2020年05月15日

海 羊。

2020年 5月14日(金) 晴れ

東の風 波あり 水温23度
      
 秘密基地で一泊予定で本島へ。

 でもこのあと台風だ梅雨だと雨続きになる雰囲気だから、晴れているお天気がもったいない。

 幸い出かけるのは昼頃を予定していたので、朝はまた海に行ってきた。

 エントリー早々、昨日オタマサが出会ったタテキンアイサイズチビターレに会いに行ってみた。

 たった1日でGoneだなんて……
 
 …ことにはなっていなかった。

海 羊。

 なんだかしゃっちょこばって気をつけでもしているようなチビチビ。

 もう少し大きくなったタテキンチビは、カメラを向けたりするとすぐにスーッと陰に隠れてしまうことが多いのだけど、これくらい小さいと怖いもの知らずらしい。
 
 一応幼魚だから暗がりにいはするものの、カメラを避けて逃げるなんてことは思いもよらないらしく、むしろカメラに向かってグングン近づいてくるほど。

海 羊。

 ヒレ全開ポーズも撮らせてくれたほか、アクビも披露してくれた…

 …んだけどチャンスを活かせなかった。

 そのかわり……

海 羊。

 ゴマウツボキラメル。

 前日いた魚と会いに、次の日また同じところへ…なんてことは、20年前だったら当たり前にできていたことだし、物好きなカメラ派ゲストなど、1匹のヒレナガネジリンボウを撮るために1日3本すべて同じポイント、なんてことも可能だった。
 
 ところが近年は本島から来るダイビングボートが増えすぎて、小さな島の洋上は船だらけ。行きたいところに行けることなど滅多にない。

 ゲストから前夜のログ付けの際に「明日はどのあたりに行きますか?」という質問をよくいただくことが多いのだけど(それに合わせてカメラの装備を考える、という理由もあるから)、朝7時に出発するならともかく、のんびり宿で朝食を食べてから…という当店のスケジュールでは、とてもじゃないけど予定したポイントでは潜れない。

 なおかつこのタテキンベビーがいるところときたら、普段のシーズン中だったら、日中他のダイビングボートが停まっていないことはないってくらいの場所。

 例年どおりのこの季節だったら、そもそもここを訪れてすらいないだろうし、会えていたとしても翌日すぐの再訪はかなわなかったことだろう。

 コロナ禍のおかげで、なんだか20年ぶりくらい昔の「日常」を取り戻し、まことにゼータクな思いをさせてもらっているのだった。

 さて、そうやってワタシがタテキンチビチビベビーと遊んでいた頃、前日同様砂底を這いずり回っていたオタマサは、クサイロモウミウシの仲間に出会っていた。

海 羊。

 このウミウシがついているのは砂底にたまにポツポツ生えているテングノハウチワという海藻で、その名のとおり団扇形をした5センチ丈ほどの海藻だ。

 この海藻をひとつひとつチェックすると会う確率が高いクサイロモウミウシの仲間ながら、せいぜい5ミリほどと小さいため、クラシカルアイの方はハナから諦めるに違いない。

 しかしクラシカルアイのくせに諦めの悪いオタマサは、背後にもう1匹いることに気がついていた。

 しかもさらに気がつき続けると、もう1匹どころではないことが判明。

海 羊。

 その裏側はもっと大変なことになっていた。

海 羊。

 ウミウシの形からして、なんだか羊の牧場みたい。

 海牛ならぬ海羊。

 彼らはこのテングノハウチワを餌にしているのだろうけれど、こんなに一か所に集まるってことは、それほどこの海藻が周囲に見当たらないってことなんだろうか…

 …と思いきや、オタマサによると周囲にはほかにも同じ海藻がチラホラあるのに、そこには1匹もついていなかったという。

 ってことは、ウミウシ自体がウミウシを呼び寄せているってことか。

 おかげで本来はその名のとおり団扇のような形をしているはずの海藻が……

海 羊。

 輪郭ボロボロ……。

 梅雨時にカタツムリの被害に遭う、庭の花々のような有様になってしまっていた。

 ま、カタツムリもウミウシも同じ仲間なんだから、被害状況が似ているのも当然か。

 ところで、更新されなくなってから久しい「ウミウシ天国」には、このクサイロモウミウシもラインナップしている。

 そこでクサイロモウミウシの卵と紹介しているものは、本文中でも触れているように、別のウミウシの卵である可能性が高い。

 ではクサイロモウミウシの卵って??

 彼らがついているテングノハウチワの表面をよく観ると……

海 羊。

 サークル上に配置された小さな丸いツブツブの集まりが何個も見られる。

 クサイロモウミウシの仲間は似たような形をしているものが多く、このテングノハウチワについているものがなんという種類なのかは不明ながら、これがこの種類の卵なのだろうか。

 同じ仲間のカタツムリ同様雌雄同体のウミウシではあっても、自家受精できるわけでも単為生殖ができるわけでもないから、繁殖のためには相手が必要になる。

 彼らウミウシは相手の這跡に残る「ナニか」を頼りに広い海の中で出会うことができるそうだから、1匹いるところに次の1匹が、そして次から次に……ということになっていくに違いない。

 ウミウシ大集合は、実は「結婚を前提に…」じゃなくて、即繁殖前提の集団見合いなのだった。  
 


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Posted by クロワッサン at 06:54│Comments(0)水納島の海
 
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