2025年05月05日

Benimon GO。

2025年 5月4日(日) 薄曇り

北の風 おだやか 水温22度

 薄曇りながらも洋上はおだやかで、この日もまずまずの海日和となった。
 
 GW後半2日目というのにこの好天続き、いったいどうしたんだ?
 
 その分子供の日で辻褄を合わせる気らしい…。
 
 となると海へ行くなら今のうち、さっそく本日も海へ…
 
 …行く前に、昨日の続き。
 
 ワタシと同じようにリーフ際の浅いところに足を踏み入れたオタマサは、特に目的にしていたわけではないくせに、いきなり↓こういうシーンに遭遇した(以下写真4点、撮影:オタマサ)。
 
Benimon GO。

 岩肌に溶け込む体色をしているためわかりづらいけれど、合計5匹のヘビギンポ類がいるのがご覧いただけるだろうか。
 
 これはベニモンヘビギンポで、1匹だけ際立った色になっているのがオス、他の4匹はメスのはず。
 
 ヘビギンポの仲間たちは、オスが縄張りにメスを複数匹囲っているかどうかはさておき、産卵はペア状態になって行うものだったはず。
 
 となるとこの様子は、かなりの異常事態?
 
 オタマサによると、メスは時々ウニョウニョ…と腰をくねらせていたという。
 
Benimon GO。

 するとオスが近づいてきて、やはり同じように腰をウニョウニョ…とくねらせていたそうな。 
 
Benimon GO。

 その話だけを聞くと産卵シーンのように思えるけど、ヘビギンポたちの場合オスの放精は一瞬の早ワザのはずなのに、オスの動きはあくまでものんびりしたものだったという。
 
 ではメスたちの下腹部から輸卵管が出ていたのかどうか。

 それがわかるような横から撮った写真が1枚もないあたりが、オタマサのオタマサたる所以である。
 
 ヘビギンポ類にあるまじき集団見合い的繁殖行動、はたしてこれは産卵行動だったのだろうか。
 
Benimon GO。

 恥ずかしながらワタシはこれまでベニモンヘビギンポの産卵行動は目にしたことがなく、それが常態なのか異常態なのかはわからないものの、ネット上の画像を見るかぎりでは産卵はペアでおこなわれている様子で、このようにメスが複数いるケース見当たらない。
 
 となると答えは、ベニモンヘビギンポのみぞ知る。
 
 …そんなこと言わず、ワタシにも教えて!
 
 そこでこのベニモン集団見合いを観るべく、本日も同じところへGO!
 
 もっとも、潜り慣れた方々ならおおよその見当はついていると思うけれど、そのような行動を連日繰り返しているくらいなら、そもそもからして「レアシーン」であるはずはない。
 
 鼻息も荒く現場に急行したものの、オタマサが教えてくれた場所に案の定集団見合いシーンは微塵もなかった。
 
 ただし!
 
 産卵行動真っ最中のベニモンヘビギンポペアがいた。
 
Benimon GO。

 普段のヘビギンポ類はオスメスが別々にいるから、興奮カラーを発しているオスがメスと一緒にいるとなれば、これはもう産卵行動間違いなし。
 
 ただしメスは岩肌に溶け込む色味だから、いると信じて探さないと、いつぞやのワタシのように後刻写真を見てからメスの存在を知ることになってしまう。
 
 この日は複数のメスを期待していたおかげで、1匹のメスにもすぐさま気づくことができた。
 
 上の写真よりももっと離れたところにいても、オスはメスの様子をジッと伺っている。
 
 メスはここという場所に腰を落ち着かせると、ウニョウニョ…と腰をくねらせつつ、アクビをするかのように口を大きく何度か開ける。
 
Benimon GO。

 ヘビギンポ類で観られるこの動きは、おそらくオスに「卵産んだわよ!」と知らせているのではなかろうかと愚考している。
 
 ちなみに産卵中のメスの下腹部からは、輸卵管が見える(矢印の先の白いところ)。
 
Benimon GO。

 ここから卵を一粒ずつポコ…ポコ…と産み落とすメス。 
 
 「卵を産んだわよ」というメスの合図を見たオスは、サッとメスのそばに駆けつけて…
 
Benimon GO。

 シュッと放精し…
 
Benimon GO。

 …パッとその場を去っていく。
 
Benimon GO。

 ヘビギンポ類の産卵行動の場合、オスはこの「サッ」「シュッ」「パッ」が基本で、オタマサが前日観た集団見合い時ののんびりしたオスの動きは、実に摩訶不思議。
 
 ちなみに上で紹介している一連の動きは、意図してこのように撮ったわけではなく、オスメスが仲良く寄り添っている一瞬を撮ろうとした結果、前後を並べ替えれば「一連」のように見えるよう撮れたものだったりする。
 
 一瞬の寄り添いシーンを撮らせてもらうことがどれほど至難のワザか、ご理解いただくために産卵&放精シーンの動画を…。
 
 
 
 ね、一瞬でしょう、オス。
 
 でも一度の産卵で何粒産んでいるのか知らないけれど、メスは何度も何度も繰り返し産卵してくれるから、オスのこの動きもまた何度も観られることになる。
 
 ただしメスはその都度体の向きを変えるので、顔が前になるように撮らせてもらうためにはこちらが動かざるを得ず、狭いオーバーハング下でのけぞりながらファインダーを覗き続けていると、中高年ダイバーの体には非常なるダメージをもたらす。
 
 なのでなにげに体は悲鳴を上げているんだけど、こういうシーンは観ていて全然飽きないから、気がつけば50分経過していたのだった…。
 
 カスリヘビギンポとは違って場所を選ぶベニモンの産卵シーンは人生初遭遇だから、本来であればもっともっと大騒ぎしているところだ。
 
 でも前日にオタマサが観たシーンのほうが個人的には遥かに衝撃的。

 ようやく産卵シーンをクリアしたというのに、また新たな課題ができてしまった…。
 
Benimon GO。

 次はお見合いシーンも見せてね、ベニモン。


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Posted by クロワッサン at 05:43│Comments(0)水納島の海
 
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