2021年07月29日
警戒心3倍。
2021年 7月28日(水) 晴れ
東のち北東の風 やや波あり 水温27度
この日も午後はカメラを携えて潜るチャンスを得た。
ようやく大きなうねりがおさまり、風もいい感じになっていたから、久しぶりに岩場のポイントを探訪。
小さな島を取り巻く海とはいえ、砂地のポイントとは環境が大きく異なるから、久しぶりだと新鮮な気分を味わえる。
砂地のポイントでは会うことができない魚たちを深場で観たあとは、浅いところに戻って黒いギンポたちと戯れることにした。
沖に向かって長く伸びる根の天辺部分という浅いところで、いつもチョロチョロしている黒いギンポたちといえば、ミノカエルウオやアミメミノカエルウオ、そしてタテガミカエルウオだ。
彼らはそれぞれたくさんいるくせに一様に警戒心が強く、1匹だけにこだわったらすぐに逃げ隠れてしまうのだけれど、なにしろ数が多いから、引っ込んだら次、引っ込んだら次…と、いわば手あたり次第状態で遊べる。
ただし黒い体に現れている各種それぞれの模様がほとんど見えないから、撮っているときはおろか、撮った写真を観てもなお、それがいったい誰なのか確信を持てないままであることも多い。
まぁそれが誰であれ、可愛いから撮ってて楽しいんだけど、ともかく彼らはこのように、たいていの場合黒っぽい。
なのでこのフォルムをしていながら黒くないと、異様に際立つことになる。
それが幼魚の頃の白い子だったり、婚姻色を出して緑になっているものであればともかく、この日はまったく異質な色をしたものに出会ってしまった。
例によって警戒心はマックスなのでサンゴの枝間越しながら、どうにかその姿を写せた。
赤いッ!!
ここに隠れる際に少し離れたところからヒョヒョヒョヒョ…と泳いでいたわずかな時間に見えたボディは完熟オトナサイズで、そんな大きな全身がこの色だったからビックラこいてしまった。
警戒心は赤いだけに通常の3倍で、以後二度とここから出て来てはくれなかったのだけど、この枝間に隠れている時にも身をよじってくれたおかげで、尾ビレの先も写すことができた(↓右上のところ)。
全身赤いこのテのギンポだなんて、観たことがない。
ここだけでタンク1本消費してOKな出会いである。
けれどあいにくゲストがそろそろエキジットする間際のことだったため、これ以上粘るわけにはいかず、枝間越しの姿だけで終わってしまった(粘っていたら出てくる…かどうかは甚だ怪しいけど)。
このギンポ、いったい誰だ??
後刻調べてみると、さすが変態社会、国内でもすでに数例発見例があって、その正体も判明しており、Cirripectes perustus という学名もあるようだ。
日本ではまだ発見例があるだけで「日本産魚類」として学術的に記載されてはいないから、残念ながら和名はない。
そのうちまた鹿児島大学の漢字20文字研究室あたりが頑張ってくれることだろう。
はたして新和名はいかなるものに。
赤いだけにやっぱり……??
いずれにせよ人生初の出会いだったから、その後オタマサに報告したところ、彼女はワタシが最後に粘っていた場所が見えていたらしく、
「ああ、ワタシもそこで観た!」
という。
おお、それは今月?先月??
「去年。」
おそらく夏のことらしい。
おそるべきことに、人生初の出会いを1年間も私蔵したままだったのだ。
ワタシがこの日目にしていなければ、やがてその記憶は霞となって消えていったことだろう…。
それはともかく、レア度や場所からして、昨年からすでにオトナだったものが今なお健在である、ということで間違いないと思う。
オタマサによると、昨年はその後確認しに行っても姿が見えなかったというから、再訪したからといって再会は容易ではないかもしれない。
その全身を写せる日は来るか?
Posted by クロワッサン at 06:48│Comments(0)
│水納島の海