2022年02月03日
謎のイソキン。
2022年 2月2日(水) 曇り時々雨
東の風 おだやか
日中は曇り空のまま推移するという予報とは裏腹に、朝から時々サーッ…と降る雨がちのお天気に。
屋外でゴソゴソしていないと死んでしまうオタマサとは違い、この日のワタシは室内作業を予定していたので、激しい雷でも無いかぎりお天気はさほど関係なかった。
作業というのはほかでもない、前日に秘密基地から一時的に持って帰ってきた、オタマサの「エビ」カテゴリーのポジフィルムケース全6巻から使えそうなものを選び出し、スキャンしまくるという面倒くさいシゴトだ。
畑仕事しか眼中にない今とは違い、フィルムで撮っていた頃のオタマサは、撮った写真をカテゴリーごとに仕分けしていたから、エビだけ抜粋するのは容易なのだけど、なにしろ量が多い。
近年の水納島の海に比べれば、昔のほうがエビがついている付着生物が遥かに多かったということもあるのだろう。
特にウミシダで暮らすエビたちとなると、現在の水納島の砂地のポイントでは会うことすら難しくなっているものばかり。
その理由(と推測されること)についてはこれまでにも何度も触れているから繰り返さないけど、その他のエビたちにも今じゃ絶対といっていいほど観られないシーンが、埋もれていた昔のフィルムにはいろいろある。
そのひとつがこれ。
手のひらに載せられそうなほどのサイズのミズタマサンゴに、アカホシカクレエビがわんさか!
写真で確認できるだけで10匹は写っている。
そっくりなニセアカホシカクレエビも負けてはいない。
エビを見やすいように画像処理したつもりが結局見にくいことに変わりはなかったけど、ナガレハナサンゴの上に9~10匹くらいいる。
ニセアカホシカクレエビの場合、これくらいワラワラいることがフツーだったのに、かつて彼らが好んで暮らしていたナガレハナサンゴ自体が大激減してしまっているため、今じゃその姿を拝む機会はアカホシカクレエビに比べて圧倒的に少なくなってしまった。
このテのカクレエビ系でいえば、イソギンチャクエビだけは、昔のとおりいまだにいつでも観られるエビで居てくれている…
…と思っていたのだけれど。
イソギンチャクエビについても昔のオタマサ秘蔵の写真を見ていたら、こんなものが出てきた。
触手からしてアラビアハタゴイソギンチャクで、そのサイズ比的にわりと立派に育っているオトナだ。
でもイソギンチャクエビの立派なサイズといえばメスで、メスといえばこんな柄。
そしてこのプリップリサイズのメスが一緒に暮らしているパートナーといえば、たいていこれくらいの体格差がある。
互いに成長途上のペアだとオスメス同サイズということもあるけれど、完熟オトナのペアはメスのほうが大きいものだとばかり思っていた。
ところが先ほどのオスらしきイソギンチャクエビはというと…
体格的にまったく同格、むしろオスのほうが貫禄がある。
サイズのほかに、近年見ているイソギンチャクエビと際立って異なっているのがそのハサミだ。
イソギンチャクエビのハサミといえば、オスメス変わらず↓こういう感じ……
…だとばかり思っていたのに、この見慣れぬオスときたら、
まったく別のエビみたい……。
これはもう、イソギンチャクエビキング、略してイソキンと呼び表わすしかあるまい。
ちなみにこのオタマサの写真はまだ我々が越してくる前の水納島でオタマサが撮ったもので、フィルムマウントに記されている日付は93年8月となっていた。
ただ、当時はその2年後に島に越してくることになるなど夢にも思っていなかった頃で、マウントに記されている撮影場所はポイント名ではなく「水納島」と書かれているだけ。
とはいえ当時チェックしていたアラビアハタゴイソギンチャクといえば、現在も健在のこのアラビアハタゴイソギンチャクと思われる。
ゲストのみなさんも何度も目にしておられるであろう、リーフの上のセジロクマノミがいるところだ。
当時はクマノミが住人だったという違いはあるにせよ、クマノミの種類によってエビのハサミの色形が変わるとは思えないし、環境的に他と比べて特殊なわけでもなんでもない。
ということは、フツーにスクスク育つイソギンチャクエビのオスは、みんなイソキンのようなハサミになるのだろうか。
試しに画像検索でイソギンチャクエビの写真を羅列させても、このようなハサミをしているイソギンチャクエビの画像には出会えなかった。
ほぼ30年近く経ってから甦るイソキンのナゾ。
ひょっとすると、20年くらい前まではフツーに記憶していたかもしれないけれど、今ではもう水納島では見られなくなっているのは間違いないだけに、今さらリサーチのしようがない。
というわけで全国の変態さんたち、ご存知でしたらテルミープリーズ!
Posted by クロワッサン at 09:04│Comments(0)
│水納島の海