2012年10月01日

Gone with the wind

2012年 10月1日(月) 晴れ

北の風 うねりあり
 
 今夕6時30分、ようやく通電!!

 (ちなみに、どういうわけか電話は不通のままなので、ご連絡はメールか携帯へお願いいたします)

 実に60時間に及ぶ停電だった。
 個人的停電最長記録を更新したあと、真っ先に灯った島内の外灯は、まるで明治の世に初めて灯ったガス灯のごとく、文明世界への招待状に見えた。

 まさかあんなに早く停電に突入すると思っていなかったので、巨大台風直前だというのに、そばが美味いなどという、とんでもなくのどかな話題で終了してしまっていた。
 これで家が吹き飛び、二度と更新できなかったら、なんともマヌケな最終回になるところだった……。

 というわけで、とりあえず我々は生き残っております。
 が。

 なんと強烈な台風だったことか。
 1995年に水納島に引っ越してきて以来、これまで数え切れないほどの台風を経験してきたけれど、これほどまでの原爆級ストロングな台風は初めてのことだ。昨年我が家の屋根を飛ばした風が、愛のそよ風に思えるほど。

 なんてったって、その進路。
 停電直前の雰囲気では、どうやら東側を通ってくれそうな気配だったので、なんとか最初の南風をしのいで目に入ったあとは、やや安心しつつ腹を出しながら惰眠をむさぼっていた。
 ところがその直後の吹き返しの風の凄いこと凄いこと。

 それもそのはずだった。
 本日久方ぶりに台風進路情報を見てみてビックリ。

Gone with the wind


 絵に描いたような(描いてあるんだけど)最悪のコース!!

 なんだこの嫌がらせのような西への迂回は!!

 こんなコースをたどられては、いろいろなモノが無事であるはずがない。
 すでに全国区のニュースで沖縄本島地方の被害をご存知の方が多いだろう。停電ひとつとっても、本島地方全世帯の6割にあたる30万以上もの世帯で停電。倒れた電柱100本余。ガラスが割れた家屋星の数。
 しかしこの映像はご存知あるまい。

Gone with the wind


 長年に渡って海水浴客の休憩場として愛されてきた(?)ビーチの建物も、ついに跡形だけ残して倒壊。

 さらに。

Gone with the wind


 そのパーツが吹っ飛んだため、雨戸シャッターで守られているはずの待合所の窓も損壊。

 これらすべては、目に入ったあとの吹き返しの風の爪痕。目に入るまでは、ずっと耐えていたんだから。

 それがまさかこんなことになるなんて。これで我が家が無事だったってのは、ホントに奇跡に近い(一時は家ごと転がるかと観念した)。

 いやあ、今回も生き延びたねぇ……。

 ……というのは甘かった。
 竜巻のような凄まじい風が2時間ほど続いた後、ようやく普通の暴風域程度になった頃(それでもものすごく吹いている)、タツヤさんが風に揺られながらうちの玄関に現れた。

 え?

 なんだか言いづらそうに語るタツヤさんが我々に伝えてくれた話とは………

 これだッ!!

Gone with the wind


以降の写真すべて、撮影:オタマサ


 なんかおかしい??
 ええ、逆さまになってます、ミスクロワッサン。

 え゛―――――ッ!?

 これはすでに曳航して岸壁につけてある状態だけど、タツヤさんがオーシャンスタイルのオギドウさんから電話を受けた時点では、ミスクロワッサンは逆さまの状態で川側の小さな橋のあたりでえらいことになっていたらしい。

 そう教えてもらっても島から駆けつける術があるはずもなく、たとえ現地にいたとしてもまだ暴風域でどうすることもできず、ようやく連絡船が復旧してくれたこの日おっとり刀で駆けつけ、オーシャンスタイルさんのご協力の下、こういうことに。

Gone with the wind


 天地逆転のまま曳航されていくミスクロワッサン。
 台風一過のやけに明るい空がムナシイ………。

 この一連の写真を見るために、もっともふさわしい曲といえばこの曲だろう。

 

 再生ボタンをポチッと押して、聴きながら涙しつつ画像をご覧ください。

 そして、岸壁に曳航してもらったあとは、ヤンマー沖縄さんにバトンタッチ。
 ワタシも潜水スタッフとして仕事をしつつ、クレーンでまずは元の姿勢に戻してみると、こういうことになっていた。

Gone with the wind


 あれ?キャビンは??屋根は??

 千切れてどこぞに沈んでいる模様。
 そして、溜まっている水をポンプで排出し、

Gone with the wind


 ↑クレーンで引き上げ、↓レッカー車に鎮座。

Gone with the wind


 作業中、あたりにいた様々な方々が来ては去り来ては去りする。なかには近隣のダイビングサービスの方々も、心配そうに見に来てくれたり。
 また、まったく見ず知らずのウミンチュのおじさん(水色のTシャツの方)が、まるでスタッフの如くテキパキと動いてくれて、大変助かった。
 どこのどなたか存じませんが、ありがとうございました……。

 そして満身創痍のミスクロワッサンは、遥か勝連町の工場までの長い旅路に発ったのだった。

 ……道中船腹の屋号が丸見えで恥ずかしいんですけど。

 聞くところによると、台風被害のニュース取材の訪れていたどこぞのテレビ局のカメラマンが、逆さまになってプカプカ浮いているうちの船もカメラに収めていたらしい。
 これで被害が本部町内だけだったら、実にこっぱずかしい映像が流れてしまったはず。ところが、幸か不幸か本島全域でとんでもないことになっていたのと、その後まっしぐらに17号が本土に向かっていったおかげで、どうやらその映像はお蔵入りになったようだった。

 ともかくまぁそんなこんなで、ミスクロワッサンは長い長い入院生活を余儀なくされることとなった。

 さあ、そこで!

 なにしろ今日久しぶりにメールチェックをしてみたら、暴風域の真っ只中、大停電中にもかかわらず、雑貨屋さんの通販のご注文が届いていたくらいである(ありがとうございます)。これをご覧になった一部の方にとっては、我々の安否どころではない重大問題が発生しているに違いない。
 すなわち、

 ワタシの10月のダイビングの予約はどうなるのッ!!

 いやあもう、ホント、 他人の遊びの話にかかずらわっている場合じゃない  神様に等しいお客様の予約をこなすことは最優先事項 なのだ。

 昨年屋根が飛んだときの最大の問題は、どこで飲むか、だった。
 しかし今回の非常事態に比べれば、それがなんとのどかな難問だったかということを思い知らされた。
 どうする?

 とにかく!!
 今月のご予約は、天候が許すかぎりすべてこなす方向で現在鋭意調整中。とりあえず明日明後日のご予約をいただいているギンちゃんⅠ上さんご一行には、無事にダイビングしていただける段取りはついている。

 とはいえ自分の船が無い状態なので、いろいろとご不便不都合ご迷惑をおかけすることになるかもしれません。あらかじめ御了承くださいませ。

 それにしても。
 先月末の「史上最大級」から続いた3連発。ひとつだけでも、昔なら10年20年に一度クラスのものだったはず。それがまるでジェットストリームアタックのごとく連発で来るなんて…。

 19号、20号とさらなる連発ひとつとっても、これからは、規模といい頻度といい、これがスタンダードになるのかもしれない。とてもじゃないけど海のレジャーなんて立ち行かなくなること必至だ。

 来年にはミスクロワッサンも入院先から戻ってきてはいるだろう。けれど、今年同様に通常営業をするかどうかは甚だ未定。桟橋脇の砂も元の木阿弥になっちゃったし。
 何度も言っているとおり、

 いつまでも あると思うな クロワッサン

 <で?

 「で?」だなんて………イケズぅ♪


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Posted by クロワッサン at 21:31│Comments(14)日々の徒然
この記事へのコメント
今回は陸揚げしなかったんですか???
Posted by O野 at 2012年10月01日 21:45
今回「も」陸揚げしなかったんです(笑)。
ちなみにこれまで、台風避難で陸揚げしたことは、
唯一の例外を除くと一度もありません。

でも、今後は必ず船台に載せて陸揚げします。
修理依頼ともども、船台も発注しておきました(笑)。
Posted by クロワッサン at 2012年10月01日 22:11
 え゛―――――ッ!?\(◎o◎)/! 

 
Posted by ケンミンとーま at 2012年10月02日 07:48
今回の吹き返し後の西風は凶悪でした(>_<)
那覇の我が家(マンション)は西側の窓(金網入り)がブッ飛びまくり 停電は33時間に及びました、
ウチナーの人々も「こんなにキツイ台風は初めて…」との事。
l西側に面している渡久地港の吹き返し後の状況を想うと…ヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3  

しっかしまぁ昨年の家全壊や今回のミスクロワッサン転覆と言い
カラダを張ってネタを提供してくれるなんて流石植田さん大阪芸人の血統ですなぁ(^O^)  

Ps,船無くてもそのまま運動会行きます(*^^)v  
Posted by ケンミンとーま at 2012年10月02日 08:20
心からお見舞い申し上げます!

壮大なるスケールのネタ
2年連続で・・・お察し申し上げますw

ところで、いっそうのこと
ミスクロワッサン、サンセットクルーズ船にもなるように
リニューアルされては、
当然の如くゆんたくはそこで有料化として、、、
でも必ず海に落ちる者でるやろうなwww

ご自愛くだされ!!
Posted by がんばるオジサン at 2012年10月02日 09:59
ミスクロワッサン轟沈!!
本部の海に消ゆ!?

・・・偽装沈没ではなく??
Posted by 世界のM下 at 2012年10月02日 11:13
まさに・・え゛――って感じですね・・。

いつまでも あると思うな クロワッサン って・・・・
そんなの島で呑む場所が無くなるじゃないですか<そっちか(笑)

お怪我無いようで幸いです。
心よりお見舞い申し上げます。
Posted by マツドウ at 2012年10月02日 12:56
マジですか(O_O)(O_O)(O_O)
この度の台風は本当にストロングで心配しておりましたがHPを見てこんなに叫んだことはありませんでした(;´Д`A
お見舞い申し上げます。
でも、お2人と水納島の皆さんが無事で良かったです。
Posted by ☆hirome☆ at 2012年10月02日 14:38
ヤマトの曲がとても心にひびきました。
去年は屋根が飛んで、今年は船がひっくりかえるなんて
かわいそうです。
うちはアヒルが飛んでいってしまっただけですみました。
元気を出してがんばってください!
Posted by ゆいまる at 2012年10月02日 16:22
ケンミントーマさん、いや、好きこのんでネタ作りをしているわけではないんですが……(笑)。
というか、お互いよく生き残れましたね。
今後は、窓ガラスの金網入りは必須だと思います。

がんばるオジサンさん、ありがとうございます。
えー、ミスクロワッサンの修理は、皆さんへのサービス提供を引き続き目指してのことではなく、
島で暮らすのに船が無いとつまんないからなぁ、という理由からですぜ(笑)。

世界のM下さん、ええ、もちろんこれは、真田副長の意見具申により、これから反射衛星砲発射基地を粉砕すべく、死んだふりをしているところ……………だったら良かったんですが(涙)。

マツドウさん、ありがとうございます。
クロワッサンは無くなっても、雑貨屋さんはありますので、
とりあえず飲む場所はあります(笑)。

☆hirome☆さん、お叫びいただきありがとうございます(笑)。
おかげさまで、島の皆さんともども我々はすこぶる元気ですのでご安心くださいませ!

ゆいまるさん、ヤマトの曲が心にひびいたのは父ちゃんでしょう(笑)。
屋根飛んで船ひっくり返って、記憶に残るエピソード満載の人生です(爆)。
あ、アヒル飛んでいってしまいましたか……。
うちにも「飛んでいったネタ」があるんですが、そのうち披露する予定です♪
Posted by クロワッサン at 2012年10月02日 18:33
面白おかしく書いてありますが、大変だったんですね。まずは、生きてて良かったです。船の方は、世界最大の船を造った実績のある弊社ですが、何も力になれません。とりあえず、スイスの銀行経由で1億円振り込んでおきました(嘘)
Posted by 泉ちゃん at 2012年10月03日 00:00
泉ちゃんさん、ありがとうございます。
1億円分のお気持ちだけ、有難くちょうだいしておきます(笑)。
Posted by クロワッサン at 2012年10月03日 07:49
えー?これ本当にミスクロワッサン?と思ってしまいました。
ああ、なんといたましいお姿に。
早期復活をお祈りしております。

いつか私がtotoBIGで6億円を当てたら、1億円ほど寄付しましょう。はっはっはっ。
(しかし、1回1口しか買わないんじゃ、いつ当たることやら)
Posted by せーみや at 2012年10月03日 10:05
せーみやさん、6分の1のお気持ち、有難く頂戴いたします!(笑)
Posted by クロワッサン at 2012年10月06日 07:48
 
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