徒然海月日記～つれづれくらげにっき～

　　 
　前日、大きなうねりを乗り越えて島にやって来たゲストには、シマウマさんのほかに、ご存知チームタオの梅竹コンビもいらっしゃった。

　対象が何であれ、全人生を「ハント」に懸けておられる梅さんは、夏の初めにゴマモンガラが暴れているという拙日記をご覧になるにおよび、

　ゴマモンと本気で対決せねばならない時が来た

　と確信された。

　しかしワタシから事前に「正当防衛に限る」という条件を付けられてしまった梅さんは、ホームセンターにて腕を組みながら、じっくり１時間考えたという。
　そして、

　よし、これだ！

　と、彼が自信を持って産みだした対ゴマモンツールとは、名付けて

　勇者の盾。

　凶暴凶悪のゴマモンに対抗する勇者にふさわしい、聴くものの心を奮わすネーミングである。

　はたして勇者の盾とは、いったいどんなものなのか。

　ついに日の目を見る時が来た！！

　ジャーン！！



　これが「勇者の盾」だ！！

　……って、ポリバケツの蓋？？

　幾何学模様風にキチンと等間隔で開けられた、水の抵抗防止孔がまた涙を誘う。

　でも梅さん、ゴマモンガラってプラスチック製のスレートを平気で噛み砕きますぜ？？

　しかし梅さんの対ゴマモンツールは、防御だけにとどまらない。左手にお持ちになっているのは、

　勇者の網。

　盾と来れば矛、もしくは剣と行きたいところながら、あくまでも自衛隊なみに正当防衛を遵守するためにも、「捕獲」をもって攻撃とす、ということらしい。

　ネーミングこそ勇ましいけれど、はたしてこの盾と網、その名のとおりの性能を発揮するんでしょうか？

　それを明らかにするには、実用試験以外に道はない。

　繁殖期のピークは過ぎた感があるゴマモンながら、初日からさっそく対面を果たしたチームタオのお二人は、この日対ゴマモン兵器を手に（カメラはボートに置き去りのまま）、ゴマモンサーチに繰り出した。

　そして………ゴマモンに遭遇！！

　今こそ出番だ、勇者の盾！！




　２人にとって、２４５３２回目の共同作業です！！

　勇者の盾、網というわりには、ややへっぴり腰感があるものの、迫るゴマモンに敢然と立ち向かうチームタオのお２人。

　はたしてその攻防の結果は？？

　結論。

　こんなヘンテコなモノを持っているダイバーなんて、ゴマモンから見れば

　ちょっとアブナイひと？？

　てなものらしく、ヘタに相手にしない方がいいと判断するらしい。

　だから勇者の盾をかざして接近に備えていても、ゴマモンのほうが「遠慮しときます…」という様子。

　ただし、お２人が対策を講じるべく手元に視線を落としたりすると、すかさず隙をついて攻撃姿勢に入るゴマモン。

　ちゃんとダイバーの様子を観察しているのである。

　そのため手にいくら防御ツールを持っていても、後ろを見せると……



　
　たちまちロックオンされるフィン。

　ならばと、竹さんはフィンを脱いで手に持ち、ヒラヒラさせてわざとゴマモンをいらつかせ、怒りに任せて攻撃してきたところを梅さんが勇者の網で一網打尽に……

　……しようとしても、やはりそこまでゴマモンはアホではなかった。

　こうしてみると、ゴマモンの矢面に立っているのはずっと竹さんのようで、なんだか一昔以上前の最前線で、お前がまず死んで来い！と上官に言われている二等兵のような姿にも見える……。

　ともかくこういう次第で、対ゴマモン「勇者の盾」作戦は、モノの見事に企画倒れに終わったのだった。

　とはいえ近寄らせないという意味では、勇者の盾にもかなりの効用はあるように思える。

　だからといって、思いっきり水の抵抗を受けるこのようなモノを手にしてダイビングしようなんて方は、どこにもいないような気が…。

　かくなるうえは、普段は棒状でありながら、いざという時には扇子のようにサッと開いて盾になる、折り畳み式「勇者の盾」の開発を梅さんにお願いするしかない。

　来シーズン、生まれ変わった勇者の盾に期待しよう。