2020年06月02日
一生に一度級。
2020年 6月1日(月) ほとんど晴れ
北西の風 おだやか 水温24度~25度
減便運航中の最終便で島を出る予定だったこの日、桟橋で船員さんたちからオドロキのニュースがもたらされた。
6月15日から営業開始予定だった水納ビーチは、今月いっぱいまでの休業が決まったそうな。
これにより、今月いっぱいは島内で飲食できる場所は無いということになり、もちろんながらコインロッカーもシャワーも供用されないことになる。
また、現在減便運航中の連絡船も増便もしくは通常運航に戻す理由が無くなったため、今月いっぱいは引き続き減便運航のままになる見込みだ。
経済的なことを除けば、梅雨明けの抜群の季節に静かに暮らせるのはゼータクこのうえないんだけど、こういう状況でも来島される方にとっては、ご滞在中不便このうえないことになると思うので、いろいろとご留意くださいませ。
さてさて。
夜明け過ぎに雨が降っていたから、珍しく天気予報が正確だったと思ったら、その後は1日中晴れ。
本島はどうだったのか知らないけれど、水納島に関しては夏の太陽がやりたい放題状態だった。
おかげで今朝も快適な海へ。
エントリー時の冷水首筋ヒンヤリコンプレッシャーからすっかり解き放たれ、強い日差しでアチコーコーになってしまった体はむしろ、早く海に飛び込みたい思いに駆られる。
でまたこの季節の水は真夏のようにぬるくないから、飛び込むとまるでうどんのようにキュッと引き締められることになる。
これがなんとも心地いい。
水温の上昇とともに、つれなく引っ込んでしまうことがなくなったヒレネジにちょっと挨拶をしつつ、普段あまり訪れない根に行ってみた。
そういう場所だからなのか、同じような砂地の根にも関わらず、普段滅多に観られない魚に出会うことがよくある。
そんな出会いはないかなぁ…と淡い期待を抱きつつ訪れてみると……
ん?
今目の端を横切った細長い魚は、いまだ観たことがないベラではあるまいか。
中層を泳ぎ回るようなタイプではなさそうだったので、そのままジッと待ってみた。
ワタシがいるせいだろうか、なかなか表に出てこない。
まさか出会いはあれっきりで終わってしまうとか??
…と思ったら、居た。
これは!!
……誰だ?
誰だかその場ではわからなかったけれど、とにかく「いまだ会ったことがない魚」という、最初の目の端チラリ時の直感は正しかった。
どうやらタキベラ属のベラのようで、他の仲間と同じく岩肌の何かをロックオンしては食べていた。
帰宅後調べてみると……
このベラは、日本であって海中は日本ではない小笠原ではお馴染みらしいものの、その他の日本の海ではとんでもなくレアな「タキベラ属の1種」だった。
和名は無いけれど学名はあって、Bodianus neopercularis というものらしい。
見間違いようがないこの体色。
腹ビレに赤い模様有り。
体の白いラインが尾ビレの先のほうまで伸びる。
まず同定に間違いはない。
5センチよりは大きいけど10センチには満たないサイズなので、まだこれでも若魚というところだろうか。
B. opercularis という種類がインド洋で知られていて、レッドストライプド・ホグフィッシュという英名で呼ばれる海水魚ショップでは昔からお馴染みの魚なんだけど、小笠原での発見当初はこのインド洋の種と混同されていたそうな。
ところがその後、インド洋のものとは別種ということになり、晴れて(?)「タキベラ属」の1種に。
その後各地でチラホラと発見されているようながら、ネット上で散見される写真の撮影水深はどれも40メートル超。
やたらと深いところにいるらしい。
ところがこの日ワタシが出会ったこの子は、水深25メートルほど。
しかも、現在のところ沖縄ではほとんど観察例がないのではなかろうか。
ベラは何でもベラだ、という方にはどーでもいいことなのだろうけど、沖縄で今日只今撮影されたこの写真は、超絶的にレアなんですぜ。
と、いくら熱く語ろうとも、「ベラはベラ」なヒトには……
アクビの出る話なんだろうなぁ、きっと。
あ、このチビもヒレグロベラというベラです(笑)。
ヒトですらそうなのだから、「一生に一度」確定のツーショットの栄誉に浴したサビウライロウミウシも…
どこ吹く風ならぬどこ行くベラだったのだろう…。
Posted by クロワッサン at 06:27│Comments(0)
│水納島の海