2020年03月23日

騒乱の春。

2020年 3月22日(日) 曇りのち晴れのち夜雨

南東の風 波あり 水温22度
 
 3連休最後の日。
 
 自粛ならぬ他粛営業にも光がもたらされたこの連休、掉尾を飾る日となるか??
 
 …と思ったら、連絡船は朝の1往復で運航終了。
 
 普段の連絡船ならなんてことはない南風も、代船運航中のはまかぜ号では(お客さんが)辛かろうという判断だったようだ。
 
 結果的にはさほどの波でもなかったけど。
 
 というわけで、掉尾を飾るどころか竜頭蛇尾になってしまった3連休なのだった。
 
 連絡船の復帰予定は26日。
 
 以降は今日のような欠航は……
 
 ……無くならない。
 
 先日お伝えしたように、26日から5日間ほどは、日中に潮が引くためにすでにして2便目や3便目の欠航が予定されているのだ。
 
 6往復くらいあるうちの2往復の欠航ならともかく、3往復しかないのにそのうちの1往復、2往復が欠航となってしまえば、実質島に日帰りできない日になってしまうことになる。
 
 他粛営業の道は険しい。
 
 ところで、世間に自粛をもたらしているチャイニーズバイオウェポン、なんだか現在の状況が似ているなぁと思って、晩酌時に「シン・ゴジラ」を観てみた。
 
 いやはや、わかっちゃいたけど政府の対応が現在の姿にかぶりすぎて笑える。
 
 そもそも正体不明のナニモノかについて、「専門家」が会議している意味の無さときたら。
 
 新型ウィルスのパンデミックとはすなわち、プチゴジラが世界中に20頭くらい出現してしまったようなものなのかもしれない。
 
 ともかくそういうわけで本日はお店を開けている必要が無くなったので、ランチ後に海に行くことにした。
 
 昨日はクラシカルアイにはキビシイサイズのウミウシを凝視するのに肩が凝るほどだったけれど、今日は「ワタシにも見える」ウミウシがいた。
 
騒乱の春。

 オオコノハミノウミウシ。
 
 名前を聞いてもそのサイズにピンと来ない方のために、対人比。
 
騒乱の春。

 頼みもしていないのに、演出上「驚いている目」をしているオタマサ。
 
 まぁこんだけデカければ、クラシカルアイだろうが近眼だろうが、目に見えないわけはない。
 
 ところがオタマサときたら、前日はあのような岩肌の5ミリをサーチできていたくせに、砂上の巨大ウミウシには気づかずスルーしていたのだった。
 
 それでもリーフ際では……
 
騒乱の春。

 またこのような5ミリほどのチビチビを見つけていたオタマサ。
 
 こうしてわかりやすい場所にいるところを見るならともかく、岩肌に同化している5ミリとなると、指示棒で指し示してくれても何されても、クラシカル肉眼ではもはや識別不能。
 
 ファインダーを覗いてようやくその存在を知ることができたのだった。
 
 あ、ちなみにコイツはネコジタウミウシの一種ってことになってるようです。
 
 にわかにウミウシたちが活発になってきている春の海、魚たちもそこかしこで恋のシーズンを迎えている。
 
 前日はテンクロスジギンポが懸命にメスに対してアピールしていたし……
 
騒乱の春。

 フタイロハナゴイのメスのお腹はポンポコリンに膨れている。
 
騒乱の春。

 ちなみにこの場所にはフタイロハナゴイはオス1匹、メス1匹しか見当たらない。
 
 それでもこうして卵がはち切れんばかりになるメス、しかし(フタイロハナゴイの場合)日没後に行われるという産卵は、メスが1匹しかいないんじゃ、1日1回キリってことになるんだろうか。
 
 本来はハレム内の多数のメスと産卵するのであろうオス、1回キリじゃあ、ほとばしる精力を持て余すことにならないんだろうか……。
 
 リーフ際の暗いところでは、アオギハゼのメスたちのお腹が軒並み……
 
騒乱の春。

 ポコッと大きくなっていた(お腹が上側です)。
 
 夏にはチビターレだらけになるアオギハゼの群れも、この時期は全員オトナ。そのうちのメスたちのお腹が一斉に大きくなるってことは、水温プラスお月様の加減が合図になっているのかなぁ…。
 
 ちなみにお腹がポコッとなっていなくても、アオギハゼはオスとメスを見分けることができる。
 
 オスはメスより少々大きくて(そもそも3cmくらいだから、大差ないといえば大差ないんだけど)、背ビレがたいそう立派なのだ。
 
騒乱の春。

 卵といえば、一方砂地の根ではスダレヤライイシモチのオスたちの口がプンプクリンに膨れていた。
 
騒乱の春。

 もちろんその口の中には……
 
騒乱の春。

 すでにお目目ができている卵たち。
 
 冬場にスイッチが入るらしい魚たちのチビチビはすでに登場しているけれど、春からスイッチが入る魚たちはこれからがいよいよ本番。
 
 海中がだんだんにぎやかになってくることだろう。
 
 にぎやかといえば。
 
 やけに騒々しいホンソメワケベラたちがいた。
 
 ホンソメワケベラといえば、引きも切らずやってくるクライアントさんの対応に追われているはずなのに、どういうわけだかホンソメ同士でずっと追いかけっこをしているのだ。
 
騒乱の春。

 そのやり取りは、どう見ても求愛系ではなく、ときおり激しくやりあってもいた。
 
騒乱の春。

 一時的なものではなくて、観ている間ずーっと追いかけっこバトルを繰り広げていたホンソメワケベラ。
 
 ハレムの縄張りによそ者が闖入してきたため、それを排除しようとオスが頑張っている……
 
 …かと思いきや。
 
 観ているとどうも様子がおかしいことに気がついた。
 
 みなさんも気がついてください。
 
 


 気がつきましたね??
 
 そう、眼前で繰り広げられていた追いかけっこ、周りにいる小ぶりなホンソメたちが、追いかけているほうにときおり攻撃を加えているのだ。
 
 追っている側は誰彼かまわずとにかく攻撃的で、それに対して他の全員が敵対関係になっている。

 まるでのび太やスネ夫たちに反旗を翻されてしまったジャイアンのような……。
 
 これってつまり………追いかけている側が闖入者ってこと??
 
 ハレムを乗っ取ろうとしているのだろうか。
 
 その昔アカデミズムの分野で行われたホンソメワケベラの実験では、ハレム内のオスを網で捕獲してから隔離すると、残されたハレムの中の最強メスが、ただちにオス行動をとり始めたという。
 
 ご存知のとおりベラ類の多くはメスからオスへ性転換することが知られており、ホンソメワケベラもまたしかり。
 
 で、ハレム内のオスがいなくなった途端、体の構造はメスのまま、まず行動からオスになるということが確かめられたのだった。
 
 ではその逆、すなわちオスがいるところに別のオスを入れるとどうなるんだろう??
 
 ……という状況が目の前で繰り広げられていたんじゃなかろうか。
 
 とにかくこの追いかけっこバトル、動画を撮る前も撮った後もいっこうに収まる気配はなく、本来のクリーニング業はそっちのけでずっと騒乱状態が続いていたホンソメワケベラ。
 
騒乱の春。

 はたして闖入オス(左)のその後はいかに??   


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Posted by クロワッサン at 08:43│Comments(4)水納島の海
この記事へのコメント
映画と違うのは新旧入れ替わらない事。
ですが、オチは同じっぽいのが残念。
にならないで欲しいです。
Posted by ちびっこ関東方面隊 at 2020年03月23日 09:15
凍結ゴジラありきで共存というあのオチは、
案外現在の暗示だったのかもしれませんよ。
人類はコロナありきで暮らしていくしかないのかも。
Posted by クロワッサン at 2020年03月23日 09:49
 水納丸の干潮時欠航予定表を見て、私事にも関わる事だったので(笑)、早速に県港湾担当課に航路の浚渫要望のメールしました。今日、その返答がありましたので、転載しますね。


佐藤 様
問い合わせをいただきました水納港の浚渫について回答いたします。
昨年11月に地元及び水納海運より、航路・泊地へ堆積した土砂の影響により定期船の欠航が増えているため、浚渫工事をしてほしいとの要望を受けております。
上記の要望を踏まえ、当事務所では昨年12月より深浅測量を行い、航路・泊地の一部において規定の水深(-2.0m)が確保されていないことを確認したため、現在、当該部分の浚渫を行う工事の準備中です。
早期に課題を解決し、通常通りにフェリーが運航できるように取り組んで参ります。
以上、よろしくお願いします。
Posted by ブラック佐藤 at 2020年03月23日 23:45
さっそくの行動、ありがとうございます!
個人的には、役所の返答よりもブラック佐藤さんの「要望」を拝見したかったですが(笑)。

昨日、港の改修工事の進捗状況と併せ、
現在のモンダイを解消すべく取り急ぎ浚渫をする旨の案内が島に届きました。
それとは別に、水納海運の新規工夫(?)もありましtなので、
合わせて本日の拙日記にてご案内いたします。
Posted by クロワッサン at 2020年03月24日 06:32
 
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