2018年11月14日

絵に描いた港。

2018年 11月13日(火) 雨のち晴れのち曇り
 
北の風 けっこう波あり
 
 朝のうちの短時間、侮れない風が吹くという予報が出ていた。
 
 でもそのあとすぐに落ち着きそうな気配だ。
 
 これだと連絡船は、朝イチの1往復を欠航してそれ以後の運航か、午前中を欠航して午後から運航ってところだろうか。
 
 …と思っていたら。
 
 まさかの全便欠航。
 
 昨日の段階では予報的にもこの日は大丈夫だろうという海運の判断もあって島に宿泊していたお客さんたちは、帰ることができなくなる。
 
 昨日と今日で船長が交代していたってこともあるのだけれど、いずれにしても以前までなら、海運の大丈夫という判断に基づいて島に滞在しているお客さんを見捨てる、なんてことはなかったんだけどなぁ…。
 
 それもこれも、不自由な港のせいであることは今さらいうまでもない。
 
 その港を新たに造り替える事業が動き出している、という話は以前触れた。
 
 これまでに何度か協議の場がもたれたのだけど、なんだかほんとにやる気があるのか北部土木事務所、という話に終始しており、時化に強い新しい港がゲンジツのものになるとは到底思えなかった。
 
 ところが。
 
 これまでの経緯も踏まえつつ、8日に再び住民説明会が催された。
 
 これまでは説明の対象は水納海運も含めた島民のみだったけど、今回は水納島で営業している日帰り業者大手も数社参加している。
 
 そこまで人を呼ぶからには、話はかなり具体的になっているのだろうか。
 
 なっていた。
 
 今年度から担当課長だか部長に異動があったようで、その現在の担当者が妙にやる気に満ちており、考え方も従来とはまったく異なっているのだ。
 
 北部土木事務所が今回もたらした計画において、ワタシが最大級に賛辞を贈りたいことといえば。
 
 それは……
 
 既存の構造物をすべて撤去!!
 
 あの悪名高い潜堤も、釣り人以外になんの役目も果たしていない突堤も、そして桟橋の波除けという役目は果たしつつも、景観を大きく損ない続けてきた防波堤も、何から何まですべて!!
 
 というのも、港の改修と併せ、ビーチの砂の移動の原因を究明する調査も行われており、その結論として、これらの構造物が最たる原因であることが、科学的に証明されたという。
 
 あのぉ……それはみんな最初からわかってたんですけど。
 
 いやいや、それを科学的に詳らかにしたということが大きいのだ。
 
 しかも、役所が自分たちの手で拵えた構造物を、自分たちの手で撤去するなんて、ちょっと前の土木行政では考えられない話である。
 
 償却期間という縛りが解けたからかもしれないけれど、考えようによっては税金の無駄遣いを自ら認めるその英断に、まずは拍手を送りたい。
 
 で、それらも踏まえた完成予想図がこちら。
 
絵に描いた港。

 これは現状をドローンで撮影したものに計画図を添えてあるので、砂の堆積は現状のままになってます。
 
 で、待合所から眺めた様子は…
 
絵に描いた港。

 防波堤で一部遮られていた伊江島が、ちゃんと全貌見えますよ、ということらしい。
 
 景観重視、砂の異常堆積をなるべく防止、そして最も肝心な、連絡船の離岸接岸がしやすい港湾の広さ、北風にも強い防風防波構造。
 
 それに、船着き場の浮桟橋には待合所から行けるようになるらしい。
 
 防風防波能力を高めるため、現行の桟橋に比べて140センチほど高くなるらしく、そうなるとせっかく船を停めるスペースが長大のように見えて、現実的には浮桟橋以外ほとんどボートを停めるところがない、という弱点もあるから、その点についてはシーズン中一度に15隻くらい停まることもある現状を訴え、ボートを停泊する場所も考慮していただくようお願いしておいた。
 
 これが実現した暁には、今日のような欠航はまずありえなくなるだろう。
 
 ところで、実際のところ最速でいつ完成するんですか?
 
 「工事が始まるのは再来年で、最速で3年かかります」
 
 日本政府が行う辺野古の新米軍基地建設のようになりふり構わずやれば、きっと1年くらいでできるんだろうけど、そうもいかない港の工事。
 ということは、ゲンジツ的には早くて5年、下手をすると10年ということか…。 
 
 引退してるじゃん、オレ。
 
 というか、もっと肝心なことを伺わなくては。
 
 あのぉ、この事業計画には、本当に予算が出るんですか?
 
 課長もしくは部長が即答してくれた。
 
 「がんばります!」
 
 えー?まだその段階??
 
 ま、課長もしくは部長がいうことには、諸状況に鑑み、見込みとして大丈夫であろうという手応えを持ってはいるらしい。
 
 はたして、連絡船が欠航しない港ができる日は来るのか。
 
 というか、早くて3年、フツーで5年、下手すりゃ10年の工事期間、連絡船にしろ我々のボートにしろ、船を停める場所をちゃんとキープしてくれるんだろうか……。
 
 まぁ、本格的工事は予定通りいっても再来年からだから、そんな先のことを考えるのはやめておこう。
 
 とにかく、これが絵に描いた餅にならないよう、頑張っていただくしかない。
 
 ちなみに、ここだけの話、個人的にはそんな大層な工事をしなくていいから、入域客数に制限を設けつつ、連絡船を今よりも2周りほど小さくして現行の港でも小回りが利くようにし、なおかつ5年に1度くらい桟橋脇に異常堆積する砂を元に戻す、という方向でいってくれたほうがうれしいのだけど、右肩上がり信仰の世の中では、そんな後ろ向きな考えに賛同する人はなかなか見当たらないのであった。


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Posted by クロワッサン at 06:58│Comments(3)日々の徒然
この記事へのコメント
うーん、微妙。島民のみなさんが望む方向ならもちろん賛成ですが、「なにもない島」が、そうでなくなるように思えてしまいます。あ、「邪魔者」は、なくなるのか(笑)。
あと、課長クラスが出ばってこられたっていうことは、現実になる可能性はひくくないですよ!

我が家もなんとかして、新しい港を見に行けるように、頑張らねば!
Posted by akapan@茨木 at 2018年11月14日 07:38
べ〜ぐん緊急時用港湾兼ヘリポート扱いで作ってもらえばこの冬には完成!
は困るので、トレーシーアイランドか三日月珊瑚礁基地にしてもらいたいです。
Posted by ちびっこ関東方面隊 at 2018年11月14日 11:55
akapan@茨木さん、
オタマサの記憶では、部長だったとのことです。
ってことは、より一層現実味を帯びているってことですね?

沖縄に限らず、日本の田舎から「素朴さ」が失われていくのは、
どうやら時代の流れのようです。
立派になる港が、
せめて見た目だけでも
「今にも壊れてしまいそうな…」
ものだったら面白いんですけどね(実際は頑丈で)。

ちびっこ関東方面隊さん、

相変わらず、いちいち調べなきゃ意味不明のコメント、
ありがとうございます(笑)。
ちなみにわからない方用に説明しますと、

トレーシーアイランド=サンダーバードの基地。
三日月珊瑚礁基地=ガッチャマンの基地。


難易度高すぎです(笑)。
Posted by クロワッサン at 2018年11月15日 10:35
 
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