2018年11月10日
BOUCHER2018。
2018年 11月9日(金) 晴れ午後から曇り
南西のち北東の風 おだやかのち波あり 水温25度
今日も午前中はべた凪ぎ快晴。
なにしろ水面下からボートを見上げると、船側の文字が普通に読めてしまえるほどだもの。
この日は10時30分の便で島を出て、ちょいと銀行仕事をしにいく予定にしていたので、いつもよりも少し早めに海へと繰り出した。
あ、誤解のないように言っておくけど、銀行仕事といってもなにも佃製作所@架空の存在です のように資金繰りに追われて…というわけじゃなく、水納班の仕事ですからね。
で、この時期の8時過ぎといえば、まだお日様も登り始めたばかりで、海中で眺めてみればほぼ斜陽。
となると、夕方と同じく、水面がキラキラと黄金色に輝く。
太陽がやる気を出しまくってなにやらアツいものがギラギラしている日中とは違い、斜陽が醸し出す世界は実に趣き深くなる。
やはり齢50を超えたら、黄昏モードが心に染みる。
そんな雰囲気を撮りたいなぁと思いつつ。
なかなか見た目のようには撮れないんだわ、これが。
そもそも黄金色に見えている太陽のキラキラが黄金色にならないのだからどうしようもない。
なので皆様におかれては脳内でそれっぽく変換していただくことにして……
こうしてみると、ヤマブキベラすらスターに見える…。
もう一発スター・ヤマブキベラ。
太陽が高く上る時間帯になると、このように撮ってもここに太陽が無いのですね。
静止画像じゃわからないけど、水面はキラキラ輝くし、太陽光線はきらめくし、サンゴに当たるお日様の光は淡くゆらめくから、肉眼よりも画角が圧倒的に広いフィッシュアイレンズのファインダーを覗いているだけでも、なんだかとってもシアワセな気分になる。
なのでずっと同じ姿勢でジッとしていると、サンゴの上を行き交う魚たちが入れ替わり立ち代わりする。
オヤビッチャやロクセンスズメダイたちが通りかかったり、グルクンが遠めに行き過ぎて行ったり、ヤリカタギが餌を啄んだり。
ひとつのサンゴのそばに佇んでいると、なんだかNHKの72時間ドキュメント番組みたい。
清々しい朝ダイブ、R-50にオススメです。
さて、昨日の続き。
新小屋をあとにした我々は、2年越しの念願がかなうよう、祈るような気持ちでこちらを訪れた。
そう、民謡スナック梅。
……じゃないです。
その下の小さな看板がお目当ての店……って、白飛びして見えないけど。
その名もBOUCHER(ブーシェ)。
随分前になちゅらる院長に連れて行ってもらって以来、その後何度か足を運んでモツフレンチを堪能していた我々も、ここ数年はすっかりご無沙汰状態になっていた。
一方、当店ゲストの中にはここをいたく気に入り、来沖のたびに立ち寄っている方がいらっしゃるので、シーズン中に話をお聞きするたびに、行きたい行きたいと身悶えしている我々である。
そんな我々に安里に出向くチャンスが訪れたのが、昨年の打ち上げのこと。
何軒か巡りつつ、最終的に目指すはブーシェ、と決めて栄町に乗り込んだまではよかったのだけど……
臨時休業??
定休日ではないことだけは確かめていたのに、まさかの…というか個人的にはいつもの…臨時休業(とも店先に明記されてはいなかったけど)。
なので今回は、1年越しのリベンジなのである。
午後7時オープンのお店なので、間違いなく開店しているはずと勢い込んで入店してみると……
……ラララ無人君、ラララ無人君。
店は開いているのに、客がいないどころか店主の姿すら見えない。
でもこの店内の状態は、絶対に「オープン」だよね??
と2人で勝手に納得しつつカウンターに佇んでいると、
「姿を見て、しまった!と思いました…」
と、マスターが慌てて戻ってきてくれた。
昨年末だったか今年初めだったかに、このお店が入っている建物内の斜向かいに、姉妹店「和飲食堂」をオープンされ、今この時間たまたまそちらで話が弾んでいたようだ。
なにはともあれ、まずは念願成就。
ビールタイムは済ませたことだし、最初からワインに突入だ。
するとお通しは……
蝦夷鹿のたたき。
お通しからもう、BOUCHERという名にしおう逸品の登場である。
その他、心の命ずるままに……
オリーブの盛り合わせ。
牛ハラミの炙りユッケ。
鶏白レバーのムース。
アンデュイネットという名の、豚の内臓を直腸に詰めたソーセージ。
これ、ソーセージ自体の美味さもさることながら、皿に盛られている小さな豆粒の食感がとっても楽しく、かつ美味しい。
マスター、この粒々はいったいなんですか?
「レンズ豆ですね」
レンズ豆といえば、シャーロック・ホームズやポワロが食事をする際によく出てくる豆ではなかったか。
読んでいてもどういうものかわからないから、ただ豆としてスルーしていたけれど、そうか、こういうものだったのか、レンズ豆。
フツーに手に入るものなんですか?
「こんな感じでフツーに売られてますよ」
とマスターが出してくださったのは(他に客がもう一組程度だったので、のんびり話す時間がある)……
こんな箱だった。
箱の裏を見てみると、原産国はフランスで、大阪の食品会社が輸入しているものらしい。
中を見てもいいというお言葉に甘えて…
わぁ~お、ツブツブ!!
聞けば、目が飛び出るお値段ではなさそう。
でもフツーに売っているとはいっても、おもろまちのりうぼうで…と言われてしまえば普段使いは難しいか。
あ、AMAZON!!
今度ポチッとしてみようっと。
さて続いては…
リードヴォーのソテー。
リードヴォー(リドボーともいう)ってなんね?
それは仔牛の胸腺肉。
最後にガツンと来るようなものを食べたかった胃袋にはややライトな食感だったから、もっと初めのほうでいただいておけばよかった。
この一連の流れの中で、圧倒的に感動的だったのがこちら。
タマネギのムース 雲丹イクラ添え。
そりゃウニとイクラが合わされば、ブロディ&ハンセン級の史上最強タッグになるのは当たり前。
でも特筆すべきなのは最強タッグではなく、タマネギのムース。
これがもう、超絶級に絶品で、今でも写真と記憶だけでスパークリングワイン1本くらい飲めちゃいそうなほどに美味しかった。
たとえていうなら、ブロディ&ハンセンを掌の上で遊ばせるジャイアント馬場、それがタマネギのムースなのである。<わかんないって。
そしてもちろん、シメはこちら。
その名も「ワインに合うカレーライス」。
ここまでたどり着いて初めて、個人的フルコース完遂。
いやぁ、美味かった美味かった。
そうそう、平日、それも月曜日ということもあって空いていたから、マスターといろいろお話しすることもできたんだけど、カウンターの奥の置物系に目が行くたびになにかと気になるものがいろいろあることに気が付いた。
フツーのメイカーズマークのボトルかなと思ったら、実はマスターの名前がプリントされたラベルが貼られたボトルだったり、見たことがないスコッチのボトルだなぁと思ったら、なんと琉球政府時代に県内に出回っていたものだったり(裏にTAX PAIDの札あり)。
そのなかでも特筆すべきはこちらのボトル。
ん?
なんでホワイトホースが特筆すべきものなの?
驚くなかれ、このボトルはなんと↓この時代のもの。
日本でウイスキーに「特級」など酒税法にまつわる級別制度があったのは、1989年までのこと。
すなわちこのボトルは、少なくとも30年近く前のものということになる。
かねやまんさんが寝かし続けていたかねやま15年に匹敵する、いや、年数的にはさらに上回る逸品かも。
マスターはこの店を始める前はおもろまちのバーでバーテンをなさっていたそうで、そのつながりでこちら方面の人脈も造詣も深く、なればこそのこういうボトルの存在なのだろう。
そんな貴重なホワイトホースを……
一口いただいちゃいました♪
いやあ、これは……
美味いッ!!
長い月日だけが昇華させうる、琥珀色の輝き。
マスター、ありがとうございます!!
空いててよかった……。
ところで。
先述のとおり、こちらのお店に足繁く通っておられるクロワッサンのゲストがいらっしゃる。
でも、名乗ってるわけじゃないだろうし、わかりやすいご職業とはいえそこまで話されてないかもしれない。
なのでダメ元でうかがってみた。
マスター、お客さんで電車の運転士さんの方ってわかりますか?
「電車でGO!ですよね?」
さらけ出しまくりじゃないですか、電車でGO!!
ま、おかげで「共通の知人」になってもらえましたけど(笑)。
いやあ、食った食った。
腹一杯のほろ酔い加減は、世界が実に生き生きとして見える。
ではマスター、また近いうちに必ず。
……その前に必ずや電車でGO!のみなさんが来ることでしょう。
この記事へのコメント
ヤマブキベラすらスターに見える…。
私も好きな被写体です。本当にスターって感じですね。
私も好きな被写体です。本当にスターって感じですね。
Posted by アザラシ&アシカ at 2018年11月23日 11:08
リーフ上のヤマブキベラは、
他業者の多くがスノーケリングの際に餌付けをするため、
人と見れば近寄ってきます。
なので他の小魚を撮りたいときには邪魔で仕方がないんですけど、
こういうときには千両役者、
賑やかにしてくれるいいヒトです(笑)。
他業者の多くがスノーケリングの際に餌付けをするため、
人と見れば近寄ってきます。
なので他の小魚を撮りたいときには邪魔で仕方がないんですけど、
こういうときには千両役者、
賑やかにしてくれるいいヒトです(笑)。
Posted by クロワッサン at 2018年11月24日 07:06