2024年05月04日
臨界カラーはキャビア色?
2024年 5月3日(金) 晴れ
東の風 おだやか 水温23度~24度
ゴールデンウィーク後半スタートのこの日、オキナワに滞在されていた旅行者はシアワセである。
大当たりも大当たり、かつてGWに営業していた頃の当店に、こんなグッドコンディションの日があったろうか…というほどの抜群の海日和だ。
午後から曇るという予報も吹き飛ばし、太陽燦々海風爽快、こんな日が1年365日続けば、我が家は今頃豪邸になっていたことだろう。
GWにはこれ以上望めないというくらいのダイビング日和、おまけに当初予定されていた水納港の工事は始まる気配すら見せない。
ああ、これだったら、水納島っぽく過ごせる最後の思い出に、GWだけ営業していればよかった……
…しないけど。
抜群のコンディションとなれば、日中の洋上、特に午前中はダイビングボートだらけになるのは間違いない。
となれば、行きたいところに行くには、まだ誰も来ない時間帯にスタートするしかない。
というわけで、まだ肌寒さすら残る7時半頃に出航。
目指すはもちろん…
シモフリエッグTake2。
立て続けに卵守に励んでいるシモフリ父ちゃんがケアする卵たちは、おそらく産みたてホヤホヤだったに違いないTake2発見時から5日経って…
すっかりキャビア色に!
…って、キャビアなんて人生で2回ほどしか食べたことないからホントにこんな色だったか記憶にないけど、眼がしっかりできた卵は全体的にキラキラしているのかと思いきや、予想を裏切る意外な色味。
パッと見は濃緑色の塊に見えても、よく観ると卵のそれぞれにはちゃんと眼ができていることがわかる。
クマノミ類などでは卵の発生が進むと卵全体がキラキラしてくるので、あとどれくらいで孵化を迎えるかという見当がつく。
でもシモフリエッグは初体験のため、臨界点(?)の様子がわからん…。
ひょっとすると、最初は黄色でだんだんキャビアになってくるってことは、孵化間近であってもキラキラしないのかもしれない。
卵守をしているシモフリ父ちゃんとしても、キラキラして目立ってしまったら困ってしまうのだろう。
ところで、四六時中卵塊に接してケアしている彼は、卵守期間中は食事をするヒマすらないものとばかり思っていた。
ところがこの日観ていたら、ふと視線が岩陰の外に向かったかと思ったら、ちょいとばかりフラフラ~と動いて(でも卵から完全に離れはしない)、漂ってきた何やらをパクッと食べた。
実は最初の画像はその何やらを見つけた時で、視線が外に向いているのがおわかりいただけよう。
そしてパクッとやったあと、モグモグしているところが↓これ。
普段は卵に接している背中が、やや卵から離れているでしょ?
卵守中とはいっても、これくらいの自由はあるらしい。
卵守中の食事制限を余儀なくされているといえば、この方々。
クロホシイシモチが多く集まっている根を、この日も訪ねてみた。
ほどよい流れに向かってイクメン父ちゃんたちがほぼほぼ定位してくれているから、卵フガフガシーンを撮りやすいはず…
…と思いきや、不思議なことになかなかフガフガしてくれない。
フガフガしない代わりに、上の写真のようにときどき口を大きく開けていた。
適度な流れがあれば、わざわざ卵をフガフガさせずとも、口を開けるだけで新鮮な海水が口内を循環するってことなんだろうか?
ところで、以前も紹介したことがあるような気がするけど、口内で卵を保育するイクメンテンジクダイ類は、当然ながら保育中まったく食事できないことになる。
でも実は、イクメン父ちゃんたちは、ときどき口内の卵をつまみ食いしているというのだ。
その話を伺ったのは30年以上前の日本魚類学会でのことだったから、その後研究が進んで当時とは異なる見解になっているのかもしれないけれど、なかなかシュールな話だったからいまだに記憶に残っているのだった。
父ちゃんの口の中にいる時から、すでにしてサバイバルレースが始まっているタマタマたちであることを思えば、無事孵化してサンゴに群れている幼魚たちに拍手を送らずにはいられない。
リーフ際の浅いところに戻ってくると、まだ朝早い時間帯ということもあって、燦々と降りそそぐ太陽光が、レインボーダンスになっていた。
そして見上げる水面には…
…鏡面サンゴ礁。
いやはや、ホントにバッチグー太郎のコンディション。
せっかくのGWにもかかわらず、どこへも行けないという一部の方々に、この日の海をそっとお裾分け。
何の変哲もない水面を、ただボーッと見上げているシアワセ…。
しかしボーッとしているのはワタシだけで、魚たちは日々の営みに忙しそうだった。
なかでも、GW前後に頻発するキホシスズメダイ祭りはにぎやかだ。
繁殖のために行われているらしいこのキホシスズメダイ祭り、普段もリーフの上で群れてはいるけれど、祭りの際には目的が目的だけにテンパっているからか、群れのほうからこちらに近寄ってくるほどに、キホシスズメダイたちはダイバーなどまったく意に介さず群れ泳ぐ。
すでにリーフ際にはキホシスズメダイのチビチビたちが出始めているけれど、この祭りからしばらくすれば、リーフ際にはきっとキホシスズメダイチビターレたちが湧いて出るほどにドッと群れ始めるに違いない。
そして季節は、梅雨から初夏へ。
…って、まだ梅雨入り宣言してませんね、気象台。
Posted by クロワッサン at 07:37│Comments(0)
│水納島の海