもりでいたのだ。
この日は事前に(オタマサが)キチンとメモまでしていたので、忘れることなくチェック。
すると…
あった!
とある商品とは、これ。
ギネスビール エクストラスタウト!
ギネスビールは薄くなったんだろうか…というシロウトの浅薄な感想を先日述べたところ、その道のプロ B・K@仙台さんから是非試してみろとご教示をいただいたギネスビールのスタウト。
そんな気の利いたものなど本部町内で売っているはずはなく(飲食店は含まず)、まずは名護でチェックしなければ…
…と思っていたのに先週は忘れてしまった。
その反省をふまえ、今回はメモまでして臨んだイオン名護店なのである。
それなりにビールの種類は多けれど、近頃は各種チューハイやらノンアルビールやらが幅を利かせすぎていて、ホントのビールの肩身の狭さといったらない。
ましてやギネスビールなど、イオン名護店でも無理だったか…
…と諦めかけた。
ところが、ビールの主要コーナーから大きく外れた…というか裏側に、輸入ビールのコーナーが。
そこにギネスエクストラスタウトの瓶が5本ほどあったので、とりあえず本日用に2本買ってみた。
夕食前、風呂上りの一杯目としてジョッキに注いで、まずはひと口。
う…美味いッ!!
これだ、これがギネスだ!
肉体労働後にいただくと、「ビールは苦い」というビール嫌いの方の固定観念を破壊し尽くすほどの濃厚な味がさらに引き立つ。
体が欲している甘さが、すんなり溶け込んでいく…。
これだったら、たとえぬるくても今の季節ならまったくOKだわ。
缶じゃなくて瓶ってところも、美味さにひと役買っているに違いない。
すっかり忘れていたけど、これが初めて飲んだ時に味わった衝撃なのだろう。
近頃流行りの日本の各メーカーの黒ビールは、これを目指していたのかなぁ…。
ギネスのギネスたる所以をたっぷり味わえたエクストラスタウト、惜しむらくは内容量が330ミリリットルってところ。
これは少なくとも1パイントほど飲みたい。
しまった、オタマサに1本あげるんじゃなかった…。
甚だしい円安時代の今、輸入ビールは日本各社のクラフトビール同様、すこぶるつきの高級酒だ。
そのためおいそれとは手が出せないけど、この味は捨てがたい。
今度は6本くらい買ってこようっと。
ああ、海外から観光客など1人も来なくていいから、こういうビールをいくらでも安く買える為替レートになってほしいなぁ…。
生きている間に望めそうもないけど。
2022年11月21日
迂回路のプレゼント。
2022年 11月20日(日) 晴れ
北東の風 やや波あり 水温26度くらい
近頃流行りの防衛費増は、周辺有事だの台湾有事だの日本有事だのといった「有事」に備えられるように、ということが目的らしい。
なにかにつけキナ臭い今の世の中、備えあれば患いなしということなのだろう。
けれど。
なんだかもう、エンプティ首相が政権を担っているというジジツ自体が、すでにして「有事」のような気がする今日この頃。
さてさて、今週は半ばくらいからしばらくぐずつきそうな予報が出ているので、太陽を満喫するなら今日も含めた前半が吉。
ところがワタシは飲み過ぎ&筋肉痛のため、たっぷり静養に努めることにした。
一方元気百倍のオタマサは、このところホットスポットになっている防波堤のキワを目指し、お昼の便が出た後にビーチへGO。
本日登場したのはこちらの方。
オトナ模様のエンマゴチ!
オタマサによると、この30センチほどのエンマゴチ若様は防波堤のブロックとサンゴ群落のはざまに鎮座していたそうで、上から眺めるしかなかったとか。
これまで登場してくれたエンマゴチは、いずれもマックロクロスケの幼魚たちだったから、マックスサイズでも10センチにも満たなかった。
それがいきなり30センチほどと、人生最大級を大幅更新だ(オタマサだけだけど)。
顔だけ見ても存在感たっぷり。
フクザツな模様で彩られていることがわかる。
フクザツといえば、その眼も。
複雑に入り組んだヒダヒダ越しに観る世界は、いったいどんな風に見えるのだろう?
少なくとも、エンプティ首相に比べれば、遥かに視界は開けているに違いない…。
目にはヒダヒダがあるとはいえ、オトナになると60センチにもなるというから、30センチほどではまだまだケツの青い若魚ってところだろう。
浅いところを好むエンマゴチ、オトナはこういうところに潜んでいるのかなぁ…。
まとまって漁獲されるわけじゃないからメジャーな海幸ではないものの、知る人ぞ知る高級白身魚の地位を誇るエンマゴチ。
たしかに刺身の写真を見るとたいそう美味そうだ。
60センチもの巨大エンマゴチを目にしようものなら、思わず手が出てしまうかもしれない…。
その後防波堤から桟橋脇へ戻ろうとしたところ、桟橋から釣竿を垂らすお客さんの姿が見えたため、海水浴場エリアまで迂回して帰路についたオタマサ。
すると、ビーチの波打ち際付近で…
ムラサキクラゲに遭遇。
本来こういうところにいるクラゲではないのだけど、北寄りの風にのってゆらゆら流れ着いてきたのだろうか。
もう少し水面付近にいてくれれば西日のキラキラとあいまってステキに撮れたろうに、力尽きかけているのか、海底から離れられない様子だったらしい。
過去に小ぶりかつ傷んでいるものには何度か遭遇しているものの、いずれのケースもゲストをご案内中のことで、写真記録に残せたことはなかった。
なかなか会えないムラサキクラゲ、それも60センチほどと本格サイズ、かねがねじっくり観てみたいと思っていたオタマサの念願が適ったのは、釣り客が桟橋から竿を垂らしてくれていたおかげともいえる。
ただの回りに道なるところが、思いがけない遭遇。何が幸いするやらわかりませんな。
2022年11月20日
2022年11月19日
ヘリポート。
2022年 11月18日(金) 晴れ
東の風 波あり
昨日も紹介したように、港の工事はいつ始まるのかいまだハッキリしないのだけど、本格的に始まったらやっかいなことがたくさんある。
救急ヘリ用の離発着場が無くなるというのもそのひとつ。
それを島内のどこかに臨時に…という話があることを今夏紹介した際には、ホントに工事期間だけのためだとばかり思っていた。
なので、道路工事の迂回道路を付近住民が仮設するなんて聞いたことがないのと同じで、それは北部土木事務所が取り仕切ってしかるべきなんじゃないの?と思っていた。
ところがよくよく話を聞けば、工事期間に関係なく、ドクターヘリを飛ばすMESHとしても、船やヒトの往来が多い桟橋ではなく、どこか島内の広い場所のほうがいいということで、なおかつ将来的には本格的な救急ヘリポートを、という話もあるらしい。
いずれにせよそういうことは行政が…というのは便利な都会の話。
ナニゴトであれたいていのことを自分たちの手でおこなってきた島のみなさんにとって、仮設へリポート用に広場を調えるなんてことは、自分たちでやるのが当たり前のことになる。
テレビ番組に便乗してボランティアにやってもらおうという目論見は儚くも台風のために崩れ去り、結局島の人々で草を刈り払い、ユンボで整地するということになった。
これがまた500坪くらいある土地で、その昔は畑だったしその後は養鶏場になったりフルーツランドになっていたりしたものの、かれこれ10年くらい手つかず状態だから完全藪状態。
それを島にいる男手総出で…
…といってもこの日はたった4名(もう1名はユンボで島中の沿道の草を排除中)。
なんとかここまで進撃できた。
これで3分の1くらいだろうか…。
明日明後日から港の工事が始まるわけじゃなし、たとえ始まっても現桟橋が利用不能になるのは当分先の話なんだから、少しずつ少しずつ、最終的に冬が終わる前に整地…ということになったとしても時間には充分余裕があるはず。
それでも例によっていつものごとく、こういう作業はなぜだか憑りつかれたように一気にやっちゃおうということになる。
ワタシなど近頃はもうハードなシゴトを長時間やると疲労が残ってしまうから、とにかくなんでもチョコチョコ少しずつ…をモットーにしているだけに、いきなり日中すべてをつかう作業となると、生命の危機すら感じるほどだ。
でも何を隠そう、総勢4名のなかでワタシが最若年。
みなさんアラウンド還暦、しかもオーバー還暦が2人もいてヘトヘトになりながら作業をしているとあっては、弱音を吐いている場合ではない(吐いているけど)。
丈高く生い茂る牛草などを刈り払うのがどんなに大変かというと、
「これが終わる頃には10キロ痩せてるはず…」
とタツヤさんがおっしゃっていたことでもおわかりいただけよう。
本日の作業が終わり、倒れそうになりながらひとっ風呂浴びたあとヘルスメーターに乗ってみれば、なんとなんと前日から1.6キロ減。
カテキン茶を飲みつつポテチを食べながら「痩せない、痩せない」と嘆いているみなさん、是非水納島で草刈りダイエットを。
2022年11月18日
防波堤。
2022年 11月17日(木) 晴れたり雨降ったり
東の風 波あり 水温26度くらい
前線を伴う低気圧が本島付近を通過しそう、という予報だったから、また先日のような嵐になったりして…
…と思いきや、午後遅めに少々風が強まりはしたものの、おおむねぐずつきながらも穏やかな1日だった。
降ったり止んだりのお天気だと、庭仕事ができなくなるからオタマサはヒマになる。
そういう時には海へ行こう!となる。
前日にワタシが防波堤付け根のサンゴ群落状況報告を聞き、どれどれ私も拝見…という目的だったようなのだけど、いろいろ寄り道して徘徊している際に、久しぶりに再会を果たしたものが(以下4点の写真、撮影:オタマサ)。
ガンガゼの棘の向こうに潜むヨコシマエビ。
いわゆるメクリストたちは石の下からちょくちょく見つけ出すのであろうこのエビながら、石の下の環境保護協会会員のオタマサには普段から無縁なので、このように自ら外を徘徊してくれていないと出会う機会はない。
棘の下とはいえヨコシマエビがトコトコ歩いてくれていたのは、天気が悪い=潜りに行く、だから、たとえリーフ内でも照度が低いおかげだろうか。
ところで、世間を騒がせる一部の迷惑撮り鉄同様、水中写真方面でも「自分オンリー」が急増している昨今のこと、このように棘が邪魔でエビが撮れないなんて状況になると、一部のフォト派ダイバーはすぐさま七つ道具を取り出し、エビを撮りやすいところへ無理矢理誘導する。
でもオタマサは、撮影時におけるそういうことを卒業しているので、ありのままにしか撮らない。
なので全身を写せるチャンスが来たときには…
後ろ向きなのだった。
ガンガゼ自体は物陰に潜んでいるから、この角度以外に覗きようがないところなんだけど、こうしてガンガゼの棘の向こうにいるおかげで、ヨコシマエビの横縞の意味がわかったかも。
すなわち…
ガンガゼカモフラージュ!
もっとも、これじゃどんな模様でも隠れられそうだけど…。
ヨコシマエビはここにもう1匹小ぶりなものもいた。
この大小2匹がペアかどうかはわからないけど、ともかく同じガンガゼの周辺に2匹いるってことは、ガンガゼの傍にいるのはけっして偶然ではない証でもある。
やっぱりヨコシマの横縞、ガンガゼカモフラージュなのかも。
さて。
オタマサがこの日探訪した防波堤というのは、桟橋から見ると沖に向かって景色を遮っているこれのこと。
上から見るとこんな感じ(矢印の先が防波堤)。
連絡船がポンポン船だった頃、ようやく港が作られた港は桟橋が沖にポッと突き出ているだけだったから、北風や波濤をモロに受ける状態だった。
それを防ぐべく造られたのがこの防波堤だ。
第1期工事では太いほうが、その後細いほうが付け足され、なおかつ後年になって左端の突堤が、そして四角く見える潜堤(大潮の干潮時じゃないと露出しない)が造られた。
我々が島に越してきてから造られたのがこの潜堤で、巨大なバージがドンと腰を据えて行われたその工事により、バージが腰を据えていたあたりを中心に、それまでパッチ状に広がっていたユビエダハマサンゴの群落の多くが失われてしまった。
海水浴場エリアにはまだサンゴ群落が残っていたものの、その後の度重なる砂搬入(移動ではなく)事業ののち、沖へと流れ出してしまった砂で埋まったりして、現在海水浴場エリアのサンゴ群落は、上の写真を見ても明らかなように、ほとんど失われてしまっている。
近年になり、桟橋脇のうちのボートを横付けしているあたりから先っちょ側にかけて小規模な群落が元気に育っている…ということはこれまで紹介してきたとおり。
で、上の画像は少なくとも数年前で、防波堤の島側の際付近にサンゴ群落があるようには見えない。
でも現在は、防波堤の際から右を見ても…
左を見ても…
広範囲に渡って群落が形成されている。
もちろんそういうところには、サンゴを拠り所にする小魚も多い。
昨日紹介したニセフウライチョウ人生最小級がいたのもここだし、こちらで紹介している人生初遭遇のマジリアイゴもここにいた。
この広範囲に渡る群落の「広範囲」ぶりを画像で表わすことなどワタシには不可能なので、動画で群落の端から端まで撮ってみることにした。
ただし、のんべんだらりと泳ぎながら撮った動画をのんべんだらりと再生してもツライので、5倍速の早回しになってます。
グーグルマップに付されているスケールで計ってみたところ、群落は100メートル弱に渡っている模様で、東側の端はおそらく防波堤の端付近で、そこから西にずっと群落が続いており、枝状サンゴの群落が途切れるところは、ちょうど防波堤が段違いになっているところ(上から見たら太さが変わるところ)だった。
その先はまだこれからという感じでいささか景観が異なり、育っているサンゴの種類も多様になっていた。
桟橋から突堤にかけての海水浴エリアは人工物に囲まれた内湾ぽいところではあるものの、防波堤付近は絶えず流れが左右に発生するところで、潮通しということでは申し分なく、たとえ桟橋脇が濁っていても、ここはけっこうクリア、ということが多い(マジリアイゴがいたのもそういう環境だからかも)。
そのうえ防波堤が台風の波濤を遮ってくれるのだから、このテのサンゴたちが育つにはバッチリの環境になっているのかもしれない。
もちろんのこと、昨今流行のサンゴの移植など一切やっておらず、これらの群落はサンゴたちが自らのチカラで勝手に(?)成育したものだ。
何度も言うように、サンゴたちは環境さえ整っていればいくらでも自力で育つのである。
その「環境さえ整っていれば」という部分が多くの人々にとって不都合な真実だからだろうか、肝心かなめの成育環境の改善はそっちのけで、サンゴを育てて増やして移植すればサンゴ礁が元気になります!ということのみが、マスコミを中心にもてはやされている気がする。
もちろんサンゴを殖やせば魚が戻ってくるし、いろいろといいこともあるのは間違いないけれど、移植サンゴが育つ一方で、その環境に堪えられなくなった他のサンゴ類たちはどんどん減っている…というジジツには、マスコミはけっして目を向けない。
サンゴにとって大切なのは、人工的に増やしてもらうことではなく、育つ環境の保全にあるのだ。
さて、偶然にも抜群の育成環境だったらしい防波堤沿いではあるけれど、以前紹介したことがあるように、水納港の大改修計画が現在も進行中で、計画どおりに事が運ぶなら、この防波堤は完全撤去されることになる。
それはそれで眺め的には申し分ないことながら、防波堤のブロックをひとつひとつ撤去し、港の工事で再利用するとなると、その工事中におそらく…いや間違いなく、このサンゴ群落は破壊されつくすことだろう。
それはすなわち40年前の元の姿に戻るわけだし、長い目で観ればそのほうがいいわけで、サンゴ群落だってやがて復活するに違いない。
でも個人的ライフサイクルで見た場合、再び群落が形成される頃にはワタシはいくつになっているんだろう…というか、生きているのか?というモンダイがある。
すなわち、この一大サンゴ群落は、我が人生的には工事が始まるまでが貴重な見納め期間ということになるわけだ。
遅々として進まぬ港改修事業ながら、伝え聞く話によると現在本島にて基礎ブロック製作の段階になっているそうで、今年度内、すなわち3月までには島での工事に入りたい、という希望的観測があるらしい。
はたして防波堤撤去工事はいつのことになるのか、そもそもホントに事業は進んでいるのか。
今年1月に北部土木事務所に訊きに行ったところでは、「近々住民説明会を…」という話だったけど、彼らの「近々」はどういう時間感覚なのか、1年近く経ってもまだ訪れていない。
来島人口増を今もなお望む方々が多いから大きな声では言えないけれど、ワタシ自身は港はそのままにして連絡船を2周りほど小さくすれば、欠航数は現在より80パーセントくらい低くなるのは間違いないと思っている。
であれば、連絡船を小型化すればいいだけの話じゃん…
このサンゴ群落を目にしてしまった以上、なおさらそのように主張したくなるところながら、アフターコロナでインバウンドのフィーバーよ再び…なんてことになっている今、連絡船を小さくしようなどという後ろ向きな話に耳を貸すヒトなどいるはずもないのであった。
ああ、最凶新型ウィルスがこの先50年くらい流行しないかなぁ…。
2022年11月17日
プレミアム祭り。
2022年 11月16日(水) 曇りのち時々日差し
東の風 波あり 水温26度くらい
どんより曇り予報だったこの日はいい方向に予報がはずれ、昼前からときおり日差しも出るいい日和になった。
この日修学旅行に来ていた子たちは、きっとみんなおりこうさんなのだろう。
でもそんないい日和を修学旅行生(と日帰り業者)に独占されるのもちょっぴりクヤシイので、修学旅行生たちが14時30分の臨時便で島を発つのを見計らい、桟橋脇からエントリーした。
先日オタマサが撮っていたウオビル付きのカモハラギンポが、このエントリー早々の桟橋脇で泳いでいた。
そのすぐ近くで、桟橋のコンクリート壁に張り付いているソデカラッパを発見。
何をしようとしていたのかは不明ながら、カメラを向けると嫌がって……
…砂中に消えた。
その後念のために例の魚の存在をチェックしてみたところ、以前紹介した小さいほうと思われる子は健在だった。
光沢部分は前回と同じ指示棒。
見た目はちょっぴり大きくなっていた気がしたので3週間前の写真と比べてみると…
あら、相当大きくなってる(もし同じ個体なら、だけど)。
数日前にオタマサが潜った時にも姿が見えなかったという大きいほうは、この日も見られなかった。
季節が変わり、無防備な各種幼魚たちがチョロチョロしなくなり、エサゲットの効率が悪くなったから場所を移動したのだろうか。
エンマゴチ大を探しがてら、前回ギチベラチビターレやスミツキトノサマダイチビターレがいたところを訪ねてみたところ、ギチベラはいなかったけど、スミツキトノサマダイチビターレは健在だった。
この日は他の場所でももう1匹いた。
やはり今年はチビチビの数が多いのだろうか。
サーチ頻度の違いだけかもしれないけれど、セグロチョウのチビターレにポコポコ出会えた年もあったのに、今年はこれまでまだ1匹も観ていない、ということもあるから、やはり年によって異なるのだろう。
そのスミツキトノサマダイチビターレを観ていたら、ミナミハコフグとノコギリハギのチビターレが、用心深そうに一緒にこちらを様子見していた。
ミナミハコフグは麻雀で使うサイコロよりほんの少し大きいだけのチビチビだったから、「おっ!」とばかりにカメラを向けると、すぐさま逃げ去るミナミハコフグ。
緊張していたのか、思わず…
プリッとおもらし。
大きなうねりが入ってきているわけではなく、小潮ということもあって流れは皆無だったから、そのまま桟橋の先っちょまで行くと…
サザナミヤッコの幼魚がいた。
もうそろそろオトナ模様が出始めそうなサイズだったから、2ヵ月前なら激チビターレだったろう。
あいにくそんな季節の「いい日和」に、こんなところを潜っていられないけど…。
そのまま防波堤方面まで行けば、そこには広大な…というといささか大げさながら、海水浴場内や桟橋脇を含めた桟橋~防波堤~突堤に囲まれたエリアの中で最大のサンゴ群落がある。
これについては明日触れることにして、そこで出会ったのがこちら。
先日劇的に更新したばかりの人生最小記録を、早くも刷新するニセフウライチョウチビターレ。
海中で3センチほどに見えたから、実際は2センチちょいってところだろう。
少し離れた別の場所では、先日観た子と同じくらいのチビもいた。
ニセフウライチョウのチビターレにはこれまでずっと出会えなかったというのに、今年はもう3個体目だ。
スミツキトノサマダイ同様、当たり年ってことなのかな?
その他、チビではないけど人生初遭遇の魚にも出会え、パラダイスサンゴ群落を後にしようとしたその時、目の前に違和感アリアリのチョウチョウウオ系の姿が。
なんじゃこりゃ、劇的に珍しい種類か?
と、ゼロコンマ3秒ほどアドレナリンが湧きたちかけたものの、よく見ればアミチョウだ。
ちなみに反対側はノーマルな色味だった。
魚たちに特有の「側線」と呼ばれる部分が傷つくと、体の色味がヘンテコになる…という話を昔どこかで読んだか聞いたかした記憶がたしかなら、このヘンテコアミチョウもきっとそういうことなのだろう。
午後2時半から最大水深3メートルで潜っていたら、エキジットする頃にはもう4時半。
タンクや器材を片付けてマッハ軽を水洗いし、ひとっ風呂浴びたらもちろんビールタイム。
乾いた喉に浸み込むビールがたいそう美味い!
やっぱこういう時はオリオンビールですな。
そうそう、オリオンビールといえば、今年発売されているオリオンビール・プレミアムがたいそう美味い。
世の中プレミアムばやりでなんでもかんでもプレミアム化しているけど、そのほとんどがさほどプレミアムじゃないのとは違って、コイツはホントにプレミアム。
高級酒75ビールほど高くないから、6缶パックをお小遣いで気安く変えるスグレモノだ。
まだお試しになっていない方は是非。
あ、そろそろ、これより美味しい気がする「いちばん桜」の季節かな?
と思ったら、いちばん桜にもプレミアムが…。
ここまでネーミングとしてのプレミアムがインフレ状態になってくると、なかには実質便乗値上げで中身は元のまま、なんてのも出てくるんじゃなかろうか…。
2022年11月16日
シアワセいろいろ。
2022年 11月15日(火) 曇り
北東の風 おだやか
今日で11月も半月経過。
なんとも驚いたことに、連絡船は月初めに2回全便欠航となっただけで、あとはすべて通常運航だ。
先月のことを思えば、キセキとしか思えない…。
だから船長も島の人々も口を揃えていう。
「来月どうなることやら…」
ナニゴトもプラスマイナスゼロとなって最終的には辻褄が合うようになっていることをみんな知っているから、これほど海況がいい日が続けば、きっとしっぺ返しがあるはず、というわけだ。
となれば、プラスを存分に味わわせてもらわねば。
秘密基地にコンスタントに足を運べているのも、「プラス」のおかげである。
ひと区画ながらもなんとかタマネギを植えられる状態にするため、この日も作業は続く。
連絡船は運航できていてもそれなりに雨は降っているから、いっそう石が露出してくる。
すでに一度排除作業を終えているところも、その後オタマサが堆肥を混ぜ合わせるために掘り返す作業をしているものだから、そこに雨が降ればほとんど元の木阿弥状態だ。
なのでワタシは再び石排除作業を続ける一方、オタマサはさらに細かい作業をしていく。
それを終えた部分は、少なくとも見違える姿にはなっている。
ただし一見いい感じに見えても、ひとたび雨が降ればまた石ころが姿を現すのは間違いない。
石取り5年というのは、誇張でもなんでもないのである。
ちなみに排除した石ころたちは、排除せざるをえなかった様々な庭木の根を断ち切るために掘られた溝に。
外周は石の回廊になりそうだ…。
面白いことに、森と草原状態だった頃にはどれほど草刈りをしてもまったく目立っていなかったコウブシが、「今がチャンス!」とばかりに一斉に芽を出している。
ライバルは消え、陽当たり良好になった今を逃す手はない、ということなのだろう。
そうなるまで地中でイモのまま、何年もジッと我慢し続けていたのだろうか…。
先ほどのオタマサの作業は、小石と同時にそういった雑草をも排除している。
使用歴が長い旧畑1号はもちろん、旧畑2号でもこの作業をほぼほぼ終了させていたわけだから、再びふりだしに、それどころか石まであるのでさらに10歩後退したところからスタートしているわけだけど、放っておいたらいつまでも没頭できるオタマサのこと、いつの日かゴールは来るだろう。
ところで、普段こういった作業を島でしていると、通りかかる島の方々はよく土の良し悪しを論評するのだけど、今年の春から始まったあたいぐぁについても、「いい土だね」という声が多かった。
それでもオタマサが丹精して作り上げていた旧1号2号に比べれば、ワタシのようなシロウト目でもまだまだ及びもつかない…
…と思っていたところ、現在石ころを排除している状況に比べれば、あたいぐぁが圧倒的に「いい土」であることがよぉ~くわかる。
その域に達するまでには、いわゆる「土を肥やす」作業をしなければならない。
それにはヒトの手だけではなく、目に見えない様々な微生物のチカラをも必要とする。
もちろん、太陽のチカラも、雨のチカラも。
安く買って高く売れれば「いい土地」という不動産業者には、きっと考えもつかない世界かもしれない。
そっち系の方々の成功をもって「好景気」と呼ぶ今の世の中のこと、オタマサの作業が実を結び、5年後10年後に立派な畑になったとしても、世間的には「それで?」てなもんなのだろう。
でも我々にとってはそれが「成功」、たとえ景気はバブルにならずとも、野菜バブルになればそれがシアワセなのである。
2022年11月15日
セルフィー。
2022年 11月14日(火) 曇り
北の風 うねりあり
お買い物で出掛けるついでに、秘密基地の例の作業のため本島で1泊。
この日の夕食分の買い物は昼間の内に済ませていたのだけど、せっかくだからきよちゃんの焼き鳥も…
…と、ひと仕事終えてから夕刻の混雑にまぎれながら大浜まで行ってみると、
CLOSE.。
たしか水曜定休だったはずなのに。
あ、そういえば今年誰かが、月曜日が休みになってたって言ってたような記憶が…。
それにしても沖縄県、道路工事が多すぎ。
本部町内だけでもそれぞれ目的を異にしながらもあちこち開催中で、大浜あたりは全面的に片側2車線にするためにえらいことになっている。
でもその工事は沿道の各お店がイメージ的に被害を蒙っているものの交通に関しては通常どおりだからいいとして、本部大橋北側の橋詰めの三叉路なんて、仮ながらもようやく工事がいったん終了してフツーに走れるようになったと思ったら、今度は「下水道工事」のせいで左折車線をふさいでいるものだから、夕刻の南向きはえらい渋滞になってしまっている。
そんな時間帯に渋滞にはまってまで「本部市街地」までわざわざ出向いてきたというのになぁ…。
鶏肉モードになってしまっている胃袋をなだめるために、次善の策としてサンエーで鶏もも肉を購入、島ニンニクは家から持ってきていたオタマサが、やる気系の鶏肉炒めにしてくれたのだった。
話は変わる。
先日紹介した、スゴイ図鑑の舞台裏ドキュメントの新書、まずは1章でも…と読み始めたらことのほか面白く、先が気になってついつい…とか、一気読み系のジャンルではないというのに、ひと晩かけて読み切ってしまった。
おかげで一昨日の朝はずっとボーッとしていた。
図鑑の制作話が面白いというのはすなわち、いかにこの図鑑の作り方が型破りかということの証なのだろうけど、それ以前にこの世界のみなさんの変態社会人ぶりが際立っているのだ。
多種多様な虫たちのなかには、フンコロガシのように動物の糞をエサや子育ての場にするモノたちもいる。
糞虫と呼ばれるそれらの虫たちもまた多種多様で、かといってそこかしこでホイホイ見つけられるものではない。
そこでそっち系の変態社会人さんたちは、自らのう〇こで虫を呼び寄せるというのだ。
そのために虫がいそうなところで人知れず野グソ、それが社会的に難しい場合はわざわざタッパに入れて持参するという。
一般社会ではどう考えてもヤバい行いに思えるけれど、彼らの社会では極めてフツーの採集方法なのだそうな。
もっとも、自分たちの社会の中で「フツー」だからといっても、そこはまっとうな社会に生きる彼らのこと、そういった自らの採集方法を誰憚らずおおっぴらに言葉にすることはない。
そのかわり、変態社会でのみ通じるギョーカイ用語を代用しているという。
すなわち、現場で野グソして採集することを「セルフィー」、そしてタッパに入れて持参することを「お弁当」と呼びならわしているそうだ。
種類によっては犬の糞のほうが集まりやすいという場合もあり、いつでも持参できるよう、知人から貰い受けた犬の糞を、食料品用と同じ冷蔵庫に収納している人もいるらしい…。
なんという変態ぶり。
図鑑制作に参加している若い研究者のなかには女性もいて、彼女が担当していたのは、ご自身が愛するハエの仲間たち。
ハエもまた、彼女の「セルフィー」によって採集されていたりするのである。
なんという世界…。
おそらくこの本を送ってくださった送り主さんの嗜好的に、この「セルフィー」が気に入っておられるのはまず間違いあるまい。
それにしても、ダイビングにおける際立ってマニアックな興味の対象をお持ちの方を特に「変態社会人」と呼びならわしてきたけれど、虫屋さんたちのレベルに比べれば、「変態」なんて言葉がおこがましいほどの可愛いものでしかないかもしれない。
ともかくそんなわけで、図鑑だけ手にしていたら知る由もなかったであろう裏話を知ることができたおかげで、1ページも、1文も、1語も見逃さず図鑑を第1ページから見始めてしまったワタシである。
なるほど、このハエが彼女のセルフィーで…
…という興味では見てませんから、念のため。
ところで、前述のとおりこの図鑑の制作には、ギョーカイ各分野の方が参加されているのだけれど、そこに多くの若者たちが含まれていることにとても勇気づけられた。
ワタシが勝手に言っているところの「空白の20年」の間に子供時代を過ごしていた方々のはずなのに、それでもやはり学研や小学館の図鑑を見て育ち、夢をかなえてそういう分野で活躍しているのだ。
次々に統廃合して学校を減らしたり、「安全確保」のポーズのためだけに禁止事項をたくさん作ったり、見せかけの環境保護のために子供の虫捕りを許さないなどなど、子供たちが「育つ芽」を摘む一方の行政では到底考えられないチカラが、きっと子供の頃の彼らの身の回りにあったのだろう。
こういった学習図鑑が、その大きなチカラになっていたことは間違いない。
そういう意味では、将来我が子が野グソして虫を捕まえたりしないように…と、「禁書」にしてしまう親が出てくるかもしれない?
2022年11月14日
冬バージョン。
2022年 11月13日(日) 未明豪雨のち晴れ夕刻雨パラパラ
北東の風 波あり
未明まで前日の雨が続いていて、早朝も分厚い雲がどんより空を覆っていたから、こりゃ今日も雨か…
…と諦めていたら、久しぶりに天気予報が当たった。
晴れ!
このところは基本的に日中は天気がよく、前日だけ珍しく嵐になってしまったんだけど、よりによってその日に修学旅行で来るとはなぁ…。
よほどオコナイが悪い学校に違いない。
それが生徒なのかセンセイなのかは知らないけど…。
それにしても、天気予報が当たらないのは昔からのことながら、近頃は選挙予想も天気予報なみになってきた感が。
米国の中間選挙、たしか少し前まで、「共和党圧勝」とどのメディアも予想していたものなぁ。
近年のスポーツ記事と一緒で、ろくすっぽ取材せずにネット上の声とかその他、雰囲気だけで書いてるんですかね?
その思わぬ不振ぶりに前大統領は、コブシを利かせた恨み節状態になっているそうな。
でも他国からニュースだけ見ていると、事前にやたらとシャシャリ出てきたアナタこそが、最大の敗因のような気がするんですけど…。
前大統領にしろツイッターを買収して大勢の首を斬るヒトにしろ、基本的に自分の金儲けしかしていないヒトが投票を呼び掛けたところで、「どっちにしようかな…」と揺れ動いていた無党派の方々の意思を、逆方向に決定づけることにしか役立ってないんじゃなかろうか。
それにしても米国の選挙って、なんでいつもいつも結果が出るまでこんなに時間がかかるんだろう?
移民者激増で、いつの間にか人口が10億人くらいになってるんだろうか…と思ってしまうくらい。
きっとシステムに問題があるんだろうなぁ。
古臭い投票方式に、大統領はおじいちゃん…
なんだかもう、未来を担う大国のイメージとは程遠い。
…などと、ジジイどもが「重鎮」として幅を利かし続けている政界を、「選挙」によってキープさせ続けているニッポン人には言われたくはないか。
さてさて、天気予報はなかなか当たらないにせよ、もっぱら夜に適量の雨が降り、日中は太陽燦燦という日が続いているおかげで(前日の豪雨は想定外だけど)、あたいぐぁの冬物たちがスクスク育ってきている。
先月末に↓こうだった直播きOKタイプの早モノたちが…
2週間経って↓もうこうなっている。
これくらい育つとそろそろ間引く必要があるから、食卓には初物が出てくる。
御浸し、江戸っ子風に言うなら「おしたし」。
まだ若いから、しゃぶしゃぶよりも短い時間であっという間に茹で上がる葉っぱに、鰹節をふりかけ、お醤油をタラ…。
こりゃうまい。
ただ、美味しいのは美味しいのだけど、チンゲン菜であれ小松菜であれ、なんだかみんな味も食感も同じように感じる…。
近日登場予定の御浸しの主役ほうれん草でも同じかな?
二十日大根(長細いタイプ)も、食べ頃まであと少し、葉野菜類の「主役」たちも、いよいよ苗床から畑に移植された。
畑1号、2号の退役にともない春から始まったあたいぐぁ、オタマサがヒマさえあればゴソゴソして手を掛けている甲斐あって、冬もそれなりに活躍してくれそうだ。
2022年11月13日
アカホシカニタマタマ。
2022年 11月12日(土) 朝雨パラパラのち嵐
南東の風 かなりの荒れ模様
天気予報は午前中は雨マーク、午後から曇りになっていた。
でも朝の早いうちは、曇ってはいても雨は降っていない。
このところの天気予報のハズしっぷりからして、また9時過ぎくらいから太陽燦燦晴れ渡る空♪になるんじゃねーの?
…と思いきや、今度は逆方向に大ハズレ。
すぐそばに台風接近中てなくらいの勢いで風雨は急速にストロング化し、おまけに高木ブー1人になってしまった雷様が追悼大会でもしているかのごとくハリキリまくっていた。
…完全に嵐になってしまった。
嵐は午前中で終わるのかと思いきや、雨も風も雷も午後までズルズル、結局日中のほとんどがプチ台風状態だった。
朝まだ雨が降っていない頃から、本島日帰り業者が修学旅行受け入れの準備をしに来ていたけど、まさかこの雷雨&強風じゃ、マリンスポーツどころじゃないよね…
…と思いきや、嵐の中生徒たちはウェットスーツ姿でマリンスポーツ。
ひと足早くメニューを終えた子たちは、待合所で雨を凌ぎながらお弁当を食べていた…。
というか、南東の風とはいえ、これが普段だったら間違いなく欠航のところ、やればできるんじゃん連絡船。
それよりも、この天気でよくもまぁキャンセルせずにメニューをこなすよなぁ、どこぞの高校。
予定絶対厳守という、いかにも学校関係公務員のみなさんの力技を見せられた思いがする…。
生徒が雷に撃たれなくてよかったよかった。
話は変わる。
エビカニの仲間たちは、ちょっと気取っていうと「甲殻類」というグループに属する生き物たちなんだけど、その甲殻類のなかでもエビやカニは「十脚目」に分類されている。
十脚目とは文字どおり脚が10本、すなわち5対ある仲間たちということで、そうなるとシャコの仲間はここには含まれなくなる(シャコ目、もしくは口脚目というグループ)。
ではヤドカリやカニダマシ、コシオリエビなどはどうかというと、彼らもまた十脚目のメンバーだ。
え?でもヤドカリに近いというタラバガニは、ズワイガニより脚が2本少ないはずなんじゃ??
何を隠そう、恥ずかしながらワタシも同じように不思議に思っていた。
ところが、「ダーウィンが来た!」のオカヤドカリの放送回を先日観て驚いた。
ヤドカリにも、貝殻を支えるためだけの小さな小さな脚が2対あるではないか。
表に出ているハサミ脚と歩脚合わせて6本、そして貝殻の中にヒミツの短足が4本…
おお、合計十脚だ。
いやはや、ひょっとすると昔は知っていたかもしれないものの、すっかり忘却の彼方に消し飛んで幾星霜、テレビを観ていた子供たちと同じようにビックリしてしまった。
ということは、これまでずっとカニよりも脚が1対少ないと信じていたカニダマシの仲間たちにも、秘密の短足があるのだろうか?
もっとも、研究者のように採集した標本を撮っているわけじゃなし、カニダマシの仲間のそんな隠れた短足など、手持ちの写真で確認できようはずも…
…と思いきや。
日中はイソギンチャクの陰に隠れていることが多いアカホシカニダマシながら、イソギンチャク自体が岩の裂け目に器用に入りこんでいたりすると、昼日なかでもイソギンチャクの表側でのんびりしていることもある。
そんな、ちょっとダレているように見えるほどのんびりしているアカホシカニダマシを真上から撮っていた写真があったので、さっそくチェックしてみた。
やっぱハサミ脚を入れて、左右それぞれ4本ずつしかないんじゃ…
…あれ?
ひょっとして……
おおッ!カニダマシの短足が!!
完全に退化して、もう動かないんだろうか?
別の写真を見てみたところ…
ああッ!動かしてる!!
うーん…↑この写真を撮ったのは10年以上前、もうデジイチで撮っているからPC画面で写真を見ているわけで、いくらなんでも気づかなかったとは思えない。
ひょっとすると、当時は知っていたのかもしれないなぁ…。
それにしてもこのカニダマシ短足、貝殻やカイメンを背負う必要があるわけじゃなし、いったいなんの役目を果たしてるんだろう?
ところで、脚とはまったく関係ないんだけど、今回アカホシカニダマシの写真を見返していたところ、これまでまったく気がついていなかったことが。
最初の写真と同じ場所に居た子をごくごくフツーに撮っただけの写真…
のはずだったのに、よく見るとそのお腹には…
アカホシカニタマタマ~♪
前世紀のその昔、当時勤めていた会社の社員旅行で訪れたタイはプーケット島での自由時間を利用して、味噌汁のような海でダイビングしたところ、濁り水のなかでお腹に卵を抱えているアカホシカニダマシ(だったと思う)を観たことがあった。
おかげでこのテのカニダマシたちの卵のサイズが、サワガニ級に大きめなのは知ってはいたものの、水納島ではなかなか観られないなぁ…
…とずっと思っていたというのに、なんてことだ、3年前に撮っていた。
たしかに、ストロボ光が当たっているからこそ卵が見えているけど、肉眼でもファインダー越しでも、見ているときはお腹部分は暗いからまったく気がつかなかったのだろう。
何度も撮ったことがある生き物でも思わぬところで人生初があったりするから、たとえ5万回出会ったことがあろうとも、ゆめおろそかにしてはいけませぬな。
2022年11月12日
ヌートリア情報。
2022年 11月11日(金) 朝雨パラパラのち晴れ
東の風 波あり 水温26度
このところの沖縄気象台は、天気予報で県民を弄んでいるのか…というくらいのハズしっぷりだ。
今日の時系列予報ではたしか日中に雨マークが並んでいたはずなのに、午前中に少々パラついたあとは、ほぼほぼ晴れ。
短時間ながらも、思わずクーラーをつけたほどだった。
このハズしっぷりからすると、晴れマークが並んでいる来週は、まったく真逆になるかもしれない…。
晴れてはいても、夏とは違って夕刻になると涼しくなる季節なものだから、午後4時過ぎには小屋の中に入ってしまうガメ公なので、散歩に行くなら日が高いうちがいい。
連絡船は通常運航とはいえ午前中の日帰り客は限りなくゼロに近いかゼロ、いずれにしてもお客さんの目は無さそうだったので、早お昼後の人間の散歩を終えてから、ガメ公の散歩に出掛けた。
なんだかこのところ無性に外に出たがっていたガメ公は、柵の中で暴れん坊将軍になっていたため、ちょっとガス抜きをせねばならない…
…と大目に見ているうちに、1時間半も付き合わされることにになってしまった。
人間の散歩はたかだか30分程度だというのに、その3倍だなんて…。
その間にオタマサは、ビーチでひと潜り。
昨日はほぼほぼ使い切ったけれど、微妙に残っているタンクもいくつかあって、残圧50あればリーフ内なら40分くらい潜っていられるオタマサだから、このところチョコチョコ使い古しタンクで潜っているのだ。
先日紹介したウオビルに出会った日のほかに、カモメ岩付近でも潜っていて、その際こういうチビに遭遇していた(以下の写真すべて撮影:オタマサ)。
ムスジコショウダイは水納島ではオトナもチビも少なく、数センチほどあるこれくらいのチビとなると、前世紀以来の再会だ。
ただしリンク先で紹介しているとおり、前世紀に出会った際はこのチビを別の魚と認識していたオタマサは、フィルムマウントに「ヒレグロコショウダイ」と書き記していた。
でも実はムスジコショウダイのチビなんだよ…ということを当サイトお魚コーナーはしっかりキチンと懇切丁寧に紹介しているというのに、オタマサときたら今回もまた
「ヒレグロコショウダイのチビがいた」
とのたまっていたのだった。
リセット不能のオタマサ頭ではどうせ3日しかもたないだろうけど、もう一度言っておこう、↓これはムスジコショウダイです。
もっとも、たとえ正体を誤解し続けていても、これくらいに育ったチビに遭遇したことがあるのはオタマサだけ、それもいずれもリーフ内だ。
リーフの外でわりと見かけることがあるアジアコショウダイと、幼魚時代には棲み分けているのだろうか。
一方この日潜ったビーチでは、こんな魚にも出会っていた。
まだ和名がつけられていない、ハタタテギンポ属の1種。
この子は貝殻をおうちにしているようながら、先月末に同じくビーチで潜った際には、↓こういうふうに隠れている子もいたらしい。
ハタタテギンポほど多いわけではないこの種類がそう何匹もいるとは思えないし、ほとんど同じ場所だったというから、同一個体なのかとも思ったけれど、色味はともかく背ビレの形に違いがある気がする。
というか、このハタタテギンポ属の1種はてっきり深いところでしか観られないものと思っていたら、ビーチのような浅いところにもいる種類だったとは…。
さてさて、ガメ公の散歩を終え、パソコン作業のついでにメールチェックをしてみると、とあるゲストからまさかのヌートリア情報が届いていた。
カピバラとまではいかずとも、ネズミの仲間にしては意表をつくほど大きいヌートリア、拙日記では紹介したことがないけれど、かつてゆんたくタイムではたびたび話題の動物になっていた。
というのも、クロワッサン先代オーナーの時代からツアーを組んでくださっていた岡山のショップさん(現在はクローズ)は、我々の代になっても定期的にお越しいただいていて、ツアー参加者のほとんどは岡山県民。
となるとローカル話はもちろん地元岡山の話になり、そこで当たり前のように出てきたのがヌートリアだった。
そう、岡山では、ヌートリアは「いて当たり前」の動物なのである。
当然ながら我々をはじめとする他県出身者にとっては、ヌートリアなどまったく身近ではない。
ところが岡山で生まれ岡山で育ち岡山で暮らし続けている方々は、他県ではけっして身近ではない、ということをご存知ない方のほうが多い(少なくとも当時)。
そのため
「え?ヌートリアいないんですか?」
と、驚かれるほど。
そのジジツを知って以来、岡山ご出身の方には片っ端からヌートリア話をもちかけ、特に現在も在住の方には、「全国にいて当たり前」の動物から「岡山限定」になるカルチャーショックを味わっていただくのを楽しんでいた我々である。
また、なぜ岡山にヌートリアが多いのか、という話も、日本の近代史に関連してまことに興味深かった。
そういう履歴があるものだから、ヌートリア情報が当方に届く次第。
で、この日のヌートリア情報はというと、
「NHKのにっぽん縦断こころ旅という番組で、今、火野正平さんが自転車で岡山を回っているのですが、普通に川でヌートリアが泳いでいるところが出てきます。
もしお時間があったら、今夜19時NHKBSプレミアムで、とうちゃこ版の放送があるので見てみてください。」
とのことだった。
以前も紹介したように、「沁みる夜汽車」的しめっぽく辛気臭い話をわざわざテレビで観るのは好まないので、そういう趣向もかなり含まれる「こころ旅」はけっして欠かさず観る番組ではないんだけど、ちょうど夕食時だからテレビをつけていると勝手に始まることが多く、なにげにちょくちょく観ていたりする。
なので今週は岡山を走っているということも知っており、すんなり情報を飲み込めた。
そういえば、これまでさんざん話題にしてきた「岡山のヌートリア」なのに、岡山で実際にヌートリアなんて映像で観たことないかも(あったかも…)。
ここはひとつ是非テレビ画面を撮って、この日のネタにしよう!
…とばかり、恒例のお手紙紹介のあとチャリオ君が走り出してからは、いつヌートリアが出てきてもいいようにコンデジを構えて待機していた(録画手段がないので)。
すると、アヤシゲな川べりを通りかかっているときに、かつてのワイドショー男・火野正平が気がついた。
「ん?あれ何!?」
ついにきた、ヌートリア登場シーン!
と思ったら、茶色っぽい影がシュッと動いて……
…Gone。
まさかこれだけで終わりじゃないよね?
…となおもカメラを構えていたのだけど、
え?
こ・れ・で・お・わ・り・で・す・か?
動物番組じゃないんだから5分も10分もヌートリアが出てくるわけはないにしろ、まさか水曜スペシャル川口浩探検隊なみのクライマックスが用意されていたとは…。
実際の視聴率はせいぜい2パーセントくらいにもかかわらず、「全米が泣いた!」と宣伝している海外ドラマのようなヌートリア情報なのだった。
というわけでもちろん画像はありませんが、お忙しいなか貴重なヌートリア情報をありがとうございました…
< いえいえ、礼には及びません♪
そりゃそうっすよね。
2022年11月11日
雨ふらば降れ、風ふかば吹け。
2022年 11月10日(木) 雨のち昼前から時々日差し夕方から雨
南東の風 うねりあり 水温26度くらい
現在戦争中の当事国と近接しているうえに、お隣には景気よくミサイルをぶっ放す国があって、おまけに世界制覇のあとは火星まで我が物にする勢いの大国が周辺で戦争を始めるかもしれない…
…といった様々な事情から、防衛費の大幅増を喫緊の目標にしている自民教。
でもそのために必要な財源確保のための方法が次々に出てくると、どうも日本にとっての最大の危機は周辺諸国情勢ではなく、自民教政権そのもののような気がしてきた。
形の上では民主主義社会である以上、ひいてはそんな教団に政権を握らせたままでいる我々国民が、「危機」を呼び寄せている原因そのものということになるのだろう。
「滅びの笛」の第4楽章、いよいよサビパートに入ってきたのかも。
さてさて、今日も朝のうちは冴えない天気。
予報では日中に雨マークは無いはずだったのになぁ。
そのはずしっぷりを受けてのことだろうか、朝の時点でもなお午後から雨が上がることになっていたものが、昼前に変わった予報では、午後も引き続き雨模様になる見込みになっていた。
こりゃ、はずれるんじゃね?
たしかに雨を降らせそうなアヤシイ雲は広がっているものの、昼食後の散歩中には青空がわりと見えてもいた。
散歩中に到達した秘密のビーチから海を見渡すと、未明の強風のためにうねりは少々あるものの、モンダイ無さそうに見える。
というわけで、本日もビーチエントリー@秘密のビーチ。
ただし今回はリーフ上で、ある目的一本に絞って臨むことにした。
その目的についてはこちらをご参照ください。
そのためにはリーフ内を横断しなければならないわけだけど、秘密のビーチからエントリーすれば、リーフエッジまでわりと近い。
わりと近いとはいってもしんどい…。
目的を一本に絞って…といいつつ、そのしんどさを紛らわすためにいろいろ寄り道をしてしまった。
リーフの外と内を隔てる広大な礁原(潮が引いてリーフが干出する際に、真っ先に干上がるゾーン)上は、サンゴ群落があるわけでも、白い砂底が広がるわけでもなく、団扇のような形をした砂色の海藻(ウミウチワ)が起伏がほとんどない海底にビッシリ蔓延る景観は、パッと見はつまらないこと甚だしい。
ところが普段のボートダイビングでも、ビーチエントリーしてリーフ内のサンゴ群落を楽しむ場合でも、そういうゾーンは滅多に訪れることがないから、(個人的に)新鮮な発見がいくつかあった。
これまでずっと、波打ち際に近いところにのみいる思っていたネズスズメダイが、やたらとたくさんいたのだ。
本来こういうところが好きではあるものの、次善の策として似た感じの岩礁っぽい波打ち際も生活圏にしているのだろうか。
また、大小様々なミヤコキセンスズメダイがやたらと多く、いろんな成長段階をその場で観られるのだけど、不思議なことに、フツーに見かける幼魚模様のチビターレよりも遥かに小さいのに早くもオトナ模様になっている子がたくさんいるかと思えば、一方で幼魚模様のチビもたくさんいる。
もちろんその中間もたくさん。
環境は一様だというのに、激チビのままオトナ模様になるのと、幼魚模様のままある程度のサイズまで育つのと、そのあたりのスイッチはどういうことになっているんだろう?
ウミウチワ蔓延りゾーンで目立つスズメダイといえば、イワサキスズメダイもそのひとつ。
数年前に初めてその存在を認識したのはリーフエッジに近いリーフ上だったのだけど、それまでまったく存在に気づかなかったくらい出会っていなかったのは、彼らの暮らしの場の中心がこういうところだからだったようだ。
隠れ家になるような起伏が海底にさほどないこともあって、ほとんどのスズメダイたちはピューッと逃げてしまうなか、多少窪みがあるとそこを一時的避難場所にしてくれるため…
イワサキスズメダイとミヤコキセンスズメダイのお見合いも(もちろん偶然です)。
と、さもナニゴトもないかのように撮っているけど、潮が引いていてもまぁ穏やかだから大丈夫だろうと思いきや、リーフ上はずっと波打っていて、浅いだけに一点にジッとしていられないくらい揺さぶられているワタシ。
これがたいそうしんどくて、いっそのこともっと先までワープした方が早い…と思ったその時に出会ったのがこちら。
ご存知モンツキカエルウオ。
ゴカイ系クリーチャーの棲管跡から、ひょっこり顔を覗かせていた。
過去に何度か紹介しているように、モンツキカエルウオは水納島にもいないわけではないのだけれど、あいにく暮らしの場の中心はとても浅いところで、通常のファンダイビングで訪れるエリアとはかけ離れている。
そのため、何かの拍子にリーフの外まで来ちゃいました…という子でもいないかぎりそうそう出会えない。
出会いたければ、座礁したトドのごとく浅いところをのたうち回ってください。
さて、リーフの外側に近いサンゴゾーンで当初の目的をある程度果たし(結局そこもユラユラ地獄だったけど)、再びウミウチワ群生ゾーンを抜けてリーフ内に戻ってきた。
ここまで戻って来ると、ある程度水深があるし波も無いし、さきほどまでのユラユラ地獄のしんどさからは解放される。
それなりに立派に広がるパッチ状のサンゴ群落で落ち着いたところで、こちらに出会った。
チョウチョウウオのチビ。
前回水納島で初めてチョウチョウウオの幼魚を観たばかりだというのに、早くも2匹目、しかも人生最小記録の更新だ(3センチくらい)。
チョウチョウウオ同様、オトナの数のわりには会えそうで会えないゴマチョウチビにも出会った。
残念ながら最小記録更新とはいかず。
もっとも、チョウチョウウオの仲間にしては珍しくゴマチョウチビには眼状斑が無いから、これだけ見てもチビなんだかオトナなんだか、サイズの感覚が掴めない。
一方、ゴマチョウチビのそばにいたこちらは、写真だけでもそのサイズ感がわかりやすい。
アヤコショウダイの幼魚にそっくりなヒレグロコショウダイのチビ。
チビとはいっても10センチほどと若魚に近い幼魚だから、むろん人生最小記録更新とはいかないけれど、ヒレグロコショウダイのこのサイズのチビと出会ったことが無かったので、これはこれで人生初。
例によってチビチビ尽くしのリーフ内サンゴ群落、掉尾を飾るのはこちら。
ん?
ニザダイ系であることはわかるものの……誰だこれ?
もう少し横から撮った姿はこんな感じ。
2センチくらいのチビの頃にこんな色柄が出ているハギの仲間なんて思い当たらないけど、誰であれ人生最小記録であることは間違いない。
で、誰なんだろう?
平均水深1メートル弱ということもあって、かれこれ2時間近く経っているからそろそろ上がりたい頃なのに、最後に疑問が残ってしまった…
…と思っていたら、このあとすぐに疑問氷解。
サンゴ群落に、同じ種類と思われるもう少し成長した段階のチビがいたのだ。
3センチほどのこのチビは、紛うかたなきサザナミトサカハギのチビターレ(ですよね?)。
その顔周辺の青い模様は、さきほどのアンノンチビターレと瓜二つだ。
そうか、サザナミトサカハギのチビターレ時代には体の点々模様は無く、3センチくらいになってようやく発現してくるのか…。
というわけでたちどころに疑問は解決し、当初の目的も果たせたダイビングは充実のうちに幕を閉じたのだった。
冷えて攣った脚で車まで戻るのがつらかったけど…。
充実といえば。
今宵のディナーは久しぶりに軟体動物祭り♪
島ダコ、サザエ、シャコガイ、ヒロセガイの豪華刺し盛りのほかに…
島ニンニクたっぷりシャコガイのバター焼き、そしてかなり久しぶりに…
味付け3通り(醤油、味噌、ニンニクバター)のつぼ焼き♪
サザエは茹でたものを刺身にして食べるのが一番好きなんだけど(オタマサはナマが好き)、久しぶりにいただくとつぼ焼きも相当美味しいなぁ…。
加速度的に前途が暗澹たるものになってきている気がするニッポンではあるけれど、雨ふらば降れ、風ふかば吹け、滅びの笛ふかば吹けってなところだ。
ちなみに誤解のないように念のため言っておくけど、この日のワタシはひたすら写真を撮っていただけですからね。