2017年12月14日
ゴッドマウス。
2017年 12月13日(水) 晴れ間も雨もある曇り
北東の風 波あり
日中は風が増すような増さないような微妙な予報だったため、ひょっとすると11時渡久地港発をもって連絡船は終了するかも…ということだったのだけど、船長カネモトさんは、朝の様子から大丈夫と判断した。
おかげでこの日は通常運航。
…といっても日帰りの一般客は皆無だったから営業的にはまったくカンケーなかったけど。
ただし、本島からの一往復があったおかげで有難かったことがひとつ。
この季節は1日2往復で、しかも本島からの往復は唯一になるから、午後から欠航になると郵便物を届けてくれる水納島御用達郵便レディが島に来られなくなる。
そうなると、ハガキや封筒なら船員さんに預けることができても、代金引換などのヤヤコシイ荷物が届かなくなる。
この日は郵便配達レディが本島から往復できる通常運航だったおかげで、オタマサのハイオクガソリン(日本酒)10.8リットルが無事届いたのだった(このオフすでに2度目)。
さて、忘れないうちに昨日の続き。
幼魚のうちは注目されるけれど、オトナになると、潜り慣れたダイバーからはあまり注視されなくなるオビテンスモドキ。
しかしオトナのオビテンスモドキには、幼魚には観られないパワフルかつ野生的な一面があるのだ。
それは彼らのエサの獲り方。
彼らが多く暮らしているリーフ際の海底には、死サンゴ礫をはじめとする小岩が多数転がっていて、それらが生み出す空間に大小様々なクリーチャーが潜んでいる。
日中はその陰に潜んでいるものが多いから、一見しただけだと何もいないように見えるけれど、ゴッドハンドO野さんの手を借りずとも、試しにアヤシイ石をめくってみれば誰でも「何か」を見つけることができるだろう。
その「何か」の多くが、オビテンスモドキのエサになる。
そういった小岩の下にエサがあることを知っている彼らはどうするか。
ゴッドハンドはないから手でめくるわけにはいかない。
ならば……
口で!!
ひっぺがす!!
驚くべきことに、彼らは石を口でくわえて放り投げ、その下に潜む小動物を漁るのだ。
血気盛んモードだから、石をくわえる口元は本気そのもの。
丈夫な歯でしっかりがっしりホールド。
かなり大きな石もこうやってくわえて放り投げ、その下に潜むクリーチャーが逃げ惑っている間にゲットする、という寸法だ。
そうするともちろん、同じような食性の魚たちが、おこぼれに与ろうと集まってくる。
ツノダシはともかく、オジサンやツマジロモンガラにだって自分たちで礫の下のエサを見つけ出す能力があるのだけれど、ひとたび餌探しを始めたオビテンスモドキの執着心はものすごく、同じ場所で石を何個も放り投げるからおこぼれ率も高くなり、すっかり味をしめているのだろう。
まぁしかし、このオビテンスモドキのパワフルさときたら!
足で踏ん張っていたり、オーバーウェイト気味の体が底に着いた状態で手を使って石をめくるのならまだしも、重量比にすれば巨石と言っていい石を、宙に浮いた状態で口でくわえて放り投げているのだ。
そのためには逆向きの大きな推進力が必要で、胸ビレ程度じゃ埒があかないから、オビテンスモドキは全身を使って推力を得ている模様。
だから、石をくわえているオビテンスモドキの写真を撮ると、十中八九体が「く」の字に曲がっている。
この石ひっぺがし、オスがメスに対し、いつでもエサを探せる力持ちであることをアピールするためにやっているのかと以前までは思っていたのだけど、オスメスにかかわらず、しかも単独でいるときでもフツーにやっているから、どうやら純粋にエサを探すためらしい。
レアなクリーチャーを探し出すゴッドハンドに対し、美味しい小動物を苦も無く見つけるゴッドマウス。
ひょっとするとそのエサの中には、変態ダイバー垂涎の、スーパーレアシュリンプも含まれているかもしれない……?
Posted by クロワッサン at 08:30│Comments(0)
│水納島の海